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カテゴリー別過去記事:メディアと大衆操作


2008/06/12

マクレラン元大統領報道官が語るブッシュ政権の犯罪

2004年3月22日、クリントン政権及び現ブッシュ政権でテロ対策大統領特別補佐官を務めたリチャード・クラークが、後に話題となる暴露本『Against All Enemies(邦訳:爆弾証言 すべての敵に向かって)』を発表した。クラークは同書で「同時多発テロの直前まで、ブッシュ政権はテロ対策に全く無関心だった」と書き、ブッシュ大統領と閣僚たちを猛烈に批判し、一方でテロ対策の責務を果たせなかったと国民に謝罪した

リチャード・クラークの大統領批判に真っ先に対応する羽目になったのが、当時のホワイトハウス報道官スコット・マクレランである。クラークの書籍が発売されたその日、彼はホワイトハウス定例記者会見で、リチャード・クラークを批判してこう言い放った:

「なぜ、まったく唐突にこんなことを?重大な懸念があったのなら、もっと早い時期から問題提起すべきだったのでは?政権を去って1年半が過ぎ、突然、このような重大な懸念を彼(クラーク)は持ち出しているんです。さて、ここで記者の皆さんに事実をちょっと鑑みてもらいたいのですが、彼は大統領選挙の真っ最中にこの件を持ち出しているということです。彼は本を書いたので、世に出て本の宣伝をしたいのですよ。」


What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception

スコット・マクレラン元大統領報道官の回顧録:What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception

ところが、それから4年以上経過した2008年6月、“元”報道官スコット・マクレランは、リチャード・クラークと同じように暴露本を発表し、同じようにブッシュ政権批判を開始したのである。しかも、書籍発表直後から、連日テレビに登場し、喋るたびに「本に書いてあるとおり・・・」と、まさしくあからさまに書籍の宣伝に努めているのだ。

そして再び皆が言う:重大な問題を知っていたのなら、なぜもっと早く告発しなかった?

政界の元同僚からは裏切り者呼ばわりされ、マスコミからは「新しいことは何も書いてない」と嘲笑され(内容の一部は昨年暮れに報道済み、国民からは「ブッシュのプロパガンダに加担した張本人」と一層批判されることになった“テディベア”スコティ(愛称)。それなのに、インタビューに応えるマクレラン元報道官は、なぜか時折清々しい表情を見せる。さらに皮肉なことに、現役時代よりも今のほうが、弁舌が冴えているようだ。フォックスニュースの名物右翼タレント、ビル・オライリーの攻撃にも、一歩も退くことなく、むしろ少々愉快そうに反論し、ブッシュ大統領を必死に擁護するオライリーをおおいに苛立たせた

今年2月で40歳になったばかりのスコット・マクレラン。彼に一体何が起きたのか?

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2008/01/12

米マクラッチー紙報道:「北朝鮮のドル紙幣偽造」はガセネタ?!


まさか、そんなことがあるのだろうか??

米国の有力新聞マクラッチー紙が、2008年1月10日付紙面で大変なことを報道している。曰く、米国政府側が主張する「北朝鮮政府が米ドル紙幣を偽造している」という疑惑の情報源はかなり怪しく、噂の超精巧偽札「スーパーノート」は、実際のところ“ホンモノ”じゃないかというのである。同紙はこの報道で、大量の関連記事、資料を掲載して、疑惑を検証している。

マクラッチー紙といえば、例えばイランの核兵器開発疑惑について、米政府の国家諜報評価がそれを否定する1ヶ月前に、「ブッシュ政権の唱えるイラン核兵器開発の根拠は政府内でも疑問視されている」という暴露記事を、政府内部の諜報関係者の証言を元にサラリと報道してみせるなど、米国大手報道企業としては、特に外交政策分野で突っ込んだ報道姿勢を貫いているメディアとして知られている。特に同紙イラク支局はその正確さにおいて評価が高く、同支局女性取材チームは2007年度国際女性メディア基金の『勇気ある報道』賞を受賞している

問題となっているマクラッチー紙の1月10日付け記事:『U.S. counterfeiting charges against N. Korea based on shaky evidence(米国の対北朝鮮紙幣偽造嫌疑は曖昧な証拠に基づく)』を翻訳すると、以下のような感じである:


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2007/12/06

87歳の気骨:ヘレン・トーマスの怒り

ヘレン・トーマスは怒っている。かつてないほどに。

Helen Thomas

ホワイトハウス報道の最長老記者ヘレン・トーマス


Watchdog

ヘレン・トーマス最新著作『Watchdogs of Democracy?: The Waning Washington Press Corps and How It Has Failed the Public

レバノン系アメリカ人のヘレン・トーマス女史は、ケネディ政権時代から現在まで、ずっとホワイトハウス番記者を続けている87歳の名物ジャーナリストだ。ホワイトハウス定例記者会見では、いつも最前列に座って、大統領報道官がもっとも答えたくない類の質問をする。

2007年11月30日のホワイトハウス定例記者会見では、デイナ・ペリノ大統領報道官を相手に、いつもどおりの辛辣な言葉を浴びせた。二人のやりとりを以下に抜粋して翻訳する:

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2007/11/06

米ラジオ局チェーン大手がブルース・スプリングスティーンの最新アルバムをボイコット?

Magic

ブルース・スプリングスティーンの新アルバム『Magic

「俺たちはイラクで自由を根付かせるために戦っているはずなのに、同じ自由を故郷で主張する人々に対して、恫喝したり罰したりする連中がいる・・・」

-2003年4月、全米でディクシー・チックスがボイコットされている件についてブルース・スプリングスティーンが寄せたコメント(source

フォックスニュースチャンネルの報道によれば、米ラジオチェーン最大手クリア・チャンネル社は、米ロック界の大御所、ブルース・スプリングスティーンの新アルバム『Magic』の政治的メッセージが気に入らないらしく、各地のチェーンラジオ局に対して「スプリングスティーンの曲を配信するなら、"Dancing in the Dark," "Born to Run" "Born in the USA"等の古い曲だけにしろ」などという指令を密かに出しているらしい。(もちろん、ディクシーチックスの件同様、クリアチャンネル側は報道内容を否定している

しかし実際には、系列局の一部がオーナー企業の命令を無視して(?)新曲を流しているらしく、“ボス”の声を封じる試みは、ディクシー・チックス全米ボイコット運動ほどには盛り上がっていないようだ

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2007/09/10

米映画界で戦争テーマが復活、話題作が続々登場

9/11テロ以降、愛国の嵐と自主規制の波に押され政府批判を控えていたアメリカ映画業界が、怯えながらも再び地上に姿を現しはじめている。

先週末までイタリアで開催されていた第64回ヴェネチア国際映画祭で、名匠ブライアン・デ・パルマ監督の新作『リダクティッド(Redacted)』が銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。これはアメリカ政府にとって非常に都合の悪い評価である。

リダクティッド』は実話を元にした戦争映画で、その実話とはズバリ、イラク駐留米軍兵士による市民虐殺事件である。

『Redacted』

イラク駐留米軍兵士による市民虐殺事件を描くブライアン・デ・パルマの問題作『Redacted

2006年3月12日、バグダッド南部マハムディヤ(Mahmoudiya)で、5人の泥酔したイラク駐留米軍兵士が、一般市民の住宅を襲撃し、14歳のイラク人少女をレイプし殺害、さらに少女の両親と妹も射殺した。犯人グループとされる米軍兵士たちは、ジェシー・スピールマン米陸軍初等兵、ジェイムズ・バーカー初等兵、ポール・コルテス三等軍曹、ブライアン・ハワード初等兵、スティーブン・グリーン初等兵。このうち、ジェシー・スピールマン米陸軍初等兵はすでに米国内裁判で懲役110年の有罪判決を受けて服役する見込みだが、10年で仮出所も可能という条件がついている。また、グリーン初等兵はレイプ直後に少女を射殺し、遺体に灯油をかけて燃やし証拠隠滅を図った件で死刑宣告される見通しである(マハムディヤは戦場ジャーナリストの橋田信介さんが殺害されたといわれる場所でもある)

映画祭で行われたインタビューによれば、デ・パルマ監督は米国大手メディアが現在進行中の戦争の実像をまったく伝えていないと憤慨しているらしい。今回の新作では、そうしたメディアによる『編集済み(Redacted)』のイメージではなく、ネット上で流通する米軍兵士が投稿した戦場風景や動画を作品中に盛り込み、イラク戦争のリアリティを存分に伝える作品に仕上がっているという。

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2006/09/25

石器時代から来たアーミテージ

大手メディア各社の報道によれば、911テロ直後に当時国務省副長官だったリチャード・アーミテージが、パキスタン政府に対して「米国に協力しなければ爆撃して石器時代に戻してやる」と脅迫した、とパキスタンのムシャラフ大統領が記者会見で語ったとのことだ。

不思議だ。なぜ今頃、そんなことが重大ニュースであるかのように報道されているのだろう?

テロ戦争と無関係の他国を実際に爆撃し、石器時代よりも悲惨な惨禍をもたらしている国家を指して、引退した政権幹部の言葉遣いの乱暴さを批判するとは全くナンセンスだが、アーミテージの「石器時代」発言は2年前に既に報道されているアジア・タイムズ・オンライン2004年4月8日付記事を以下に引用する:

・・・パキスタン諜報筋がアジア・タイムズ・オンラインに語ったところによれば、911テロ当日午後、さらに9月12日、13日にかけて、アーミテージは(ISI:パキスタン軍統合情報部長官の)マフムードと会見し、厳しい選択を迫った:「米国の対アルカイダ戦争を支持しなければ、パキスタンは爆撃され石器時代に逆戻りになる」と。コリン・パウエル米国務長官は、米国側の7つの要求事項を示す形でパキスタン側に最後通牒を提示した。パキスタンは申し出の全てに同意した。ムシャラフに対する要求項目のひとつには、マフムード長官をカンダハルに再度送り込み、タリバン側にビン・ラディンを引き渡すように説得することが含まれていた。ムラー・オマル師がその要求を拒否することは、マフムード長官にはわかっていた。しかし、長官がカンダハルに行くと、タリバンの指導者は、アメリカ側がビン・ラディンが911テロの首謀者であることを証明すれば、要求を受け入れると言った。そのような証拠はなく、アフガニスタンは結局爆撃されることになった。政策はずっと以前に決定済みだった。(以下略)

アジア・タイムズ・オンライン2004年4月8日付け報道(ペペ・エスコバル記者)

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2006/05/09

ザルカウィと呼ばれる男達

Zarqawi

M249分隊機関銃を試射する『ザルカウィ』

2006年5月4日、イラク駐留米軍は武装勢力指導者アブ・ムサブ・アル・ザルカウィのビデオ映像を公開した。映像の中のザルカウィは、M249分隊機関銃を試射し、途中で弾詰まりの処理を部下に任せている。米軍主席報道官リック・リンチ少将は、記者を前に映像を解説しながら、「ザルカウィは銃を撃つにも補佐官の助けが必要で、しかも熱い銃身を握って火傷している部下も居る」と言い、テロ指導者が実際の戦闘には未熟であると皮肉った。

すると意外なことに、現役・退役米軍将校達が、リンチ少将の解説について苦言を呈した。ニューヨークタイムズ紙の報道からそうした反論を一部引用する:

M249分隊機関銃は操作が複雑で、米軍海兵隊の兵士も基本操作手順を何日もかけて習得する。特にザルカウィが使っているのは初期型で、不具合があることで知られている。退役軍人達が言うには、長い間旧ソ連の旧式武器に慣れてきたテロリストが、M249分隊機関銃の操作を知っているとはとても期待できないとのことである。

「連中は小さな出来事を誇張している」イラクのティクリートで第42歩兵師団の作戦指揮を担当し、先月陸軍大佐を退役したマリオ・コスタグリオア氏は言う。

イラクで活動する現役の特殊部隊大佐も、ビデオ映像だけではザルカウィのテロリストとしての手腕を判定できないと言う。「ビデオを観るだけなら、楽しめるだろう。あの手のヘマを見るのは愉快だ。」公的な場での発言を禁止されているため、匿名を条件に語ってくれた特殊部隊隊員は言う。「しかし、軍人としては首を傾げざるを得ない。ザルカウィがあの武器の扱いを知らないのは当然だ。俺たちの武器だからな。皆が言うほど間抜けには見えないね」
(以下略)

こうした現場兵士達の批判はごもっともだが、映像中の人物がザルカウィであることに関しては誰も疑問を抱かないのは奇妙な事だ。マスコミ関係者は過去の報道をまるきり忘れてしまったのだろうか?

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2005/06/26

速報:チェイニー副大統領、心疾患で体調異変か?

(未確認情報)エンタープライズ研究所の主催する定例講演会のため、コロラド州に滞在中のチェイニー副大統領が、極秘裏に地元のベイル・バレー病院の心臓病課を訪れているという。

AP通信の報道によると、チェイニー副大統領は、昔のフットボール試合で受けた古傷の検査のために、コロラドで著名な整形外科医を訪問したと公式に発表されているが、偶然にも同地で別の講演会に呼ばれていて副大統領の護衛付き車列と移動を共にした政治活動家アリアナ・ハフィントンの伝えるところでは、チェイニー副大統領はベイルバレー病院(Vail Valley Medical Center)の心臓疾患課に居て、現在当地は緘口令と厳戒態勢が敷かれているという。

2005/05/30

ブッシュ:プロパガンダは私の仕事!

2005年5月24日にニューヨークで行われた社会保険改革キャンペーン遊説で、合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュは聴衆に向かって堂々と以下のように言ってのけた(source:White House):

「退職しても心配することはありません---これを言うのは3回目だな(笑い)たぶん、もう3回は同じことを言うでしょう。まあ、私の職業では、真実を見えなくする理解してもらうために、同じことを何度も何度も繰り返し言い続ける必要があるんですよ。プロパガンダに注目させる感じでね。」(賞賛の拍手)

If you've retired, you don't have anything to worry about -- third time I've said that. (Laughter.) I'll probably say it three more times. See, in my line of work you got to keep repeating things over and over and over again for the truth to sink in, to kind of catapult the propaganda. (Applause.)

合衆国大統領のメチャクチャな発言に、なぜか賞賛の拍手を惜しまない聴衆。アメリカ国民の思考力は完全に麻痺してしまった!・・・と思うのは早合点である。税金を使った公共イベントにも関わらず、最近のブッシュ大統領の遊説イベントには、大統領支持者以外は入場できない仕組みになっている

ブッシュの社会保険改革政策支持率グラフ

大統領が遊説すれば、支持率が下がるという奇妙な事実(source

皮肉なことに、ブッシュが社会保険民営化キャンペーンで全米各地を遊説して同じ言葉を繰り返せば繰り返すほど、大統領のアイデアに反対する国民の数は増加している

(注:社会保険の『民営化(privatization)』という言葉が、エンロン社破綻の際に社員全員の積み立て年金が台無しになった事件など、暗いイメージを連想させることから、ブッシュ陣営は、社会保険の『個人勘定化(personal accounts)』という言葉を使っている)

(関連投稿:ニセのニュースで国民を欺くブッシュ政権

2005/04/06

最新調査:米国人の56%が「イラクは大量破壊兵器を所有していた」と信じている

「マス・メディアは、事件を正確且つ誠実に報道し、状況と問題を十分に分析し、異論に対しては話し合いの場を設けることにより、人類が発展の中で生得した正しい展望に副った正義と連帯の普及を実現できますし、またそのように努めるべきです。」

"The mass media can and must promote justice and solidarity according to an organic and correct vision of human development, by reporting events accurately and truthfully, analyzing situations and problems completely, and providing a forum for different opinions."

