貧しいアメリカ2007:3,730万人が貧困ライン以下
米国勢調査局が今月26日に発表した最新統計報告によれば、2007年度にアメリカ合衆国では平均世帯収入が前年比で1.3%上昇したものの、貧困率は12.5%で、2006年度から変化はなかった。貧困ライン以下の生活をする国民は3,730万人で、2006年度の3,650万人から増加している。
政府があなたに熟考してほしくない由々しき情報 (リンク、引用はご自由にどうぞ)
米国勢調査局が今月26日に発表した最新統計報告によれば、2007年度にアメリカ合衆国では平均世帯収入が前年比で1.3%上昇したものの、貧困率は12.5%で、2006年度から変化はなかった。貧困ライン以下の生活をする国民は3,730万人で、2006年度の3,650万人から増加している。
まずは明るいニュースから。米国勢調査局(U.S. Census Bureau)が8月28日に発表した年次報告によれば、2006年度にアメリカ合衆国の世帯収入は2年連続で上昇し、貧困率は前年よりも減少したという。報告にあわせてブッシュ大統領は「2006年度の所得増加は大幅なもので、全ての所得部門まで広範に及んでいる」「貧困率は著しく改善した」と高らかに宣言した。
もっと明るいニュースもある。米国の民間調査団体、公正経済連合(United for a Fair Economy)と政策研究協会(Institute for Policy Studies)が8月30日に発表した共同調査報告「Executive Excess 2007」によれば、2006年度におけるフォーチュン誌認定上位500社CEOの平均年収は1,080万ドル(約12億5,020万円)で、一般労働者の年収に比較して364倍だった。2004年度の数値(431倍)に比較すれば、所得格差はかなり縮小している!ちなみに2006年度、米企業CEOの稼ぎ頭はメリルリンチのスタンレー・オニール氏で、年収は9,100万ドル(約105億3,236万円)だった。
加えて、すばらしいニュース。世界経済を牽引する超実力社会アメリカでは、大企業CEOは努力・能力ナシでも報われるようになった。2006年度、ヨーロッパ地域では上位20人の企業CEOの平均年収は1,250万ドル(約14億4,712万円)で、米国の上位20人の企業CEOの平均年収に比較すると1/3に過ぎない。一方で、ヨーロッパ側CEOが経営する企業20社の合計売上高は、アメリカ側のそれに比較して190億ドル以上多かった。
さらにパワフルなニュース。米国で活躍するトップクラスのヘッジファンドマネージャー20人の2006年度平均年収は6億5,750万ドル(約761億1,220万円)で、一般労働者の平均年収2万9,544ドル(約342万円)に比較して2万2,255倍多く稼いでいた。まさにアメリカン・ドリームだ!USA!USA!ゴッド・ブレス・アメリカ!
・・・さて、悪いニュース。アメリカで仕事に就いている男女の平均賃金は3年連続で減少した。医療保険に加入していないアメリカ人は前年比で5%増加し、4,700万人になった。貧困層に属するアメリカ人は現在3,650万人で、ブッシュ政権がスタートしてから490万人も増加した。そして、緊急食糧支援に頼るアメリカ人は毎年2,300万人にものぼるという。
「私は皆さんが思っているよりもずっと良く眠っているんですよ。」
(I'm sleeping a lot better than people would assume.)ジョージ・W・ブッシュ大統領、2006年12月14日に行われたインタビューで発言(source)
ボブ・ハーバート最新コラム集『Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream
』
今回はニューヨークタイムズ紙の人気コラムニスト、ボブ・ハーバートの最新コラムを翻訳して掲載。
今回のコラムで指摘されているとおり、ハリケーン・カトリーナ被災地の復興は停滞している。その一方で、イラク戦争で米国政府はこれまでに3,500億ドル(約41兆5,992億5,000万円)を支出しており、アフガニスタン戦争その他テロ戦争費用を合計すると、米国の戦争関連支出は5,000億ドル(約59兆4,275億円)を超えているという。さらに先週、米国防総省はイラク・アフガニスタン戦争追加予算として997億ドル(約11兆8,498億4,400万円)を要求している。
2003年5月に「イラクでは主要な戦闘は終了した」と宣言したジョージ・W・ブッシュ大統領は、2006年12月になると「我が国は勝っても負けてもいない」と勝利宣言を事実上取り消し、イラク駐留米軍の増強を訴え始めた。(現在ホワイトハウスのウェブサイトに掲載されているあの悪名高き『トップガン大統領』演説ビデオをみると、いつのまにか『任務完了』の横断幕がフレームアウトされている。『任務完了(Mission Accomplished)』の文字は当時の公式写真にも見当たらない。)
今年の中間選挙で敗北し、政府職員の顔色が気になり始めたブッシュは、米軍兵士を含めた公務員の昇給を求める大統領命令に先日素早く署名した。この法律によって、2008年1月から米連邦政府職員は(兵士も含め)平均で2.2%昇給される。なお、この昇給命令には、米国議員全員及びディック・チェイニー副大統領の昇給(1.7%増)も含まれているという。
クルーグマンがコラムで嘆くように、米国の医療システムは党派に関係なく問題視されており、その改善政策案は2008年度大統領選挙の争点のひとつになると思われる。世論調査によれば、2004年度選挙でブッシュに投票した有権者の内62%が、大統領と議会が現在の医療危機に対応できていないと感じているという。
一方、戦争費用により膨れ上がった財政赤字の削減に取り組むことになったブッシュは、軍事関連では相変わらず太陽系最大の支出を目指しているが、国内医療向け予算については今よりもっと小さな政府を目指すことにしたらしい。ブッシュ政権の2007年度予算案では、国内貧困層向けの各種医療サービスや疾病対策支援予算---例えば、先住民族向け医療サービス、田舎向け医療器具補助、アルツハイマー対策啓蒙活動、さらにはスーパーマン役で名声を博したクリストファー・リーブ夫妻の設立したリーブ財団(クリストファー・アンド・ディナ・リーヴ麻痺資源センター)向け予算まで全額カットされている。(クリストファー・リーブ氏は2004年に死去し、妻のディナ・リーブさんも2006年3月6日に肺がんで亡くなった。ブッシュ大統領が予算案を公表したのは2006年2月6日で、ディナさんが死亡する一ヶ月前だった。)
CommonDreams2005年11月21日付け記事より。経済格差に関する書籍『Economic Apartheid in America: A Primer on Economic Inequality & Insecurity』の内容が紹介されているので、以下に一部を抜粋、翻訳して紹介:
米国の民間調査団体、公正経済連合(United for a Fair Economy)と政策研究協会(Institute for Policy Studies)が8月30日に発表した共同調査報告「Executive Excess 2005」によれば、2004年度のCEOの平均年収は1,180万ドル(約13億677万円)、一般労働者の場合2万7,460ドル(約304万1,934円)で、両者の収入格差は431倍となり、2003年度の301倍から上昇している。
過去を遡ってみると、企業経営者と一般労働者の収入格差は1982年度で42倍、90年では107倍、2001年度には過去最大の525倍であった。
90年代から現在までの米国企業CEOと一般労働者の収入格差の変遷。米国民の二極化はクリントン政権時代から深刻化している(画像クリックで拡大します)source:Executive Excess 2005
2004年度の企業CEO報酬額で特筆すべきは、イラク戦争による経済効果である。2001年から2004年の間に、米企業CEOの平均年収は7%上昇しているが、企業収支が公開されている国防関連企業(ユナイテッド・テクノロジー、テクストロン、ゼネラル・ダイナミクス社など)の経営者の収入は、平均で200%上昇している。
例えば、防弾ベスト製造で知られるDHBインダストリーズ社のCEO、デビッド・H・ブルックスの場合、2001年度の報酬は52万5,000ドル(約5,820万7,629円)だったが、2004年度には7,000万ドル(約77億6,120万円)となり、増加率は13,349%である。2004年度、ブルックス氏は持ち株1億8,600万ドル分を売却して投資家の動揺を誘い、結果として同社の株価は22ドルから6ドル50セントに下がった。2005年5月、米海兵隊はDHBインダストリーズ社製防弾ベストの防弾性に問題ありとして、同社製品5,000着以上をリコールしたが、その時すでにブルックス氏は2億5,000万ドル以上(約277億754万円)を懐に収めていた。
また、国防関連企業CEOの報酬と、米軍の将軍クラスの収入格差は、2001年の12倍から2004年には23倍に拡大している。ちなみに、キャリア20年の将軍クラスの2004年度の年収は平均16万8,509ドル(約1,867万9,352円)で、2001年度に比較して2万286ドルの増加。一般兵士の場合、戦闘手当や住宅手当等を含めた年収は平均2万4,278ドル(約269万1,119円)で、2001年度から3,520ドル増加している。
