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カテゴリー別過去記事:マイケル・ムーア関連記事


2009/05/22

マイケル・ムーアの最新作が10月2日から全米公開

Michael Moore's Financial Collapse Documentary Gets Release Date

最新作の撮影風景。ニューヨーク証券取引所から出てきた関係者に突撃インタビューをしているところ。(source


『オクトーバー・サプライズ』-公式サイトで、マイケル・ムーア監督は最新作公開日に言及している。

ロイター通信によれば、ムーア監督の最新作は世界経済危機がテーマで、全米公開日は今年10月2日に決定されたが、正式タイトルは未だ明らかにされていない。プレスリリースによると、ムーア監督は次回作についてこう説明しているという:

「富裕層は、ある時期から、自分たちがまだ充分には裕福でないと思い込むようになった・・・彼らはもっと儲けたいと思った・・・もっとたくさんだ。それで彼らは、アメリカ国民が一生懸命働いて稼いだ金を、組織的に巻き上げる仕組みを企てた。一体彼らはどうやったのか?次回作でそれを明らかにするつもりだ。」

2008/09/05

マイケル・ムーアが最新ドキュメンタリー作品を無料公開

Michael Moore's SLACKER UPRISING

『野球帽を被ったむさ苦しい男』として全米で知られるアクティビスト兼ドキュメンタリー作家のマイケル・ムーアが、最新作品をオンラインで無料配信すると発表した。

最新作品タイトルは『Slacker Uprising』(怠け者の蜂起)。内容は、2004年度大統領選挙時に全米62都市で行った講演活動の様子を記録したものらしい。すでに公開されているプロモーション映像は以下のとおり:

無料公開日は9月23日で、アメリカ合衆国およびカナダに在住し、同作品の公式サイト上でサインアップした人のみ視聴することができる。


2008/01/03

マイケル・ムーアがエドワーズ候補を推薦?

映画「Sicko」公開以来、大統領にアル・ゴア、医療保険と外交分野ではデニス・クシニッチを応援してきたマイケル・ムーアが、最新コラムで、民主党大統領候補にジョン・エドワーズを推薦すると示唆している。

クシニッチ候補を推薦しない理由については、先日のクシニッチ陣営による「アイオワ州党員集会では第二の選択肢としてバラク・オバマを推薦」という事実上の敗北宣言を重く受け止めているらしい。

民主党トップのヒラリー・クリントンを推薦しない理由について、ムーアは面白いことを書いている。以下に抜粋翻訳すると:

2ヶ月前、ローリング・ストーンズ誌が、特集企画として、クリントン議員、オバマ、エドワーズ各候補に、誰もしたがらないような質問を1対1で尋ねるって役を俺に依頼してきた。『民主党トップ候補者たちがマイケル・ムーアと激突!』取り決めとして、3人全員がインタビューに応じない限り、企画はお流れになるということだった。オバマとエドワーズはインタビューを承諾した。でもクリントン夫人が拒否したので、特集企画はお流れになったんだ。

俺の生涯最愛の人、ヒラリー・クリントンは、なんで俺と座って話そうとしないのか?彼女は一体何を恐れてるんだ?


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2007/07/14

マイケル・ムーアvs.グーグル?

マイケル・ムーア『シッコ』に対する批評の数々

「“シッコ”はムーアの作品としては最重要作で、最も感動的で、最も刺激的な作品だろう。彼のこれまでの作品に比較しても、かなり趣を異にしている。」
ロサンゼルス・タイムズ紙

「ムーアの最も確かで、最も敵対的でなく、しかもおそらく最も重要な作品。」
ニューヨーク・デイリーニュース紙

「“シッコ”はムーアの最高作であり、今までで最も注目すべき作品で、激怒に満ち独善的すぎる“華氏911”よりもはるかに説得力がある。」
ボストン・グローブ紙

「“シッコ”は人々を恐怖に陥れるだろうが、そうであるべきなのだ。」
サンフランシスコ・クロニクル紙

「説教臭く、映画的悲喜劇に満ちているが、“シッコ”は名作である。」
タイム誌

「“シッコ”はムーアの最高作だ。怒りと、望みと、イカれた行動が絶妙な配分で散りばめられ、医療保障と仕事の関係に深遠な疑問をもたらしている。」
ニューヨーク・マガジン誌

「“シッコ”はムーアの作品としては最も異論を呼ばず、広範に訴求できる作品である。」
ニューヨーク・タイムズ紙

「紳士淑女の皆さん、私達が同意できることが二つあります:アメリカの医療システムは破綻していること。それを修正できる人物はマイケル・ムーアではないこと。」
ワシントン・ポスト紙

アメリカの医療危機問題をテーマにしたマイケル・ムーアのドキュメンタリー最新作『シッコ』が全米公開され、米医療システムへの懸念は業界への怒りに波及し、その影響力が拡大しつつある。しかし、医療保険業界や製薬業界がそうした事態に黙っているわけもなく、すでに業界側からの反撃が大手メディアを通じて開始されている。

ところで、ムーアに対する攻撃は、意外な場所でも起こっていた。ネット検索最大手のgoogle社で、医療業界向け広告枠の販売を手がけるローレン・ターナーという社員は、同社公式ブログ6月29日付のエントリー:『ネガティブな報道でビョーキになる?』で、『シッコ』について書いた。以下に一部引用すると:

「議員も、訴訟屋も、患者団体も活気付いてますが、私達の周辺では不安が広がっています。そりゃそうでしょう?ムーアは医療保険企業や医療サービス、さらに製薬業界に対して、個別の主観的な、システム上最悪の物語を引き合いに出して攻撃しているのです。ムーアの映画は、この業界を金とマーケティング主導の世界と見なし、患者の幸福と治療に対する業界の貢献については示さずにいるのです。」

明らかに、彼女はムーアの姿勢と作品『シッコ』をお気に召さないらしい。それはいいとして、注目を集めたのは投稿の後半部分にある以下の主張である:
「わが社ではテキスト広告、ビデオ広告、リッチメディア広告を、有料の検索結果枠や当社の拡大しつづけるコンテンツネットワーク中の適切なウェブサイトに掲載できます。問題がどうであれ、グーグルは人々を啓蒙し貴社のメッセージを宣伝するためのプラットフォームとしての役割を果たします。」

ローレン・ターナーの主張がおわかりだろうか?ムーアが作品で提起する医療危機問題を単純に業界に対する攻撃と考え、彼女はクライアントである医療業界に対して、googleにもっと広告を出稿すれば市民側の業界批判を抑えられると提案しているのである。どうやらローレンは、医療業界人以外の人々もgoogle社ブログを読むことは想定していなかったらしい。

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2007/06/23

マイケル・ムーア最新作『シッコ』公開前から大評判

現在、アメリカ合衆国にはマイクという名の要注意人物が3人いる。マイク・グラベル、マイク・ブルームバーグ、そして、日本にもお馴染みの“野球帽を被ったむさ苦しい男”マイケル・ムーアだ。

Sicko

今回はその、マイケル・ムーアの話題。彼の最新作『Sicko』日本語タイトル『シッコ』、今年8月公開予定は今年6月29日から全米で公開されるが、その前評判が凄まじい。特徴的なのは、前作『華氏911』と違い、今回はリベラル派はもちろん、かつてムーアに批判的だった人々からの支持も拡大しつつある事実だ。ワシントンで開催されたプレミア試写会にはダレル・アイシャ議員(共和党・カリフォルニア州)も姿を見せ、「医療危機問題は党派を超えた課題ですからね。」と作品を讃えた。前作に冷静だった政治批評家達からも、「ムーアのキャリア中ベスト作品」との呼び声が上がり始めている。

ムーアは、『シッコ』でアメリカの医療危機問題をテーマにしているが、作品中で取り上げるのは5,000万人近い医療保険未加入のアメリカ人だけではなく、民間の医療保険に加入しながら適切な保障が受けられなかった多くの中流層の人々の物語である。攻撃のターゲットは、医療現場で暴利を貪る医療保険業界と製薬業界、さらにそうした業界の横暴を許す政治家たちだ。ムーアはストレートに、民間医療保険業界は廃止すべきで、製薬企業には大幅な規制が必要と訴え、両業界から金を受け取って政府規制緩和に努める共和・民主両党の有力議員たち-リック・サントーラム、ヒラリー・クリントンらを批判し、カナダやイギリス、フランス他の先進国事例を引用し、国民皆保険制度の導入を主張する。

ムーアの批判に医療保険・製薬業界側が黙っているはずはなく、保守派シンクタンク各グループと協力して映画公開を前に着々と反論準備を進めているらしいが、おそらく今回の業界批判は抑えられないだろう。ムーアの主張に同意する国民は大勢いる。例えばウェブ動画最大手YouTubeはムーアに共鳴し、「医療サービス恐怖体験」「医療保険業者とのやりとり」の動画投稿を受け付けていて、投稿動画はどんどん増えている。全米で高い人気を誇る女性タレントのオプラ・ウィンフリーは自身のショーでムーアと対談し、公式サイトで専用意見投稿フォームを設けている。

医療業界以外で戦々恐々としているのは、どうやら2008年度大統領候補達らしい。ムーアは、民主党先頭集団(オバマ、エドワーズ、ヒラリー)らの医療制度改革案を「依然として医療保険業界を擁護する妥協案」として批判する。おそらくもっとも慌てているのは、映画の中で強烈に批判されているヒラリー・クリントンだ。かつて国民皆保険制度導入を試みたこの上院議員は、最近では医療保険・製薬業界から献金を受ける議員リストのトップに立ち、2008年大統領選にむけて、「我こそは医療危機問題にもっとも強い大統領候補」と宣伝している。この矛盾に彼女はこの先どう応えるつもりだろう?(もっとも、ムーアの“医療保険業界廃止プラン”に沿った医療制度改革を唱える民主党候補者は、プレミア試写会にも参加したデニス・クシニッチだけのようだが・・・)

『シッコ』にまつわる今後の反響については追ってカバーするとして、今回は以下に、英インディペンデント紙上に掲載された作品関連記事を翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

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2007/04/17

マイケル・ムーア、次回作で早くも大波乱の予兆

『華氏911』の大ヒット以降、総じて沈黙を保っている米ドキュメンタリー作家マイケル・ムーアが、次回作の公開に向けていよいよ活動を再開したらしい。『Sicko(病人)』という仮タイトルの次回ドキュメンタリーは、今年5月に開催予定のカンヌ映画祭での初公開を目指して編集作業が進められているという。4月20日追記:ムーア公式サイトの最新ニュースによれば、今年のカンヌ映画祭は5月16日-27日、『Sicko』は特別招待作品として上映が決定したとのこと。)

以前から報道されている通り、新たにムーアが取り組む課題はアメリカ医療システム危機問題、特に巨大製薬企業の問題が標的となるとみられている。

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2004/12/24

マイケル・ムーア、次回作の標的は製薬業界?

