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01/03/2008

マイケル・ムーアがエドワーズ候補を推薦?

映画「Sicko」公開以来、大統領にアル・ゴア、医療保険と外交分野ではデニス・クシニッチを応援してきたマイケル・ムーアが、最新コラムで、民主党大統領候補にジョン・エドワーズを推薦すると示唆している。

クシニッチ候補を推薦しない理由については、先日のクシニッチ陣営による「アイオワ州党員集会では第二の選択肢としてバラク・オバマを推薦」という事実上の敗北宣言を重く受け止めているらしい。

民主党トップのヒラリー・クリントンを推薦しない理由について、ムーアは面白いことを書いている。以下に抜粋翻訳すると:

2ヶ月前、ローリング・ストーンズ誌が、特集企画として、クリントン議員、オバマ、エドワーズ各候補に、誰もしたがらないような質問を1対1で尋ねるって役を俺に依頼してきた。『民主党トップ候補者たちがマイケル・ムーアと激突!』取り決めとして、3人全員がインタビューに応じない限り、企画はお流れになるということだった。オバマとエドワーズはインタビューを承諾した。でもクリントン夫人が拒否したので、特集企画はお流れになったんだ。

俺の生涯最愛の人、ヒラリー・クリントンは、なんで俺と座って話そうとしないのか?彼女は一体何を恐れてるんだ?


ムーアのヒラリーに対する嘆きは続く:

悲しいことだが、イラク戦争に国民を巻き込むにあたって、ヒラリー・クリントン議員の悲惨な、よく練られた議会での投票行動ほど俺をがっかりさせたものはない。ブッシュ氏に侵攻の「権限」を与えた彼女の最初の賛成票のことだけを言ってるんじゃない。俺が言いたいのは、侵攻後の4年間、彼女がブッシュの違法な戦争を盛んに支持し、資金拠出に賛成してきたことを言ってるんだ。戦争承認に関しては、ホワイトハウスが彼女の嫌う要求をしたことは全くないらしい。ケリー議員やバイデン議員のような、侵攻には賛成してもその後自身の愚かさを悟ったのとは違って、クリントン夫人は昨年3月まで戦争支持票をずっと投じてきた。彼女は4年間も戦争支持票を投じてきたんだ-米国民の70%が戦争反対にまわったっていうのに。彼女は断固として、戦争支持が間違っていたとは表明しない。しかも彼女は、アメリカ史上最悪の外交惨事における自身の過失責任について、全く謝罪しようとしない。彼女が繰り返すのは「諜報の欠陥」によって“惑わされた”ということだ。

それが真実であるとしよう。皆さんは簡単に騙される大統領をお望みか?俺は“惑わされる”ことはなかったし、2003年2月に路上に出て反対した数百万の人々も“惑わされる”ことはなかったってのに。俺たちの誰一人としてCIAの説明を受けなかったのに、防衛問題の専門家でもないのに、イラクに大量破壊兵器の査察に行ったことすらない俺たちが、イラク戦争の過ちに気づいていたってのは驚きだ。それでも、俺たちは騙されるって気づいていたんだ!
(以下略)

バラク・オバマを推薦しない理由については、ムーアはこう書いている:

バラク・オバマは善良で、素晴らしい人物だ。なんとも新鮮な雰囲気だ!彼の誠実さや国の問題になんとか取り組もうとする姿勢については疑いようもない。しかし、彼は何者だ?つまりその、偉大なスピーチ以外に何ができるんだい?俺たちは実際の彼についてどれくらい知っているってんだ?彼がイラク戦争に反対だったというのは知ってる。でもどうやってそれを知ることができる?開戦前のスピーチだけだ。しかし、上院に加わってから、彼はイラク戦争への資金拠出に賛成しながら、同時に撤退すべきだと言ってた。彼は弱者の味方だと言いながら、集団訴訟をより困難にする大企業寄りの法案に賛成してきた・・・自分の子供が中国製玩具の含鉛塗料をしゃぶってるって時に!彼は新たな医療ケアプランを発展させるよう医療保険企業に働きかけているが、そもそもそれら企業が混乱の原因なのだ。彼は気のいい奴だから、俺が思うに、選出されたら、共和党員の餌食になっちまうだろう。そうなれば、気持ちいいスピーチもしていられなくなるさ。(以下略)

一方で、ジョン・エドワーズ推薦の理由については:

(エドワーズの)髪の話題を避けるってのは難しいが、髪のことを無視すれば・・・俺はそうすることにしたが・・・たくさんの人々に惨めな生活を強いている金持ちの権力層に立ち向かう男の存在に気づくだろう。この候補者はこんなことを言い出したんだ:「私が心の底から信じているのは、大企業の貪欲さと権力が私達の民主主義を牛耳っているということです。」うわ!ここしばらくこんなことを言う奴はいなかったんじゃないか?特に、支持率で上位にいる連中には。エドワーズがアイオワで人気がある理由はこれだろうが、トップ二人に比べると、彼の選挙資金は遠く及ばない。彼は大企業の政治団体からの献金を受け取らないし、トップ三人の候補では、彼だけが選挙費用の上限設定と公的資金導入に同意している。彼は単刀直入に、製薬企業や石油企業やその他アメリカの労働者を困らせている奴らを追求すると言っている。大手メディアは明らかにエドワーズを脅威と考えているが、それはたぶん彼がメディアの独占的立場も追及するつもりだからだろう。こりゃルーズベルト・トルーマン時代の再来だ。それがアイオワ州の有権者に反響がある理由だろうが、オバマやヒラリーほどの関心を集めていない。彼に関する報道が少ないのも、アイオワでトップ支持を獲得できない理由だろう。
(以下略)

