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09/05/2007

戦争と格差の先進国アメリカ最新情勢

まずは明るいニュースから。米国勢調査局(U.S. Census Bureau)が8月28日に発表した年次報告によれば、2006年度にアメリカ合衆国の世帯収入は2年連続で上昇し、貧困率は前年よりも減少したという。報告にあわせてブッシュ大統領は「2006年度の所得増加は大幅なもので、全ての所得部門まで広範に及んでいる」「貧困率は著しく改善した」と高らかに宣言した

もっと明るいニュースもある。米国の民間調査団体、公正経済連合(United for a Fair Economy)と政策研究協会(Institute for Policy Studies)が8月30日に発表した共同調査報告「Executive Excess 2007」によれば、2006年度におけるフォーチュン誌認定上位500社CEOの平均年収は1,080万ドル(約12億5,020万円)で、一般労働者の年収に比較して364倍だった。2004年度の数値(431倍)に比較すれば、所得格差はかなり縮小している!ちなみに2006年度、米企業CEOの稼ぎ頭はメリルリンチのスタンレー・オニール氏で、年収は9,100万ドル(約105億3,236万円)だった。

加えて、すばらしいニュース。世界経済を牽引する超実力社会アメリカでは、大企業CEOは努力・能力ナシでも報われるようになった。2006年度、ヨーロッパ地域では上位20人の企業CEOの平均年収は1,250万ドル(約14億4,712万円)で、米国の上位20人の企業CEOの平均年収に比較すると1/3に過ぎない。一方で、ヨーロッパ側CEOが経営する企業20社の合計売上高は、アメリカ側のそれに比較して190億ドル以上多かった。

さらにパワフルなニュース。米国で活躍するトップクラスのヘッジファンドマネージャー20人の2006年度平均年収は6億5,750万ドル(約761億1,220万円)で、一般労働者の平均年収2万9,544ドル(約342万円)に比較して2万2,255倍多く稼いでいた。まさにアメリカン・ドリームだ!USA!USA!ゴッド・ブレス・アメリカ!

・・・さて、悪いニュース。アメリカで仕事に就いている男女の平均賃金は3年連続で減少した。医療保険に加入していないアメリカ人は前年比で5%増加し、4,700万人になった。貧困層に属するアメリカ人は現在3,650万人で、ブッシュ政権がスタートしてから490万人も増加した。そして、緊急食糧支援に頼るアメリカ人は毎年2,300万人にものぼるという。

共働きに長時間労働、企業は従業員向け医療手当てを削減

米国勢調査局の年次報告によれば、2006年度のアメリカ合衆国の実質世帯収入の中央値(メジアン)は48,201ドル(約558万8,234円)で、前年に比較すると0.7%上昇している。しかし国勢調査局の解説によれば、世帯収入増加の主要な理由は賃金上昇ではなく、単に世帯あたりの働き手が増えて、しかも労働時間が伸びたからであり、実質賃金は男女共に前年比で1%以上減少しているという。しかも、実質的に収入が増加したのは白人世帯だけだったそうだ

マイケル・ムーアが『Sicko』で取り上げた医療保険問題はさらに深刻化している。2006年度の医療保険未加入率は15.8%で、実数では4,700万人となっている。ブッシュ政権誕生以来、医療保険に加入できなくなったアメリカ人は850万人も増加した。アメリカ人が急速に健康になっているわけではないらしい。専門家の分析によれば、医療保険未加入者が前年から5%(220万人)も増加した理由は、企業側が従業員向け医療保険の提供を縮小しているからだという。2006年に医療保険から外れた220万人のうち、140万人が世帯収入7万5,000ドル以上の中流家庭に属しており、新たに未加入となった人のうちおよそ120万人がフルタイムで働いている


児童向け医療支援拡大にホワイトハウスは猛反対

全米で最も医療保険未加入率が高いのはブッシュ大統領の地元テキサス州で、住民の24.1%が未加入。もっとも加入率が高いのはミネソタ州で、加入していない住民は8.5%。人種間格差も依然深刻で、ヒスパニック系、アメリカ先住民族系、アラスカ先住民族系アメリカ人は白人に比較して医療保険未加入率が3倍高い。

児童の医療保険状況も深刻だ。医療保険が適用されない児童の人数は870万人で、2005年度の800万人から増加している。経済的事情により民間の医療保険に頼れない家庭の児童は、各州当局の提供する貧困家庭児童向け医療保障サービスに依存することになるが、「思いやりある保守主義」を旗印に登場したブッシュ大統領は、公的医療保障を縮小するために必死で工作しているようだ

上院で児童向け医療保険の拡大法案を民主・共和両党が合意して提案すると、ブッシュは大統領拒否権を行使すると脅し始めた。同法案は、今後5年間に児童向け医療保険予算を350億ドル増額し、その財源はタバコ税の増税で賄うというものだ。このアイデアに対して、右派系シンクタンクであるヘリテージ財団は「低所得層の喫煙家に対し不当に税負担を強いる」と主張し、法案成立に強く反対している。貧しい家庭の子供を救うよりも、低所得者にタバコを買わせるほうが公正であるというわけだ。ジャーナリストのエイミー・グッドマンによれば、ヘリテージ財団の資金提供元にアルトリア・グループ:タバコの名門フィリップ・モリス社があるのは偶然ではないらしい)ブッシュ政権の進める公的医療保障制限策に反対する州も増加しており、例えばニューヨーク州知事は合衆国政府を相手に訴訟を起こすつもりであるという