ロスアンゼルスタイムズ紙2004/12/22付け記事より。

マイケル・ムーアが、米国の製薬・医療業界をテーマに、次回作に向けて取材を開始しているという。本人曰く、次回ドキュメンタリーの暫定タイトルは「Sicko(病人)」だそうである。ロスアンゼルスタイムズ紙エンターテイメント欄のスクープ記事から、冒頭部分を抜粋して以下に翻訳(強調は訳者による)

具合が悪くなる(Giving them a sick feeling)

---映画監督マイケル・ムーアに戦々恐々とする製薬業界

アメリカの製薬業界は、自らの健康に対する最新の脅威に戦々恐々としている。その脅威とは、マイケル・ムーアのことだ。

ムーア監督は、過去にゼネラル・モーターズ(『ロジャー&ミー』)、銃擁護団体(オスカー受賞作『ボウリング・フォー・コロンバイン』)、そしてブッシュ大統領(『華氏911』)を標的にしてきたが、次回作では医療業界、保険業界、健康管理機関、FDA(食品医薬品局)、製薬業界に狙いを定めているという。

米国内医療業界の内、少なくとも大手6社は、すでに社内で従業員達に注意を促し、待ち伏せ取材に備えている。

「わが社では社内報で、ムーアが次回作のドキュメンタリー制作に着手していることを記事にしていますから、野球帽を被ったむさ苦しい男を見つけた際には、それが誰かすぐに判別できるのです」ファイザー社国際調査開発部門の広報担当者、スティーブン・レドラー氏は語っている。

今年9月と10月に、業界第二位の規模を誇るグラクソスミスクライン社、アストラゼネカ社、ワイエス社は、社内向けにムーア警報を発令し、メディア及び映画制作者から質問を受けた際には広報部に引き継ぐ旨、従業員に通達している。 メルク社、アボット・ラボラトリーズ社、イーライリリー社、ブリストル・マイヤーズスクイブ社、 ノバルティス・ファーマ株式会社、テバ薬品産業社等は、メディア対応について社内で定期連絡を行っているが、ムーアを特別扱いはしていないという。ジョンソン&ジョンソン社からはコメントを得られていない。(以下略)


次回作でも、ムーア監督は相当取材に苦労しそうな雰囲気である。

2004/08/15

映画に何ができる?・・・何でもできる!

恵比寿ガーデンプレイス「華氏911」初日の行列

恵比寿ガーデンプレイス「華氏911」初日の行列(写真をクリックすると拡大表示します)

2004年8月14日、マイケル・ムーアの「華氏911」日本国内上映がついに開始された。私も恵比寿ガーデンプレイスで待たされた観客の1人だ。ラーメン以外で行列に並ぶのは滅多に経験していないが、有意義な時間だった。

「華氏911」の批評などとてもできない。この作品は批評されることを最初から必要とされていない。映画を観てから、劇場を出て、観客の頭を支配するのは、例えばこんな考えだろう。:「自分は何を知っている?自分には何ができる?」

マイケル・ムーアは身をもって映画の可能性を世界に知らしめた。ブッシュ政権にとって、今や映画は大量破壊兵器となってしまった。恐怖ではなく、知性によって大衆を動かすことが出来る武器は、独裁者にとって最大の脅威となる可能性がある。驚いたことに、マイケル・ムーアは単に「質問をする」という行為によって、この驚くべき潮流を作り出してきたのだ。

さて、私には何ができる?

僅かばかりではあるが、「華氏911」に登場した事実に関連する情報をあらためてリンクとして紹介しよう。「ニュースリンク」としてはこれが精一杯。

2000年大統領選挙の不正については、グレッグ・パラスト氏の記事や、英BBCのドキュメンタリー(動画)を参照してほしい。もちろん選挙不正はフロリダ州に限ったことではない。これについては後日お伝えしよう。

ブッシュ大統領の怠慢な仕事ぶりについてはこちらの投稿を参照してほしい。リチャード・クラークの言うとおり、ブッシュはテロ対策をしなかっただけではなく、ビン・ラディンとサウジに関わるFBIの捜査を中止させた。最近ではアルカイダ捜査のタイミングを選挙に積極利用している

911テロの直後にサウジ関係者が米国を脱出した事実は、クレイグ・アンガー氏の記事を参照。サウジ王家とブッシュ家のつきあいについては最新情報もある。

「愛国法」の問題とアッシュクロフト司法長官についてはこちらの投稿、米国のテロ警告システムについてはこちらの投稿を参照。

マイケル・ムーアがブッシュを「脱走兵」と呼んだ件は以前の投稿「大統領選挙とベトナム戦争」を参照してほしい。

米軍の巧みなリクルート戦略はこちらの投稿を参照してほしい。

米国の報道関連企業がいかに戦争を翼賛しているかについては、「臭い報道大賞(P.U.-Litzer Prizes for 2003)」関連記事(その1)(その2)(その3)(最終版)を参照。

米国政府が貧困層を戦争に送り出す仕組みについては、ナオミ・クラインの記事や、米国の地方新聞の翻訳記事を参照。

米軍によるイラク市民の虐殺についてはアルジャジーラの記事を参照。

ブッシュ政権の支持基盤である米国南部の教育状況についてはこの投稿を参照してほしい。

作品中に登場するハリバートンの広報ビデオ内容に反して、実際にはハリバートンは米兵士に腐った食事を提供したり、ブッシュ政権自身の法律を堂々と破ったり賄賂をばら蒔いたりと忙しい。破綻した電力企業エンロンは、ハリバートンにひけをとらない悪徳企業だ。カリフォルニア電力危機、シュワルツェネガー加州知事、イラク戦争等を背後で操ったりしている。またこうした米国の多国籍企業は(ブッシュがエリートと呼ぶ人たちだ)税金をほとんど払っていない

ブッシュ父の悪行については「ブッシュ犯罪家族・総覧(1)」を参照。これは妄想でも陰謀論でもなく、全て事実である。ホワイトハウスから追い出すだけでは、ブッシュ家が引き起こす世界の危機を防止することはできない

2004/08/10

「I Love You, Madame Librarian」byカート・ヴォネガット

現代アメリカ文学の代表的作家カート・ヴォネガットの最新コラムを以下に全文翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)

同氏の作品の中で、個人的には「スローターハウス5(カート・ヴォネガット・ジュニア名義)がいちばん好きだ。それはともかく、憧れだった作家の言葉をリアルタイムに知ることができるのは嬉しい。残念ながら当のヴォネガット氏は、このところ大変不機嫌なご様子だ。その理由は・・・



「愛しの図書館員さん」
I Love You, Madame Librarian


In These Times誌2004/08/06付けコラム

by カート・ヴォネガット

皆さんの大半がそうしたように、私もマイケル・ムーアの「華氏911」をすでに観ている。作品タイトルはレイ・ブラッドベリの偉大なるSF小説「華氏451」のパロディである。ついでながら、この華氏451という温度は、書籍を作る紙の発火点のことだ。ブラッドベリの小説中のヒーローは、本を焼くのが仕事という公務員である。

本を焼くといえば、図書館員の方々に祝辞を言いたい。肉体的にはそれほど剛健でもなく、政府とのコネもなく、金持ちでもない彼等は、民主主義に反する横暴な連中が、書棚からある種の書籍を取り除こうとするのを断固として阻止し、その書籍を借りた顧客の個人情報を思想警察に受け渡すことを拒否している

私の愛するアメリカは未だ存在しているが、それはホワイトハウスや最高裁や上院や下院、メディアの中にはもはや見当たらない。私の愛するアメリカは、公立図書館の受付デスクに存在しているのだ。

書籍についてもう少し。私たちの毎日の情報源である新聞、テレビなどは昨今あまりにも臆病で、アメリカ人を代表するにしてはあまりにも気が緩んでいて、情報価値もほとんどないので、実際に何が起きているかを知るには書籍に頼るしかない。実例を示そう:クレイグ・アンガーの著作「House of Bush, House of Saud」は、屈辱的な、恥ずべき血塗られた年となる今年度の初頭に出版されている。

まだお気づきでない方のために言っておくと、フロリダの恥ずべき不正な選挙により何千ものアフリカ系アメリカ人の公民権が恣意的に剥奪された結果として、私たちは自らを、高慢で、にやついて顎を突き出した、無慈悲な戦争偏愛者として、ゾッとする兵器と反論を許さぬ姿勢でもって世界中に自己紹介しているのである。

まだお気づきでない方のために言っておくと、私たちはかつてのナチと同じくらい、世界中から恐れられ嫌われるようになっているのだ。

それには充分な理由がある。

まだお気づきでない方のために言っておくと、選挙で選ばれていないわが国の指導者は、ただ単に宗教と人種を理由にして、何百万もの人類から人間性を奪ってしまった。私たちは思いのままに彼等を傷つけ、殺し、拷問し、収監した。

そんなの朝飯前さ。

まだお気づきでない方のために言っておくと、私たちは宗教や人種という理由ではなく、下層階級の出身というだけで、自らの兵士達から人間性を奪ってしまった。

どこにでも兵隊を送り出せ。何でもやらせればいい。

朝飯前さ。

オライリー・ファクターだ。

そんなわけで、私は故郷を持たぬ男になった。ただし図書館員と、あなたが今読んでいるシカゴを拠点とした雑誌「In These Times」は例外だが。

イラク侵攻の前、偉大なるニューヨークタイムズ紙は、大量破壊兵器の存在を保障していた。

アルバート・アインシュタインとマーク・トウェーンは人生の終わりに人類に絶望したが、トウェーンは第一次世界大戦を見ないで済んだ。今や戦争はテレビ娯楽の典型例になった。第一次世界大戦が特に娯楽向きだとしたら、アメリカの二つの発明品、有刺鉄線とマシンガンのおかげだ。 手榴弾はそれを発明したイギリス人(シュラプネル)にちなんで名づけられた。あなたも何かの名前になりたいでしょう?