エドワーズは上院議員時代にイラク侵攻に賛成を投じた。それについてムーアは以下のように擁護している:

エドワーズは戦争に賛成した。しかし、クリントンと違い、彼は自分の判断が間違っていたと強烈に訴えた。彼は後悔しているという。許されるべきだろうか?彼は教訓を得たのか?ヒラリーやオバマ同様、9月の討論会では、大統領として最初の任期である2013年までの完全撤退を約束することはなかった。しかし、今週アイオワ州で、彼は考えを変えた。クリントンとオバマから距離を置いて、1年以内にイラクから兵を完全撤退させると宣言した。

エドワーズは、トップ三候補の中で唯一人、他の先進国と同程度になる国民皆保険制度案を提示している。彼の計画は、俺の案ほど素早くはないにしろ、医療保険企業は敵であり、交渉の余地はないと正確に指摘している。
(以下略)

これまで「出馬せよ!ゴア!」と支持してきたアル・ゴアに対して、ムーアはこんなメッセージを書いている:

俺はこの時点で誰かを支持するつもりはない。これはただ単純に、ジョージ・W・ブッシュの後任を選択するプロセスの最初の週に感じたことだ。これまで数ヶ月間、俺は問い続けた。「アル・ゴア、あんた何処にいっちまった?」飽きるまでオスカー像でも磨いてろよ!ノーベル賞なんか、スカンジナビア人が決めたことじゃないか!
(以下略)


マイケル・ムーアのかつての師であるラルフ・ネイダー氏も、エドワーズの反企業姿勢に支持を表明している。

サウス・カロライナ州生まれのノース・カロライナ州育ちで、繊維工場労働者の父と、郵便局員の母という家庭に生まれたジョン・エドワーズは、苦学を重ね家族内で初めて大学に進学し、弁護士として大成功したのを足がかりに、政界進出を果たしたアメリカン・ドリームの体現者。NYタイムズ紙によれば、最近米国で台頭するニューリッチ(“リッチスタン”)を象徴する人物であるらしい。しかしなによりもまず彼は、大企業を相手に巨額の損害賠償を獲得してきた辣腕法廷弁護士であり(63の大型訴訟で合計1億5,200万ドル以上の損害賠償額を数えている)、その意味では、ラルフ・ネイダーやマイケル・ムーア同様、エドワーズも大企業の敵ナンバーワンといえる。大手メディアがこぞってエドワーズ排除に乗り出したのも興味深い。

エドワーズが他のトップ候補と大きく異なるもうひとつのポイントは、エネルギー政策である。ヒラリー、オバマ他全ての共和党候補者は、ディック・チェイニー副大統領のエネルギー政策に沿い、原子力発電所の建設に積極姿勢を示している。特に、地元イリノイ州に11箇所もの原子力発電施設を抱えるバラク・オバマは、「原子力発電は環境に優しい」として開発に積極姿勢を示す人物だ。一方でエドワーズは、マイク・グラベル同様、新規の原子力発電所建設には慎重姿勢を示している

・・・さて、最初の予備選であるアイオワ党員集会を直前に控えて行われたアイオワ州党員集会参加者に対する世論調査(Zogby International / Reuters / C-SPAN、12月29日-1月1日実施)によれば、民主党ではヒラリー(28%)、オバマ(28%)、エドワーズ(26%)で3人がほぼ並んでいる。一方共和党は、マイク・ハッカビー(28%)、ミット・ロムニー(26%)の二人がトップを争っている。

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07/14/2007

マイケル・ムーアvs.グーグル?

マイケル・ムーア『シッコ』に対する批評の数々

「“シッコ”はムーアの作品としては最重要作で、最も感動的で、最も刺激的な作品だろう。彼のこれまでの作品に比較しても、かなり趣を異にしている。」
ロサンゼルス・タイムズ紙

「ムーアの最も確かで、最も敵対的でなく、しかもおそらく最も重要な作品。」
ニューヨーク・デイリーニュース紙

「“シッコ”はムーアの最高作であり、今までで最も注目すべき作品で、激怒に満ち独善的すぎる“華氏911”よりもはるかに説得力がある。」
ボストン・グローブ紙

「“シッコ”は人々を恐怖に陥れるだろうが、そうであるべきなのだ。」
サンフランシスコ・クロニクル紙

「説教臭く、映画的悲喜劇に満ちているが、“シッコ”は名作である。」
タイム誌

「“シッコ”はムーアの最高作だ。怒りと、望みと、イカれた行動が絶妙な配分で散りばめられ、医療保障と仕事の関係に深遠な疑問をもたらしている。」
ニューヨーク・マガジン誌

「“シッコ”はムーアの作品としては最も異論を呼ばず、広範に訴求できる作品である。」
ニューヨーク・タイムズ紙

「紳士淑女の皆さん、私達が同意できることが二つあります:アメリカの医療システムは破綻していること。それを修正できる人物はマイケル・ムーアではないこと。」
ワシントン・ポスト紙

アメリカの医療危機問題をテーマにしたマイケル・ムーアのドキュメンタリー最新作『シッコ』が全米公開され、米医療システムへの懸念は業界への怒りに波及し、その影響力が拡大しつつある。しかし、医療保険業界や製薬業界がそうした事態に黙っているわけもなく、すでに業界側からの反撃が大手メディアを通じて開始されている。