定着する貧困、拡大する戦争

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写真キャプション:ワシントンDCのホワイトハウス前の地下鉄駅構内で、壁にもたれて休む身元不明のホームレス。アメリカ合衆国では国民10人に1人以上、3,650万人が貧困ライン以下の暮らしをしており、中でも児童、黒人がもっとも打撃を受けていることが、米国勢調査局の年次報告で判明している。(source

2005年度、合衆国の貧困率は12.6%だった。2006年度の貧困率は12.3%と減少したが、それでも貧困層に属するアメリカ人は3,650万人。貧困率減少の主な原因は65歳以上の年代で貧困率が減少したせいであるという。

統計によれば、上位20%の世帯が国内総所得の50%超を稼いでいる。一方、下位20%の世帯所得が全体に占める割合はわずかに3%を超える程度であるという。

人種別では、非ヒスパニック系白人の8%以上、アジア系の10%、ヒスパニック系の20%、アフリカ系の24%が「貧困」。ヒスパニック系、アフリカ系アメリカ人の貧困率は白人に比較して3倍高い。

マサチューセッツ州の民間調査機関『全米優先計画(National Priorities Project)』の調査によれば、毎年2,300万人のアメリカ国民が緊急食料援助を必要としているという。カリフォルニア州を拠点とする食料開発政策研究所の調査によれば、アメリカではおよそ1,300万人の児童が、「両親が食料、家賃、暖房、医療、交通費を負担できるほど稼ぐことができないため」次の食事を確保できるかどうか不安があるという。(米政府用語では“食糧確保低下”。)

ハリケーン・カトリーナ大災害から2年、被災した人々のうち13,000世帯が仮設住宅(トレーラー)で暮らしているが、そこでも食料支援の際に行列ができているという。

世界一裕福な国が貧しい国民の救済にそれほど熱心でない理由は、政府が“貧困との戦い”よりも“テロとの戦い”を優先し、大多数の国民がそれを支持してきたからだ。ブッシュ政権はイラク戦争を新商品として国民に宣伝し、売りつけた。日常的に戦争を消費する米国民にとっても、それはあまりにも高い買物だった。

米議会調査部の報告によれば、イラク戦争費用は今年7月までの時点で4,500億ドル(約52兆3,775億円)、10月には5,500億ドルを超える情勢だ。加えて、アフガニスタン駐留費用は1,270億ドル(約14兆7,756億円)、他のテロ戦争雑費用に280億ドル(約3兆2,554億円)、さらに2つの戦争で使途不明金が50億ドル(約5,813億円)ほど発生している。

ブッシュ大統領は必死にイラク駐留米軍の「増派」を主張するが、米軍兵士を戦地に派遣する際、武器弾薬・装備・旅費・食費等の総費用が兵士1人あたり39万ドル(約4,531万円)かかるという。

2008年度の米国通常国防予算はおよそ4,600億ドル(約53兆4,598億円)、加えて審理中のイラク・アフガニスタン駐留予算が1,470億ドル(約17兆877億円)、さらにブッシュはイラク駐留向け追加資金として500億ドル(約5兆8,120億円)を議会に承認申請するつもりらしい

イラク侵攻直後に、当時の米国防副長官ポール・ウォルフォウィッツは「イラクの復興はイラク国内の石油で賄える」と豪語していた世銀総裁をクビになった人物にふさわしく、恐ろしく間違った予測をしたものだ。

2003年3月の侵攻後から、米国政府はイラクの復興資金として445億ドル(約5兆1,766億円)を支出し、そのうち60億ドルほどを費やして、自ら爆撃した石油施設と電力施設を修復してきた。しかし復興までの道はあまりにも遠く、電力施設を修復するために追加で270億ドル、石油関連施設の修復にも追加で200億ドルから300億ドルを支出する必要に迫られている。しかも、それだけ復興費用を追加しても、戦争前のレベルに電気が流通するのは2010年以降、石油施設が完全再開するには2015年まで待たねばならないと見積られている。

そして、アフガニスタンのタリバン司令官によれば、オサマ・ビン・ラディンは今も大変健康で活動的になっているとのことだ。ブッシュ政権は彼の首に5,000万ドルの賞金をかけているが、未だに行方をつかめていない。

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12/25/2006

ボブ・ハーバート:『アメリカの傷口』

「私は皆さんが思っているよりもずっと良く眠っているんですよ。」
(I'm sleeping a lot better than people would assume.)

ジョージ・W・ブッシュ大統領、2006年12月14日に行われたインタビューで発言(source

Promises Betrayed

ボブ・ハーバート最新コラム集『Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream

今回はニューヨークタイムズ紙の人気コラムニスト、ボブ・ハーバートの最新コラムを翻訳して掲載。

今回のコラムで指摘されているとおり、ハリケーン・カトリーナ被災地の復興は停滞している。その一方で、イラク戦争で米国政府はこれまでに3,500億ドル(約41兆5,992億5,000万円)を支出しており、アフガニスタン戦争その他テロ戦争費用を合計すると、米国の戦争関連支出は5,000億ドル(約59兆4,275億円)を超えているという。さらに先週、米国防総省はイラク・アフガニスタン戦争追加予算として997億ドル(約11兆8,498億4,400万円)を要求している

2003年5月に「イラクでは主要な戦闘は終了した」と宣言したジョージ・W・ブッシュ大統領は、2006年12月になると「我が国は勝っても負けてもいない」と勝利宣言を事実上取り消し、イラク駐留米軍の増強を訴え始めた。現在ホワイトハウスのウェブサイトに掲載されているあの悪名高き『トップガン大統領』演説ビデオをみると、いつのまにか『任務完了』の横断幕がフレームアウトされている。『任務完了(Mission Accomplished)』の文字は当時の公式写真にも見当たらない。)