イラク侵攻時から米軍の兵站業務を担当しているハリバートン社のCEOデビッド・レサー氏は、2003年から2004年の間に報酬を171%増額させ、1,140万ドル(約12億6,354万円)を受け取った。同じ時期、同社が国防総省に不正請求していた金額は14億ドル(約1,551億8,300万円)に及んでいる。一方でハリバートン社は、イラク駐留米軍の各基地で臨時雇用しているトルコ人やフィリピン人出稼ぎ労働者の食事として、米軍の残飯だけを提供しているという。
米国勢調査局(Census Bureau)が8月30日付けで発表した最新レポートによると、2004年度におけるアメリカ合衆国の貧困率は12.7%で、人数にするとおよそ3,700万人が貧困ライン以下の生活をしている(前年比110万人の増加:AP通信の関連記事)。
ブッシュ政権成立の年から貧困率は継続して上昇しており、ブッシュ大統領就任から4年間で貧困者の数は約590万人増加したことになる。(以下のグラフを参照)
アメリカ合衆国貧困率の変遷(画像クリックで拡大します)(source:US Census Bureau)
人種別でみると、アジア系米国人のみ貧困率が減少しており、2003年度の11.8%から2004年度は9.8%となっている。最も貧困率が上昇しているのは白人層で、2003年度の8.2%から2004年度は8.6%に上昇。なお、ヒスパニック系の貧困率は21.9%、黒人の貧困率は24.7%で、前年に比較して大きな変化はみられない。
また、2004年度における米国民の医療保険未加入率は15.7%で、およそ4,580万人が医療保険未加入であり、前年から80万人ほど増加している。
州別データから、貧困率の高い州、低い州をみると、以下リストのとおりになる。ミシシッピ州、ルイジアナ州は、今回のハリケーン(カトリーナ)により壊滅的被害を受けているので、同地区の貧困層住民にとっては今後さらに困難な生活が待ち受けていることになる。(現在、ルイジアナ州ニューオリンズは戒厳令が敷かれている)
※米国勢調査局による貧困定義基準のサンプル:
4人家族(夫婦+18歳以下の子供二人)の場合、年間世帯収入19,157ドル(約213万円)以下は貧困家庭とされ、貧困者数4人と算定される。
経済学者ポール・クルーグマンがニューヨークタイムズ紙に連載中の人気コラム最新号を以下に全文翻訳して掲載。
by ポール・クルーグマン:ニューヨークタイムズ紙2005/05/20付けコラム
新たに発表された報告書の中で、財務省が中国の通貨政策を非難しているという話題を聞いて、ほとんどの読者の皆さんは「なんで??」と不思議に思うことだろう。率直に言って、この問題には経済の専門家ですら混乱することもある。しかし、何が起こっているかちょっと説明してみたい。
過去数年間、中国は、自国の事情により、米国の無責任な財政政策とナスダック式の理論マニアの両方に対して鍵を握ってきたが、今回の課題はアメリカの住宅市場が関わっている。今になって、合衆国政府はついに問題があることを認めた。ただし、我が国ではなく、中国が問題だと宣言したのだ。
そして、政府内の誰一人として、喜ばしくない現実を直視しようとする姿勢は未だみられない。今や、合衆国の経済は中国や諸外国からの低利融資に依存しており、その限度が近づくにつれて大きな問題に膨れ上がっているのである。
合衆国と中国の経済がどのように関係しているか示そう。
貿易黒字の急増と西側及び日本企業からの投資急増により、中国にはお金が流れ込んでいる。通常は、この資金の流れは自国で補正される:中国の貿易黒字と海外からの投資額は中国の貨幣である人民元の価値を押し上げ、中国の輸出品は国際競争力を削がれて貿易黒字は縮小していく。
しかし、中国政府は、そうした展開を防ぐために、人民元の価値を低く抑えるために流入する資金をそのまま外国への融資に回しており、大量のドル資産を買いあさっている。2004年度には2,000億ドル、今年はおそらく3,000億ドルほどになるだろう。これは経済的にはひねくれたやり方だ。西側諸国の基準からみると資本に乏しい国家である中国は、巨額の資金を低金利でアメリカ合衆国に融資している。
しかし、合衆国もまた、その歪んだやり方に依存することになってしまった。中国や諸外国によるドル買いにより、米国経済は巨額の財政赤字の影響からなんとか自立性を保っている。こうした海外からの資金の流れにより、財政赤字を補填するために政府が巨額の借り入れをしているにも関わらず、合衆国内の金利は低く抑えられているのである。
低金利は、翻って、アメリカ国内の住宅ブームの鍵を握っている。そして、急騰する住宅価格は単に建設業界の雇用を創造するだけでなく、多くの住宅所有者が、上昇する住宅価値を抵当債務借り換えによって現金化しており、結果として個人消費をも支えているのだ。
ではなぜ、合衆国政府は文句を言っているのだろう?財務省の報告は中国の通貨政策が合衆国にどう影響しているか全く触れていない。国内政策に関しては、いつも通り、ブッシュ政権へのゴマすりしか提示していない。一方で、中国自身のために、中国の政策の不当性について注目しているというのだ。いつからそれが合衆国の心配事になったのだろう?
もちろん現実には、合衆国政府は中国の経済など気にかけていない。ただ単に、中国の貿易黒字に怒る米国内の製造業界からの圧力から、中国の人民元に文句を言っているだけなのだ。全ては政治的動機なのである。そして、それこそが問題なのだ。政策決定が純粋に政治的動機だけで行われると、誰も現実世界の状況に応じた判断をしなくなってしまう。
もし中国政府が通貨政策を変更して、低金利の融資が行われなくなった際にはどうなるか、私の考えを述べよう。合衆国内の金利は上昇する。住宅バブルはおそらく弾けるだろう。建設業界の雇用と個人消費は共に落ち込む。住宅価格が下落するにつれて、自己破産も急増する。そして突然、国民は財政赤字の状態で資金繰りが簡単と誰が考えたのかを不思議がることになる。
言い換えれば、我が国は中国によるドル買い政策の中毒に陥り、それがなくなると禁断症状に苦しむようになってしまったのだ。
私は現状維持しろといいたいのではない。中毒は治療されるべきだし、早いほど良い。結局、近日中に中国はドル買いを控えるだろう。そして国民が何をしようと、やがて住宅バブルは弾けることになる。加えて、長期的に見れば、諸外国のドル買い依存からの脱却により、もっと健全な国内経済がもたらされるだろう。特に、人民元や他のアジア通貨の上昇は、2000年からこれまでに300万人の雇用を失ってきた米国製造業の競争力を、最終的にはより高めることになるだろう。
しかし、中国の通貨政策変更による悪影響はすぐに現れるが、良い影響が実感されるのは何年も先のことになる。私に言えることは、中国が合衆国の要求に応えて人民元の価値を上昇させた場合に、米国民がどうやって状況に対応するかについて、権力の座にある者達が全く考えていないということだ。(以上)
Ohio.com2005/03/21日付け記事より。同記事から面白い(?)雑学をいくつか以下に抜粋。
(西海岸のローカル紙)The Union Democrat紙2005/03/03付け記事より。以下に全文翻訳して掲載。
米退役軍人局は、湾岸戦争症候群に苦しむ退役軍人約20万人の障害年金請求を拒否しつづけている。さらに、ブッシュ政権は財政赤字解消(というよりイラク占領費用捻出のため)退役軍人向けサービスをどんどん縮小しており、2003年度には退役軍人向け医療予算を30億ドルも削減している。
by エイミー・リンドブロム:The Union Democrat紙2005/03/03付け記事
ビルとアンナ・デルーエン夫妻の息子は、目だった戦傷を負うことなく、湾岸戦争からコロンビア(サウスカロライナ州)に帰還した。
骨折もなく、銃創もなかった。容姿も以前と変わらぬままだった。
しかし、ビル・デルーエン三世は傷を負っていた。
1989年、幸福で健康な27歳のビルは、陸軍に入隊した。
1991年、戦場から帰還したビルは、重い頭痛と、慢性的な下痢、原因不明の熱に悩まされていた。彼はうつ状態になり、信じられないほど疲労しており、悪夢のせいで夜寝付くことが出来ない。ひとたび眠れば、シーツは汗でずぶぬれになった。
退役軍人局の精神科医は、デルーエンの症状をPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断した。ビルは、サダム・フセインの共和国防衛隊を攻撃するために編成された陸軍の秘密部隊に所属していたことから、デルーエンの両親は、息子が枯葉剤や神経ガスを浴びたと信じている。
陸軍を退役して13年経過した今、ビル・デルーエンは懲役16年の刑に服している。2001年、彼は覚せい剤を販売していた容疑で有罪を宣告された。両親の話では、ビルは長年の痛みを抑えるために覚せい剤を使用していたという。
このまま何事もなければ、42歳のビル・デルーエンは2013年に出所することになる。
デルーエンの両親は、すでに夫妻ともに70代中盤だが、50歳になった息子が家に戻るまで生きていたいと願っている。
夫妻は、現在のイラク戦争から帰還する兵士達の両親のために、自身の経験が活かされることを期待している。夫妻のアドバイスは警戒を促している:「見えない病気に注視しなさい」
「気をつけて。隠れた兆候を見逃さないで。帰還した兵士達は酷い状態になっているものなんです」アンナ・デルーエンは涙ながらに語った。
デルーエン夫妻はアメリカ人であることに大変な誇りをもっており、1950年代以来の頑固な共和党員である。ベッドルームの壁には、フレームに入ったロナルド・レーガンの肖像とともに、制服を着た息子の写真が飾られている。
ロシア軍とドイツ軍が激突していた頃のハンガリーから、10代のアンナ・デルーエンは母親と一緒に祖国を脱出した。
「ここに居られることは本当に素晴らしいことだし、夫にとっても息子にとっても、アメリカ人であることはとても素晴らしいことです」アンナ・デルーエンは言う。「もしもハンガリーに留まっていたら、こんな素敵な人生を送ることが出来なかったでしょう。あそこでは今でも人々が苦闘しています」