---4月3日に死去したヨハネ・パウロ2世が遺した最期の公式メッセージの一部「通信にたずさわる者たちへ(TO THOSE RESPONSIBLE FOR COMMUNICATIONS)」より(source:2005年1月24日付


ワシントンポスト紙とABC放送が行った最新調査によると、現在においても米国民の56%が「イラクは大量破壊兵器を所有していた」と信じており、約60%が「イラクはアルカイダを支援していた」と信じているとのこと。昨年からたいして変わっていないわけだ。)

以下に主な調査結果を翻訳して引用する。(調査日:2005年3月10日から13日)

(質問)イラク戦争以前、イラクはアルカイダを支援していたと思うか?
61%:イラクはアルカイダを支援していた(イラクはアルカイダを支援していたと思う:39%、イラクがアルカイダを支援していた明確な証拠がある:21%
30%:イラクはアルカイダを支援していなかった。

(質問)戦争直前のイラクは大量破壊兵器を所有していたと思うか?
56%:イラクは大量破壊兵器を所有していた。
40%:イラクには大量破壊兵器はなかった。
(質問)ブッシュ政権はイラク戦争をするために、真実と信じていた情報を国民に説明したと思うか?あるいは、意図的に国民を誤解させたと思うか?
55%:真実と信じた情報を国民に説明した。
43%:意図的に国民を誤解させた。

米政府の独立調査委員会が3月31日に発表した報告によると、「イラクに大量破壊兵器が存在する」と誤った情報を伝えた人物は、いつも二日酔い状態でCIAに情報を出していたとのこと。40歳までアルコール漬けだったブッシュ大統領は、ホロ酔い気分のスパイを戦争の口実に利用したというわけだ。しかも、米国民の半数は、未だ酔いから醒めずにいるらしい。

2005/03/16

史上空前のプロパガンダ:ニセのニュースで国民を欺くブッシュ政権

3月13日、ニューヨークタイムズ紙の一面トップに、ブッシュ政権のプロパガンダ政策を暴露する調査報道記事が掲載され、全米のジャーナリズム界で大きな話題になっている。(大手新聞社がこのような話題で大量に紙面を割くのは極めて珍しいのではないかと思う)

話題の記事はタイムズ紙ウェブサイト上で公開されているが、8ページに及ぶ大特集であり、いつものように全文翻訳するにはちょっと大変・・・というわけで、とりあえずこのスクープを要約したアメリカン・プログレス基金のDaily Talking Points2005/03/14付記事を以下に翻訳引用する(記事中リンクは訳者による)

ニセのニュースで国民を欺くブッシュ政権(Bush Administration Deceives Public with Fake News)

アメリカン・プログレス基金のDaily Talking Points20050314付記事

先週末、ニューヨークタイムズ紙は、ブッシュ政権が大規模な公的資金の不正使用により、各放送網で政府プロパガンダを配信している事実を特集報道した。過去4年間の間に、少なくとも政府内20の部局が、何百ものニセテレビ報道フィルム製作に関わっており、そのフィルムの多くは、政府機関が主宰している事実を知らせぬままに、次々と全米各地の地域テレビ放送網で配信されたという。

  • ブッシュ政権は、ニセの政府PRフィルムを制作する費用として、これまでにおよそ2億5,000万ドルを納税者のお金で賄っている。2001年にブッシュ大統領が着任してから、ホワイトハウスは少なくとも2億5,400万ドルをニセのニュースフィルム制作や他のPR活動に投資してきた。保険社会福祉省によって実施され、先に暴露された悪名高き放送フィルムでは、PR企業役員を務めるカレン・ライアンが記者のフリをして、当時の福祉省長官トミー・トンプソンにインタビューを行っている。会計監査院(GAO)の調査によれば、その報道フィルムは“地方の放送局が取材した報道と見分けがつかないように”PR企業が企画・制作を担当したとのことである。
  • ブッシュ政権は、政府による“偽装宣伝”への制限取り決めを故意に違反している。無党派である会計監査院と議会調査局は、“政府が製作元である事実を、視聴者に知らせず、あるいは明確に表示しないように”仕組まれたニュース報道の制作に連邦政府機関が関わることを禁じている。この制限に対するブッシュ政権の対応は?タイムズ紙の金曜版報道によれば、“全ての行政機関に対して、会計監査院の結論を無視する旨を指示した覚書が、司法省と行政管理予算局の間で交わされていた”。
  • 議会もしくは裁判所は、ブッシュ政権に対して、税金の不正使用を止めるよう早急に干渉するべきである。立法機関、司法当局は、行政機関に対して国民を欺く行為を止めるよう、立法機関としての業務を行使すべきである。こうした行政権の乱用は、米国民に対する侮辱であり、我が国の民主主義の基本理念を侵害するものである。もしブッシュ大統領が、自ら公言する“民主主義の伝播”を自国において順守するためにお金を使わないというなら、他の政府機関が介入して大統領に注意すべきだ。
ホワイトハウスの情報工作員達(いずれも保守派批評家)ホワイトハウスからコッソリお金を受け取っていた保守派評論家達(上から)
アームストロング・ウィリアムズ(教育省から24万ドルもらってブッシュの“落ちこぼれゼロ法”を賞賛)/
マギー・ギャラガー(保険社会福祉省から2万1,500ドルもらってブッシュの“正しい結婚”政策を賞賛)/
マイケル・マクマヌス(保険社会福祉省から1万ドルもらってブッシュの“正しい結婚”政策を賞賛)

イラク戦争開戦前、ブッシュ政権の情報を鵜呑みにした報道を行ってきた件で読者に謝罪したニューヨークタイムズ紙としては、自らも政府広報紙と罵られないために、思い切って一歩踏み出したという感じである。(暴露されたプロパガンダ放送の一部は、デモクラシーナウ!の特集でも見ることができる)

さて、タイムズ紙の会心の一撃にたいして、ブッシュ政権はすでにCNN放送において「政府プロパガンダに法的問題なし」と強弁している。(相変わらずのCNNスタイル・・・“政府に問い合わせたら問題ないと言われました!”というパターンである)

先だって暴露された政府プロパガンダ工作の一部、ジェフ・ギャノン事件はどうなったか?同事件を重大視する議員達から調査要求が出され、慌てたホワイトハウスは、これまでの態度を一変させ、定例会見への参加資格を大幅に緩和して(これまでは、例えばNYタイムズ紙寄稿ジャーナリストすら参加拒否される厳しさだった)あたかもホワイトハウス記者会見が“広く国民に開かれている”かのように演出し、当該事件を追求する事は“ジェフ・ギャノンという同性愛者への個人攻撃である”という形に議論をスピンさせ、大量の保守派要員(ブロガーを含む)を動員して真相の隠蔽に邁進している。(CNN放送のウォルフ・ブリッツアが行った報道などもこうした“印象操作”の典型例である)

言うまでもなく、ジェフ・ギャノン事件の焦点は、記者としてのバックグラウンドの全くない人物が、偽名を使って取材許可証を入手し(前ホワイトハウス報道官アリ・フライシャーも驚いている!")、米情報部の極秘情報を簡単に入手した経緯(CIA工作員漏洩の件以外にも、ギャノン氏はイラク侵攻時期について公表前に知っていたと、そうした偽装活動の資金提供者が大統領に極めて近いポジションに居るという点なのであり(ジェフ・ギャノンの雇い主は大統領次席補佐官カール・ローブの知人、その人物の性癖が焦点ではないのである。(とはいえ、ギャノン氏が行っている大規模なゲイ売春サービスは、州法次第では違法スレスレであり、“倫理価値”を重視すると喧伝するホワイトハウスにあっては、問題とされてしかるべきであるが・・・)

ワシントンポスト紙の3月14日付け報道によれば、最近のブッシュ大統領は公的な場でジョークやギャグの回数を増やし、“親しみやすいテキサス人”という人物像を前面に押し出して上機嫌でいるという。さらに先日ホワイトハウスは、熱心な聖書原理主義者で“ジョージの母親役”カレン・ヒューズを、米国の広報外交(つまり、海外向けプロパガンダ)を担当する国務次官として再雇用すると発表している。どうやら、ブッシュ政権の“人形遣い”カール・ローブは、FOX、CNN他放送網の手を借りて、さらに大掛かりな印象操作(perception management)で事態を乗り切るつもりらしい。

2005/02/22

クリス・ロックのアカデミー賞司会抜擢に聖書原理主義団体が猛抗議

英BBC2005/02/20付け記事によれば、今年のアカデミー賞授賞式のホストにコメディアンのクリス・ロックが起用された件で、米国の聖書原理主義団体の一部が猛反発しているとのこと。以下に記事全文を翻訳引用する。(記事中リンクは訳者による)

“下品”オスカーホスト抜擢のロックに抗議('Vulgar' Oscar host Rock attacked)

英BBC2005/02/20付け記事

今年のオスカー授賞式ホストにコメディアンのクリス・ロックが抜擢された件で、米国キリスト教団体が批判を展開している。同団体によれば、クリス・ロックは“わいせつ”で“下品”であるという。

アメリカを憂える婦人の会(CWA:Concerned Women for America)の声明によれば、クリス・ロックの起用はハリウッドがアメリカ国内の事情に“疎い(out of touch)”ことの証明であるという。

「ハリウッドは俗悪さをさらに拡大しようとしている」同団体は主張する。「卑猥な言葉を連発する(F-word-spewing)クリス・ロックの起用は金ぴかの街(Tinseltown:ハリウッドの俗称)の大使としてはパーフェクトである」

オスカー授賞式は2月27日に開催される。

“馬鹿げた”賞
「(音楽業界のイベント)グラミー賞は視聴率の低下に苦しんでいるが、おそらくハリウッドも、レミングの群れのように、同じ断崖へ落ちたいらしい」CWAは評した。

今年のオスカーでは、スタンダップコメディ番組のスペシャリストとして、また映画「ヘッド・オブ・ステイト」「9デイズ」「ドグマ」などの活躍でも知られるクリス・ロックが司会に初挑戦する。

先ごろ、ロックは下品な言葉を控えると宣言し、こう発言している:「俺がテレビに出れば笑われることはあっても呪われることはないよ」

しかし、このコメディアンは、オスカーを滅多に観た事がなく、授賞式を“馬鹿げてる”と発言したとして物議を醸している。

授賞式のプロデューサー、ジル・ゲイツは言う。「アカデミーは今年のオスカーでクリス・ロックが司会することに興奮しており、彼と共に面白い夜が過ごせることを期待している」(以上)

今回のクリス・ロック攻撃の火付け役となっているのは、著名な共和党活動家であり、オンラインゴシップ記者で原理主義者としても知られるマット・ドラッジである。ドラッジは自身のウェブサイトで、度々クリス・ロックの発言とオスカー関係者によるクリスへの批判(真偽は定かでない)を持ち出しては、保守派の怒りを扇動している。

「アメリカを憂える婦人の会」というのは聖書原理主義団体で、ブッシュ支持母体の一つである。クリス・ロックといえば保守派の権威をこき下ろすジョークを連発する人物なので、米国内の原理主義者が目の敵にするのは自然の成り行きであろう。(ところでこうした道徳を重んじる団体の人たちは、ホワイトハウスに出入りする風変わりなニセ記者について、どう反応するだろう?)

クリス・ロックが“下品”なジョークを連発するのは、決してアメリカ国内の事情に“疎い(out of touch)”のではなく、むしろ現実のアメリカをよく知っており、それを効果的に風刺しているにすぎない。言葉ではなく、現実こそが“下品”なのだ。

そして今こそ、米国映画界にはその風刺センスが求められるのではないか。

2005/02/17

ジェフ・ギャノン事件:共和党活動とゲイ専門売春を兼務するスキンヘッド男はいかにしてホワイトハウスに自由に出入りできたのか?

ブッシュ大統領の記者会見に偽名を使って出席し、現政権に極めて都合の良い歪曲発言をするニセ記者が、密かに共和党から支援を受けた熱心な保守派活動家で、しかも本業がゲイ専門の売春夫としてホワイトハウス内部に顧客を抱えているかもしれないとしたら、それは共和党支持者が唱えるスローガン「道徳的価値感(moral values)」に背反するだろうか?

これこそ、現在ホワイトハウスを中心に進行している、一大スキャンダルの内実なのである。

2005年1月26日、ホワイトハウスの大統領記者会見で、タロン・ニュース(Talon News)社のジェフ・ギャノンという記者が、ブッシュ大統領に以下の質問をした

「上院の民主党議員団は米国の経済状況について極めて暗い見通しをしています。(上院少数党総務)ハリー・リード(民主党・ニューヨーク)議員は景況が水増しされてるといい、ヒラリー・クリントン上院議員(民主党・ニューヨーク)は経済が破綻寸前であると評しています。それなのに同じ口で彼等は社会保険システムが強固で破綻の危険性はないと言ってます。一体どうやって・・・(ブッシュ政権は)国民全てに援助の手を差し伸べると仰いますが、このような現実からかけ離れた人々とどうやって協力し合うことができるんでしょうか?」

大統領会見でのジェフ・ギャノン

大統領会見で質問(?)するジェフ・ギャノン

この奇妙な質問(というより党派的な主張)をする記者訳注1---共和党側の主張を正しいとし、民主党側の主張を“現実離れ”と歪曲し批判するジェフ・ギャノンという人物は、報道記者としてのバックグラウンドは一切なく、共和党テキサス支部の支援を受けた保守派の活動家であることが、メディア監査団体Media Matters for Americaの調査により暴露された。

しかも、このジェフ・ギャノンという名前は偽名で(本名はジェイムズ・D・ガッカートJames D. Guckert)、本来はインターネットでHotMilitaryStud.com, MilitaryEscorts.com、MilitaryEscortsM4M.comというハードコアな米軍人ゲイ男性専門サイトを運営し、ゲイ男性専門の売春サービス業を営む人物であることが判明した。(ジェフ・ギャノン自身もネット上で全裸となって自慢の肉体を披露し訳注2、1時間200ドルでサービスを販売している

ブリーフ一枚のジェフ・ギャノン

ブリーフ一枚で誘惑ポーズのジェフ・ギャノン。本人運営のWebサイトに掲載されていた写真。バレないと思っていたんだろうか?

通常なら、ホワイトハウスの記者会見に出席を許されるためには、事前にFBIによる人物調査を受けるはずだが(偽名など許されるはずもないし、そもそも通常のジャーナリストも入場できないほど制限が厳しい)、ブッシュ政権とテキサス共和党の特別な計らいにより、ジェフ・ギャノンは2年前からノーチェックでホワイトハウスに出入りしていた

しかもこのゲイ売春サービスのプロフェッショナルは、スコット・マクレラン大統領報道官とは顔見知りではないかとの疑惑がもたれている。過去2年間、ホワイトハウスでの通常会見で、マクレランは政権に都合良い発言をさせるべく、記者席のジェフ・ギャノンを何度も指名しているが、マクレラン報道官本人は当初関与を否定していた。しかし、疑惑が持ち上がった直後のホワイトハウス記者会見で、緊張した報道官はジェフ・ギャノンの本名を知っていたとウッカリ自白してしまった

慌てまくった報道官は疑惑を否定するコメントを再度発表したが、いつもは冷静沈着なマクレラン氏の焦る姿に疑惑は深まるばかりである。(ブッシュ政権の反同性愛政策を熱心に説いているマクレラン報道官は、実のところ地元テキサスでは同性愛者と噂されている。しかもマクレラン報道官の結婚式に、ジェフ・ギャノンは実名でお祝いカードを贈っている。)

しかしこれだけなら、ブッシュ政権が国民の税金を使って実施しているプロパガンダ工作のごく一部が暴露されたにすぎないし、同性愛者の権利剥奪に熱心なブッシュ陣営が、共和党支持のゲイ層に対してはお得意の“思いやりある保守主義”を発揮したとしても何ら問題ではない(政府から報酬をもらってブッシュ政権を賞賛する極秘任務を担っている保守派評論家アームストロング・ウィリアムズも同性愛者である)。ジェフ・ギャノンの雇用主であるGOPUSA社CEOのボビー・エベール氏が、同性愛者を蛇蝎の如く憎んでいるキリスト教原理主義者であるという事実もたいした問題ではない。(人生も社会も矛盾に満ちているものなのである!)

