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カテゴリー別過去記事:ホワイトハウスの陰謀


2008/06/28

ネルソン・マンデラとキム・ジョンイル、ブッシュ政権から冷遇されているのはどっち?

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2008年6月27日、90歳の誕生日をロンドンで祝うネルソン・マンデラ氏。ハリウッド男優ウィル・スミスも駆けつけた。source:ワシントンポスト紙


回答:ネルソン・マンデラ。南アフリカ共和国で人種隔離政策の廃止に尽力し、後に大統領になったこの黒人解放運動指導者は、レーガン政権時代に米国務省から「テロを起こす恐れあり」として要監視対象リスト入りを認定され、そのまま現在に至る。

ネルソン・マンデラ氏は米国の外交姿勢について「なぜ米国はあんなにも傲慢に振舞うのか?」と強く批判しており、特にイラク戦争については「米英は石油が欲しいだけなのだ」と糾弾している。白人至上社会を脅かすだけでなく、アメリカの戦争政策を批判している・・・米国務省がテロリスト認定するには、それだけで充分だったわけだ。

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2008/06/12

マクレラン元大統領報道官が語るブッシュ政権の犯罪

2004年3月22日、クリントン政権及び現ブッシュ政権でテロ対策大統領特別補佐官を務めたリチャード・クラークが、後に話題となる暴露本『Against All Enemies(邦訳:爆弾証言 すべての敵に向かって)』を発表した。クラークは同書で「同時多発テロの直前まで、ブッシュ政権はテロ対策に全く無関心だった」と書き、ブッシュ大統領と閣僚たちを猛烈に批判し、一方でテロ対策の責務を果たせなかったと国民に謝罪した

リチャード・クラークの大統領批判に真っ先に対応する羽目になったのが、当時のホワイトハウス報道官スコット・マクレランである。クラークの書籍が発売されたその日、彼はホワイトハウス定例記者会見で、リチャード・クラークを批判してこう言い放った:

「なぜ、まったく唐突にこんなことを?重大な懸念があったのなら、もっと早い時期から問題提起すべきだったのでは?政権を去って1年半が過ぎ、突然、このような重大な懸念を彼(クラーク)は持ち出しているんです。さて、ここで記者の皆さんに事実をちょっと鑑みてもらいたいのですが、彼は大統領選挙の真っ最中にこの件を持ち出しているということです。彼は本を書いたので、世に出て本の宣伝をしたいのですよ。」


What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception

スコット・マクレラン元大統領報道官の回顧録:What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception

ところが、それから4年以上経過した2008年6月、“元”報道官スコット・マクレランは、リチャード・クラークと同じように暴露本を発表し、同じようにブッシュ政権批判を開始したのである。しかも、書籍発表直後から、連日テレビに登場し、喋るたびに「本に書いてあるとおり・・・」と、まさしくあからさまに書籍の宣伝に努めているのだ。

そして再び皆が言う:重大な問題を知っていたのなら、なぜもっと早く告発しなかった?

政界の元同僚からは裏切り者呼ばわりされ、マスコミからは「新しいことは何も書いてない」と嘲笑され(内容の一部は昨年暮れに報道済み、国民からは「ブッシュのプロパガンダに加担した張本人」と一層批判されることになった“テディベア”スコティ(愛称)。それなのに、インタビューに応えるマクレラン元報道官は、なぜか時折清々しい表情を見せる。さらに皮肉なことに、現役時代よりも今のほうが、弁舌が冴えているようだ。フォックスニュースの名物右翼タレント、ビル・オライリーの攻撃にも、一歩も退くことなく、むしろ少々愉快そうに反論し、ブッシュ大統領を必死に擁護するオライリーをおおいに苛立たせた

今年2月で40歳になったばかりのスコット・マクレラン。彼に一体何が起きたのか?

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2008/01/12

米マクラッチー紙報道:「北朝鮮のドル紙幣偽造」はガセネタ?!


まさか、そんなことがあるのだろうか??

米国の有力新聞マクラッチー紙が、2008年1月10日付紙面で大変なことを報道している。曰く、米国政府側が主張する「北朝鮮政府が米ドル紙幣を偽造している」という疑惑の情報源はかなり怪しく、噂の超精巧偽札「スーパーノート」は、実際のところ“ホンモノ”じゃないかというのである。同紙はこの報道で、大量の関連記事、資料を掲載して、疑惑を検証している。

マクラッチー紙といえば、例えばイランの核兵器開発疑惑について、米政府の国家諜報評価がそれを否定する1ヶ月前に、「ブッシュ政権の唱えるイラン核兵器開発の根拠は政府内でも疑問視されている」という暴露記事を、政府内部の諜報関係者の証言を元にサラリと報道してみせるなど、米国大手報道企業としては、特に外交政策分野で突っ込んだ報道姿勢を貫いているメディアとして知られている。特に同紙イラク支局はその正確さにおいて評価が高く、同支局女性取材チームは2007年度国際女性メディア基金の『勇気ある報道』賞を受賞している

問題となっているマクラッチー紙の1月10日付け記事:『U.S. counterfeiting charges against N. Korea based on shaky evidence(米国の対北朝鮮紙幣偽造嫌疑は曖昧な証拠に基づく)』を翻訳すると、以下のような感じである:


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2007/11/26

マクレラン元大統領報道官が回顧録でブッシュ政権を批判

スコット・マクレラン大統領報道官

「私がここから逃げ出したくなったことがあるかって?そんなこと毎日考えてるさ!(笑)」

2004年3月9日、ホワイトハウス定例記者会見で演台に立ったスコット・マクレラン大統領報道官が思わず漏らした言葉。

前任者のアリ・フライシャーが強圧的な態度で不評だったのに対し、人当たりがソフトなスコット・マクレランは“テディベア”と呼ばれ、また苦しい嘘で記者の質問をはぐらかし窮地に追い込まれる毎日から“シンプル・スコティ”とあだ名が付いた。彼はテキサス州知事時代からブッシュを支えた側近中の側近の1人でもある。

母親のキャロル・キートン・ステイホーンは女性初のオースティン市長に選出された地元の名士で、2006年テキサス州知事選挙で保守系独立候補者として立候補した。その際、ホワイトハウスを去ったばかりのスコット・マクレランが選挙マネージャーを務めたが、ブッシュ大統領は共和党公認の現職リック・ペリーを推薦し、マクレランの母親は落選した。ちなみにスコット・マクレランの父親は、ベストセラー書籍『ケネディを殺した副大統領―その血と金と権力』の著者、バー・マクレラン氏。

ブッシュのホワイトハウスに勤務し、マスコミに嘘をつくことを日常業務としていた大統領報道官が回顧録を執筆した。書いたのは嘘?それとも真実?

ブッシュ政権で2003年7月から2006年4月まで大統領報道官を務めたスコット・マクレラン氏が、現在執筆中の回顧録の中で、CIA工作員身元漏洩事件(ヴァレリー・プレイム事件、通称PlameGate)において、ブッシュ大統領が隠ぺい工作に直接関与したことを仄めかし、マスコミをにぎわせている

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2007/01/25

元CIA工作員E・ハワード・ハントが死去:最後の著作は来月刊行予定

・・・ウォーターゲートのビルで逮捕されたマイアミ組の二人がそれぞれ住所録を持っていた。その住所録には、ハワード・ハントなる人物の氏名と電話番号、「W・ハウス」と「W・H」という小さな記号のようなものが載っているという。ウッドワードは電話のそばの堅い椅子に腰をおろして、電話帳を調べた。ハワード・ハントの電話番号は、メリーランド州ポトマックの部分に載っていた。モンゴメリー郡の豊かな郊外都市である。電話は通じなかった。
(中略)ウッドワードは旧友に電話した。ときどき情報を提供してくれる連邦政府の役人で、職場に電話をかけてくるのを好まない。その友人は、不法侵入事件は「熱くなる」だろうが、理由は説明できないと急いで言うなり、電話を切ってしまった。

-ボブ・ウッドワード&カール・バーンスタイン著『大統領の陰謀―ニクソンを追いつめた300日

AmericanSpy

E・ハワード・ハントの最後の著作は回顧録『American Spy: My Secret History in the Cia, Watergate And Beyond

ニクソン大統領が辞任に追い込まれる契機となったウォーターゲート事件を含め多数の「ホワイトハウス不正工作」を実行した『鉛管工チーム』の中心人物で、謎に包まれた経歴で知られる元CIA工作員E・ハワード・ハント氏が、23日にフロリダ州マイアミの病院で肺炎のため亡くなった。88歳だった。NYタイムズ紙報道ワシントンポスト紙報道

今年2月末には、ハント氏の最新・最後の著作『American Spy: My Secret History in the Cia, Watergate And Beyond』が発売される。ハント氏はこの回顧録の中で、ハント氏自身も関与を疑われたケネディ暗殺事件について、当時の副大統領リンドン・ジョンソンが暗殺計画に関わったのではないかと仄めかしているという。

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2006/10/05

ボブ・ウッドワードの新著『State of Denial』にワシントンが騒然

ワシントンポスト紙編集主幹で同社のスター記者、ボブ・ウッドワードの最新著作『State of Denial』が10月2日から発売開始された。版元によれば発売後わずか2日で3刷目、90万部以上出荷という超ベストセラー書籍になっており(彦摩呂風に言えば「ノンフィクション界のハリー・ポッターや!!」)、その流れで他のブッシュ批判ノンフィクション本も次々とベストセラーになりつつあるという。

そして、その書籍の内容をめぐり、米国政界に大激震が走っている

ウッドワードのブッシュ政権内幕本としては、これまでに『ブッシュの戦争(Bush at War)』『攻撃計画(Plan of Attack)』の二冊が刊行されているが、政府の機密情報を暴露しつつも、ブッシュ大統領個人については決断力に富む強力なリーダーシップを持つ人物として常にポジティブに描かれてきた。ブッシュ大統領を含めブッシュ政権幹部もウッドワードの描くブッシュ政権像に大変満足している様子(前二作で、ウッドワードはブッシュ大統領・チェイニー副大統領を相手に、特別扱いとも言える長時間独占インタビューをホワイトハウスで行うことを許されている)ブッシュ本人も著作が刊行されるたびに公の場で推薦してきた。

ところが、今度の新著『State of Denial』刊行に合わせ内容の抜粋が報道され始めると、ホワイトハウス側は「ウッドワード氏の報道姿勢は歪曲している」と批判し始めた。ウッドワードの予告どおり、現在の合衆国政府はまさしくState of Denial(拒絶状態)になったのだ。

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2005/09/30

ジュディス・ミラー記者、釈放される

CIA工作員名漏洩事件で有罪を宣告され、現在服役中のニューヨークタイムズ紙ジュディス・ミラー記者が、収監されていたバージニア州郊外の「新世代刑務所」アレクサンドリア収容センターから急遽釈放された

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2005/07/14

CIA工作員名漏洩事件:カール・ローブ暗躍中

ブッシュの後ろに控えるカール・ローブ大統領顧問

『ブッシュの頭脳』カール・ローブは今でもホワイトハウスを支配している

CIA諜報員の情報を記者に漏らし、国家機密漏洩の罪に問われようとしているカール・ローブ大統領上級顧問を擁護すべく、また事件の重大性を誤魔化すために、ホワイトハウスと共和党は新たなブッシュ政権擁護キャンペーンをスタートさせた。

かつてクリントン大統領は、青年時代のマリファナ使用疑惑について「(マリファナタバコを)口にしたが、吸い込んだわけではない」と珍妙な自己弁護をした。今、ブッシュ政権は、クリントン以上に間抜けな弁護に追われている。


「悪いのは民主党だ!奴等を撃ち殺せ!」


「仮に今が民主党政権だったなら、すぐに議会で調査委員会が立ち上がってるだろうな」

---或る共和党議員が匿名でティム・ラセール(NBCの名物キャスター)に語った言葉

カール・ローブ問題の他にも大量のスキャンダルを抱えている共和党は、民主党側からの攻撃に対抗するために、カール・ローブ弁護指南メモを党内で配布していた。保守派にとって不幸なのは、そのメモもまたメディアに漏洩されてしまったことだ。(このメモの漏洩元はローブではないらしい)メディアに登場する共和党関係者は、まさしく指南メモの内容どおりにローブ弁護活動を行っている。(一方で、共和党側の弁護内容に対抗して、リベラル系ブログネットワークはローブ問題の争点を整理して公開している。)

共和党全国委員長ケン・メルマンは『ローブは機密漏洩などしていない。悪いのは(リベラル系サイトの)MoveOnと民主党だ。ローブ批判は、怒り狂った左翼の中傷キャンペーンだ』とテレビで言い放った

MSNBCのニュース番組「スカボロー・カントリー」に登場した共和党下院議員ピーター・キング(ニューヨーク州)は、放送中に必死の形相で以下の発言をした

「ジョー・ウィルソン(漏洩事件の被害者ヴァレリー・プレイムの夫で元駐ガボン米大使)文句を言う権利などないし、奴等に好き放題言わせているティム・ラセール等メディアの人間は、全員撃たれるべきだ。(悪いのは)カール・ローブではない。そりゃ、カール・ローブだって完璧じゃあない。しかし我々は皆不完全な世界に生きてるじゃないか。私はローブの根性を賞賛するよ。」

こうした発言を聞くと、国民の分裂を図り、国家の安全を脅かしている張本人は誰なのかという問題を米国民も再考せざるを得ないだろう。共和党のローブ弁護キャンペーンは、むしろブッシュ政権擁護派にとって逆効果となっている。

ウィルソン夫妻

ヴァレリー・プレイムとジョセフ・ウィルソン夫妻。カール・ローブの機密漏洩によって、ヴァレリーの勤務するCIAフロント企業名もバレてしまった。それにしてもヴァレリー、ちょっとカッコつけ過ぎだよ


カール・ローブはこの先どうなる?


サンフランシスコクロニクル紙の解説記事によれば、1982年発動の諜報員身分保護法(The Intelligence Identities Protection Act)により、工作員名を記した機密情報にアクセス資格がある者が政府諜報員の本名を漏洩した場合は10年以下の禁固刑、一般的な機密情報にアクセス資格がある者による諜報員名の漏洩では5年以下の禁固刑とされている。

同記事によれば、過去にこの法律に基づいて罰せられた人物で、公的に知られているのは、ガーナで活動していたCIA職員のシャロン・スクレイナージで、彼女はガーナ人男性の恋人に同僚の工作員の名前を教えた件で1985年に有罪となり、5年の禁固刑を宣告されたという(実際に収監されたのは8ヶ月間)。


ブッシュ父はカール・ローブをクビにした・・・情報漏洩疑惑で!