比類なき先達であるアインシュタインとトウェーンのように、私もまた人類には絶望しはじめている。そして、お気づきの方もあるかもしれないが、私が冷酷な戦争機械に降参したのは、これが初めてではない。

私の臨終の言葉?「人生とは動物一匹、ネズミ一匹にすら役にたたないものである。」

ナパーム弾はハーバード出身だ。Veritas!(ラテン語:本当だ!)

我等が大統領がクリスチャンだって?アドルフ・ヒットラーだってそうさ。

気違いじみた人々が、つまり良心なき連中が、情けや恥の意味もわからず、政府や企業から金を持ち出して、自分たちのものにしてしまうという時に、若い世代の人々に何というべきだろうか?

2004/08/04

「華氏911」出演で窮地に立たされる兵士

USAトゥデイ2004/07/28付け記事より。以下に記事内容を要約する。



「華氏911」でマイケル・ムーアのインタビューに答えた兵士が、所属するアメリカ海兵隊から命令違反容疑で告発される窮地に陥っている。

「華氏911」の作品中、開戦から2ヶ月間のイラク駐留軍勤務から一時帰国した海兵隊員、アブダル・ヘンダーソン伍長に対して、ムーア監督はイラクの戦場に戻るつもりかどうかを尋ねる。ヘンダーソン伍長は、その質問にノーと答えるのだ。海兵隊の広報官によれば、それは軍規に反する行為であり、インタビューでの言葉どおりイラク勤務に戻らない場合、ヘンダーソン伍長は「脱走兵」と見なされるという。

ヘンダーソン伍長とマイケル・ムーア

ヘンダーソン伍長とマイケル・ムーア、「華氏911」より

「(ムーアの質問に)驚きでした。そんな質問をされるなんて思ってもみなかった。」ヘンダーソン伍長は話す。
「でも私の答えは心の底から出たものです」

ヘンダーソン伍長の所属する部隊は、秋には再びイラク勤務の予定があるという。

「私は葛藤しています。兵士として、召集には応じなければいけません。そういう約束ですから。しかし私は自分の信じるとおりに行動するつもりです」

脱走兵と認定されれば、彼は軍の刑務所に最大1年間収監される可能性がある。

「ひとたび戦争になれば、この国では誰もが協力しなければなりません」カリフォルニア州立大学で商業を専攻するヘンダーソン伍長は話す。「1人の兵士として、私もそういう理由で入隊したのです」

しかしイラク侵攻はヘンダーソンにとって意味のないことだった。29歳のヘンダーソン伍長は、イラクに戻るよりもアフガニスタンに配属されるほうを選ぶという。そのほうがテロとの闘いに適っているから、と彼は信じている。「イラク?どこに差し迫った脅威がある?」

自身を熱心なクリスチャンと評するヘンダーソン伍長は、世間から注目されないことを望んでおり、ハワード大学博士課程に通う妻にはもうすぐ子供が生まれるという。



多くのアメリカ国民は、ヘンダーセン伍長のことよりも、軍から給与を騙し取っていた脱走兵の処分を待っている。ジョージ・W・ブッシュと名乗るその脱走兵は、政治家の父親のコネを使ってベトナム行きを逃れたことでも有名だ。そのような事実にも関わらず、軍から訴追され収監されるどころか、その人物はホワイトハウスを占拠している。
where was Bush?

ブッシュ脱走兵告発ポスター:「ブッシュは何処に居た?」(source

2004/07/20

全米有権者の11%が「華氏911」を観ている

MoveOn PACのプレスリリースより。

Greenberg Quinlan Rosner Researchの最新調査によると、7月13日までの時点で、全米の有権者のうち11%が、マイケル・ムーアの「華氏911」を観ていると推定されている。さらに、「これから観る」と回答した有権者が33%居て、最終的には全米有権者の44%程度が、「華氏911」を観ると推定されている

また、「華氏911」をすでに観ているか、もしくはこれから観ると回答している有権者の内、約1/3が自身をブッシュ支持者と申告しているという。

ボックスオフィスの報告によれば、「華氏911」は現在2,011館で上映されていて、売り上げ額は米国内だけで100億円(海外分は含まず)を超えている

一方で、ディズニーがマイケル・ムーアに対抗するためにリリースしたと噂されるドキュメンタリー作品「America's Heart and Soul」 の初日から7月15日までの全米売り上げ合計額は307,468ドル(約3,328万8,085円という有様で、上映館は全米で僅か98館だ。

反ムーア団体「Move America Forward」に率いられた「愛国的アメリカ人」たちがディズニー映画に列を作るという筋書きはどうなったんだろう?

2004/07/08

ムーア効果?反ブッシュに動く米国エンターテイメント業界

ブッシュ選挙チームは明らかに「マイケル・ムーア効果」を軽く見積もっていたのだろう。テレビ、ラジオ、新聞の三大政治メディアをコントロールすることに集中しすぎて、映画界を疎かにしていたのだ。

ムーア人気に慌てたテキサスのブッシュ支援団体は、活気づくマイケル・ムーアに対抗するべく「保守派向けカンヌ映画祭」を自負するというイベント「The American Film Renaissance」を開催するという。公式サイトの説明によれば「米国支持を称賛するために捧げられる映画(movies dedicated to celebrating pro-American values)」を集めるイベントらしいが、そんなヒネリのないテーマで創造性が刺激される映像作家が果たしているのだろうか?

「華氏911」以外にもブッシュ陣営を悩ませる映画はある。例えば、地球温暖化による災害を描いた「デイ・アフター・トゥモロウ」のヒットにより、ブッシュ政権の環境非保護政策が世間の注目を集めている。環境関連の訴訟にも詳しいエドワーズが加わったことにより、環境保護団体の票がケリー陣営に集中する可能性は大きい

他にも、ビル・クリントンへの個人攻撃における共和党の謀略を暴露したドキュメンタリー作品「ハンティング・オブ・ザ・プレジデント/The Hunting of the President: The Ten-Year Campaign to Destroy Bill Clinton」が公開され、じわりじわりと人気を集め始めているという。クリントン本人の自伝刊行も重なって、再びモニカ・ルインスキー/ポーラ・ジョーンズ事件が脚光を浴びるかもしれない。そうなれば、ビン・ラディン調査よりも多くの税金をつぎ込んだといわれるスター検察官のクリントン大統領のスキャンダル調査がより一層問題視されることになるだろう。

ところで、ブッシュ陣営の支持母体のひとつ、キリスト教原理主義系団体「Focus on the Family」が、信者向けメーリングリストでマイケル・ムーアの自宅住所と連絡先を公開して嫌がらせを開始している。これにより、ムーア本人と家族への殺人脅迫が続いているようだ。大勢のガードマンに24時間身辺警護されているとはいえ、ムーア監督は標的としてはかなり大きいので警戒が必要だろう。(ところで、ムーアの活動こそ「テロとの闘い」と呼ばれるべきである。日本政府はただちに警察庁警備局の要員をミシガン州フリントに派遣していただきたい。費用は北海道警他各警察本部のヘソクリから出してもらおう)

2億丁以上の銃が一般人の手に握られている国では、もちろん大統領も安心してはいられない。米文学界の異色作家ニコルソン・ベイカー氏8月24日に刊行する最新作「チェックポイント」は、登場人物が「ブッシュ暗殺」について語る物語だ。なるほど、司法長官が図書館・書店の顧客データを欲しがるわけである。

音楽界では、6月11日に開催された「全国ヒップホップ政策会議」を端緒に、これまで選挙に行かなかった若いアフリカ系アメリカ人層が、ラッパー達の民主主義ムーブメントに影響を受けてはじめている。(日本のラッパーはどうした?)彼等が選挙に参加すれば、ブッシュ陣営にとっては脅威のひとつになるだろう。(但し、票が正しくカウントされると仮定しての話である)

さて、米音楽界で最も注目されている話題といえば、9月1日に行われる民主党系コンサート「Concert for Change」だろう。同コンサートには、ひょっとしたら、米ロック界の“ボスブルース・スプリングスティーンが参加し、本格的に反ブッシュの狼煙を揚げるかもしれない。(「Concert for Change」は共和党大会への対抗イベントとして開催され、参加予定アーティストにはボブ・ディランカルロス・サンタナの名もある)

スプリングスティーンは、ベトナム戦争と米国社会への強烈な皮肉を込めたヒット曲「Born in the USA」が、共和党・民主党両陣営から愛国ソングと勘違いされてから、同曲を選挙活動に使用することを禁止し、政治利用されることを警戒しつづけてきた。しかし911テロ直後には、多くのアメリカ市民同様、ブッシュ大統領を熱烈に支持している。真実を知らされていない普通のアメリカ人にとって、それはよく見られる過ちだった。

