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カテゴリー別過去記事:イラク戦争


2008/12/17

米国政治ジョーク:ブッシュのイラク記者会見靴投げ事件編

12月14日、イラクを電撃訪問したブッシュ大統領は、マリキ首相との共同記者会見中にイラク人記者から靴を投げつけられた。投げられた靴をうまく躱してみせたブッシュだが、落ち着き払って靴を払い落とそうとブッシュの前に手を広げたマリキ首相の態度に比較すると、合衆国大統領はずる賢い小心者にしか見えず、しかもそれが映像に残ってしまった。まさしくブッシュ政権8年間を象徴する事件である。

靴を投げたのは、エジプト本社の衛星放送局アル・バクダディアのイラク支社に勤めるテレビレポーター、ムンタデル・アル・ザイディ氏(29歳)。事件後、彼はアラブ社会で英雄として賞賛されており、無罪放免を求める声はいよいよ高まっている。(もちろん、イラク国内では客人のもてなしとしてふさわしくないと、記者の行為を批判する声もある)

サウジアラビアでは、或るお金持ちが記者の投げた靴を1つ1,000万ドルで買い取ると新聞に発表した。リビアでは、カダフィ大統領の娘が、靴を投げた記者に名誉勲章を与えると賞賛している。イラク政府は公式にアル・バクダディア社に対し謝罪を求めているが、放送局側は今のところ謝罪の構えを見せていない。一方、記者の実弟メイセム・アル・ザイディ氏はずっとテレビに出ずっぱりで兄を擁護しており、彼に対してすでにアラブ世界から100人以上の弁護士が協力を申し出ているという。

ブッシュを面前で批判したジャーナリストといえば、2004年のアイルランド訪問時にインタビューで活躍したキャロル・コールマンの事例が有名だが、彼女に比較すると今回のイラク人記者のやり方はとても褒められたものではないだろう。なにしろ、二度も的を外したのだから。


ジェイ・レノ:
「さて皆さん、ようやくブッシュ大統領の特技が見つかりましたね。ドッジボールだ!

皆さんご存じのように、昨日イラクで、ブッシュ大統領は靴爆弾で攻撃されました。ブッシュ大統領がイラクで記者会見している最中に、記者の一人が1足の靴を大統領めがけて投げつけたのです。ブッシュ大統領がどうなったか見た?靴を避けるために大統領はどうしたと思う?彼はこれまでにないことをしたんだ。左に傾いたんだよ!

おいおい!認めなきゃ!人物評価がどうであれ、ブッシュは優れた反射神経の持ち主だよ。ビル・クリントンも感心してるさ。だって、クリントンは靴とか、皿とか、照明器具とか、何でも避けられる専門家だもんな。

さて、問題はここだ。悪気はないんだよ。でも、シークレットサービスは何やってたの?少なくとも2つめの靴が飛んできた時には正面に飛んでこなきゃいけないでしょ?まあ、これでブッシュも任期が終わりだって悟っただろうね。シークレットサービス曰く“だって今は次期大統領を警護してるんだもん”。

さて、俺のお気に入りはこれ。CNN放送はイラク文化の専門家を引っ張り出した。専門家が言うには“何が起きたのか説明しましょう。アラブ社会では、誰かに向かって靴を投げるのは侮辱を意味するのです。”えっそうなの?アメリカと正反対だね。ここじゃ最大の賛辞になるもんね。

まあ、面白いことに、靴を投げつけた当の記者はすぐ逮捕されて、それからMSNBC放送への出演オファーを受けたってさ。」
MSNBC12月15日放送分
デビッド・レターマン:
「・・・ブッシュを褒めなきゃね。なにしろ、ものすごく素早い動きだっだからな。実に見事な対応だったよ。他の時も同じくらい素早く対応できてればねえ。ビン・ラディンとか、ハリケーン・カトリーナとか、ビン・ラディンとか住宅ローン危機とか、ビン・ラディンとかアフガニスタンとか、ビン・ラディンとかリーマン・ブラザーズとか・・。まあ、記者会見でさよならするためにあそこに行ったら、記者に靴を投げられたってわけだ。でもブッシュは見事だった。ブッシュがあんなにうまく逃げられたのはベトナム戦争以来じゃないかな?」
CBS12月15日放送分

2008/08/22

ロン・サスカインド新著:ブッシュ政権が諜報資料を捏造?

『The Price of Loyalty(邦訳:忠誠の代償)』『One Percent Doctrine: Deep Inside America's Pursuit of Its Enemies Since 9/11』など、ブッシュ政権の内幕を暴露した著作で知られる調査報道記者ロン・サスカインドが、最新作『The Way of the World: A Story of Truth and Hope in an Age of Extremism』で、イラク戦争開戦前諜報に関するブッシュ政権の新たな犯罪疑惑を暴露し、ホワイトハウスと全面対決の構えを見せている。

サスカインドの調査によれば、ブッシュ政権はイラク戦争の大義を9/11テロに結びつけるために、諜報書類の捏造をCIAに指示したという。政府情報機関を不正に悪用する行為は合衆国刑法上違法であり、事実であれば大統領弾劾要件に値する。

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2008/06/12

マクレラン元大統領報道官が語るブッシュ政権の犯罪

2004年3月22日、クリントン政権及び現ブッシュ政権でテロ対策大統領特別補佐官を務めたリチャード・クラークが、後に話題となる暴露本『Against All Enemies(邦訳:爆弾証言 すべての敵に向かって)』を発表した。クラークは同書で「同時多発テロの直前まで、ブッシュ政権はテロ対策に全く無関心だった」と書き、ブッシュ大統領と閣僚たちを猛烈に批判し、一方でテロ対策の責務を果たせなかったと国民に謝罪した

リチャード・クラークの大統領批判に真っ先に対応する羽目になったのが、当時のホワイトハウス報道官スコット・マクレランである。クラークの書籍が発売されたその日、彼はホワイトハウス定例記者会見で、リチャード・クラークを批判してこう言い放った:

「なぜ、まったく唐突にこんなことを?重大な懸念があったのなら、もっと早い時期から問題提起すべきだったのでは?政権を去って1年半が過ぎ、突然、このような重大な懸念を彼(クラーク)は持ち出しているんです。さて、ここで記者の皆さんに事実をちょっと鑑みてもらいたいのですが、彼は大統領選挙の真っ最中にこの件を持ち出しているということです。彼は本を書いたので、世に出て本の宣伝をしたいのですよ。」


What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception

スコット・マクレラン元大統領報道官の回顧録:What Happened: Inside the Bush White House and Washington's Culture of Deception

ところが、それから4年以上経過した2008年6月、“元”報道官スコット・マクレランは、リチャード・クラークと同じように暴露本を発表し、同じようにブッシュ政権批判を開始したのである。しかも、書籍発表直後から、連日テレビに登場し、喋るたびに「本に書いてあるとおり・・・」と、まさしくあからさまに書籍の宣伝に努めているのだ。

そして再び皆が言う:重大な問題を知っていたのなら、なぜもっと早く告発しなかった?

政界の元同僚からは裏切り者呼ばわりされ、マスコミからは「新しいことは何も書いてない」と嘲笑され(内容の一部は昨年暮れに報道済み、国民からは「ブッシュのプロパガンダに加担した張本人」と一層批判されることになった“テディベア”スコティ(愛称)。それなのに、インタビューに応えるマクレラン元報道官は、なぜか時折清々しい表情を見せる。さらに皮肉なことに、現役時代よりも今のほうが、弁舌が冴えているようだ。フォックスニュースの名物右翼タレント、ビル・オライリーの攻撃にも、一歩も退くことなく、むしろ少々愉快そうに反論し、ブッシュ大統領を必死に擁護するオライリーをおおいに苛立たせた

今年2月で40歳になったばかりのスコット・マクレラン。彼に一体何が起きたのか?

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2008/05/11

母の日とイラク戦争

Band of Sisters: American Women at War in Iraq

「イラクでは、あらゆる場所が戦線である。そのイラクで、米軍女性兵士たちは、階級・所属を問わず、あらゆる場所で戦っている。2003年以来、イラクとアフガニスタンに派遣された女性兵士は15万5,000人以上-1991年の湾岸戦争に比較して、その人数は4倍である。430人以上の女性兵士が戦傷を負い、70人以上が戦死しており、その戦死者数は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争で戦死した女性兵士総数のほぼ2倍に及ぶ。」

(source:クリステン・ホルムステッド著『Band of Sisters: American Women at War in Iraq』 公式サイト

軍事国家アメリカの、富裕でない大多数の国民にとって、戦争は日常生活の一部であり、もはや誰も無関係ではいられない。その国の最友好国(?)である日本の国民も、それに無関係でないと思い知る日がやがて来るのだろうか。

今回は、エリ・ペインティドクロウという人の母の日コラム以下に翻訳掲載。エリ・ペインティドクロウは米退役軍人で、アリゾナ州先住民族ヤキ族出身の女性だ。

こんなコラムを読んでいる時にも、憂鬱なニュースがどんどん追加されている。9日午後、イラクとアフガニスタンで戦死した兵士の遺体を火葬するにあたり、ペットの遺骸も扱う民間火葬場が利用されていることが暴露され、ペンタゴンは釈明に追われている。