しかし、アメリカへの愛にも関わらず、デルーエン家は半ば政府に裏切られたように感じている。夫妻の話では、湾岸戦争で化学兵器に侵された退役軍人達に、合衆国政府は十分な支援をしていないという。
「私達の息子は、退役軍人局から、汚れたぼろ切れのように棄てられているんです」アンナは言った。
ビルは際限のない下痢に苦しみ、痩せていった。不眠と原因不明の倦怠感から、彼は日中に眠るようになった。簡単な事も思い出せなくなり、全身が痛むようになった、と父親は語った。
デルーエン夫妻は何かがおかしいと感じた。息子はそのような病気に罹ったことがなかったので、夫妻は怖くなった。
「息子はもがいていました。私達も四苦八苦していました」アンナ・デルーエンは言った。
ビルとアンナ・デルーエンは、息子を医者や精神科医に診せ、原因を解明できると期待した。ベイ・エリア病院に向かう途中、病気で息子の内臓が破裂寸前になり、オークデイルまでしか到達できなかった。
湾岸戦争に派遣された兵士達に対する何年もの医療調査の結果、連邦政府はようやく湾岸戦争症候群が実在する問題であると認識することになった。
退役軍人局のアンソニー・プリンシピ長官が昨年11月に公表した報告によれば、デルーエンが罹っているような症状をさらに調査するために、今後の4年間に毎年1,500万ドルの費用が必要になるとのことだった。
しかし1991年の時点で、退役軍人局の精神科医はデルーエンをPTSDと診断したので、政府は彼に追加の医療手当てを給付することを渋っている。
当時の米国政府は、神経ガスとの関連が懸念される湾岸戦争症候群の存在を否定していた。その代わりに、政府当局者は、兵士達の障害について単に心理的なものと主張していた。
帰還から数ヶ月が過ぎても、ビル・デルーエンの症状が好転する様子はなかった。彼は仕事に就くことができず、痛みが酷いことから普段の生活にも支障をきたしていたと父親は語った。
ビルはソノラを出て、陸軍入隊前に知り合った女性と一緒になるためストックトンに向かった。
アン・デルーエンの話によれば、彼女と友人達は覚せい剤の常用者だったという。
覚せい剤で痛みを紛らわせることを知ったビル・デルーエンは、途端に重度の薬物依存に陥った。
1993年、4件の第一級住居侵入窃盗の罪で、デルーエンは有罪を宣告された。カリフォルニア州におけるスリーストライク法で、ワンストライクにあたる。カラベラス郡判事は、デルーエンを刑務所に収監する代わりに、薬物依存症の治療のために南カリフォルニアのリハビリ施設に送還することにした。
1年の内に、デルーエンは釈放された。しかし、無職の上、頭痛や他の痛みに苦しみ、再び問題を起こすことになる。
2001年、彼はトゥオルミ郡保安官事務所の情報提供者にドラッグを販売した。販売目的でドラッグを所持した容疑で、彼は有罪となった。
1993年の有罪判決と、ストライク法の影響により、判事から16年の懲役刑を宣告された時、デルーエンは事情を知らなかったという。
判決記録によれば、デルーエンは後に、刑務所内で精神科治療を受けられず、明瞭な思考ができないまま罪を認めてしまったと話している。
1994年から施行されたカリフォルニア州のスリーストライク法に、デルーエン家は賛成票を投じていた。それから、昨年、第66提案に賛成を投じた。非暴力犯罪で収監されている囚人をスリーストライク法の例外とする同法案は、否決された。
「息子は過ちを犯しました。彼も私達もそれは理解します」アンナ・デルーエンは言う。「5年の刑期なら我慢できますが、16年というのは度が過ぎています。息子が刑務所に行くことになった理由は、犯罪というよりも病気のためなのです」
デルーエン夫妻は、息子が出所した時の医療援助と生活費を捻出するために、退役軍人局相手に追加の障害年金を要求するべく、新たに弁護士を雇いいれた。
しかし、デルーエンの有罪記録により、ラ・ホーラ郡退役軍人向け弁護グループのマーク・リップマン氏はクライアントの依頼を完全には楽観視できない。
「政府は、国民を入隊させる時には軍部に最大限の賛美を惜しまないが、戻ってきた退役軍人には誠に不親切なのです」リップマンは言った。
刑務所では、ビル・デルーエンはいくらかの精神的支援を得て、頭痛と悪夢に対しても投薬を受けている。
先日、デルーエン夫妻は、事態の改善のために何かできることがあるかどうか、面会の際に息子に聞いてみたところ、息子は泣いた。
「母さん、気分が悪かったり頭が痛いとき、覚せい剤だと具合がいいんだよ」息子が繰り返す言葉を、アンナは話した。
デルーエン夫妻は、今でも信仰を欠かさず、何か息子が救われることが起きるよう祈っている。
退役軍人局に失望したにも関わらず、夫妻は今でも、政府が息子に手を差し伸べてくれると確信しているという。
「息子は祖国のために喜んで身を捧げました。しかし祖国は息子を切り捨てたのです」アンナは言う。「息子が苦しむ姿をみると心が痛みますが、彼は不平を言いません。この国に暮らせることも、アメリカ国民であることも素晴らしいことです。ただ私は、この国の法廷と政府が、息子を救うために変わってくれることを願っているのです」(以上)
「どちらにしろ、本当の金持ちは税金を逃れる方法を心得てますからね。」
"The really rich people figure out how to dodge taxes anyway."
---ブッシュ大統領、ライバルのジョン・ケリーが提案する富裕層向けの税引き上げ政策が失敗する理由を説明するために発言(2004年8月9日 バージニア州アナンデールでの遊説にて)
The Center for American Progress2005/02/08付けレポートより。以下に全文を翻訳掲載。
以下のレポートでも書かれているとおり、ブッシュの掲げる2006年度予算案は、アメリカ国内の中産階級を本当に破滅させることになるかもしれない。
同予算案では、膨張する財政赤字削減のために、国内プログラムのうち150件について減額、消滅が提案されているが、削減対象となるプログラムは平均的な市民生活に関わるものばかり。一方で、国防総省の予算は4,193億ドル、前年比4.8%の増額となっている。
もちろん、防衛関連費用の中には削減されるものもある。例えば、米国内に大量に備蓄されている化学兵器の廃棄費用は70%ほど削減される。(イラク・ファルージャ攻撃の際、米軍は市民に対して化学兵器を使用し、現在その証拠隠滅作業に追われているが、米軍にとってそれは旧在庫放出だったわけである。)
by クリスティ・ハービィ、ジャド・レガム、ジョナサン・バスキン、ニコ・ピットニー、マイク・オンサイド:The Center for American Progress2005/02/08付けレポート
ブッシュ政権の2006年度予算案をよく見ると、さまざまな経済政策上の選択事項と優先事項の間違いが見て取れる。億万長者への減税政策見直しは棚上げする代わりに、平均的なアメリカ国民に対しては、ブッシュ政権は臆面もなく増税するつもりなのだ。昨日ブッシュ大統領が議会に提示した予算案によれば、新たに53億ドルの回帰的課税を義務付けようとしている(ご親切にも、予算案分析的外観資料305ページの表18-3に掲載されている)(訳者注:PDF書類上では317ページとなる")。ブッシュ政権の予算案では、新規課税の結果、6パック入りビールや、航空チケット、退役軍人向け処方箋薬の価格が上昇することになる。一方で、教育基金、公衆衛生、環境保護への支出は削減し、富裕層に対しては1兆4000億ドルの減税を提案している。さあ、ブッシュ経済学にようこそ。(中産階級への増税について文句を言いたい方はThinkProgressの掲示板へどうぞ)
ニューヨークタイムズ紙2005/01/12付けコラム記事より。以下に全文を翻訳して掲載。
悲しい事実を伝えよう:もしもアメリカ合衆国の乳幼児死亡率がキューバ並であったなら、我が国は一年で2,212人の子供を救うことが出来ただろう。
そう、キューバと同じならば、である。国民は我が国の医療システムは世界一と思っているが、アメリカで新生児が生き残る確率は、貧困な独裁国家とされるキューバ以下である。CIAの最新世界調査レポートによれば、キューバはアメリカよりも乳幼児死亡率が低い41カ国のひとつなのである。
さらに悪いことに、アメリカの乳幼児死亡率は近年悪化している。
1958年以来毎年、アメリカの乳幼児死亡率は改善されてきたか、少なくとも前年同率を保っていた。しかし2002年、死亡率は悪化した。現在、アメリカでは1000人に7人の割合で乳幼児が死亡しているが、その前年では6.8人だった。
そうした数字は、疾病対策予防センターの報告書に埋もれてしまってあまり注目を集めることもない。しかし、連邦政府から転がり出てくるそうした統計パターンが示すのは、アメリカの底辺に暮らす人々にとっては、新たな繁栄を享受するはずの現代は、悲惨な事態になりつつあるということである。
「アメリカの子供達は、過去10年間に比較してより多くの危険に直面しています」コロンビア大学メイルマン校舎環境衛生学部副学部長で児童保険基金主宰者のアーウィン・レッドレナー博士は言う。「乳幼児死亡率の増加は我が国が間違った方向に向かっていることへの警告であり、改善のめどは立っていないのです」
2002年度のアメリカにおける乳幼児死亡率を上昇させた要因については明らかになっていない。2003年から2004年度の正確なデータはまだ発表されていない。疾病対策予防センターのサンディ・スミス氏によれば、統計担当者は2003年度の統計について悪化することはないと確信しているが、高い死亡率が改善されているかどうかを判別するには時期尚早とのことである。