しかし、ディクシー・チックスの反ブッシュ発言に対して湧き上がったバッシング騒動を目の当たりにして、スプリングスティーンは、再び米国社会に対する深い疑念を持ち始めていた全米巨大ラジオネットワーク・クリアチャンネルからの恫喝に怯えるテキサスの女性グループを擁護すべく、彼は以下のように話している

俺たちはイラクで自由を根付かせるために戦っているはずなのに、同じ自由を故郷で主張する人々に対して、恫喝したり罰したりする連中がいる・・・
(Right now, we are supposedly fighting to create freedom in Iraq, at the same time that some are trying to intimidate and punish people for using that same freedom here at home)」

そして今、スプリングスティーンの公式サイトには、アル・ゴアの強烈な反ブッシュスピーチが掲載され、ブルース自身の推薦文が添えられている。多くのアメリカ市民と同じように、ボスもまた立ち上がり始めたのだ。

2004/06/25

フランス生まれの反ブッシュドキュメンタリー「Le Monde Selon Bush」

イスラム・オンライン2004/06/24付け記事より。

どうやらジョージ・W・ブッシュは(その愚かさ加減から)映画の素材として引っ張りダコらしい。

マイケル・ムーアの「華氏911」の成功が世界中で大きな話題となっているが、フランスでは、チュニジア生まれのスイス国籍というウィリアム・カレル(?)という監督の「Le Monde Selon Bush」(英語タイトルはTHE WORLD ACCORDING TO BUSH/ブッシュの世界)というドキュメンタリー映画が6月中旬から公開され、大きな話題となっているという。(同作品の公式サイトで予告編を観ることができる)

「Le Monde Selon Bush」は、主にブッシュ家の系譜とナチスとの関係から、ビン・ラディン、フセインの関係、ネオコン、キリスト教原理主義者たちとイスラエルの関係に焦点をあてた内容とされているが、予告編を観るかぎりでは、マイケル・ムーアの作品に負けないくらい、ブッシュの悪辣さと間抜けさをストレートに批判しているようである。例えば、インタビューのシーンでは、作家のノーマン・メイラーがブッシュをこんな風に評している:

「(ブッシュは)アメリカの歴史上、最悪の大統領だ。無知で、傲慢で・・・」

これから日本でも巻き起こる「華氏911」ブームに便乗して、この作品も早めに国内で配給されることを期待したいが・・・

2004/06/23

「華氏911」賛成派と反対派のトップが公開対決?

アル・フランケンのトークラジオ番組「O’Franken Factor」6月24日(木)生放送内で、反ブッシュサイトの大御所「MoveOn.org」主宰者エリ・パリサー氏と、「華氏911」上映妨害活動サイト「Move America Forward」主宰者ハワード・カルージアン氏が公開ディベートを開催する予定であることが番組公式サイトでアナウンスされている。

資金難にもかかわらず(反ブッシュ局に広告を出す企業は少ない)、インターネット放送によってリスナーが急増しているというリベラル系ラジオ局AirAmericaRadioの看板番組「O’Franken Factor」。アル・フランケンは、局の存続を賭けて今のところノーギャラでホストを務めている。電話出演のゲストも毎回すごくて、例えば今夜(6/23)はビル・クリントン元大統領が本の宣伝を兼ねてしゃべりまくる予定だ。昨日は元CIAのロバート・ベア氏だった。放送はインターネットライブで聴くことができるので、ご興味のある方はどうぞ。(要リアルプレイヤー)

2004/06/24追記:「華氏911」日本版公式サイトが登場。

2004/06/17

保守系タレント、オライリー吼える:マイケル・ムーアはナチ宣伝相ゲッペルスで、彼を支持するハリウッド有名人はナチス支持者・・・

Media Matters for America2004/06/14記事より。

保守系タレントとして米国で絶大な人気を誇るビル・オライリーが、「華氏911」プレミア上映に合わせて、例によってムチャクチャな発言をしている。オライリーにかかれば、マイケル・ムーアもアル・フランケンも、皆ナチスにされてしまうのだ。(ユダヤ人のアル・フランケンは自分の番組でこの発言をとりあげ笑い飛ばしていたが・・・)以下にその発言を引用しておこう。

「ヨゼフ・ゲッペルスはナチスドイツの宣伝大臣だったが、こんな有名な言葉を残している。“嘘でも充分に繰り返し続ければ、真実になる”いいかな?“嘘でも充分に繰り返し続ければ、真実になる”。これはまさしく、スチュアート・スマイリー(アル・フランケンがサタデーナイトライブで演じたキャラクター)やマイケル・ムーアとか、その取り巻き連中のことを表してるんだよ。連中は今も忙しく動き回ってる」

「ところで昨夜の(華氏911)プレミア上映会には、誰が行ったのかな?準備は良いかね諸君?さあ、これからプレミアにやって来た有名人たちを紹介するぞ。ヨゼフ・ゲッペルスが、ポーランドが第三帝国に侵攻したと大衆を説得するのを観に来たような連中だ。同じようなもんだよ。プロパガンダはプロパガンダだ、そうだろ?・・・ビリー・クリスタル、マーチン・シーン、レオナルド・ディカプリオ、エレン・デジュネレス、デビッド・ドカブニー、シャロン・ストーン、メグ・ライアン、アシュトン・カッチャー、デミ・ムーア、ノーマン・レア、ロブ・ライナー、ジョディ・フォスター、クリス・ロック、ラリー・デビッド、ジャック・ブラック、マシュー・ペリー、ダイアン・レイン

---ビル・オライリー、自らの番組The Radio Factor with Bill O'Reilly2004/06/10での発言---

ブッシュ政権を強力に支持し、「大量破壊兵器は絶対にある」とがんばって、結局テレビで謝罪に追い込まれたオライリー氏。今度はハリウッドで謝罪することになるだろう。

レオナルド・ディカプリオ、スパイク・リー、「華氏911」を熱く語る

ニューヨークデイリーニュースの記事より。

マイケル・ムーアの「華氏911」プレミア上映会に参加したハリウッドの人々の中で、とりわけ同作品に入れあげているスターがいる。レオナルド・ディカプリオだ。自らの公式サイトを環境保護活動と選挙啓蒙に塗り替えているディカプリオは、先週末のロスアンゼルスでのプレミア上映会にも、今週のニューヨークでのプレミアにも参加して、マイケル・ムーアを追っかけているという。本人の言葉を以下に引用してみよう。

「(次回大統領選挙で)誰に投票するかで静観している人たちは大勢居ると思うけど、この作品(華氏911)を観た後なら、決心できるんじゃないかな。若い人たちは前回選挙に参加しなかったけど、問題だね。次回の選挙はそれが最大の課題になるだろうな。若い人はできるだけ大勢の仲間を誘って、投票に連れて行って自分の支持する候補者にきちんと投票するといいよ」

ディカプリオはインタビューでジョン・ケリーに投票すると堂々宣言している。

同じくプレミアに参加したスパイク・リーは、全米映画協会(MPAA)が「華氏911」をR指定(17歳以下は成人の同伴が必要)したことについて、以下のように語っている。

「年齢制限なんてずるいよ。とにかく子供もこの作品を観るべきだ。ジョン・タットゥーロなんか、今夜は息子を連れてきたぞ。規制したがる連中はバイオレンスシーンにこだわっているけど、子供たちはもっとすごいバイオレンスをビデオで観てるんだから・・・もっとも、この作品は架空の話じゃない。銃を撃ったら、弾丸がどんなことになるか、子供でも観ておくべきだよ」

2004/06/15

マイケル・ムーア「華氏911」全米上映を妨害する大規模キャンペーンと、その背後にあるもの

Alternative Press Review2004/06/13付記事より。

マイケル・ムーアの「華氏911」の全米公開を妨害する大規模な運動がアメリカ国内で開始されている。保守系団体サイト「Move America Forward」がアメリカ国民に呼びかける「STOP MICHAEL MOORE」キャンペーンサイトを見れば、上映妨害活動の概要が理解できる。

この運動の中心は、「華氏911」を上映する予定の映画館に直接抗議をすることにあるらしく、ご親切にも全米の上映映画館の連絡先をリストアップしている。皆さんのご想像されるとおり、リストに掲載されている映画館のオーナーの何人かは、すでに「死刑宣告」の電話メッセージを受信しているという。

この「華氏911上映妨害キャンペーン」に協賛しているのが、フロリダ州を拠点とする保守系ニュースサイトNewsMax.com」というのも面白い。このようにニュースメディア企業が堂々と言論封鎖活動を宣言するあたり、いかにも現代アメリカらしい出来事である。(ちなみに、NewsMax社自身の調査によれば、同ニュースサイト読者の86%が「アメリカがサポートすべき国」としてイスラエルを挙げている。これまた興味深い調査結果だ)

ところでこの「Move America Forward」というサイトを支援している別の企業がある。上映妨害キャンペーンにいち早く気づいた「WhatReallyHappened.com」サイト管理者が、さっそくドメイン所有者をDNS登録から調べてみると、カリフォルニア州サクラメントのPR企業、ルッソ・マーシュ&ロジャース社(Russo Marsh & Rogers)であることが判明した。

ルッソ・マーシュ&ロジャース社は共和党をクライアントにしているPR企業で、同社の代表であるサル・ルッソ氏カリフォルニア州知事グレイ・デイビスのリコール活動にアドバイザーとして参加していた。「Move America Forward」サイト上にも名を出しているルッソ氏は、なぜか(ドメイン申請をした)自身のPR企業については伏せている。(この情報が流通した直後に、Move America Forwardのドメイン情報はハワード・カルージアンという個人名義/サイト主宰者に変更された。この人物もカリフォルニア州知事リコール活動に従事していた人物で、共和党から議員に立候補している。その後さらにDNS登録内容は変更され、現在はドメイン所有者を参照できなくなっているようだ。)

ひとくちメモ:

カリフォルニア州知事リコール運動の背後にいたのが、エネルギー企業エンロン社。(他のエネルギー企業も含めて)エンロン社は、デービス知事&ブスタマンテ副知事のカリフォルニア州から、電気供給量と価格操作の件カリフォルニア電力危機事件の原因)で不正に得た収益90億ドルを返還するよう訴えられていた

この訴訟に対抗するために、エンロン元CEOのケネス・レイが誘い出したのが、アーノルド・シュワルツネガーである。このステロイド漬けヒーローは、州知事に就任して三日後に、カリフォルニア州のエンロン社に対する訴訟の進行を事実上停止させた。

果たしてアメリカ国民は、無事に911テロの真相に近づくことができるだろうか?それとも、「アメリカを前進させよう/Move America Forward(「前だけ向いてろ!とも読める」)」という不気味なメッセージに、またしても惑わされてしまうだろうか?

