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02/13/2007

米メディア:アル・カイダが神奈川で活動?

2月12日日午後11時頃に、神奈川県座間市の米陸軍キャンプ座間の近所にある県立座間谷戸山公園で、ゲリラ事件らしき出来事が発生したそうである。

読売新聞の見出しは『米軍キャンプ座間に飛しょう弾?過激派のゲリラ事件か』となっている。以下に記事を引用すると:

12日午後11時ごろ、神奈川県座間市入谷3、県立座間谷戸山公園で、「バーン」と2回、大きな爆発音がしたのを近所の住民が聞き、110番通報した。

座間署で公園内の林を調べたところ、飛しょう弾の発射装置とみられる金属製パイプ(直径6センチ)2本や三脚が見つかった。周囲には下草が燃えたあとがあり、火柱が見えたとの目撃情報もあったという。(以下略)


朝日新聞の見出しは『ゲリラか、公園で2回の爆発音 神奈川・座間』。同記事によれば、「谷戸山公園では02年11月にも、キャンプ座間を狙ったゲリラ事件が起きている。」ということだ。

なーんだまた過激派の事件か・・・日本人ならおそらくそれくらいの反応だと思うが、これがアメリカではどういう形で報道されているかというと、例えば米ABC放送のニュース速報ブログではこんな見出しになっている:『日本で最初のアルカイダ攻撃事件発生か?

米ABCの報道によれば、座間市の事件には以下の背景があるという:

キャンプ座間

日本とパキスタンの諜報関係者によれば、日本国内でアル・カイダは小規模ながらパワフルな基盤を持っているとされ、一部の関係者は、今回の事件が日本国内のアル・カイダによる最初のテロ攻撃の試みであったかどうかを懸念しているという。

パキスタン諜報筋がABCニュースに伝えたところによれば、アル・カイダと活動を共にするパキスタン系組織は、1999年頃から日本国内にネットワークを張り巡らせているとのこと。

パキスタン諜報筋の或る人物の話によると、日本国内のネットワークは、アル・カイダの最高幹部で現在グンタナモ刑務所に収容されているカリド・シェイク・モハンメドから直接指示を受けたものであり、モハンメドは日本国内での作戦行動に「重大な影響力」を持っていると伝えられている。

また、その人物がABCニュースに語ったところでは、90年代に二十人ほどのパキスタン人が日本国内に「潜伏組織」設立のために学生ビザを使って入国しており、それらの者たちはインドネシアのテロ組織ジェマー・イスラミヤと関連があるとのこと。(以上、ABCニュースブログから引用


いかがだろう?恐怖を売り物にする米メディアの報道としては、なかなかの出来ではないだろうか。

さて、以前から言われるとおり、現在のアメリカでは、ブッシュ政権に都合の悪い事件が起きたり大統領の支持率低下が報道される度に、なぜか国土安全省が根拠なくテロ警報を発令したり、イギリス国内でアル・カイダが米国本土で次のテロ攻撃を計画している事実が明らかになったりする。

支持率といえば、日本では「安倍内閣の支持率低下が止まらない。とうとう不支持率が支持率を上回った。琉球新報2月6日という政治的状況の中で、首相は「日本版国家安全保障会議(JNSC)創設」にえらくご執心である。どうやら、格差解消、少子化対策、「美しい国」づくりのためには「日本版NSC」を設立して、野党のテロ攻撃から自民党政権の安全を保障する必要があるということらしい。

「日本版NSC」創設には、“日本のコンドリーザ・ライス”小池百合子首相補佐官(国家安全保障問題担当)が精力的に活動しているらしいが(この人は何の楽器が得意なのだろう?)、こうした人達が安全保障の話題で座間市の件のような米メディア報道を引用し始めたら要注意だ。


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01/06/2007

覗き見司令官ジョージ・W・ブッシュ

合衆国大統領は米国民の郵便物を令状なしに覗き見する権利がある・・・最新の郵政改革法に署名するにあたって、ブッシュはそういう内容を大統領特記事項として書き加えた。1月4日付け報道で、ニューヨークデイリーニュース紙が伝えたスクープである。署名したのは昨年12月20日-民主党が議会で多数を占める直前に、大急ぎで大統領の特権を拡大しておいたことになる。

President George W. Bush signs H.R. 6407, the Postal Accountability and Enhancement Act, Wednesday, Dec. 20, 2006, at the Eisenhower Executive Office Building in Washington, D.C.

大統領は法案署名時に自由に法律に例外を設けることができる・・・?!

既存の法律でも、緊急時において政府機関は裁判所の令状なしに郵便物開封を伴う捜査権が認められている。(ただし、事後に令状申請が義務付けられている)したがって、NSA盗聴問題同様に「令状申請手続きが捜査を停滞させる」という言い訳は本来通用しない。にもかかわらず大統領が特記事項を加えた動機は、ブッシュ政権側の実施する“テロ対策活動”の中身をおそらく議会にも裁判所にも知らせたくないのだろう。

そんなわけで2007年のアメリカでは、大統領の気分次第で、あらゆる電話は盗聴され、手紙も盗み見されることになったわけだ。

かつて個人の自由を護るために戦ったはずのアメリカ人たちは、今ではホワイトハウスとその周辺人物達のエゴを護るために、言葉もわからない遠くの国で戦わされている。しかもそれを憲法も議会も止めることができない。

それでも、現政権に対する怒りは拡がりつつある。以下に紹介するシアトルタイムズ紙の社説もその一例だろう。

覗き見司令官ジョージ・W・ブッシュ( George Bush, Snooper in Chief)

シアトルタイムズ紙社説2007年1月5日

第110期米国議会が開始された矢先に、有権者によって11月に成立した分裂政府での役割に沿った任務を民主党議員達は遂行することになる。郵便物を覗き見しても刑事免責されるというブッシュ大統領の主張に異議を唱えることだ。