今年の中間選挙で敗北し、政府職員の顔色が気になり始めたブッシュは、米軍兵士を含めた公務員の昇給を求める大統領命令に先日素早く署名した。この法律によって、2008年1月から米連邦政府職員は(兵士も含め)平均で2.2%昇給される。なお、この昇給命令には、米国議員全員及びディック・チェイニー副大統領の昇給(1.7%増)も含まれているという

アメリカの傷口(America’s Open Wound)

by ボブ・ハーバート:ニューヨークタイムズ紙2006年12月21日付けコラム

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「メリー・クリスマス」ルイジアナ州ニューオリンズ市9区南端部、ハリケーン・カトリーナ大災害の被災地の様子。(写真クリックで拡大)

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(Photograph provided by David Metraux: from www.davidmetraux.com


不気味だ。辺りは静まり返っている。雑踏もない。日が暮れていく。

私の足元にある5つの石段は、かつてベランダか、あるいは玄関へと続いていたことだろう。もはや確かめることもできない。住居は完全に無くなっている。残されたのは5つの石だけで、その一つには住所が記してある。レイネス通り1630番地。石段は、まるでミニマリストの芸術作品のように、雑草と瓦礫が残るちっぽけな区画の前に佇んでいる。その隣では家屋が、沈没する船のように完全にひっくり返っている。

ルイジアナ州ニューオリンズ市9区南端部へようこそ。ここではとても休日気分にはなれないだろう。どの方角を見ても、見渡す限り、荒廃が拡がっている。

他の区画では、朽ち果てた家屋の瓦礫が積まれた光景を前に、中年男性が涙目で立っていた。汚れた白い野球帽を被り、子供のように泣いている。近づいて質問を試みたが、拒否された。

ニューオリンズについて皆さんが何を耳にしていようとも、現実ははるかに酷い。まるで大きく広がった傷口のように、かつて偉大だったこのアメリカの地方都市は、ハリケーン・カトリーナ上陸時の壊滅的な洪水災害から1年以上経過した今でも、大部分が廃墟であり、地元住民の多くは苦痛に身を震わせている。

市中の大部分は、何マイルにも渡り、放棄されている。住民だった人々は親戚らと同居するか、FEMAが用意した仮設住宅に身を寄せるか、テキサス、ミシシッピ、ジョージアやその周辺へ移動した(永久に戻らない人たちもいる)。そのままホームレスとなった人たちもいる。

「人に尋ねられたら、ゴーストタウンと答えますよ」ウェイトレスのシェイラ・イーサリッジは言う。彼女の自宅は全壊し、3人の子供はアトランタ近辺の親戚宅に預けてある。「日が暮れると本当に不気味になるわ。レストランの奥で寝泊りさせてもらってるけど、本当のこと言うと、客があんまりいないの。近所があのとおりですもの。どこも空き家。みんな出てったんです。」

ニューオリンズ復興への取り組みはイラク戦争同様である。

2005年9月中旬、市の一部が未だ水没し、第82空挺師団が市中をパトロールする中、歴史に残るジャクソン広場において、ブッシュ大統領はドラマティックに姿を見せた。大統領は、全国放送された演説の中で、湾岸地区の再興のためにあらゆる手を尽くすだけでなく、深刻で根深い貧困の過酷な問題に取り組むと約束した。

「そうした貧困は人種差別の歴史に根ざしており、数世代に渡りアメリカから機会を奪ってきた。力強い行動によりこの貧困に立ち向かうのが我々の務めだ。」大統領は言った。

さて、それから1年以上が経過し、ニューオリンズの現在の人口は災害前の半分にも満たない。連邦政府は復興予算に数十億ドルを割り当てたが、予算のほとんどは無駄使いされ、あるいは官僚主義の下で絶望的に滞っている。援助を必要とする被災者-家を失い、嵐に気力を奪われた貧しい被災者達が再出発に必要とする支援はほとんど行き渡っていない。

市中にある病院や学校の多くは閉鎖されている。一部は今後も再開されないだろう。公共交通機関もほとんど動いていない。政治家達はカトリーナ災害後に驚くほど主導権を発揮したが、仰々しい復興計画は次から次へと行き詰まっている。

洪水の恐ろしい経験とその後遺症は、市内各所にある多くの建物に残された水面跡と同じように、住民達の心に傷を残した。私を乗せたタクシー運転手は、洪水で水面が上昇する頃に、或る肥りすぎの女性が枕を抱えていた事を話しながら、言葉を詰まらせた。彼女は枕が浮き輪代わりになると思っていたのだ。

「彼女も溺れて死んじまったよ」運転手は言った。

精神上の問題も山積だが、それに対応する精神衛生の専門家は極端に不足している。住民は深刻な不安や鬱、統合失調症や他の精神障害にさいなまれている。医師たちが私に話してくれたところでは、精神に障害を負った多くの患者達が、所定の治療を受けずに1年以上も行方不明だという。

市内に住む貧しい住民の多くが、連邦政府とアメリカから見棄てられ、大統領が約束を破ったと感じている。「ものすごく酷い目にあってるんです」デロレス・グードと名乗る女性が言う。彼女はスーパードームの外に立ち、通行人にベビーシッターの仕事がないかどうか尋ねている。「去年、私達はいつもテレビに出ていました。今では、また元の無名の人間に戻ってしまったんです。」
(以上)