ジョージ・H・W・ブッシュ大統領(ブッシュ父)は、1992年の再選キャンペーンの際に、ブッシュ父に関するネガティブ情報をマスコミに漏洩した疑惑で、選挙参謀の1人をクビにした。その人物の名はカール・ローブ・・・そしてローブのリーク相手は保守派の有力記者ボブ・ノヴァックであった。

今回の漏洩事件において、ローブの情報を元にCIA工作員名を最初に記事にしたボブ・ノヴァックは、なぜかまだ収監されていない。


毎日が暴発寸前のホワイトハウス定例会見


2003年10月6日のホワイトハウス定例会見より
記者:
「スコット、大統領はCIA工作員名漏洩事件問題の結果を心待ちにしていて、誰が関わっていても大統領は説明責任を果たすと話してますが・・・」

マクレラン報道官:
「そのとおりです。」

記者:
「ところで、ホワイトハウス関係者が機密を漏洩していた場合、それが誰であろうと大統領は解雇すると確約できますかね?」

マクレラン報道官:
「それは先週はっきり言いましたよ。この話題が出た時に言いましたが、機密の漏洩元が政権内の人物であった場合、それ以上その人物はこの政権内で仕事はできません。これはきわめて深刻な事件なのです。大統領はつい最近もイーストルーム(ホワイトハウス東棟)で言ってましたが、機密漏洩は深刻な事態なのです。だから大統領は(捜査の)結末が知りたいんですよ。早ければ尚いいです。」

ScottMcClellan

定例会見で疲労困憊のマクレラン報道官。(source)テキサス州有力者の御曹司スコティは前任者アリ・フライシャーのように記者を脅迫できない。ワシントンのロビイストに転職し、すっかり愛想良くなったフライシャー元報道官は、ローブと同じ漏洩元の容疑で捜査対象になっている

カール・ローブが機密漏洩元との報道が配信されてから、ホワイトハウスの定例会見は異常な盛り上がりを見せている。前任者アリ・フライシャー報道官の恫喝姿勢と違い、現在のホワイトハウス報道官スコット・マクレランは、穏やかな口調で滑らかにウソを言い問題を誤魔化す技術に長ける優秀な人物だ。(英語を使って最大限曖昧な表現を試みるとき、マクレラン報道官のテキストほど参考になるものはない)しかしその“テディベア・スコティ”(マクレラン報道官のニックネーム)も、最近では、詰め寄る記者たちを誤魔化すことができず苦戦している。

今週月曜日(2005年7月11日)のホワイトハウス定例会見の様子を以下に抜粋してみよう:

記者:
「大統領は、CIA諜報員名漏洩事件に関わった人物を解雇するという以前の約束を果たしてくれますかね?

マクレラン報道官:
「ご質問ありがとう。あなたの質問は現在継続中の犯罪捜査に関する報道に関するものだと思います。現時点で、当該捜査は継続中ですね。したがって以前申し上げたとおり、捜査が完了していないので、ホワイトハウスはこの件に関してコメントできません。大統領は捜査に全面協力するよう職員に指示しています。捜査に全面協力するという方針から、捜査中の件に関してはコメントしないように決定したのです。」

記者:
「捜査についての質問じゃないんですけどね。大統領は、2004年7月に、今回の機密漏洩事件に関わった者は誰であろうと解雇すると言ってるんです。だから知りたいんです。大統領は今もその姿勢ですか?」

マクレラン報道官:
「そうですが、あなたの質問は現在継続中の捜査の文脈に絡んだものですから、ホワイトハウスとしては、会見の場において継続中の捜査に関するコメントをしないという方針を貫きたいわけです。捜査を担当する検察官は、捜査協力の一形態として、会見でコメントしないという我々の決定に好意を表明しています。従って、ホワイトハウスとしては継続中の捜査に関するコメントはできないし、それに関係する質問にもコメントできないのです。」

記者:
「スコット、ちょっと指摘させてくれ。君の主張に反して、2003年9月23日まだ調査中の段階で、君はコメントしてるじゃないか。ホワイトハウス内部で事件に関わった人物が居たら、その人物は解雇されると言ったのは君が最初だぞ。その後でも、2004年6月10日に、これも捜査が行われている最中だが、大統領自身も、ホワイトハウス内部で事件に関わる者があれば解雇するとコメントしてるんだよ。これまで、過去に捜査が継続している最中に堂々とコメントしているのに、今になって突然カーテンを閉めて『継続中の捜査に関するコメントはできない』なんて言い出すつもりかい?」

マクレラン報道官:
「ジョン、質問ありがとう。結果を知りたいのはわかります。しかし最も捜査の結果を心待ちにしているのは大統領自身なんです。捜査にもっとも協力的な姿勢を示すとしたら、捜査中はコメントしないことだと思うのです。捜査を担当する人々もそうした姿勢を望んでいます。そういうわけで、その方針を続けているんです。もちろん、以前言ったことはよく憶えていますし、時期が来れば、喜んでそういう話をしたいと思いますが、それは捜査終了後にさせてください。」

記者:
「じゃあ、聞いていいかな?捜査中でも以前はコメントできたのに、いつ心変わりしたのかな?」

マクレラン報道官:
「えーと、会見の冒頭でテリーの質問に対する私の回答をあなたは聞き漏らしていると思うんです。要点は、捜査が継続する間は、捜査担当者達の言うとおり・・・捜査継続中にコメントすることは控えたほうが好ましいのです。そのほうが、捜査への協力姿勢としてもっともふさわしいと思うのです。」

記者:
「スコット、この質問はどうだい?カール・ローブは罪を犯したのかな?」

マクレラン報道官:
「デビッド、もういちど言いますが、その質問は継続中の捜査に関わっていますから、私の答えはすでに申したとおりです。それ以上その件に言及するべきではないと思います。捜査継続中にはコメントはするつもりはないんです。」

記者:
2003年の秋、カールとエリオット・エイブラムズ、スクーター・リビーについて質問された時、あなたは『彼等に聞いたところ、事件には関わっていないと話してくれた』とあなたは回答されましたが、まだあの時の主張を変えるつもりはないですか?」

マクレラン報道官:
「憶えてらっしゃると思いますが、私がそう発言したのは、調査を先に進める助けになると思ったからで、今それにコメントするつもりはありません。それはもう充分説明しましたよ。」

記者:
スコット、こりゃ馬鹿げてるぞ。君が今やろうとしてることは、すでに詳しくコメントしてきた件について、国民の目の前で、どういうわけか話すのを止めたってことになるぞ。公式記録があるじゃないか。過去にここで言った言葉を追認するのか、それとも撤回するのか?」

マクレラン報道官:
「あなた同様、以前何を発言したかは、私もよくわかってますよ。適切な時期になれば、喜んで話したいです。その時期は捜査が・・・」

記者:
(遮って)「いつが適切でいつが不適切なんだい?」

マクレラン報道官:
「終わりまで話させてくれ。」

記者:
だめだ!話すも何も、君は何も答えてないじゃないか!君はその演台で、カール・ローブは関わっていないと言ったんだぞ。それが今になって、ジョゼフ・ウィルソンの奥さんについて話したのはローブだとわかったんだ。だから、アメリカ国民に説明する責任があるだろう?ローブは事件に関わっていたのか、違うのか?君が以前国民に話したのと正反対に、ローブは実際に漏らしていたんだよ。そうだろ?」

マクレラン報道官:
「いつか話せる時期が来ると思いますが、今はその時期ではないのです。」

記者:
「今日の君の説明で、国民が納得すると思うのかい?」

マクレラン報道官:
「繰り返しますが、すでにその回答は終わってます。」

記者:
スコット、今日は大変な場所に来ちゃったねえ!」(記者爆笑、以下略)

ところで、報道官はともかく、ブッシュ大統領本人は今、事件をどう考えているのか?7月13日の時点で、記者に問われたブッシュは、以下のように説明している。
記者:
「大統領殿、ローブ氏とはもう話されましたか?・・・バレリー・プレイムについて記者と会話した事実を、ローブ氏はいつ話しました?それに関連して、ローブ氏が当該事件に関わっていないと断言したホワイトハウス広報担当官の発言は適切だったと思いますか?」

ブッシュ:
「エレーン、今は捜査の真っ最中なんだ。これは深刻な捜査なんだよ。それから重要なのは、国民はメディアの報道によって判断を急ぐべきではないということなんだ。繰り返すが、捜査が終了したら、喜んでこの件にコメントをするよ。」

ブッシュ大統領の発言がマクレラン報道官のそれと全く同じに聞こえる?それこそ、カール・ローブが現在も業務を遂行している証拠なのであった。

今のところカール・ローブ本人は、このスキャンダルをまんまと逃げおおせると思っている。ひょっとしたら、ホワイトハウス西棟1階にあるカール・ローブのデスク上には、今頃「ザルカウィ拘束」「オサマ・ビン・ラディン拘束」とラベルのついたファイルが開かれているのかもしれない。

2005/07/03

ブッシュ政権危機がまたひとつ:CIA工作員名の漏洩元はカール・ローブ

カール・ローブ大統領上級顧問は、国家機密漏洩で訴追される可能性がきわめて高くなった。

CIA工作員リーク事件---元米外交員ジョセフ・ウィルソンの妻、バレリー・プラムがCIA職員であることが米政府内の何者かによって3人のジャーナリスト(ボブ・ノヴァック、ジュディス・ミラー、マット・クーパー)に漏洩された国家機密漏洩事件---の裁判で、マット・クーパー記者の雇い主である米タイム社が、政府側の漏洩元(情報源)を記した取材メモを連邦大陪審に引き渡す事態となったが、早くもその真相が漏れ始めた

以前から噂されていたとおりホワイトハウス側の漏洩元の1人は、カール・ローブ大統領上級顧問であった。MSNBCの政治アナリストであるローレンス・オドネル氏と、ニューズウィーク誌記者マイケル・イシコフ氏が、ローブが漏洩元の1人であることを確認したと報道されはじめている

この工作員漏洩事件の捜査で最も奇妙だったのは、実際にCIA工作員名を記事に書いたボブ・ノヴァク(保守派の大物ジャーナリスト)が、今まで追求を免れていたことだった。しかしそのノヴァクも、裁判に出頭して情報源を明かす決心をしたとテレビで語っていた。ブッシュ政権ベッタリのノヴァクも、世論の批判に耐えられなかったというわけだ。

結局のところ、事件の全体像は、被害者の夫であるジョセフ・ウィルソン元駐ガボン米大使の語っていた内容を裏付けたことになる。つまり、イラクの大量破壊兵器情報の件で、ブッシュ政権が情報操作を行っていたと批判したウィルソン氏に復讐するために、大統領の側近カール・ローブが、ウィルソン夫人の身に危険が及ぶ可能性のある国家機密を友人のボブ・ノヴァックに漏らして、ブッシュ政権批判を封じようとしたわけだ。

クーパー記者の保護のためにタイム社が捜査側に取材メモを明かすという事態は、ローブとノヴァックにとって計算違いだったのかもしれない。二人の記者を収監して事件はお終い!というわけにはいかなくなったのだ。ホワイトハウス側の事件捜査に対する圧力が充分に効果を発揮しなかった理由は、おそらくワシントンの風向きが変わったせいだろう。つまり、カール・ローブは向かい風に向かって唾を吐いてしまったのである。

さて、カール・ローブが機密漏洩をした際、ブッシュ大統領はローブの行為を黙認したといわれている。ブッシュは自分への追求に怯えて、個人的に政府外の弁護士まで雇っているという。ブッシュ家お抱え弁護士ジェームズ・ベイカーはサウジ王家とのビジネスで忙しくて、落ち目になった親友の弁護までは手が回らない。そのサウジ王家も、王位継承をめぐり政変の兆しがある。(在米サウジ大使でブッシュ家の盟友、バンダル“ブッシュ”王子はすでに辞職し帰国すると発表している焦るホワイトハウスは国民の目を逸らせるためにイランとの暗い過去を持ち出しているが、これもブッシュにとって得策ではない。ブッシュ父の絡むオクトーバーサプライズ事件とそれを発端とするイラン・コントラ事件に再び注目が集まってしまうからだ。

まさしく、ブッシュは泥沼にはまり込んでいる。

2005/05/16

イラクの自爆テロ実行者、大部分はサウジ出身

ワシントンポスト紙2005/05/15付記事によれば、過去6ヶ月間にイラクで自爆テロを実行した人の内、61%がサウジアラビア出身者で、残りの内25%をシリア人、イラク人、クウェート人が占めているとのこと。また、イスラム過激派により運営されている自爆テロ実行者を賞賛するWebサイト等を調べた結果では、自爆テロ実行者の70%がサウジアラビア人で、その多くが比較的高い教育を受けた20代後半の妻帯者であるという。

ファハド国王死亡説が伝えられるなど、政情不安に怯えるサウジ王家にとって、殉教に燃える若者達は政権転覆の火種になりつつある。そんなサウジアラビア政府に救いの手を差し伸べるのが、自称『任務完了(Mission Accomplished)』大統領、ジョージ・W・ブッシュである。

先月末、ブッシュ家の中東における最大のビジネスパートナー、サウジのアブダラ王子の訪問を受けたブッシュ大統領は(王子にとって真面目な話し相手は副大統領らしいがサウジの原油生産努力の御礼に、テロ対策のため施行していた諸外国から米国へ入国する際の渡航制限を、サウジアラビアに対して大幅緩和する約束をしている。

石油と一緒に自爆テロ志願者が輸出されたとしても驚くべきでない。米国内のテロ危機が高まれば、ブッシュ政権にとっては好都合なのだ。元米国土安全省長官のトム・リッジは、最新のインタビューで、情報部の確証なしに、ホワイトハウスの意向次第でテロ警報レベルが変わることを暴露している。(先日、ホワイトハウスにセスナ機が接近した際に最高度のテロ警報が発令されたが、ブッシュ大統領は郊外でサイクリングを楽しみつづけ、シークレットサービスは大統領に警告すらしなかった。一方で、それより前の4月末にテロ警告が発令された際、シークレットサービスは大統領を地下シェルターに避難させたが、未確認飛行物体の正体は雲だった。この事件により、米国のシークレットサービスは天候の変化に物凄く敏感ということが判明した)

ちなみに、米国が渡航制限の緩和を約束した相手国はサウジだけではない。1年前にはイスラエルに対しても同様に規制緩和を約束している。(米国政府はイスラエルに対して、どういうわけか国防機密情報の『規制緩和』も行っている。)

米国への渡航規制に関しては、日本の外務省も条件緩和を求めているが、さて米国政府の対応は・・・?