ブッシュ大統領は、既存の法律や、米国郵政公社の通常法規に対して独自の解釈手法を行っている。ニューヨークデイリーニュース紙が木曜日に伝えたところによれば、行政機関はアメリカ国民の郵便物を裁判所の令状なしに開封できると、大統領は主張しているという。郵政責任強化法への署名直前に、ホワイトハウスが何をしていたのかは誰も知る由もない。下院決議第6407法の大統領署名声明文で、行政機関は緊急対応できるように法を“解釈”できるとされている。これは、新法案署名時、その法律の適用は完全に大統領に委ねられるという大統領注釈事項の新たな一例である。

米国内通話の令状なし盗聴で、ブッシュ大統領は同様のやり方をしている。

民主党議員は選挙で与えられた任務に取り組まねばならない。従順で弱腰の共和党議員が落選したのは、必要とされる場面でまさしく国民を失望させたからである。

既存の法に基づく手続きがなぜ不適切なのか、大統領に説明させるべきである。緊急時や脅威の恐れがある場合に備えて、すでに簡素化規定が存在している。現在のホワイトハウスや、将来の民主党政権もしくはその行政機関が、これら大統領声明特権を乱用しないなどとは、もはや文字通り誰も信じない。

法に従うべきだ。思いつきで新しい権力を発明したり、行使したりすべきでない。大統領にその行為を説明させ、弁明させるべきだ。これこそ愛国的抵抗活動というものである。
(以上)

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01/02/2006

「新ニクソンとしてのジョージ・W・ブッシュ」byジョン・ディーン

ブッシュの違法盗聴問題を語る場合、ジョン・W・ディーン以上の適任者はいないだろう。法律学者である同氏は、ニクソン大統領の法律顧問を務め、ウォーターゲート事件ではホワイトハウスによる捜査妨害に加担し、有罪を宣告され4ヶ月の禁固刑を受けた人物である。

合衆国史上最初の大統領弾劾劇の渦中に居た当事者として、また合衆国法の専門家として、ディーンはブッシュの弾劾を確実視し、ブッシュ政権に法律上のアドバイスをする司法省職員ジョン・ヨーの能力を疑問視している。今回は法学情報サイトFindLawに2005年12月30日付で掲載されたジョン・W・ディーンのコラムを以下に全文翻訳した(法学者であるヨー氏は、チェイニーやラムズフェルドも所属した極右シンクタンク・AEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)に客員学者として所属し、ブッシュ政権のテロ容疑者拷問戦略のために独自の法解釈をアドバイスしている。)



さて、2006年になって、ブッシュ政権は年初からいよいよ窮地に陥るだろう。下院院内総務でブッシュの親友トム・ディレイ議員が起訴された『共和党スーパーロビイスト』ジャック・エイブラモフ事件の捜査は、主犯のエイブラモフ氏が司法取引に応じ事件の詳細を証言することになり、捜査は米議会全体に拡大される予定だ。大学時代から共和党活動を通してエイブラモフと知り合った親友カール・ローブにとっても困った事態になるだろう。

2006年は上院・下院議会選挙の年だが、エイブラモフ事件との関わりが注目されるランディ『デューク』カニンガム事件(国防企業と議会の賄賂スキャンダル)捜査の拡大も共和党には大打撃となるだろう。(ところで、エイブラモフ事件と911テロ主犯モハメド・アッタには意外な接点が見つかっている。なんという偶然!)

ヴァレリー・プレイム事件(プレイムゲート)捜査も、大統領側近の起訴へと近づいている。同事件の捜査継続により、イラク戦争の開戦口実をめぐるブッシュ政権の情報操作疑惑(ダウニングストリートメモ事件)の調査を求める声はより大きくなるだろう。2004年大統領選挙におけるオハイオ州不正調査も含め、疑惑の追求を続けるジョン・コンヤーズ米下院議員の努力が報われる時期がくるかもしれない)

スキャンダル捜査でがんじがらめのブッシュ政権は、どのような脱出策を用意しているだろう?・・・仮に国内テロ事件が再び発生したら、違法盗聴は正当化され、政府内の内部告発者は全て処罰対象となり、支持率を回復したブッシュはテロ発生の責任をイラン・シリアに擦り付け、次の戦争を開始するだろうか?・・・そんな最悪のシナリオが実現することのないように祈りたい。

新ニクソンとしてのジョージ・W・ブッシュ:違法な盗聴、そして弾劾

国家安全のためなら大統領は議会法を違反し得ると両者共に主張

by ジョン・W・ディーン:FindLaw2005年12月30日掲載(commondream転載)


2005年12月16日金曜日、ニューヨークタイムズ紙はジェイムズ・ライセン記者とエリック・リヒトブロー記者の手による重要なスクープ記事を掲載した。同記事によれば、ブッシュ大統領は、外国諜報活動偵察法(Foreign Intelligence Surveillance Act:FISA)で定められた手続きを無視し、国家安全保障局(National Security Agency:NSA)によるアメリカ国民に対する令状なし盗聴を承認したということだ。

同記事には、ホワイトハウスの違法行為に関する驚くべき情報が綴られている。それによると、2002年のある時期から、ブッシュは大統領特別命令として、合衆国内と諸外国の間で交わされている電話や電子メールの内、アルカイダと直接的、あるいは間接的に関係していると信ずる通信の探知と傍受をNSAに承認したという。

スクープ公開当初、ブッシュとホワイトハウスは、大統領が法律を無視したかどうかについて口を閉ざし、肯定も否定もせずにいた。ジム・レーラーにインタビューされた際も、ブッシュは話題について話すことを拒否していた。

その後、12月17日土曜日に、大統領ラジオ演説で、ブッシュはタイムズ紙の記事内容が正しいと認めた。そんなわけで、大統領弾劾の要件となる重罪を犯した事実を、彼は認めたのである。

令状なしの盗聴が法律違反であり、弾劾されるべき犯罪であることに議論の余地はない。なにしろニクソンも、違法な盗聴行為によって合衆国憲法第2条にある責任を問われた際、やはり国家安全のための盗聴と主張していたのだ。

こうした二つの違法行為の相似性は、以前に私のコラムで話題にしたように、両政権の憂慮すべき相似性が継続していることをはっきり示している。

実際、今回の件で、ブッシュはニクソンを超えてしまった。ニクソンの違法な盗聴行為は限定的だったが、ブッシュのそれは現在も進行中であり、盗聴範囲もはるかに広範に及んでいる可能性がある。最初のスクープでは、NSAの盗聴対象は国内と国外を結ぶ海外通話に限定されており、一度に500通話を超える盗聴は行われていないとされていた。ところが、最新の報道によれば、NSAは文字通り数百万件の通話を『データ集積』しており、電話会社の協力の下で、海外通話と国内通話の流れを跨って盗聴しているとみられている。