ところで、ムーアに対する攻撃は、意外な場所でも起こっていた。ネット検索最大手のgoogle社で、医療業界向け広告枠の販売を手がけるローレン・ターナーという社員は、同社公式ブログ6月29日付のエントリー:『ネガティブな報道でビョーキになる?』で、『シッコ』について書いた。以下に一部引用すると:

「議員も、訴訟屋も、患者団体も活気付いてますが、私達の周辺では不安が広がっています。そりゃそうでしょう?ムーアは医療保険企業や医療サービス、さらに製薬業界に対して、個別の主観的な、システム上最悪の物語を引き合いに出して攻撃しているのです。ムーアの映画は、この業界を金とマーケティング主導の世界と見なし、患者の幸福と治療に対する業界の貢献については示さずにいるのです。」

明らかに、彼女はムーアの姿勢と作品『シッコ』をお気に召さないらしい。それはいいとして、注目を集めたのは投稿の後半部分にある以下の主張である:
「わが社ではテキスト広告、ビデオ広告、リッチメディア広告を、有料の検索結果枠や当社の拡大しつづけるコンテンツネットワーク中の適切なウェブサイトに掲載できます。問題がどうであれ、グーグルは人々を啓蒙し貴社のメッセージを宣伝するためのプラットフォームとしての役割を果たします。」

ローレン・ターナーの主張がおわかりだろうか?ムーアが作品で提起する医療危機問題を単純に業界に対する攻撃と考え、彼女はクライアントである医療業界に対して、googleにもっと広告を出稿すれば市民側の業界批判を抑えられると提案しているのである。どうやらローレンは、医療業界人以外の人々もgoogle社ブログを読むことは想定していなかったらしい。

この投稿に対しては、当然ながら批判が殺到したらしく、慌てた彼女は次の日のエントリーで謝罪することになった。しかしターナー本人は、「投稿内容はあくまで個人的意見で、社の公式見解ではない」旨のお詫びを書きながらも、さらに余分な言い訳を付け足していた。引用すると:

「医療業界がムーア氏の映画に反論したい場合、あるいはムーア氏が医療業界に挑戦したい場合でも、広告はとても民主的で効果的な公開討論への参加手段なのです。」

まあ、ローレン・ターナーは自身の役職に賭ける情熱をアピールしたかったのだろうが、公共政策が関わる問題に対して、いきなり金を払って広告を出せという主張はいかがなものか。これではまるきり、ムーアが作品を通じてずっと訴えている“利益追求企業の貪欲さが人間性を脅かす”実例ではないか。

結局、同投稿に対する批判が収まらないので、google社側の上司が公式に謝罪する羽目になった。googleプロダクトマーケティングマネージャーを務めるミッシー・クラスナーは、google社公式ブログ7月2日付記事で以下のように説明している:

「今回の事態では、弊社ブログでマイケル・ムーアの新作「シッコ」を批判し、騒動に直面する医療業界に対して、弊社の広告プログラムを利用するよう呼びかけました。記事公開前に弊社内で実施する審査の段階では、記事内容がグーグル社の公的立場に帰属すると読者の方々が誤解することを認識できませんでした。これは弊社の失態でした。」

一方、google社のお詫びはエスカレートしていく:
「実際のところグーグル社は、アメリカの医療サービスにおける有効性や費用に関してムーア氏の表明する懸念に多くの点で共感しています。全くもって、私達はこうした問題を重大と考えており、弊社従業員に対してもムーア氏の作品を観るよう薦めたのです(1,000人ほどが作品を観ました)」

あれま、クラスナーさん、それはまた・・・ちょっと書き過ぎじゃないの?(今回のSicko=google騒動についてはNYタイムズ紙ブログで全貌を把握できる)


google社、ワシントンでも活躍中


ワシントンポスト紙の報道によれば、現在のgoogle社は、テクノロジー上の社会的影響力に加えて、ワシントンへの政治的影響力増加を狙い、大量のロビイスト(一般企業の2倍以上)を雇い入れてPR活動(ロビー活動)に注力しているという。

新たにgoogle社に加わったロビイストとして最も注目されているのは、ブッシュ大統領の特別補佐官として議会対策を担当したジェイミー・ブラウンで、彼女は最高裁判事選出の際、ブッシュが推薦した保守系判事サミュエル・アリトとジョン・ロバーツの上院承認に活躍した人物だ。さらに、クリントン政権で安全保障関連補佐官・スピーチライターを務めたロバート・ブースティンもgoogle社ロビイスト軍団に所属している。要するに、google社は共和党・民主党の主流派へのドアを開いたわけだ。google社が先ごろ新たに立ち上げたgoogle公共政策ブログを見ると、次期大統領選の最有力候補マイク・ブルームバーグが同社に訪問した様子が掲載されていたりと、ロビイストの仕事の成果が伺える。(大統領候補としては他にもヒラリー、ビル・リチャードソン、エドワーズ、マケイン候補がgoogle社を訪問している)

こうした政界へのロビー活動の拡大は、来るべきマイクロソフト社及びライバル社との覇権闘争に備えて必要な投資なのだろうが、google社の急速な事業拡大が、ネット界・政界への単なる影響力ではなく、支配力へと方向を変える可能性を考えると、少々不穏な空気を感じるのである。

果たしてgoogleは、急拡大する組織・急速に変化する社風の中で『邪悪なことをしない』という創業以来のモットーを貫けるだろうか?