2005/05/10

脚本どおりコメディを演じたローラ・ブッシュ

Online Journal2005/05/10付け記事を以下に全文翻訳して掲載。(記事中リンクは訳者による)

ホワイトハウス夕食会におけるローラ・ブッシュのジョークは日本を含め世界中のニュースのヘッドラインを飾った。しかし、ローラがジョークを飛ばした同じ日に、イラクのサマワで、虐殺されたクルド人の遺体が1,500体ほど発見されたというニュースは、あまり目立たなかったようだ。発見されたクルド人の遺体は、フセインにより80年代に化学兵器で虐殺された件の証拠と見られている。その化学兵器はメイド・イン・USA・・・当時のレーガン大統領特使、ラムズフェルドからの贈り物だった。

ローラ・ブッシュ:夫への忠誠はコメディを超えた(The dutiful wife: more than just a comedy)

By ウォルター・ブラッシュ:Online Journal2005/05/10付け記事

ローラ・ブッシュは、スタンダップ・コメディを演じるのは夫だけの特権ではないことを示してくれた。彼女の演目は、入念な計画の下、ホワイトハウス記者協会主催の夕食会で披露された。

100年ほどの伝統を誇るホワイトハウス記者協会夕食会では、記者や政治家に加え、多くの芸能人が着飾って出席し雑談をするが、スーツとドレス着用の一般向けパーティと違い、タキシードに3,000ドルの夜会服が溢れるパーティである。もうひとつの伝統として、合衆国大統領が夕食会に出席したら、コメディアンに徹して、自身や記者達を笑いものにしなければならない。夕食会の前後には、各ニュース企業は挙ってオスカー式独占パーティを開催し、自己申告型の重要人物(we-think-we're-important)を一同に集める。かつては、夕食会は非公開だった。しかし現在の夕食会は、建国の父達から政府の監視役に任命されながら役割を果たそうとしない記者達にとって、当たり障りのないニュースを提供する格好の機会となっている。

20年以上前、デザイナー仕立ての衣装で着飾るのを常としていたナンシー・レーガンは、自虐的なパロディを込めて『Second Hand Rose』の替え歌を披露した。しかし今回の夕食会では、ローラ・ブッシュは、計画通り大統領の古臭いジョークに割って入り、恒例となったコメディを始めている。大統領は妻の行動を熟知していた。妻の登場は大統領自身のアイデアだからだ。しかし、妻が何を言うかは知らされていなかった。でも、ランドン・パービン氏は知っていた。レーガン大統領、ブッシュ父、現ブッシュ大統領のスピーチライターを歴任したパービン氏は、今回のローラ・ブッシュのジョークを書いた張本人である。(訳注:パービン氏はシュワルツェネガー加州知事のジョークも担当している。ブッシュ大統領の悪名高いジョーク『大量破壊兵器はドコにある』ネタを書いたのもパービン氏であった。)

観客を喜ばすために、ローラ・ブッシュは最近夫にこう話したと言う:「ジョージ、本当に世界の圧政を解決したいのなら、遅くまで起きてなきゃ駄目よ・・・いつも夜9時になると、この情熱家(訳注:ジョージの事)は眠ってしまうので、私はテレビの『やけっぱちの妻たち(Desperate Housewives)』を観るんです。私こそやけっぱちの妻ですよね、皆さん」(訳注:その後、ホワイトハウス広報官は、ローラが『やけっぱちの妻たち』を未だかつて観た事がないと口を滑らせた)さらに夫の口下手をからかって:「ジョージと私は全く正反対。私は物静かで夫は話好き。私は内向的だけど、夫は外向的。そして私は『核(nuclear)』と正しく発音できます。」さらにローラは、夫のマッチョぶりをからかって言った:「牧場に居るときのジョージは、何でもチェーンソーで切り倒そうとします。チェイニーとラムズフェルドが夫と仲良くできる理由がわかった気がしますね。」さらに夫人は、バーバラ・ブッシュ(元ファーストレディで現大統領の母)と、メーン州ケネンバンクポートの大統領静養所についても言及。脚本通り見事にこなしたローラは、スターに夢中の出席者達から惜しみないスタンディング・オベーションで迎えられた。

ジョージ・W・ブッシュの第1期大統領選挙キャンペーン中、ローラ・ブッシュは滅多に人前で話さなかった。話す際には、脚本とメッセージが入念に準備された。人前で話さない理由のひとつは、元図書館司書で内気なローラが、演台に立つことを嫌がったからだ。妻は内気であれと信ずるアメリカ人向けの選挙キャンペーン方針に従い、夫に寄り添って、夫の施策を繰り返すだけの、相対的に従順な女性は、8年もの間ヒラリー・クリントンがアメリカ国民に見せたイメージとは好対照であった。

ブッシュ大統領の最初の4年間、従順な妻はまさしく従順に振舞った。ローラが行わなかったことの一つは、合衆国愛国法(USA PATRIOT Act)が図書館と市民に与える脅威に対して、反対の声を上げる同僚の図書館員たちの輪に加わらなかったことだ。彼女だけではない。ワシントンを根城に活躍するジャーナリスト達は、国民が問題視するようになるまで、愛国法の危険性についてほとんど何も書かずにいた。

反対意見を封殺し情報公開法を弱体化させる事例を確立させて憲法を軽視するブッシュ政権に対して、ローラ・ブッシュは反対を唱えることもできた。しかし彼女はそうしなかった。

イラク、アフガニスタン、グンタナモでの囚人虐待について、ローラ・ブッシュは批判することもできた。しかし彼女はそうしなかった。囚人虐待を黙認する覚書を書き、囚人にジュネーブ条約を適用しないというアルベルト・ゴンザレスが、大統領により司法長官に指名された際、ローラ・ブッシュは異論を唱えることもできた。しかし彼女はそうしなかった。判事の任命には、宗教上、政策上の理由ではなく判事としての適正が検討されるべきと主張することもできた。ジョン・ボルトンの国連大使指名が、世界の人々にとって『顔面に』平手打ちをされるほど不名誉であると言うこともできた。テキサス生まれの上院院内総務トム・ディレイ議員の欠落した政治倫理性を批判することもできた。しかし、それら全てにおいて、ローラ・ブッシュは声を上げなかった。

政治的動機によるイラク侵攻が大統領側近達による一連の嘘を元にしたもので、大統領もその嘘を国民に繰り返していたことがわかった際、ファーストレディは声を上げることもできた。しかし彼女はそうしなかった。

夫が世界のあちこちを気取って歩き、テロが減少したのは自分のおかげと宣言しながら、実際には2003年から2004年の間に世界中でテロが急増していることが判明した際、ローラ・ブッシュは夫の宣言を非現実と言うこともできた。しかし彼女はそうしなかった。

何億ドルもの国土防衛基金を政治資金に転用し、無能故に無実のアメリカ国民に嫌がらせを繰り返す運輸保安局のような政府機関に対して、ファーストレディは批判することもできた。しかし彼女はそうしなかった。

教育にもっと予算を割いたり、全国民に医療保険を提供したり、労働者の権利や環境破壊について声を上げることも、ファーストレディには可能だった。わずか1%の金持ちのために、国民に対して今後10年間で1兆ドルもの負担を強いることになった減税政策に、ローラは反対することもできた。しかし、彼女は何もしなかった。

キリスト教的慈善精神は信者以外に対しても適用されるべきで、あるいは信心こそ唯一の道徳的方法とばかりにブッシュ政権を支配する少数の狂信者によって骨抜きにされるべきではないと声を上げることもできた。しかし彼女はそうしなかった。

これまでの5年間、国民の注目を集める場所で、ローラ・ブッシュができることはたくさんあった。しかし、従順な妻が選択したのは、ジョークを暗唱することのみである。ゴマすり上手なワシントンの記者たちは、タキシードとガウンの下に下心を潜めながら、暖かく微笑み、ジョークを漏らさず記録し、お気軽な記事を書き、国内のほとんどのメディアは、その記事を繰り返し配信することになった。(以上)

2005/05/09

「アルカイダのナンバー3を逮捕」は間違い?

まずは、英BBC2005/05/04付け記事冒頭を以下に翻訳して引用する:

パキスタン政府、アルカイダ幹部を拘束( Pakistan 'catches al-Qaeda chief')

パキスタン政府は、アルカイダ幹部のリビア人、アブ・ファラジ・アル・リビ容疑者を逮捕したと発表した。リビ容疑者はアルカイダのナンバー3と言われており、パキスタン大統領暗殺を企てた件で手配されていた。米大統領ジョージ・W・ブッシュは今回の拘束について「テロとの闘いにおける重要な勝利」と説明した。(以下略)


上の記事から4日後に配信された、英サンデータイムズ紙2005/05/08付けの記事を以下に翻訳引用する(リンク、強調は訳者による)

「拘束されたアルカイダ幹部、身元誤認か」(Captured Al-Qaeda kingpin is case of ‘mistaken identity’)

先週、パキスタン情報部によりアルカイダ幹部とされる人物が拘束された件は、ブッシュ大統領から『テロとの闘いにおける重要な勝利』と歓迎された。しかしながら、欧州の情報専門家によると、拘束されたアブ・ファラジ・アル・リビ容疑者はアルカイダナンバー3などではなく単なる中堅メンバーであり、或る情報筋の言葉によれば『組織における半端者達の1人』に過ぎないとの事である。

先週水曜日にパキスタンで発表されたアル・リビの拘束劇は、合衆国内においては、オサマ・ビン・ラディン捜査における『大きな成果』であると説明されていた。

ブッシュはアル・リビ容疑者を「最高幹部」「アルカイダネットワークのまとめ役で最高計画者の1人」と呼んだ。コンドリーザ・ライス国務長官は同容疑者を「非常に重要な人物」と語った。しかし、ワシントンとイスラマバードで湧き上がった歓喜の声は、欧州のテロ専門家をおおいに驚かせている。専門家によれば、拘束されたリビア人はFBIの最高レベル手配リストには掲載されておらず、米国務省の掲げる『賞金』リストにも存在しなかったという。

一方で、別のリビア人はFBI手配リストに掲載されている。その人物、アナス・アル・リビー容疑者は、1998年の在東アフリカ米大使館爆破事件の容疑で手配されており、米国捜査当局者は二人を混同しているとみられる。当サンデー・タイムズ紙がFBIテロ対策局に、今回拘束された人物について照会したところ、FBIの担当者からは別のアル・リビー容疑者の資料が送付されてきた。

「(ファラジ)アル・リビは単なる中堅リーダーですよ」フランスの情報調査員でテロ資金網の専門家ジャン・シャルル・ブリザール氏は言った。「パキスタンと米国政府当局者は、彼の役割と重要度について完全に過大評価しています。彼はアルカイダ支部とパキスタンの地方イスラムグループのまとめ役以上の人物ではありません」

ブリザール氏によれば、拘束された(ファラジ)アル・リビ容疑者は、ビン・ラディンの側近アイマン・アル・ザワヒリ、911テロの首謀者ハリド・シェイク・モハマド、アナス・アル・リビー等のアルカイダ指導者達への連絡手段を持っていないという。

英国情報部では(ファラジ)アル・リビ容疑者と英国内工作員との電話連絡の証拠を握っているが、同容疑者が欧州でのアルカイダ作戦指令を行っているとはみられていないとのこと。

(ファラジ)アル・リビ容疑者が関与しているとみられる唯一の事件は、2003年に発生したムシャラフ大統領暗殺未遂事件であるという。昨年、同容疑者は、パキスタン政府から最高レベル手配犯として認定され、35万ドルの賞金がかけられていた。

欧州やアメリカの情報専門家達に連絡をとったところ、(ファラジ)アル・リビ容疑者がハリド・シェイク・モハマドの後任として幹部になったというパキスタン情報部の報告を知るものはいなかった。ビン・ラディンと以前親交があり、現在英国に住む或る人物は笑いながら答えた。「彼(ファラジ・アル・リビ容疑者)について憶えている事といえば、コーヒーを入れたりコピーをとったりしてた事ですね」(以下略)

『アルカイダのナンバー3を逮捕』はでっちあげなのか、誤解なのか?今のところ真相は不明である。

ところで、パキスタン情報部がアル・リビ容疑者拘束を発表した直後に、ブッシュ大統領はその成果を強調して以下の声明を世界中に配信した。

「(今回の)逮捕によって、アメリカや他の自由を愛する人々にとって直接的な脅威となる危険な敵は排除された」
(His arrest removes a dangerous enemy who was a direct threat to America and for those who love freedom.)

ブッシュ大統領は、ブレア首相への疑惑に揺れる英国民を選挙直前に安心させたかったのだろうか?

オサマ・ビン・ラディンひとくちメモ:FBIが公開している国際手配書の説明によると、オサマ・ビン・ラディンの公式容疑は1998年の在タンザニア米国大使館爆破等で、911同時多発テロに関する容疑は書かれていない。・・・ということは、FBIの考えでは、ビン・ラディンは911テロに加担していない?!

2005/03/22

北朝鮮の核物質販売先はリビアではなくパキスタン政府?

ワシントンポスト紙2005/03/20付け記事より。まずは記事冒頭を翻訳して以下に引用する。(記事中リンク及びテキスト強調は訳者による)

米政府、北朝鮮の核物質輸出で同盟国を惑わす(U.S. Misled Allies About Nuclear Export)

北朝鮮が核物質を輸出した相手は、リビアではなくパキスタン(North Korea Sent Material To Pakistan, Not to Libya)

by ダフナ・リンザー記者:ワシントンポスト紙2005/03/20付け記事

今年年頭、北朝鮮への圧力強化を目指すブッシュ政権は、アジア各国首脳に対して、北朝鮮政府が核物質をリビアに販売していたと説明していた。それは重要な新情報であり、北朝鮮が新たな核兵器開発を開発中であるという具体的疑惑を初めて提起するものであった。

しかし、北朝鮮の核物質取引の詳細について知る2人の政府高官の説明によると、それは米国情報機関の報告内容と異なるという。情報部の報告によれば、北朝鮮は、核兵器に転用可能となる六フッ化ウラニウムを、当初はパキスタンに販売していた。米国にとって重要な同盟国であるパキスタンは、その六フッ化ウラニウムをリビアに転売した。政府高官の話によれば、パキスタンが核物質を転売していた事実を北朝鮮が知っていたかどうかについて、米国政府は証拠を掴んでいない。

政府高官が匿名を条件に本紙に語ったところでは、パキスタンが核物質の売り手と買い手の両方の役割を演じていた事実は、アル・カイダ幹部捜索活動の協力者という役割の隠蔽のために秘匿されたという。また、北朝鮮とパキスタンの間でそうした取引が行われていた件は米国政府にとって真新しい事実ではなく、主権国家同士のビジネス関係として、過去数年間見過ごされてきたとのことである。

北朝鮮の核物質取引に関する報告の際、基本的な詳細情報を省いたブッシュ政権の政策は、北朝鮮の孤立化を目的としたが、同盟国をますます懐疑的にさせてしまったと、米政府高官は外交官はインタビューで話している。先月の米国政府の説明に呼応して、北朝鮮は周辺各国協議から離脱を表明した。

関係修復を試みるべく、コンドリーザ・ライス国務長官は現在東アジア各国を歴訪し、6者協議再開のために各国首脳の説得を図っている。(中略)

今年1月末から2月初旬にかけて、米国政府は関係各国に対し北朝鮮に関する報告を行った。それからまもなく、米政府関係者が匿名を条件にワシントンポスト紙に話したところでは、北朝鮮が六フッ化ウラニウムをリビアに販売したとのことだった。その高官の説明では、アジア各国への報告会は、北朝鮮の核開発計画に関する交渉を鑑み、中国、韓国、日本との間で情報交換のために行われたということであった。

しかし最近、別の米政府関係者二人が本紙に語ったところでは、アジア各国への報告会は、中国と韓国が6社協議から突如離脱の意思表明をした直後に、大慌てで設定されたとのことである。報告会は大部分無駄なものであったが、北朝鮮政府との2国間協議を拒否するブッシュ政権は、そうした会談が北朝鮮の核開発を抑止する重大な役割を果たすと主張している。

パキスタンの取引に関する新たな詳細情報に関して、ホワイトハウスは言及を避けている。政権幹部の対応によれば、米政府は「北朝鮮の核拡散活動について、正確な説明を行っている」とのことである。

アジア各国への報告では、パキスタン側の特定人物については言及されていないが、政府関係者の話によれば、パキスタンの原子物理学研究第一人者アブドル・カディル・カーン博士のネットワークが使われたと明言されていたという。しかし報告会では、核物質がパキスタンによって購入され、北朝鮮から輸出される際もパキスタン政府所有のコンテナが使われている件を米国情報部が掴んでいる件は示されなかった。

また、六フッ化ウラニウムが或るパキスタン企業を通じて輸出され、アラブ首長国連合を経由してリビアに持ち込まれた事実についても、米政府は報告していなかった。それら事実は、リビアを独自調査していた国際原子力機関の説明と一致する。リビアは核兵器開発を2003年12月に断念している。

米国政府にとって、パキスタンはアル・カイダ幹部捜索活動において主要な役割を担うようになっているが、カーン博士がかつてムシャラフ政権の閣僚に名を連ね、同国の核開発に協力していた件について、ブッシュ政権はムシャラフ大統領に未だ説明を求めていない。