しかしジェフ・ギャノンの秘密はこれに留まらなかった。このニセ記者は、先ごろ問題となったCIA工作員氏名漏洩事件の元となった、ホワイトハウス内部の実名暴露工作直接関わっている可能性が高いのである。ブッシュ大統領に忠誠を誓うだけで、身元不明の第三者が国家機密まで入手できる仕組みになっているとしたら、国家安全上の大問題ではないか。

かつてモニカ・ルインスキー事件報道に狂喜乱舞した米大手メディアは、今のところジェフ・ギャノン事件に対しては本人に自己弁護の機会を提供する以外はほとんど無視の構えで、事態の沈静化を図っている。

(訳注1)米国の経済状況と社会保険に関する共和党・民主党の主張は簡単にまとめると以下のとおり。
共和党側の主張
米国経済は極めて順調なので社会福祉予算は大幅削減すべきであり、社会保険システムは破綻するので民営化することにより、大量の個人資金が株式市場に流れ経済が活況を増す。
民主党側の主張
米国経済は悪化しているので貧困層への公的支援を強化すべきであり、社会保険システムは今のところ破綻の危機に直面していないので、民営化により公的支援を打ち切るのではなく、適正化すればよい。

(訳注2)ジェフ・ギャノンの大胆な姿はブログで晒されている。(警告:リンク先には一部成人向けアダルト・コンテンツが含まれている可能性があります。いずれも当該事件に直接関わっているリソースですが、興味のない方には気分を害する内容なのでクリックしないでください)

2005/02/01

米国高校生の3人に1人が「報道の自由は過剰」と回答

USA TODAY紙2005/01/30付け記事を以下に翻訳して抜粋:

米国の高校生、「報道の自由は過剰」との意見も(U.S. students say press freedoms go too far)

By Greg Toppo, USA TODAY:2005/01/30掲載


全米の高校生の3人に1人が、「報道はもっと制限されるべき」で、さらに「政府は新聞記事を配信前に承認すべき」と回答していることが、最新の調査で明らかとなった。

11万2,003人の高校生を対象に行われた同調査によれば、36%が「新聞社は記事を配信する前に政府の承認を求めるべきである」と回答、「記事の配信は自由に行われるべき」と回答したのは51%で、「どちらとも言えない」という回答者は13%。

報道の自由についても、32%が「自由すぎる」、37%が「ほぼ適正である」、10%が「十分自由とはいえない」と回答している。

米憲法修正第1条(基本的人権規定)に関する当該調査はジョン・Sとジェイムズ・L・ナイト財団の委託により、コネチカット大学の主導により昨春実施された。

調査結果について、ミネソタ州ブルーミントンのインディアナ大学高校ジャーナリズム研究所所長ジャック・デボラック氏は驚くべきことではないとしている。「プロのジャーナリストでさえ、米国憲法修正第1条に基づく数々の自由について知らない人も居ますから」

デボラック氏は調査について「この分野に関心のある人にとってはよく知られたことが実証された」ものだと語る。「子供達は歴史や公民、英語の授業の際、米国憲法修正第1条について十分習得できるわけではない。このことは、最近の大人の意識に密接に関係しているのです」

「これは我が国の憲法の一部なのですから、正式な教育の一部とすべきでしょう」デボラック氏は言う。同氏は1968年から学生ジャーナリズムについて研究している。

調査対象となった高校生の大部分は、音楽家やそれ以外の人達が「一般受けしない意見」を表現することが許されるべきと回答しているにも関わらず、74%の生徒は、政治的意見表明として星条旗を燃やしたり汚したりすべきでないと回答、そうした行為を「違法」と誤解する生徒も75%居ることが判明している。

1989年、米最高裁は、星条旗を燃やす、もしくは汚す行為について、言論の自由によって保護されると判決している。議会は「星条旗焼却禁止法」の成立について繰り返し討議しているが、上院・下院のどちらも通過していない。(以下略)

「あなたには自由にモノを言う権利がある---それを実際に試すほどマヌケでない限り」
"You have the right to free Speech, as long as you're not Dumb enough to actually try it"

---ザ・クラッシュ 「Know Your Rights」 (Album: Combat Rock

2005/01/15

ワシントンポスト紙:危機を捏造する大統領

ワシントン・ポスト紙2005/01/12付けコラム記事より。以下に全文を翻訳掲載。


危機を捏造する大統領(President of Fabricated Crises)


by ハロルド・メイヤーソン:ワシントン・ポスト紙2005/01/12付

大統領の中には、危機を乗り切ることで歴史に名を残す者も居る。リンカーンはサムター要塞を、ルーズベルトは大恐慌と真珠湾攻撃を、ケネディはキューバ危機を乗り越えた。ジョージ・W・ブッシュは、もちろん、911同時多発テロとそれに続く危機---タリバン政権転覆を通して、歴史にページを割いている。

しかし、歴史家がブッシュ大統領時代を振り返る時、他の大統領に比較してより注目することになるのは、危機を乗り越えるということではなく、危機を捏造した部分であろう。危機の捏造はブッシュ政権のお家芸なのだ。ホワイトハウスにやってくる前に自身で設定した目標---サダム・フセイン体制の転覆や社会保障の民営化---を達成するために、ブッシュ大統領は危機をでっちあげたのである。

さて、イラクがアメリカ国内の家庭にとって今そこにある危機となったのは、大量破壊兵器で満たされ、核攻撃も辞さないとされたからである。そして今週、大統領はさっそく二番目の大恐怖キャンペーンに乗り出している。今回のキャンペーンでは、アメリカ国民に対して、社会保証制度が破綻すると脅し、唯一の救済策は給付額を削減してシステムを個人会計に転換する(民営化する)ことであると説得している。

実際には、社会保障制度は過去70年間でより強固な地盤を固めている。何か特殊な事態が発生しないかぎり、管理者の説明では、2042年まで満額で給付をおこなうことができる。今後の75年間を見ても、見込まれる不足金額は、管理者の説明では国民所得のわずか0.7%、連邦議会予算事務局の試算では0.4%である。それでも大金となるだろうが、同時進行するブッシュ政権のメディケア(高齢者用医療制度)処方薬費用給付制度の費用負担はその2倍であり、あるいはブッシュ大統領の目論む減税延長による費用負担が社会保障制度費用負担の4倍であることを考えれば、たいした額ではないのである。

端的に言って、社会保障制度は財政上の危機に瀕してはいない。今後10数年のうちに、歳入を増加させ給付を減少させる若干の明確な調整が必要とされているのである。

しかしながら政治的には、社会保障制度は前代未聞の危機に直面している。大統領とおそらくは下院の過半数を占める議員達---イデオロギー上の動機で制度に反対し、ニューディール政策を撤回可能な米国歴史上の逸脱とみなし、1935年の議会において制度化に反対票を投じたであろう人々によって、社会保障制度は史上初の脅威にさらされているのだ。しかし、イデオロギー上の理由をもって社会保障制度の撤回を求めることが成功しそうにないことは、カール・ローブに相談せずともブッシュは知っているのである。

そこで、またしても危機の捏造開始である。ブッシュの統治下にあっては、危機の捏造は毎度のことなのだ。合衆国は医療ミス費用の危機に直面しているというが、連邦議会予算事務局の説明によれば、医療ミスによる費用負担は医療保険全体のわずか2%を占めるに過ぎない。(実際には、訴訟弁護士の経済的、及び政治的影響力を排除したいという大統領の目論見なのである)大統領は合衆国が判事不足の危機に直面しているというが、実際には上院の民主党議員が議事進行妨害によって阻止した判事の数は、ブッシュ政権第一期に指名された229人のうち、わずか10人に過ぎない。

危機の捏造が政府の主要な課題とされる時---政権閣僚の何人がサダム・フセインの脅威の恐ろしさ、あるいは今度の、社会保障制度の破綻を口にしているか考えてみて欲しい---ブッシュ政権ほど古風なプロパガンダ手法に依存している政権はないだろう。全くもって、フォックスニュースネットワークや右派トークラジオ抜きのブッシュ政権など、想像できないのである。

事実とフィクションをごちゃまぜにすることはブッシュ政権の主要な業務なので、保健社会福祉省から全米麻薬撲滅対策室に至る政府機関が、ニセのニュース番組とニセ記者をでっち上げて広報フィルムを制作し、地方のテレビ放送網に提供していたとしても驚くにはあたらない。訳注1

教育省が、保守派評論家のアームストロング・ウイリアムズに24万1000ドル支払って、ブッシュ政権の「おちこぼれゼロ」政策を賞賛させた件も驚くにはあたらない。ブッシュ政権においては、あらゆる手段を用いてブッシュ支持を推進するのは、政府機関の役割なのである。アフリカ系アメリカ人のコミュニティにおいて、フォックスニュースの視聴者が占める割合はそれほど多くはないので、ウィリアアムズの登場となったわけである。彼は、クラレンス・トーマス最高裁判事の下で事務員を経験した間に、贈り物を断るのは失礼であると学んだらしい。訳注2

我が国は多くの大統領を抱えてきたが、最も悪名高いのは、メディアを敵と見方に分割したリチャード・ニクソンであった。しかしながら、偽情報の拡大にこれほどまでに執心し、プロパガンダが民主主義を腐敗させることに全く無関心である大統領は、ブッシュ以外には思いつかない。それこそ、歴史書の中でブッシュ大統領が占めるべき内容であろう。


(訳注1)2004年に、ブッシュ政権と保健社会福祉省が、民間PR企業であるHome Front Communications社を雇ってニセのニュースフィルムを捏造し、オクラハマ州、ルイジアナ州など非都会地区の地域テレビ放送網のニュース番組中に放映させた事件を指す。(参照source:英ガーディアン紙の報道

Karen Ryan

カレン・ライアン


放送されたフィルムは2種類あり、そのひとつはPR企業役員(カレン・ライアン)が報道記者を装って、ブッシュ大統領が新たに議会通過させた医療保障改革法案を絶賛するもの、もうひとつはヒスパニック系市民向けのもので、アルベルト・ガルシアと名乗る報道記者(正体は俳優)がブッシュの新法案を絶賛するインタビューシーンをニュースとして収めたものである。

問題となったブッシュの医療保障改革案は、高齢者の処方箋薬価格を下げるという宣伝に反し、実際には受益者が縮小し、国民負担が増加する最悪の法案であった。しかもブッシュは法案提出の際、費用計算を偽って過小報告していたのである。(参照source:"Bush's Medicare Plan Seeks to Move Seniors into Private Plans, Doesn't Decrease Prescription Drug Costs", "Bush Supports Medicare Bill Despite Its Failure to Rein in Drug Costs")


(訳注2)USAtoday紙2004/01/07付けのスクープによって明らかになった事件。保守派評論家アームストロング・ウィリアムズは、大手PR企業であるケッチャム社の仲介により、教育省から報酬を受け取り、ブッシュ大統領の政策「おちこぼれゼロ法(No Child Left Behind)」を自身のテレビ番組その他メディアで絶賛するよう依頼されていた。アフリカ系アメリカ人であるウィリアムズの宣伝により、黒人市民のブッシュ政権支持拡大を狙ったものである。

Armstrong Williams

米保守派の唱える「ゲイは皆罪人である」に同意のフリをした保守派評論家アームストロング・ウィリアムズも、男性からセクハラで訴えられた経験を持つゲイである


間抜けなことに、政府によって買収される以前のウィリアムズは、ブッシュの「おちこぼれゼロ法案」を自身のコラムで批判しており、より一層立場を悪くしている。刑事罰の可能性も出てきてヤケクソになったウィリアムズは「買収されてるのは俺1人だけじゃない」と右派評論家業界の内幕暴露を匂わせている。

教育改革を装うブッシュの「おちこぼれゼロ法」は、実際には政府の教育予算大幅削減を目指したもので、公立学校を競争させて成績向上した学校だけに補助金を与えるというもの。さらにこの法案の下では、生徒の名簿を軍部に提出するよう学校側に義務付けており貧困地区の学校に通う生徒宛てに、米軍からダイレクトメールを送付し、あるいは直接訪問して入隊を促進させることが可能となっている。これはブッシュ政権の推進するバックドア・ドラフト(Backdoor Draft:裏口徴兵)政策の一例として批判されている。

アームストロング・ウィリアムズが師事した最高裁判事クラレンス・トーマスは、ブッシュ父時代に任命された人物で、最高裁判事としてもっとも大量の賄賂を受け取っていることでずっと批判されている。(米国では、最高裁判事が裁判と直接関係のない相手から贈り物を受け取ることに対しては法的制限がない)

ちなみに、クラレンス・トーマス最高裁判事は、悪名高きボヘミアン・クラブ---陰謀論筋から世界支配者会議と揶揄されている金持ち秘密クラブ---の招待客の1人。


2004/10/07

最新調査:42%のアメリカ人が「フセインは911テロに関係がある」

Editor and publisher2004/10/05付け記事より。

USA Today/CNN/Gallupが10月1-3日にかけて行った全米世論調査によると、アメリカ人の42%が今でも「サダム・フセインが911テロに直接関わっている」と誤解していることが判明。また、32%が「サダム・フセインが911テロ計画に関わっている」と回答。

今年6月に行われた同様の調査では、共和党支持者の56%が「サダム・フセインは911テロに直接関わっている」と回答していたが、最新の調査によるとそうした誤解をしている共和党支持者は62%に増加しているとのこと。

ところでアメリカの世論に関する面白本「数字でわかるおかしな国アメリカ」(ピーター・ストラップ著:ランダムハウス講談社)によると、「世界地図でアメリカの場所を指すことができる」アメリカ人は10%、「反戦に関わる書籍・記事の検閲」に賛成するアメリカ人は40%だそうである。

こうしたデータを知るにつれ、おおいに不安に駆られてしまう。チェイニー副大統領とエドワーズ候補のディベート内容を理解できるアメリカ人は果たして何パーセントだろうか?

2004/09/22

「隠蔽されたヒロシマ:いかにして陸軍省のタイムズ記者はピューリッツア賞を勝ち取ったか」byエイミー・グッドマン

CommonDreams.org 2004/08/10付記事より。

米国の独立系ニュース「デモクラシー・ナウ!」のエイミー・グッドマンと兄のデビッド・グッドマンの共著「The Exception to the Rulers: Exposing Oily Politicians, War Profiteers, and the Media that Love Them」から、第16章全文が公開されたので、翻訳して以下に掲載。

The Exception to the Rulers: Exposing Oily Politicians, War Profiteers, and the Media that Love Them
The Exception to the Rulers: Exposing Oily Politicians, War Profiteers, and the Media that Love Them(写真はハードカバー版)現代ジャーナリズム関連の必読本!