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06/23/2007

マイケル・ムーア最新作『シッコ』公開前から大評判

現在、アメリカ合衆国にはマイクという名の要注意人物が3人いる。マイク・グラベル、マイク・ブルームバーグ、そして、日本にもお馴染みの“野球帽を被ったむさ苦しい男”マイケル・ムーアだ。

Sicko

今回はその、マイケル・ムーアの話題。彼の最新作『Sicko』日本語タイトル『シッコ』、今年8月公開予定は今年6月29日から全米で公開されるが、その前評判が凄まじい。特徴的なのは、前作『華氏911』と違い、今回はリベラル派はもちろん、かつてムーアに批判的だった人々からの支持も拡大しつつある事実だ。ワシントンで開催されたプレミア試写会にはダレル・アイシャ議員(共和党・カリフォルニア州)も姿を見せ、「医療危機問題は党派を超えた課題ですからね。」と作品を讃えた。前作に冷静だった政治批評家達からも、「ムーアのキャリア中ベスト作品」との呼び声が上がり始めている。

ムーアは、『シッコ』でアメリカの医療危機問題をテーマにしているが、作品中で取り上げるのは5,000万人近い医療保険未加入のアメリカ人だけではなく、民間の医療保険に加入しながら適切な保障が受けられなかった多くの中流層の人々の物語である。攻撃のターゲットは、医療現場で暴利を貪る医療保険業界と製薬業界、さらにそうした業界の横暴を許す政治家たちだ。ムーアはストレートに、民間医療保険業界は廃止すべきで、製薬企業には大幅な規制が必要と訴え、両業界から金を受け取って政府規制緩和に努める共和・民主両党の有力議員たち-リック・サントーラム、ヒラリー・クリントンらを批判し、カナダやイギリス、フランス他の先進国事例を引用し、国民皆保険制度の導入を主張する。

ムーアの批判に医療保険・製薬業界側が黙っているはずはなく、保守派シンクタンク各グループと協力して映画公開を前に着々と反論準備を進めているらしいが、おそらく今回の業界批判は抑えられないだろう。ムーアの主張に同意する国民は大勢いる。例えばウェブ動画最大手YouTubeはムーアに共鳴し、「医療サービス恐怖体験」「医療保険業者とのやりとり」の動画投稿を受け付けていて、投稿動画はどんどん増えている。全米で高い人気を誇る女性タレントのオプラ・ウィンフリーは自身のショーでムーアと対談し、公式サイトで専用意見投稿フォームを設けている。

医療業界以外で戦々恐々としているのは、どうやら2008年度大統領候補達らしい。ムーアは、民主党先頭集団(オバマ、エドワーズ、ヒラリー)らの医療制度改革案を「依然として医療保険業界を擁護する妥協案」として批判する。おそらくもっとも慌てているのは、映画の中で強烈に批判されているヒラリー・クリントンだ。かつて国民皆保険制度導入を試みたこの上院議員は、最近では医療保険・製薬業界から献金を受ける議員リストのトップに立ち、2008年大統領選にむけて、「我こそは医療危機問題にもっとも強い大統領候補」と宣伝している。この矛盾に彼女はこの先どう応えるつもりだろう?(もっとも、ムーアの“医療保険業界廃止プラン”に沿った医療制度改革を唱える民主党候補者は、プレミア試写会にも参加したデニス・クシニッチだけのようだが・・・)

『シッコ』にまつわる今後の反響については追ってカバーするとして、今回は以下に、英インディペンデント紙上に掲載された作品関連記事を翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

シッコ?アメリカ医療システムの真実(Sicko? The Truth About the US Healthcare System)

by アンドリュー・ガンベル:英インディペンデント紙2007年6月4日付記事

マサチューセッツ州ケンブリッジに住むシンシア・クラインは、自宅で心臓発作に襲われても手順を心得ていた。救急車を呼んで、緊急時のためにあらかじめ処方されたニトログリセリンの錠剤を服用し、助けが到着するのを待った。

手順どおりなら、全てうまくいくはずだった。他の数千万人に昇るアメリカ人と違い、彼女は医療保険に加入していたからだ。救急チームはまもなく到着した。普段から彼女の心疾患治療を受け持っているハーバード・メディカル・スクール提携の民間付属病院は、目と鼻の先にあった。

問題は、そのマウント・オーバーン病院の救急病棟が、急患で溢れていたことだった。病院側は彼女の受け入れを拒否した。救急車はシンシアを近所にある別の病院に運んだが、彼女が必要とする緊急カテーテル治療は、そこでは行われていなかった。ボストン地区にある他の病院施設へも大急ぎで連絡したが、無駄だった。数時間後、シンシア・クラインは死亡した。

シンシア・クラインが死亡した地区は、アメリカで最も一流の医療専門家が集中する地域だった。それでもそのような事件が起きたのは、アメリカの崩壊した医療システムに原因がある。全くの無保険状態で暮らす国民が5,000万人ほどいて、さらに数千万人が、本来必要とする治療を承認されるために奮闘しているのだ。結果として、危機的状況に陥るまで疾患が治療されないままになる。患者達は救急病棟に急いで運び込まれるが、そこでは法律上患者を受け入れる義務があるので、医療システム全体を圧迫している。医者であれ患者であれ、右派政治家であれ左派政治家であれ誰でも、現状の医療システムは狂気の沙汰だと感じている。