2003年以来、すでに4万3,000人以上の「医学的に戦闘不適格」と診断された兵士が、イラク・アフガニスタンの戦地に派遣されていたことも明らかになった。米保険社会福祉省の研究機関、精神保健研究所の所長が、ワシントンで開催された米精神医学会定例会議で説明したところによれば、イラク・アフガニスタンで戦闘中に死亡した兵士の人数よりも、両戦地から帰還後にPTSD等が原因で自殺する兵士の人数のほうが多くなる可能性が高いという。(現在までのイラク・アフガニスタンでの米兵戦死者数は4,560人を超えている。)

丸腰のイラク市民を虐殺した件で、イラク政府は米国務省に事件を起こした傭兵企業ブラックウォーター社の国外追放を求めていたが、逆に米国務省は、今春ブラックウォーター社のイラク業務を延長している

先週木曜日には、イラク正規軍がイラク・サドルシティの住民に対して、住居から退去し近接するサッカー場に避難するよう呼びかけた

また大勢が殺害されることになるのだろうか。


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2008/03/12

イラク戦争:数字で見る最新情勢

ワシントンのシンクタンク『政策研究所』の外交問題ウェブサイトForeign Policy In Focusが、イラク戦争のコストを追跡報告するレポート『イラクの泥沼(The Iraq Quagmire)』を公開している。今回はこのレポートを雛形に、イラクの最新情勢を示す数字を以下に列挙してみた。


人的損失

So Wrong for So Long: How the Press, The Pundits--and the President--Failed in Iraq

米新聞業界紙Editor and Publisher社の編集人グレッグ・ミッチェル氏のメディア批評本『So Wrong for So Long: How the Press, The Pundits--and the President--Failed in Iraq』ブルース・スプリングスティーンが序文を書いている話題の書籍。

3,9734,000人:
イラクで戦死した米軍兵士の人数(2008年3月23日時点で4,000人超
2万9,203人:
イラク軍事侵攻開始から現在までに戦闘で負傷した米軍兵士の人数
3万1,325人:
戦闘以外の負傷、もしくは病気扱いになったイラク駐留米軍兵士の人数
7万人:
イラク・アフガニスタンの戦闘で聴覚障害を負った米軍兵士の人数
33万人:
2009年度に治療が必要となるイラク・アフガニスタン退役米軍傷病兵の人数(米退役軍人局の見積)
283人:
2001年のアフガニスタン侵攻から2005年末の間、アフガニスタンもしくはイラクに派遣された後に自殺した米軍兵士の人数。283人のうち144人が、戦地から帰還し軍を正式除隊した後に自殺している。
7,924人:
殺害されたイラク治安部隊兵士の人数
最低8万1,632人、最大112万人:
開戦以来今日までのイラク市民の推定犠牲者数
340万人:
イラク国内の難民数
220万人-240万人:
イラク国外に脱出した難民数
5,742人:
2008年1月24日までに米国が受け入れたイラク人難民数
15万5,000人:
イラクに駐留する米軍兵士の人数
2万5,595人(2004年11月)、1万8,000人(2006年)、9,895人(2008年):
『有志連合軍』の兵士数の変遷
74%:
イラクに駐留する米陸軍兵士のうち、2回以上の派遣を経験した者の割合
18万人:
イラクで活動する民間軍事請負企業従業員の人数
1人:
イラクで活動する民間軍事請負企業従業員のうち、暴力事件もしくは虐待事件で米国政府により訴追された人数
917人:
イラクで殺害された民間軍事請負企業従業員の人数

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2007/12/06

87歳の気骨:ヘレン・トーマスの怒り

ヘレン・トーマスは怒っている。かつてないほどに。

Helen Thomas

ホワイトハウス報道の最長老記者ヘレン・トーマス


Watchdog

ヘレン・トーマス最新著作『Watchdogs of Democracy?: The Waning Washington Press Corps and How It Has Failed the Public

レバノン系アメリカ人のヘレン・トーマス女史は、ケネディ政権時代から現在まで、ずっとホワイトハウス番記者を続けている87歳の名物ジャーナリストだ。ホワイトハウス定例記者会見では、いつも最前列に座って、大統領報道官がもっとも答えたくない類の質問をする。

2007年11月30日のホワイトハウス定例記者会見では、デイナ・ペリノ大統領報道官を相手に、いつもどおりの辛辣な言葉を浴びせた。二人のやりとりを以下に抜粋して翻訳する:

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2007/11/26

マクレラン元大統領報道官が回顧録でブッシュ政権を批判

スコット・マクレラン大統領報道官

「私がここから逃げ出したくなったことがあるかって?そんなこと毎日考えてるさ!(笑)」

2004年3月9日、ホワイトハウス定例記者会見で演台に立ったスコット・マクレラン大統領報道官が思わず漏らした言葉。

前任者のアリ・フライシャーが強圧的な態度で不評だったのに対し、人当たりがソフトなスコット・マクレランは“テディベア”と呼ばれ、また苦しい嘘で記者の質問をはぐらかし窮地に追い込まれる毎日から“シンプル・スコティ”とあだ名が付いた。彼はテキサス州知事時代からブッシュを支えた側近中の側近の1人でもある。

母親のキャロル・キートン・ステイホーンは女性初のオースティン市長に選出された地元の名士で、2006年テキサス州知事選挙で保守系独立候補者として立候補した。その際、ホワイトハウスを去ったばかりのスコット・マクレランが選挙マネージャーを務めたが、ブッシュ大統領は共和党公認の現職リック・ペリーを推薦し、マクレランの母親は落選した。ちなみにスコット・マクレランの父親は、ベストセラー書籍『ケネディを殺した副大統領―その血と金と権力』の著者、バー・マクレラン氏。

ブッシュのホワイトハウスに勤務し、マスコミに嘘をつくことを日常業務としていた大統領報道官が回顧録を執筆した。書いたのは嘘?それとも真実?

ブッシュ政権で2003年7月から2006年4月まで大統領報道官を務めたスコット・マクレラン氏が、現在執筆中の回顧録の中で、CIA工作員身元漏洩事件(ヴァレリー・プレイム事件、通称PlameGate)において、ブッシュ大統領が隠ぺい工作に直接関与したことを仄めかし、マスコミをにぎわせている

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2007/11/14

ボストングローブ紙:イラク戦争費用で何が買えたか

「いずれ人々は今の時代を振り返って言うだろう:“信念を貫いた世代に感謝する。おかげで中東は自殺のない場所になった。”」

-ジョージ・W・ブッシュ、2007年11月11日の演説における発言

調査研究NPOの『全米優先計画(National Priorities Project)』の報告によれば、ブッシュ政権が要求する2008年度イラク戦争関連予算額は1,555億ドル(約17兆594億円)で、イラク侵攻以来の戦争費用は直接費だけでもおよそ6,115億ドル(約67兆1,211億円)に昇ることになるという。

6,115億ドルとはどれくらい凄い金額なのか?それだけの金があれば何が可能になったのか?・・・ボストングローブ紙は以下のように書いている:


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2007/09/03

イラク駐留イギリス軍、10月にバスラから撤退開始

英サンデータイムズ紙の9月2日付け報道によれば、イラク南部バスラに駐留するイギリス軍が、早ければ10月にもイラク陸軍へ治安権限を移譲する計画を立てており、イギリス軍が「慌てて逃げ出げだそうとしている(cut and run)」という米国政府側の見方がさらに強まるのは不可避との見通しが示されている。

バスラでの治安権限委譲が計画どおり可能となれば、イラク駐留イギリス軍兵士5,500人のほとんどがイラクを離れることになり、イラク駐留イギリス軍の年内完全撤退が現実味を帯びてきたことになる。

2007/08/15

イラク駐留米軍:狙撃兵の従軍拒否宣言

英国の医学雑誌LANCETに掲載された研究によれば、米軍のイラク侵攻以来、イラク国民の総犠牲者数は100万人に達しようとしている

アフガニスタンではすでに419人の米兵が戦死した。イラクでの米軍戦死者数は3,666人、そのうち3%は自殺が占めているという

英デイリーメール紙の試算によれば、イラク戦争の戦費は米軍・英軍合わせて1秒間に2,000ポンド(約47万円)以上のペースで増え続けている

2008年度のアメリカ大統領選候補者のうち、ヒラリー、オバマはいずれも米軍のイラク駐留について“撤退”ではなく“中東再配備”を主張する。オバマは米国はパキスタンに単独攻撃を仕掛けるべきと主張し、ヒラリーは核攻撃も選択肢から外してはならないと発言して憚らない。民主党トップ集団にとって、どうやらブッシュ政権はソフト過ぎるらしい。

一方でイラク駐留米軍の即時全面撤退を支持するのは、民主党ではビル・リチャードソン候補、デニス・クシニッチ候補、そしてマイク・グラベル候補、共和党ではロン・ポール候補のわずか4人。悲しいことに、アメリカでは戦争を批判するとアウトサイダー扱いされてしまう。