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05/30/2006

ポール・クルーグマン:「私達の病める社会」

NYタイムズ紙に5月5日付で掲載された経済学者ポール・クルーグマンの連載コラムを以下に全文翻訳して掲載。(文中リンク・注は訳者による)

クルーグマンがコラムで嘆くように、米国の医療システムは党派に関係なく問題視されており、その改善政策案は2008年度大統領選挙の争点のひとつになると思われる。世論調査によれば、2004年度選挙でブッシュに投票した有権者の内62%が、大統領と議会が現在の医療危機に対応できていないと感じているという

一方、戦争費用により膨れ上がった財政赤字の削減に取り組むことになったブッシュは、軍事関連では相変わらず太陽系最大の支出を目指しているが、国内医療向け予算については今よりもっと小さな政府を目指すことにしたらしい。ブッシュ政権の2007年度予算案では、国内貧困層向けの各種医療サービスや疾病対策支援予算---例えば、先住民族向け医療サービス、田舎向け医療器具補助、アルツハイマー対策啓蒙活動、さらにはスーパーマン役で名声を博したクリストファー・リーブ夫妻の設立したリーブ財団(クリストファー・アンド・ディナ・リーヴ麻痺資源センター)向け予算まで全額カットされている(クリストファー・リーブ氏は2004年に死去し、妻のディナ・リーブさんも2006年3月6日に肺がんで亡くなった。ブッシュ大統領が予算案を公表したのは2006年2月6日で、ディナさんが死亡する一ヶ月前だった。)

私達の病める社会(Our Sick Society)

by ポール・クルーグマン:ニューヨークタイムズ紙2006年5月5日掲載

アメリカ人であることは健康に悪いことだろうか?米国医師会学会誌に掲載された最新研究によれば、そういうことになる。

アメリカ国民の健康状態に何か重大な間違いがあることはもはやニュースでも何でもない。世界各国と比較してみれば、アメリカ合衆国が何らかの奇跡的偉業を達成したことは明らかだ。我が国では、国民1人当たりの医療費負担額が世界最高であるにも関わらず、カナダや日本、その他ヨーロッパの大半の国々よりも短い平均寿命と、高い乳児死亡率を誇っている。訳注1

しかし、この驚くべき悲惨な成績をもたらす正確な原因は判然としていない。富裕な国としては珍しいことに、我が国では国民全体への医療保険提供をやり損なっているが、それはアメリカ人の粗末な健康状態にどの程度影響しているのだろうか?人種と社会階級のもたらす影響は?アメリカ的生活の影響はどうか?

『合衆国と英国における疾病と不都合』という最新研究でも、これらの疑問の全てに回答されているわけではない。しかしこの研究報告には、国民を不健康にする原因が、アメリカ社会の何かにあるという有力な証拠が示されている。

同研究の著者は、55歳から64歳のアメリカ国民における糖尿病や高血圧などの有病率を、イギリスのそれと比較している。イギリスとの比較は、アメリカの問題を際立たせるために選択されたわけではない。イギリスでは、国民1人当たりの医療費負担は合衆国と比較して40%程度で、周辺各国、特にフランスと比べて、その医療サービスシステムは概して劣っている。さらに、イギリスは食生活や生活スタイルの健康度においても特筆すべきものがない。

それにも関わらず、同研究では、「アメリカ人はイギリス人よりもはるかに病的である」と結論づけられている。例えば、アメリカの中年層が糖尿病に苦しむ確率はイギリスの中年層に比較して2倍。これだけでも十分衝撃的な発見である。

さらに衝撃なのは、人種・社会階級を問わず、アメリカ人であるというだけで健康が損なわれていると思われる事実である。

社会階級が全く無関係であるということではない。(同研究では、非ラテン系白人への調査に限定したことで人種的要因が排除されている。)実際、どの国においても、健康と富裕には強い相関関係がみられる。しかし、アメリカ人の不健康ぶりは桁外れなので、アメリカの富裕な3分の1は、イギリスの下流な3分の1よりも不健康であるとのことだ。訳注2

どういうことだろう?医療保険に加入できないことの多いアメリカの低所得層にとって、それが不健康の要因となっているのは確実である。訳注3イギリスでは、全ての国民が政府の提供する医療保険に加入できるからだ。しかし、アメリカでも富裕層はほぼ全員が医療保険に入っている。

では、研究上「行動上の危険要因」と呼ばれる類の、悪い生活習慣についてはどうだろう?固定観念は正しい。イギリス人はアメリカ人よりもすこぶるアルコール好きで、アメリカ人はイギリス人よりも強烈に肥満に陥りやすい。しかし、統計に基づく解析によれば、悪い生活習慣がもたらす両国の格差は僅かである。

結局、研究を行った学者達は、相対的に富裕なアメリカ人でも不健康であるという事実に当惑している。だが私は、ここでいくつか可能性のある解釈を提示してみたい。

まず第一に、医療保険は優れた医療サービスを約束するわけではないということだ。例えば、糖尿病をめぐるニューヨークタイムズ紙の報道で指摘されているように、一般的に保険企業は病気を予防するための手当てについては支払いたがらないが、予防し損なった後で必要になる切断手術のような非常措置には支払う傾向にある。イギリスの全国民保険サービスは、民間の医療保険企業よりも広範且つ長期的視点に立って運営されており、限られた予算にも関わらず、実際にはアメリカ合衆国の医療システムよりも多方面に渡る医療サービスを提供できている可能性がある。