シンガポールは世界で最も乳幼児死亡率が低い国で、1歳前に死亡する幼児は1,000人につき2.3人とのことだ。スウェーデン、日本、アイスランドの乳幼児死亡率はアメリカの半分以下である。
もしも我が国の乳幼児死亡率がシンガポール並であれば、毎年18,900人の幼児を救うことが出来る。別の数値を考えるなら、我が国のイラク統治の失策により、毎年およそ800人のアメリカ人が殺されることになるだろうが、母国の医療保障の失策により、比較にならないほど多くの幼児が死ぬことになっているのである。そして母親もまた同じ運命だ・・・アメリカ合衆国で母親が出産時に死亡する確率は、ヨーロッパよりも70%も多い。
もちろん、出産病棟での死は1人づつなので、国家全体の注目を集めることもなく、ファルージャでの爆発やスリランカでの津波による悲嘆や騒ぎをもたらすこともない。しかしそれははるかに頻繁に起きている:毎日、平均して77人の乳幼児が死亡し、1人の妊婦が出産時に死亡しているのだ。
公衆衛生に注力することは、3億ドルでF/A-22戦闘機を一機購入することに比較してそれほどドラマチックではないが、アメリカ国民を守るとすればはるかに効果的である。
例えば、第二次大戦中の雇用ブームにより、多くの貧しいアメリカ人が、初めて普通の医療保障を体験することができた。40万5000人のアメリカ人が戦死したが、アメリカ国民の平均寿命は1940年から1945年の間に伸びており、白人は3年、黒人は5年寿命が長くなったのである。
実際、乳幼児死亡率と他のアメリカ国民の健康に関わる問題は、大部分が貧困と密接に結びついており、経験から言えば右派も左派も、貧困問題には解決策を提示できていない。しかし政府が計画し議論しはじめているいくつかの手順---資格取得を縮小するとか、特に児童の医療保険適用を削減するなどは、事態を悪化させることになるだろう。昨年、全米科学アカデミーの一部門である医学研究所が行った研究試算によると、医療保険の取得不足により、毎年1万8000人が無駄に死亡しているということである。
読者の皆さんはご存知だろうが、私は常日頃、反対派やクリスチャン、最近ではニューヨークタイムズ紙北京支局同僚のザオ・ヤンを投獄した中国政府の無慈悲について文句を書いている。しかし、その無慈悲さにも関わらず、中国の独裁者達は、北京の乳幼児死亡率を1000人あたり4.6人という低い率に抑えている。反対に、ニューヨークの乳幼児死亡率は1000人あたり6.5人である。
国民はアメリカという国の自由を祝福すべきだろう・・・貧困や医療保障制度の欠陥について文句をいって働きかけながら、である。北京やハバナよりも幼児が生き残り難いというアメリカは、とても容認できない。
ウェストバージニア州の地域新聞The Dominion Post紙2004/12/27付け記事より。以下に全文を翻訳して掲載。
Dominion Post Newspaper on December 27, 2004
アトランタ育ちのリサ・グレイは、フードスタンプ(食糧補助制度)について全く知識がなかった。時折家族で食料配布所に出かけることはあったが、それは寄付をするためであって、食料補助を受けるためではなかった。
彼女も、彼女の母も、父も兄も、航空技術者である父親の給料だけで暮らしていけたのである。
しかしながら、最近では、3人の子を抱える母親として仕事を持つグレイは、過去4年のうちに急増した人々---フードスタンプと食料配布所に依存する何百万人ものアメリカ家庭の一例となっている。
2000年から、グレイ以外にも、新たに600万人以上のアメリカ人が、テーブルに食事を並べることがしばしば困難な生活クラスに加わっている。
アメリカ国内の食料補助受給者は、7年連続の減少の後に続く2000年からの4年間で、約39%も増加していることが、連邦統計局の報告で判明している。ハワイを除くほぼ全ての州で、その影響をみることができる。州別の食糧補助受給の増加数は、アリゾナ州で104%、ネバダ州で97%、オレゴン州は79%、サウスカロライナ州は68%、ミズーリ州は65%と、いずれの州も急増している。(訳注)
急増した理由の一部には、各州で食糧補助受給資格者への配給促進努力と、福祉制度改革時に資格を喪失していた人々が再び受給を認められたということもある。しかし、社会福祉指導員の話によると、受給者急増の主な理由は、実際に補助制度なしには食事を確保できないアメリカ人が増加していることにあるという。
「需要が急増しているのは明らかです」イリノイ州社会福祉局長のキャロル・アダムズは言う。イリノイ州の食料補助受給者は、2000年から31%増加している。
一方で、国内の食糧貯蔵組織と食料配布所では、飢えた家族達の需要を満たすことが困難になりつつあるという。
「一日のうちにやって来る全ての人に食料を配給するには、時間が足りないのです」デンバーの食料配布組織、メトロ・ケアリングのジョン・ホルマー事務局長は話している。
| 州名 | 2000年度 | 2004年度 |
|---|---|---|
| アリゾナ | 259,006 | 529,559 |
| ネバダ | 60,905 | 120,275 |
| オレゴン | 234,387 | 419,736 |
| サウスカロライナ | 295,335 | 497,218 |
| ミズーリ | 423,320 | 699,616 |
ちなみに全米でもっとも食料補助受給者の多い州は、ブッシュの地元テキサス州(2,258,951人)となっている。(source:米農務省食品栄養サービス:フードスタンププログラム利用者統計ページ)
UPI(United Press International)2004/12/07付け記事より。全文を以下に翻訳掲載。(記事内リンク、脚注は訳者による)
ところで、12月12日付けAP通信によれば、ブッシュ暫定大統領は健康診断の結果「少々肥満になった」ことが判明したそうだ。本人の説明では、選挙期間中にドーナッツを食べ過ぎたのが原因らしい。この診断結果を受けて、合衆国最高司令官は、新たな方針も打ち出した。本人曰く:
「体重計に乗ってから、新年に向けた私の決意はより明確になった。」
(My New Year's resolution has become apparent after getting on the scales.)
ワシントン、12月7日(UPI)---イラク戦争から帰還した退役軍人達が、国内各地のホームレス避難施設で見かけられるようになり、ベトナム戦争以来の新世代ホームレスが増加する兆候ではないかと懸念されている。
「なんてことでしょう。街にはすでにイラクから帰ってきた路上生活者が居たので・・・」と言うのは、退役軍人ホームレス全国連合の事務局長を務めるリンダ・ブーン氏。「各施設には(イラク帰還兵ホームレスの件を)伝えました。実際に起きていることですが、この国はそうした事態に備えが出来ていません」
「自分のトラックでやって来たよ。荷物はまとまってる。しばらくトラックの中で生活してたんだ」海兵隊工作部隊下士官ルイス・アリラノ(34歳)は、カリフォルニアのマーチ空軍基地から程近い、U.S.VETSが運営するホームレス避難所から、電話インタビューで答えた。U.S.VETSとは、退役軍人ホームレスを支援する米国最大の団体である。
アリラノ氏の話によれば、2003年9月にイラクから帰還してから、彼はトラックで生活しながら各地を転々としていたが、ここ3ヶ月間ほどは避難所暮らしをしているとのこと。「家のある日もあれば、路上に居る日もあるよ」彼は言う。
イラクでは、榴散弾によりアリラノ氏の左親指はほとんど切断寸前だった。現在でも指を動かすのは困難だが、榴散弾の感覚は「今でも時々感じる」という。彼は左利きである。
アリラノ氏が言うには、イラクから帰還した際、手の治療と、後に自覚することになる心の治療を受ける余裕もなく、軍からあまりにも早く追い出されたように感じているという。
「大急ぎという感じだ。連中は俺達(傷病兵)をしばらく倉庫に放り込んだんだ。まるで牛扱いさ」アリラノ氏は、合衆国に帰ってきた時、軍部からどのような扱いを受けたか話した。
「全ては数字次第なんだ。質の良い対応をする代わりに、連中は期限内に全員を復員させようとしている。困ったことがあっても、連中が言うのは“退役軍人局が面倒を見ます”だけだ」
ペンタゴンはすでにイラク帰還兵への支援が遅れている事実を認識しているが、すでに状況は改善されたと説明している。(注1)
射撃手の補助として16年間を過ごし、アリラノ氏が言うには、彼は最初の湾岸戦争に従軍してからも適応してきたという。しかしイラクから帰還後は、うつ病のために米雇用均等委員会から得た仕事を辞めることになった。その後、彼は離婚もしている。
アリラノ氏によれば、軍から早急に追い出された後、退役軍人局からは対応遅れのため充分な支援を得られていないという。
「他の仲間もそうだろうが、まるで“おまえはもう現役じゃない”と軍に言われたように俺は感じた。俺たちは退役軍人局扱いになるという同意書に署名することになった」アリラノ氏は言う。
「退役軍人局に行くと、すでにそこは人で一杯だった。連中に言われた。“後ほど連絡します”それで、益々鬱になったんだ」
仕事を辞めたアリラノ氏は、3ヶ月ほど放浪し、しばしばトラックで生活することになった。
コミュニティ中心の退役軍人支援組織である退役軍人ホームレス連合によれば、毎晩30万人ほどの退役軍人が、ホームレスとして夜を過ごしており、その半数近くはベトナム従軍兵であるという。戦闘でのトラウマがどのようにホームレス化に影響を与えるのかは専門家も首をかしげるが、同連合の説明では、多くの退役軍人が、長期にわたる心的外傷後ストレス障害と薬物乱用に陥っているという。