「米国の利益を損ねている最中のパキスタンに、米政府はやりたい放題させていたんです」2003年8月までブッシュ政権の北朝鮮特使を務めたチャールズ・L・プリチャード氏は語っている。「同盟国はそうした全体像を把握しているので、我が国の信頼性は揺らいでいる」
(記事引用ここまで、以下略)

米情報部と協力してビン・ラディンとアル・カイダ幹部捜索を行っているパキスタン政府機関といえば、パキスタン軍統合情報局(ISI)であることは誰でも知っている。今回のワシントンポスト記事の情報源は、まるでISIが北朝鮮との取引に関与しているとでも言いたげだ。

仮にパキスタン政府関係者、もしくはISI関係者が北朝鮮・パキスタン間の取引にも関与しているとすれば、CIA/ISIのアル・カイダ捜査活動の内実---ブッシュ政権にとって非常に都合悪い情報を含む---が北朝鮮側に漏れている可能性も・・・いや、まさかそんなことはないだろう。ライス国務長官が北朝鮮との2国間協議や経済制裁を避けているように見えるのは、単に慎重に行動しているだけのことだ。

過去に遡ってみよう。911同時多発テロ事件が発生した後、米情報部とISIは共同捜査を行うと宣言したが、直後の10月に、パキスタン側は当時のISI局長ムハマド・アーマッド将軍を更迭した。更迭理由は、ハイジャック犯の1人、モハメド・アッタ容疑者への資金提供疑惑といわれている。(911テロの朝、ワシントンでは上院・下院情報委員会の朝食会が開催されていたが、そこには、上院情報委員会委員長ボブ・グレアム議員と、ISI局長ムハマド・アーマッド将軍、そして偶然にも、当時の下院情報委員会委員長で現CIA長官のポーター・ゴスが同席していた

ビン・ラディン、タリバン、アル・カイダ、ムジャ・ヒディン・・・これらは全て、元々CIAとISIが大切に支援・育成してきた軍事ネットワークである。ISI幹部がアル・カイダと親密だからといって、米政府はそれを簡単には批判できない。ましてやパキスタンのムシャラフ将軍は米国の軍事産業にとって大切なお客様なのだ。

そんなわけで、米国はパキスタンの裏ビジネスに対して、もっとポジティブな態度で付き合うようになったのだろう。“北朝鮮から核物質輸入?うーん、まあいいや。その代わり転売先を教えてくれたら、悪の枢軸国認定作業が楽になるんだけどね”とか何とか。以上、本日の妄想終わり。

2005/03/16

史上空前のプロパガンダ:ニセのニュースで国民を欺くブッシュ政権

3月13日、ニューヨークタイムズ紙の一面トップに、ブッシュ政権のプロパガンダ政策を暴露する調査報道記事が掲載され、全米のジャーナリズム界で大きな話題になっている。(大手新聞社がこのような話題で大量に紙面を割くのは極めて珍しいのではないかと思う)

話題の記事はタイムズ紙ウェブサイト上で公開されているが、8ページに及ぶ大特集であり、いつものように全文翻訳するにはちょっと大変・・・というわけで、とりあえずこのスクープを要約したアメリカン・プログレス基金のDaily Talking Points2005/03/14付記事を以下に翻訳引用する(記事中リンクは訳者による)

ニセのニュースで国民を欺くブッシュ政権(Bush Administration Deceives Public with Fake News)

アメリカン・プログレス基金のDaily Talking Points20050314付記事

先週末、ニューヨークタイムズ紙は、ブッシュ政権が大規模な公的資金の不正使用により、各放送網で政府プロパガンダを配信している事実を特集報道した。過去4年間の間に、少なくとも政府内20の部局が、何百ものニセテレビ報道フィルム製作に関わっており、そのフィルムの多くは、政府機関が主宰している事実を知らせぬままに、次々と全米各地の地域テレビ放送網で配信されたという。

  • ブッシュ政権は、ニセの政府PRフィルムを制作する費用として、これまでにおよそ2億5,000万ドルを納税者のお金で賄っている。2001年にブッシュ大統領が着任してから、ホワイトハウスは少なくとも2億5,400万ドルをニセのニュースフィルム制作や他のPR活動に投資してきた。保険社会福祉省によって実施され、先に暴露された悪名高き放送フィルムでは、PR企業役員を務めるカレン・ライアンが記者のフリをして、当時の福祉省長官トミー・トンプソンにインタビューを行っている。会計監査院(GAO)の調査によれば、その報道フィルムは“地方の放送局が取材した報道と見分けがつかないように”PR企業が企画・制作を担当したとのことである。
  • ブッシュ政権は、政府による“偽装宣伝”への制限取り決めを故意に違反している。無党派である会計監査院と議会調査局は、“政府が製作元である事実を、視聴者に知らせず、あるいは明確に表示しないように”仕組まれたニュース報道の制作に連邦政府機関が関わることを禁じている。この制限に対するブッシュ政権の対応は?タイムズ紙の金曜版報道によれば、“全ての行政機関に対して、会計監査院の結論を無視する旨を指示した覚書が、司法省と行政管理予算局の間で交わされていた”。
  • 議会もしくは裁判所は、ブッシュ政権に対して、税金の不正使用を止めるよう早急に干渉するべきである。立法機関、司法当局は、行政機関に対して国民を欺く行為を止めるよう、立法機関としての業務を行使すべきである。こうした行政権の乱用は、米国民に対する侮辱であり、我が国の民主主義の基本理念を侵害するものである。もしブッシュ大統領が、自ら公言する“民主主義の伝播”を自国において順守するためにお金を使わないというなら、他の政府機関が介入して大統領に注意すべきだ。
ホワイトハウスの情報工作員達(いずれも保守派批評家)ホワイトハウスからコッソリお金を受け取っていた保守派評論家達(上から)
アームストロング・ウィリアムズ(教育省から24万ドルもらってブッシュの“落ちこぼれゼロ法”を賞賛)/
マギー・ギャラガー(保険社会福祉省から2万1,500ドルもらってブッシュの“正しい結婚”政策を賞賛)/
マイケル・マクマヌス(保険社会福祉省から1万ドルもらってブッシュの“正しい結婚”政策を賞賛)

イラク戦争開戦前、ブッシュ政権の情報を鵜呑みにした報道を行ってきた件で読者に謝罪したニューヨークタイムズ紙としては、自らも政府広報紙と罵られないために、思い切って一歩踏み出したという感じである。(暴露されたプロパガンダ放送の一部は、デモクラシーナウ!の特集でも見ることができる)

さて、タイムズ紙の会心の一撃にたいして、ブッシュ政権はすでにCNN放送において「政府プロパガンダに法的問題なし」と強弁している。(相変わらずのCNNスタイル・・・“政府に問い合わせたら問題ないと言われました!”というパターンである)

先だって暴露された政府プロパガンダ工作の一部、ジェフ・ギャノン事件はどうなったか?同事件を重大視する議員達から調査要求が出され、慌てたホワイトハウスは、これまでの態度を一変させ、定例会見への参加資格を大幅に緩和して(これまでは、例えばNYタイムズ紙寄稿ジャーナリストすら参加拒否される厳しさだった)あたかもホワイトハウス記者会見が“広く国民に開かれている”かのように演出し、当該事件を追求する事は“ジェフ・ギャノンという同性愛者への個人攻撃である”という形に議論をスピンさせ、大量の保守派要員(ブロガーを含む)を動員して真相の隠蔽に邁進している。(CNN放送のウォルフ・ブリッツアが行った報道などもこうした“印象操作”の典型例である)

言うまでもなく、ジェフ・ギャノン事件の焦点は、記者としてのバックグラウンドの全くない人物が、偽名を使って取材許可証を入手し(前ホワイトハウス報道官アリ・フライシャーも驚いている!")、米情報部の極秘情報を簡単に入手した経緯(CIA工作員漏洩の件以外にも、ギャノン氏はイラク侵攻時期について公表前に知っていたと、そうした偽装活動の資金提供者が大統領に極めて近いポジションに居るという点なのであり(ジェフ・ギャノンの雇い主は大統領次席補佐官カール・ローブの知人、その人物の性癖が焦点ではないのである。(とはいえ、ギャノン氏が行っている大規模なゲイ売春サービスは、州法次第では違法スレスレであり、“倫理価値”を重視すると喧伝するホワイトハウスにあっては、問題とされてしかるべきであるが・・・)

ワシントンポスト紙の3月14日付け報道によれば、最近のブッシュ大統領は公的な場でジョークやギャグの回数を増やし、“親しみやすいテキサス人”という人物像を前面に押し出して上機嫌でいるという。さらに先日ホワイトハウスは、熱心な聖書原理主義者で“ジョージの母親役”カレン・ヒューズを、米国の広報外交(つまり、海外向けプロパガンダ)を担当する国務次官として再雇用すると発表している。どうやら、ブッシュ政権の“人形遣い”カール・ローブは、FOX、CNN他放送網の手を借りて、さらに大掛かりな印象操作(perception management)で事態を乗り切るつもりらしい。

2005/02/28

米国18の州でロケット燃料の成分を含む母乳を確認

LiveScience™2005年2月24日付け記事より。以下に全文を翻訳して掲載。(記事中リンクは訳者による)

18の州でロケット燃料の成分を含む母乳を確認(Rocket Fuel Chemical Found in Breast Milk of Women in 18 States)

By ロバート・ロイ・ブリット(Robert Roy Britt)LiveScience上級記者:LiveScience™2005年2月24日付け記事

ロケット燃料に含まれる有毒成分が、全米18州の女性の母乳や、店頭販売されている牛乳から発見されている。

問題の成分である過塩素酸塩(perchlorate)は、成人の新陳代謝を妨げたり、胎児等の発達を遅らせる原因にもなる。この成分は、各地の米軍施設から地下水に浸出しているとみられる。

以前行われた研究では、過塩素酸塩は飲料水やレタス、牛乳にも見つかっている。

今週発表された調査により、過塩素酸塩汚染問題はより拡大することになると科学者達は懸念している。

テキサス工科大学の研究員達は、全米18州から集められた36の母乳サンプルと11州の店舗から購入された47種類の牛乳サンプルを調査した。その結果、ひとつの牛乳を除き、全ての母乳・牛乳サンプルが過塩素酸塩を含んでいることが判明した。もっとも高い含有率を示したのは、ニュージャージーの女性の母乳であり、以下ニューメキシコ、ミズーリ、ネブラスカ、カリフォルニアと続く。

調査結果の詳細は、米国科学界(American Chemical Society)の機関紙、Environmental Science & Technology紙のオンライン版で見ることができる。調査はテキサス工科大学生化学者プネンドゥ・ダスグプタ氏の主導で行われた。

「早急に過塩素酸塩汚染の実態を掴むべきです」カリフォルニア上院議員のディアンヌ・ファインスタインは声明を発表した。「そして、米環境保護庁(EPA)は、米国民の健康安全を保護するための飲料水水質基準を早急に設定する必要があります」

全米の飲料水汚染地図

米国における過塩素酸塩による飲料水汚染の分布状況(source

調査結果の詳細
過塩素酸塩は自然界にも存在するが、軍需用もしくは花火などの固体ロケット燃料の主成分でもある。科学者の見解では、過塩素酸塩は人体組織に長く蓄積することはないが、母乳には蓄積すると推定されている。

同成分を過剰に摂取すると、甲状腺でのヨウ化物摂取を妨害し、成人では新陳代謝を低下させ、児童の成長阻害を起こすと科学者らは説明する。

胎児の場合、知的障害の原因となったり、聴力障害や会話障害、運動神経の低下が起こる可能性がある。

母乳サンプルにおける過塩素酸塩の平均含有率は、1リットルあたり10.5マイクログラムであった。牛乳における過塩素酸塩の平均含有率は1リットルあたり2.0マイクログラムであった。決定的な国内基準は存在していないが、米環境保護庁の推奨する飲料水の水質基準における限界含有率は1リットルあたり1.0マイクログラムである。

また、今回の調査では、過塩素酸塩の多く含まれる母乳が実際にヨウ化物の濃度低下に関係していることが発見された。ヨウ化物の濃度が低下すると、授乳期の女性の場合には甲状腺機能障害を発生させる可能性がある。科学者らは、データ不足を認めているが、ダスグプタ氏と同僚の説明では、調査で発見された事例は、“懸念すべき低濃度”であるという。

ダスグプタ氏らは、妊婦や授乳期の女性に日常的に必要とされるヨウ化物の基準をより高く改訂すべきとしている。

前環境保護庁の化学者で、今回の調査に加わらなかったエド・アーバンスキー氏は、調査によって行き過ぎた警告があってはならないと話している。

「より多くのサンプルを試さなければ、今回の発見が決定的なものかどうか見極めるのは困難である」アーバンスキー氏は言う。

飲料水に含まれる
先に行われた調査では、全米で少なくとも1,100万人分の飲料水に、過塩素酸塩が含まれていることがわかっている。同物質はコロラド川に含有しているが、その川の水はロスアンゼルス、フェニックス、ラス・ベガスで飲料水として供給される他、全米の70%のレタス栽培用の水としても使われている。この問題については、民間の環境調査団体Environmental Working Groupが、テキサス工科大学の化学者との協力の下で2003年に調査した結果判明している。

全米科学アカデミーの主宰する米国学術研究会議(NRC:National Research Council)が1月に発表した総合研究では、その危険性を評価する試みが行われているが訳注1、化学者らは含有量の安全基準について議論を続けている。

他にも、1月にロシアで公表された研究によると、ロケットの打ち上げが行われているカザフスタンのバイコヌール宇宙センター近郊に居住する子供は、他地域の子供に比較して、医者にかかる率が2倍であることが判明している。(以上)

訳注1)全米科学アカデミーが1月に発表した研究報告は、ホワイトハウスと国防総省の圧力により、飲料水に含まれる化学物質が人体に与える悪影響を大幅に軽視した内容に改ざんされていた事実が、市民団体の公文書調査により判明している。

2005/02/17

ジェフ・ギャノン事件:共和党活動とゲイ専門売春を兼務するスキンヘッド男はいかにしてホワイトハウスに自由に出入りできたのか?

ブッシュ大統領の記者会見に偽名を使って出席し、現政権に極めて都合の良い歪曲発言をするニセ記者が、密かに共和党から支援を受けた熱心な保守派活動家で、しかも本業がゲイ専門の売春夫としてホワイトハウス内部に顧客を抱えているかもしれないとしたら、それは共和党支持者が唱えるスローガン「道徳的価値感(moral values)」に背反するだろうか?

これこそ、現在ホワイトハウスを中心に進行している、一大スキャンダルの内実なのである。

2005年1月26日、ホワイトハウスの大統領記者会見で、タロン・ニュース(Talon News)社のジェフ・ギャノンという記者が、ブッシュ大統領に以下の質問をした

「上院の民主党議員団は米国の経済状況について極めて暗い見通しをしています。(上院少数党総務)ハリー・リード(民主党・ニューヨーク)議員は景況が水増しされてるといい、ヒラリー・クリントン上院議員(民主党・ニューヨーク)は経済が破綻寸前であると評しています。それなのに同じ口で彼等は社会保険システムが強固で破綻の危険性はないと言ってます。一体どうやって・・・(ブッシュ政権は)国民全てに援助の手を差し伸べると仰いますが、このような現実からかけ離れた人々とどうやって協力し合うことができるんでしょうか?」

大統領会見でのジェフ・ギャノン

大統領会見で質問(?)するジェフ・ギャノン

この奇妙な質問(というより党派的な主張)をする記者訳注1---共和党側の主張を正しいとし、民主党側の主張を“現実離れ”と歪曲し批判するジェフ・ギャノンという人物は、報道記者としてのバックグラウンドは一切なく、共和党テキサス支部の支援を受けた保守派の活動家であることが、メディア監査団体Media Matters for Americaの調査により暴露された。

しかも、このジェフ・ギャノンという名前は偽名で(本名はジェイムズ・D・ガッカートJames D. Guckert)、本来はインターネットでHotMilitaryStud.com, MilitaryEscorts.com、MilitaryEscortsM4M.comというハードコアな米軍人ゲイ男性専門サイトを運営し、ゲイ男性専門の売春サービス業を営む人物であることが判明した。(ジェフ・ギャノン自身もネット上で全裸となって自慢の肉体を披露し訳注2、1時間200ドルでサービスを販売している

ブリーフ一枚のジェフ・ギャノン

ブリーフ一枚で誘惑ポーズのジェフ・ギャノン。本人運営のWebサイトに掲載されていた写真。バレないと思っていたんだろうか?