要するにこれは、おおがかりな、ビッグブラザー的電子監視である。

国家安全と密接に関係していることを理由に、タイムズ紙は1年間もこの記事を公開しなかった。そして今、同紙はその記事を解禁し、ブッシュは記事内容を漏洩した情報源の捜査を命じている。大統領は、監視されていないと自信を持っていた人々は、その確信を失い、他の通信手段を模索するだろうと示唆する。暗号化や符号化以外に、どのような方法があるか想定するのは難しい。

そのような情報漏洩元の捜査は皮肉でしかない。情報漏洩の結果として、ブッシュ自身の違法行為が発覚したからだ。犯罪者としていぶり出すことにより、ブッシュは裏切り者を見つけ出そうとしている。


ニクソンの盗聴と議会の対応

ニクソンはFBIを使って、国家安全保障会議メンバーの内5人と、2人の報道関係者、そして国防総省の職員二人を盗聴していた。これらの人々が盗聴された理由は、ベトナム戦争を巡るニクソンの計画(当時は戦争中だった)が、ニューヨークタイムズ紙のトップを飾ったからだ。

盗聴行為についてニクソンは、国家の安全を理由に正当化した。情報漏洩の防止は、国民だけでなく、アメリカの敵も計画を知ることになることを防止できるというのだ。しかし、盗聴から得られた情報の利用は、そうした正当性を超えていた。数件のスキャンダラスな断片情報が、政治目的に利用された。それ故に議会は、そうした盗聴活動が、それにより集積された情報の悪用と一体化しており、弾劾されるべき違法行為とみなしたのであった。

ニクソンの辞任に従い、フランク・チャーチ上院議員は盗聴活動による情報の悪用について調査する委員会を設置した。電子盗聴に関する同議員の報告が契機となって、外国諜報活動偵察法(FISA:Foreign Intelligence Surveillance Act)が提起されたのである。同法により、電子盗聴への制限が生まれ、司法省内に秘密法廷(FISA法廷)が設立され、その秘密法廷は、同法の制限内において、政府機関による盗聴活動申請の許可を行うことになった。

外国諜報活動偵察法の目的が議会の承認しない盗聴活動の抑制だったことは、同法の成立過程を見れば明らかだ。従って、FISA法廷の許可なき盗聴活動をブッシュが承認したことは、違法なのである。


盗聴の是非については議会次第

活動の目的が問題となっているわけではない。テロの可能性については疑いようもなく、いつ発生するかだけが問題なのだ。そうした攻撃を防止することの重要性についても疑う者はない。

今問題になっているのは、目的達成のためにブッシュの選択した手段である。大統領の決断は、単に議会を迂回しただけでなく、この分野ですでに確立済みの法律に違反しているのだ。

現在の議会は共和党の支配下にある。世論調査によれば、アメリカ国民の大半はテロ防止のためなら人権を諦めると回答している。合衆国愛国法(USA Patriot Act)は多数の支持を得て可決した。ブッシュ大統領は、自身が必要と考えた許可を、なぜ議会に求めなかったのだろう?

その答えは簡単に言って、議会が大統領職を点検する時代に、副大統領ディック・チェイニーはフォード大統領の首席補佐官だった頃から変わりないということのようだ。そしてチェイニーは、大統領特権の行使に際して議会法を無視する権限が大統領にあるという彼の考えを強調したかったのだ。ブッシュはチェイニーの計画に沿って行動しているに過ぎない。

ブッシュほど最高司令官としての権限---合衆国憲法第2条に規定される、国家安全の名の下にいかなる行為も許されうるという立場に積極性を持った大統領は過去に例を見ない。もっとも、私の元上司リチャード・ニクソンも似た姿勢の持ち主だったが。


国家の安全における大統領の権限:ニクソン支持派の視点

国家安全の名の下に大統領が行う行為は、たとえ法律を犯していても違法ではない、というニクソンの辞任後の主張は有名である。

ニクソンの考えは(彼は法に精通していた)、市民戦争時代のエイブラハム・リンカーンの先例によるものである。ニクソンは、リンカーンを引用しながら、インタビューで言った:「憲法違反の恐れがある行為も、憲法と国家の保全を目的に行われた場合は、合法たり得るのです。」

インタビューをしたデビッド・フロストは、ニクソンが違法な盗聴の標的としていた反戦活動参加者達を南軍に喩えるのは無理がある、と即座に反論した。ニクソンはそれに応えて、「ベトナム戦争によってこの国はイデオロギー上分断されており、リンカーン大統領時代に市民戦争によって国が分断された頃に等しいのです。」と反論した。脆弱な答弁だが、彼としては精一杯であろう。

上院政府諜報活動調査特別委員会(委員長に因みチャーチ委員会という呼び名で知られる)において質問された際にも、ニクソンは同様の主張をした。特に、ニクソンが委員会に対して言ったのは、「1969年、私の政権時代、令状なし盗聴は政府が行ったとしても違法ですが、国家安全上の利益のために大統領により決定された場合は合法なのです。それを支持する法的根拠もありまして、例えば、カッツ対合衆国政府の裁判の際、ホワイト判事は同意意見を唱えています。」(カッツ事件により、盗聴行為とは個人の家宅捜査と同様に合衆国憲法修正第4条における『捜索押収』を構成するという意見が確立され、それ故に合衆国憲法修正第4条に規定される令状の要請が、盗聴についても適用されることになる)

さらにニクソンは、まるで予感していたように、そして合理化理由をブッシュに与えるかのように書いている:「現在も、そしておそらく将来も、我が国の安全上の利益のために大統領が合法的に行為を承認できる状況でさえ、人々に承認され、あるいは別の状況で大統領により承認されていても、違法とされてしまう。」