退役軍人ホームレス支援者達は、ベトナムとイラクでの似通った戦闘体験により、こうしたイラク帰還兵ホームレスは今後増加するのではないかと心配している。
「これはベトナム従軍兵たちと同じ状況です。私もベトナムに行きました」ロサンゼルスの避難所兼薬物中毒治療施設「ニューディレクションズ」所長、ジョン・キーベニィ氏は説明する。ロサンゼルス市は2万7000人ほどの退役軍人ホームレスを抱えていると推定されており、そうした人数は国内最大数であるとのこと。「まるで歴史が繰り返されるのを目の当たりにしているようです」キーベニィ氏は言った。(注2)
退役軍人局の統計によると、昨年7月までにおよそ2万8000人のイラク帰還兵が、医療手当を申請している。その5人中1人は精神障害と診断されているとのこと。今年7月のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(医療情報誌)に掲載された陸軍研究によれば、イラクから帰還した兵士のうち17%は、大うつ病、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害の基準に該当したという。
自身が心的外傷後ストレス障害を抱えているかどうかについて、元工作部隊下士官でトラック内で生活するアリラノ氏は言う:「たぶんそうだと思う。悪夢を見るからね。死んでいった人達のことを憶えてるんだ」彼の話では、政府からは手の障害への手当てとして月100ドルが支払われているという。
海兵隊下士官ジェイムズ・クレイボン・ブラウン・ジュニア(23歳)は、U.S.VETSが運営するロサンゼルスの避難所に暮らしている。彼はアルファ部隊、第一大隊、第二海兵隊としてイラクで6ヶ月間闘い、その後別部隊としてアフガニスタンで勤務した。彼が言うには、イラクでの闘いは激烈だったという。
「何処でも酷いものだった」ブラウン氏は言う。「迫撃砲と戦車で支援されたが、本当にすごい銃撃戦だった」
ブラウン氏は、特に海兵隊が不注意で市民を殺した時は、戦争の精神的ストレスを自覚したという。彼の考えでは、神への信心のおかげで、正気を保ったまま帰還できたとのことである。
「何回か遭遇したんだが、民衆は国を脱出しようとしていたんだ。俺たち目掛けて押し寄せて、止まろうともしなかった」ブラウン氏は言う。「俺たちは民衆に銃弾を浴びせた。酷いことをしたよ。兵士の多くは・・・俺もそうだが・・・それで悩んでる」
「それが一番辛い部分だ」ブラウン氏は続けた。「男だけじゃなく、女性や子供・・・本当に小さな子もそこに居たんだ。腕をもぎ取られた赤ん坊も居た。とても耐えられるもんじゃない」
ブラウン氏の話では、彼は海兵隊から7月に勲章と共に名誉除隊し、故郷のオハイオ州デイトンに戻ったという。しかしまもなく彼は放浪に出て、「全てやり直すために」カリフォルニアに流れ着いたとのこと。
ブラウン氏によれば、彼自身は退役軍人局に良い印象を持っているが、仕事を探すのには苦労しており、節約のためにU.S.VETSの避難所に居るのだという。彼は学校に戻るつもりと語っていた。
ホームレス支援者達は、イラク帰還兵ホームレスの発生に警鐘を鳴らしている。退役軍人ホームレス連合によると、アメリカ全土のホームレスの内、およそ4人に1人は退役軍人であり、その75%以上は精神的・肉体的暴力問題を抱えており、多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥っているとのことである。(注3)
さらに問題なのは、専門家の話では、特にイラク戦争のような、市民と敵の判別ができず、死の恐怖がいつでも四方から迫る状況の下で、新たな精神障害が群発するということである。(注4)
合衆国各地のホームレス避難所を訪問しインタビューしてきた限りでは、イラクやアフガニスタンから帰還した退役軍人のホームレスの人数は、今のところ限定されている。直近に退役軍人局の支援を受けた7,500人のホームレスの内、50人はイラク帰還兵だった。ロスアンゼルスの支援施設「ニューディレクションズ」の所長キーベニィ氏によれば、彼の施設では、陸軍エリートであるレンジャー部隊出身のホームレスを二人抱えているという。国内最大の退役軍人ホームレス支援団体U.S.VETSが運営する9つの施設で簡易調査したところでは、9人のイラク・アフガニスタン帰還兵ホームレスが居たことが判明している。他に、例えばメリーランド州ボルティモアの退役軍人教育訓練施設では、引越しなどの緊急避難用のベッド利用者(170室)のうち、イラク・アフガニスタン帰還兵は見当たらないとのことである。
退役軍人局で退役軍人ホームレス問題を担当するピーター・ダハティ氏の話では、ホームレスに陥る危険性のある退役軍人への支援体制は、ベトナム戦争以降急速に改善されてきたという。過去30年間、退役軍人局は、精神医療対応を軸に、170の病院、850のクリニック、206件の退役軍人センターまでに拡大させてきた。また、退役軍人局は、300ほどのホームレス支援施設、U.S.VETSのような一部NPOが運営している施設にも支援している。
「30年前に比較すれば、支援施設は10倍ほど行きやすくなったはずです」ダハティ氏は言う。「まず第一に、精神障害を抱えて帰還した兵士を(ホームレスに陥る前に、)保護するようにしています」ダハティ氏の話では、退役軍人局は毎年10万人ほどのホームレスを支援しているとのことである。
しかし、退役軍人ホームレス連合の事務局長、リンダ・ブーン氏によれば、一年のうちでは50万人ほどの退役軍人がホームレス状態になる時期があり、退役軍人局はその20%しか支援できていないという。
メリーランド州ボルティモアの退役軍人センター開発局長ロスリン・ハニバル・ブッカー氏の話では、彼女の局ではすでにイラクから帰還した退役軍人や、その家族からの質問を受け始めているという。ブッカー氏は言う。「イラク帰還兵に向けて準備を進めています」
(記事終わり)
(注1):実際には、米国での退役軍人への手当ては酷い状態である。退役軍人局の医療手当て支払い遅れにより、受け取り前に死亡する軍人も多い。また、出身地によって退役軍人手当の金額は大幅に異なる。(source)
(注2):関連投稿:「米国で深刻化する退役軍人ホームレス問題」(2004/06/13)
(注3):米国では男性ホームレスの3人に1人は退役軍人という報告もある(source)
(注4):男性兵士が戦闘で精神障害になる確率が非常に高いという事実を意識したわけではないだろうが、国防総省は「男女同権社会実現のため、もっと多くの女性兵士を戦闘に参加させるべきだ」と主張している。(source)
共和党全国大会でのスピーチで、ブッシュ大統領は「貧しい子供たちのために、新たに10億ドルを国家予算から拠出し」政府の抱える二つの低所得者向け医療保険制度に充てると約束した。
そのスピーチから1週間後、ブッシュ政権は低所得家庭児童向け医療保険基金(State Children's Health Insurance Program)から11億ドルを財務省に戻す計画を提案した。
このブッシュの政策転換(簡単にいえば“嘘”だ)により、2005年度には新たに75万人の貧しい子供が医療保険を失うことになるという。しかしこれは、ブッシュ政権の得意な「カメラ前民主主義」が生み出す犠牲のほんの一部に過ぎない。
9月21日、国連総会演説でブッシュ大統領は「民主化基金」の設立を提案した。基金の目的は「法治国家に必要な裁判制度や報道の自由、複数政党制などの整備に必要な資金を途上国に支援するほか、選挙監視活動の支援」ということだ。
当面の間、「民主化基金」の資金は米政府が提供するとブッシュは主張している。しかし国連総会に参加した他国の閣僚たちは(日本政府はともかく)ブッシュの提案を全く信用できないと感じているだろう。米政府がイラク復興用に拠出した184億ドル(約2兆468億円)の内、今年6月22日までにイラク現地で使われた金額はその僅か2%の3億6,600万ドル(約407億円)。しかも拠出された資金の大部分は暫定占領当局(CPA)の維持費用であり、「イラク復興資金」の設立目的であるはずの建設、医療、公衆衛生、水道設備のためには1ドルも使われていない。
ブッシュ政権が、自分達で破壊した国の復興のために国民から集めたはずのお金を、ハリバートン他米企業の金庫に大切に保管している間(多くはファルージャ他の爆撃のための費用に拠出される)、イラク復興のために実際に資金を提供している国がある。イラクだ。すでにイラク国民は、自国の資産である石油の売り上げ金約200億ドルを、自国の復興費用として拠出している---より正確に言えば、復興費用に使われているとイラク国民は信じて、暫定占領当局代表のルイス・ポール・ブレーマー三世に手渡しているはずだった。
代表者のおおげさな名前から著名な窃盗犯を連想された方は、鋭い勘の持ち主だ。結局のところ、暫定政府当局に渡ったイラク石油売り上げ金の大半は紛失し、CPA関係者達は27件の不正会計容疑で調査されることになったのである。(8月までの調査で、少なくともイラク石油売り上げ金のうち、19億ドルは、ハリバートン、ハリスコーポレーション(フロリダ企業)に渡ったことが判明している。)
アメリカ企業がイラクで他人のお金を使ったマネーゲームに興じている間に、現地の水道設備は壊れたまま、医療施設も薬品も不足したまま、衛生環境も悪く栄養不良状態のイラク住民の間には感染症が蔓延し、不発弾、地雷、米軍の爆撃から逃れることもできず、イラク保健省の話では1ヶ月間に約3,000人---1日平均100人のペースでイラクの子供が死亡しているという。
ハーバード・ ビジネス・スクールでMBA(経営学修士)を獲得したはずの合衆国大統領に、正しい目的のためにお金を使って、正直に会計報告させるということがこんなにも困難だと、誰が想像しただろうか?