通常なら、ホワイトハウスの記者会見に出席を許されるためには、事前にFBIによる人物調査を受けるはずだが(偽名など許されるはずもないし、そもそも通常のジャーナリストも入場できないほど制限が厳しい)、ブッシュ政権とテキサス共和党の特別な計らいにより、ジェフ・ギャノンは2年前からノーチェックでホワイトハウスに出入りしていた

しかもこのゲイ売春サービスのプロフェッショナルは、スコット・マクレラン大統領報道官とは顔見知りではないかとの疑惑がもたれている。過去2年間、ホワイトハウスでの通常会見で、マクレランは政権に都合良い発言をさせるべく、記者席のジェフ・ギャノンを何度も指名しているが、マクレラン報道官本人は当初関与を否定していた。しかし、疑惑が持ち上がった直後のホワイトハウス記者会見で、緊張した報道官はジェフ・ギャノンの本名を知っていたとウッカリ自白してしまった

慌てまくった報道官は疑惑を否定するコメントを再度発表したが、いつもは冷静沈着なマクレラン氏の焦る姿に疑惑は深まるばかりである。(ブッシュ政権の反同性愛政策を熱心に説いているマクレラン報道官は、実のところ地元テキサスでは同性愛者と噂されている。しかもマクレラン報道官の結婚式に、ジェフ・ギャノンは実名でお祝いカードを贈っている。)

しかしこれだけなら、ブッシュ政権が国民の税金を使って実施しているプロパガンダ工作のごく一部が暴露されたにすぎないし、同性愛者の権利剥奪に熱心なブッシュ陣営が、共和党支持のゲイ層に対してはお得意の“思いやりある保守主義”を発揮したとしても何ら問題ではない(政府から報酬をもらってブッシュ政権を賞賛する極秘任務を担っている保守派評論家アームストロング・ウィリアムズも同性愛者である)。ジェフ・ギャノンの雇用主であるGOPUSA社CEOのボビー・エベール氏が、同性愛者を蛇蝎の如く憎んでいるキリスト教原理主義者であるという事実もたいした問題ではない。(人生も社会も矛盾に満ちているものなのである!)

しかしジェフ・ギャノンの秘密はこれに留まらなかった。このニセ記者は、先ごろ問題となったCIA工作員氏名漏洩事件の元となった、ホワイトハウス内部の実名暴露工作直接関わっている可能性が高いのである。ブッシュ大統領に忠誠を誓うだけで、身元不明の第三者が国家機密まで入手できる仕組みになっているとしたら、国家安全上の大問題ではないか。

かつてモニカ・ルインスキー事件報道に狂喜乱舞した米大手メディアは、今のところジェフ・ギャノン事件に対しては本人に自己弁護の機会を提供する以外はほとんど無視の構えで、事態の沈静化を図っている。

(訳注1)米国の経済状況と社会保険に関する共和党・民主党の主張は簡単にまとめると以下のとおり。
共和党側の主張
米国経済は極めて順調なので社会福祉予算は大幅削減すべきであり、社会保険システムは破綻するので民営化することにより、大量の個人資金が株式市場に流れ経済が活況を増す。
民主党側の主張
米国経済は悪化しているので貧困層への公的支援を強化すべきであり、社会保険システムは今のところ破綻の危機に直面していないので、民営化により公的支援を打ち切るのではなく、適正化すればよい。

(訳注2)ジェフ・ギャノンの大胆な姿はブログで晒されている。(警告:リンク先には一部成人向けアダルト・コンテンツが含まれている可能性があります。いずれも当該事件に直接関わっているリソースですが、興味のない方には気分を害する内容なのでクリックしないでください)

2005/01/24

数字で考える大統領就任式

大統領就任式に臨むブッシュ犯罪家族

就任式でのブッシュと娘達。明らかに二日酔いの欠伸をするジェンナ・ブッシュは大学を卒業後ワシントン地区の公立小学校で教員の仕事に就くと報道されたが、当の小学校校長は、人件費抑制のため大統領の娘の採用を拒否したとのこと。ブッシュ自身の教育政策「落ちこぼれゼロ法案」により公立学校の予算が大幅削減され、全米の公立学校で教員が大量解雇され始めているわけで、ジェンナもその1人となったわけだ。(source)昨年の共和党大会に参加したブッシュ娘達は、シークレットサービス他付き人を20人ほど引き連れて夜のニューヨークで飲み歩き、一つの店で4,500ドル(約46万2,194円)分のウォッカを仲間と飲み干したという酒豪ぶりが地元紙に暴露された。

Center for American Progress2005/01/20付けレポート「Inauguration: Lifestyles of the Rich and Heartless(大統領就任式:冷酷な金持ち達の生活スタイル)」より。大統領就任式の費用にまつわる数字を以下に抜粋:

4,000万ドル
ブッシュの大統領就任イベント費用(セキュリティ費用は除く)

2,000ドル
1945年当時のルーズベルト大統領就任式の際に連邦政府から支出された費用。現在の価値に換算すると約2万ドル。(訳注:第二次大戦時のため、大統領自ら質素な式典を申し出た)

2万ドル:
今回の大統領就任式のためにワシントンDCのホテル・リッツカールトンが購入した黄色いバラの費用。

200台
今回の大統領就任式に寄せられた企業献金で、イラクに駐留する米兵が乗車するための、装甲を施した高機動多目的装輪車が200台購入できたかもしれない。

1万ドル
フェアモント・ホテル(ワシントンの高級ホテル)の大統領就任式観客向けの宿泊パック料金。料金にはベルーガ・キャビアとドンペリニヨンの費用、運転手付きロールスロイスに、黒サングラスと無線機を装着した、シークレットサービスのフリをした俳優を二人同乗させるサービスを含む。(訳注:このホテルには愛国者宿泊パッケージなんてのもある!)

400ポンド
マンダリン・オリエンタル・ホテル貸切の大統領就任式記念パーティのために用意されたロブスターの重量

3000個
マンダリン・ホテルで用意された「ローラ・ブッシュ・カウボーイ・クッキー」の個数

1ドル
カーター大統領就任パーティに必要だった、ゲスト1人あたりの食事料金。支出を抑えるために、カーター大統領が用意したのはプレッツェル、ピーナッツ、クラッカー、チーズ、それに現金払いの飲食カウンターだった。

2,200万人
ブッシュ大統領就任イベントに必要なお金が災害支援に転用されたとしたら、スマトラ沖大地震の津波被害を受けた地域の児童2,200万人分のワクチンと医療サービスを賄うことが可能だった

116万人
ブッシュ大統領就任イベントに必要なお金が難民支援に転用されたとしたら、アフガニスタンに住む少女116万人分の学費(1年分)を賄うことが可能だった

1万5,000ドル
自分の持ち物を空港まで持ってくるのが面倒な客が、ホテルリッツでパーティに出席するために毛皮のコート貸し出しサービスを利用する際に支払う料金

20万500ドル
ワシントンDCにあるマンダリン・ホテルの提供する大統領就任式期間特別スイート宿泊パッケージ料金。メルセデス・リムジン送迎とニーマン・マーカス(高級デパート)提供の正装付き。

2,500人
ブッシュ大統領の宣誓式で警護のために立たされた米軍兵士の人数。

2万6,000人分
大統領就任式費用の4,000万ドルで、イラクとアフガニスタンに駐留する米兵2万6,000人分の防弾チョッキを購入することも可能だった。

290ドル
大統領就任式のために集まった献金で、イラクに駐留する米兵全員に290ドルのボーナスを支給することも可能だった。

630万ドル
金融・投資業界から大統領就任式に贈られた献金総額。全献金額の25%を占めた。

1,700万ドル
ホワイトハウスがワシントンDC側の費用として請求した大統領就任式のセキュリティ費用。

9パーセント
ワシントンDC住民の内、2004年度選挙でブッシュに投票した比率。

66パーセント
今回の「過剰な」大統領就任式イベントの規模を縮小すべきと回答したアメリカ国民の比率

2004/09/07

オクトーバー・サプライズ:オサマ・ビン・ラディン拘束済み?

8月上旬に、パキスタンの北部(チトラルとペシャワールの近辺)で、パキスタン治安警察がオサマ・ビン・ラディンを拘束した」という未確認情報がネットに出回っている。

これは単なるデマだろうか?この情報の指す拘束時期を考えると、全くのデタラメとも言い難い。


ジョセフ・コーファー・ブラック

元CIAの“テロ対策コーディネイター”コーファー・ブラック:「オサマ拘束は迫っている」

すでに過去記事で触れたとおり、パキスタン政府は7月にブッシュ政権から「アルカイダ幹部の拘束」を依頼され、ブッシュ再選チームに有利な7月末に、約束通りアルカイダ幹部(アフメド・ハルファン・ガイラニ)の拘束を発表している。ガイラニの拘束時に、オサマ・ビン・ラディンも同時に拘束されて、すでにパキスタン政府施設に監禁中という可能性は充分ありえることだ。

偶然にも、この未確認情報が出回った直後の9月3日、AP通信が重要な情報を配信した。米政府のテロ対策コーディネイターであるコーファー・ブラック氏(元CIAエージェント)が、その日に行われたパキスタン政府とのテロ対策会議直後に「オサマ・ビン・ラディン拘束は間近」と自信タップリに取材に答えていたというのだ

仮にオサマ・ビン・ラディン拘束のニュースが10月中旬に配信されたら、ブッシュ再選支持率は急上昇するだろう。それでも支持率が期待以上に伸びなければ、ブッシュは再び国内テロをでっち上げて・・・今度はイラン政府に罪をなすりつけるかもしれない

2004年も残り4ヶ月・・・またしても不安な年末が近づいている。

2004/08/01

7月のサプライズ:パキスタンが予定どおりアルカイダ幹部を拘束

デモクラシーナウ2004年7月30日付ニュースより。

前もって予告されていたとおりパキスタン政府がアルカイダ幹部を拘束というニュースが世界を駆け巡った。拘束されたのは、ケニアとタンザニアの米大使館同時爆破事件(98年)の主犯とみられる人物、アフメド・ハルファン・ガイラニで、FBIの掲げる22人の国際指名手配テロリスト中、最重要人物の1人として、ビン・ラディンと同じ額の2,500万ドルの賞金がかけられていた。

アフメド・ハルファン・ガイラニの拘束が発表されたタイミングは、民主党大会でジョン・ケリーが指名受諾演説を始める数時間前。しかし同容疑者が実際にパキスタン現地で拘束されたのは公式発表の4日前というから、ホワイトハウスの注文どおりの演出が行われた可能性は高い。ビン・ラディンが拘束されなかったのは、「お楽しみはこれから」というパキスタン軍事情報部の巧みな交渉術によるものかもしれない。

こうなると、いよいよ今年のオクトーバーサプライズの噂が現実味を帯びてくる。すでに11月の大統領選挙時に大規模テロが発生する可能性があると予告し、選挙の延期手順を模索しているブッシュ政権。ワシントンポスト紙の7月14日の調査では、米国民の55%がブッシュ政権のテロリズム対策を支持し、51%がテロ対策に関してケリーよりもブッシュを信用しているというから、10月にテロが発生すればブッシュ政権再選に有利に働くことだろう。

2004/07/15

ブッシュ政権破滅の序章?エンロン社元CEO、起訴される

2004年7月7日水曜日、不正会計を積み重ねて経営破綻した米国最大のエネルギー企業、エンロン社の元CEO、ケン・レイがようやく起訴され、手錠をかけられた。2001年12月の破綻から実に2年以上、ノラリクラリと捜査網から逃げ続けたこのテキサスの極悪経営者は、ブッシュ家のごく親しい友人で、ブッシュの2000年大統領選挙時における最大の献金者の1人でもある

テキサス州知事時代から、ジョージ・W・ブッシュはケン・レイを「ケニー・ボーイ」と愛称で呼んで、大口の政治献金に応えるべく、あらゆる便宜を提供してきたが、エンロン社が破綻してからは、このテキサスの友人との蜜月をひたすら隠蔽してきた。

しかし本人がいくら否定しても、ブッシュとケン・レイの間で交わされたラブレター(誕生日祝いから政治的話題まで記述されている)がウェブで公開されてしまっている現在では、トボけ続けるには無理があるのだ。
(大統領会見でエンロン問題を質問されたブッシュは、怒って退席してしまった

ケン・レイ逮捕でもうひとつ注目を集めるのが、チェイニー副大統領と「エネルギー計画書」である。ブッシュ政権が発足してすぐに、チェイニー副大統領は、ケン・レイを筆頭として、支援者である石油・エネルギー企業関係者をホワイトハウスに招集し、合衆国のエネルギー計画策定にとりかかった。副大統領が公開を拒み続ける計画書の中には、イラクの石油資源に関する地図も含まれていたことが、漏洩した極秘書類から判明している。つまり、ケン・レイはイラク戦争開戦の立役者の1人でもあるのだ。

ケン・レイの起訴はブッシュの他にも、トム・ディレイ共和党下院副院内総務に対する違法献金疑惑に波及している。また、アーノルド・シュワルツェネガーが州知事に就任できたのはケン・レイの密かな支援のお陰である。他にも、例えば牛肉問題で来日したロバート・ゼーリック米通商代表は、元エンロン社顧問だ。

ケン・レイの裁判が進行すれば、ブッシュ政権と議会にとって都合の悪い事実が次々に暴露されることだろう。問題は、裁判が無事進行するかどうかである。エンロン社他エネルギー企業各社の不正会計事件の調査では、これまでに以下のような事件で証人が死亡している

クリフォード・バクスター(エンロン社副会長、破綻前に辞職)
2002年1月25日、バクスター氏は自家用車の中で頭を撃ち抜かれた死体として発見された。彼はエンロン内部の不正会計と政治家との各種取引に精通する人物として、議会で証言する予定だった。事件は自殺として処理された。

ジェイムズ・ダニエル・ワトキンス(アンダーセン・コンサルティング社のコンサルタント)
2001年11月13日、ワトキンス氏は仕事から自家用車で帰宅する途中に行方不明になり、2001年12月1日、公園に停車された車の中で頭を撃ちぬかれた死体として発見された。事件は自殺として処理された。(アンダーセン・コンサルティング社はエンロン社に不正会計手法を教えた監査法人

ジェイク・ホートン(電力企業大手サザン・カンパニー社傘下ガルフ・パワー・ユニット社副社長)
1989年4月10日、ホートン氏は自社の不正会計を告発するつもりで、社用の航空機で役員会議へ出かけたが、離陸から10分後に搭乗機は爆破され死亡同社の不正会計を承認していたのは監査法人アンダーセン・コンサルティング社だった。つまりエンロン社の不正会計事件には元モデルがあったというわけだ

2004/07/13

ホワイトハウスからパキスタン政府へ:7月末にビン・ラディンを拘束してくれ!