テキサス州オースティンに住むエリザベス・ヒルザベックが双子を早産した時も、別の種類の狂気の沙汰に遭遇した。彼女もまた、医療保険に加入していた-銀行で良い仕事に就いている夫の保険である。しかし、双子を出産した時の彼女はわずか妊娠6ヶ月で、男児のパーカーは脳性まひを患った。医者は理学療法により男児に筋力をつけて歩行訓練できる機会を与えるよう薦めたが、マネージド・ケア業者側は費用負担を拒否した。

ケア業者側の常軌を逸した官僚的論理によれば、保険適用の対象は“リハビリ”療法であり、言い換えると、患者の失われた肉体的技術を回復させることであるという。パーカーの場合は歩いたことがないので、その理学療法は男児に新しい技術を訓練することになり、それゆえ適用外というわけだ。ヒルザベック夫妻は抗議し、意義を申し立て、一時的救済を得たが、結局医療費を支払うために家屋を売り払いトレーラー暮らしとなった。エリザベスの夫、スティーブンは、より高い給与を求め転職を考えたが、医療保険補償範囲に関する注意深い喚問を受けた後で転職を思いとどまった。ヒルザベック夫妻に、将来加入予定の医療保険担当者は陽気に尋ねた:「脳性まひの治癒はいつ頃になります?」脳性まひは克服できないとエリザベスが担当者に説明すると、担当者は彼女に独力で治療してくださいと伝えた。

アメリカ人なら誰でも医療にまつわる恐怖体験を持つか、そういう体験をした人が身近にいる。官僚的な電話対応や通知書、信用格付けへの不満、あるいは、高額な一連の検査を受けてから、即座に支払い能力を超える治療コースに繋がることを恐れ、ゆっくり悪化していく病状を無視する人々の話などである。

ひどい間違いが起きない場合でも、生き残るのは至難の業だ。

モンタナ州のメリッサ・アンダーソンは、個人事業主のために手頃な医療保険を見つけられなかった。常識化しつつある苦悩だ。2年前、息子のケイシーがてんかんで倒れた際、州に設けられたばかりの児童医療保険プログラムのおかげで彼女は助けられた。同プログラムは、貧困層ではないものの超高額な医療費を支払う財力のない住民向けに特別に用意されたものである。重大な治療の必要性がないため、メリッサ自身は未だに無保険のままである。

過去15年間、医療サービスを受けるための経済的手段を持たない貧困層-未だ重大かつ未解決のままだが-そうした人々に関する話題は少なくなっている。代わりに、医療サービスを受けられると期待された人々の恐怖体験話が増加している。中流層の人々-定職を持ち、職場で医療保険に加入できる人々-この問題も悪化しているが-あるいは、かつて手堅い医療保障を受けられた職業に就いている人々が、より退化した保障、さらに様々な理由で保障を削減される危機に瀕しているのだ。

この泥沼こそ、マイケル・ムーアが今月末公開の最新ドキュメンタリー『シッコ』で暴露するものである。ムーアは映画の大部分を割いて、保険企業や製薬企業を潤わせ、誰にとっても全く公正でない現状の医療システムには必然性も必要性もないと実証してみせる。ムーアの調査はフランス、イギリス、カナダに加え、未だ開発途上のシステムと見なされているキューバにまで及ぶ。

ムーアは残酷な話も披露する。映画の冒頭では、無保険の大工が、1万2,000ドル払って切断された薬指を接続するか、もしくは6万ドル払って切断された中指を接続するかという選択を迫られる場面が登場する。それからムーアは、珍しい病気を治療するために骨髄移植手術が必要になった夫を持つ病院職員に注目する。その夫婦の加入する医療保険会社は、移植手術が“実験的”であるとして費用負担を拒否した。職員の夫は死亡した。

ジョナサン・コーンの新刊『Sick: The Untold Story of America's Health Care Crisis---and the People Who Pay the Price』では、さらに多くの話が収録されている。ネレーン・フォックスというカリフォルニア女性も、医療保険会社から骨髄移植手術の費用負担を拒否された結果、乳癌で死亡した。ジョージア州では、或る夫妻の乳児が心臓停止に陥った際に、医療保険会社側の命令で45マイル(約72キロ)も離れた病院に連れて行かざるを得なくなった話もある。乳児は生き延びたが、迅速な治療があれば避けられたはずの永久的障害に苦しむことになった。ニューヨークでは、ブライアン・ジョーンズという名の乳児-事件当時、地元メディアで盛んに言及された新生児が、出産後24時間で病院を退院せよという医療保険会社側の要求により心臓疾患が発見されず死亡した。異常を発見できたかもしれない検査をあまりにも急いで実施したためだ。

アメリカの医療システムは極端な矛盾を抱えている。医療技術と疾病研究では、比類するものがない。アメリカの医者は世界各国の医者よりも高給であり、最高の医者たちが集まることになる。それでもなお、ほとんどではないにせよ、多くのアメリカ人はこうした恩恵を受けられない。実際、ニューヨークタイムズ紙で経済学者ポール・クルーグマンが指摘するように、研究とハイテック機材は、その利益を享受できる少数の富裕層と、ますます享受できなくなる大衆という不公正の原因のひとつとされている。「(医療システムは)一部の人にはより高額な治療を提供し、ついでに、それ以外の多くの人々をさらに遠ざける-少数に最先端治療を受けさせるために、大多数の基礎医療機会を奪っている。」クルーグマンは書いている。「このように、我が国では医学の進歩が多くのアメリカ人の健康にとって悪い事態になるという矛盾に直面しているのだ。」