イラク復興を本気で考えるなら、日本政府は武器を持った自衛隊員を派遣するよりも、医療器具を持った医者と、電卓を持った会計士を大量に派遣すべきかもしれない。
政治風刺漫画サイトCagle Cartoonsの記事コラム2004/06/14より。民主党大統領候補ハワード・ディーンの連載コラムを以下に全文翻訳して掲載。文中でディーン氏が批判しているブッシュ減税については過去記事も参照してください。
by ハワード・ディーン
有権者が減税というアイデアを好むのは事実だが、公共サービスが削減されてしまうのは誰でも嫌がるはずだ。しかし今、それが実際に発生している。たいていの労働者家庭にとって、今言われているような減税とは、念入りに仕組まれた会計詐欺でしかない。所得税は下がるが、固定資産税は上がり、児童税控除はあっても、大学授業料は上昇している。婚姻加算税の減免はあっても、医療保険の掛け金は36%も上昇している。
平均的な労働者にとっては、減税によってポケットに1ドル入る度に、他のポケットから2ドルがこぼれ落ちるようなものだ。現在の減税政策は、アメリカの歴史上最大且つ最長規模の連邦政府赤字を作り出す主要な要因であり、毎年およそ5,000億ドルが政府の財政赤字として追加されている。
しかも状況はさらに酷くなっている。
そうした減税政策は、子供たちの世代に負債として重くのしかかることになり、やがては大きな税負担を強いられるだろう。基本的な生活も、教育も受けることができなくなる。現状の減税トリックは、米国の中流家庭に対して成功機会を奪い、毎年追加される赤字額は国家の競争力を著しく減退させている。
総じて、現状の減税政策は、国民の生活に対して以下のような直接的影響を与えている:
政治家達が考えているよりも、アメリカ国民はずっと賢いのである。タダ飯なんて誰も期待していない。政府が国民を大人として扱うつもりなら、減税のような耳障りのいい政策の実施に伴う本当の代償というものを、法案が可決された後ではなく、法案可決の前に国民に知らせるべきなのである。次に合衆国大統領になる者は、最優先課題の一つとして、労働者家庭に対しても公正さを保てるような税制の正常化を目指すべきだろう。中流家庭に暮らすアメリカ国民が、再び希望を持てるように。
政治風刺漫画サイトCagle Cartoonsの2004/06/07付連載コラムより。草の根市民団体「Democracy for America」を率いる大統領候補ハワード・ディーンの人気コラム6月7日掲載分を以下に全文翻訳して掲載。
by ハワード・ディーン
世界一の金持ち先進国なのだから、アメリカはもっと良い状況にできるはずだ。両親がお金を払えないからという理由で、病気の子供を医者に診せることができないというのは、間違っている。乳房撮影の費用が払えないからという理由で、女性が乳癌の末期を迎えてしまうという状況は、間違っている。お年寄りが、必要としている処方箋と、毎日の食事のどちらかを選択しなければいけない状況は、間違っている。つまり、先進工業国としては世界で唯一、適切な医療保障を受けられない国民の存在を許しているアメリカ合衆国は、全く間違っているのだ。
これは単に社会的問題というだけでなく、経済的な問題でもある。米国医学研究所によれば、合衆国が毎年350億ドルを保険未加入のアメリカ人のために費やしている間、650億ドルから1,300億ドルの生産力が失われているのである。
労働者の医療保障費用は過去3年間で50%上昇している。実際、医療保障費用の上昇率は物価上昇率の4倍に跳ね上がっているのだ。中流家庭にとっては耐えられないほどの負担が強いられている。
過去6年間もの間、この問題を解決するために何の努力も払われていない。実際、悪い状況はさらに酷く悪い状況になり、新たに400万人近いアメリカ国民が、その6年の間に医療保障資格を失っている。加えて、全国消費者団体「Families USA 」の報告によれば、現大統領の最新の予算案における低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)予算は、2005年度で10億ドル削減、今後10年間で160億ドル削減予定となっている。州ごとの低所得者向け医療保障プログラムが、劇的に削減されることを強いられているにも関わらずである。(低所得者医療保障プログラムから締め出される)150万人のアメリカ人は、現実に医療サービスを受けている。彼等は救急医療室へ行き、支払えない分の費用が病院側に計上され、病院側は医療保険会社にコスト負担を依存することになる。そしてその負担は、実際に医療保険に加入している人々への保険料上昇となって跳ね返ってくるのだ。
さらにアメリカ国民は、高齢者向け医療保険制度向け(Medicare)処方箋費用として、5,400億ドルもの金額を国民の税金から支払っており、そのお金の大部分は、老人たちにではなく、保健維持機構や、製薬会社、保険会社へ移動していくだけなのである。サービスの削減と税負担を地方財源に頼ることで、急増する合衆国政府の財政赤字を補填している間に、50万人の子供と100万人の大人が、低所得者向け医療扶助制度(Medicaid)から締め出されてしまっている。
もっとうまくやれるはずだ。この問題が存在していないかのように振舞うのはもう止めにしよう。医者として、州知事経験者として、問題解決が簡単でないことは分かっている。しかしながら、今のまま事態が進行すれば、医療保障制度は完全に崩壊するのを待っているだけだ。イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、ギリシャ、日本、アイルランド、イタリア、イスラエル、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、さらにいえばコスタリカですら全国民に医療保障を提供できているのだ。アメリカだってやるべきだろう。
ロサンゼルスタイムズ2004/05/30付け記事(TheSunHerald転載)より。要約するには重過ぎる内容なので、以下に全文を翻訳掲載しました。
これは兵役についての、滅多に知られることのない追記事項である。連邦政府の報告によれば、アメリカでは兵役経験者は全国民のうち9%を占めているが、ホームレス人口のうち兵役経験者の占める割合は23%であるという。ホームレスの男性に関して言えば、兵役経験者は33%にもなるのである。
その集団には、ピーター・スタークスやカルビン・ベネットのような人々も含まれている。彼等は30年間近くをロサンゼルスの路上で過ごしているホームレスで、薬物中毒者である。
あるいは、ボストン在住のヴァネッサ・ターナーのような、昨夏イラクで負傷し、帰還してから医療保障を受けることが出来ず、住む場所を見つけられない人もいる。
ケン・サックスは枯葉剤作戦の結果、合併症で足を失い、カリフォルニア州サンタバーバラの格安アパートの隣人が車椅子用のスロープに文句をつけたことから、住居を失ってしまった。
「私は56歳になった」サックスは語る。「路上では死にたくないね。・・・これが(イラク駐留軍兵士が)戻ってくるべき故郷なのかね?連中も私みたいな人生を送ることになるんだろうか?彼等に神の祝福があらんことを。」
調査によれば、兵役についた男性は、そうでない男性より1.3倍ホームレスになる可能性が高く、兵役についた女性の場合では(ホームレスになる可能性は)3.6倍も高い。退役軍人局によれば、ベトナム戦争から帰還した兵士でホームレスになった人数は、ベトナムで死んだアメリカ兵の人数の2倍を超えるという。
過去には、退役軍人のホームレス調査データは存在すらしなかったと、米国庁間ホームレス協議会を率いるフィリップ・マンガノ氏は語っている。
「ずっと調査不足だったので、暗闇を手探りであたっているような状態です」
しかし1996年に、広範囲なホームレス調査が米国勢調査局と退役軍人局、その他連邦政府関係機関によって共同実施され、かつて制服を着ていた男女についての憂慮すべき外郭が浮かび上がることになったという。
ホームレスになった退役軍人のうち47%がベトナム戦争従軍兵ではあるが、調査では、はるか過去の第二次大戦従軍兵から最近の湾岸戦争従軍兵までがホームレスに陥っている実情が明らかになっている。
ホームレスになっている退役軍人の人数を正確に知ることは大切であるが、専門家によれば、約30万人もの退役軍人が日常的にホームレス生活を送っていて、1年の内に住居のない状態を経験している退役軍人は50万人ほどいるということである。
さて、イラクとアフガニスタンで戦闘が継続している状態で、社会福祉事業提供者たちは、この世代の兵士たちが帰還したら、どんなことになるか懸念している。
「兵士達が帰還したら、(社会福祉事業の人たちは)どうするつもりだろうね?旗を振ったりビールをおごったりする他に何ができる?」ポール・カマチョ氏は問いかける。彼はボストンのマサチューセッツ大学社会科学部教授で、ベトナム戦争従軍兵だ。
退役軍人がホームレスになる単一の原因を指摘することはできない。兵役を経験していない者に関しては、ホームレスになる理由は様々だ。高額な住居費用、失業、薬物乱用、教育不足等々。退役軍人の場合は、これら原因の他にも、戦傷、心的外傷後ストレス症候群、家族との亀裂などがあるだろう。
叩き上げの軍人から都会の放浪者への移行は、人生に何が欠けていて、何が足りているかということと同じくらいの問題を抱えている。厳格で、規則正しい軍隊生活では、全ての兵士に住居と食事と医療保護が提供されているので、必ずしも退役後に外の世界で経験する不規則な生活への準備ということにはならないのである。
住居の購入を助成するという退役軍人借入助成策は、極度に困難な生活を送っていて収入がほとんどない者にとって何の救いにもならない。
退役軍人のホームレス問題は、今のところ国防総省と退役軍人局の共通議題であると、退役軍人局ホームレス対策室の責任者、ピーター・ダファティ氏は話している。
「従来どおりに言えば、兵士が軍を去ってから経験する事柄については、軍部の懸念することではないのです。」
国防総省は、移管助成プログラムを創設し、軍隊生活から市民生活へのスムーズな移行を促進しているが、専門家の話では、そうした努力も問題解決には程遠いとのことである。
「No Logo: No Space No Choice No Jobs 」(翻訳版:「ブランドなんかいらない」)の著者で、ジャーナリストのナオミ・クラインが寄稿したコメントを以下に全訳掲載。(文中リンク、注はDeepthroatによる)
by ナオミ・クライン
1968年、アメリカの伝説的な組合主宰者、セサール・チャベス氏が25日間のハンガーストライキを敢行した。食事を絶っている間、チャベスは農場労働者たちが直面した劣悪な生活環境を非難した。彼の歴史的な組合活動のスローガンは「Si se puede!(我々にはできる:Yes, we can!)」だった。
先週、ジョージ・ブッシュは4日間のバス遊説に出かけた。あちこちの街でパンケーキの朝食をとりながら、ブッシュは自身の減税政策を褒め称え、世界経済時代においても労働者に対する保護政策が必要と主張する人々を非難していた。彼がその自由放任主義経済を強調する際のスローガンは?「アメリカならやれる!(Yes, America can)」である。
おそらく、そうした呼びかけは意図的なものだろう。ブッシュはヒスパニック系アメリカ人の票集めのために、オハイオ州での遊説では「Vamos a ganar! We're going to win!(我々が勝つ!)」と叫び続けている。