ド根性大統領候補マイク・グラベル
は「ベトナムでの米軍兵士の死は無駄ではない。兵士に謝罪せよ」という批判に応えて、こんなことを書いている

「・・・南ベトナム陥落後、アジア全土に共産主義が拡大するという不吉な予測は実現しなかった。共産国であっても、アメリカ合衆国とベトナムは今や最も良好な貿易関係を築いている。ホーチミン市に行けば、バスキン・ロビンスのアイスクリームを買うことも出来る。

30年間もの無用な流血の結果、5万8,000人ものアメリカ人が殺害され、数万人が手足を失くし精神を病んで帰還した。自己を犠牲にして祖国に尽くした兵士達には敬意を表すべきだ。しかし、彼らの英雄的行動が戦争そのものの無益さを軽減したわけではないことも認識すべきである。現在、イラクで同じ過ちを繰り返すことで、我々は退役軍人や戦地の兵士たちに対して非常に酷い仕打ちをしている。なぜ我々が再び同じ過ちを繰り返しているのか問うてみるのは公正ではないのか?」


テレビに登場すれば怒鳴ってばかりのマイク・グラベルだが、しかし戦争に対する彼の主張は沈黙を通じてさえ広範に知らされるべきだと強く感じる。

過去の戦争を理解し反省するために、私達がすべきことはたくさんある。

現在の戦争を終結させるために、私達にできることはたくさんある。

未来の戦争を避けるために、私達にできることは必ずある。


混迷するイラクでは、米軍兵士による従軍拒否の声もよく聞かれるようになった。今回はある狙撃兵の物語を以下に翻訳して掲載。

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2007/07/29

米軍のイラク・アフガニスタン帰還兵、5万2,375人がPTSD

米退役軍人局の最新報告によると、イラクとアフガニスタンから帰還した米軍兵士のうち5万2375人がPTSDとして診断されたが、戦傷年金を支給されたのはわずか1万9,015人で、退役軍人向け医療制度のさらなる拡大が求められているとのこと。(source:サロン誌、退役軍事局公文書

英陸軍で2004年以来兵士の脱走事件が9,000件以上発生

英日刊紙ヘラルドの報道によると、イギリス陸軍では2004年以来9000人以上が脱走し、現在も1,100人以上が逃亡中であることが明らかにされている。

現在のアフガニスタン・イラクでの任務増加が脱走兵増加の原因であるという見方を英国防大臣は否定しているが、2007年に入り6ヶ月間ですでにおよそ1,300件の脱走兵事件が発生していることは認めている。

ヘラルド紙の調査によると、2004年以来軍を脱走した英兵士の人数は9,350人で、英陸軍兵士総数(予備役含め9万8,000人)の10%近くを占めている。

米陸軍では、イラク戦争開戦以来7,000人以上の兵士が軍を脱走していると見られている。

イギリスでは、7月初旬に英陸軍参謀総長のリチャード・ダナット卿が、英軍のイラク駐留により国防体制が悪化しており、英陸軍が崩壊しかねない、と政府側に警告している。ダナット卿は上級将校たちに対し、イラク、アフガニスタンの部隊を補強するほどの戦力が残っておらず、これ以上不足の事態が発生した際には対応できないと通達している。

また、ヘラルド紙の調査によると、英空軍の輸送機のうち1/3が40年以上使用されていて故障が耐えないなど、英軍全体の装備の老朽化も問題になりつつあるという。

2007/07/13

イラク駐留米軍、1年で429人の市民を検問所で誤射:公式記録で発覚

イラク駐留米軍は、検問所やパトロール中車列付近で、過去12ヶ月に一般イラク市民429人を誤射し、死傷させている事実が、米軍内部の統計資料で明らかになった。(source:米マクラッチー紙2007年7月11日付報道

駐留米軍によるイラク市民犠牲者数に関する公式統計が明らかになったのは今回が初めてであり、一般市民の保護任務を充分に果たせていない米駐留軍の現実を表している。

記録によれば、今回明らかになった死傷者数は、検問所に近づきすぎたか、検問所に急接近した市民に対し米軍兵が発砲した事件の犠牲者を示しているという。

2007/07/09

NYタイムズ紙が社説で初めてイラク撤退を主張

ニューヨークタイムズ紙は7月8日日曜版社説で、同社としては初めて公的にイラクからの撤退を呼びかけている。『故郷への道』というタイトルが付いた同社説の最初の一文はこう始まっている:「合衆国がイラクから撤退する時期が来た。秩序ある撤退に必要とされる以上に遅れるべきでない。」

タイムズ紙はさらにブッシュ政権を強い言葉で攻撃している。「ブッシュ大統領とチェイニー副大統領はデマゴギーと恐怖を操り、戦争を終わらせようというアメリカ国民の要求を抑え付けている。撤退は流血と混沌を招き、テロリストを勢いづかせることになると彼らは言う。実際には、すでにそうした事態になっている-この不必要な侵攻と無能な戦争手腕の結果である。」

米世論では過半数がイラク撤退を支持しているが、紙面でイラク撤退を主張する新聞社は、これまでロスアンゼルス・タイムズ紙などごく一部に過ぎなかった。

2007/07/06

「イラク駐留は資源確保のために必要」オーストラリア国防大臣が説明

オーストラリア防衛大臣を務めるブレンダン・ネルソンが、ABC放送のインタビューでイラク駐留継続の理由について問われ、「中東地区における資源確保のために必要」と発言し、ハワード首相が慌てて防衛大臣の発言を否定する事態となり、オーストラリア政界で波紋が拡大している。AFP通信の報道

「世界各国にとってはもちろんのこと、オーストラリアの国益確保のためにも、資源確保は重要なのです。」インタビューの中で、ネルソン防衛大臣は言っている。「イラクだけでなく、中東地域全体が、資源供給元として、特に石油供給元として、世界各国にとって重要な地域なのです。」「イラクから早期に撤退するとなれば、どんな事態になるのかを、オーストラリア国民は考えるべきです。」

防衛大臣の発言がもたらす批判を抑えるため、同日に行われたラジオインタビューでハワード首相はただちに嫌疑を否定し、「我が国がイラクに駐留する理由は石油ではなく、参戦した理由も石油ではないし、駐留継続の理由も石油ではない。」と説明した。また、サンデーヘラルド紙が先日スクープしたイラク駐留オーストラリア軍撤退計画の存在についてもあらためて否定している。

一方、イラクからの早期撤退を唱える野党・労働党は、防衛大臣と首相の発言の矛盾を批判し、与党への攻撃姿勢を強めている。今年末に予定されているオーストラリア総選挙で、イラク戦争問題は最重要の争点となっており、オーストラリア国内では野党側有利の観測が拡大している。

2007/07/01

イラク駐留オーストラリア軍、2008年2月から撤退開始か?

オーストラリア・サンデー・テレグラフ紙のスクープ記事によれば、ジョン・ハワード首相は密かにイラク駐留軍撤退計画を練っており、来年2月から撤退を開始する意向であるという。

オーストラリア政府上層部の高官がテレグラフ紙に明かしたところでは、ハワード首相側のイラク撤退計画は政府閣僚の安全保障会議上に提示されておらず、米ブッシュ政権にもまだ伝えられていない機密事項であるという。また同高官の話によれば、ハワード首相側は、米政府議会が今年9月中旬に予定しているイラク駐留米軍戦況報告の結果と、イギリスの新首相ゴードン・ブラウンの意向を鑑みてから撤退計画の詳細を決定するという。

2007/06/15

テリー・ジョーンズ:『これぞまさしく機会の地』

「今後、国民とメディアには、イラクや世界中で兵役に就いている人たちの事など、もっと重要な話題に関心を持つよう望みます。」

-パリス・ヒルトン、再収監の際の声明文より(source)

今回は、モンティ・パイソンで知られるテリー・ジョーンズの最新コラムを以下に翻訳。以前のコラムに比較するとかなりストレートに、傭兵企業の問題を取り上げている。

英インディペンデント紙の報道によれば、イラクで活動する傭兵はおよそ4万4,000人といわれる。特に英国人傭兵は2万1000人を超え、英国駐留軍のほぼ3倍の規模になる。イラク駐留各国軍の兵站等、後方支援業務も担う企業も多く、それらを含めた民間軍事要員の総数は12万6,000人以上とみられている。傭兵の活動は正規軍の管理下にないので、しばしば現地で正規軍と衝突し、銃撃事件を起こすなど、治安悪化の隠れた要因になりつつある。

コラム中に登場する傭兵企業ブラックウォーター社は、米海兵隊、米陸軍その他世界中から特殊部隊出身者を集めて傭兵サービスを行う業界最大手。ワシントンにも関わりが深く、例えば元CIAビンラディン追跡チーム責任者で、現在ブラックウォーター社の副会長を務めるコーファー・ブラックは、共和党大統領候補ミット・ロムニーの選挙対策チームに加わっている

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2007/05/30

メモリアル・デイ:自問する米軍兵士たち

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Photo: John Moore / Getty Images)写真コメント:「2007年5月29日:メアリー・マクヒューは亡くなった婚約者ジェイムズ・リーガンを追悼。特殊部隊所属のリーガン三等軍曹は2007年2月にイラクでIEDの爆発により殺害された。前年のメモリアル・デイ以来、イラクで戦死した兵士の墓は1,000人分ほど増加している。」