議論上、仮にニクソンの論理を受け入れるにしても、ブッシュが直面している「状況」は令状なし盗聴を正当化できる類のものだろうか?その答えはノーであると私は信じる。


ブッシュの令状なし盗聴行為は正当化されるか?乏しい説得力

もしブッシュが、2001年9月12日に大統領特別命令を発令し、一時的措置として、議会の承認を保留した場合、そうした状況は彼の主張に沿ったものになるだろう。

あるいは、特別に深刻な攻撃の脅威から、特定の捜査において令状なし盗聴を許可する状況にブッシュが追い込まれ、議会の承認を得る時間が持てなかった場合、それもまた正当な事情となるだろう。

しかし、2002年のおおまかな大統領特別命令から数年が経過した現在、その全期間と通して、ブッシュは自身の行為について法的承認の求めを拒否している。さらに、法を無視できるとブッシュが主張するような特殊な状況時における大統領の権限について、議会が明確に制限をしている事実を、大統領が見逃すはずはない。

ブッシュは自身の行為について、ひとつの法的説明を試みているが、お笑い草である。彼によれば、911テロ後に議会が承認したアフガニスタンのタリバンに対する武力行使の権限は、FISA適用の例外に関しても暗黙に許可しているというのだ。

正常な神経を持った議員であれば、軍事行動の承認がそのような許可を派生させるとは信じていない。法科1年目の学生でも間違ってそのような主張を行う者はいないだろう。もはや拡大解釈どころではなく、馬鹿げている。

しかし、ブッシュの自己弁護の核心は、まさにニクソンの主張に依存している。つまり、大統領は単に、憲法第二条に定められた最高司令官としての権限を行使しているに過ぎないというものだ。これもまた、心もとない反論である。その主張を書いたジョン・ヨーは利口だが、未熟で極端に党派的なボールト法科学校の若い教授で、政府機関を頻繁に出入りしている人物である。

ヨーの仕事---最近出版された書籍---に具現化された欠点と誤りを見るには、ジョージタウン大学法科学院教授デビッド・コールの書評にある分析を読めば事足りるだろう。コールは当該分野の法に何年も取り組んでおり、ヨーよりもはるかに深く探求している。

ヨー教授の法的考察がファンタジーに縁取られたものであることがわかったので、コール教授の現実世界的分析の結論にある現実的な指摘には感激した。「マイケル・イグナーティエフは書いている:“ただ単に片方の手を後に縛られるだけでなく、その状態で戦うべきであるというのが、まさに民主主義の本質である。民主主義ではその性質上、民主主義故に敵よりも優勢になれる。”ヨーはブッシュ政権に、拘束を解いて法の支配という制約を破棄せよと説得した。おそらくそれが、我が国が優勢になれない理由であろう。」

私が付け加え、勧めたいのは、ダニエル・ベンジャミンとスティーブン・サイモンによる厄介な報告だ。彼等はテロ対策を専門としており、クリントン政権時代に国家安全保障会議のメンバーを務めていた。両氏は最新の著作『The Next Attack: The Failure of the War on Terror and a Strategy for Getting It Right』の中で、テロリストが大惨事をもたらすために利用可能な制度上の抜け穴を塞ぐことにブッシュ政権は完全に失敗したと書いている。イラク戦争はテロ解決にはならない。むしろ、テロリストを生み出し、アメリカの利益を護るための資金を転用させている。

特にブッシュの令状なし盗聴は、効果がほとんど望めないらしい。私が話した専門家達によれば、ブッシュのやり方は、ことわざにあるように、干草の山から針を探すようなものだという。NSAのような洗練されたデータ集積設備も、例えば、認知しない符号は解読できない。従って、符号で通信するテロリストは、仮にデータ集積が及んだとしても、拘束を逃れることができる。

要するに、ブッシュは幸運を願っているのだ。そのようなギャンブルは、露骨な議会法違反の口実とするには不充分に思われる。議会の承認がないまま行動することで、ブッシュは自身の大統領職が未検査であることを強調してしまった。彼自身も、彼の弁護士の視点でも、これは全くの違法である。今やブッシュは、NSAの恐るべきパワーをアメリカ国民に向けて使っているのだ。彼は次にどういう権力を行使するだろう?その際国民は、そして議会は、大統領が新たな権力を実行している事実を、いつ発見することになるのだろうか?
(以上)

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12/26/2005

ジョージ・ブッシュのスパイ大作戦(1)「令状なし盗聴で安心できる社会を!」

「もしこの国が独裁政権で、私が独裁者なら、物事はもっと簡単になるだろうね。」

ジョージ・W・ブッシュ、2000年12月18日のCNNインタビューでの発言

2005年12月16日、ニューヨークタイムズ紙は1年以上暖めていたスクープ記事をようやく公開した。同記事によれば、911テロ事件から数ヵ月後に、ブッシュ大統領は密かに、NSA(国家安全保障局)に対して、通常の国内盗聴に必要な裁判所の令状なしに、合衆国内に住む国民及び外国人の盗聴を命じており、現在もその違法な隠密作戦は進行しているという。

遡ること2004年4月20日、合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュは、政府のテロ対策に関して以下のように国民に説明している:

合衆国政府が盗聴する際には、常に裁判所の令状が必要です。それは変わりありません。テロリストを追い詰める場合、あらかじめ裁判所の令状が必要なのです。国民の皆さんに理解していただきたいのですが、愛国法を考慮に入れても、国家防衛に必要な行為であっても、憲法上の保障がなければいけません。なぜなら、我々は憲法を尊重しているからです。」

---ジョージ・W・ブッシュ、2004年4月20日の発言

つまり、ジョージ・W・ブッシュは単に法を無視しただけでなく、無視したことについてウソをついていたわけだ。しかもこの独裁志願大統領は、「国民の命を護るため」今後も国民の盗聴を続けると堂々宣言している。「死にたくなかったら盗聴させろ!」というわけだ。

シドロモドロのライス国務長官

大統領が堂々と憲法違反を自白したことで慌てまくった最初の閣僚は、国務長官コンドリーザ・ライスだ。国務長官就任以来、ホワイトハウスのCIA工作員名漏洩スキャンダルから逃げるために、たいした用件もないのに長期外遊に繰り出した彼女は、CIAの秘密収容所について聞かれるのが嫌でヨーロッパから逃げ帰ったばかりだが、今や彼女のキャリアにとってお荷物でしかないブッシュ大統領の、致命的なスキャンダルに再び巻き込まれてしまった。2008年度大統領選出馬への影響を心配しているにちがいない)