もうひとつの原因は、アメリカ人はあまりにもよく働くので、過剰なストレスを抱えているという可能性だ。フルタイムで働くアメリカ人の年間平均労働日数は46週。イギリス、フランス、ドイツの労働者の場合、フルタイム勤務でも年間平均労働日数はたったの41週にすぎない。過去にも指摘しているが、法的規制や組合の力により労働時間短縮が実現されているヨーロッパの経済よりも、我が国の仕事中毒経済は、国民が誇り高く主張する「家族の価値」に対してはるかに破壊的なのである。

働きすぎに加えて、最小限の社会的セーフティ・ネットしかない我が国の経済は、国民の健康を家族同様に損なっているのかもしれない。これは単なる提案である。確実に分かっていることは、アメリカ的人生は、2001年当時のホワイトハウス広報官アリ・フライシャーの有名な言葉を借りれば「恵まれている(a blessed one)」かもしれないが、国民の健康にとっては、深刻なほど悪い何かがあるということだ。
(以上)

訳注1

米国における医療システム問題の概要シンクタンク・アメリカ進歩財団の資料から抜粋)


The Medical Malpractice Myth

The Medical Malpractice Myth「医療ミス訴訟が多いのではなく、あまりにも医療ミスが多すぎるのである。医療ミスで毎年1万人ほどの患者が死亡しているが、被害者のほとんどは訴訟を起こしていない」(source)アメリカ医療システム問題の本質を抉る話題の書籍。

  • アメリカ合衆国全体で医療サービスへ支払われる金額は年間1兆7,000億ドル(約190兆円)で、米国内総生産(GDP)の15%以上を占めている。医薬品の購入金額も世界一で、1人当たり728ドルを医薬品購入に費やしている。
  • ブッシュ大統領の任期中に、医療保険に加入していないアメリカ国民は620万人増加し、現在ではおよそ4,600万人が無保険。このペースが続けば、2010年に米国民5,200万人が無保険になると予測されている。州別で最大の無保険者を抱えるのはカリフォルニア州(無保険者710万人)で、テキサス州(同590万人)が2位。
  • 米国では労働者の医療保険料は2000年から現在までに73%上昇している。保険料の高騰に伴い、米国内中小企業の半数は、従業員向け医療保険の提供を止めている。
  • 米国民1人当たりの医療費負担額は、国民全保険制度のある他の先進国と比較して約2.5倍高く、2003年度は1人当たり年間5,635ドル(約62万9,681円)。民間の医療保険に加入してもカバーされる範囲はかなり限定的で、一端医者にかかると借金漬けになることも多く、アメリカでは自己破産の半数は高額な医療費が原因となっている。
  • アメリカの医療保険業界では巨大資本による市場支配が進行していて、例えば、294の都市部の内166都市で、地域保険市場の50%以上を1社が支配する事態となっている。こうした競争原理による市場の寡占化が、民間保険料の高騰を招いている。(米国系保険業界のCMを大量に配信する日本国内放送各局-或る外資系保険企業などは、小泉純一郎が首相に就任した2001年から、日本市場のテレビ広告予算を前年比の4倍に増加させたという・・・そうした日本の大手マスコミは、米国の保険業界の実情について、広告以上のことは我々日本人にあまり教えてくれないようだ。)
  • アメリカ国民の長寿度は世界で34番目と比較的短命。日本人の平均寿命は82歳、アメリカ人の平均寿命は77.2歳。(経済協力開発機構(OECD)加盟国全体の平均寿命は77.8歳。)
  • 米国では年間9万8,000人が単純医療ミスで死亡しているとの報告もある。米国の病院経営におけるコスト削減主義(利益至上主義)はしばしば医療現場の品質低下や医療事故を招いており、例えば2005年のワシントンポスト紙報道によれば、アメリカ国内にある病院の大半が、使い捨て仕様の医療器具(カテーテル等)を、節約のため別の患者に何度も使いまわす習慣があるという。こうした事情もあって、米国の医療サービスレベルは世界ランキング中37番目。
  • 米国の乳児死亡率は2002年度に増加に転じ、死亡率は新生児1,000人中7人であった。米中央情報局(CIA)の公表している世界乳児死亡率ランキングによれば、乳児死亡率が世界で最も低いのはシンガポール(新生児1000人あたり2.29人)で、日本は4番目に低く(同3.24人)、世界一富裕な先進国であるアメリカ合衆国は42番目である。保守系アメリカ人が批判しがちなキューバの乳児死亡率の低さは40番目で、この医療課題に関する限り米国はキューバに劣っている。ちなみにアメリカでは、黒人や先住民族の乳児死亡率は、白人に比較しておよそ1.5倍から2.5倍高い。

訳注2
この調査では、調査対象となった55歳から64歳までの非ヒスパニック系白人男女を、所得別に富裕・中流・下流の3つのグループに三等分している。アメリカ人の場合、週間世帯収入が322ドル以上635ドル以下を中流家庭、イギリス人の場合は、週間世帯収入が127ポンド以上241ポンド以下を中流家庭と設定している。クルーグマンの引用するとおり、アメリカでは富裕層の8.2%、中流層の11.8%、下流層の17.4%が糖尿病。対するイギリスでは、富裕層の4.4%、中流層の6.7%、下流層の7.3%が糖尿病で、アメリカの富裕層よりもイギリスの下流層は健康ということになる。(source:Disease and Disadvantage in the United States and in England

訳注3
2002年から2003年の間に、55歳から64歳のアメリカ人の内、医療保険未加入状態を少なくとも1ヶ月以上経験している人の割合は20%以上であった。(source:Young And Uninsured