「隠蔽されたヒロシマ:いかにして陸軍省のタイムズ記者はピューリッツア賞を勝ち取ったか」
Hiroshima Cover-up: How the War Department's Timesman Won a Pulitzer


by エイミー・グッドマン、デビッド・グッドマン(二人の著作「The Exception to the Rulers: Exposing Oily Politicians, War Profiteers, and the Media that Love Them」より:commondream転載


「政府は嘘をつく。(Governments lie. )」

---I・F・ストーン(ジャーナリスト)---


核時代が幕を開けはじめた頃、オーストラリアの独立系ジャーナリスト、ウィルフレッド・バーチェットは、ヒロシマの爆撃の影響を取材するために日本に行った。ひとつだけ問題だったのは、ダグラス・マッカーサー将軍は日本の南部を立ち入り禁止区域に指定し、報道陣を締め出していたことだった。20万人以上の日本人がヒロシマとナガサキに落とされた原爆によって死亡していたが、西欧のジャーナリストでその爆撃の影響を目撃して語るものは一人もいなかった。日本の港から離れた米軍艦ミズーリ上に、世界中のメディアが素直に集まり、日本の降伏について取材をしていた。

ウィルフレッド・バーチェットは単独取材することを決心した。彼は、核爆弾がどんな災害を生み出したのかを自分で見て、おおげさに賞賛されているこの新兵器の正体を理解するつもりだった。汽車に乗り、30時間をかけてヒロシマ市内に潜入し、ダグラス・マッカーサーの命令に挑戦した。

バーチェットは汽車から悪夢の世界に放り込まれた思いがした。彼の相対した惨状は、それ以前に他の戦場で経験した光景とは違っていた。35万の住民を抱えるヒロシマの街は跡形もなく破壊されていた。高層建築物は黒こげの柱だけとなった。壁や舗道には、人々の影が焼き付けられていた。肌が溶けて剥がれたままの人々に遭遇した。病院では、大量の出血で紫色の肌をした人、壊疽、高熱、毛髪が抜け落ちた患者が溢れていた。バーチェットは原爆症について目撃し伝えた最初の人物となった。

バーチェットは瓦礫の上に座り、ヘルメスのタイプライターを打ち始めた。彼の報道が始まった:
「ヒロシマでは、史上初めて落とされた原子爆弾が街を破壊し、世界を驚愕させてから30日が経過しているが、現在でも住民の死亡者が増加しつづけている。怪我をしていない人々は、原子の伝染病としか表現しようのない未知の大異変に襲われている。」

彼は文字を打ち続け、今日まで脳裏に刻まれることになる言葉を続けた:
「ヒロシマは、爆撃された都市には見えない。まるで巨大なローラーの化け物が通り過ぎて、存在する全てを押しつぶしてしまったかのようだ。私はこれらの事実を、世界への警告として伝達されることを願い、可能な限り冷静に書き記しておこうと思う」

バーチェットの記事は、「原子の伝染病(THE ATOMIC PLAGUE)」という見出しで、1945年9月5日に、ロンドン・デイリーエクスプレス紙に掲載された。この記事は世界にセンセーションを巻き起こした。バーチェットの、恐怖に対する飾り気のない反応は読者を驚愕させた。「原爆の最初の試験地となった現場で、私は4年間の戦争取材中、もっとも悲惨な、恐ろしく荒廃した世界を目撃した。この光景に比較すれば、攻撃に荒れた太平洋の島々でさえ、まるでエデンの園に見えることだろう。被害は写真で表現できないほど酷い」

「ヒロシマに到着したら、25から30マイル四方(約49キロ四方)は見渡せる。建物ひとつ建っていない。このような人類による破壊の惨状を目にすれば、誰でも吐き気を催すことだろう」

バーチェットの煽情的な、独立した報道は、米軍にとっては大失態だった。マッカーサー将軍はジャーナリストが爆心地に近づくことを必死で禁止し、米軍の検閲はより厳格になり、恐怖を伝える報道は抹殺された。公式の報道では、原爆による住民被害は過小に評価され、被爆による死亡は断固として隠蔽された。被害を取材した記者たちは口を塞がれた:シカゴ・デイリーニュースのジョージ・ウェラー記者は、ナガサキに潜入し、そこで目にした悪夢を25,000文字の記事にした。そして彼は致命的な過ちを犯した・・・記事を軍部の検閲官に渡したのだ。彼の新聞社はその記事を受け取ることがなかった。ウェラー記者は、マッカーサーの検閲に直面した体験を、後にこう締めくくった。「奴等の勝ちだ」

米国の政府当局者は、バーチェットの暴露に対して昔ながらのやり方で対抗した。報道した者を攻撃したのだ。マッカーサー将軍はバーチェットを日本から追い出すよう命令し(命令は後に破棄された)、ヒロシマの写真を収めたバーチェットのカメラは、彼が病院に居る間に謎の消失を遂げた。米国の政府関係者は、バーチェットを日本のプロパガンダに毒された人物と非難した。被爆による病状という考えは政府により一蹴された。米軍はヒロシマ原爆投下直後に記者会見を行い、人的被害については過小報告し、代わりに爆撃地が軍事・工業地として重要であったことを強調した。

バーチェットの記事が世界の新聞の第1面を飾ってから4日後、原爆計画の責任者であるレスリー・R・グローブ少将は、ニューメキシコに30名の精選された記者たちを招待した。記者たちの中でも重要な役割を果たしたのは、ウィリアム・L・ローレンス---ニューヨークタイムズの記者で、科学に関する報道でピューリッツア賞を受賞した記者だった。グローブ少将は記者たちを最初の原爆実験地に案内した。少将の意図は、放射能の残存が実験地で見られないということを実証してみせたかったのだ。グローブズ少将はローレンスを信頼しており、軍の意図どおりに報道してくれるものと期待していた。そして、少将の期待は裏切られることがなかった。

ローレンスのトップ記事---「米国の原爆実験地は東京の話と矛盾:ニューメキシコの試験地で、放射能ではなく爆撃のみ損害を及ぼすことが確認された」---は、軍部の3日に渡る詳細な検閲を受けて後、1945年9月12日に一斉に報道された。記事はこう始まる:「史上最初の原爆が爆破した現場、人類の文明の新しい段階の発祥の地であるこの歴史的なニューメキシコの土地は、8月6日の原爆投下以降にヒロシマの住民が死亡している原因は放射能であり、ヒロシマに入った人々が残留放射線で謎の病気にかかるという日本のプロパガンダに対し、最も効果的な反論を提供した」ローレンスは悪びれることなく、米軍への取材について「それらプロパガンダの虚偽性を実証するため」と宣言した。

ローレンスはグローブス少将の言葉を引用した。「日本側は、放射能で人が死ぬと主張しているが、もしそれが本当だとしても、被害は非常に少ないはずだ」

その後、ローレンスは、発生した事実について自身の印象を述べた。「日本側は未だに、わが国が不正な手段で戦争に勝利したという印象を捏造するためのプロパガンダを継続している。それにより同情を引き起こし、降伏条件を緩めてもらうつもりだ。このように、日本側が主張する「症状」は真実とは思われない」

しかしローレンスは知っていた。1945年7月16日に、彼は最初の原爆実験を観察していたのだ。彼は放射能が南西部の砂漠に残留し、地元住民や家畜に悪影響を及ぼすことを知りながら、見て見ぬふりをした。彼は試験地のガイガーカウンターが封じられている件について無言を通した。

ウィリアム・L・ローレンスはタイムズに10回の連載記事を書き、核開発計画の技術的成果と精巧さを伝えることに専念した。これらの一連の報道の中で、彼は原爆が人類に与える被害について過小に伝えていた。ローレンスはこの報道により、ピューリッツア賞を受賞した。

実のところ、ウィリアム・L・ローレンスに給料を支払う雇用主はニューヨークタイムズ紙だけではなかった。彼は陸軍省からも給与を受け取っていたのである。1945年5月、レスリー・グローブス少将はニューヨークタイムズでローレンスと秘密の会合を開き、米国の原爆開発計画「マンハッタン・プロジェクト」についてのプレスリリースを書く仕事を紹介された。タイムズによれば、その意図は、「原爆の実施原則の複雑さを素人の言葉で解説するため」だという。ローレンスは、トルーマン大統領と陸軍省秘書官のヘンリー・スティムソンのために、爆弾投下の宣言文も書いた。

ローレンスは喜んで政府の仕事を請け負った。「彼の科学への好奇心と愛国心への熱意は、おそらくジャーナリストとしての独立性を損なう危険性から彼自身の目を覆うことになる」エッセイストのハロルド・エバンズは戦争史の記事で述べている。エバンズは言う:「爆弾の投下後、明晰だが残忍なグローブス少将は放射能の影響について隠蔽、歪曲を続けた。日本人の死に関する報告を“でっち上げ、もしくはプロパガンダ”と一蹴した。タイムズ紙のローレンスもまた彼の味方となり、バーチェットの記事の後でさえ、政府側の情報を繰り返した。」まさしく、ヒロシマ原爆投下後に米軍から発表された幾多もの政府広報文は、目撃者の説明もないまま、米国内の新聞紙上に、他ならぬローレンス自身によって丸写しされ、掲載された。

「陸軍省のために広報文を書き、世界中にそれが配信されるという私の仕事は名誉なことで、ジャーナリズムの歴史上でもユニークな試みだった」回顧録「Dawn Over Zero」の中でローレンスはそう誇っている。「他のどの記者に対しても、あれを上回る名誉が与えられることはなかっただろう」

「原子爆弾のビル」ローレンスは核兵器を崇拝していた。はるか1929年の昔から、ローレンスはアメリカ核開発計画を追随していた。彼の、政府エージェントと新聞記者という二足のわらじ状態は、米軍関係者への前代未聞の接近を可能にし、ナガサキに原爆を落とした飛行隊に同乗するまでに発展した。ローレンスの書いた原爆やその効果に関する記事は、神聖なトーンで彩られ、ほとんど宗教的な畏怖にも似た解説で脚色されていた。

(米軍によって検閲され、投下から1ヶ月間経過して公表された)ローレンスの記事中に書かれるナガサキへの原爆投下は、10万人の住民を焼却すると説明されている。ローレンスは歓喜に酔いしれていた:「まるで地球外ではなく地中からやってきた流星のように、我々は爆発が上方に伸びる光景を畏敬の念に打たれながら見ていた・・・白い煙が空を昇る姿はまるで生き物のようだ・・・それはまさしく生きている・・・瞠目する我々の目前で生まれた新種の生物なのだ。」

後に、ローレンスは原爆の印象についてこう話している:「近づいて観れば、まるで生き物のように形作られたもので、彫刻家が誇りを持てるほどこの上なく見事に作られている・・・まるで観るものに超自然的な存在を感じさせるほどだ」

ローレンスは雇い主の秘密を守ることに長けていたので、ニューメキシコの致死的な被曝情報を隠蔽することにより、日本での被害についても否定することができた。タイムズ紙はさらに秘密を守ることに長けていたので、単にローレンスの、政府広報役と新聞記者という立場を、ヒロシマ原爆投下の次の日である8月7日、ローレンスがペンタゴンのために働き始めて4ヶ月経過してから公開するにとどめることができたのだ。ロバート・ジェイ・リフトンとグレッグ・ミッチェルが書いた素晴らしい著作「アメリカのヒロシマ:50年間の否定(Hiroshima in America: Fifty Years of Denial)」にはこう記されている:「国家の指導的立場にある科学記者が、深刻なほど妥協して、同時代の最も重大な科学上の発見に関して発生する可能性のある災害について知っていること全てを話さなかったのだ」

放射線:わかっていても話さない(Radiation: Now You See It, Now You Don't)

ニューヨークタイムズ紙のもう1人の記者がヒロシマ取材に関わることにより、この物語は奇妙な展開を見せることになる。彼の名前は、信じられないかもしれないが、ウィリアム・ローレンスという。(署名はW.H. Lawrence)彼は長い間、ウィリアム・L・ローレンスと混同されてきた。(ウィルフレッド・バーチェットですら、1983年に刊行された自身の回顧録によれば、この二人を混同して記憶している)

陸軍省のピューリッツア賞受賞記者と違い、W・H・ローレンスはきちんとヒロシマに行き、バーチェット記者と同じ日に取材をしていた。(ウィリアム・L・ローレンスは、ナガサキへ原爆投下した飛行隊に同乗した後、そのまま合衆国に呼び戻されたので、爆撃された土地に降り立つことはなかった)

W・H・ローレンスの、ヒロシマからの元の報道記事は1945年9月5日に公開された。彼は放射線の危険な影響について事実に基づく記事を書き、「ヒロシマに居る全ての人は原爆の残留放射線の影響で死んでいくだろう」と日本の医者が懸念しているという事実を記事にした。彼は、原爆投下の日に少しの怪我しかしなかった人々が、白血球の86%を失って、華氏104度の高熱を出し、髪が抜け落ち、気力を失くし、血を吐いて死ぬ様子を説明した。

ところが非常に奇妙なことに、W・H・ローレンスは一週間後の新聞記事で「ヒロシマの残骸に放射線の影響なし」という見出しで、全く正反対の記事を書くことになった。この記事では、ペンタゴンの歪曲マシンは最速ギアでバーチェットの「放射線障害」に関する恐ろしい報告に対抗している。記事の中で、W・H・ローレンスは、陸軍准将T・F・ファレル---陸軍省のヒロシマ原爆投下責任者が「(原爆が)危険な残留放射線を放出する疑惑についてきっぱりと否定した」と書いている。ローレンスの記事で引用されたのはファレル准将の発言のみで、その前の週に彼自身が記事に書いた、放射線障害で死んでいく人々の目撃証言については記事内で言及されなかった。

ウィルフレッド・バーチェットとウィリアム・L・ローレンスの相反する記事は、遥か昔の歴史となり、現在に至るも何ら変更がない。2003年10月23日、ニューヨーク・タイムズ紙は、1932年度にピューリッツア賞を受賞したタイムズ紙記者のウォルター・デュランティについての問題に関する記事を掲載した。旧ソビエト連邦に派遣されたデュランティは、1932年から1933年の間に大勢のウクライナ住民が飢饉によって死亡した事実を否定していた。ピューリッツア賞選考委員会は2つの照会を通して、デュランティ記者の受賞資格を剥奪することを考慮していた。タイムズ紙は記者の「退廃を遺憾に思う」と表明し、編集署名記事としてデュランティ記者の仕事を「タイムズ紙に掲載された最悪の記事の一つ」として自己批判した。現在のタイムズ紙編集長ビル・ケラーはデュランティ記者の行為を「軽率な、批判的視点を持たないプロパガンダのオウム返し」と批判した。

2003年11月21日、ピューリッツア賞選考委員会はデュランティ記者の受賞剥奪を取り消す決定を下し、受賞した記事内容について「意図的に偽ったことを確信させる明確な証拠に欠ける」と結論づけた。

ジョセフ・スターリンの擁護者であったデュランティにとって、まさにぬれ手に粟のぼろもうけだったわけだ。ウィリアム・L・ローレンス記者が放射線の危険な影響について否定した記事は「意図的な偽り」ではなかったのか?ピューリッツア賞選考委員会は、国防総省に雇われた広報担当者が、何百万人もの日本人が苦しんでいる事実を否定している記事を書いたことに対して、どういう理由でジャーナリズム賞を受賞させる資格があると判断したのだろう?ピューリッツア賞選考委員とタイムズ紙は、米国発の報道に対しては、「批判的視点を持たないプロパガンダのオウム返し」を是認してきたではないか。

ヒロシマ原爆投下を擁護した記者からピューリッツア賞を剥奪する期限はとうの昔に過ぎている。


2004/09/14

3年経過:アメリカ国民の42%が「フセインは911テロに直接関係している」と回答

Editor & Publisher 2004/09/10付けコラムより。

米Newsweek紙のアメリカ国内最新調査によると、米国民の42%が「サダム・フセインは911テロ実行に直接関係している」と誤解しているとのこと。一方で、フセインと911テロは無関係と回答した人は44%。まさしくアメリカ国民は真っ二つに分かれているわけである。

オンラインで公開され、ペーパーバック版もベストセラーになっている「911テロ調査委員会最終報告書(9/11 Commission Report)」で、キチンと「フセインと911テロは無関係」と発表されているにも関わらず、この状態である。ブッシュ政権とフォックスニュースチャンネル共同で嘘をばら蒔いた結果、アメリカ国民の知性は深刻なダメージを受けたまま回復していないらしい。

さらに悪いことに、ブッシュ再選チームは今でも911テロ、アルカイダとフセインを結びつける発言を繰り返している。例えば9月10日には、チェイニー副大統領が、オハイオ州でのスピーチの中で、サダム・フセインは「アルカイダに隠れ家と避難所を提供してきた」と発言し、またしても嘘をばらまいている

偶然にも同じ9月10日、チェイニーの嘘に合わせるように、ラムズフェルド国防長官もまた、ナショナルプレスクラブのスピーチで以下のようなムチャクチャな発言をして嘲笑されている。

「北部同盟のマスード将軍は殺されていたが、彼の暗殺を命令したのはサダム・フセイン、オサマ・ビン・ラディン---タリバンの共謀者だ
"The leader of the opposition Northern Alliance, Masood, lay dead, his murder ordered by Saddam Hussein, by Osama bin Laden, Taliban's co-conspirator,"