大統領の「自白会見」直後の12月18日NBC放送「ミート・ザ・プレス」に出演したコンディは「私は弁護士じゃないから」と繰り返し、元国家安全保障担当大統領補佐官としての責任問題から逃げている。おまけに次の日のインタビューでは、思わぬ失言をしている。CNN放送のインタビューで、ライス国務長官は言った:

「(国内盗聴について)大統領は早い時期から、合衆国法の最高権威である司法長官に相談しています。」


「中学で公民科を学習した人なら、合衆国法の最高権威が連邦最高裁であることくらい知ってますよね?」というイジワルな批判はさておき、「司法長官に相談済み」というライス国務長官の発言は、盗聴論争の火に油を注ぐものだ。なにしろ、ブッシュが令状なし盗聴を相談したという当時の司法省長官は、全米の産婦人科カルテから女性の個人情報を覗くことに全力を注いだジョン『♪タカよ飛べ空高く♪』アッシュクロフト氏である。


盗聴・監視のターゲット:反戦母、老人、クエーカー教徒!

NSAが国民盗聴で大活躍なら、国内盗聴の老舗、FBIも負けていられない。難点は、国内テロ対策の主役であるはずのFBIには、アルカイダやイスラム過激派の専門家が、911テロ以降もほとんどいないことだ。最近でも、FBIテロ対策責任者が、シーア派とスンニ派の存在も、アルカイダとジャマル・イスラミヤの関係も知らないし、イスラム文化についても全く知識がないと議会で堂々回答している。テロ対策分野で出世するためには、アルカイダやイスラム過激派に関する専門知識は優先事項じゃないと、FBIテロ対策担当者は話している。

簡単に言えば、FBIのテロ対策班は、アルカイダやビン・ラディンには関心がないし、追跡能力もないわけだ。では、彼等は何を監視しているのか?ニューヨークタイムズ紙2005年12月20日付記事がわかりやすく伝えているので以下に抜粋してみよう:

FBI、市民活動を監視:新書類で判明(F.B.I. Watched Activist Groups, New Files Show)

by エリック・リヒブロー記者

FBIの対テロ対策調査員が、環境や動物保護、貧困者救済活動に関わっている市民団体に対して、多数の監視・諜報活動を行っていることが、新たに公開された文書により判明した。
(中略)
FBI文書のひとつには、インディアナポリス支局の捜査官が、「菜食主義者コミュニティ計画」の一環として偵察を行うという記述がある。他の文書には、カソリック労働組合について「予備的共産主義思想」と言及されている。
(中略)
一群の最新文書は、一部をACLU(アメリカ自由人権協会)が公開する予定だが、全部で2,300ページを超えるもので、PETA(People for the Ethical Treatment of Animals:動物の倫理的扱いを求める人々の会)、環境保護団体グリーンピース、貧困解消を唱えるカソリック労働組合等の団体に関する照会内容に重点を置いた内部文書である。
(以下略)


FBIはテロ対策と称して環境保護活動(の監視)に注力しているわけだ。

では同じ時期に、国防総省テロ対策チームはなにをしているか?NBC放送2005年12月14日付報道が詳細を伝えているので、以下に抜粋してみよう:

ペンタゴン、アメリカ国民をスパイ?(Is the Pentagon spying on Americans?)

NBCニュース入手の極秘データが「怪しい」国内グループを記録(Secret database obtained by NBC News tracks ‘suspicious’ domestic groups)

by リサ・マイヤーズ、ダグラス・パスターナック、リッチ・ガーデラ他NBC調査班

1年前、フロリダ州レイクワースのクエイカー集会所に市民活動家が集まり、地元の高校で軍の新兵スカウトに反対する活動の計画について話していた。彼等は気づかなかったが、その集会は米軍の注意を惹いていた。

NBCニュースが入手した400ページに及ぶ極秘文書には、レイクワースの集会について「脅威(threat)」と記されており、過去10ヶ月間で1,500件以上リストアップされた「怪しい出来事」の内の一件に含まれていた。
(以下略)


ペンタゴンが「脅威」と評価したフロリダ州の集団とは、地元新聞の追加取材によれば、20人ほどの地元市民で、クエーカー教徒や、79歳のおばあさん達だ。NBCニュースが入手した極秘文書には、他にも反戦活動(国防総省の説明では『怪しい出来事・脅威』)が40件以上記されているという。

そんなわけで、国防総省は反戦活動を監視している。FBIも反戦活動を監視している。老人だろうが菜食主義者だろうが、警戒を怠ることもない。息苦しい?・・・では、この事態を大胆且つポジティブに考えてみよう。「政府はあなたを24時間・365日、いつでも何処でも見守ってくれている。」---ああ、それなら安心だ!

あなたがカリフォルニア州住民なら、さらに手厚いサービスが用意されている。同州では、FBIの監視に加えて、シュワルツェネガー州知事率いるカリフォルニア州兵部隊が、新たな諜報活動を開始している。その監視対象の一部は、コードピンク(女性反戦団体)シンディ・シーハンの組織する反戦戦死者母親の会(Gold Star Families for Peace)、怒れるおばあちゃんの会(高齢者反戦団体)・・・まあ要するに、反ブッシュ派(反シュワ知事派)の一般市民ばかりだ。

では、肝心のテロ対策はどこの省庁が?アルカイダを追跡するのは誰?911テロの反省から誕生した国土安全保障省(DHS)だろうか?残念でした。ワシントンポスト紙の12月21日付連続特集記事によれば、超官僚主義と腐敗を抱える国土安全保障省は、成立当初から今日に至るもマトモに機能していないということだ。確かに、9月のカトリーナ大災害は、国土安全省の機能不全を見事に証明してしまった。これじゃ国土安全保障省である。

ところで、ブッシュの盗聴騒動の真っ最中に、米議会は高齢者や低所得者向け医療費支出の抑制により、5年間で397億ドル(約4兆6,500億円)の歳出を削減する法案を可決した。これには、フードスタンプ(貧困者向け食料補助制度)予算約7億ドルの削減が含まれていて米国内の貧困層22万5,000人分の食糧支援と、今まで無料で提供されていた公立学校の児童向け給食4万人分が廃止されることになるという。

もちろん、テロとの闘いを重視するブッシュ政権では国防予算削減はありえないのだろう。しかしどうポジティブに考えても、3つの政府機関が反ブッシュ派の老人達を追い掛け回すというのは、税金の無駄使いじゃないだろうか?