利益追求型の医療保険企業によってシステムが運営されると、非効率で高額、さらに人間性まで奪われてしまう。アメリカ国民1人あたりの医療費負担額はフランスの2倍以上、イギリスの2倍半ほどになる。それでもなお、国民健康指標ではほぼ全ての面で他国を下回っており、おそらく最もショッキングな指標として乳児死亡率を挙げると、イギリスに比較してアメリカは36%も乳児死亡率が高いのである。

マネジメント・コンサルティング企業マッキンゼーの最新調査による試算では、民間医療保険業界の過剰な官僚制のコスト-ビジネスの発掘、苦情処理、客側の医療費負担請求を拒否する理由を説明するための“拒否管理専門家(denial management specialists)”の雇用等の費用は、年間980億ドル(約12兆929億円)に昇る。注目すべきはその金額の大きさで、マッキンゼーの試算によれば、医療保険未加入のアメリカ人全ての費用を合計してもその金額は770億ドルなのである。仮に合衆国政府が、製薬業界の不当に高額な独自価格設定を許すのではなく、医薬品の大量購入割引交渉をするならば、さらに660億ドルの節約になるという。

驚いたことに、アメリカ合衆国ではビル・クリントン政権以来、医療問題に関して真剣な議論が行われていなかった。クリントン大統領は、妻のヒラリーから相当影響を受けて、1994年に医療システム改革を試みて失敗した。しかしそれも、2008年度大統領選挙が白熱するにつれ変わるかもしれない。アメリカ国民5,000万人(うち1,000万人は児童)が無保険状態なのは誰でも認識しており、文明社会としては受け入れ難いのだ。

アメリカに古くから存在する自由市場主義的な議論-医薬品の“社会化”は神を恐れぬ共産主義への坂道を下る最初の一歩になるという主張も、もはや正しくない。機能する民間医療保険体制がないために、結局政府が総治療コストの50%ほどを支払う羽目になっているからだ。貧困層はメディケイドと呼ばれる政府プログラムに依存し、高齢者はメディケアと呼ばれる政府プログラムに依存している。そして、米医療システム全体でおそらく最も効率の良い部分は、退役軍人向けの国民保険サービスの一種、復員軍人援護局である。

19世紀のロンドンやパリで、金持ちや中流層に影響を及ぼし始めてようやく当局がコレラに注目したように、アメリカの医療システム危機は、その不公正さに苦しみつつある上層部に押し寄せ始めたのだろう。

なによりもまず、企業経営層は、従業員向け医療保障のコストが上昇し続ける事態に閉口している。スターバックスはコーヒー豆の仕入れよりも多くの費用を従業員向け医療保険に支払っている。インドや中国等の低賃金国で価格競争にさらされている国際企業にとって、従業員向け医療保険費の高騰はますます受け入れ難い問題になっている。

ウォルマートの経営者であるリー・スコットが、ウォルマートの労働環境に対する厳しい批判で知られる米サービス業界労働組合と一致協力し、国営の全国民向け健康保険システムを2012年までに確立するよう働きかけているのも、そういう事情によるものであろう。この闘争は困難なものになる。これまでのところ、医療保険業界と製薬業界は、多数の議員に選挙資金を提供し、残酷なまでに手際よく自らの利権を守ってきている。クリントン夫妻が1994年に敗北した理由のひとつは、こうした業界側のロビー活動によるものだ。システム改善のためには並外れた政治的勇気が必要になる。

そうこうしている間も、シカゴで修道女をしていたマリオン・ビンダーの体験談のような狂った物語を、我々は聞かされることになる。彼女は或るカソリックの病院に心臓発作で二晩入院したが、慈善事例に値しないとして病院側から治療費1万1,000ドル(約136万4,804円)支払うよう訴えられたのだ。障害を持つお年寄り宅に住み込みで働くビンダーは、入院申込書に保険未加入と記入したが、少なくとも本人の話によれば、病院側はともかく治療を受け持つと請合ったという。

途方もない官僚制との行き詰まる闘争から1年で、裁判官は即座に彼女の支払い義務を免除すると決定した。幸運な結末である。ビンダーは言う:「この体験は屈辱的でした。罪悪感にさいなまれました。まるで犯罪者扱いされたように感じます。」彼女は生きていて、うまくやっていけそうだが、このシステムでは誰もが彼女と同じ救済が得られるわけではない。
(以上)

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04/17/2007

マイケル・ムーア、次回作で早くも大波乱の予兆

『華氏911』の大ヒット以降、総じて沈黙を保っている米ドキュメンタリー作家マイケル・ムーアが、次回作の公開に向けていよいよ活動を再開したらしい。『Sicko(病人)』という仮タイトルの次回ドキュメンタリーは、今年5月に開催予定のカンヌ映画祭での初公開を目指して編集作業が進められているという。4月20日追記:ムーア公式サイトの最新ニュースによれば、今年のカンヌ映画祭は5月16日-27日、『Sicko』は特別招待作品として上映が決定したとのこと。)