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11/28/2005

アメリカの経済隔離政策

Economic Apartheid in America

『Economic Apartheid in America: A Primer on Economic Inequality & Insecurity』(2005年改訂新装版)

CommonDreams2005年11月21日付け記事より。経済格差に関する書籍『Economic Apartheid in America: A Primer on Economic Inequality & Insecurity』の内容が紹介されているので、以下に一部を抜粋、翻訳して紹介:

  • 現代の企業重役が1日に稼ぐ金額は、平均的労働者の年収を上回っている。
  • 世界の上位経済圏100のうち、国家は47、53は企業が占めている。
  • 大手企業の75%は、従業員の組合結成を阻止するためのコンサルタントを雇っている。
  • ワシントンモニュメントの高さは555フィート(およそ169メートル)。この高さを2003年度のフォーチュン500にランクインした企業経営者の報酬額と仮定すると、平均的労働者の報酬は高さにしてたったの16インチ(およそ40センチ)となり、経営者との報酬比率はおよそ419対1。1965年の時点では、平均的労働者の報酬は高さにして13フィート6インチ、経営者との報酬比率はおよそ41対1だった。
  • フォーブス400(世界の金持ちランキング)に入っている人の42%は、同ランキングに居た先代の資産を相続している。
    その実例:
    J・ポール・ゲッティ・ジュニアは父親から石油資産を相続した。
    デビッド・ロックフェラー(資産額25億ドル:約2,992億円)は、スタンダード・オイル創始者ジョン・D・ロックフェラーの孫。
    サミュエル・アービング・ニューハウスとドナルド・ニューハウス(資産額は両者ともに70億ドル:約8,379億円)は、全米最大の個人新聞チェーン(Advance Publications社)とConde Nast publications社(出版チェーン)を1979年に父親から相続した。
    サミュエル・カーティス・ジョンソン(資産15億ドル:約1,795億円)は、床ワックス企業SCジョンソン社を創設した床張り材セールスマンのひ孫。
  • 国連開発計画の1999年度報告によれば、世界資産ランキング上位225人の合計資産額は1兆ドルとなり、世界の下層階級25億人分の総年収額とほぼ同額。
  • 世界人口の上位10%を占める富裕層が、世界全体の所得の49.6%を占めている。
  • 世界人口の60%を占める下位階級は、世界全体の所得の13.9%を占めている。
  • 世界最上位の金持ち3人の合計資産額は、開発途上国中の下層な48カ国のGDP(国内総生産)合計額を超える。
  • 世界人口60億人中、半数は1日2ドル以下の収入で、その内13億人は1日1ドル以下の収入で暮らしている。

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09/01/2005

金持ち天国アメリカ:企業CEOの平均年収は一般労働者の431倍、イラク戦争効果で急上昇

米国の民間調査団体、公正経済連合(United for a Fair Economy)と政策研究協会(Institute for Policy Studies)が8月30日に発表した共同調査報告「Executive Excess 2005」によれば、2004年度のCEOの平均年収は1,180万ドル(約13億677万円)、一般労働者の場合2万7,460ドル(約304万1,934円)で、両者の収入格差は431倍となり、2003年度の301倍から上昇している。

過去を遡ってみると、企業経営者と一般労働者の収入格差は1982年度で42倍、90年では107倍、2001年度には過去最大の525倍であった。

average CEO payratio 1990-2004

90年代から現在までの米国企業CEOと一般労働者の収入格差の変遷。米国民の二極化はクリントン政権時代から深刻化している(画像クリックで拡大します)source:Executive Excess 2005

2004年度の企業CEO報酬額で特筆すべきは、イラク戦争による経済効果である。2001年から2004年の間に、米企業CEOの平均年収は7%上昇しているが、企業収支が公開されている国防関連企業(ユナイテッド・テクノロジー、テクストロン、ゼネラル・ダイナミクス社など)の経営者の収入は、平均で200%上昇している。

例えば、防弾ベスト製造で知られるDHBインダストリーズ社のCEO、デビッド・H・ブルックスの場合、2001年度の報酬は52万5,000ドル(約5,820万7,629円)だったが、2004年度には7,000万ドル(約77億6,120万円)となり、増加率は13,349%である。2004年度、ブルックス氏は持ち株1億8,600万ドル分を売却して投資家の動揺を誘い、結果として同社の株価は22ドルから6ドル50セントに下がった。2005年5月、米海兵隊はDHBインダストリーズ社製防弾ベストの防弾性に問題ありとして、同社製品5,000着以上をリコールしたが、その時すでにブルックス氏は2億5,000万ドル以上(約277億754万円)を懐に収めていた。

また、国防関連企業CEOの報酬と、米軍の将軍クラスの収入格差は、2001年の12倍から2004年には23倍に拡大している。ちなみに、キャリア20年の将軍クラスの2004年度の年収は平均16万8,509ドル(約1,867万9,352円)で、2001年度に比較して2万286ドルの増加。一般兵士の場合、戦闘手当や住宅手当等を含めた年収は平均2万4,278ドル(約269万1,119円)で、2001年度から3,520ドル増加している。

イラク侵攻時から米軍の兵站業務を担当しているハリバートン社のCEOデビッド・レサー氏は、2003年から2004年の間に報酬を171%増額させ、1,140万ドル(約12億6,354万円)を受け取った。同じ時期、同社が国防総省に不正請求していた金額は14億ドル(約1,551億8,300万円)に及んでいる。一方でハリバートン社は、イラク駐留米軍の各基地で臨時雇用しているトルコ人やフィリピン人出稼ぎ労働者の食事として、米軍の残飯だけを提供しているという。