「弾劾要件となる違法行為を自ら認めた合衆国史上初の大統領」

ブッシュ大統領が令状なし盗聴命令を認めた直後、民主党のバーバラ・ボクサー上院議員は、ニクソン政権で大統領法律顧問を務めた法律家ジョン・ディーンに意見を求めた。ウォーターゲート事件で責任を問われ辞職した経験を持つ同氏は、ボクサー議員に言った
ジョージ・ブッシュは弾劾要件となる違法行為を自ら認めた合衆国史上初の大統領だ。」

---(次回続く)

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10/26/2005

ブッシュ政権とテロ警報:14番目の事例

ブッシュ政権下のアメリカでは、悪いニュースはテロ警報とセットでやってくる・・・・その14番目の事例が10月25日に発生したようだ。

今回のテロ警報は西海岸発だった。「サンディエゴ国際空港で爆弾の部品を発見!」というニュースだ。サンディエゴ空港の他にも、西海岸の2つの空港で、爆破を仄めかす脅迫電話があったらしい。しかし、発見から数時間後には、爆弾の部品と騒がれた物質の正体はおもちゃとクッキーの入った鞄であると判明している。

西海岸のテロ騒ぎがあったのは10月25日早朝。一方の東部では、ニューヨークタイムズ紙が10月25日付の記事でこんなスクープを伝えている:

CIA工作員について補佐官に教えた当事者はチェイニー副大統領:弁護士の談話
(Cheney Told Aide of C.I.A. Officer, Lawyers Report)


副大統領の首席補佐官であるルイス・スクーター・リビーが最初にCIA工作員の情報を知ったのは、2003年にCIA工作員名の漏洩が明らかになる数週間前に、副大統領と交わした会話の中であると、事件関係者の弁護士は月曜日に話している。・・・(以下略)

これはブッシュ政権にとって大変都合の悪いニュースだ。もっとも、米国2大メジャー紙であるワシントンポスト紙とNYタイムズ紙は、お互いにスクープ記事について(紙面がかぶらないように)毎日情報交換していたりと、かなりいいかげんな編集体制なので、ホワイトハウス側もあらかじめ記事の出るタイミングを知っている可能性が高い。(そうでなければ、今頃チェイニーの心臓は停止してるだろう。)

ところで10月25日には、さらに悪いニュースも配信された。CNN放送は伝えている:「新イラク憲法が賛成多数で可決される見通しとなった本日、イラク駐留米軍の戦死者数が、ついに2,000人を超えました。

もちろん全ては偶然なのだろう。結局のところ、サンディエゴ空港の爆弾騒ぎは、米国民の視線を2,000人の兵士の遺影から逸らすことはできなかったはずだ。

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10/17/2005

ブッシュ政権とテロ警報

ブッシュ政権は、合衆国政府のスキャンダルが発覚する度に、国民の視線を逸らせるためにテロ警報を発令している?---米MSNBC放送の人気アンカー、キース・オーバマンが、同局のニュース番組『カウントダウンwithキース・オーバマン』10月12日放送分で、ホワイトハウスのテロ警報ヤラセ疑惑を報道している。非常によくまとまっているので、以下に放送内容を要約して掲載した。(ビデオはCrooks and Liarsでダウンロード可能。文中リンクと注釈は訳者による)

キース・オーバマンのイントロダクション(番組ブログより):

先週の『カウントダウン』で、最新のテロの脅威---ニューヨーク市街の地下鉄を狙った爆破計画---について、私はそのタイミングについて触れました。ブッシュ大統領の「テロとの闘い」演説が行われた日には、CIA工作員名漏洩事件調査でカール・ローブ大統領主席顧問の起訴の可能性についての報道がありました。

似たような事例は、過去3年間で13回発生しています。現政権の政策が下降線になると、『テロ事件』がそれに続き、警戒レベルが変更されたり、逮捕者が出たり、警報があったりするのです。

私達は、公開情報からそうした『偶然リスト』をまとめてみることにしました。今日の午後の放送では、10件の事例についてご紹介しました。10件のリストの後に、残り3件の事例を新たに時系列を無視して挙げてみましょう。(翻訳では時系列順に修正済み)(中略)これらの偶然について、おそらく最も端的に評する見識は『論理上の誤り』というものです。つまり、Aという事象が発生し、後にBという事象が発生しても、それだけでAがBの原因といえるわけではありません。

しかし、これらの偶然を考慮する場合、1人の当局者が語った内容はとりわけ示唆的といえるでしょう。国土安全保障省長官を辞任したトム・リッジ氏が、自身の監督下においてテロ警戒レベルが変更された件について、5月10日付けインタビュー記事で回想しています。

リッジ氏はこう発言しています。「警戒レベル上昇を最小限にしようとしないどころか、脅威情報の評価に関して意見がわかれることもしばしばでした。情報の信憑性が高くても、警戒レベルを上げる必要はないと思うこともありました・・・(政府内の)一部の人々はテロ警戒レベルを上げることに非常に積極的でしたが、我々は『そんなことで警戒?』と言う事もありました。」

---後は、ご覧になる皆さんがご判断ください。


事例(1)
2002年5月18日、『2001年8月6日付合衆国大統領日報』の詳細が、その報告書タイトル「ビン・ラディンが合衆国本土攻撃を決定」と共に初めて暴露される。同じ日に、別のメモ---FBIがアリゾナ飛行学校で訓練中のアルカイダ工作員関係者について知っていた事実を示すメモの存在が明らかになった(テロリスト容疑者の活動を知りながらFBIは追跡捜査をしていなかった)。その結果、911同時多発テロに関する情報機関の失策が世論を賑わせ始める。
それから2日後の2002年5月20日、モラーFBI長官が、次回のテロ攻撃を「避けられない」と発表。次の日、国土安全保障省が全米の鉄道路線、及びニューヨークの景勝地ブルックリン橋や自由の女神像がテロ攻撃の標的にされるとの警告を発令した。