以前から報道されている通り、新たにムーアが取り組む課題はアメリカ医療システム危機問題、特に巨大製薬企業の問題が標的となるとみられている。

米保守派タブロイド紙NYポストによれば、ムーアは911テロ事件現場で救急活動や瓦礫の撤去に携わり、有害な塵を吸い込んで呼吸器官に深刻な障害を負いながら合衆国政府の支援を受けられなかった人々の一部をキューバに連れて行き、キューバ政府が国民向けに無料で提供している医療サービスを受けさせ、その一部始終をフィルムに収めたらしい。ポスト紙上では、ムーア監督からの誘いを断った人や、誘いに応じたものの結局キューバに行けなかった当事者達の怒りの言葉を紹介している。

ムーアの暴走ぶりはともかく、何よりもまず注目されるべき問題は、未曾有のテロ事件に際して身の危険を顧みず救助・復興活動に従事した人々に対する行政府側の処遇である。市街地での超高層ビル崩壊に伴う環境危機に際して、ブッシュのホワイトハウスと当時のNY市長ルディ・ジュリアーニは、何よりもまずNY証券市場の再開を最優先にした。「アメリカは普段通り営業している!」とテレビ画面で胸を張ってみせることでどれほどアメリカ合衆国の評価に貢献したのかは誰も知るよしもないが、有害物質が大量に舞う環境の中で市民に日常生活を続けるよう要求し、結果として呼吸器障害に苦しむことになった人々-救急・復興作業関係者だけで4万人-に対して、政府が医療支援を開始したのは事件から5年近く経過してからであった。テロ事件からわずか6日後にニューヨーク証券取引所が営業を再開したのとはあまりにも対照的である。この行政側の無責任な対応については、ムーアの訴えるとおりもっと周知されるべきだろう。

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2008年大統領選の共和党有力候補ジュリアーニ元NY市長の実像を暴露する問題作:『Grand Illusion: The Untold Story of Rudy Giuliani And 9/11

9/11テロ直後からテレビ画面に頻繁に登場して危機管理リーダーシップをアピールし、2008年大統領選出馬の足がかりを掴んだジュリアーニの危機便乗姿勢もおおいに批判されるべきだ。市長退任後に危機管理マネジメント分野をビジネスにしたジュリアーニは、年間80回の講演でおよそ800万ドルを稼いでいるという。講演テーマのほとんどは、911テロ事件現場でいかに自分がリーダーシップを発揮したかという自慢話だ。例えば2004年末のスマトラ沖大地震被災者のためにカリフォルニア州サンディエゴで開催されたチャリティイベントにスピーカーとして招かれた際にも、専用ジェット機による無料送迎+講演料10万ドルを受け取っている。(チャリティなのに奉仕精神ゼロ?)

93年に最初の爆破事件があって以来、世界貿易センターとその周辺地区がテロの標的になる危険性に気づきながら、ジュリアーニ市長は当局の救急体制を複雑化させ、結果として9/11テロ被害のさらなる拡大を招いたことで関係者達から猛烈な批判を浴びている。大統領選に向けた資金集めには有料講演も大切だろうが、別の分野の活動でアピールすべきではないか。例えば・・・まあ、共和党員にはウケが悪いだろうが・・・ベネズエラ大統領チャベスとの隠れたパートナーシップの件はどうだろう?


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12/24/2004

マイケル・ムーア、次回作の標的は製薬業界?

ロスアンゼルスタイムズ紙2004/12/22付け記事より。

マイケル・ムーアが、米国の製薬・医療業界をテーマに、次回作に向けて取材を開始しているという。本人曰く、次回ドキュメンタリーの暫定タイトルは「Sicko(病人)」だそうである。ロスアンゼルスタイムズ紙エンターテイメント欄のスクープ記事から、冒頭部分を抜粋して以下に翻訳(強調は訳者による)

具合が悪くなる(Giving them a sick feeling)

---映画監督マイケル・ムーアに戦々恐々とする製薬業界

アメリカの製薬業界は、自らの健康に対する最新の脅威に戦々恐々としている。その脅威とは、マイケル・ムーアのことだ。

ムーア監督は、過去にゼネラル・モーターズ(『ロジャー&ミー』)、銃擁護団体(オスカー受賞作『ボウリング・フォー・コロンバイン』)、そしてブッシュ大統領(『華氏911』)を標的にしてきたが、次回作では医療業界、保険業界、健康管理機関、FDA(食品医薬品局)、製薬業界に狙いを定めているという。

米国内医療業界の内、少なくとも大手6社は、すでに社内で従業員達に注意を促し、待ち伏せ取材に備えている。

「わが社では社内報で、ムーアが次回作のドキュメンタリー制作に着手していることを記事にしていますから、野球帽を被ったむさ苦しい男を見つけた際には、それが誰かすぐに判別できるのです」ファイザー社国際調査開発部門の広報担当者、スティーブン・レドラー氏は語っている。

今年9月と10月に、業界第二位の規模を誇るグラクソスミスクライン社、アストラゼネカ社、ワイエス社は、社内向けにムーア警報を発令し、メディア及び映画制作者から質問を受けた際には広報部に引き継ぐ旨、従業員に通達している。 メルク社、アボット・ラボラトリーズ社、イーライリリー社、ブリストル・マイヤーズスクイブ社、 ノバルティス・ファーマ株式会社、テバ薬品産業社等は、メディア対応について社内で定期連絡を行っているが、ムーアを特別扱いはしていないという。ジョンソン&ジョンソン社からはコメントを得られていない。(以下略)


次回作でも、ムーア監督は相当取材に苦労しそうな雰囲気である。

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08/15/2004

映画に何ができる?・・・何でもできる!