The New Republic2004/07/09付け記事より。

ホワイトハウスがパキスタン政府に、ビン・ラディン、その代理人といわれるアイマン・アル・ザワヒリ、もしくはタリバンのムラー・モハマド・オマル(この三人は高価値の標的/high-value targets :HVTsとの略号で呼ばれている)の拘束を、せめて11月の大統領選挙までに、可能であれば7月末に実行してほしいと強力な圧力をかけているという情報が、パキスタン軍事情報部(ISI)関係者から暴露されているという。

この情報によると、ホワイトハウスがパキスタン政府に、これら重要テロリストの拘束時期として要請しているのは、7月26日から28日、---ボストンで開催される民主党大会の最初の3日間----とのことである。

この拘束要請に関して、ホワイトハウスがパキスタン政府に報酬として用意しているのは、F-16戦闘機の販売と、カーン博士(パキスタン政府の支援で核兵器を開発し、北朝鮮、イラン、リビアに販売している人物)の黙認であるという。

ところで、パキスタン政府とその軍事情報部は、ムラー・モハマド・オマールの組織を直接支援してきた実績がある。さらに、同時多発テロ直前の2001年9月10日から、ビン・ラディンはパキスタンの軍事病院で腎臓病の治療のため入院していたという情報もある。

果たしてパキスタン政府がホワイトハウスから依頼されたのは、ビン・ラディンの「拘束」だろうか?あるいは「移動」なのか?

2004/06/20

「アッシュクロフトは史上最悪の司法長官」byポール・クルーグマン

ニューヨークタイムズ2004/06/15付けコラムより。

人気経済学者ポール・クルーグマンのニューヨークタイムズ連載コラム最新版を以下に全文翻訳掲載しました。(文中リンクは訳者による)



歪曲された司法(Travesty of Justice)


by ポール・クルーグマン


もはや疑問の余地はない。ジョン・アッシュクロフトは史上最悪の司法長官だ。

今回は、アッシュクロフト氏のテロとの闘いについて焦点をあわせてみよう。911テロ事件以前、彼はテロの危険についてほとんど関心を示していなかった。2001年5月の司法省の優先事項に関するメモによれば、テロ対策について言及することさえなかった。911テロ独立調査委員会が彼にそのことを尋ねたところ、アッシュクロフト氏はクリントン政権を非難し、委員会のメンバーに対して個人攻撃を試みた。

アッシュクロフト氏の911テロ以降の政策が、テロリズムから合衆国を守ることになっているかどうかを直接判断することはできない。しかし多くの証拠から、それを推測することはできる。

まず第一に、大きな訴追がひとつも成功していない。重大にみえたテロ嫌疑訴訟も---「デトロイトの三人組」の件である---検察の違法行為に対する批判を巡り崩壊寸前だ。(訴訟を台無しにしたということで、検察官はアッシュクロフト氏を警告の意味を込めて告訴した。そのお返しに司法省は、検察官への捜査を開始している。復讐?それは読者の判断に委ねよう)

それに、大捕り物が何もない。どこかで、炭素菌事件の犯人は笑っていることだろう。しかし司法省は---皆さんもこれを知ったら嬉しくなるだろうが---ニューヨーク・バッファロー地区の美術教授を、無害のバクテリアがペトリ皿に含まれていたという件で、バイオテロリズム容疑で起訴するかどうか決定しようとしている最中なのだ。

おそらく、アッシュクロフト氏の性質を示すもっとも明白な事例は、仕事振りを批判された際のアッシュクロフト氏自身の対応だろう。彼の最初の行動は、証拠を隠すことだ。そして次に、ドラマティックにテロの危険性を宣言することで、話題を変えようとする。

アッシュクロフト氏が公的な検証を凍結した例として、例えばシーベル・エドモンズの件がある。彼女は元FBIの通訳官で、捜査当局の通訳部門が無能さと堕落に蝕まれていることや、FBIがテロ警告を無視した件で当局を告発した人物だ。2002年に、彼女は組織内部で行われた非公開の聴聞会で証言している。チャールズ・グラスレイ議員は彼女のことを「とても信頼できる・・・なぜならFBI内部の他の職員が彼女の証言の大部分を裏付けているからだ」と評していた。

しかし、司法省は滅多に使われることのない「国家守秘特権」を行使して、エドモンズ嬢が証拠を提出することを妨害した。そして先月、当局はFBIによって行われた2年前の聴聞に遡り、グラスレイ議員が言及した聴聞会の記録までを極秘扱いにした。

話題を変えるという事例では、ホセ・パディラ事件(アブダル・アル・ムジャヒル事件)を考えてみよう。2002年5月にパディラ氏が逮捕されたことについて公的な報告は何もされていなかった。しかし2002年6月6日、コリーン・ロウレイが議会証言で911テロ以前のFBIの失策について暴露し(アッシュクロフト氏にも報告済みだ)問題になった。4日後、アッシュクロフト氏はドラマティックな記者会見を開き、パディラ氏が国内テロ計画に関わっていたと報告した。ロウレイ嬢の告発の内容が注目される代わりに、ニュース誌は一斉に、アッシュクロフト氏が報告した「ダーティーボマー:放射性爆弾魔」が何千人もの人を放射能で殺す計画を立てていたという話題を報道した。

パディラ氏は「敵戦闘員」として拘束され、全ての権利を剥奪されていた。しかしニューズウィークがレポートしたところでは、「政権内の幹部が認めたところによれば、パディラ氏の拘束された際の容疑は---合衆国内で放射性爆弾を設置する専門家としてテロ組織から派遣されたという容疑---全くの間違いで、法廷にまで持ち込まれることもないだろう」とのことだった。

しかし最も重要なのは、あのメモのことだ。先週、アッシュクロフト氏は、明らかに議会を軽視すべく、2年前に用意されたという虐待に関するメモを公開することを拒否した。あいにく、彼の隠蔽作業は効果がなかった。ワシントンポストがメモのコピーを入手してウェブサイトで公開したからだ。

メモの大部分は虐待を認める内容だった---囚人を苦しめる痛みが「臓器の障害など、深刻な肉体上の損傷を与えるものでないかぎり」それは虐待ではないという内容である。とにかく、メモが表現していることは、虐待を禁じる連邦法は、敵戦闘員の尋問の際には適用されず、最高司令官の指示に従うべきであるということだった。言い換えれば、大統領は法律よりも上位に君臨しているわけだ。

メモの内容は日曜日(6/13)遅くに明らかになった。すると、アッシュクロフト氏は昨日(6/14)、記者会見を開いた。内容は、オハイオのショッピングモールを爆破しようと計画したという容疑で、ある人物を告発したというものだった。そのタイミングは・・・いや、全く、なんという偶然だろう。

2004/05/03

「消えていく投票」by グレッグ・パラスト

ネーション2004/04/29の記事より。またまたヘタな訳で申し訳ないが、以下に全訳を掲載する。



「消えていく投票」by グレッグ・パラスト

2002年10月29日、ジョージ・W・ブッシュは投票支援法(the Help America Vote Act, HAVA)に署名した。ママの手作りアップルパイを思わせる優しい名称の背後には、公民権の時限爆弾という、むかつく事実が隠れている。

まず最初に、公民権剥奪について話そう。2000年11月の大統領選挙に先駆けて、フロリダ州務長官キャサリン・ハリスは、州知事ジェブ・ブッシュと申し合わせながら、地元の選挙スーパバイザーに、選挙人名簿から57,700人分の名前---フロリダ州での投票を禁止されている前科者と見なされていた----を削除するように命じた。公民権が剥奪されることを予定されたその「ろくでなし名簿」リストの少なくとも90.2%は、実際には無実だった。驚いたことに、その半数以上---約54%は黒人もしくはヒスパニックであった。削除された人数について一晩中かけて議論してもよさそうなものなのに、自分の兄にホワイトハウスを譲るためにジェブ・ブッシュが命じたこの電気的人種虐殺行為について、議論が沸き起こることはなかった。投票支援法は、そうした公民権剥奪を祝福するだけでなく、同じような索敵殲滅作戦(サーチ&ディストロイ)をアメリカの50の州全ての脆弱な選挙民に対して導入させるものだ。具体的には、全ての州は、2004年選挙までに、フロリダ州と同じ選挙民リストのコンピューター管理システムを導入しなければならない。投票支援法は、50の州の州務長官---50人分のキャサリン・ハリス---に対して、「被疑者」から公民権を剥奪する権限を与えることになるのだ。

公民権剥奪だ。大変である。2000年12月、黒人有権者の公民権剥奪が英オブザーバー紙によって暴露されてから、全米有色人種向上協会(NAACP)の弁護士はフロリダ州を訴えた。市民権グループは、ジェブ・ブッシュ州知事とキャサリン・ハリス州務長官の後継者に、間違って選挙民リストから削除された市民の復帰を約束する書類を書かせることに成功した。チョイスポイント社(選挙民リストを管理している企業)によって法廷に提出されたデータによると、前科者とされたフロリダ市民の人数は91,000人に及んでいた。ウィリー・スティーン氏もその1人だ。最近、タンパ病院にあるスティーン氏のオフィスの外で、本人に会うことができた。彼の事例はわかりやすいものだった。前科のある者は病院に勤めることはできないからである。(私の手元にあるキャサリン・ハリス作成のリストによれば、オスティーンという前科者に名前が似ているという理由でウィリー・スティーン氏の投票権を剥奪していた)全米有色人種向上協会は、おぞましい投票権剥奪行為のもっとも顕著な事例として、スティーン氏の件を法廷に持ち込んだ。

州側は、スティーン氏の無実を認めた。しかし、全米有色人種向上協会が勝利した裁判から1年が経過しても、スティーン氏は投票することができなかった。なぜ彼は今になっても被疑者扱いされているのか?スティーン氏のことを「重罪犯罪者の可能性がある」とジェブは呼んだが、我々は彼について何を知っているだろう?我等が大統領と違い、スティーン氏は米軍で4年間兵役を経験している。正直なところ、彼が被疑者扱いされる理由はこれしかない:スティーン氏はアフリカ系アメリカ人なのだ。

黒人にとっては、アメリカで選挙に参加することは大きな賭けである。第一段階では、投票申し込みカードがあっさりと投げ捨てられる可能性がある。何百万人ものマイノリティ市民が「ドライバー投票者フォーム」によって投票申し込みをしている。(訳注:「ドライバー投票者法」と呼ばれ、忙しい労働者がきちんと投票する機会を得られるための法律)共和党員もそれは承知している。それら投票者たちが選挙民にカウントされていないという失敗が拡大しているという事実を、市民権委員会が発見したとしても、驚くことはない。私の情報源の報告によれば、選挙事務所には、そうした申し込み用紙がゴミと一緒に山積されているという。

第二段階では、投票申し込みをしたら、重犯罪者扱いされる可能性がある。フロリダ州では、キャサリン・ハリスのインチキな犯罪者リストに加えて、60万人もの住民が、同州での犯罪の前科があるという理由で、合法的に選挙権を剥奪されている。これは一つの州での話。合衆国全体では、有罪判決を受けた140万人の黒人男性は、投票することができない。これは国内の黒人男性全体の13%である。

第三段階になると、本当のギャンブルが始まる。1965年制定の投票権法により、アフリカ系アメリカ人には投票する権利が保障されている---しかし、その投票が数えられる権利については保障されていない。現実には、7件の投票のうち1件は数えられていないのだ。

ガズデン郡の例を見てみよう。ガズデン郡は黒人住民比率が58%で、フロリダ州の67の郡の中では最大の比率である。そしてガズデン郡は最大の「除外率」を誇っている。つまり、投票用紙は技術的理由によりはじかれるのだ。同郡では8人に1人の割合で投票はカウントから除外された。ガズデン郡の隣、レオン郡は大多数の住民が白人で、ほとんどの投票用紙はカウントされている(除外率は1/500)。

どうやって投票が除外されるのか?外見上、投票用紙に余分な記入がある場合はカウントから除外される。ガズデン郡では、名前にチェックを入れる代わりに、アル・ゴアと記入する人がいた。その投票はカウントされなかった。

ハーバード法律学校の教授で市民権委員会の会員、クリストファー・エドリー・ジュニア氏は、そうした除外の匂いがキライだった。そこで彼は、使用済みの投票用紙を掘り起こし、委員会の見つけた公式証拠を調べて、こう報告した:黒人票の14.4%---7人に1人---は「無効」、つまりカウントされなかった。対照的に、黒人以外の票の除外率は1.6%だった。

フロリダ州の選挙民の11%はアフリカ系アメリカ人である。フロリダ州は179,855人分の除外された票をカウントすることを拒否した。中学生レベルの代数学を駆使した結果、「除外」された票のうち、54%(97,000人分)は黒人の投票で、その90%以上はゴア支持者だった。黒人以外の票はゴアとブッシュで均等に割れていた。それゆえ、キャサリン・ハリスが票のカウントを許可すれば、アル・ゴアはおよそ87,000の得票差でフロリダ州を制していたのである。なんと、ブッシュがゴアを破った公式得票差の162倍だ。

フロリダの話はそこまで。ではアメリカ全体の話をしよう。2000年大統領選挙では、190万人分の票がカウントされなかった。ゴアと記入されていたり、投票機械の故障などなど、技術的な理由で「除外」されたのである。票がカウントされなかった理由はいろいろあるだろうが、ゴミ箱に廃棄された投票用紙には疑惑の影がある。ハーバードの専門家、エドリー氏のチームが、フロリダ州と同じように発見したことは---郡という郡、管区という管区ごとに---除外された投票用紙の数は、その地域の黒人住民数に正比例しているということだった。

フロリダ州の人種プロファイリングは国全体のそれに酷似している---黒人有権者の比率と、カウントされなかった投票の人種比率の両方において。「2000年のフロリダ州では、白人の投票に比較して、黒人の投票は10倍もカウントから除外される傾向にあった。」こう説明してくれるのは、エドリー氏の報告書を共著した、政治科学学者のフィリップ・クリナー氏だ。「国全体のデータから見ると、フロリダ州の事例は、驚いたことに、典型例なのです。白人有権者と非白人有権者の比率から、米国内でカウントされなかった投票のうち、およそ半数の100万人分が、非白人の投票とみられています。」

もうおわかりだろう。前回の大統領選挙では、黒人やマイノリティが投票したおよそ100万人分の投票用紙は捨てられたのである。2004年11月にも、同じように除外されるだろう。より効果的に、コンピューターによって---投票支援法と、その他インチキ改革施策は、複雑なIT化によって、説明されることもなく、カウントされない投票の人種バイアスをより悪化させているのである。

100万人の投票がどす黒い煙の中で消失していく。煙が晴れたら、ブッシュ一味は自らの政治生命を投票用紙の焚き火で暖めるのだろう。それではごきげんよう。(HAVA nice day)


2004/04/29

CIA工作員漏洩問題で被害者の元外交官が告発本を出版

元米外交官のジョゼフ・ウィルソン氏が、妻がCIA工作員であることを暴露された件で、ブッシュ政権告発本を出版する。

2004年5月1日発売の同書籍「The Politics of Truth: Inside the Lies that Led to War and Betrayed My Wife's CIA Identity」の中で、ウィルソン氏は、漏洩元であるホワイトハウス内の犯人名を暴露しているとのこと。これにより同事件捜査は大きなヤマ場を迎えることになるかもしれない。