事例(2)
2002年6月6日、911テロ犯人グループの1人、ザカリアス・ムザウィが飛行訓練を受けている件を上司に警告した元FBI捜査官コリーン・ローリーが議会で証言。FBIがテロ攻撃の計画を事前に摘発できる機会を逃していた件が明らかになる。
それから4日後の2002年6月10日、ロシアを訪問中のアッシュクロフト米司法長官が、合衆国本土で放射能爆弾を爆破させる計画をしていた容疑で、アメリカ人ホセ・パディラ容疑者を拘束中であることを明らかにした。発表時点で、パディラ容疑者はすでに1ヶ月以上拘束されていた。(2005年現在、ホセ・パディラは、逮捕から3年以上経過しても証拠不十分で訴追されぬまま、大統領命令により依然として拘束されているが、FBIによる誤認逮捕の可能性が高いとみられている)

事例(3)
2003年2月5日、パウエル国務長官がイラクの武器隠匿をめぐる国連安全保障理事会で、18箇所の生物化学兵器研究所の存在を示し、国連と米国による軍事行動の正当性を主張。会議に出席した諸外国は疑念を示した。数ヵ月後、米国により指摘された情報のほとんどが虚偽であることが判明。
それから2日後の2003年2月7日、反戦運動が世界各国で盛り上がる中、国土安全保障省のリッジ長官は、アルカイダによる「信憑性の高い脅威」を発表し、テロ警戒レベルをオレンジに上昇させた。続く3日後、米消防庁のデビッド・ポーリソン長官が、放射線や生物兵器から自宅を防衛するためにプラスティック・シートとダクトテープを備蓄せよとアメリカ国民に提言。(この発表の影響で、ホームデポ他生活用品店でダクトテープの売り上げが急上昇した。尚、現在ポーリソンは、ハリケーン・カトリーナ大災害後、ブラウン長官更迭の後釜としてFEMA長官に就任している

事例(4)
2003年7月23日、「フセインがニジェールからウランを購入」と言及した大統領一般教書演説の1ヶ月前に、CIAが当該情報に強い疑念を持っていた件をホワイトハウスが認める。24日、911同時多発テロに関する議会報告書が公表される。同報告書では、政府のテロ対策を厳しく批判、特にFBIがテロ実行犯二人の近辺に情報源を配していた件を暴露、イラクとアルカイダが無関係であることを結論づけている。報告書中28ページ分は削除されていた。続いて26日、アメリカ兵によるイラク囚人虐待事件が暴露される。
それから3日後の2003年7月29日、米国政府に関するネガティブ情報が溢れる最中に、国土安全保障省が、航空機を使った自爆攻撃の企図があるとしてテロ警報を発令。

事例(5)
2003年12月17日、911同時多発テロ調査委員会委員長トーマス・キーンが、テロ被害は未然に防止可能だったと発言。次の日、米連邦控訴裁判所が、具体的な訴追なしにホセ・パディラ容疑者の拘束を継続するのは合衆国憲法違反と認定。同じ日に、イラクで武器査察官として勤務し、大量破壊兵器は全く発見されないと結論づけていたデビッド・ケイが辞任を表明した。
それから3日後の2003年12月21日、クリスマス直前に、国土安全保障省がテロ警戒レベルをオレンジに上昇させ、航空機による米都市部攻撃の計画があると発表。それに続いて、合衆国内に到着予定の6機の商用航空機が、米政府の保有する『飛行禁止リスト』に掲載された人物が搭乗しているという理由で着陸拒否される。フランス航空は後に米国政府から容疑者と名指しされた客について公表したが、1人はウェールズ出身の保険セールスマン、1人は中国人の老女、1人は5歳児だった。

事例(6)
2004年3月30日、新任のイラク武器査察官チャールズ・ドルファーが議会で大量破壊兵器が発見できないと証言。また、ずっと911委員会での証言を拒否してきたコンドリーザ・ライスがついに証言すると決定。31日、ブラックウォーターUSAの傭兵4人がイラク・ファルージャで殺害され、死体を引き回され公衆の前に晒され、イラクで活動する民間軍事業者の役割への懸念が拡大する。
2004年4月2日、国土安全保障省が、テロリストが小型バッグやダッフルバッグに入れた肥料・燃料爆弾を使ってバスや電車を攻撃すると警告。

事例(7)
2004年5月16日、パウエル国務長官がニュース番組「ミート・ザ・プレス」に出演、ホストのティム・ラセールが、国連でパウエルがフセイン政権に対する疑惑を示した件について質問をすると、補佐官がインタビューを遮ろうとしたが、パウエルは大量破壊兵器情報について「不正確で間違いであり、意図的なミスリーディングもあった」と認める。
2004年5月21日、イラクでの囚人虐待事件に関する新たな証拠写真が公表される。続く24日、AP通信の報道により、米軍が誤って結婚式場を爆撃し市民40人以上を殺害した事実が明らかになる。
2004年5月26日、アッシュクロフト司法長官とモラーFBI長官が、複数の情報源により「アルカイダが合衆国本土に大掛かりな攻撃を仕掛ける計画の詳細」を入手し、「計画は90%まで進行している」と記者会見で警告。しかし国土安全保障省はテロ警戒レベルを上昇させず、リッジ長官は司法省との見解の食い違いを示した。

事例(8)
2004年7月6日、民主党大統領候補ジョン・ケリーがジョン・エドワーズを副大統領候補として指名し、世論調査は好感を示す。メディアが民主党の選挙活動に注目を向け始める。
それから2日後の2004年7月8日、国土安全保障省トム・リッジ長官が、夏から秋にかけてアルカイダによる攻撃の情報ありと警告。続く4日後には、米国選挙支援委員会のデフォレスト・B・ソアリーズ委員長が、リッジ長官へ宛てた書簡で、大統領選挙前にテロ攻撃があった場合、投票を延期すると言及。