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08/31/2005

貧しいアメリカ:約3,700万人が貧困ライン以下、4年連続上昇

米国勢調査局(Census Bureau)が8月30日付けで発表した最新レポートによると、2004年度におけるアメリカ合衆国の貧困率は12.7%で、人数にするとおよそ3,700万人が貧困ライン以下の生活をしている(前年比110万人の増加:AP通信の関連記事

ブッシュ政権成立の年から貧困率は継続して上昇しており、ブッシュ大統領就任から4年間で貧困者の数は約590万人増加したことになる。(以下のグラフを参照)

povertyrate1959-2004

アメリカ合衆国貧困率の変遷(画像クリックで拡大します)(source:US Census Bureau

人種別でみると、アジア系米国人のみ貧困率が減少しており、2003年度の11.8%から2004年度は9.8%となっている。最も貧困率が上昇しているのは白人層で、2003年度の8.2%から2004年度は8.6%に上昇。なお、ヒスパニック系の貧困率は21.9%、黒人の貧困率は24.7%で、前年に比較して大きな変化はみられない。

また、2004年度における米国民の医療保険未加入率は15.7%で、およそ4,580万人が医療保険未加入であり、前年から80万人ほど増加している。

州別データから、貧困率の高い州、低い州をみると、以下リストのとおりになる。ミシシッピ州、ルイジアナ州は、今回のハリケーン(カトリーナ)により壊滅的被害を受けているので、同地区の貧困層住民にとっては今後さらに困難な生活が待ち受けていることになる。(現在、ルイジアナ州ニューオリンズは戒厳令が敷かれている

全米貧困州ワースト10

  1. ミシシッピ
  2. アーカンソー
  3. ニューメキシコ
  4. ルイジアナ
  5. コロンビア特別区
  6. テキサス
  7. ウェストバージニア
  8. アラバマ
  9. ケンタッキー
  10. テネシー

貧困率の低い州ランキング

  1. ニューハンプシャー
  2. ミネソタ
  3. ニュージャージー
  4. デラウェア
  5. メリーランド
  6. バーモント
  7. コネチカット
  8. アラスカ
  9. ワイオミング
  10. ユタ

※米国勢調査局による貧困定義基準のサンプル:
4人家族(夫婦+18歳以下の子供二人)の場合、年間世帯収入19,157ドル(約213万円)以下は貧困家庭とされ、貧困者数4人と算定される。

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05/23/2005

「チャイニーズ・コネクション」byクルーグマン

経済学者ポール・クルーグマンがニューヨークタイムズ紙に連載中の人気コラム最新号を以下に全文翻訳して掲載。

チャイニーズ・コネクション(The Chinese Connection)

by ポール・クルーグマン:ニューヨークタイムズ紙2005/05/20付けコラム

新たに発表された報告書の中で、財務省が中国の通貨政策を非難しているという話題を聞いて、ほとんどの読者の皆さんは「なんで??」と不思議に思うことだろう。率直に言って、この問題には経済の専門家ですら混乱することもある。しかし、何が起こっているかちょっと説明してみたい。

過去数年間、中国は、自国の事情により、米国の無責任な財政政策とナスダック式の理論マニアの両方に対して鍵を握ってきたが、今回の課題はアメリカの住宅市場が関わっている。今になって、合衆国政府はついに問題があることを認めた。ただし、我が国ではなく、中国が問題だと宣言したのだ。

そして、政府内の誰一人として、喜ばしくない現実を直視しようとする姿勢は未だみられない。今や、合衆国の経済は中国や諸外国からの低利融資に依存しており、その限度が近づくにつれて大きな問題に膨れ上がっているのである。

合衆国と中国の経済がどのように関係しているか示そう。

貿易黒字の急増と西側及び日本企業からの投資急増により、中国にはお金が流れ込んでいる。通常は、この資金の流れは自国で補正される:中国の貿易黒字と海外からの投資額は中国の貨幣である人民元の価値を押し上げ、中国の輸出品は国際競争力を削がれて貿易黒字は縮小していく。

しかし、中国政府は、そうした展開を防ぐために、人民元の価値を低く抑えるために流入する資金をそのまま外国への融資に回しており、大量のドル資産を買いあさっている。2004年度には2,000億ドル、今年はおそらく3,000億ドルほどになるだろう。これは経済的にはひねくれたやり方だ。西側諸国の基準からみると資本に乏しい国家である中国は、巨額の資金を低金利でアメリカ合衆国に融資している。

しかし、合衆国もまた、その歪んだやり方に依存することになってしまった。中国や諸外国によるドル買いにより、米国経済は巨額の財政赤字の影響からなんとか自立性を保っている。こうした海外からの資金の流れにより、財政赤字を補填するために政府が巨額の借り入れをしているにも関わらず、合衆国内の金利は低く抑えられているのである。

低金利は、翻って、アメリカ国内の住宅ブームの鍵を握っている。そして、急騰する住宅価格は単に建設業界の雇用を創造するだけでなく、多くの住宅所有者が、上昇する住宅価値を抵当債務借り換えによって現金化しており、結果として個人消費をも支えているのだ。

ではなぜ、合衆国政府は文句を言っているのだろう?財務省の報告は中国の通貨政策が合衆国にどう影響しているか全く触れていない。国内政策に関しては、いつも通り、ブッシュ政権へのゴマすりしか提示していない。一方で、中国自身のために、中国の政策の不当性について注目しているというのだ。いつからそれが合衆国の心配事になったのだろう?