2004/06/13

マイケル・ムーア、次回作のターゲットは英ブレア首相?

華氏911ポスター1

アルジャジーラ2004/06/12付記事より。

マイケル・ムーアは、最新作「華氏911」の主役(?)にブッシュを選択したが、英ブレア首相についてもおおいに関心があるという。記事中からムーア本人の発言を以下に引用してみよう。

「個人的には、ブッシュよりもブレアのほうが、イラク戦争に関してより責任を負っていると思うね。その理由は、ブレアのほうがより事情に通じていたはずだからだ。ブレアは馬鹿じゃないからね。(ブッシュと)仲良くしたところで、一体ブレアに何の得があるんだろう?(中略)ブレアに関する別の作品を作る必要があると思っているんだ。ブレアとイギリスに対しても何かしてやらなくちゃな
華氏911ポスター2

ところで、作品の公開に先立って、マイケル・ムーアのオフィスでは、ビル・クリントンとアル・ゴアの政策アドバイザーだったクリス・レーン(Chris Lehane )とマーク・ファビアニ(Mark Fabiani)を雇い入れて、ブッシュ支持層とホワイトハウス周辺(及び“ブッシュの頭脳"カール・ローブ)からのメディアを使った攻撃に対抗する「メディア対策本部」を立ち上げたということである。(まるで選挙キャンペーンだ!)

全米公開に先だって行われた米映画芸術科学アカデミーでの試写会でも、「華氏911」は600人のアカデミー会員からスタンディングオベーションと共に絶賛されたという。一年前のアカデミー授賞式でのブーイングも記憶に新しいが、今年はどんな騒動となるか楽しみである。

(2004/06/14追記:ムーア公式サイトの本人メッセージに「脅かしてごめんよ、トニー。」というタイトルで、次回作についてのコメントがジョークであることが告白されている。)

2004/06/10

「大脱走」by クレイグ・アンガー

ニューヨークタイムズ2004/06/01付けコラムより。(CommonDreams転載

イギリスで発禁処分となった問題作「House of Bush, House of Saud: The Secret Relationship Between the World's Two Most Powerful Dynasties」の著者、クレイグ・アンガー氏の記事を以下に全文翻訳掲載。同氏はマイケル・ムーアの「華氏911」にも情報提供している注目のジャーナリスト。しかし扱っている内容が危険すぎる・・・



「大脱走(The Great Escape)」


by クレイグ・アンガー


911テロ独立調査委員会が、あのテロ攻撃についての全ての疑問の答えを提示すると考えているアメリカ人たちは、---特に、テロ直後の、サウジアラビア人たちの極秘渡航に興味のある方々は---痛ましくも失望しかけているのではないだろうか?

19人のハイジャック犯のうち、15人がサウジアラビア人であることはご存知と思う。サウジアラビア人であるオサマ・ビン・ラディンが、911テロの背後にいることも承知している。しかし、我々は、出国したサウジアラビア人たち---24人のビン・ラディン近親者を含む---に対して、捜査をしなかったのである。もちろん、彼等がテロに共謀していたなどと言っているわけではないが。

残念ながら、我々が真実を知ることはないのかもしれない。調査委員会はすでに、「サウジアラビア国籍の特別チャーター機が航空機の航行再開前に米国を飛び立ったという信頼に足る証拠は存在しない」と結論づけている。しかし実際には、サウジアラビア人たちの航空機が脱出を始めたとき、アメリカ領空域の航行はまだ大部分禁止されていたのだ。

また、新たな証拠が示すところによれば、142人以上のサウジアラビア人が6機のチャーター機に分乗して米国を脱出しているが、これについて委員会は調査中である。さらに、新たに発表された記録によれば、160人のサウジアラビア人が55便の航空機で911テロ直後に米国を脱出している---つまり、合計で300人ほどが、明らかにブッシュ政権の承認の下、出国しているわけで、当初報告された人数をはるかに上回っているのである。その記録は国土安全保障省によってリリースされたが、情報公開法を盾に当該記録の公開を請求したのはワシントンの超党派監視団体、Judicial Watchであった。

新たに発覚した航空機の圧倒的多数はチャーター機ではなく商用旅客機であり、たった2、3人のサウジアラビア人を搭乗させただけの便もいくつかあった。飛び立った場所はシカゴ、ダラス、デンバー、デトロイト、ヒューストンなど、20以上の地区に及んでいる。或るサウジアラビア航空機は46人のサウジアラビア人を搭乗させて、9月13日にケネディー空港を飛び立った。次の日には、別の便が13人のサウジアラビア人を乗せて飛び立っている。

委員会は、FBIがサウジ航空機の搭乗客をテロ監視リストに沿って照合したことを示す証拠をまだ何も見つけていないと主張している。新たに発覚したサウジ航空機の件は、調査委員会にさらなる課題を残すことになった。元テロ対策責任者のリチャード・クラークがザ・ヒル紙に最近語ったところによれば、脱出した航空機のいくつかは、彼の責任において承認されたことになっているという。しかし、その決定にブッシュ政権が関わっていたかどうかは、今のところ定かではない。

乗客たちは、オサマ・ビン・ラディンと何らかの関係があるかどうか、あるいは資金提供しているかについて尋問されるべきであった。サウジ王家がイスラムテロリスト組織に資金提供していた事実は、随分以前からわかっていたのだから、迂闊だったといわねばならない。アルカイダとサウド王家の仲介人として批判されていたアハムド・ビン・サルマン王子は、ケンタッキーから離陸した航空機のひとつに搭乗していた。脱出前に、彼はFBIの尋問を受けただろうか?

もし委員会が思い切ってこの問題をとりあげることになれば、アメリカの歴史上もっとも重要な国家安全調査として、政策上非難されることは間違いない。大統領選挙の年となれば、なおさらである。

しかし調査しなければ、事態をはるかに悪化させる危険性があるだろう。何百万人もの真実を求める人々のことは言うまでもなく、あの日命を失った何千もの人々を裏切ることになるからだ。


(補足情報)政府当局者は911テロ直後のサウジ関係者の脱出疑惑を3年間に渡り否定しているが、例えばテロ発生から2日後に、(ジェブ・ブッシュが知事を務める)フロリダ州タンパのタンパ国際空港から、元FBI捜査官と元タンパ警察官に付き添われて、3人のサウジアラビア人---1人は王室関係者---が離陸した事実が、タンパ国際空港の記録によって正式に確認されている。(St. Petersburg Times2004/06/09付記事より)

2004/06/02

「華氏911」:ブッシュ父の頭が沸騰する温度

New York Daily Newsの記事より。

ジョージ・H・W・ブッシュ第41代大統領が、第43代大統領を批判する映画に怒りまくりというニュース。マイケル・ムーアの「華氏911」の前評判がいいことにご立腹のようで、こんなことを言っている:

「ムーアを本当に軽蔑するよ

「私たちの息子に対する卑劣な攻撃だ」

「自由な国だから、何を言うのも自由だが、歓迎されるものではないね。気に入らないな」


作品中では、イラク戦争開始直前のバーバラ・ブッシュ(ブッシュ現大統領の母)の発言も引用されているとのこと。これに対してもブッシュ父は激怒している。
「(妻の)バーバラを引き合いに出すなんて、奴は常軌を逸している。彼女はキチンとした、素晴らしい人物だ。あの低俗な男(slimeball)が話すことに対して答えるのはもうたくさんだ」

これを聞いたマイケル・ムーアはこんなことを言っている:

「ブッシュ家からの作品に対する批評は全て歓迎するよ。どうやら観る前から気に入ってくれてるみたいだから、実際に作品を観た後の連中の評価が楽しみだな。もしも、ホワイトハウスで上映できるようなことになったら尚嬉しいね。(中略)バンダル・ブッシュも呼んでほしいもんだ」

ちなみに、ムーアが引用しているというバーバラ・ブッシュの(結構有名な)発言とはこれである:

「なぜ死体袋とか死人とか、何人とか、いつ始まるのかとか、聞かれなきゃならないの?そんなの・・・関係ないでしょ。なぜそんなことで私の美しい心をすり減らさなきゃならないの?(息子が)苦しんでるのを見たり---」
"But why should we hear about body bags, and deaths, and how many, what day it's gonna happen, and how many this or what do you suppose? Or, I mean, it's, it's not relevant. So why should I waste my beautiful mind on something like that? And watch him suffer"

---バーバラ・ブッシュ、イラク戦争直前の2003年3月18日、ABC放送「Good Morning America」の番組中インタビューで、イラク戦争について聞かれた際の発言

いかにも、現大統領の母らしい発言ではないか。そういえば、この元ファーストレディはラリーキングライブでも不気味な発言をしている

美しい心?息子が苦しんでる?あのブッシュが?苦しんでるとしたら「アブグレイブ刑務所」の発音だけだろう

(注:「華氏911」の全米公開日6月25日(金)に決定したらしい。)

2004/05/23

マイケル・ムーア「華氏911」の見どころは・・・

英ミラー紙2004/05/20の記事より。

カンヌ映画祭でパルムドール賞を獲得してしまったマイケル・ムーアの最新作「華氏911(Fahrenheit 911)」の見どころを、一般公開に先駆けて早速英ミラー紙が紹介している。「ブッシュがムーア作品を禁止したい10の理由」と紹介されている、同作品が提示するポイントを以下に引用してみよう。

  1. 911同時多発テロの直後、なぜオサマ・ビン・ラディンの近親者24人が搭乗した航空機は唯一飛ぶことを許され、米国を脱出できたのか?