しかし、「Yes, America can」バスツアーの本当の目的は、もちろん、有権者達の関心を、イラク刑務所スキャンダルから国内雇用再生の話題へと逸らすためのものである。米労働省の報告によれば、今年4月に288,000人の雇用が創出されたとのことだ。ブッシュの選挙キャンペーンはこの数字を取り上げて、ジョン・ケリーを、陰気なニューイングランドの悲観主義者で、いつも悪いニュースについて単調な語り口で話す人物という役回りに仕立て上げている。一方のブッシュは、元気なテキサスの楽観主義者で、いつも気楽なスマイルとサムアップ(親指を立てるサイン)が売りというわけだ。アイオワ州ドゥビュークで、ブッシュは観衆に向かってこう話している。「大統領というものは、国民が楽観的で、雇用創出に自信をもっていることを明確にするべきなのだ」
しかしながら、創出された雇用の内実をいくつかみれば、ポジティブな大統領のパワーの影響を伺うことができる。今年4月に派生した雇用のうち82%以上は、レストランや小売り店といった、サービス業分野の雇用なのである。そして最も新規雇用を増加させた雇用主は、派遣会社であるという。そして過去1年間で、製造業の分野では272,000人が職を失っている。大統領が2月に報告した経済レポートで、ファーストフード店舗を生産工場として分類し直すというアイデアが登場したことも当然であろう。レポートはこう問いかけている。「ファーストフード店でハンバーガーが売れたとき、それはサービスが提供されたというべきか、それとも製品が製造されたと見なすべきか?」
しかし、米国内の雇用上昇率の全てが、ハンバーガーをひっくり返すことや派遣社員の増加から成立しているわけではない。200万人以上のアメリカ人が収監されている状況にあっては、刑務所護衛官の数も急増している。2000年には270,317人だった刑務所護衛官は、2002年には476,000人となった。
悲惨な経済状況に直面しながら、ブッシュが親指を立てる姿を見るにつけ、私の頭は、イラクで撮影され、広く出回っている写真のほうに思いをめぐらせてしまう。チャールズ・グレイナーとリンディ・イングランドというその道の専門家が、幸福なカップルとして、拷問されたイラク人囚人が積まれた山を前に、ニコヤカな表情で両手の親指を立てている写真。万事が順調とでも言いたげな彼等の視線は、足元に注がれることはない。
米国の悲惨な雇用情勢と、アブグレイブ刑務所から登場したイメージはどこかで繋がっている。刑務所スキャンダルに関わった若い兵士達は、低賃金労働者(McWorkers)であり、刑務所護衛官であり、「景気回復」とブッシュが言うところの、レイオフされた工場労働者たちなのである。虐待の責任を負う兵士達のレジュメは、まさしく4月の米国労働省の報告の内実そのものだ。
サブリナ・ハーマン技術兵は、バージニア州ロートン出身で、地元のパパ・ジョンピザ店の副店長である。グレイナー技術兵はペンシルバニア州から来た刑務所護衛官だ。もうひとりの刑務所護衛官、アイヴァン・フレデリック軍曹はバージニア州の田舎出身である。
「アメリカの収容所経済」と囚人側弁護士のヴァン・ジョーンズ氏が表現したとおり、イラク刑務所に勤務する前のフレデリックには、メリーランド州マウンテンレイクでボシュロム社の工場にきちんとした仕事があったのである。しかし、ニューヨークタイムズ紙によれば、その工場は閉鎖され、メキシコに移転した---経済政策研究所の見積りによると、1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)が効果を発揮してから、米国内で900,000人分の雇用(大部分は製造業)が失われたというが、これはその一つの例である。
自由貿易は米国雇用市場を砂時計に変えた。多くの仕事は底に向かい、上にもかなりの仕事はあるが、中間層にはほとんど何もない。同時に、底から頂点を目指すのはとても困難になっている。大学の授業料は1990年以来50%も上昇しているからだ。
そこで米軍の登場である。陸軍はアメリカで拡大しつつある階級格差に架ける橋の役割を担っている。軍隊勤務と引き換えに大学の授業料が負担されるのだ。自由貿易徴兵システム(the Nafta draft)とでも呼ぶべきかもしれない。
アブグレイブ刑務所スキャンダルで非難の先頭に立たされているリンディ・イングランドもそのシステムを活用した1人である。彼女は大学に行くために、憲兵隊に入隊した。彼女の同僚のサブリナ・ハーマンも、同じ理由で入隊している。
もちろん、刑務所での虐待に加担した兵士が貧しいからといって、彼等の罪の軽重には関係ない。しかし彼等について調べれば調べるほど、米国での良い仕事の減少と社会的不公平さが、まさしく彼等をイラクの最前線に追いやったという事実が、より一層明確になるのである。イラク問題から国民の目を逸らすために経済問題を持ち出し、兵士達の行為を反アメリカ的な社会逸脱者として孤立させることに執心するブッシュの意図にも関わらず、低賃金の仕事(McJobs)、虐待刑務所、不充分な教育、閉鎖された工場等に追いやられている若者たちは実在するのである。
そして、他の意味でも、彼等はブッシュが生み出した若者たちなのだ:足元に災難が迫っているのもお構いなしに、あちこちで親指を立てて見せびらかしている。これこそジョージ・ブッシュの真髄なのである。米国の有権者たちがポジティブな大統領を求めていることを確信して、ブッシュの選挙チームは楽天主義を武器として使うことを学んでいる。どんなに破滅的な危機が迫っていても、どんなに多くの命が失われるとしても、ブッシュとそのチームは世界に向けて親指を立て続けるつもりなのである。
ドナルド・ラムズフェルド?最高“楽天”司令官の言葉によれば、「素晴らしい仕事をしている」らしい。イラク作戦?大失敗だった「任務完了」演説から1年経って「もちろん、進展している」とブッシュはレポーターに話している。大勢を貧困に追いやった米国雇用市場は?「アメリカならやれる!」というわけだ。
若い兵士達に囚人を拷問するよう指導したのは誰なのか、私たちにはまだ知らされていない。しかし途方もない苦痛に直面した際に能天気な状態を保つ方法を教えた人物については、私たちは実によく知っている。その教えは、上のほうから直接伝えられていたのである。
2004年4月20日、国連の食糧援助機関、世界食料計画(WFP)が新たに立ち上げた発展途上国の飢餓問題を米国の中高校生向けに啓蒙するキャンペーン(the Friends of The World Food Program Student Campaign)で、19歳のファッションモデル、ローレン・ブッシュが名誉報道官に指名されたというニュースが配信された。
ローレン・ブッシュ。ブッシュ現大統領の弟、ニール・ブッシュ氏の愛娘で、ニュージャージー州のプリンストン大学に在学中。米国アパレルブランドのトミー・ヒルフィガーコレクションで人気を博した、有名エージェンシー「エリート」所属のスーパーモデルで、英国のウイリアム王子とはメル友(プリンス候補?))というセレブなお方だ。
アラブ人のような服装は着たくないという、プロのモデルらしくない態度でブッシュ家の人々を慌てさせたこともあるが、ジョージの双子の娘達ほど人騒がせでないというわけで、共和党の広告塔としても活躍中のようである。
ローレン・ブッシュは国連の活動に関心があるのだろうか?本人の発言を引用してみよう。
「飢餓に直面すれば、誰も無関心ではいられないのです。」
(No human being can remain indifferent in the face of starvation.)「学生として、私はこの(飢餓)問題についてもっと学び、仲間にも飢餓に対して行動するよう呼びかけます」
As a student, I intend to learn more about the issue and hope to encourage my peers to take action against hunger.”
例えば、ミシガン州のローカル新聞GRAND RAPIDS PRESSの2004/04/21付け記事によれば、ミシガン州の全世帯の9%---359,444世帯では、次の食事の手配ができないことがあり、その内1/3の人々は飢餓に陥る可能性があるという。
ミシガン州の失業率は6.9%。合衆国の平均失業率(5.7%)に比較して、かなり悪い状況である。食料補助プログラムであるフードスタンプ利用者数についていえば、2002年の750,037人から、2003年には837,629人となり、過去3年間のうちに(つまり現ブッシュ政権誕生から今日まで)39%増加しているという。そして、2004年2月の時点で、ミシガン州のフードスタンプ利用者は917,969人になったそうである。
食糧配給を受けなければならないようなアメリカ人は、当然ながらブッシュ減税の恩恵もほとんど受けることができない。民間調査団体The Center on Budget and Policy Priorities の試算によれば、収入ランク上位1%の世帯の平均減税額は世帯あたり約35,000ドルで、ミドルクラス世帯の平均減税額647ドルの約54倍。年収100万ドルを超える257,000世帯のスーパーリッチに対する平均減税額は約126,000ドルにもなるという。
結局のところ、「思いやりある保守主義(Compassionate Conservatism)」を掲げるブッシュ減税の正体は、露骨な金持ち保護政策に過ぎないのである。
その金持ち優遇税制のおかげで税収入は落ち込み、教育事業を筆頭に公共事業の予算が大幅削減され、庶民は基本的な公共サービスさえ奪われることになる。公立の小中学校では図書館の蔵書が追加されることもなく、古びた校舎には教室が増設されることもない上、トイレも故障したまま。人件費削減のため教職員はクビになっていく。
失業保険が危機に陥っても国からの助成は期待できない。ホームレス支援も打ち切られ、行き場を失った失業者は、ミシガン州の例のように、食糧支援を求めて地元ボランティアの炊き出しの行列に並ぶことになるのだ。
教育環境の悪化により、大学進学も就職も望めない高校生は、ブッシュ大統領のおかげであらかじめ彼等の個人情報を自由に活用できることになった米軍リクルーターの勧めに従い、わずかばかりの生活費を稼ぐために軍隊入りして、イラクで市民に銃を向ける。
国連食糧援助の名誉報道官となったローレン・ブッシュは、発展途上国の飢餓問題と同じように、アメリカ国民の貧困問題に向き合ってくれるだろうか?見通しは暗い。外交政策でトラブルが多いブッシュ叔父さんの再選キャンペーンにとって、国連の活動に参加する姪の存在は良い宣伝材料だが、(ブッシュ叔父さんが引き起こした)国内問題には注目してほしくないだろう。では国連はローレン・ブッシュをイラク援助に駆り出すだろうか?彼女のエージェントはそれを許さないだろう。なにしろ、ローレンはアラブ風の衣装を着たがらないのだから。
ニューヨークタイムズ2004/04/12付け記事より。以下に記事をほぼ全文引用する。
(2004/05/02追記:トーマス・ハミル氏はイラク北部ティクリートで無事保護された。)

人質となったトーマス・ハミル氏
トーマス・ハミル氏は、経済的に行き詰っているミシシッピ州の酪農家で、大金を稼いで家族を食わせるために、生活を立て直すために、9月からイラクに行っていた。
ハミル氏を拉致したゲリラ兵から何の連絡もない現在、家族と友人はただ、彼が生きて帰ってくることを祈っている。