事例(9)
2004年7月29日、ボストンで開催中の民主党全国大会において、ジョン・ケリーが大統領選候補として正式選出される。一週間を通じ、民主党大会がメディアの注目を集める。
2004年8月1日、国土安全保障省がワシントン、ニューヨーク、ニュージャージの各金融街のテロ警戒レベルをオレンジに引き上げる。警報の根拠となった書類はイラクの民家で発見されたが、4年以上前に書かれたもので内容も時期外れだった。

事例(10)
2004年10月22日、大統領選挙を妨害するテロ攻撃の可能性を政府が警告してから数週間後、FBI、警察、他合衆国各情報機関はテロ計画の証拠は何も見当たらないと報告。計画を知ると主張したCIA情報源については信頼性なしと判明した。
2004年10月29日、上記から7日後、大統領選挙の4日前、911同時多発テロ以降に撮影されたとされるオサマ・ビン・ラディンの最新ビデオがアルジャジーラで放送される。ブッシュ・チェイニー再選キャンペーン関係者は同ビデオについて「ささやかな贈り物」と評した

事例(11)
2005年5月5日、下院議員88人が大統領に「ダウニングストリートメモ」についての調査を書簡で要求。イラクでは、自動車爆弾テロが急増。11日には、ひとつの攻撃で75人以上のイラク人が殺された。
2005年5月11日、午後に、飛行教官と生徒の搭乗した飛行機がワシントンDCの飛行禁止領空に侵入。同様の出来事は年間数百件発生しているが、今回はホワイトハウスの数マイル傍まで接近。ホワイトハウス全館に避難警報発令、副大統領、ファーストレディ、ナンシー・レーガンが地下の避難シェルターに隠れた。しかし、森でサイクリング中だった大統領には、シークレットサービスから警報について知らされなかった。

事例(12)
2005年6月26日、ギャロップの世論調査で、ブッシュ大統領のイラク政策について61%の国民が懸念を表明。28日には、大統領がフォートブラッグ基地で「我々が戦っている理由はテロリストが我が国を攻撃し米国民を殺そうとしているからで、イラクはその本拠地となっている。それゆえイラクでの闘いを継続し、世界中のテロリストと闘い、勝利するまで闘いを続けるつもりだ」と宣言。
2005年6月29日、またしても飛行機が飛行禁止領空内に侵入。ホワイトハウス全館で再度避難警報が発令され、今回は大統領も避難した。

事例(13)
2005年10月6日、東部時間で午前10時、ブッシュ大統領は米国民主主義基金での演説で再度テロとの闘いを強調し、911テロ以降に発覚した10件のテロ計画を殲滅したと主張した
東部時間午後3時、大統領演説から5時間後、CIA工作員名漏洩事件でカール・ローブ大統領主席顧問が大陪審に再度召還され、フィッツジェラルド特別検察官がローブに「訴追されない保証はない」と説明したとAP通信が報道。
東部時間午後5時17分、大統領演説から7時間後、ニューヨーク当局者が地下鉄テロ攻撃の危険性について発表。しかし、国土安全保障省広報官はテロ攻撃の根拠を「信憑性に欠ける」と発言。後に、ニューヨーク市当局は3日前から脅威を把握し、発表の前に地下鉄周辺で警官を増員していたことが判明。地元テレビ局の報道によれば、テロ情報について市当局者は数日前から周知しており、ワシントンとニューヨークの「政府上層部から」発表を遅らせるよう指示されていたと暴露された。(この件でNY在住のボーイ・ジョージが八つ当たり捜査を食った
警告発表から4日後、マイケル・ブルームバーグNY市長が「テロ脅威の時期は去ったので、保安活動を少しづつ緩和させる」と語る。ニューヨークポスト紙からNBC放送まで、警告の元になった情報源の申告がでっち上げであるという関係者の発言を引用して報道、或るテロ対策当局者はNYタイムズ紙に「具体的なテロ情報はなかった」と言っている。

オーバマンの解説とまとめ:
簡単にいって、偶然は偶然でしかありません。テロ事件や警報を、全米各地のウォルマート新規開店日に関連づけることもできるかもしれません。これらの偶然は、脅威が現実化していないという点で、政府の対応が正しく機能しているということになるでしょうか?あるいは、政府が国民に告知するタイミングと方法を未だ会得していないことになるのでしょうか?

戦争の不透明さ(fog of war)に加えて、単に悪意のない『情報の不透明さ(fog of intelligence)』ということなのでしょうか?

しかし、妥当な因果関係が実証できないとしても、連続するこれらの事件はどれも偶然以上に、この国における疑問を深めることになるでしょう---つまり、どこまでが慎重で、どこまでが疑心暗鬼なのか?どれがテロによる死の脅威で、どれが脅威によるテロなのか?


(番組は以上)


オーバマンが指摘するように、合衆国政府のテロ関連情報の告知が、ブッシュ政権の悪意なしに行われているとしたら、その諜報能力は非常にいいかげんなものといえるだろう。実際、米諜報機関のお粗末な最新事例がまたしても発覚している。

先週10月11日に、米国家情報本部(ODNI)のネグロポンテ長官は、「ビンラディンの副官、ザワヒリがイラクのザルカウィ宛てに出した手紙」を華々しく公開した。すると、直後にアルカイダ広報部(?)は、その手紙が米国情報部によるニセモノであると反論した英訳された手紙をみると、「ザルカウィに宛てた」はずのメッセージの終わりに、以下の記述がある。

「ファルージャに行く機会があったら、アブ・ムサブ・アル・ザルカウィによろしくお伝えください」
アルカイダにミスを指摘されて大慌てのネグロポンテは、その後沈黙を保っている。中東の専門家として有名なミシガン大学のフアン・コール教授は、アラビア語で書かれたこの手紙を分析し、「シーア派の人間が書いた偽造文書」と推定している

Newsweek誌のマイケル・イシコフ記者は米軍のアルカイダ追跡作戦報道を評して「アルカイダのナンバー2ってのは何人居るんだ?」と揶揄している。「テロとの闘い」が混迷する中、米国民の中には「誰が誰を騙してい