    攻撃直後、米国は国内での航空機の飛行を全面禁止にした。ムーアは問いかける:「なぜブッシュは、FBIの調査もさせずに、テロ発生直後にサウジアラビアの個人ジェットが米国内を飛び回ってビン・ラディン近親者を搭乗させ、米国を脱出させることを許可したのか?24人の近親者のうち、1人ぐらいは事件について何か知っていることもあるだろうに」


  2. メディアはイラク人囚人虐待事件とアメリカ兵の幻滅を隠蔽したのか?

    作品中では、イラク人囚人に袋をかぶせて、虐待を加えるシーンから、酔っ払った兵士が交代で性的虐待を行うシーンも登場する。ムーアは言う:「これはアブグレイブ刑務所の壁の外で起こったことだ。メディアは毎日そこに待機していた。彼等がこうした事実を目にすることはなかったのか?作品中では、戦場の米兵士が、目の前で起きていることに関して幻滅と失望を感じていることを話しているが、アメリカ国民はそうした(幻滅する兵士達のことを)全く知らされていない


  3. ブッシュは意図的に恐怖の文化を作り出し、アメリカの貧困層の若者を戦争に駆り出しているのか?

    ムーアは、ブッシュ政権が意図的に恐怖の風土を作りだし、特に国土安全省の創設によって恐怖を扇動し、軍部へ入隊する若者を増やしていることを、「嘘に基づいて子供達を戦場に送り出す不道徳な行為」と批判している。


  4. ブッシュファミリーとビン・ラディン・ファミリーはどこまで深く関係しているのか?

    ムーアはビン・ラディン家とブッシュ家の25年に及ぶビジネス関係について暴露している。ブッシュ父は高給取りのコンサルタントとして、国内最大の軍事企業のひとつであるカーライルグループに雇われていた。カーライルグループの出資者の1人(少なくとも200万ドルを出している)のは、ビン・ラディン家である。

  5. ブッシュの軍歴を改ざんするホワイトハウスはどこまで腹黒くなるのか?

    テキサス航空隊に在籍していた事実を証明することを困難にしてしまっただけでなく、ホワイトハウスはブッシュとその仲間がサウジアラビアの石油企業と関係していた事実まで隠蔽している。またムーアによれば、ブッシュの軍隊仲間のジェームズ・R・ベイスはビン・ラディン・ファミリーに航空機を販売していたという。

  6. タリバンとの話し合いの最中、ブッシュはビン・ラディン逮捕の機会を逃したのか?

    ムーアによれば、ブッシュはテキサス州知事時代に、タリバンの指導者と親しくなっていたという。彼等はテキサスで会見し、トルクメニスタンからタリバン支配下のアフガニスタンを経由してパキスタンへ到達する天然ガスパイプライン建造について議論していた。ブッシュ政権の代理人は2001年夏にタリバンと会見している。ムーアによれば、彼等はビン・ラディン問題を無視し、石油問題に夢中だったとのこと。「ブッシュはビン・ラディン引渡しを要求したのだろうか?武力でタリバンを脅しただろうか?あるいは新しいパイプラインについて話し合っていたのか?」


  7. なぜブッシュ家はサウジ王家と特別な関係を持っているのか?

    米国では毎日150万バレル以上の石油をサウジアラビアに依存しているが、サウジ王家の気まぐれですぐ消滅してしまうことも考えられる。ブッシュだけでなく、アメリカ人全てが、いかにサウジ政府に依存しているか知っておくべきだ。これは国土防衛上も由々しき事態なんだ」さらにムーアはブッシュとの深い関係からバンダル・ブッシュというニックネームを持ち、サウジ外交を務めるバンダル王子についても言及。911テロの残虐行為とサウジ過激派との関係を示す証拠が続々と明らかになっているにも関わらず、ブッシュはバンダル王子とテロの二日後にディナーを楽しんでいる。


  8. ブッシュは休暇が多すぎてテロに集中できなかった?

    ブッシュは大統領就任から911同時多発テロまでの8ヶ月間の内、42%の時間を休暇として過ごしているので、防衛戦略に遅れをとることになったと、ムーアは批判する。911テロ調査委員会の公聴会で、CIA長官のジョージ・テネットは、2001年8月の時点で、ザカリアス・ムザウイ(911テロとの関係を告発された唯一のテロリスト)がアメリカン航空747機の操縦レッスンを受けていることを知っていたことを認めている。テネットがブッシュにその事実を伝えられなかったのは「大統領が休暇中だったから」と説明している。


  9. ブッシュは貿易センタービルが攻撃を受けていることを知らされたとき、パニックに陥った?

    9月11日の朝、ブッシュ大統領はフロリダで子供の読書イベントに出席していた際にカメラ前でポーズをとっていた。ムーアは、二つ目の旅客機がビルに突入した事実を告げられ、ブッシュが奇妙な表情をした場面を公開している。画面の下にはストップウォッチを表示して、ブッシュ大統領が絵本を読み続けて、補佐官がどうすべきかアドバイスするまで何をすべきか分からなかった様子が映し出されている。ムーアは言う:「ブッシュは、前の月にCIAから報告を受けていた事実についてもっと真剣に取り組むべきだったと考えていたのだろうか?その報告では、アルカイダが米国攻撃を計画中で、航空機を使う可能性があることが書かれていたんだ。それとも、ブッシュは怖くて気が動転していたのか?」


  10. ブッシュは大手メディアを操作して2000年大統領選挙での勝利をでっちあげたのか?

    ブッシュのいとこ、ジョン・エリスはフォックスニュースチャンネルの役員で、投票日の夜に早々とブッシュ/チェイニー勝利宣言を流し、他のメディアにも追随させるように脅した。この混乱により、アル・ゴアが得票数で勝っていたにも関わらず、ゴア敗北の論調を作り出した。

この作品が米国で公開されるようなことになれば、ブッシュ政権は文字どおりひっくり返ることになるだろう。しかし、ムーアがこれから気をつけなければならないのは、ブッシュチームによる公開禁止圧力よりも、サウジ王家による圧力である。ディズニーが配給を拒んだ本当の理由は、主要株主であるサウジ王家関係者による圧力を恐れたためという見方もあるのだ。しかも今後は、単なる「公開禁止の圧力」で済むのかどうかすら定かではない。

2004/05/09

ディズニーVSマイケル・ムーア騒動から派生した誤解と解説

ニューヨークタイムズが2004/05/05に伝えた「ディズニーによるブッシュ批判映画配給禁止」騒動は、一部のメディアにおいて事実誤認により思わぬ方向にミスリードされているようなので、ちょっと解説してみたい。(ムーア自身もミスリードを懸念して、5月7日付けメッセージで事実関係について説明している。日本語版公式サイトにも同メッセージが掲載中

今回の騒動をめぐるミスリードとは、要約すればおよそ次のようなものである。

マイケル・ムーアは、2004年5月4日にディズニーから配給禁止の要求を知ったと言ったが、ディズニーは配給禁止を1年前に決定しており、ムーア監督自らPR目的のために今回の騒動を起こしたことを認めた。つまり、カンヌ映画祭出品直前に配給禁止騒動をひきおこし、宣伝に利用するために、ムーア監督は事実関係を隠していた


このようなミスリードを含んでいる例として、国内においても、例えば以下のようなブログ記事がある。

この両ブログが、その論拠としてリンクしているのは、英インディペンデント紙に掲載されたアンドリュー・ギャンベル記者の記事で、引用の際に両ブログ上に記述されている記事タイトルは「Moore admits Disney 'ban' was a stunt(ムーアがディズニーの配給禁止騒動を演出(stunt)と認めた)」となっている。

しかしこの、リンク時に掲載された記事見出しを鵜呑みにしてはいけない。リンク先の記事の中にそんな事実は存在しないし、同記事の実際の見出しは「Moore accused of publicity stunt over Disney 'ban'(ディズニー検閲をめぐり宣伝行為と批判されたムーア監督) 」である。つまり、マイケル・ムーアが演出(stunt)を認めたなどとは全く書かれていない。「Moore admits Disney 'ban' was a stunt」という記事見出しは事実と違うだけでなく、元記事には実在していないのである

アンドリュー・ギャンベル記者は、(悪意がないと仮定すれば)どうやら誤解に基づいてこの記事を書いているようだ。記事を読む限り、ギャンベル氏は「ムーア監督は1年前から配給禁止の報告を受けていたのに、今週になって突然ディズニーが配給禁止を決定したかのように振舞った」と思い込んでいる。例えば、記事中の第4-5パラグラフ部分では、以下のように書かれている。(強調とリンクはDeepthroatによる)


In an indignant letter to his supporters, Moore said he had learnt only on Monday that Disney had put the kibosh on distributing the film, which has been financed by the semi-independent Disney subsidiary Miramax.

But in the CNN interview he said: "Almost a year ago, after we'd started making the film, the chairman of Disney, Michael Eisner, told my agent he was upset Miramax had made the film and he will not distribute it."