誘拐によって、ハミル氏の故郷、東ミシシッピ州メイコンの人々は、一度は落ち込んだものの、すぐに立ち直り、トーマス・ハミルの家族を助ける決意をした---市長のドロシー・ベイカー・ハインズはそう話した。
「私たちは皆、ハミルさんが無事帰国することを祈っています。」市長はノグズビー市庁舎でのa prayer vigil(徹夜で祈る集まりのこと)に向かう前にインタビューに答えた。「星条旗もリボンも掲げてます。ビルの明かりも点けたままです。ハミル氏の家族のために団結していることを皆さんに知ってもらいたいのです。」
「私たちのような小さなコミュニティで人々が期待するのはそうしたことです」市長は付け足した。
ハミル氏は43歳で、イラクではケロッグブラウン&ルート社(ハリバートンの子会社)の燃料輸送トラックを運転するために雇われていた。同社は何千人もの一般アメリカ人を雇って、駐留軍への補給とイラク石油企業の復旧作業をしている。金曜日に、武装ゲリラがバグダッド近郊の路上を走っていたハミル氏の車列を襲い、兵士1人と運転手1人を射殺して、ハミル氏を人質として拘束した。
ハミル氏は、家族と離れてイラクでの一年契約の仕事に行くことを嫌がっていたという。しかし仕事を請ければ、心臓手術から回復中の妻ケリーと2人の子供を、重くのしかかる負債から救うことができると考えたのだ。
昨年、ハリバートン社に雇われてすぐ、ハミル氏は牧場に残っていた牛を売り払い、祖父と父が30年以上前に始めて家族経営していた酪農場を閉鎖したという。ケリーの話では、牛を売った金だけでは負債を返済できなかった。

ハミル氏を待つご家族と友人
「この仕事で生活を軌道に戻せると思っていたんです」ハミル氏の妻は地元新聞のインタビューに答えた。
「酷い目にあっていたそうです」彼女は夫の話を引用した。「砲弾が足元に着弾したり、いつも窓から破片を出していたそうです」
イラクに行く決心をする前は、ハミル氏は2つの仕事を掛け持ちしていたという。ある日は自分の牛の乳を搾り、別の日はノグズビー市の別の酪農場のミルク輸送を手伝っていた。しかしそれでは充分ではなかった。
「彼は牛乳の価格下落と飼料価格の高騰に苦しんでいた。結局それで農場を辞めることになったんだ。」ビクター・B・アルサップ氏は69歳の酪農家で、ハミル氏を子供の頃から知っているという。「彼は昔ながらの田舎者だ。他の田舎者と同じで、ハンティングと釣りが好きだった。戦場に行くことがいかに危険かをよく知っていたはずだよ」
ハミル氏の祖母は、彼が牛を売り払ってからも農場を愛しており、イラク行きは家族のためのギャンブルだと考えていたと話している。
「彼は言ってました:おばあちゃん、私の心配は要らない。祈っててくれ。大丈夫」92歳のベラ・ハミルは電話インタビューで答えた。「だから彼が助かるように祈っているのです」
2ヶ月前、ハミル氏はイラクから一時帰国して、妻の心臓手術に付き添っていた。ハミル氏と同じボランティアの消防団に所属する消防士の友人、ジム・ロビンスによると、ハミル氏はイラクでの仕事について多くを話さなかったという。
「そのときは奥さんのことで頭が一杯だったんでしょう」ジムはそう説明した。「彼は働き者で、いつも家族とコミュニティに尽くしていたんです」
Associated Press 2004/4/14付け記事(Commondreams転載)より。
ブッシュ大統領とチェイニー副大統領は、彼等の推進した減税政策によって、自身の2003年度の所得税に際して効果が現れているという。
ブッシュと妻のローラは、227,490ドル(約2,500万円)の連邦所得税、つまり二人合わせて822,126ドル(約8,900万円)の合計収入(調整済み)のうち約28%が課税された。2002年度には、彼等は合計収入(856,056ドル)の約31%(268,719ドル)を支払う必要があった。
この1年の(減税による)差は、チェイニー副大統領にはさらに大きな効果をもたらしている。チェイニー夫妻の2003年度の連邦所得税は253,067ドル(約2,800万円)、彼等の合計収入である130万ドル(約1億4千万円)の約20%とされている。2002年度の彼等の支払った所得税は341,114ドル、その年の合計収入120万ドルの約29%であった。
ジョン・ケリー個人の所得税は90,575ドル(約985万円)、彼の2003年度の収入合計金額395,338ドル(約4,300万円)の約23%であった。もちろん、これには妻の資産と収入は含まれていない。
ブッシュ夫妻の収入の内訳は、大統領としての報酬が397,264ドル(約4,320万円)、401,803ドル(約4,370万円)が投資信託の利息、23,417ドル(約255万円)が株の配当金。
チェイニー夫妻の収入内訳は、副大統領としての報酬が198,600ドル(約2,160万円)、ハリバートンからの収入が178,437ドル(約1,942万円)、株式譲渡益が302,602ドル(約3,295万円)、妻のリンの収入はワシントンのシンクタンク、American Enterprise Instituteからと、リーダース・ダイジェスト社役員報酬からきているという。
そのほか、リン・チェイニーの収入には、彼女自身の著作「America: A Patriotic Primer(アメリカ:愛国的入門)」「A is for Abigail(Abigail Smith Adamsの伝記)」「Fifty States(50州:近刊)」の三冊の印税が327,643ドル(約3,568万円)あった。これらの収入はチャリティ向けに寄付されたということである。
この他に、チェイニー夫妻は627,005ドル(約6,830万円)の投資収入(非課税)があるということである。
最終的に、ブッシュ夫妻は95,043ドルの項目別控除(itemized deduction:慈善事業への寄付は経費扱いとして控除される)を申請し、それには教会とチャリティ団体への寄付が含まれていて、課税対象収入は727,083ドルとなった。
チェイニー夫妻の項目別控除申請額は454,649ドルで、妻の著作の印税がそれに含まれており、課税対象収入は813,266ドルになったということである。
TheNation2004/02/26のコラム「思いやりあるジョージ」より。
NPO団体、the Center on Budget and Policy Prioritiesの発表によると、米国ではこの2ヶ月間(2004年1月〜2月)で約76万人の失業者が失業手当の支給打ち切りに陥ったという。(米国内の最新の雇用状況に関しては、ニューヨーク存住の16歳から64歳の黒人男性のうち、2人に1人が失業中というニューヨークタイムズ紙の暗いレポートもある)
グリーンスパン氏の提言を待つまでもなく、米政府の社会保障予算削減は始まっているわけである。コラムは以下のように結んでいる。
「ブッシュ政権の対応は?ゲイ結婚に新しい立場表明だとさ」
USAトゥデイ2004/02/26の記事より。
グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、またしてもズレた提言をしている。曰く、「社会保障予算、医療保障予算を削減しなければ米国は深刻な財政危機に陥る」とのこと。すでに米国は歴史上最大の財政危機状態なので、責任の一端を自覚する能力があるならば、この人物は(ハワード・ディーンの指摘どおり)すぐに引退すべきなのだが、ブッシュ政権の太鼓持ちという役割を維持するために、世論のミスリードを始めたようだ。
グリーンスパン氏が言及しない分野で、米国の財政を回復させる方法はいくらでもある。まずはハリバートン他フォーチュン500に名を連ねる企業のタックスヘイブン(ケイマン諸島、バミューダ諸島)登記による税金逃れを違法として、これら米国発多国籍企業から、きちんと支払われるべき法人税、事業税を徴収する。ブッシュ減税を全面廃止して、資産家に対する課税をきちんと行う。イラク復興事業を仲介企業を通さずに直接地元イラク企業に発注して、KBR、べクテルへの注文を取り消す。もちろん駐留軍は大幅縮小するか、撤退する。
盗聴のための世界一高価な機材を有するにもかかわらず、電子メールで英国に盗聴依頼するというマヌケな諜報機関、NSA(国家安全保障局)の予算を大幅縮小する。(必要機材は秋葉原で調達させれば充分賄える)
誤認逮捕を意図的に増加させるような馬鹿げたテロ対策事業を縮小する。(9/11テロ調査への妨害行為を見れば、ホワイトハウスが(テロリスト養成には熱心なのに)テロリスト追跡に関心がないのは明らかだ。むしろ、米国内テロ対策には日本の交番・駐在所システムを導入したほうが、はるかにマシではないかと思う。地元の雇用増加にも貢献できるし、日本の警官は米国市民よりも銃の扱いに慎重だ)
大統領選挙の票カウントのコストが問題なら、よりコスト高で危険の大きい電子投票システムを止めて、インドと中国にアウトソーシングすればいい。きちんと手作業でカウントしてくれるし、アメリカ最高裁が大統領を選ぶよりもはるかに公正だ。どのみち国民の半分は選挙に参加していないのだから、外国が米国大統領を決定しても問題なかろう。
ちょっと考えただけでもこれだけの財政回復案があるのに、なぜグリーンスパンは社会保障削減を真っ先に口にするのだろう?戦争へ税金を注ぎ込むかわりに牛肉のBSE検査コストをシブって一般人の死ぬ機会を増加させ、大統領の身内が決めた投票システムで選挙権まで奪われて、その上社会保障まで削減されたら、この先、アメリカ市民にとって国家というものにどれほどの価値があるというのだ?
アメリカ国内の失業者375,000人の失業手当の支払いがこの1月で打ち切られた。1月の記録としては過去30年で最悪の記録となったらしい。さらに悪いことに、米政府の見込みでは、今後6ヶ月間以内に200万人の失業者が同様の苦境に陥る予定であるという。2003年12月の時点で失業率は5.7%と、6月の6.3%からいくぶん持ち直しているように見えるが、2004年1月の新規雇用はわずか1,000件程度にすぎない。
米国ではすでに3,000万人以上が貧困・飢餓状態だが、手当てを打ち切られた失業者がこれに加わる可能性はきわめて高い。
ブッシュ大統領によると、「税の軽減で経済に刺激を与えたため、米国経済は強く、さらに強くなっている」らしい。しかしその言葉は「戦闘終結宣言」や「大量破壊兵器」と同じく、ブッシュファミリーお得意の悪意に満ちた嘘であることにアメリカ人は気づき始めている。
ボストングローブ紙2003/12/19の記事より。緊急の食料援助を必要としている飢餓状態のアメリカ人のうち、59%は家族連れで、39%は職業を持っているという衝撃の飢餓レポート。しかもその食料を確保できない都市が急増している!つまり、アメリカ国内で餓死する者が急増する可能性がある。
イラクに行っても地獄、帰国しても地獄。アメリカ市民の我慢も限界に近づいている。
TheFreePress2003/12/19の記事より。米国民の8人に1人、約3,460万人が貧困状態で、その内1,300万人が子供。アメリカ合衆国は先進国としては最大の貧困児童数で、寿命は最低という深刻な事態になっている。
しかも、約3,100万人のアメリカ国民が、次の食事を入手する手段を持たない「飢餓状態」にあるという。奇妙な話だ。アメリカ国家全体では世界の富の25%を保持しているというのに。
ブッシュは北朝鮮を指して「独裁者が国民を飢餓状態に陥れている」と批判したが、では3,100万ものアメリカ人を飢餓に陥れた独裁者はどこに隠れているのだろう?