サダム・フセインが今生きているとしたら、捕まらないよう必死だろう。2001年のビデオ以来姿を見せていないが
"Saddam Hussein, if he's alive, is spending a whale of a lot of time trying to not get caught. And we've not seen him on a video since 2001,"

アブグレイブ刑務所虐待事件の発覚以降、マスコミ登場を控えている国防長官は、嘘をくりかえしているうちにフセインとビン・ラディンの区別ができなくなってしまったようだ。

ところでチェイニー副大統領は、「今年11月2日に国民が選択を誤れば(ケリーに投票すれば)アメリカは再びテロ攻撃を受けるだろう」と発言している。まさしく「ブッシュに投票するか、さもなくば死ね」と国民を脅迫しているわけだ。なんとわかりやすい恐怖政治体制だろう。

2004/08/17

他人に戦争を奨励する人々

ジョージア州の民主党上院議員マックス・クリーランドは、25歳の時にベトナム戦争に従軍し、戦友が足元に落とした手榴弾によって両足と右腕を失った。ベトナムで手足を失って帰還した兵士は6,878人、そのうち52人は三肢を失っている。クリーランド議員もその1人として、青銅星章と銀星章を叙勲している人物だ。

そして、クリーランド議員はブッシュ大統領をストレートに批判する数少ない議員でもある。

さて、アメリカにはビル・オライリー、ラッシュ・リンボーに代表される、極右評論家(Ultra right-wing pundit)という奇妙な職業がある。フォックスニュースチャンネルや保守系ラジオ局を根城にする彼等は、メディアに登場するたびに「イラクを爆撃しろ!」「反戦を唱える奴はテロリストか共産主義者だ」「大統領を批判する奴は恥を知れ!」「民主党員はアルカイダの味方」などと繰り返す。そして、驚くほどの視聴者を抱え、彼等の書く本は飛ぶように売れる。

彼等は報道済みの情報を歪曲し、他人を攻撃する際には実在しない発言を捏造する。また、「イラクとアルカイダは911テロの主犯」という誤解をアメリカ国民に信じこませる際に、彼等はブッシュ政権と共に重要な役割を果たしている。(このあたりは米メディア操作監視サイトMedia Matters for Americaに詳しい:わかりやすい動画もある

アン・カルター

アメリカの極右アイドル:アン・カルター

極右アイドルのアン・カルターもそうした扇動家の1人だ。従軍経験がない彼女は、ブッシュのベトナム逃れを批判するクリーランド議員を攻撃するために、自らのコラムで以下のように書いた。(2004/02/12付けTownhall.com(ヘリテージ財団の広報サイト)掲載コラムより抜粋)

「クリーランド議員が手足を失ったのは、日常業務である非戦闘任務中、戦友とビールを飲もうとしたときに発生した事故のせい。クリーランドは地面にあった手榴弾を見つけ、拾い上げただけ。フォート・ディックス(米陸軍訓練基地)でも起こりそうなことよ。実際、クリーランドは州兵(彼は“週末兵”と馬鹿にするけど)の時に手榴弾を落としたかもしれないわね。クリーランド自身の経歴とブッシュ大統領への尊大な態度は、ラッキーなことに、ベトナムに居る間にそうした出来事に遭遇したおかげよ。」

(Cleland lost three limbs in an accident during a routine noncombat mission where he was about to drink beer with friends. He saw a grenade on the ground and picked it up. He could have done that at Fort Dix. In fact, Cleland could have dropped a grenade on his foot as a National Guardsman ・or what Cleland sneeringly calls "weekend warriors." Luckily for Cleland's political career and current pomposity about Bush, he happened to do it while in Vietnam. )


もちろん、カルターが言うクリーランド議員の事故内容は全くの嘘である。実際には、クリーランドは敵が包囲するベトナムの戦闘地域にヘリで降り立った際、他の兵士が落とした手榴弾を発見し、自軍の被害を防ぐために自ら拾い上げたのだ

アメリカの保守派論客や、いわゆるネオコン陣営はメディア上で盛んに戦争を賞賛し、反論するものには暴言を吐き、戦争に反対するものを「裏切り者」と呼ぶ(アン・カルターの得意技)。「兵士を助けろ(Support our troops)」と人に言いながら、実際に戦争に従軍した兵士が反戦を主張した途端、平気で(嘘に基づく)人格攻撃を行う。そして、戦傷を負った兵士を中傷する。

現在も、ブッシュ陣営はベトナム戦争の退役軍人をお金で集めて、ジョン・ケリーの軍歴を侮辱させる選挙活動を行っている。(第三者団体をでっちあげてケリーを攻撃する周到さは、まさしく“ブッシュの頭脳”カール・ローブのやり方だ)それに沿う形で、ラッシュ・リンボーやオライリー、アン・カルターはケリーへの人格攻撃を同じセリフで毎日実施している。

なぜこれら「米国右派」の人々は、自国の兵士を平気で人格攻撃し、人が死ぬ戦争を賞賛できるのか?答えは簡単。彼等にとって戦場は他人事でしかないからだ。

米国では、戦争を賞賛・扇動しながら自らは従軍・戦場経験がない人々を「Chickenhawks」と呼ぶ。

以下に、米国の政治舞台に登場する共和党有名人達の軍歴を「ブッシュ脱走兵サイト」から引用しておこう。誰がChickenhawksに該当するかよく覚えておいて欲しい。

名前・肩書き軍歴と発言
ジョージ・W・ブッシュ大統領ベトナム逃れのためテキサス航空隊に親のコネで裏口入隊、成績が悪いために特別に個人講習を受けるが、コカイン所持がバレるのを恐れ脱走、給与のみ受け取る。「私は戦時大統領だ!
リチャード“ディック”チェイニー副大統領ベトナム徴兵拒否。「他に優先事項があった」と本人談。「もしイラク戦争に反対票を入れたりしたら・・・」
ドナルド・ラムズフェルド国防長官海軍飛行教官として三年勤務。戦場経験なし。「アフガニスタンはいい標的がないからイラクに爆弾を落とせ」
ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官軍隊経験なし。「イラク国民は囚人虐待事件をあまり気にしていない
ジョン・アッシュクロフト司法長官軍隊経験なし
フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ軍隊経験なし
カール・ローブ大統領上級顧問ベトナム徴兵拒否
ロナルド・レーガン元大統領(故人)第二次大戦中、入隊するも視力障害のため兵役免除。代わりに陸軍のプロパガンダ映画に出演。「爆撃隊に居た」と嘘をついたり、キューブリックの映画「博士の異常な愛情(Dr. Strangelove)」に憧れて大統領就任時に「WAR ROOMへ案内してくれ」と言うなど、現実と映画の区別がつかなかった。(source
コリン・パウエル国務長官ジャマイカ移民でブロンクス育ち。軍隊経験30年以上、ベトナム、朝鮮戦争に従軍。「金持ちの子息がベトナムを逃れるのは許せない」と自伝で告白。
下院・院内総務トム・ディレイ議員ベトナム徴兵拒否。「貧乏な少数民族の若者が金を稼ぐために軍隊を溢れさせたので、私のような愛国者が入隊することはできなかった」と語る。(source
ラッシュ・リンボー(極右タレント)軍隊経験なし。(アブグレイブ刑務所虐待事件について)「俺は連中がお楽しみしただけだといってるんだ。息抜きしただけさ
ビル・オライリー(極右タレント)軍隊経験なし。「もうイスラム世界に我々が干渉するのは止めにしよう。我々に出来ることは、連中を爆撃して徹底的に痛めつけることだ
ショーン・ハニティ(極右タレント)軍隊経験なし。「ジョージ・ブッシュの再選を神に祈りましょう
マイケル・サベージ(極右タレント)軍隊経験なし。「アメリカ国民の大部分はブッシュ大統領にアラブ世界に核爆弾を落として欲しいと願ってる。(中略)イラク戦争を、日本との戦争と同じようにして終わらせてやりたいんだ
ジョン・マケイン上院議員海軍戦闘機パイロットとしてベトナム戦争に従軍。母艦から離陸時に友軍の誤射で負傷。帰国する代わりに再度出撃し、撃墜されて5年間を捕虜として拘束された。銀星章、青銅星章、パープル・ハート勲章を叙勲。民主党大統領候補ジョン・ケリーは盟友。
アーノルド・シュワルツェネガー加州知事1965年にオーストリア陸軍入隊、脱走してボディビルディング大会に出場。優勝トロフィーを持って陸軍に戻りそのまま刑務所へ。軍事訓練を免除されボディビルダーの道に進む。戦場経験なし。(source)「どこかの国で独裁者となるか、イエスのような救世主になることを夢見ていた

2004/05/14

米国内で名物風刺漫画「Doonesbury」に議論沸騰

カナダのトロントスター紙2004/05/11付け記事より。

日本では、風刺漫画は国会で評価されることもあるが、アメリカでは神経をとがらせる人が大勢いるらしい。

アメリカで36年間続いている有名な風刺漫画「The Doonesbury」で、イラクでの戦闘で深刻に負傷した登場人物のエピソードが掲載された。その内容を巡って、米国内で論議と反発が沸き起こり、いくつかの新聞は登場人物が治療の痛みに耐えて言うセリフ「Son of a Bitch!」に問題があるとして連載を中止したという。(CBSの記事Newsdayの記事MSNBCの記事英ガーディアンの記事

現代アメリカ社会の日常風景を描いている同作品は、合衆国内の多くの新聞に掲載されているが、問題のあったエピソードは以下のようなストーリー展開である。(掲載日のリンク先で実際の漫画が参照できます)

  • フットボールのコーチから兵士になった登場人物B.D.(ブライアン・ダウリング)が、イラクでの戦闘で負傷した結果、左足を失う。(2004/04/26掲載
  • B.D.が怪我の報告のために故郷に電話すると、最初に電話で事情を聞いた友人が一言:
    ワオ!B.D.がパープルハート勲章を貰ったぞ!
    (パープル・ハート勲章は戦傷した米国軍人に授与される)(2004/04/28掲載
  • 電話に出た妻に事情を説明するB.D.:
    「何があったかよく憶えてないんだ。ファルージャでRPGにやられたらしい・・・ひどい怪我をしちまった・・・(中略)いいニュースもあるぞ。ようやく目標まで体重を減らせたよ」
    2004/04/29掲載
  • 夫から負傷を伝えられた妻は、ベッドに寝そべる息子サムにそれを伝える。以下はその会話シーン。

    妻:
    「サム、パパについて知らせることがあるの・・・パパは戦争で怪我をして、足を失くしたのよ。でも大丈夫だから心配しないで。もうすぐ帰ってくるはずよ」

    サム:
    「ママ、冗談言ってるの?」

    妻:
    「いいえ・・」

    サム:
    「やったあ!パパが帰ってくる!」

    妻:
    「・・・」

    2004/05/01掲載

漫画の作者ギャリー・トルデュー(Garry Trudeau)氏はこの連載漫画の功績により、1975年度には漫画家として初めてピューリッツア賞を受賞している。(カナダ元首相ピエール・トルデューはこの漫画家の遠縁にあたるとのこと)
作者自身による今回の騒動へのコメントは以下のとおり:
「このストーリー展開は、犠牲について、人生を完全に変えてしまう深刻な喪失などについて描いています(中略)今月(4月)だけでも、600人以上が戦闘で負傷しています。(中略)イラク駐留に賛成であろうと反対であろうと、忘れてはいけません。我々の名の下に、兵士たちが恐ろしい喪失に苦しんでいることを心に留めておくべきです。」

一方、フォックスニュースチャンネルに出演している保守系名物コメンテイター、ビル・オライリー氏の同作品へのコメントは以下のとおり:
「(作者は)熱心な左翼だ。(中略)過激な反ブッシュ連中だ」
「戦時において反対意見を述べるのは高潔なことかもしれないが、無責任な行為でもある」

(さらに熱のこもったオライリー氏の批判はスタートリビューン紙への寄稿文「Doonesbury作者は一線を越えた」で読むことができる)

ところでこの「the Doonesbury」という漫画は、イエール大学の学生新聞からスタートしたということである。

ここはひとつ、同じイエール大学出身者で、オライリー氏と同じくベトナム戦争を逃れた人物の書いた以下の記事を読んで、オライリー氏に気を静めてもらうとしよう。

私はまとめ役であって、分裂のもとではありません。(I'm a uniter, not a divider.)」

---ジョージ・W・ブッシュがUSAトゥデイ2000/11/07に寄稿したコラム「あなたが私に投票すべき理由」より


2004/05/12

ビル・モイヤーズ:「メディア、政治、検閲」

PBS(Public Broadcasting Service:公共放送サービス)のテレビ番組「NOW with Bill Moyers」のホスト、ビル・モイヤーズがAlternetに寄稿した2004/05/07付けコラムを以下に全訳掲載。(文中リンクはDeepthroatによる)



「メディア、政治、検閲」


ビル・モイヤーズ

イラク戦争はイメージ戦争でもある。今週、アメリカ国民は拷問されたイラク人囚人の写真に騒然となった。それは、先週現地の刑務所にいるアメリカ兵によって撮影されたものだった。

1週間前の金曜日、「ナイトライン」で、テッド・コッペルがイラクで死んだ駐留軍兵士の名前と顔写真を放映した。しかし彼等の顔と名前はシンクレア・ブロードキャスティンググループ所有のABC放送系列局では放送されなかった。シンクレア社はコッペル氏を「政治的主張以外の何ものでもない」と批判した。

しかし、シンクレア社自身の政治的主張はどうなのか?62もの系列局を抱える同社は合衆国内でも最大クラスのネットワークで、ワシントンにうまくロビー活動をしたおかげで、さらにネットワークを拡大できる許可を得ている。そして同社の幹部は気前のいい共和党献金者である。

9/11テロ以降、シンクレア系列局の放送に登場するタレントは、現大統領を100%支持する旨の約束を記した契約書への同意を要求されるという報告がある。同社の広報部門副社長のマーク・ハイマンは、シンクレア・ニュース・チャンネル放送網を通じて国内中に毎日放送されている番組「ザ・ポイント」内にコメンテイターとして登場する割合が2倍に増えている。ハイマン氏は、「クリントンは(女性の)スカートを追いかけるのに夢中で、テロリストを追跡できなかったのだ」などと頻繁に公開討論の場で発言している人物だ。

今年始めに、ハイマン氏はイラクに派遣され、現地での良い出来事についてのニュースを編集する役割を引き受けた。

それはもちろん、シンクレア社の独占だった。ニュース放送網ならどこでも米国憲法修正第1条が適用されることは、私が今実行しているとおり。しかし、自由に話せることと、その声が他の誰かに届けられることは別の話だ。シンクレア社はコッペル氏を検閲した。

そして、民主党全国委員会がスポット広告枠をブッシュ批判スポット広告放映のために買おうとしたところ、シンクレア系列のマジソン局(ウィスコンシン州)は枠の販売を拒否した。

シンクレア社のような、ワシントンにべったりの関係は珍しくない。クリア・チャンネル・ネットワーク---国内最大のラジオ放送網(200以上の局を所有)は1996年の規制緩和の恩恵を受けた最大の勝利者だろう。昨年、クリア・チャンネルはイラク侵攻に関して戦争賞賛集会を開催するチアリーダー的存在だった。

ルパート・マードック氏もワシントンでの勝利者の1人だ。議会と共和党管理下の連邦通信委員会は、彼が所有するニューズ・コーポレーションが法律で許可されているよりも多くの放送局を買収しているにもかかわらず、マードック氏に罪を問うことはなかった。

マードック氏は他にも、イラク戦争翼賛企業であるフォックスニュースとニューヨーク・ポスト紙を所有している。ここ1週間ほど、ニューヨーク・ポスト紙は、現地で体を張っている兵士の実像を「充分に反映していない」として、イラク人囚人の拷問写真の掲載を拒否した。

もういちど言うが、それは彼等の権利である。報道の自由とは、周知されているとおり、放送網を所有する者にのみ保障されているものである。

ポイントはそこなのだ。これらメディアジャイアントは、間違った行動をとっているとしても、権利によって擁護されている。それがシステムなのだ、ブルータスよ、そのシステム---カルテルは、大企業と政府がお互い助け合えるように効果を発揮している。