翻訳:
ファンに宛てた怒りあふれる手紙の中で、ムーアは月曜日(5/4)になってはじめて、ディズニーが子会社であるミラマックスによって支援された作品の配給を阻止することを知ったと言っている。

しかしCNNのインタビューでは、ムーアはこう言っている:「1年ぐらい前、映画を撮り始めてからすぐに、ディズニーのCEOであるマイケル・アイズナーが、私のエージェントに対して、作品を支援したミラマックスに怒り、配給するつもりがないことを話した」



ファンに宛てた怒りあふれる手紙というのは、ニューヨークタイムズで第一報が報じられた際の公式サイト上の5月5日付けメッセージのことである。

そして、このメッセージをよーく読んでみれば、ギャンベル記者の解釈が間違っていることがわかる。手紙の第二パラグラフのこの部分である。(強調はDeepthroatによる)


Yesterday I was told that Disney, the studio that owns Miramax, has officially decided to prohibit our producer, Miramax, from distributing my new film, "Fahrenheit 9/11."

つまりムーアは、「昨日ディズニーが“公式に”配給を禁止したことを知らされた」と書いているのであり、非公式には配給禁止をめぐるやりとりがあったことを否定していない。(さらに手紙を読み進めれば、一年前からトラブルがあったことが言及されている

だいいち、今回のディズニーの配給禁止を最初に伝えたニューヨークタイムズの記事の中で、ムーアが1年前にディズニーから配給しない旨を「非公式に」知らされていたことはすでに言及されているのだ。(ギャンベル氏はこの記事を読んでいないのだろうか?騒動の第一報なのに・・・)同記事の該当場所は第9パラグラフである。以下に引用する。(強調はDeepthroatによる)

Mr. Moore's agent, Ari Emanuel, said Michael D. Eisner, Disney's chief executive, asked him last spring to pull out of the deal with Miramax.

翻訳:
ムーア氏のエージェントであるアリ・マニュエル氏によれば、昨春、ディズニー社CEOのマイケル・アイスナーはマニュエル氏に、ミラマックス社との関係を取りやめるように依頼していたとのこと。

そして、ギャンベル氏自身、ムーアが宣伝のために工作をしたとは断言できないことを意識して、自分の記事中でそのように書いている。それは第7パラグラフから引用した次の文章である。(強調はDeepthroatによる)


But Moore's publicity stunt, if that is what is, appears to be working.
翻訳:
しかしムーア氏の演出は、まさしくそのとおりであったとしたら、うまく作用しているようである。

さらに、ギャンベル氏の記事で引用されていたCNNのインタビューにおいても、ムーアの説明は一貫しているので、CNNの記者もムーアが(配給禁止を)いつ知ったかについては追求されていない。同インタビューから該当部分を以下に引用する。(強調はDeeptroatによる)

ゴラーニ記者:
ディズニーとのやりとりはどういうものだったのですか?

ムーア:
1年ぐらい前、映画を撮り始めてからすぐに、ディズニーのCEOであるマイケル・アイズナーが、私のエージェントに対して、作品を支援したミラマックスに怒り、---ディズニーはミラマックスを所有しているね---そして、私の作品を配給するつもりがないことを話したんだ。

ミラマックスの話では、心配はいらない、映画を撮り続けろ、金は出すという話だった。ディズニーのお金は昨年ずっと私たちの元に振り込まれたんだ。先週作品を完成させたので、来週にはカンヌ映画祭に出品するつもりだ。

今週月曜日に、ディズニーから、作品を配給するつもりがないという最終通告があった。連中は私のエージェントに、ブッシュファミリーの機嫌を損ねたくないと説明した。特にフロリダ州知事のジェブ・ブッシュの機嫌をね---なぜなら、ディズニーは税制面で優遇されていたからだ。(以下略)

ムーアに配給禁止をいつ知ったかを聞くかわりに、CNN記者が質問したのは以下のとおりである。(いかにもCNNらしい質問である)(強調はDeepthroatによる)


ゴラーニ記者:
ディズニー側から見れば、マイケル・アイズナー氏が言うように、“選挙前に党派寄りの作品に巻き込まれたくない”というわけで、公平に見て、もし最終損益に影響する可能性があれば、配給したくないと表明する権利があるのでは

この質問に対するムーアの回答は以下のとおり。


ムーア:
メディア企業は国民の信頼の上に築かれている。その信頼は、全ての意見が耳を傾けられることを許されていることにある。私たちは自由で開かれた社会に生きているのだから、体制に反対する意見であっても口を封じられたり、沈黙させられたりされてはいけない。ディズニーはその信頼を傷つけているんです

まさしくこれこそ、ディズニー騒動で議論されるべきポイントである。つまり、メディア企業は企業収益と公益が葛藤した場合に、どちらを優先すべきか?

いうまでもなく、メディア業界であろうとなかろうと、公益性を軽視した企業活動は認められるべきではない。企業収益のために人命を軽視した自動車企業の腐敗を今まさに目の当たりにしている日本の人々には、すぐにご理解いただけると思う。

念のために言っておくと、私自身(Deepthroat)はマイケル・ムーアが今回の騒動を宣伝に利用するためにマスコミにネタをリークしたという見方を、完全に否定するつもりはない。ただムーア氏が、手の込んだ演出を意図して事実関係を捻じ曲げているわけではないことを強調したいのである。また、スキャンダルや騒動をプロモーションに利用することが常に不道徳な行為であるとも思えない。例えば、ポール・オニールやリチャード・クラークや、ボブ・ウッドワードの著作が世に知られなければ、政府によって隠蔽された重大な事実を、アメリカ国民は永遠に知らされなかったかもしれない。全ては問題の焦点と公益性次第であると思う。

実際、ディズニーとマイケル・ムーアのモメゴトが公開されることによって、(ムーアが自身の作品と同じくらい国民に知らせたかった)以下の事実がスポットを浴びる機会が生まれたのである。(情報源はアメリカンプログレスの記事Fairness & Accuracy In Reportingより)

  • フロリダ州知事ジェブ・ブッシュは自身が理事を務める州公務員年金基金を通して約730万ドル分のディズニー株を保有している。前回のディズニー株主総会において、フロリダ州年金基金の役員とジェブ・ブッシュは株主としてアイズナーCEOの続投に反対しており、アイズナーは自身の支配が揺らぐことを懸念している。
  • アイズナーはブッシュ家の選挙キャンペーンに個人献金している有力支持者のひとりである。
  • 「あらゆる政治的意向を持つファミリーの要求を満たす」というディズニーの主張に反して、同社のメディアネットワークは極端に保守系に傾倒している。ディズニー系トークラジオ局はラッシュ・リンボー、ショーン・ハニティ、ビル・オライリー、マット・ドラッジなど極右タレントがレギュラーを務めている。またディズニー所有のファミリーチャンネルは、パット・ロバートソンの聖書原理主義番組700クラブ」を放送している。

ところで、今回のミスリードの元となった「Moore admits Disney 'ban' was a stunt」という間違った見出しを、現在でも堂々と掲載している大手メディアのひとつにニュージーランド・ヘラルド紙がある。その親会社はAPN News & Media 社。オーストラリア、ニュージランドをテリトリーとする大手メディア企業で、同社のオーストラリアでのラジオ部門であるthe Australian Radio Network は、アメリカで地方ラジオ局を買収しまくり、(ブッシュ批判の件で)ディクシー・チックスをボイコットするキャンペーンを仕掛けた超保守系企業のクリアチャンネル関連企業である。

ニュージーランド・ヘラルド紙が仕事仲間のために読者をミスリードしているなどと言うつもりはないが、奇妙な偶然はあるものだ。

2004/05/05

ディズニーがマイケル・ムーア新作の配給を妨害

ニューヨークタイムズ2004/05/05付記事より。以下に記事の一部を翻訳し引用する。
(05/10追記:この話題について「ムーア氏が自作自演を認める」というウソが流通しているらしいので、追加記事を書きました


ウォルト・ディズニー社は、その子会社であるミラマックス社の映画配給部門に対して、辛辣なブッシュ批判を展開しているマイケル・ムーア監督の新作ドキュメンタリー「Fahrenheit 911」の配給を阻止するつもりであることを、ディズニー社とミラマックス社の重役が明らかにした。

「Fahrenheit 911(華氏911)」は、ブッシュ氏とサウジ王族の関係、オサマ・ビン・ラディンとの関係を描き、ブッシュ氏の911テロ前後の対応を批判する内容となっている。

10年以上前にミラマックス社を買収したディズニー社は、ミラマックス社の配給作品とレイティングに関して決定権を握っている。

昨春にムーア作品への主要投資企業となっていたミラマックス社重役達の話では、今回のケースはいつもあるような、映画作品に口をつっこむような類のことではないとしている。妥協案が提示されなければ、この件は調停裁判に持ち込まれることになるが、両社首脳ともにそれを望んでいないとも話している。

ミラマックス社広報のマシュー・ヒルツニック氏は、今回のプレスリリースの中で、「この件ではディズニー社と協議中であり、なんとか穏便に事態を収拾すべくあらゆるオプションを考えている」と説明している。

しかしディズニー社重役達の話では、ミラマックス社にムーア作品の北米での配給を許可するつもりは全くないとのこと。海外での配給に関しては、すでに数社に権利を販売済みであるという。

「2003年5月の時点で、我々はすでにムーア監督のエージェントとミラマックス社に、作品配給の予定がないことを説明している」ディズニー社の広報担当官、ゼニア・ムッカ氏はそう話している。「決定を変えるつもりはない」

昨年5月に、メル・ギブソンのアイコンプロダクション社が出資を降りてから、ミラマックス社がムーア作品への出資決定を報じると、ディズニー社は保守層から強い批判にさらされてきた。

ムーア氏のエージェントであるアリ・マニュエル氏によれば、ディズニー社CEOのマイケル・アイスナーはマニュエル氏に、昨春、ミラマックス社との関係を取りやめるように依頼されていたという。マニュエル氏の話では、アイスナー氏はフロリダにある巨大テーマパーク、ディズニーランドの各種税金を巡り、フロリダ州知事のジェブ・ブッシュに大きな便宜を図ってもらっている件が危険に晒される可能性を危惧しているとのこと。