リチャード・クラークの「Against All Enemies : Inside the White House's War on Terror--What Really Happened」(現在までの販売数325,358部)、ボブ・ウッドワードの「Plan of Attack」(現在までの販売部数182,727部)に続いて、書籍発売と同時にあらたな事実が明らかになるあたり、反ブッシュ活動は大きなトレンドと市場を作りつつあるようだ。

(販売部数情報はドラッジレポートより抜粋)

2004/04/28

「The Best Democracy Money Can Buy」最新エディションが発売

今世紀を代表する調査報道記者、グレッグ・パラスト氏のベストセラー「The Best Democracy Money Can Buy」(旧版は翻訳もあり:金で買えるアメリカ民主主義)の最新エディションが、2004/04/26に発売された。さっそく、ウェブで公開されているサンプルページを急いで翻訳して以下に掲載する。(稚拙な訳でもうしわけない)



「石油イカサマ師、ジム(ジェームズ・ベイカー)の介入」


(「The Best Democracy Money Can Buy」最新エディションより)

ニューヨークタイムズは読まないことにしてきたが、最近、衝動に駆られ、「亡くなった方」というタイトルの新しいコラムに目を通してみた。今日のリストにあるのは:“アービン・ダービッシュ、21歳、陸軍上等兵、フォートワース基地”

私は、ブッシュが石油のためにイラクへ国民を送り込んだなどという、ひねくれた人々とは違う。私にとって、サダム・フセインはいつもクルド人を虐殺したヒットラー髭のゴキブリ野郎だった。私はあの男は好きになれなかった---たとえ父ブッシュのために働いた時代があったとしても。

バグダッドの屠殺者が、テキサスのパトロンに雇われていた頃に、彼等のためにやってきた仕事を振り返ってみるのも悪くない。

1979:
米国の承認の元、権力を握る。冷戦時代にソビエトからアメリカに忠誠心を変えた。

1980:
米国の武器支援の下、当時「悪の一輪車」とされていたイランに侵攻。(公正を期するなら、この件の登場人物にはノーベル賞受賞者のジェームズ・カーター氏も加えられるだろう)

1982:
ブッシュ=レーガン政権は、米国のテロリスト支援国家認定リストからサダム政権を削除。

1983:
サダムがドナルド・ラムズフェルドをバグダッドに迎える。米国の軍事企業との協力関係に合意。

1984:
米商務省が、イラクに生物化学兵器として利用するためのアフラトキシン輸出ライセンスを問題視。

1988:
イラク、ハラブジャ地区のクルド人を毒ガスで虐殺。

1987-88:
米国戦艦がペルシャ湾のイラン石油施設を破壊、イランによるイラク船舶航路封鎖を解除させて、サダムのために戦争の下地をつくる。

1990:
米国の承認の下、クウェートに侵攻。


米国の承認?1990年7月25日、勢いに乗る独裁者は、米外交官で駐イラク大使のエイプリル・グラスピーとバグダッドで会談。サダムがグラスピーに、イラク石油のちょっとした首長権限をめぐってクウェートに攻撃を仕掛ける際に、アメリカが反対するかどうか確認したところ、このアメリカの使者はこう語った:「私たちに意見などありません。(国務長官の)ジェームズ・ベイカーが私を寄越したのは、指示を確認するためだけです。それはつまり、クウェートはアメリカと連合関係にないということです。」サダムは彼女の発言を録音していた。グラスピーは、1991年の議会証言で、父ブッシュがイラクのクウェート侵攻を承認したと世界中の外交官が見なすことになる録音について、その信憑性を否認できなかった。

ところで、国務長官だったベイカー氏は今どこに?逃げ出して、恥ずかしくて身を隠している?湾岸戦争症候群の犠牲者の看護をしながら、贖罪の日々を送っている?いいや。ベイカー氏は弁護士として大成し、ヒューストン、リヤド、カザフスタンにオフィスを持つ弁護士事務所、ベイカー・ボッツの創業者となった。彼のきらめく顧客リストには、エクソンモービル石油、サウジアラビアの国防相も名を連ねているのだ。ベイカー氏の事務所は、サウジアラビアからテロリストに送金されていたことを示す証拠を巡り、911同時多発テロの被害者遺族によって起こされた訴訟で、サウジアラビアの王族を弁護することになっている。

さらに、ベイカー氏は新しくオフィスを構えることになった---ペンシルバニアアベニュー1600番地で。これはホワイトハウスにとって最初の事例である---石油企業のロビイストが大統領の隣にデスクを並べることになったのだ。ベイカー氏の業務は、イラクの抱える債務の「再構成」だ。サウジアラビアに居る彼の顧客はなんとも幸運である。なにしろ、サウジ王族はイラクに3,070億ドルも貸しているのだ。その債権の中には、サダムが爆弾を作るためにサウジから送金された7億ドルも含まれていることはいうまでもない。(第2章を見よ)

一体どうやって、ベイカー氏は、サウジ王族とエクソンと我等が大統領に同時に仕えることができるのだろう?2003年に、ヘンリー・キッシンジャー氏が911調査委員会に指名された際、議会が彼のコンサルティング事務所の顧客リストを公開することを要求した結果、キッシンジャー氏は逃げ出してしまった。ベイカー氏の場合、我等が議会は、彼の事務所に誰がお金を出しているのか聞く事もせず、相反する利益から足を洗うよう要求することもしなかった。

ちっぽけな利益問題とうまく折り合うために、ホワイトハウスはステキな言い逃れをでっちあげた。公式発表では、大統領はベイカー氏を指名したことになっていない。そのかわり、ブッシュは「イラク統治評議会からの要求に」従ったことになっている。それはまさしく、ブッシュがイラク人に銃を突きつけて、人形使いよろしく演じているにすぎないことだ。

なぜ大統領はベイカー氏の顧客に対してそんなに気を使う必要があるのか?ブッシュはベイカーにどんな恩義があるというのか?

ブッシュ家の相談役として、2000年大統領選挙のフロリダ州再集計騒動を最高裁に持ち込んだ人物こそ、ベイカー氏であった。

何年もの間、ジェームズ・ベイカー氏はブッシュ家の食卓にパンを運ぶ責任を担ってきたのだ。軍事産業向け投資企業、カーライル信託銀行の首席弁護士として、ベイカー氏はホワイトハウスから叩き出された後の元41代大統領と、父ブッシュがまだオフィスに居た頃に息子で現43代大統領の両者をカーライルグループに雇い入れてあげたのである。

ベイカー氏がホワイトハウスに居る理由は知ることが出来た。しかしイラクの危険な状況の中で、ダービッシュ上等兵は何をしていたのだろう?サダムはすでに牢獄の中だし、イラクは「自由化」されて1年あまりも経過しているというのに。

その答えは、米国国務省から漏れ出した極秘書類、100ページに及ぶ「イラク戦略」書類に隠されていた。そこにはアメリカ人たちがイラクとの衝突について教えられる以前に、「紛争発生後」のイラク経済について、実に詳しく書かれていたのである。

「イラク戦略」の中には、民主主義や投票に関する記述などなにもない。そのかわり、イラク国土の資産を使ってメソポタミアに「自由市場のディズニーランド」を建設することについての詳細が書かれている。国家についての全てはそれだけ---企業に全てを売り渡すこと。ブッシュチームの極秘計画では「資産の販売、譲歩、リースと管理契約、特に石油と補給企業向けに」が要求されているのだ。

「戦略」には、270日間の資産獲得スケジュールについても展開されている。そしてそれが、ダービッシュ上等兵がイラクから出られなかった理由なのだ。つまり、選挙の防止とその予防措置。民主的な選挙で選ばれたイラク政府なら、決して石油を売り渡すことなどしないだろう。ブッシュの企業仲間のための「資産の販売、譲歩、リース」が完了するまで、民主主義は、銃を突きつけられたまま、じっと待たねばならないのである。

もうおわかりだろう。もしブッシュが石油のためにイラクに侵攻しなかったとしても、石油抜きで撤退することはありえないことを、秘密の「戦略」は教えてくれているのである。


2004/04/15

ブッシュの減税政策、ブッシュとチェイニー自身の所得に効果発揮

Associated Press 2004/4/14付け記事(Commondreams転載)より。

ブッシュ大統領とチェイニー副大統領は、彼等の推進した減税政策によって、自身の2003年度の所得税に際して効果が現れているという。

ブッシュと妻のローラは、227,490ドル(約2,500万円)の連邦所得税、つまり二人合わせて822,126ドル(約8,900万円)の合計収入(調整済み)のうち約28%が課税された。2002年度には、彼等は合計収入(856,056ドル)の約31%(268,719ドル)を支払う必要があった。

この1年の(減税による)差は、チェイニー副大統領にはさらに大きな効果をもたらしている。チェイニー夫妻の2003年度の連邦所得税は253,067ドル(約2,800万円)、彼等の合計収入である130万ドル(約1億4千万円)の約20%とされている。2002年度の彼等の支払った所得税は341,114ドル、その年の合計収入120万ドルの約29%であった。

ジョン・ケリー個人の所得税は90,575ドル(約985万円)、彼の2003年度の収入合計金額395,338ドル(約4,300万円)の約23%であった。もちろん、これには妻の資産と収入含まれていない。

ブッシュ夫妻の収入の内訳は、大統領としての報酬が397,264ドル(約4,320万円)、401,803ドル(約4,370万円)が投資信託の利息、23,417ドル(約255万円)が株の配当金。

チェイニー夫妻の収入内訳は、副大統領としての報酬が198,600ドル(約2,160万円)、ハリバートンからの収入が178,437ドル(約1,942万円)、株式譲渡益が302,602ドル(約3,295万円)、妻のリンの収入はワシントンのシンクタンク、American Enterprise Instituteからと、リーダース・ダイジェスト社役員報酬からきているという。

そのほか、リン・チェイニーの収入には、彼女自身の著作「America: A Patriotic Primer(アメリカ:愛国的入門)」「A is for Abigail(Abigail Smith Adamsの伝記)」「Fifty States(50州:近刊)」の三冊の印税が327,643ドル(約3,568万円)あった。これらの収入はチャリティ向けに寄付されたということである。

この他に、チェイニー夫妻は627,005ドル(約6,830万円)の投資収入(非課税)があるということである。

最終的に、ブッシュ夫妻は95,043ドルの項目別控除(itemized deduction:慈善事業への寄付は経費扱いとして控除される)を申請し、それには教会とチャリティ団体への寄付が含まれていて、課税対象収入は727,083ドルとなった。

チェイニー夫妻の項目別控除申請額は454,649ドルで、妻の著作の印税がそれに含まれており、課税対象収入は813,266ドルになったということである。

2004/04/09

ライス補佐官、ウソと不誠実な証言をくりかえす

コンドリーザ・ライスは全く謝罪しなかった。誠実でもなく、ウソとスピンで公聴会参加者をウンザリさせた。

Center for American Progressがさっそくライスの証言内容のウソを暴く記事を公開している。これで彼女のキャリアは終わりだろうが、そもそも彼女は年内でホワイトハウスを離れる予定なので、批判されても痛くも痒くもないだろう。(ライス証言ビデオはCspanで観れるが、ハイライトはCBSでも観る事ができる。)

元々ロシア政治の専門家として父ブッシュ政権時代にホワイトハウス入りし、ゴルバチョフと友好関係を築いておきながら、頭角を現しつつあったエリツィンを無視した上に、ソ連が崩壊することを予測できなかったコンディ。(ソ連崩壊を予測し、合衆国がソ連崩壊前に介入すべきと主張してライスと衝突し、政権を去ったのはチェイニーとウォルフォウィツだった。今回、チェイニーはライスを公聴会に押し出して、引き換えに自分の公聴会での証言を免除させた。なんと狡猾な副大統領!)

そんな失敗をしたライスを合衆国防衛の要職に採用したのは、パキスタンのムシャラフ将軍すら知らなかったブッシュジュニアである。こんな連中が世界戦略を話し合っても、マトモな外交政策などできるはずもない。テロ対策と全く関係ないイラク攻撃、テロリストよりも反ブッシュ活動家を監視することに注力する国土防衛策。司法長官のアッシュクロフトに至ってはテロリスト情報よりも中絶した女性の個人情報を収集することにひたすら執着し、その変態的性格を恥じる様子もない。

そんな異常でマヌケなホワイトハウスに追随する小泉政権は、アルジャジーラ無しではイラクで誰が拘束されたかもわからない。(イラク派遣部隊に陸上幕僚監部調査部などの情報部関係者が同行しなかったのだろうか?あるいは自衛隊幹部と官邸の関係が悪いのか)これでは、巨大な防衛費で知られる二つの大国が、お互いを目隠しして、銃を撃ちまくっているようなものではないか。

2004/03/31

コンドリーザ・ライスとホワイトハウスの仕込み:911調査委員会事務局長ゼリコウ氏はお仲間?

Antiwar.com2004/03/31付けのポール・スペリー氏コラムより。

911同時多発テロ独立調査委員会の公聴会でのリチャード・クラーク氏の批判を受けて、ついにコンドリーザ・ライス大統領補佐官がホワイトハウスの命を受けて証言台に立つことになった。(このライス召還に際して、ホワイトハウスはブッシュ本人とチェイニー副大統領の公聴会での宣誓証言免除を求めるという馬鹿げた交換条件を提示した。これでは「ホワイトハウスは嘘つきですよ」と堂々宣言しているようなものである

さて、ライス補佐官の召還について危惧されているのが、年末に政権を去る予定のライス氏がヤケクソになって真実を語り始めることを防止するために、ホワイトハウスが準備した調査委員会内部への「仕込み」の危険性である。もっとも怪しいのは、事務局長を務めるフィリップ・ゼリコウ氏だ。スペリー氏のコラムからゼリコウ氏の経歴を引用してみよう。


1.
ライス補佐官とゼリコウ氏は、共に父ブッシュ政権時代にブレント・スノウクロフト国家安全保障担当大統領補佐官の補佐として働いている。ゼリコウ氏はヨーロッパ安全担当ディレクター、ライス氏はソビエト及び東ヨーロッパ安全管理シニアディレクターとして、大統領のアシスタントを務めていた。ライス氏はゼリコウ氏の上司として振舞っていたとされる。両者ともに1989年から1991年までの任期だった。

2.
父ブッシュ政権の補佐を辞任してから、ゼリコウ氏とライス氏は共同で書籍を執筆。タイトルは「Germany Unified and Europe Transformed: A Study in Statecraft(ドイツ統一とヨーロッパの転換:政治的手腕の研究」

3.
ゼリコウ氏はライス氏の恩師スノウクロフト氏と外交問題評議団体アスペン・ストラテジー・グループを主宰、ライス氏はデック・チェイニー、ポール・ウォルフォウィッツと共にメンバーに加わっている。

4.
ゼリコウ氏はマークル基金の国土安全タスクフォースを主宰、共同委員長にブッシュ/チェイニーの後援者ジェームズ・バークスデイル氏を迎えている。911委員会の委員の1人、スレイド・ゴートン(共和党議員)もゼリコウ氏とともに同タスクフォースのメンバーとして働いていた。二人は連邦選挙改革全国委員会でも肩を並べている。

5.
2000年大統領選挙の後、ゼリコウ氏とライス氏は現ブッシュ政権に迎えられ、ゼリコウ氏は国家安全保障会議(NSC)改革員に就任、ライス氏はゼリコウ氏にスノウクロフト時代をベースにした組織運営モデルに同会議を改革するように依頼、NSCは冷戦時代の世界観へ逆戻りした。