そんなことはできないはずだった。我等が政府の創始者たちは、報道と政府が団結して公的意見を表明することを快く思わなかったのだ。それゆえ、創始者たちは、憲法に権利章典を明記し、その米国憲法修正第1項によって、権力を持つ政治家と、権力に責任を課す報道の間に壁をつくったのである。初期のアメリカ国内新聞はたった三項程度で、その編集者は「嘘をつく魂を救済したい」と語った。政府は彼が州の許可証を持っていないという件で、すぐさま彼を黙らせた。

近ごろでは、巨大メディア複合企業は政府が検閲を必要とするときには、自らその役を引き受けるようになっている。だから、我々はもういちど思い知らされることになるのだ。ジャーナリズムの最高の瞬間は、ジャーナリスト達が政府と利害を共有している時にではなく、恐れることなく独立しているときにやってくる。自由な報道は、自由社会に全てを託しているのである。



2004/05/09

ディズニーVSマイケル・ムーア騒動から派生した誤解と解説

ニューヨークタイムズが2004/05/05に伝えた「ディズニーによるブッシュ批判映画配給禁止」騒動は、一部のメディアにおいて事実誤認により思わぬ方向にミスリードされているようなので、ちょっと解説してみたい。(ムーア自身もミスリードを懸念して、5月7日付けメッセージで事実関係について説明している。日本語版公式サイトにも同メッセージが掲載中

今回の騒動をめぐるミスリードとは、要約すればおよそ次のようなものである。

マイケル・ムーアは、2004年5月4日にディズニーから配給禁止の要求を知ったと言ったが、ディズニーは配給禁止を1年前に決定しており、ムーア監督自らPR目的のために今回の騒動を起こしたことを認めた。つまり、カンヌ映画祭出品直前に配給禁止騒動をひきおこし、宣伝に利用するために、ムーア監督は事実関係を隠していた


このようなミスリードを含んでいる例として、国内においても、例えば以下のようなブログ記事がある。

この両ブログが、その論拠としてリンクしているのは、英インディペンデント紙に掲載されたアンドリュー・ギャンベル記者の記事で、引用の際に両ブログ上に記述されている記事タイトルは「Moore admits Disney 'ban' was a stunt(ムーアがディズニーの配給禁止騒動を演出(stunt)と認めた)」となっている。

しかしこの、リンク時に掲載された記事見出しを鵜呑みにしてはいけない。リンク先の記事の中にそんな事実は存在しないし、同記事の実際の見出しは「Moore accused of publicity stunt over Disney 'ban'(ディズニー検閲をめぐり宣伝行為と批判されたムーア監督) 」である。つまり、マイケル・ムーアが演出(stunt)を認めたなどとは全く書かれていない。「Moore admits Disney 'ban' was a stunt」という記事見出しは事実と違うだけでなく、元記事には実在していないのである

アンドリュー・ギャンベル記者は、(悪意がないと仮定すれば)どうやら誤解に基づいてこの記事を書いているようだ。記事を読む限り、ギャンベル氏は「ムーア監督は1年前から配給禁止の報告を受けていたのに、今週になって突然ディズニーが配給禁止を決定したかのように振舞った」と思い込んでいる。例えば、記事中の第4-5パラグラフ部分では、以下のように書かれている。(強調とリンクはDeepthroatによる)


In an indignant letter to his supporters, Moore said he had learnt only on Monday that Disney had put the kibosh on distributing the film, which has been financed by the semi-independent Disney subsidiary Miramax.

But in the CNN interview he said: "Almost a year ago, after we'd started making the film, the chairman of Disney, Michael Eisner, told my agent he was upset Miramax had made the film and he will not distribute it."

翻訳:
ファンに宛てた怒りあふれる手紙の中で、ムーアは月曜日(5/4)になってはじめて、ディズニーが子会社であるミラマックスによって支援された作品の配給を阻止することを知ったと言っている。

しかしCNNのインタビューでは、ムーアはこう言っている:「1年ぐらい前、映画を撮り始めてからすぐに、ディズニーのCEOであるマイケル・アイズナーが、私のエージェントに対して、作品を支援したミラマックスに怒り、配給するつもりがないことを話した」



ファンに宛てた怒りあふれる手紙というのは、ニューヨークタイムズで第一報が報じられた際の公式サイト上の5月5日付けメッセージのことである。

そして、このメッセージをよーく読んでみれば、ギャンベル記者の解釈が間違っていることがわかる。手紙の第二パラグラフのこの部分である。(強調はDeepthroatによる)


Yesterday I was told that Disney, the studio that owns Miramax, has officially decided to prohibit our producer, Miramax, from distributing my new film, "Fahrenheit 9/11."

つまりムーアは、「昨日ディズニーが“公式に”配給を禁止したことを知らされた」と書いているのであり、非公式には配給禁止をめぐるやりとりがあったことを否定していない。(さらに手紙を読み進めれば、一年前からトラブルがあったことが言及されている

だいいち、今回のディズニーの配給禁止を最初に伝えたニューヨークタイムズの記事の中で、ムーアが1年前にディズニーから配給しない旨を「非公式に」知らされていたことはすでに言及されているのだ。(ギャンベル氏はこの記事を読んでいないのだろうか?騒動の第一報なのに・・・)同記事の該当場所は第9パラグラフである。以下に引用する。(強調はDeepthroatによる)

Mr. Moore's agent, Ari Emanuel, said Michael D. Eisner, Disney's chief executive, asked him last spring to pull out of the deal with Miramax.

翻訳:
ムーア氏のエージェントであるアリ・マニュエル氏によれば、昨春、ディズニー社CEOのマイケル・アイスナーはマニュエル氏に、ミラマックス社との関係を取りやめるように依頼していたとのこと。

そして、ギャンベル氏自身、ムーアが宣伝のために工作をしたとは断言できないことを意識して、自分の記事中でそのように書いている。それは第7パラグラフから引用した次の文章である。(強調はDeepthroatによる)


But Moore's publicity stunt, if that is what is, appears to be working.
翻訳:
しかしムーア氏の演出は、まさしくそのとおりであったとしたら、うまく作用しているようである。

さらに、ギャンベル氏の記事で引用されていたCNNのインタビューにおいても、ムーアの説明は一貫しているので、CNNの記者もムーアが(配給禁止を)いつ知ったかについては追求されていない。同インタビューから該当部分を以下に引用する。(強調はDeeptroatによる)

ゴラーニ記者:
ディズニーとのやりとりはどういうものだったのですか?

ムーア:
1年ぐらい前、映画を撮り始めてからすぐに、ディズニーのCEOであるマイケル・アイズナーが、私のエージェントに対して、作品を支援したミラマックスに怒り、---ディズニーはミラマックスを所有しているね---そして、私の作品を配給するつもりがないことを話したんだ。

ミラマックスの話では、心配はいらない、映画を撮り続けろ、金は出すという話だった。ディズニーのお金は昨年ずっと私たちの元に振り込まれたんだ。先週作品を完成させたので、来週にはカンヌ映画祭に出品するつもりだ。

今週月曜日に、ディズニーから、作品を配給するつもりがないという最終通告があった。連中は私のエージェントに、ブッシュファミリーの機嫌を損ねたくないと説明した。特にフロリダ州知事のジェブ・ブッシュの機嫌をね---なぜなら、ディズニーは税制面で優遇されていたからだ。(以下略)

ムーアに配給禁止をいつ知ったかを聞くかわりに、CNN記者が質問したのは以下のとおりである。(いかにもCNNらしい質問である)(強調はDeepthroatによる)


ゴラーニ記者:
ディズニー側から見れば、マイケル・アイズナー氏が言うように、“選挙前に党派寄りの作品に巻き込まれたくない”というわけで、公平に見て、もし最終損益に影響する可能性があれば、配給したくないと表明する権利があるのでは

この質問に対するムーアの回答は以下のとおり。


ムーア:
メディア企業は国民の信頼の上に築かれている。その信頼は、全ての意見が耳を傾けられることを許されていることにある。私たちは自由で開かれた社会に生きているのだから、体制に反対する意見であっても口を封じられたり、沈黙させられたりされてはいけない。ディズニーはその信頼を傷つけているんです

まさしくこれこそ、ディズニー騒動で議論されるべきポイントである。つまり、メディア企業は企業収益と公益が葛藤した場合に、どちらを優先すべきか?

いうまでもなく、メディア業界であろうとなかろうと、公益性を軽視した企業活動は認められるべきではない。企業収益のために人命を軽視した自動車企業の腐敗を今まさに目の当たりにしている日本の人々には、すぐにご理解いただけると思う。

念のために言っておくと、私自身(Deepthroat)はマイケル・ムーアが今回の騒動を宣伝に利用するためにマスコミにネタをリークしたという見方を、完全に否定するつもりはない。ただムーア氏が、手の込んだ演出を意図して事実関係を捻じ曲げているわけではないことを強調したいのである。また、スキャンダルや騒動をプロモーションに利用することが常に不道徳な行為であるとも思えない。例えば、ポール・オニールやリチャード・クラークや、ボブ・ウッドワードの著作が世に知られなければ、政府によって隠蔽された重大な事実を、アメリカ国民は永遠に知らされなかったかもしれない。全ては問題の焦点と公益性次第であると思う。

実際、ディズニーとマイケル・ムーアのモメゴトが公開されることによって、(ムーアが自身の作品と同じくらい国民に知らせたかった)以下の事実がスポットを浴びる機会が生まれたのである。(情報源はアメリカンプログレスの記事Fairness & Accuracy In Reportingより)

  • フロリダ州知事ジェブ・ブッシュは自身が理事を務める州公務員年金基金を通して約730万ドル分のディズニー株を保有している。前回のディズニー株主総会において、フロリダ州年金基金の役員とジェブ・ブッシュは株主としてアイズナーCEOの続投に反対しており、アイズナーは自身の支配が揺らぐことを懸念している。
  • アイズナーはブッシュ家の選挙キャンペーンに個人献金している有力支持者のひとりである。
  • 「あらゆる政治的意向を持つファミリーの要求を満たす」というディズニーの主張に反して、同社のメディアネットワークは極端に保守系に傾倒している。ディズニー系トークラジオ局はラッシュ・リンボー、ショーン・ハニティ、ビル・オライリー、マット・ドラッジなど極右タレントがレギュラーを務めている。またディズニー所有のファミリーチャンネルは、パット・ロバートソンの聖書原理主義番組700クラブ」を放送している。

ところで、今回のミスリードの元となった「Moore admits Disney 'ban' was a stunt」という間違った見出しを、現在でも堂々と掲載している大手メディアのひとつにニュージーランド・ヘラルド紙がある。その親会社はAPN News & Media 社。オーストラリア、ニュージランドをテリトリーとする大手メディア企業で、同社のオーストラリアでのラジオ部門であるthe Australian Radio Network は、アメリカで地方ラジオ局を買収しまくり、(ブッシュ批判の件で)ディクシー・チックスをボイコットするキャンペーンを仕掛けた超保守系企業のクリアチャンネル関連企業である。

ニュージーランド・ヘラルド紙が仕事仲間のために読者をミスリードしているなどと言うつもりはないが、奇妙な偶然はあるものだ。

2004/05/08

ジョン・ケリー、芸能界から支持者総動員

フォックスニュース2004/05/06付け記事より。

ジョン・ケリーが大統領選キャンペーンで、リベラル系芸能人を総動員する予定とのこと。以下に予定を抜粋。

  • バーブラ・ストライザンドニール・ダイアモンドが6月7日にジョン・ケリー支援集会でミニコンサートを開催。ストライザンドは2000年にアル・ゴア支持のコンサートでも活躍している。
  • 6月10日には、ニューヨークのラジオシティミュージックホールで、ケリー支持者向けイベントが開催される。ベティ・ミドラー、ジョン・メレンキャンプ、シェリル・クロウ、ロビン・ウィリアムス、ウーピー・ゴールドバーグ、スティービー・ワンダーらが出演予定。同じ時期にソングライター殿堂ディナーも開催されることから、アル・グリーン、ホール&オーツ、マッチボックス20らも加わり、特別コンサートとしてイーグルス登場も噂されている。

ところで、極右メディアのフォックスニュースがわざわざこうした「ケリー支持芸能人」ニュースを掲載している意味は・・・考えないほうがよいかもしれない。

2004/05/07

ラッシュ・リンボー、虐待事件に迷コメント

Media Matters for Americaの記事より。

アブグレイブ刑務所の虐待事件が全世界に波紋を広げる中で、アメリカ国内の保守層に圧倒的人気を誇るパーソナリティ、ラッシュ・リンボーが自身のラジオショーでまたまた奇妙な発言。以下にラジオ番組「Rush Limbaugh Show」の5月4日のトークをMedia Matters for Americaサイトの記録から引用。(録音あり:MP3ファイル


リスナー:
「裸の囚人を積み上げてるのは、まるで大学のクラブの悪ふざけみたいな・・・」

リンボー:
「全くそのとおり!それこそ俺の言いたいことなんだよ。スカルアンドボーンズの入会儀式と変わらないことなのに、こんなことで人々の人生を台無しにして、米軍の努力の邪魔をして、ちょっと楽しんだというだけで、兵士たちをこき下ろそうとしてるんだ。兵隊たちは毎日狙撃されてるんだぞ。俺は連中がお楽しみしただけだといってるんだ。息抜きしただけさ。鬱憤を晴らさなきゃいけないこともあるだろ?」

その前日には、リンボー氏はこんなことも言っているという。同じくMedia Matters for Americaの記録より。


「ところで、よーく見てみなよ、(虐待)写真を。俺だけの考えかもしれないが、こんなのはマドンナとかブリトニー・スピアーズとかがステージでやってることと同じ程度のことだよ。こんなのは、米教育協会(NEA)が承認すればいいんだよ。だって、NEA承認のリンカーン・センターのステージでも“Sex in the City”でも見れる類のもんだよ。」

ところでこの米メディア観察のための新サイト、Media Matters for Americaを主宰するのは、ベストセラー本「ネオコンの陰謀:アメリカ右翼のメディア操作」で有名になった元共和党工作員のデビッド・ブロック氏である。共和党によるクリントンバッシング工作の秘密を暴露した結果、共和党からも民主党からも嫌われることになったが、プロによるメディア操作解説は特筆ものである。昨日はアルフランケンのラジオショーにも出演して、愉快なトークを展開していた。

2004/04/24

多くのアメリカ人が「イラクに大量破壊兵器はあった」と今でも信じている

メリーランド大学の研究プロジェクトProgram on International Policy Attitudesの最新調査によると、現在においても、アメリカ人の大部分が、イラクに大量破壊兵器があると信じており、イラクとアルカイダが協力関係にあったと考えていることが判明したという。

調査は3/16-22の期間に合衆国全州から選出された1,311人を回答者として実施された。調査結果によると:

  • 57%のアメリカ人が「戦争前にフセインはアルカイダを間接的・直接的にサポートしていた」と信じている。その内、20%のアメリカ人は「イラクは911テロに直接関係している」と信じている。
  • 45%のアメリカ人が「イラクがアルカイダをサポートしていた証拠が見つかっている」と信じている。
  • 60%のアメリカ人が「イラクは大量破壊兵器を保有していたか、もしくは大規模な開発を計画していた」と信じている。また、そう回答した人のうち、72%がブッシュ支持者、ケリー支持者は23%。
  • 34%のアメリカ人が「イラクは大量破壊兵器を所有していないと専門家が証言している」と理解している。また、そう回答した人のうち、23%がブッシュ支持者、74%がケリー支持者。

あらためて暗い気分になった。政府が意図的に国民をミスリードし、大企業がメディアを独占する社会にあっては、知識の共有はなんと困難であることか。

「アホでマヌケな・・・」と他国民を嘲笑できるほど、日本人も洗練されているわけではない。読売新聞に言わせれば、小泉首相の実行力について「看板倒れで、あまり実績を上げていない」という回答が57%ある一方で小泉首相を評価する日本人は63%もいて、1年前より増加しているという。(サンプル数や調査の詳細に関する記述がないのはどういうわけだろう?)