戦没将兵記念日(メモリアル・デイ)となる5月28日、全米各地で様々な戦没者追悼行事が行われた。

統合参謀本部議長ピーター・ペース大将はCBS放送に出演し、「9/11テロでは米国人3,000人以上が殺されました。それ以来、自ら犠牲となって戦死した人数はそれを超えようとしています。」と発言した。ペース大将は9ヶ月ほど前にもCNNの取材で同じようなことを言っている:「9/11テロから5年が過ぎようとしています。わが軍の兵士で自ら命を捧げた人数はテロで殺された人数に迫ろうとしています。」

実際、イラク・アフガニスタン両戦地での戦死者数は2006年9月の時点で9/11テロ犠牲者数を越えていた。ピーター・ペース大将がCBS放送に出演していた時点で、9/11テロの犠牲者数は2,996人、米軍兵士戦死者数は少なくとも3,452人だった。戦死者が日毎に増えている事実を米国民に知って欲しくなかったペース大将が、意図的に視聴者をミスリードしたのかどうかは定かでないが、戦争犠牲者への無関心が拡大しているのは事実だ。イラク国民の犠牲者数については、もはや推定数でさえ滅多に報道されなくなった。

戦死者の増加に対する懸念を抑えるために、国防総省は報道規定を以前よりさらに厳格化した。戦死した兵士の名前や顔写真、経歴や従軍事情を記事にするためには、書状による同意書を前もって当人と交わすことが必要になった。戦闘任務に出動する直前に、従軍記者は兵士達に「死んだら記事にしていいか?」と同意書を取り出すわけだ。駐留軍兵士にとって、ジャーナリストは死のメッセンジャーに見えることだろう。

そうした米政府の“戦争情報最小化”努力により、戦地の兵士が伝える苦悩の言葉はメディアの片隅に追いやられているが、今回はハーバード大学のジャーナリズム支援組織『ニーマン報道基金』の公式サイト上に掲載された駐留軍兵士の寄稿文を以下に翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)


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2007/03/19

イラク戦争4年後の泥沼:武装勢力の新たな戦術

「ワシントンはますます大変なことになってますね。ハリー・リード議員(民主党)の“イラク戦争は合衆国史上最悪の失敗だった”という批判に、本日ホワイトハウス側は反論しました。ホワイトハウス側はこう言ったんです:“ブッシュ大統領にはまだ2年任期が残っていることを国民は理解すべきだ”。」

コナン・オブライエンのジョーク

米軍のイラク侵攻から4年。米軍兵士3,254人がすでに戦死し、2万3,924人が戦傷を負っているGlobalSecurity.orgの調査。イラク市民の犠牲者数は最大6万5,121人iraqbodycount.orgの調査国連人権委員の報告によれば、2006年だけでイラク市民3万4,452人が殺害され、3万6,000人以上が負傷したという)。イラク国内では駐留連合軍、シーア派武装勢力、スンニ派武装勢力による内戦状態が拡大している。

一方でイラク北部では、クルド自治政府(前クルド愛国同盟)の代表を務めるクバド・アル=タラバニ氏(ジャラル・タラバニ前イラク大統領の息子)が米国ワシントンDCでロビイングオフィスを開設し、米実業界に投資を呼びかけながら自治権拡大をPRしている。しかし北部でのクルド人勢力拡大に反対するスンニ派武装勢力は、北部でも攻撃を行っている

シーア派民兵軍(ムクタダ・アル・サドル氏率いるマフディ軍など)の勢力拡大が伝えられると、シーア派と連携するイランの影響力拡大を懸念するサウジアラビア王家は、昨年暮れにチェイニー副大統領をわざわざサウジへ召還し、「米軍が増派しないのなら我々はスンニ派武装勢力への支援を拡大するぞ」と警告し、着任して1年早々の駐米サウジ大使を急遽帰国させたチェイニーのサウジ訪問は、当初は定例の石油産出国訪問とアピールされていたが、ポスト紙が暴露するように、サウジ側がブッシュ政権側に“すぐ顔を出せ!”とばかりに呼びつけたものであったらしい。)

サウジ王家のスンニ派武装勢力支援宣言は、ブッシュ政権にとって非常に厄介な問題のはずだった。なにしろイラクのスンニ派武装勢力にはアル・カイダ系グループも含まれているというし、911テロの首謀者の多くはサウジ出身で、サウジ王家とビン・ラディン家は深い関係にある。しかも、イラク駐留米軍への致命的攻撃の大部分はスンニ派武装勢力によるものだ。しかし、サウジの支援によってシーア派武装勢力とその背後にいる(?)イラン政府に打撃を与えたいブッシュ政権は、米国への宣戦布告にも等しいサウジの行動を黙認しただけでなく、サウジ王家の意向に沿うように、議会の承認もないまま米国民の税金を密かにスンニ派武装勢力(アルカイダ系含む)に提供し始めたというシーモア・ハーシュの報道

つまり、イラク駐留米軍への攻撃が激化し、米兵戦死者が急増する原因の一端は、ブッシュ政権とその友人であるサウジアラビア王家ということになる。そしてブッシュ側は、イラク内戦激化の原因がイランのシーア派支援にあると主張し、イラン侵攻へと歩を進めつつある。今のところ米大手メディアはイラク戦争よりもアンナ・ニコル・スミスの突然死に5倍から10倍の報道時間を割いて国民の目を逸らしているが、ブッシュとサウジによる米国への裏切り行為が知れ渡ることになれば、アメリカ国民も黙ってはいないだろう。

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2007/02/23

イラク駐留:連合各国の現状

イラクに兵士を駐留させている連合軍各国の現状について、AP通信がわかりやすくまとめているので、以下に列挙した。

  • アルバニア:非戦闘要員を120人駐留させており、主にモスル周辺でパトロール業務に従事している。撤退の予定はなし。

  • アルメニア:ポーランド軍の指揮下で、兵士46人が駐留。医療、エンジニアリング、運転手業務に従事している。2007年末まで駐留予定。

  • オーストラリア:550人の兵士が駐留。イラク南部で警備員を養成している。英インディペンデント紙によれば、オーストラリアはイラクとその周辺国に合計1,400人の兵士を派遣しているという)

  • アゼルバイジャン:150人の兵士のほとんどが歩哨、パトロール、ダム警備業務に就いている。撤退の予定はなし。

  • ボスニア・ヘルツェゴビナ:兵士36人が駐留。

  • イギリス:イラク南部に兵士7,100人が駐留。ブレア首相は今後数ヶ月で兵士1,600人を撤退させると発表している。

  • ブルガリア:155人が駐留、その内120人は非戦闘員でイラク北部の難民キャンプを警備し、35人は支援要員。

  • チェコ共和国:兵士99人が駐留。

  • デンマーク:兵士460人が駐留し、バスラ周辺を警備中。8月末までに完全撤退予定。

  • エルサルバドル共和国:380人の兵士が駐留。治安・人道支援業務に就いている。撤退計画はない。

  • エストニア共和国:米軍の指揮下で35人がバグダッドに駐留している。

  • グルジア:米軍の指揮下で、およそ900人の兵士が医療、支援、戦闘業務に就いている。撤退・削減予定はなし。

  • カザフスタン:27人の工兵が駐留。撤退予定なし。

  • ラトビア共和国:ポーランド軍の指揮下で125人の兵士が駐留。

  • リトアニア:デンマーク軍の指揮下で53人の兵士がバスラ周辺に駐留。8月末撤退の観測が強くなっている。

  • マケドニア:兵士40人がバグダッド北部のタジに駐留。

  • モルドバ共和国:駐留していた11人の爆弾処理専門家が1月末で帰国し、追加派遣の予定は未定。

  • モンゴル国:兵士160人が駐留、撤退予定なし。

  • オランダ王国:NATO指揮下で15人の兵士が警察官・兵士訓練業務に就いている。撤退予定なし。

  • ポーランド:非戦闘要員900人が駐留。2007年末まで駐留予定。

  • ルーマニア:兵士600人ほどがイギリス軍の指揮下で南部に駐留。他に20人ほどの諜報要員がバグダッド北部に駐留。トライアン・バセスク大統領は撤退計画に反対だが、カリン・ポぺスク=タリチャーヌ首相は撤退を要求している。

  • スロベニア:4人の訓練担当官がイラク治安部隊を訓練中。

  • 韓国:兵士2,300人がイラク北部に駐留。4月中に1,100人を削減予定で、議会は2007年末までに完全撤退するよう求めている。

  • アメリカ合衆国:およそ14万人の兵士が駐留。

撤退か駐留継続か-イラク駐留各国軍の今後

英インディペンデント紙の報道によれば、イギリス、デンマークに続いて、イラクに兵士を派遣している各国も続々と撤退計画を話し始めている。

デンマーク軍撤退を受けて、同じエリアに53人を駐留させるリトアニアも、撤退について検討を開始したという。

イギリス軍の指揮下で活動しているルーマニア軍も、近日中に撤退スケジュールについて決定を迫られるとみられているが、ルーマニアのトライアン・バセスク大統領は「早期の撤退はイラク国内の混乱を増す」として国内からの撤退要求に反論している。

イラクに900人の兵士を駐留させているポーランドは、すでに年内撤退を発表済だ。韓国はイラク北部に兵士2,300人を駐留させているが、4月までに半数を撤退させる予定で、韓国議会はさらに年内で完全撤退を完了させるよう要求している。