恵比寿ガーデンプレイス「華氏911」初日の行列

恵比寿ガーデンプレイス「華氏911」初日の行列(写真をクリックすると拡大表示します)

2004年8月14日、マイケル・ムーアの「華氏911」日本国内上映がついに開始された。私も恵比寿ガーデンプレイスで待たされた観客の1人だ。ラーメン以外で行列に並ぶのは滅多に経験していないが、有意義な時間だった。

「華氏911」の批評などとてもできない。この作品は批評されることを最初から必要とされていない。映画を観てから、劇場を出て、観客の頭を支配するのは、例えばこんな考えだろう。:「自分は何を知っている?自分には何ができる?」

マイケル・ムーアは身をもって映画の可能性を世界に知らしめた。ブッシュ政権にとって、今や映画は大量破壊兵器となってしまった。恐怖ではなく、知性によって大衆を動かすことが出来る武器は、独裁者にとって最大の脅威となる可能性がある。驚いたことに、マイケル・ムーアは単に「質問をする」という行為によって、この驚くべき潮流を作り出してきたのだ。

さて、私には何ができる?

僅かばかりではあるが、「華氏911」に登場した事実に関連する情報をあらためてリンクとして紹介しよう。「ニュースリンク」としてはこれが精一杯。

2000年大統領選挙の不正については、グレッグ・パラスト氏の記事や、英BBCのドキュメンタリー(動画)を参照してほしい。もちろん選挙不正はフロリダ州に限ったことではない。これについては後日お伝えしよう。

ブッシュ大統領の怠慢な仕事ぶりについてはこちらの投稿を参照してほしい。リチャード・クラークの言うとおり、ブッシュはテロ対策をしなかっただけではなく、ビン・ラディンとサウジに関わるFBIの捜査を中止させた。最近ではアルカイダ捜査のタイミングを選挙に積極利用している

911テロの直後にサウジ関係者が米国を脱出した事実は、クレイグ・アンガー氏の記事を参照。サウジ王家とブッシュ家のつきあいについては最新情報もある。

「愛国法」の問題とアッシュクロフト司法長官についてはこちらの投稿、米国のテロ警告システムについてはこちらの投稿を参照。

マイケル・ムーアがブッシュを「脱走兵」と呼んだ件は以前の投稿「大統領選挙とベトナム戦争」を参照してほしい。

米軍の巧みなリクルート戦略はこちらの投稿を参照してほしい。

米国の報道関連企業がいかに戦争を翼賛しているかについては、「臭い報道大賞(P.U.-Litzer Prizes for 2003)」関連記事(その1)(その2)(その3)(最終版)を参照。

米国政府が貧困層を戦争に送り出す仕組みについては、ナオミ・クラインの記事や、米国の地方新聞の翻訳記事を参照。

米軍によるイラク市民の虐殺についてはアルジャジーラの記事を参照。

ブッシュ政権の支持基盤である米国南部の教育状況についてはこの投稿を参照してほしい。

作品中に登場するハリバートンの広報ビデオ内容に反して、実際にはハリバートンは米兵士に腐った食事を提供したり、ブッシュ政権自身の法律を堂々と破ったり賄賂をばら蒔いたりと忙しい。破綻した電力企業エンロンは、ハリバートンにひけをとらない悪徳企業だ。カリフォルニア電力危機、シュワルツェネガー加州知事、イラク戦争等を背後で操ったりしている。またこうした米国の多国籍企業は(ブッシュがエリートと呼ぶ人たちだ)税金をほとんど払っていない

ブッシュ父の悪行については「ブッシュ犯罪家族・総覧(1)」を参照。これは妄想でも陰謀論でもなく、全て事実である。ホワイトハウスから追い出すだけでは、ブッシュ家が引き起こす世界の危機を防止することはできない

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08/10/2004

「I Love You, Madame Librarian」byカート・ヴォネガット

現代アメリカ文学の代表的作家カート・ヴォネガットの最新コラムを以下に全文翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)

同氏の作品の中で、個人的には「スローターハウス5(カート・ヴォネガット・ジュニア名義)がいちばん好きだ。それはともかく、憧れだった作家の言葉をリアルタイムに知ることができるのは嬉しい。残念ながら当のヴォネガット氏は、このところ大変不機嫌なご様子だ。その理由は・・・



「愛しの図書館員さん」
I Love You, Madame Librarian


In These Times誌2004/08/06付けコラム

by カート・ヴォネガット

皆さんの大半がそうしたように、私もマイケル・ムーアの「華氏911」をすでに観ている。作品タイトルはレイ・ブラッドベリの偉大なるSF小説「華氏451」のパロディである。ついでながら、この華氏451という温度は、書籍を作る紙の発火点のことだ。ブラッドベリの小説中のヒーローは、本を焼くのが仕事という公務員である。

本を焼くといえば、図書館員の方々に祝辞を言いたい。肉体的にはそれほど剛健でもなく、政府とのコネもなく、金持ちでもない彼等は、民主主義に反する横暴な連中が、書棚からある種の書籍を取り除こうとするのを断固として阻止し、その書籍を借りた顧客の個人情報を思想警察に受け渡すことを拒否している

私の愛するアメリカは未だ存在しているが、それはホワイトハウスや最高裁や上院や下院、