例えば、「イラクのサマワでは駐留軍兵士が劣化ウラン弾で被爆している」「福田官房長官はサマワで劣化ウラン弾が使われたことを認識している」という報道を、どれだけの国民が理解しているかを考えると、不安になってしまう。

2004/04/21

CNNからアルジャジーラへ:「なぜ市民の死を報道するの?」

Fairness & Accuracy In Reportingの2004/04/15の記事より。まずは以下に記事を抜粋。



カタールに本拠を置くアルジャジーラは、イラク国内の市民の死を伝える唯一のメディアとして注目されているが、2004/04/12にCNNのアンカー、ダリン・ケイガンが、アルジャジーラのチーフ・エディター、アーマッド・アル・シェイクにインタビューした際---ファルージャの実態をレポートする数少ない機会---ダリンはその機会を「ファルージャで一般市民が虐殺されたという報道は事実ではないのでは?」とアルジャジーラを批判することに終始した。

アル・ジャジーラは米国政府の強い批判にさらされている。米国政府の報告では、「イラクでの犠牲者の95%は軍隊経験のある成人男性」(AP通信2004/04/12)としている。他にも政府関係者の発言を引用すると:


「我々は、いくつかの報道機関は真実を伝えていないと信ずる根拠がある。」(CPA:米英占領当局の報道官ダン・セノアの発言:アトランタジャーナル2004/04/14)

「あれは実際には報道ではないのです」上級米軍報道官マーク・カミットは、アル・ジャジーラを観ているイラク人たちにこのように提案した:「チャンネルを変えて、正規の、公式な、正直な報道をしているテレビ局を観てください。米軍がイラクの女性や子供を殺していると報道する機関は、正規の報道ではありません。あれはプロパガンダで、ウソです。」(ニューヨークタイムズ2004/04/14)


CNNの「Wolf Blitzer Reports」のレポーターとして、ケーガンはアル・シェイクへのインタビューに際して、上述したような米軍関係者の批判に対する意見を求めるという形でスタートし、アルジャジーラの報道する写真やレポートは、問題解決に貢献せず、フラストレーションや怒りを駆り立てるだけではないかと批判。アル・シェイク氏が、アルジャジーラの報道内容が正確であり、配信された映像はイラクの国内で何が起こっているかを反映したものであると説明すると、ケイガンは以下のように応酬した:

「でも、イラク市民の死亡者数は、単純に、米軍によって殺されたかもしれない市民の犠牲者数というより、ゲリラ兵が---ファルージャで問題を起こしている人たちが---市民に紛れ込んでいて、結果としてより多くの市民が殺されることになったという事情があるわけで、イラクのゲリラ兵が米軍の対応に並行して行っていることのほうが重大なのではありませんか?

CNNの論拠---イラクのゲリラ兵が米軍の対応を誘発していることは、イラク市民の死よりも重大なことである---というのは驚きだ。特に米軍関係者が、イラク市民の犠牲を否定し、米軍によって殺された女性や子供の死体のビデオを証拠とみなす必要はないといっている状況にあっては。

米政府関係者が証言する内容とおおいに異なる事実を報道をしているのは、アルジャジーラだけではない。米国人ジャーナリストでファルージャに滞在するラウル・マハジャン氏によると、少なくとも600人のイラク市民がファルージャで殺され、その内200人は女性、100人は子供で、成人男性のほとんどは非武装の市民だっという。マハジャン氏は、「18歳ぐらいの若い女性が、頭を撃ちぬかれる場面」を、病院では「大量の皮下出血をしている少年」を目撃したと報告している。「停戦中」にもかかわらず、アメリカ兵は、砲撃と狙撃で攻撃を続け、病院も標的にしていたという。狙撃兵の行動については、米国人ジャーナリストのダール・ジャメイル氏も同様の報告をしている:「米国の海兵隊は市民に対して無差別に射撃を続け、明らかに救急車と判別できる車両まで攻撃したと、ファルージャ住民は話していた」

何百人ものイラク市民が米軍によって虐殺されているという情報が現地から報告されている状況にあって、CNNがやるべきことは、虐殺の事実の裏づけをとるためにアル・ジャジーラの映像を検証すべきであり、映像を隠蔽しなかったということでアル・ジャジーラの編集者を困らせている場合ではない。(以下略)



CNNの「女子アナ」ケーガン嬢が「重要でない」と言及している映像は、例えば以下のような、米国マスメディアが国民に観て欲しくない映像のことかもしれない。

ファルージャ市民の死体

ファルージャ市民の死体
アルジャジーラ


故郷に帰る兵士たち

故郷に帰る兵士たち(オリジナル

2004/04/23追加:上記の帰郷する米軍兵の棺の写真を撮影したMaytag Aircraft社輸送スタッフのTami Silicioさんは、同僚で夫のDavid Landryさんと共に、シアトルタイムズに写真が掲載された直後に解雇された

2004/04/02

マクレラン報道官のホンネ

大統領報道官は割りに合わない職業である。愚かな大統領の窓口になる人物は、自身も愚かな人間を演じなければならない。

ニューヨークタイムズ紙によると、威圧的で、無愛想で、福田官房長官に似た存在感のアリ・フライシャー前大統領報道官は「タイガー」で、マクレラン報道官は「テディベア」と比喩されている。実際、マクレラン報道官は、ソフトな話し振りで笑顔も多く、若い(35歳)とあって、就任当初はマスコミ業界でも評判が良かったようだ。

ニューヨーク出身でワシントンでのキャリアが長かった前任者と違い、テキサス州オースチン出身のマクレラン報道官は、テキサス州知事時代からブッシュ担当の報道官としてメディアにウソとスピンを提供している優秀な人物である。兄のドクター・マーク・マクレラン氏は米国食品医薬品局の理事であり、母親のキャロルはかつてオースティンの市長を務めていたというから、お金持ちなのだろう。おもしろいことに、マクレラン報道官の父親は「リンドン・ジョンソン副大統領がJFK暗殺の黒幕である」と主張する著作「Blood, Money & Power:How L.B.J. Killed J.F.K.」で最近有名になった弁護士、バー・マクレラン氏である。

就任当初こそ快調にマスコミを誤魔化してきたマクレラン報道官だが、「マザコンのおぼっちゃま」という育ちの良さのせいか、最近ではホワイトハウスの圧倒的なウソの量と速度に、マクレラン報道官のウソは追いついていないようにみえる。実際、「シンプル・スコティ(Simple Scottie:単純なスコット君)」と揶揄されるほど、ウソがヘタなので、報道官が記者の前に出るたびに、より一層「ホワイトハウスはウソをついている」という印象を与えてしまっている。まあ、実際そのとおりなのだが。

マクレラン報道官のホンネは、2004年3月9日のホワイトハウスブリーフィングに伺える。報道官の巧みなスピンを味わいながら以下に引用しておこう。(参照元

ラッセル・モキバー記者:
スコット、2つ質問があるんだ。最初のは、あなたの前任者のアリ・フライシャーのことだけど。(ワシントンの新聞)ロール・コール紙に記事が・・・

スコット・マクレラン報道官:
彼はいい人物だよ。彼から学んだことはたくさんある。

モキバー記者:
ええと、今週のロール・コール紙の記事で、フライシャーがコンサルティング会社をK通りに開設したということで、業務は企業向けに政府の政策窓口を案内することだそうで・・・

マクレラン:
私はまた、彼の書いたメディア関連の著作のことを質問されるかと思ったよ。

モキバー記者:
それで質問だけど、記事によれば、フライシャーは顧客企業に毎月3万ドル請求して、しかも2年契約を要求してるそうだ。思うに、あなたもここから逃げ出して数ブロック先のフライシャーの会社に稼ぎに行きたい誘惑にかられたことがあるんじゃないかと思うんだが?

マクレラン:
私がここから逃げ出したくなったことがあるかって?ラッセル、そんなこと毎日考えてるさ!(笑)でも今のところはそんな気はないよ。

そろそろ真実を語る時期かもしれませんな、スコティ。

2004/03/09

ブレア首相に女性スキャンダル?

オーストラリア/サン・ヘラルド紙の2004/03/07の記事より。

国連での盗聴事実の発覚元国連査察官ブリクスからの批判など、数々の批判が連発するこの時期にあっても、まったく辞任の気配がない厚顔なブレア首相に、英タブロイド紙記者たちが、お得意のスキャンダル攻撃を開始している。

ブレアはオレの彼女とイイ関係にあったんだ」とイギリスのタブロイド紙に吹聴してまわっているのは、ブレア夫妻の天敵と呼ばれる「詐欺師」ピーター・フォスター氏である。このオーストラリア人は、ブレアの妻シェリーのマンション購入をめぐるトラブル「シェリーゲート事件」の中心人物であり、シェリーの女友達でファッションアドバイザー、キャロル・キャプリンの元彼である。そしてこのキャロルという女性こそ、ブレアと「親密な」関係があったと暴露されている当人だ。

「キャロルはシェリーよりもはるかにブレアへの影響力がある。なにしろブレアの下着まで選んでるんだ」と下世話な証言をするフォスター氏は、「一人ヘッドラインメーカー」の肩書きどおり、自身の著作本「A Question Of Deceit」のプロモーションのために世間をペテンにかけているという観測も広がっている。しかし今回の暴露内容には(もし事実なら)ブレア政権を揺るがす重要な情報も含まれている。

2002年4月、米大統領ジョージ・W・ブッシュの牧場での会談から帰国したブレア首相は、ロンドンに到着するとすぐにキャプリン嬢に電話して、会談内容を漏らしていたとフォスター氏は語っている。「ブレアが彼女に喋ったのは、イラク戦争は避けられない状況なので、数ヶ月以内に支持をとりつけなければならないということだ」

ブッシュ政権のプードルとしてのポジションを保持するため、新たにテロ対策のための先制攻撃を正当化する法制づくりを宣言(ブレア・ドクトリン宣言?)したり、英国が誇る特殊部隊SASの大幅増員(SAS史上初のレベル) を決定したりと、派手な活躍の割には以前より痩せ衰えて見えるトニー・ブレアは、オーストラリアからの意外な伏兵に腹を立てて、あらたな報道規制政策を打ち出すかもしれない。

2004/03/03

USドル紙幣とユーロ紙幣に無線ICタグ導入開始?

プロパガンダマトリックス2004/03/01の記事より。

バーコードに代わる流通管理技術として注目されているRFIDタグ(無線タグ)について、ヨーロッパではユーロ紙幣にこのIDチップを埋め込み、偽造防止に活用するというプロジェクトが計画されているということだったが、せっかちな政府担当者はすでにIDチップ埋め込み済みユーロ紙幣を試験流通させているようだ。

テロリストを追跡するかわりに、国民を監視することに異常な情熱を燃やしているアメリカ合衆国においても、ドル紙幣の新札にチップが埋め込まれているというタレコミが公開されている。

米国でIDチップ埋め込み紙幣が流通すれば、さまざまなルートを経由した紙幣が、最終的にホワイトハウスに集まる様子を観察できる政府当局者は、とてつもない権力を手にするだろう。

2004/02/16

黙殺されたキャサリン・ガン事件:米英情報部はイラク戦争開始前に国連を盗聴していた

私はただ、良心に従って行動しただけのことです」裁判に際して、その女性は自らの嫌疑に答えた。

キャサリン・ガン、29歳。職業:イギリス政府通信本部(GCHQ)中国語(北京語)通訳スペシャリスト。英国情報部員として、母国イギリスの安全を脅かす危険をいち早く察知することが自身の使命であると信じている誇り高き女性である。

イラクへの武力行使をめぐる国連での討議を世界が見守っていた2003年3月。彼女は、多くの英国情報部員がそうであるように、ブレア政権が進める米国追随政策と、偽りの情報に基づくイラクへの武力行使を危険視していた。戦争が開始されれば、英国軍兵士や無実のイラク市民が犠牲になることは明らかだったからだ。

そこで、キャサリン・ガンは、自分の仕事先で入手した極秘電子メールを英新聞記者に暴露し、米英政府の汚いやり口を告発したのである英オブザーバー紙(ガーディアン姉妹紙)2003年3月2日付け記事が第一報で伝えたその告発内容は、国連に参加する全ての国を驚愕させるに充分なものだった。以下はその記事の概要である。

米国の諜報機関NSA(National Security Agency 国家安全保障局)の地方対象局担当チーフ、フランク・コーザは、イギリス情報部(MI6)に、国連安全保障理事会でイラクへの武力行使決議に関わる各国代表オフィスの盗聴を依頼していたことが判明した。

国連イラク査察団代表ハンズ・ブリクスがイラクの兵器査察について暫定報告をした直後、NSAのフランク・コーザが英国情報部に宛てた2003年1月31日付け電子メールによると、特に盗聴のターゲットとして指定されていたのはアンゴラ、カメルーン、チリ、メキシコ、ギニア、パキスタンの国連代表団の通信内容。この6カ国は米英(イラク攻撃派)と独仏露(査察継続派)の間で態度を決めかねている「中間派」であり、米国政府はその動向をリアルタイムに知りたがっていたのだ。(盗聴は国家安全保障問題担当のコンドリーザ・ライス大統領補佐官の指示によるものと見られている


オブザーバー紙の告発記事は、世紀のスクープであるにも関わらず、米国マスメディアでは一切無視され、広範に伝えられることも議論されることもなかった。(日本では日経が告発記事に触れるにとどまった)結局イラク戦争は開始され、1万人を超えるイラク市民が米英軍の攻撃の犠牲になり、現在も混乱と被害は続いている。

情報漏えい容疑で逮捕されたキャサリン・ガンは、英国政府の訴えにより2年間の獄中生活を迎えようとしているが、彼女の無罪放免を求める活動英国本国でも活性化しつつある。「キャサリン・ガンを憂慮するアメリカ人の会」の活動には、民主党大統領候補デニス・クシニッチの他、ハリウッドからもダニー・グローバー、ショーン・ペン、ボニー・レイット、マーティン・シーンが参加するなど、話題性も豊富だ。しかし、「大量破壊兵器」が誇張された脅威であると判明した現在に至っても、日米の新聞・TVは(映画欄も含めて)キャサリン・ガン事件をほとんど報道していない

ニクソン大統領が辞任した時代を考えると、米マスメディアは政府に対して随分寛容になったものである。不思議なことに、彼等は自分の首を絞めることに関しては熱心なのだ

日本のマスメディアが、(一部の例外を除いて)キャサリン・ガン事件についてほとんど報道していない理由は謎である。石破防衛庁長官の「報道規制宣言」に対し、イラクでの自衛隊撮影イベントに殺到、行列を作るなど「報道の自由」について特殊なセンスを披露している人たちなので、「小泉首相のお友達による国連盗聴」ネタで福田官房長官の独演会の邪魔をすると、記者クラブの雰囲気が険悪になることを恐れているのだろうが、「国民の知る権利」を代弁したがる機関にしては、知らせる内容そのものについて割く時間とスペースが少ないように見える。気のせいだろうか?