一方で1400人の兵士を駐留させているオーストラリアは駐留を継続する予定であるといい、155人の兵士の駐留期限が3月末に迫るブルガリアは、議会の投票により駐留期限の延長を決定しているとのこと。

2007/02/22

イラク駐留デンマーク軍、8月までに撤退へ

イラク駐留デンマーク軍は、今年8月までに兵士全員をイラクから撤退させる予定であることが、デンマークのアナス・フォー・ラスムセン首相の発表で明らかになった。(source:ロイター通信

現在、およそ470人ほどのイラク駐留デンマーク軍兵士が、イラク南部において英軍の指揮下で復興活動に従事しているが、駐留軍撤退後は兵士9人で構成されるヘリ部隊を復興監督任務のために残す予定であるという。

一方でラスムセン首相は、NATO指揮下にあるアフガニスタン駐留デンマーク軍を、現在の400人体制から600人体制に増派する計画を検討中していると話している。

イラクでは現在までに6人のデンマーク軍兵士が殺害されている。

2007/02/21

英タイムズ:イラク駐留英軍は4月から撤退開始

英タイムズ紙の最新報道によれば、本日中(21日)にもブレア英首相はイラク駐留英軍の撤退計画について発表する予定であり、早ければ4月から順次兵士の帰国が開始されるとのこと。今のところ、これら撤退報道に関してブレア首相側は沈黙している。

具体的には、バスラに駐留する英軍兵士7,000人のうち、1,500人を夏までに撤退させる予定で、4月から順次帰国が開始され、年内に3,000人の撤退を完了する予定であるという。

また、他の英メディア報道によれば、イラク駐留英軍全部隊の撤退は2008年末までに完了される計画であるとも伝えられている。

英軍の撤退報道に対応して米ホワイトハウスの広報担当官ゴードン・ジョンドローは、20日朝にブレア首相側からブッシュ政権に対して駐留英軍の撤退案について電話で知らされていたと認めている。ホワイトハウス報道官は駐留英軍の撤退について「我々(ブッシュ政権側)は今回の件を(イラクの治安安定化)成功の証と見ている」と話している。

2007/01/19

最新政治ジョーク

ジェイ・レノ:「本日、ナンシー・ペロシが合衆国史上初の女性連邦下院議長になりました。ドレスを着てワシントンに登場する人物としてはJ・エドガー・フーバー以来の出来事だそうです。」
(訳注:J・エドガー・フーバーは初代FBI長官で、女装癖があったと噂されているが真相は不明)

ジェイ・レノ:「まあ、パリス・ヒルトンとかブリトニー・スピアーズの追っかけをしてる女の子達にとっては、ナンシー・ペロシは言わばお手本というわけですね。」

ジェイ・レノ:「ウォールストリートジャーナル誌のインタビューで、イラク現首相は2期目は務めるつもりがなくて、早期に退任する考えであると言ってます。本人が言うには、他にやりたいことがあるそうで・・・例えば、生き残る事とかですね。」

ジェイ・レノ:「それで兵士達は安堵しているそうです。イラク首相がもう辞めたがってる?フランス人だってそんなに早く諦めたりしなかったんだけどねえ。」

ジェイ・レノ:「最新の世論調査によれば、アイオワ州でヒラリー・クリントンは大統領候補としては4番目につけているそうです。悪くない数字ですね、だって彼女は自宅では8番目の女性になってますからね、つまりその、ビルの相手としては。」

コナン・オブライエン:「ちょっと困ったことです。ブッシュ大統領は新郵政法によって令状なしに誰の郵便物でも読む権利が大統領に与えられたと主張してるんです。もしこの法律に怒りを感じたら、妹宛てに手紙を書いとけば、ブッシュに知らせることができますよ。」

(以上source


ジェイ・レノ:「良いニュース-昨夜、ブッシュ大統領はイラクで失敗したことを認めました。悪いニュース-大統領はまた同じ失敗をする計画をたててるんです。」

ジェイ・レノ:「本日、というより昨夜、実際は今私たちが話している最中に、ブッシュ大統領は2万人分の雇用を新たに創出すると発表しました。勤務先は全部イラクです。ええっと・・・」

ジェイ・レノ:「いや、そうじゃなくて、皆さんもう聞いてるでしょう。ブッシュ大統領は、イラク駐留米軍の兵力を増強させる(surge)って言ったんです。前回「増強(surge)」って言った合衆国大統領は弾劾されたんですけどね。あれ?ああ、そうか、ありゃ「衝動(urge)」だったっけ。こりゃ失礼!」

ジェイ・レノ:「ブッシュ大統領がイラクに2万人追加派兵する理由は、大統領はそれでイラク国内の戦闘を止められると思ってるらしいんです。イラクの戦闘を止めさせる?ロージー・オドネルとドナルド・トランプの喧嘩も止められないっていうのに?!」

ジェイ・レノ:「ブッシュ大統領はさらに、軍の指揮官達は全員が大統領の計画がうまくいくと言ってるとも説明してます。つまり、うまくいかないと言う者は軍の指揮官ではいられなくなったというわけです。」

ジェイ・レノ:「テッド・ケネディは大統領を批判しています。イラクはブッシュのベトナムだ、とケネディは言うんです。こりゃ公正じゃないね。ベトナムとは全く違いますよ。ベトナムでは、ブッシュは抜け出す方法を知ってたんですから。」

デビッド・レターメン:「ブッシュはイラクにもっと兵士を派遣します。それが解決策だそうで。私が思うに、もしも大統領が今でも州兵部隊にいたとしたら、そんなことをするでしょうかねえ?」

ジェイ・レノ:「米原子力潜水艦ニューポート・ニューズが日本の石油タンカーとホルムズ海峡で接触しました。その知らせを聞いたブッシュ大統領は、即座に電話で石油の安否を尋ねました。」

ジェイ・レノ:「石油といえば、値段がずっと下がり続けてますね。今では1バレル54ドル以下だそうで。おわかり?1バレル54ドル。で、1バレル54ドル以下なのに、今朝私の車を満タンにしたらなんで62ドルもとられたんだろ?1バレルも使ってないんだけど?」

ジェイ・レノ:「これもご存知でしょうけど、今では合衆国政府は令状なしに誰の郵便も覗けるようになったんですよ。私がこのことに気づいたのは、例の郵便を受け取った時です。ほら、皆さん知ってるでしょう、“あなたも当選するかもしれません!”ってやつです。手紙の隅っこを見たら、書いてあったんです-“監査の結果、当選してませんでした。ブッシュ大統領より”」

ジェイ・レノ:「ワシントンポスト紙によると、ジョン・ケリーはホワイトハウスを目指して新たにスタッフを集めているそうです。ケリーは周りの人に、同じ失敗は繰り返さずに、今回は全部新しい失敗にするから心配要らないって言ってるんですよ。」

ジェイ・レノ:「アーノルド・シュワルツェネガー州知事は、全てのカリフォルニア住民に対して公的医療保険を提供すると言ってます。彼がこれを思いついたのは、アイダホ州でコケて足を骨折した時だそうです。HMO(民間医療保険組織)を相手にする時ほど、公的医療保険が必要と思い知らされる機会はないですもんねえ。」

(以上sourceその1、あるいはsourceその2

2007/01/18

NYタイムズ:1.2兆ドルで何が買えた?

「1.2兆ドルで何が買えた?」NYタイムズ紙1月17日付けの記事で、経済部のデビッド・レオンハート記者が興味深いレポートをしている。1.2兆ドル-約144兆6,650億円-とは、イラク戦争全体の費用について同記者が試算した金額である。

図:イラク戦争費用を俯瞰する

from NYタイムズ紙:イラク戦争費用と公共サービス費用を比較すると・・・(*画像クリックで全体表示します)(上記戦争費用は年間1,200億ドルの軍事費用に加え退役軍人医療費、障害保障費、戦後の軍隊再編費、戦争による燃料費増加分を含む試算、source

この記事によれば、イラク戦争の年間費用は2,000億ドル(約24兆1,178億円)。国連人権委員会の報告によれば、昨年1年イラクでは3万4,452人の国民が殺され、3万6,000人以上が戦傷を負った。一方で、仮に世界中の子供に破傷風や百日咳等の予防接種を実施したならば、その費用はたったの6億ドル(約724億円)であるという。

デビッド・レオンハート記者の記事を以下に引用する:

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2006/12/29

サダム・フセイン、29日中に絞首刑執行か

米NBCニュースの報道によると、死刑が確定したサダム・フセインの死刑執行は、イード(ラマダン明け祭り)が始まる日曜日までに行われるとみられ、早ければ29日(金曜日)にも絞首刑が行われる見込みであるという。

サダムの弁護士を務めるバディ・アレフ氏の話によれば、死刑執行を前に、獄中のサダムは母方の兄弟二人(共に米軍により拘束中)と面会し、遺言を託したとのこと。

2006/11/02

ティルマンは戦場へ行った

今回は、現在全米で話題となっているケビン・ティルマン氏のコラム以下に全文翻訳して掲載。

ケビン・ティルマン氏の兄、パット・ティルマンはNFLのスター選手で、911テロ事件後に愛国心に駆られ、プロ選手としての高額年収を蹴って、弟ケビンと共に陸軍に入隊。米陸軍レンジャー部隊兵士としてイラクに派遣された後、2004年4月22日にアフガニスタンで戦死した。ケビン・ティルマン氏は2005年に除隊している。