もちろん現実には、合衆国政府は中国の経済など気にかけていない。ただ単に、中国の貿易黒字に怒る米国内の製造業界からの圧力から、中国の人民元に文句を言っているだけなのだ。全ては政治的動機なのである。そして、それこそが問題なのだ。政策決定が純粋に政治的動機だけで行われると、誰も現実世界の状況に応じた判断をしなくなってしまう。

もし中国政府が通貨政策を変更して、低金利の融資が行われなくなった際にはどうなるか、私の考えを述べよう。合衆国内の金利は上昇する。住宅バブルはおそらく弾けるだろう。建設業界の雇用と個人消費は共に落ち込む。住宅価格が下落するにつれて、自己破産も急増する。そして突然、国民は財政赤字の状態で資金繰りが簡単と誰が考えたのかを不思議がることになる。

言い換えれば、我が国は中国によるドル買い政策の中毒に陥り、それがなくなると禁断症状に苦しむようになってしまったのだ。

私は現状維持しろといいたいのではない。中毒は治療されるべきだし、早いほど良い。結局、近日中に中国はドル買いを控えるだろう。そして国民が何をしようと、やがて住宅バブルは弾けることになる。加えて、長期的に見れば、諸外国のドル買い依存からの脱却により、もっと健全な国内経済がもたらされるだろう。特に、人民元や他のアジア通貨の上昇は、2000年からこれまでに300万人の雇用を失ってきた米国製造業の競争力を、最終的にはより高めることになるだろう。

しかし、中国の通貨政策変更による悪影響はすぐに現れるが、良い影響が実感されるのは何年も先のことになる。私に言えることは、中国が合衆国の要求に応えて人民元の価値を上昇させた場合に、米国民がどうやって状況に対応するかについて、権力の座にある者達が全く考えていないということだ。(以上)


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03/26/2005

役に立たない雑学を少々

Ohio.com2005/03/21日付け記事より。同記事から面白い(?)雑学をいくつか以下に抜粋。

  • イタリア語よりタガログ語を話すアメリカ人のほうが多い。
  • アメリカでは、過去4年間で億万長者の数が37%増加したが、同時にフードスタンプ(低所得者向け食料補助制度)利用者は41%増加した。
  • フォーブス誌が世界でもっともパワーのある有名人として挙げたのは、メル・ギブソン、タイガー・ウッズ、オプラ・ウィンフリー、トム・クルーズ、ローリング・ストーンズ。
  • 高校を卒業したアメリカ人の内11%はアメリカ合衆国を地図で示せない。
  • ジョージ・W・ブッシュとダライラマは同じ誕生日(7月6日)
  • トム・ハンクスとO.J.シンプソンは同じ誕生日(7月9日)
  • チャック・ノリスとオサマ・ビン・ラディンは同じ誕生日(3月10日)
  • エルビス・プレスリーとスティーブン・ホーキングは同じ誕生日(1月8日)
  • ドナルド・トランプとチェ・ゲバラは同じ誕生日(6月14日)
  • 2004年10月4日は、1999年以来初めてシカゴで誰も撃たれなかった日である。
  • チェイニー副大統領は10EEEサイズの靴を履いている。
  • 2004年、北京では24万個以上のマンホールのフタが盗まれた。
  • 米空軍の防弾ショーツは重さ8ポンド(約3.6キログラム)
  • 1939年、5歳のペルー人少女が出産した。
  • 毎日平均70人のアメリカ人が臓器移植を受けている。
  • 第一次世界大戦で生き残った退役アメリカ兵の人数は100人以下になった。
  • 米国企業はスパムメールの処理に年間216億ドルを費やしている。
  • コネチカット州の住民は“コネチカッター(Connecticuters)”と呼ばれる。
  • サダム・フセイン、ウラジミール・レーニン、マキシミリアン・ロベスピエールは弁護士出身。
  • アレクサンダー・ハミルトン(米国の初代財務長官)は不倫で脅迫された。
  • エイブラハム・リンカーンの墓は、死体窃盗の企てにより一度だけ開けられた。
  • アメリカ国民全体でおよそ100億ドル分の小銭を所有している。
  • 昨年アメリカでは150万人以上のドライバーが飲酒運転で逮捕された。
  • パスポートを所有するアメリカ人は全体の20%以下、ディズニーランド、ディズニーワールドに行ったことのあるアメリカ人は70%以上。
  • ツインキー(米国のスポンジ菓子)の80%は空気。
  • デミ・ムーアが16歳で学校を退学した理由は、本人の弁によれば“イかれたブサイクな、本当に醜いアヒルの子だったから”
  • カレン・ブラックはノースウェスタン大学に15歳で入学した。
  • 北京の紫禁城にはスターバックスがある。
  • 韓国人ホームレスの4人に1人はクレジットカードを持っている。
  • 米国で死刑制度を認める38州の内、2004年度に死刑執行したのは12州。
  • 世界中で、英語を話す人の内3/4は、第二言語として英語を使っている。
  • オーストリア、クロアチア、デンマーク、キプロス、フィンランド、ノルウェイ、ドイツ、スウェーデン、イスラエル、アイスランド、ラトビアでは、子供のお尻を叩くことを禁じている。
  • ジャン・クロード・ヴァンダムは当初プレデター役だったが、身長が低すぎてエイリアンの着ぐるみに合わないので辞退した。
最後に一言:
「最新の調査によると、米国民の50%は自分の仕事に不満を持っているということだ。なぜかわかる?仕事の大半をインドに持っていかれてるからさ」

---ジェイ・レノ

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