2004/02/13

マイケルジャクソン、負債7000万ドルで破産確実

英インディペンデント紙2004/02/13の記事より。

マイケル・ジャクソンはバンク・オブ・アメリカから借り入れている7,000万ドルの借金の返済期限が来週火曜日に迫っており、破産確実と見られている。こんな状態にもかかわらず、マイケル本人は今も、ネバーランドを家出したまま、ビバリーヒルズの家賃7万ドルの貸家に住んで、負債を増やし続けているという。

マイケル・ジャクソン裁判は、児童虐待容疑に加えて黒人分離主義グループ「Nation of Islam」がマイケルの活動に関係しているという新疑惑が浮上し、投資家はマイケル救済から撤退を始めているとのこと。

マイケルの財産管理担当者は返済期日を2005年12月まで延長してもらうよう、交渉を継続している。しかしいずれにしろ、借金の担保である(マイケル所有の)ビートルズの250曲分のオリジナル音源の版権が市場に放出される日は近い

メディアと政治にトコトン利用され、捨てられるマイケル。彼のネバーランドは結局ブラウン管の中にしかなかったのだ。愚かな眠りから醒めて、もっとカッコ悪くて味のある現実の人生を見つけて欲しいと思う。

2004/02/10

米マスメディアがハワード・ディーン候補を排除したい理由

アイオワ州民主党大会で3位に終わったハワード・ディーン民主党大統領候補は3,500人の熱狂するサポーターの前で叫んだ

「アイオワ州で3位に終わると1年前に予告されたとしても、私はけっして諦めないだろう!」

この「怒れる反ブッシュ大統領候補」の人気を抑えるために、米テレビ局各社は一斉に「絶叫スピーチ」ビデオをトーク番組やニュースで流しまくり、記者、コメンテイターやトークショーホストは「怒りっぽい田舎者」「民主党のアイスホッケーコーチ」「大統領にふさわしくない」としてディーン候補を徹底的に笑いものにしてみせた。スピーチ後の4日間に、主要テレビ局だけで633回もこの「絶叫」を取り上げたのである。

そして、その繰り返し放映されたビデオは巧みに選択・編集された作品だった。ハワード・ディーンの叫びだけが増幅されたビデオを、各テレビ局は意図的に使用していたのである。実際のスピーチ現場では、サポーターの声援でディーンの叫びなど聞こえなくなるほどだったのだ。もしこの「本物バージョン」が放送されたなら、ディーン人気に視聴者は心動かされ、その後の民主党候補者選びに大きな影響を与えたかもしれないのである。(それこそ米マスメディアが最も恐れていることだ)

ディーン夫妻のインタビュー番組を主催したABC放送のダイアン・ソウヤーは、インタビュー中にこのカラクリを発見し、「ディーン“叫び”の真相:テレビで放送されなかった現実」として新たに放送し、各テレビ局に事実関係を糾すとともに、(少々遅すぎたのだが)ハワード・ディーン氏の名誉回復に努めたのである。

ここまでの例を見るまでもなく、米マスメディアはディーン候補を必死につぶそうとしている。2003年度においてディーン候補を取り上げたテレビ番組の内、好意的に扱ったものはわずか49%。つまりディーン氏はテレビに出る度に2回に1回づつ番組内で批判されているわけだ。こうしたメディア側の努力がアイオワ州でのディーン人気下落を決定づけたのはいうまでもない。

ディーン候補はスピーチの度に、巨大メディアの放送網独占、横並び報道を痛烈に批判している。実際、5大メディア企業(ヴァイアコム、ディズニー、AOLタイムワーナー、ニューズコーポレーション、NBC/GE)は米国内プライムタイム放送の70%を独占し、ケーブル放送、ラジオ、出版、映画、音楽、インターネットにまで支配の手を伸ばしている。この「メディア独占問題」はメディア企業がアメリカ国民に最も気づいて欲しくない事実であり、ディーン候補の意見に耳を傾ける視聴者が増えるのは困るわけである。(ついでに、日本国内でもディーン候補に関する報道が消えたことに注目してほしい)

もっとも、2004年選挙---ブッシュ政権、イラク占領体制、歴史的財政赤字の是非が問われる重要な選挙---では、マスメディアは候補者に関する報道を控えたいようだ。2003年度における選挙関連報道は、2000年選挙前の同時期に比較して32%減少している。選挙報道を減少させて、代わりにテレビで流れている情報は?新生ジャクソンズ(兄妹)を利用したゴミ報道である。

イギリスではBBC放送が政府と闘っていて、国民の半数以上が首相よりもBBCの報道を支持している。同じ時にアメリカでは、およそ9,200万人が、フットボールとジャネット・ジャクソンの粋な演出に熱狂している。(史上最大の視聴者数らしい

しかもブッシュ政権は、9/11同時多発テロの調査を放り出して、ダンサーの「衣装の不具合」について調査するという。これにはハワード・ディーン候補も怒りを通り越して呆れている

米国が高らかに謳う「(借り物の)自由」のうち、少なくとも「報道(表現)の自由」に関しては、レンタル期間を過ぎたに違いない。母国のイギリスに返却すべき時期だろう。

2004/01/22

スーパーボウル広告でブッシュ批判は禁止された

MediaChannel.org2004/01/22の記事より。

反ブッシュ団体「MoveOn.org」が主催する「Bush in 30 seconds」の大賞受賞広告「Child's Pay」がさっそく検閲を受けたようだ。100万人以上のアメリカ人視聴者が閲覧するというわれる、米国でもっとも高額なテレビCM枠、CBSのスーパーボウルのテレビCMに広告放映を依頼したところ、「局のポリシーに反する」として拒絶されたとのこと。CBSの言う「ポリシー」とは、つまり、「ホワイトハウス批判は一切許さない」という主義のことであろうか。

MoveOn.org主催者にとって、メディアに反ブッシュ広告を拒否されることは慣れっこに違いない。2003年2月、彼らは米国の4つのビルボードへ反戦広告の掲載を申し込んだが、ビルボード広告を扱うバイアコムアウトドア社は広告掲載を拒否している。同社は巨大メディア企業バイアコムの屋外広告代理店で、CBSの親会社だ。

2003年3月には、MTV---これもバイアコムのメディアである---がイラク戦争反対の広告放映の申し出を拒否した。その代わりに、MTVは若者向けの米国陸軍入隊を促す政府広報を日常的に配信している。イラク戦争に志願すればビヨンセに会えるとでも思わせたいのだろうか?

スーパーボウル広告を勝ち取った企業のひとつであるAOLは、450人の従業員よりも広告費用を優先させた。反戦広告が放映されたとして、一体誰が職を失うというのか?人間の尊厳を差し置いて、マスメディア企業は一体何を優先させようとしているのだろう?

2004/01/02

M・ジャクソン逮捕で利益を得る人々

英ガーディアンの2004/01/01記事より。児童虐待で逮捕された直後のマイケル・ジャクソン直撃インタビューを行ったCBS人気番組「60ミニッツ」で、CBSからマイケル・ジャクソンに支払われた出演料は100万ドル。もちろんCBS側は「犯罪者を買った」ことについて否定している。しかしいずれにしろ、この「売り上げ」は直接マイケルの手に渡されるわけではないようだ。

ロサンゼルスのマスメディアは、この整形マニアで借金王の報道に夢中になっているが、記者以外にも、一連の逮捕劇とこれから続く法廷闘争であぶく銭を稼ぐ人たちがいる。弁護士のことではない。PRとマーケティング専門企業、Tellem Worldwide社だ。

AP通信2003/12/17の記事によると、LAでハリウッド映画会社(ワーナー、ユニバーサルスタジオなど)の広報を担当するTellem Worldwide社を指名したのはマイケル本人ではない。なんとマイケル逮捕を指揮した検察官である

Tellem Worldwide社は、指名を受けたことについて、検察管に対しては「無料奉仕」と説明している。それはそうだ。今回のマイケル逮捕から捜査の状況報告、テレビ報道、インタビュー、取材の一切を仕切るこのPR会社は、マイケルの法廷闘争が長くなればそれだけ多くの金をメディアから稼ぎだすことができる。

検察官がPR企業を指名するのは、LAにおいても前代未聞とのことだ。しかしこの土地では、つい先日もナチス支持者のオーストリア人が州知事として就任している。この「ガバネイター(governator)」の雇い主は、LAに大量の電気料金を不正に請求している電力会社エンロンのCEOでブッシュのテキサス一番のお友達、ケン・レイである。

マイケルの寝相が悪いおかげで、シュワルツネガー知事の馬鹿げた政策が注目を浴びる可能性は低くなってしまった。ハスタラビスタ、ベイビ。

2003/12/30

臭い報道大賞2003(最終版)

「P.U.-Litzer Prizes for 2003(P.U.=臭い)」受賞概要の最終版。(参照:第1弾第2弾第3弾

「ドナルドに甘いで賞」---レスリー・スタール(CBS)ピーター・ジェニングス(ABC)その他

「サダム・フセイン拘束のニュースが飛び込んだとき、レスリーとジェニングスはそれぞれドナルド・ラムズフェルド米国防長官にインタビューをした。彼らは他社の記者仲間と歩調をあわせるように、レーガン政権当時の米国政府代理人ラムズフェルドとフセインとの、1983年バグダッドでの親密な会見---7年間にわたり独裁者の最悪の残虐行為を支援することになるアメリカ軍部とフセインの強い協力関係のきっかけとなった会見について、当事者に聞く事が出来なかった。

「軍人グルーピー賞」---ケイティ・クーリック(NBCトゥデイショウ)

「“ところで、トンプソン少佐・・・”4月3日の、殺戮が展開されている最中にクーリック嬢はこう言った:“こんな早い時間にお話いただきありがとうございました。ねえ、ひとつ知らせておきたいの。ネイビー・シールズってカッコいいと思うわ♥”」


「崇高で好意的な占領賞」---トーマス・フリードマン(ニューヨークタイムズのコラムニスト)

「11月30日のニューヨークタイムズのコラムで、トーマス・フリードマンは饒舌に語った:“この(イラクでの)戦争はマーシャル計画以来の最も進歩的で革命的な民主主義プロジェクトだ”。さらに彼は戦争について、“アメリカ合衆国の、外国に対して企図された最も崇高な行為のひとつ”と声を上げた。フリードマンはイラクに眠る1120億バレルの石油---もしくは崇高な一大事業をもたらす欺瞞の数々については言及していない。(参照:マーシャル計画)」

トーマス・フリードマンといえば、グローバリズムブームのきっかけとなった「レクサスとオリーブの木」の著者。彼を優秀なジャーナリストと誤解する人が多いが、例えば2003/9/18付けニューヨークタイムズでの彼のコラムの書き出しは、こんな感じである:
「我が国とフランスとの戦争について」

「アメリカ人にとって、決断の時がやってきた。もはやフランスは単に迷惑な仲間というだけでなく、嫉妬深いライバルでもない。フランスは米国の敵となったのだ。」

トーマス・フリードマンという人物のレベルが伺える興味深いリードだ。この狂ったコラムニストに対して、英BBCで有名なアメリカ人ジャーナリストのグレッグパラスト氏は「ニューヨークの悲劇:フレンチフライ化したフリードマン」という酷評を書いている。

臭い報道大賞2003(3)---CNN

「P.U.-Litzer Prizes for 2003(P.U.=臭い)」受賞概要の第3弾。(参照:第1弾第2弾

「ペンタゴンに確認済みで賞」---CNN(ケーブルニュースネットワーク)

「イラク侵攻が始まって1ヶ月経過した時、CNN役員のイーサン・ジョーダンは、”ネットワークの信頼確保のため”米軍関係者に番組内容について放送可能かどうかの選別を許可したことを認めた。“戦争が始まる前に、私はペンタゴンに何度も直接訪問して、幹部と会ってこう話したんだ--CNNでは戦争に関する報道内容についてオンエアできるかどうかを軍部に確認するのが通例だってね---それで私たちは全面的に許可されたんだ。これは重要なことだよ”」


「リベラルメディアも保守化する時で賞」---ABCニュース

ABC記者のジョン・ストセルといえば、彼自身の“企業が欲張ることはいいことだ”的哲学の代弁者として、一方的で不正確な報道をすることで有名になった人物だ。彼は、自身の放送業務について、“自由市場の素晴らしさを伝えること”と誇り、企業系圧力団体から指導料金を受け取って、連邦議会で消費者保護法案に反対する発言までしている。今年の5月、ストセルがABCの番組「20/20」の共同プロデューサーに昇進したとき、内部関係者はテレビガイド誌でこう話している:“保守的な時代だからね。放送ネットワークは時代に合った人物が欲しいんだ”」

2003/12/28

臭い報道大賞2003(2)---トム・ブローコウ、フォックスニュース

「P.U.-Litzer Prizes for 2003(P.U.=臭い)」受賞概要の第2弾。(参照:第1弾

「イラクの自由化賞」---トム・ブローコウ(NBC)

爆撃機がイラクに向かって飛び立ったイラク戦争開戦日に、軍事情報分析家とのインタビューの最中、NBCのアンカー、トム・ブローコウはこう宣言している:「マクギン司令官、私たちがやりたくないことのひとつはイラクのインフラ破壊でしょう。なにしろ2,3日後には私たちがあの土地の所有者になるんですからね

「観れば観るほど、無知になるで賞」---フォックス・ニュース・チャンネル(FNC)

メリーランド大学の研究によると、アメリカ国内で民間テレビによってニュースを知る人の大半が、イラク戦争に関する3つの間違った情報(大量破壊兵器はイラクで発見済み/アルカイダとイラクの協力関係を示す証拠が発見されている/アメリカのイラク侵攻は全世界的に承認されている)のうち少なくともひとつを事実と誤解しているという。特にフォックスニュースチャンネル(FNC)の視聴者では誤解の傾向が強く、約80%の視聴者が上記のような誤解をしているとのこと。(Alternetの関連記事


フォックスニュースチャンネルといえば戦争翼賛報道。ビル・オライリー他ウルトラ右派出演者がウソを垂れ流し、国内問題は「全てクリントン時代の失策」と断定、ブッシュ政権の失策については一切言及しない。同社会長は米共和党の強力なサポーターで、メディア王のルパート・マードック。日本のナベツネと同じようなポジションだがその支配力は桁違いである。

この巨大な相手に単身戦いを挑んでいるのが、コメディアンのアル・フランケン氏だ。彼は最新著作「Lies: (And the Lying Liars Who Tell Them) a Fair and Balanced Look at the Right」でフォックスニュースチャンネルやその仲間達のウソを正確に批判している。書籍のタイトル中の表現「Fair and Balanced(公正且つバランスがとれている)」は同社のキャッチフレーズであり、これだけでも充分笑える皮肉だ。

同書を巡っては、刊行直前にフォックス側が商標権侵害として(“Fair and Balanced”のことである)出版差し止め訴訟を起こしたが、アル氏は圧力に屈することなく見事に反論を展開し、訴訟取り下げとなった。(Common Dreams News Centerの参照記事)無事に販売開始された同書は2003年度ベストセラー本として、ビル・オライリーの著作を大きく引き離している。(この売り上げランキングに関してオライリー氏は自分の番組でまたしてもウソをついたらしい:参照記事

2003/12/27

臭い報道大賞2003(1)---クリアチャンネル

全米メディア監査グループサイトFAIR.orgの発表したユニークなメディア大賞、「P.U.-Litzer Prizes for 2003(P.U.=臭い)」の受賞内容が発表されたこれはその年にもっとも間違った報道をした人、メディアに対して送られる賞とのことだ。面白いので以下に概要を紹介しよう。その第1弾。

メディアの権力者大賞:ロウリー・メイズ(クリアチャンネル社CEO

「放送関係者が専ら番組内容について知恵を絞っているときに、この全米第1位のラジオ企業(傘下に1200局を備える)のCEOは、ただ単に広告のみに注力していることを認めている。クリアチャンネルのボスはフォーチュン誌3月号のインタビューでこう話している:“我々のことをラジオ局企業だと考えるとしたら、そいつはウチの会社の人間ではありえない。我々の仕事はニュースや情報を伝えることじゃない。充分吟味された音楽を伝えるのもウチの商売じゃあない。我々は単に広告主の商品を売ることだけに集中しているんだ”」

クリアチャンネルといえば、レディースカントリーロックグループとして大人気のディクシー・チックスがロンドン公演で反ブッシュ発言をしたことに激怒し、共和党と共にボイコット騒動を演出した企業である。もちろん、ブッシュと同じテキサスの企業だ。クリアチャンネル社は全米のほとんどのラジオ局を傘下に治めて海外にも進出し、ラッシュ・リンボーという白豚パーソナリティを従えて、トークラジオからブッシュ政権批判を排除することに多大な投資をしている。この危険な企業によるメディア支配の恐怖については反クリアチャンネルサイトを参照して欲しい。