「マイケル・アイスナーは、この作品をハーベイ・ウェインスタイン(訳注:著名なプロデューサー)に売るなと私に懇願していた。もちろんそんな頼みを聞くつもりはありません」マニュエル氏は話した。「アイスナー氏は、ディズニー社の税金面での優遇について明示し、それがミラマックス社に作品を販売することを止めさせる動機だと話していた。彼はディズニー社をこの件に巻き込みたくなかったんです」

ディズニー社重役側はマニュエル氏の批判を否定したが、ミラマックス社とマニュエル氏に、取引に関して不満であることを明らかにしている。

ディズニー社上級役員の話によれば、同社はミラマックス社が社の意向に反する作品の配給をすることに対して、決定を無効にする権利を有するとのこと。同役員の話では、ムーア氏の作品について、ディズニー社と米政府とのビジネス契約に関する意向に反するのではなくて、あらゆる政治的意向を持つファミリーの要求を満たすというディズニー社の意向に背いているのであり、(リリース日が未定となった)ムーア氏の作品は多くの面で政治的孤立を招くとしている。

「高い緊張状態にある政策論争に巻き込まれることは、メジャーな企業にとって利益にならない」同重役は語った。

ミラマックス社は、北米での作品配給に関して他の企業を探すことになるが、そうした取引は利益低下を招き、民主党への巨額寄付者であるハーベイ・ウェインスタイン氏にとって打撃になる可能性がある。

今月にカンヌ映画祭への作品出品が決定しているムーア氏は、火曜日のインタビューにおいてディズニー社の決定を批判し、「然るべき質問をしてみよう。“自由で開かれた社会にあって、一般市民が観ることを許されている情報に対して、お金持ちの投資家が基本的な支配権を握るということがあっていいのか?”」
(以下略)



ちなみにムーアの新作タイトルはフランソワ・トリュフォー作品の巧みなパロディになっている。

2004/02/02

アメリカ大統領選挙とベトナム戦争

民主党大統領候補ウェズリー・クラークの支持者集会で、応援演説に登場したマイケル・ムーアは「司令官VS脱走兵のディベートが見たい!」とまくしたてた。言うまでもなく、脱走兵とはブッシュ現大統領のことである。

この発言に(愚かにも)噛み付いたのはABCネットワークのピーター・ジェニングスだ。ニューハンプシャーの民主党ディベート大会後、彼は以下のようなインタビューをして、クラーク候補を困惑させている。

「クラーク司令官、問題の多い映像作家のマイケル・ムーア氏があなたを前にして、司令官であるあなたと、彼言うところの“脱走兵”ブッシュ大統領のディベートが見たいと発言しました。この、大統領に対する、事実に基づいていない誹謗中傷に関して、あなたが反論しない理由をお聞かせください。反論されるかどうかはともかくこれは倫理的に憂慮すべき事だと思いますよ」

このインタビューのオンエアを観てムーアは激怒し、早々に自分のウェブサイトで大々的に抗議した
「ピーター・ジェニングスの質問は、メディアが本来の問題から国民の目を逸らすべく、いいかげんな仕事をしていることの象徴だ

図らずも、ジェニングス氏はジャーナリストとして致命的な無知をさらけ出しただけでなく、この時期最も触れて欲しくない話題にブッシュ大統領を巻き込むことになったのである。

ベトナム戦争の時、現大統領とライバル達は何をしていたか?

幼い頃に父親を亡くし、貧しい家庭に育ったウェズリー・クラーク氏は苦学の末に奨学金を手に入れ、英オクスフォード大に進学した途中で陸軍に入隊し、歩兵隊としてベトナムのジャングル戦で4度撃たれて銀星章他勲章を授与され、ベトナム戦争後も軍に残り軍人としてキャリアを重ねている。

民主党大統領候補として首位を独走中のジョン・ケリー氏は、財閥家系にも関わらず海軍に入隊し、ベトナム戦争では最も危険な戦闘地域のひとつ、メコンデルタ地帯でCIA、グリーンベレー隊員と共に、小型高速艇を操縦して危険な任務に就き、激戦を生き抜いた。青銅星章、銀星章、3つのパープル・ハート勲章を授与され、英雄と讃えられたが、多くの戦友の死に心を痛めたケリー氏はやがて反戦運動に傾倒し、戦後は退役軍人の権利保障に大きく貢献している。

民主党の反ブッシュ第一人者ハワード・ディーン氏ベトナム徴兵検査で脊椎損傷の為、従軍不適格とされた。従ってディーン自身はベトナムを知らないが、実弟の死をきっかけに、反戦志向、民主党支持へと方向付けられたと語っている。ディーン氏の2歳年下の実弟チャーリー・ディーンは、ノースカロライナ大学を卒業後、ヒッピー時代にふさわしく日本を始めアジア各国を旅していた。1974年、ラオス・メコン川沿岸のバンガローに友人と滞在していたチャーリーはパテト・ラオ(ラオス愛国戦線)の部隊に拉致され、行方不明になる。一般旅行者であったにも関わらず、POW-MIA(戦争捕虜/行方不明兵)に認定されたチャーリー・ディーンは、CIAと米軍の捜索の結果、処刑され、埋められていたことが判明した。2003年、ラオスで発見された遺骸は棺に納められ、遺族が静かに迎える中、米国に帰還した。(ディーン氏自ら語るように、滞在地と捜索の過程から、チャーリー・ディーンはCIA工作員であったことが伺える)

さて、ジョージ・W・ブッシュにスポットをあてよう。イエール大学を卒業したばかりのジョージは、テキサス州兵航空隊に入隊を果たしたので、ベトナム行きを免除された。州兵航空隊の入隊試験におけるジョージ君の得点は100点満点中25点。ベトナム行きを避けるため、入隊待ちの志願者が何百人もいた州兵航空隊に、こんな落第点にも関わらず特急入隊できた(そしてベトナムに行かずに済んだ)理由は、父ブッシュである。当時、下院議員であった父ブッシュは、友人でテキサスの有力石油商シドニー・エドガーに、息子がベトナム徴兵を避けられるよう依頼した。エドガー氏は当時の友人でテキサス州副知事だったベン・バーンズ氏にブッシュ息子の件を依頼し、バーンズ氏はテキサス州兵隊のローズ准将に入隊を依頼したのである。しかもジョージは、テキサス州兵航空隊の訓練が嫌で途中で抜け出し1年ほど勤務をサボっていたことが明らかになっている(だから脱走兵)。

ブッシュ現大統領が父親の権力を使ってベトナム徴兵を逃れた件はともかく、州兵勤務をサボっていた件は米国内ですでに何度も報道されている。米軍の退役軍人達は、「イラク戦闘終結宣言」の際の派手な「トップガン大統領」演出に激怒しているはずである。ピーター・ジェニングスはなぜ、わざわざ問題をむしかえしたりしたのだろう?

さて、メディアの怠惰を批判するマイケル・ムーアの主張は立派かもしれない。しかし一方で、「司令官」「ベトナムの英雄」が大統領選の目玉になり、一貫して反戦を訴えるクシニッチ候補が変人扱いされる米国の現状を見ると、何か釈然としないのである。

戦争に参加したことをリーダーシップの基準にする社会は、何かが狂っているのではないか。普通の人々や社会にとっては、戦争をしないと決めるリーダーシップのほうが、はるかに価値あることだと思われるのだ。

例えば「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」を観て欲しい。この長大な物語においても、武器を持たない非力な小人族が、世界を滅ぼす兵器となる「指輪」を捨てるために闘う勇気を讃えているではないか。

2004/01/01

2004年最初のお楽しみ:ブッシュ大統領を30秒でコキおろすコンテスト

ついに2004年が始まった。今年はアメリカ大統領選挙の年だ。これを心待ちにしているのはアメリカ民主党員だけではない。ブッシュがホワイトハウスを占領してからの3年間、世界はこの三代にわたる犯罪家族に振り回され続けている。貧困は拡大し、経済は悪化、戦争は急増、ずっと縮小してきた各国の軍事予算も拡大再開。イラクで見つからなかった大量破壊兵器は、世界のあちこちで新しく作られ始めている。

愚痴をいっても始まらない。臭い匂いは元から絶たなきゃダメなのである。残念ながら日本の政治から米国政府の影響力を完全に取り除くことは難しい。日本の政治を変えるなら、まずアメリカの政治を変えなきゃならないのだ。

アメリカ政府は腐っているが、アメリカ国民の全てが口を開けてフォックスニュースを観ているわけではない。例えば、ジョージ・ソロスの大型寄付で有名になった反ブッシュ運動サイト「MoveOn.org」では、「Bush in 30 seconds」という企画が進行中。これはブッシュを批判する30秒広告を一般募集するというもので、審査員にはあのマイケル・ムーアも名を連ねている。早くも面白い作品が集まっているので、以下のリンクで候補作品を楽しんで欲しい。
(注:全てQuickTime動画へのリンクです

GAME OVER BUSH

Bush Save The Day

The Dominator

2003/12/08

ブッシュのGI人形ギャグ

雑誌「Mad Magazine」が掲載している痛烈な皮肉、ジョージ・ブッシュの「G.I.JOKE」が面白い。ブッシュのアクションフィギアを元ネタにしたものですが、「この人形は骨無し構造なのでチェイニーにもラムズフェルドにも簡単に頭を下げることが可能」「金持ち企業のワイロにも簡単に届く腕」「自分のケツに頭を突っ込むことも可能!」など過激な宣伝文句で笑わせます。

ワーナーグループは巨大企業のクセに、出版事業の子会社がマイケル・ムーア本の出版元になったりして、フトコロの深さを見せていますねえ。