パット・ティルマンの戦死について、当初陸軍側は「敵との交戦で殺害された」と遺族に説明していた。しかし2年経過した現在では、友軍の誤射で死亡した事実が明らかになっている。その後、戦死した兵士の遺族達の追求により、米軍が友軍の誤射による死亡例を隠してきた事実が少なくとも7件確認されており、米軍の公式戦死報告への信頼性はさらに低下しつつある。

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2006/10/18

イラク:『有志連合軍』戦死者3,000人を超える

米CNN放送の集計によると、イラク戦争で米英軍を中心とした『有志連合軍』の総戦死者数が10月16日時点で3,000人を超えたという。

CNN放送によれば、連合軍側の戦死者数は以下のとおり。

  • 米軍:2,759人
  • 米軍が雇った傭兵:7人
  • 英軍:119人
  • イタリア軍:32人
  • ウクライナ軍:18人
  • ポーランド軍:17人
  • ブルガリア軍:13人
  • スペイン軍:11人

上記の他に、オーストラリア軍、デンマーク軍、エストニア軍、フィジー軍、オランダ軍、ハンガリー軍、カザフスタン軍、ラトビア軍、ルーマニア軍、サルバドル軍、スロバキア軍、タイ軍で戦死者が出ているという。

チェイニー2006年10月16日

ケンタッキー州フォートキャンペル基地で4000人の兵士を前に演説するチェイニー副大統領。最近では『ホワイトハウスのベイダー卿』『ダース・チェイニー』等と呼ばれている。話す内容はほとんど妄想。

イラクの戦況としてCNNが伝えるところでは、スンニ派武装勢力が米軍に対してビデオで和平協定を申し出ており、和平の条件として米軍撤退のタイムテーブル提示と武装勢力の正式認可を挙げているという。また、スンニ派の或る武装勢力はイラク分割統治案(連邦制)を提案している。

一方、16日にケンタッキー州フォート・キャンベル基地で行われた『第101空挺師団イラク帰還歓迎会』で、チェイニー副大統領はイラクから帰還したばかりの4000人の兵士に対し以下のように演説している

「駐留軍として従軍した諸君には、簡単ではないが着実に事態が進展していることがおわかりだろう。そして、さらに前進できる自信があるはずだ。(中略)様々な交流を通じて培われた諸君の寛大さと品位、栄誉と親切心が、(イラクと米国)両国にとって大切な、強固な友好関係を築いてきたのだ。」

第101空挺師団からは、今も4,000人がイラクで任務に就いている。

2006/09/20

ラムズフェルド:「もしフセイン体制が続いていたら今頃彼は大金持ちだ」

2006年9月11日、シカゴのラジオ番組に出演したラムズフェルド国防長官は、イラク戦争の新しい口実を国民に説明してみせた

ラムズフェルド:「重要な事実として-もしサダム・フセインが今もイラクで権力の座にあったとしたら、石油で大儲けしてるだろうね。今の石油価格を考えてみてくれ。フセインは大金持ちになっただろう。そして、イランの核開発や、北朝鮮の核開発を見ながら、自分にもできないわけはないと言って開発を始めるだろう。だから、サダムがいなくなって我々は本当に幸運なのだよ。」

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2006/08/06

米外交官:「イラク侵攻直前までブッシュはスンニ・シーア派間闘争について知らなかった」

The End of Iraq

前在クロアチア米大使ピーター・ガルブレイスの著作『The End of Iraq: How American Incompetence Created a War without End

先日亡くなった経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスの息子で、在クロアチア米大使を務めたピーター・ガルブレイス氏は新著『The End of Iraq: How American Incompetence Created a War without End』の中で、ブッシュがシーア派とスンニ派について知ったのはイラク侵攻直前だったと書いている

同著作によれば、2003年1月にホワイトハウスで、ブッシュ大統領とイラク系アメリカ人3人による会談が行われた際、3人はブッシュに対してシーア派とスンニ派の違いについて説明することに少々時間を費やしたという。説明を聞いてブッシュはこう返答したと伝えられている:

イラク人は皆イスラム教信者だと思ってましたよ!

2006/07/24

クルーグマン:「愚か者の大行進」

経済学者ポール・クルーグマン教授のタイムズ紙連載コラム2006年7月17日付記事を以下に全文翻訳して掲載。

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2006/06/19

イラク戦争とAK-47

もっとも危険な“傑作品”

Kalashnikov

半世紀以上売れ続けるアサルトライフルAK-47を生み出したミハイル・カラシニコフ氏。86歳の現役銃器デザイナーは勲章の数も記録的。

アサルトライフルAK-47

AK-47アサルトライフル

1941年10月、ロシア・ブリヤンスクにおけるナチス・ドイツ軍との激しい戦闘で重傷を負ったソ連軍戦車兵ミハイル・ティモヘビッチ・カラシニコフ軍曹は、病院で療養中に、オートマチック銃の欠如がソ連軍不利の原因であると考えた。軍備品発明の実績を持つカラシニコフ氏は、そこでサブマシンガンの開発を決意する。それから8年後の1949年、カラシニコフ氏の開発した“傑作品”AK-47アサルトライフル(通称カラシニコフ銃)はソ連軍に正式採用されることになる

第二次大戦に間に合わなかったこのソ連の新兵器は、砂漠やジャングルでの戦闘に理想的な小火器だった。アメリカ製のライバル製品・M-16が苦手とするような、砂塵舞う中東やアジアの湿地帯でも、整備が容易で弾詰まりも少ない。しかもパーツが少ないので低コストで製造できる。

メーカー側の説明によると、カラシニコフ氏は発明品であるAK-47の特許を申請しなかったらしく、冷戦時代全体を通じて、AK-47モデルは世界中に流通し、ライセンス製品・模造品を含めると90年代までに世界でおよそ7,000万丁が製造されたという。

冷戦時代が終わり、ソ連が消滅した後もカラシニコフの栄光は途絶えることなく、現在でもロシア・イジェフスクを本拠とするイジェマッシ社により、AK-74、AK-101、AK-103等の後続モデルがロシアで製造されている。今年で86歳のミハイル・カラシニコフ氏は、現在でも同社の主席銃器デザイナーを務めているというから、驚かされる。

イジェマッシ社兵器工場所長、ウラジミル・グロデツキー氏が最新の製品発表会で説明したところによれば、カラシニコフ製のパーツやデザインを使ったライフルは世界中で数十億丁流通しているが、ロシア製は10-12%程度であるという。

戦争が継続しているイラクでは、当然ながらAK-47のような小火器の需要も高い。イラク国内ではAK-47の中古品が、ロシア製オリジナルで一丁290ドル、リビア製ライセンス品が110ドル、中国製ライセンス品は50ドルで、路上の武器商人から購入できるということである

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2006/06/06

「生ける者達を見よ」byボブ・ハーバート

『タイムズ紙コラム欄の良心』と呼ばれるジャーナリスト、ボブ・ハーバートが、戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)に向けて書いた怒りのコラムを以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

ボブ・ハーバート関連過去記事

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2006/05/27

イタリア、6月中にイラク駐留兵士を1,100人削減

ロマノ・プロディ首相率いるイタリア新政府は、6月中にイラク駐留兵士を1,100人削減する予定であることが明らかになった。イタリア軍のイラク撤退に関して、具体的な計画が公表されたのは初めて。source:AP通信2006年5月26日付け報道

「6月に、我が国はイラク駐留軍の兵員数を、現在の2,700人から1,600人に削減する」26日午後のテレビ番組で、マッシモ・ダレーマ伊外相は語った。

イラク駐留イタリア軍兵士の大半はイラク南部ナシリヤに展開しており、地元警察の訓練、治安維持活動、復興活動に従事している。

2006/05/23

ブッシュとブレア、イラク駐留軍の段階的撤退を近日中に発表

ダウニングストリートメモのスクープで知られる英タイムズ紙のマイケル・スミス記者の最新記事によれば、ブッシュ大統領とブレア英首相は、イラク駐留軍の段階的撤退計画について近日中にワシントンで共同記者会見を開催し、発表する予定であるという

スミス記者はこのスクープを政府関係者からのリーク情報を元に書いているが、ブレア英首相が今週中に訪米しブッシュ大統領と会談する件について、昨日ホワイトハウス側は公式に認めた。

スミス記者は、撤退案の具体的内容として、駐留米軍は3万人、英軍はほぼ半数を今年中に撤退させることがすでに米英両国間で合意されているとのこと。

2006/05/09

ザルカウィと呼ばれる男達

Zarqawi

M249分隊機関銃を試射する『ザルカウィ』

2006年5月4日、イラク駐留米軍は武装勢力指導者アブ・ムサブ・アル・ザルカウィのビデオ映像を公開した。映像の中のザルカウィは、M249分隊機関銃を試射し、途中で弾詰まりの処理を部下に任せている。米軍主席報道官リック・リンチ少将は、記者を前に映像を解説しながら、「ザルカウィは銃を撃つにも補佐官の助けが必要で、しかも熱い銃身を握って火傷している部下も居る」と言い、テロ指導者が実際の戦闘には未熟であると皮肉った。