6.
リチャード・クラーク氏の話では、彼はライス氏、ハードレー氏だけではなく、ゼリコウ氏にもアルカイダの危険性についてブリーフィングしていたという。(ゼリコウ氏もライス氏の嘘を知っていたわけだ

7.
911テロから1ヶ月後、ブッシュ大統領はゼリコウ氏を大統領外国諜報諮問委員会に加えた。同委員会委員長はスノウクロフト氏。

8.
ゼリコウ氏の通常業務は、(911調査委員会が7月に最終報告書を提出したあとに戻る役職は)バージニア州大学広報部ミラーセンター所長。同センターは大統領府の研究とブッシュ政権との関係維持のために設立されている。

ゼリコウ氏はイラク戦争、テロとの戦いをどう捉えているのだろうか?以下に引用した本人の発言から、そのヒントを観ることができるかもしれない。


「なぜイラクはアメリカを攻撃し、核兵器を使おうとするのか?私の考えを申し上げれば、その本当の脅威は1990年から現在まで続いていて、イスラエルにとっても危険な存在なのです。
(”Why would Iraq attack America or use nuclear weapons against us? I'll tell you what I think the real threat (is) and actually has been since 1990 -- it's the threat against Israel,”)」

---フィリップ・ゼリコウ氏、2002年9月10日、バージニア大学で、外交問題の専門家として911テロの影響と将来のアルカイダとの戦争に対する評価に関しての発言(参照元

2004/03/25

リチャード・クラークと真実の瞬間:超タカ派官僚の見せた人間性がアメリカを変える

2004年3月24日、水曜日。この日の午後、米国史上歴史に残る衝撃が世界を覆った。

アメリカ国防総省と情報部に30年間も在籍し、「テロ対策の権威」「超タカ派官僚」として、国民からも政府内部からも嫌われていたという前大統領特別顧問リチャード・クラーク氏が、911同時多発テロ調査委員会の公聴会のはじめに、以下のような声明をしたのである。(Cspanで録画を観ることができる


「今回の公聴会に召喚されたことをありがたく思います。なぜなら、911テロの被害者と遺族の方にようやく謝罪する機会ができたからです。・・・公聴会に参加されているご遺族の皆さん、今テレビで公聴会をご覧の皆さんに伝えたい・・・わが国の政府はあなた方を裏切ったのです。国民を守る立場にありながら、皆さんを裏切っていました。そして私自身も、皆さんを裏切った人間です。努力はしたが、意味のないことだ。失敗したのだから・・・その失敗について、全ての事実が明らかになった暁には、皆さんに理解と許しを請いたいのです。
(...I also welcomed this hearing, because it is finally a forum where I can apologize to the loved ones of the victims of 9/11. To [those] who are here in the room, to those who are watching on television, Your government failed you. Those entrusted with protecting you failed you. And I failed you. We tried hard, but that doesn't matter, because we failed. And for that failure, I would ask, once all the facts are out, for your understanding and for your forgiveness.)」

世界のマスメディアも息を呑んだに違いない。政府閣僚としてテロ対策に従事していた中心人物が、政府と自分の失敗を認め、謝罪するという、(アメリカ人官僚のもっとも苦手な)謙虚な行動に出ると誰が想像しただろう。(江角マキコさんも驚きですかな?)

そして、「政府批判するなんて愛国的でない」「事件の調査はもう充分」とアメリカ国内で逆風にさらされてきた911テロの遺族は、クラーク氏の勇気ある謝罪の言葉に、どんなに救われたことだろうか。
ニューヨークデイリーニュースの記事(Commondreams転載)から、公聴会に参加した遺族の言葉を引用しておこう。


「(遺族に)謝罪した人はクラークがはじめてです。泣きたい気持ちになりました」夫を911テロで亡くした女性、ミンディ・クレインバーグは言った。
メアリー・フェチェットは息子のブラッドレーをテロで亡くしている。彼女はクラーク氏が非難を受け入れたことを賞賛、「勇気をもって真実を語ってくれた」と讃えた。

公聴会で911テロ遺族と会見するリチャード・クラーク氏


もちろん、全てはクラーク氏の計算どおり、と批判されるのも無理はない。クラーク氏はペンシルバニア大学とMITを卒業し、ペンタゴンで核兵器問題とヨーロッパの安全情報に関わり、CIA、NSA他にコネを持つという筋金入りのエリート情報部員である。しかも公聴会前には自著「Against All Enemies : Inside the White House's War on Terror--What Really Happened」を発売、「ブッシュ政権批判は注目を浴びるための演出」とわかりやすい批判が起こることも予測済みであろう。

だが、考えてみて欲しい。防衛・軍事関連にコネのある元閣僚なら、ロビー活動ビジネスだけでも莫大な資産を築くことができるし、ブッシュ政権と共和党のご機嫌をとれば今後も様々なポストが約束されたのだ。たかが一冊のベストセラーを作るために、ネオコン連中を敵に回すのはエリート官僚のすることではない。だいいち、ホワイトハウスに誤りを認めさせることがどんなに自分の身を危険にさらすことになるか、クラーク氏自身もよくわかっているはずだ

ポール・クルーグマンがニューヨークタイムズで書いているように、「彼は国民に真実を知ってほしかっただけ」のために暴露本を書き、謝罪したのではないか。リチャード・クラーク氏は確かにどうしようもない戦争マニアで、危険な情報部員だった。しかし今回は、その良心を信じ、その勇気ある発言と謝罪を賞賛したいのである。

さて、アメリカ国内政治の流れは変わり、ブッシュ政権は任期終了前に最大のピンチを迎えることになった。クラーク氏の後に公聴会に登場した「日和見軍人」アーミテージ米国務副長官は、どちらかといえばクラーク氏の証言に沿った発言をしている。そのアーミテージの証言によりウソを暴かれつつあるのは、公聴会での証人喚問を拒否しつづけているコンドリーザ・ライス大統領補佐官である。(911テロ情報を事前に察知していたとされる彼女は、今のブッシュ政権にとって、邪魔な存在になりつつある)

もちろん、今回の「リチャード・クラーク:真実の瞬間」の意味は、アメリカ人だけでなく世界の人々にとっても、とてつもなく大きく、重い。なぜなら、「謝罪」と「反省」「真実」こそ、アメリカ政府に(あるいは自国の政府に)求められていることだからである。

分断されていた世界は、今日を境に、再び「グラウンド・ゼロ」へ立ち戻ることになった。
2001年9月11日、同時多発テロはどのようにして起こったか。真犯人は誰なのか?アメリカ政府は何をしていた

そして日本政府はなぜ、テロ対策と関係のない米国のイラク侵攻を支持したのか?
残念ながら、観光旅行を「留学」と嘯く小泉首相に、これら疑問へのマトモな回答は期待できない。日本にとっても、真実の瞬間は迫っているというのに。

2004/02/16

黙殺されたキャサリン・ガン事件:米英情報部はイラク戦争開始前に国連を盗聴していた

私はただ、良心に従って行動しただけのことです」裁判に際して、その女性は自らの嫌疑に答えた。

キャサリン・ガン、29歳。職業:イギリス政府通信本部(GCHQ)中国語(北京語)通訳スペシャリスト。英国情報部員として、母国イギリスの安全を脅かす危険をいち早く察知することが自身の使命であると信じている誇り高き女性である。

イラクへの武力行使をめぐる国連での討議を世界が見守っていた2003年3月。彼女は、多くの英国情報部員がそうであるように、ブレア政権が進める米国追随政策と、偽りの情報に基づくイラクへの武力行使を危険視していた。戦争が開始されれば、英国軍兵士や無実のイラク市民が犠牲になることは明らかだったからだ。

そこで、キャサリン・ガンは、自分の仕事先で入手した極秘電子メールを英新聞記者に暴露し、米英政府の汚いやり口を告発したのである英オブザーバー紙(ガーディアン姉妹紙)2003年3月2日付け記事が第一報で伝えたその告発内容は、国連に参加する全ての国を驚愕させるに充分なものだった。以下はその記事の概要である。

米国の諜報機関NSA(National Security Agency 国家安全保障局)の地方対象局担当チーフ、フランク・コーザは、イギリス情報部(MI6)に、国連安全保障理事会でイラクへの武力行使決議に関わる各国代表オフィスの盗聴を依頼していたことが判明した。

国連イラク査察団代表ハンズ・ブリクスがイラクの兵器査察について暫定報告をした直後、NSAのフランク・コーザが英国情報部に宛てた2003年1月31日付け電子メールによると、特に盗聴のターゲットとして指定されていたのはアンゴラ、カメルーン、チリ、メキシコ、ギニア、パキスタンの国連代表団の通信内容。この6カ国は米英(イラク攻撃派)と独仏露(査察継続派)の間で態度を決めかねている「中間派」であり、米国政府はその動向をリアルタイムに知りたがっていたのだ。(盗聴は国家安全保障問題担当のコンドリーザ・ライス大統領補佐官の指示によるものと見られている


オブザーバー紙の告発記事は、世紀のスクープであるにも関わらず、米国マスメディアでは一切無視され、広範に伝えられることも議論されることもなかった。(日本では日経が告発記事に触れるにとどまった)結局イラク戦争は開始され、1万人を超えるイラク市民が米英軍の攻撃の犠牲になり、現在も混乱と被害は続いている。

情報漏えい容疑で逮捕されたキャサリン・ガンは、英国政府の訴えにより2年間の獄中生活を迎えようとしているが、彼女の無罪放免を求める活動英国本国でも活性化しつつある。「キャサリン・ガンを憂慮するアメリカ人の会」の活動には、民主党大統領候補デニス・クシニッチの他、ハリウッドからもダニー・グローバー、ショーン・ペン、ボニー・レイット、マーティン・シーンが参加するなど、話題性も豊富だ。しかし、「大量破壊兵器」が誇張された脅威であると判明した現在に至っても、日米の新聞・TVは(映画欄も含めて)キャサリン・ガン事件をほとんど報道していない

ニクソン大統領が辞任した時代を考えると、米マスメディアは政府に対して随分寛容になったものである。不思議なことに、彼等は自分の首を絞めることに関しては熱心なのだ

日本のマスメディアが、(一部の例外を除いて)キャサリン・ガン事件についてほとんど報道していない理由は謎である。石破防衛庁長官の「報道規制宣言」に対し、イラクでの自衛隊撮影イベントに殺到、行列を作るなど「報道の自由」について特殊なセンスを披露している人たちなので、「小泉首相のお友達による国連盗聴」ネタで福田官房長官の独演会の邪魔をすると、記者クラブの雰囲気が険悪になることを恐れているのだろうが、「国民の知る権利」を代弁したがる機関にしては、知らせる内容そのものについて割く時間とスペースが少ないように見える。気のせいだろうか?

2004/02/08

「外交官の妻はCIA」リーク元は副大統領オフィス?

米INSIGHT誌2004/02/05付け記事(2月17日号)より。

保守系コラムニストのロバート・ノヴァクが元米外交官ジョセフ・ウィルソンの妻ヴァレリーがCIA工作員であることを暴露した事件で、米捜査当局は、チェイニー副大統領の2名の部下、ジョン・ハンナとルイス・リビーが事件に関与していることをほぼ確信しているという。特に重要な役割を果たしたと思われるのはハンナで、彼との司法取引交渉により、政府上層部の関与まで捜査を拡大する予定であるとのこと。

フランス司法当局からも追われているチェイニー副大統領にとっては、いよいよ国内にも逃げ場がなくなったわけだ。ところで、上記事件が発生した時期にチェイニー副大統領のナンバー2補佐官(内政・経済担当)を務めていた日本人殿は、同僚の件について何かご存知だろうか。興味深いところである。

2004/02/04

民主党大統領候補アル・シャープトンは共和党の操り人形?

ビレッジボイス誌の記事より。

民主党の異色大統領候補、アル・シャープトンの選挙キャンペーンを影で支配する人物がいる。「ブッシュの代理人」共和党系政治コンサルタントのロジャー・ストーンである。ロジャー・ストーンは2000年大統領選でフロリダ州の手作業による投票集計作業を停止させることに貢献した共和党の「工作員」と呼ばれる人物だ。

アイオワ党員集会に先駆けて、ブッシュ選挙チームが、その時期にフロントランナーだった民主党大統領候補ハワード・ディーンを攻撃するテレビCMの放送を始めている時に、民主党のディベート大会でアル・シャープトンは、ディーンが知事を務めたバーモント州の閣僚に黒人がいないことをとりあげて、ディーン候補を批判。このリサーチをしたのもロジャー・ストーンが採用したキャンペーンマネージャーであり、ロジャーはディベートでディーン攻撃のスタイルをアルに指導したと告白している。

アル・シャープトンは知っていたのか、嵌められたのか。どちらにしろ彼は、もはや共和党にとっても民主党にとっても用なしだ。もちろん、ブラザー達の信頼も失くしてしまったことは間違いない

2004/01/24

IT時代のウォーターゲート事件?:共和党スタッフが民主党極秘情報ファイルを覗き見

ボストン・グローブ紙2004/01/22付けのスクープ記事より。米上院司法委員会の共和党スタッフが司法委員会用のサーバーに不正侵入し、民主党側の内部情報を一年にわたって監視、民主党の内部情報をメディア関係者に横流ししていた事実が発覚。

共和党スタッフの行った覗き見の手口は、民主党員用の非公開情報交換エリアにパスワードなしで侵入できるサーバー設定の不具合を利用したとのこと。保守系評論家のロバート・ノバック氏もこのルートで情報を掴んでいたと見られている。彼はホワイトハウスのCIA情報源暴露疑惑の中心人物だ。

共和党本部に民主党内部情報が流れていたことが証明されれば、この事件は米政界の一大スキャンダルに発展する恐れもある。

2004/01/15

イラクの次は火星だ!NASAの宇宙計画とハリバートン

ブッシュ政権が発足当時から狙っていたのはイラクだけではない。最近にわかに活気づいているNASAの宇宙開発計画の背後には、火星の天然資源開発をめぐる利権がうごめいているようだ。

PetroleumNews2001/02/28付けの記事によると、すでにハリバートンは火星での開発事業に名乗りを挙げている。NASAの説明では「水源とそこに生息する生命体を見つけるため」ハリバートンシェル石油ベイカーヒューズロスアラモス研究所と共同で火星に穴を開ける技術を開発中とのこと。

なるほど。以前話題になったイラク駐留軍に提供された個性的な食事メニューは、ハリバートンが火星用に開発したものに違いない。

2003/12/19

米政府のウェブサイトは都合の悪い情報を削除している

ワシントンポスト紙2003/12/18の勇気ある記事。とてもいいリードなので以下に引用。

「ソ連スタイルのエアブラシほどではないが、ブッシュ政権は自らの歴史に関して、お化粧直しをするためにサイバースペースを利用している。」
ブッシュ時代になってから、ホワイトハウスのウェブサイトに掲載されている公式記録は、ホワイトハウスの都合の良いように修正と削除を繰り返している。

もっとも著名な例では、イラク戦闘終結宣言に関する記録。「イラクでの戦闘は終結した」とブッシュが宣言してから、イラク国内での駐留軍死者が増加するにつれ、同宣言への批判をかわすために「イラクでの大規模な戦闘は終結した」とコッソリ修正。

ホワイトハウスのウェブサイトの情報操作の証拠として話題になるのが、その検索エンジン対策。同サイトのrobots.txtをみれば、記録されると都合の悪い情報がたくさんあることが伺える。

問題は、ホワイトハウスの「歴史修正作業」はサイバースペース以外の場所でも行われているという懸念である。