すると意外なことに、現役・退役米軍将校達が、リンチ少将の解説について苦言を呈した。ニューヨークタイムズ紙の報道からそうした反論を一部引用する:

M249分隊機関銃は操作が複雑で、米軍海兵隊の兵士も基本操作手順を何日もかけて習得する。特にザルカウィが使っているのは初期型で、不具合があることで知られている。退役軍人達が言うには、長い間旧ソ連の旧式武器に慣れてきたテロリストが、M249分隊機関銃の操作を知っているとはとても期待できないとのことである。

「連中は小さな出来事を誇張している」イラクのティクリートで第42歩兵師団の作戦指揮を担当し、先月陸軍大佐を退役したマリオ・コスタグリオア氏は言う。

イラクで活動する現役の特殊部隊大佐も、ビデオ映像だけではザルカウィのテロリストとしての手腕を判定できないと言う。「ビデオを観るだけなら、楽しめるだろう。あの手のヘマを見るのは愉快だ。」公的な場での発言を禁止されているため、匿名を条件に語ってくれた特殊部隊隊員は言う。「しかし、軍人としては首を傾げざるを得ない。ザルカウィがあの武器の扱いを知らないのは当然だ。俺たちの武器だからな。皆が言うほど間抜けには見えないね」
(以下略)

こうした現場兵士達の批判はごもっともだが、映像中の人物がザルカウィであることに関しては誰も疑問を抱かないのは奇妙な事だ。マスコミ関係者は過去の報道をまるきり忘れてしまったのだろうか?

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2006/04/28

石油中毒大歓迎?エクソン社の本年度第一四半期収益は84億ドル

AP通信の最新報道によれば、石油業界最大手エクソン・モービル社の2006年度第一四半期(1月-3月)の収益は84億ドル(約9,598億7,600万円)になったという。

Lee R. Raymond

エクソン社CEOを12年勤め上げたリー・レイモンド氏(66歳)。退職金はおよそ4億ドル(約457億1,850万円)

2002年度に1バレル20ドルだった原油価格は、現在では1バレル75ドルを超え、今後も上昇が見込まれており、石油業界の未曾有の好景気は継続するとみられている。

2005年度、エクソン社の純利益は企業史上最高額の361億3,000万ドル(約4兆2,516億5,300万円)を記録した。同社の名物CEOであるリー・レイモンド氏の給与5,110万ドル(約58億3,963万円)で、時給換算すると1時間あたりおよそ6,000ドル(約68万5,732円)を稼いでいる。これは同業のシェブロン社CEOの収入の5倍であったという。これに特別ボーナスを加えると、エクソン社CEOの2005年度報酬総額はおよそ6,970万ドル(約79億6,841万円)達すると言われている

不当に暴利を貪っていると米議会から批判されたレイモンド氏は昨年退任を宣言し、退職金として4億ドル相当(約457億1,850万円)を受け取る予定である。レイモンド氏がCEOに就任してからの12年間で、エクソン社は世界最大の石油企業となり、株価は5倍になった。

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2006/04/16

「沈む船から逃げ出す砂漠のネズミ達」byグレッグ・パラスト

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ガーナー将軍(右)に取材中のパラスト氏(左)。BBC reporter Greg Palast interviews General Jay Garner, ousted chief of the occupation in Iraq, in Washington. ©D. Meyers 2004.(source

英BBC放送、英ガーディアン紙で活躍するジャーナリスト、グレッグ・パラスト氏が公式サイト上で公開中の最新コラムを以下に翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

パラスト氏がコラム中で暴露している米政府のイラク占領計画の秘密に関するジェイ・ガーナー将軍のインタビューは英BBCで観る事ができる。イラクの石油民営化をめぐる米国務省の計画については、パラスト氏による英BBC2005年3月17日付け記事も参照。

グレッグ・パラスト氏の著作
角川文庫「金で買えるアメリカ民主主義」

金で買えるアメリカ民主主義 (角川文庫)

The Best Democracy Money Can Buy: An Investigative Reporter Exposes the Truth About Globalization, Corporate Cons, and High-Finance Fraudsters

The Best Democracy Money Can Buy(角川文庫の元本に最新情報を追加した更新版)

Armedmadhouse

Armed Madhouse(2006年5月下旬刊行予定の最新著作)

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2006/04/11

ポスト紙スクープ:『ザルカウィの脅威』は米軍のプロパガンダ

「占領中のアメリカ軍のこのやり方は、小さいながら一つの謀略である。事故が起きた。真相を蔽うために工作する。この方法は、事件を起こす、その真実を隠蔽するために工作をする、という他の事件の手法にも通じないだろうか。」

---松本清張 『日本の黒い霧(上)』「もく星」号遭難事件より---

イラク情勢とザルカウィの行方について、米軍広報部とアルカイダ広報部ではどちらを信頼すべきか?・・・ワシントンポスト紙のスクープから判断すると、アルカイダのほうが正直ということになる。

ワシントンポスト紙2006年4月10日付記事によると、イラクで大活躍する『スーパーテロリスト』ザルカウィに関する脅威情報の一部は、イラクに流入する外国人武装勢力(ザルカウィはヨルダン人)とイラク国内武装勢力の対立を煽り、イラクの政情不安とアルカイダを関連づけるために、米軍によって仕組まれた心理作戦であるという。

また、米心理作戦部隊は、サダム・フセイン体制時代の残虐行為の非道性をアピールするために、米軍内部で作成されたビデオを広範にイラク国内で流通させており、その映像は米フォックスニュースの報道にも転用されているとのこと。

ワシントンポスト紙は、このスクープを米軍の公式文書と軍内部の取材によって得た情報としている。

作戦担当者達はこの心理作戦が上々の成果を挙げていると密かに自慢していて、その実例としてイラク国内武装勢力がザルカウィ支持派を攻撃している事例を挙げている。(つまり、結果として米軍はイラク国内の内戦を心理作戦によって煽っていることになる。)

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2006/03/27

グレッグ・パラストが暴くブッシュ政権イラク侵攻の秘密

英BBCに登場するアメリカ人ジャーナリスト、グレッグ・パラスト氏の最新著作『Armed Madhouse』が5月23日に発売される。それに伴い、最新レポートが公開されているので、以下に全文翻訳して掲載した。この英ガーディアン紙向けに書かれた記事は昨年英BBCで報道されたスクープの続きになっていて、イラク侵攻の隠された動機を暴露している・・・

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2006/02/26

ウィリアム・F・バックリー:「イラク戦争は失敗」

2003年当時、北部の小さな田舎州であるバーモント州から大統領選に名乗りを挙げたハワード・ディーン州知事は、イラク侵攻反対を唱えた結果、大手マスコミや政界から国賊扱いされた。米軍のイラク侵攻が始まる1ヶ月前の2003年2月17日、ディーンは演説で以下のように言っている:

「サダム・フセイン体制が崩壊した後に、どうやって平和を、治安状態を確保するかについて、ブッシュ政権は説明できていないのです。(中略)イラクという国は分裂しており、スンニ派、シーア派、クルド人勢力がお互いに激しく対立しており、各派とも大量の武器を入手できるんです。」

それから3年の月日が過ぎ、ディーンのような米政界のマイノリティ達が口にした懸念は現実となり、かつてブッシュのイラク侵攻を支持した米政界主流派の人々が、今ではイラク政策批判の急先鋒になりつつある。

米国保守派の高級誌ナショナル・レビュー誌の総監修者でアメリカ保守化運動の最重鎮の1人、ウィリアム・F・バックリー・ジュニアは、2006年2月24日付最新コラムで、イラク戦争は失敗だったと宣言している。

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2006/01/25

ペンタゴン、軍人家族に『笑顔』を提供

笑顔の国防総省長官会見

「愛国的アメリカ人なら笑って笑って!」

イラク駐留米軍兵の戦死者はすでに2,200人を超えた。

イラク駐留米軍基地で兵士の洗濯・入浴用に使用されている水は、ユーフラテス川の水に比較して2倍ほど汚染されているという事実を、水を配給しているハリバートン子会社ケロッグ・ブラウン&ルート社は黙っていた。(汚染の事実は元従業員の内部告発で発覚した。)

「ブレアに騙された」と怒る英軍イラク帰還兵達は、女王から授与された戦時勲章をイーベイで売り出している

ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ジョセフ・E・スティグリッツは、米国政府がイラク戦争で将来抱える総費用は2兆ドル(約229兆1,170億円)を超えるだろうと警告している

CBSニュースの元名物アンカーで『アメリカの良心』と呼ばれるウォルター・クロンカイト氏は、ベトナム戦争時代と同じように、イラクからの即時撤退をテレビで呼びかけている

・・・2006年になっても、イラク戦争に関する暗いニュースが続いているが、USA TODAY紙の報道によれば、悪い報せに怯える軍人家庭のために、米国防総省は風変わりな対策を開始しているらしい。それを伝えるUSA TODAY紙2006年1月12日付記事を以下に抜粋する:

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2006/01/08

英将軍:「ブレアは弾劾されるべき」

「政治家たるものは説明責任を果たさねばならない。・・・私見では、ブレアは弾劾されるべきだと思う。」イギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)の元司令官で、ボスニア駐留英国軍の指揮官も務めたマイケル・ローズ将軍は、先週金曜日に放映された英BBC放送のテレビ・ドキュメンタリー『 Iraq: The Failure of War(イラク:戦争の過ち)』の中で、インタビューに答えて発言しているという。

ローズ将軍の発言により、英議会で2004年11月に動議されたブレア首相弾劾法案をめぐる論議が再燃するとの観測もある。The Australian紙2006年1月8日記事

マイケル・ローズ将軍は、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー『華氏911』公開時に推薦文を寄せた件でも知られている。

2005/12/25

米軍の空爆再開でイラク市民多数が犠牲に

イラクで台頭する武装勢力に手を焼いている米軍は、駐留兵士数削減に合わせてイラク国内での空爆を増加させているが、それがイラク市民の犠牲者をさらに増加させている。ワシントンポスト紙2005年12月24日付報道によれば、ユーフラテス川沿いの空爆により、武装ゲリラと同じくらいの一般市民が殺されているという。

2005/12/20

チェイニー副大統領、イラク電撃訪問で米兵から辛辣な言葉

18日にイラクを電撃訪問したチェイニー大統領は、演説後の質問コーナーで駐留米軍兵士から辛辣な言葉を次々受けている。(source:AP通信2005年12月18日付報道以下に兵士達の発言を引用:

「我々兵士の目から見ると、それほど(イラクの状況が)進展しているようには見えません。目の前しか見てないもので、進歩の具合がわからないんですかね。頂上から見るイラクの眺めはどんなものなんでしょうか?」
---ブラッドリー・ウォーレン海兵隊伍長(最初の質問者)

「副大統領殿、イラクを自立させるための一連の任務には、どんな利益があるんでしょうか?」
---R.P.ザペラ海兵隊伍長

ワシントン周辺では、政敵相手に暴言を浴びせることで有名なチェイニー副大統領だが、バグダッドにおいては、兵士達の皮肉な質問に対しても、非常に慎重に言葉を選んでいたようだ。

2005/12/14

ペンタゴンが追加予算要求:戦争費用、5,000億ドル超え

米国防総省は、イラク・アフガニスタン駐留への追加予算申請の準備をすすめており、911テロ以降の合衆国の戦費が来年早々にも5,000億ドル(約59兆2,993億円)を超えることが確実視されている。(source:AP通信2005年12月13日付報道

2005/12/09

ラムズフェルド、来年早々に辞任?

イラク戦争の泥沼化で批判が集中するホワイトハウス周辺では、ブッシュ大統領がラムズフェルド国防長官の退任を画策しているという噂が広がっている。ニューヨークデイリーニュース紙の12月8日付記事によれば、ラムズフェルドは来年早々辞任し、後任には民主党の極右派として有名なジョセフ・リーバマン上院議員の名前が挙がっているという。同紙はまた、昨年度にホワイトハウスが、国連大使としてジョン・ボルトンを指名する以前に、リーバマン議員を推薦する計画があったことを伝えている。

リーバマン議員がブッシュ政権メンバーやいわゆるネオコン派と極めて親しいことは以前からよく知られている。例えば、リーバマンがチェイニー副大統領の妻であるリン・チェイニー夫以上のウルトラ右翼女性と共同設立した教育団体『アメリカ信託校友協議会(American Council of Trustees and Alumni :ACTA)』は、ブッシュ政権の政策に批判的な教授、学生の所属する合衆国内の大学をブラックリスト化、「反米教育をしている」と批判するレポートを出版、大学関係者から「マッカーシズムの再来」と恐れられている

2005/12/07

ブッシュ大統領、ヤケクソのニュー・スピーク戦略

「ウィンストン・スミスはいやな風を避けようと顎を胸もとに埋めながら、足早に勝利マンションズのガラス・ドアからすべりこんでいったが、さほど素早い動作でもなかったので、一陣の砂ぼこりが共に舞い込むのを防げなかった。」

「彼は棚から無色の液体が入っている瓶を下ろした。白ラベルには勝利ジンとあった。」

勝利シガレットと書いてあるくしゃくしゃになった紙袋から一本の煙草をつまみ出した。」

---ジョージ・オーウェル『1984年

2005年11月30日に行われたブッシュ大統領の演説は相変わらず退屈な内容であったが、その『新戦略』にはある種の工夫が見られた。ニューヨークタイムズ紙2005/12/04付記事はその工夫についてわかりやすく説明している。以下に記事の冒頭を引用する(強調は訳者)

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2005/12/04

米軍公認の反ブッシュ?スターズ&ストライプ紙の読者投稿

ブッシュ政権のプロパガンダ事業部(一部民営化済み)は、イラク国内の新聞記事捏造に忙殺されていて、国防総省公認の米軍関係者向け日刊新聞、スターズ&ストライプの紙面検閲まで手がまわらないのだろうか?・・・というわけで、同紙の2005年11月28日付読者投稿のひとつを翻訳して以下に掲載。

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2005/12/01

ラムズフェルド、また言葉遊び:「反乱軍と呼ぶのはやめよう」

11月29日に行われた国防総省の公式記者会見で、ラムズフェルド国防長官はイラクで拡大する武装勢力について「私が思うに、あの連中は反乱軍(Insurgents)と呼ぶに値しない集団ではないかな。住民の支持を得て、固く結束して、筋の通った主張をする集団ならともかく、あの集団はまともな主張をしてないからね」と話し、お得意の珍説を展開。

隣に居た統合参謀本部長ピーター・ペイス将軍が「他に適切な呼び名を思いつきませんので、反乱軍(Insurgents)でよろしいのでは?」と耳打ちすると、首を傾げる記者団を前に、「『正当イラク政府の敵(Enemies of the legitimate Iraqi government)』という呼び名はどうかね?」とニッコリ。(source:AP通信2005年11月29日付記事

一方、スンニ派系有力組織であるイスラム聖職者協会所属の族長ムハマド・メヒディ・アル・スマイダイ氏は「占領者に対する抵抗(resistance)は当然であり、正当な権利だ」と主張している。(source:AFP2005年11月25日付記事

そんなわけで国防長官殿、『抵抗者(resistant)』と呼んではいかがでしょう?

2005/11/30

イラクの現況

ハリウッド俳優ブルース“ダイハード”ウィリスは、勇猛な米軍兵士の活躍のおかげで、イラク国民の生活が安全になったと信じている。熱烈なブッシュ支持で知られる極右評論家ビル・オライリーは、大統領に米軍撤退スケジュールを発表しろと懇願している。保守派で知られるウォールストリートジャーナルの最新世論調査によれば、米国民の64%が「ブッシュ政権は国民をミスリードしている」と感じている。英国デイリーテレグラフ紙の発表した世論調査によれば、『ブッシュのプードル』ブレア首相の支持率は30%に落ち込み、英国民の64%が「ブレア政権の崩壊が始まった」とみている。

そんな状況の中で、ブッシュ大統領は30日に『イラク勝利への国家戦略』を発表するという。演説の準備資料として、米シンクタンクAmerican Progress Action Fundが、イラクの現況を簡潔にまとめているので、以下に要約してリストアップ:

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ブッシュ大統領、30日に演説で『イラク勝利への国家戦略』を発表

11月29日、テキサス州エルパソに向かう途中のエアフォースワン機上において行われた記者質問会で、ホワイトハウスのスコット・マクラレン報道官は、11月30日早朝にブッシュ大統領が『イラク勝利への国家戦略』という重要な演説を行うと発表している。発表する内容はイラク国家治安部隊の訓練状況と今後の展開に関するものと説明されているが、イラク駐留米軍の撤退スケジュールについて公式の場で初めて具体的に触れる可能性もある。

2005/11/28

ブルース・ウィリス、イラク戦争を大絶賛:「戦争ヒーロー映画を制作する」

イラクに関する最近のネガティブな報道に怒る俳優ブルース・ウィリスが、「自由と民主主義のためにイラクで戦う勇猛な米軍兵士を描いた戦争映画を作る」と宣言。作品内容は、イラク北部モスルで武装勢力と対峙した米軍特殊部隊ジュース・フォーを主役に据えたもので、同部隊に同行取材した元グリーンベレー隊員ブロガー記者マイケル・ヨンのブログ記事を元にしたものになるという。

ハリウッドでは珍しく保守派を自認するブルースは、熱心な共和党支持者としても有名で、過去の共和党大統領候補を立候補毎に支持表明してきた(元妻デミ・ムーアの悪口を言ったボブ・ドールは除く)。また、侵攻当時からイラク戦争支持派として積極的に活動しており、現在もオサマ・ビン・ラディン、アイマン・アル・ザワヒリ、アブ・ムサブ・アル・ザルカウィを拘束した兵士に100万ドルを進呈すると公言している。

ダイハードシリーズで不動の地位を得たブルースによれば、戦況が悪いからといってイラク撤退を支持するのはアメリカ国民として間違っているという。彼は言う:

「イラク国民は、自宅から買物に出かける時に殺される心配をする必要のない世界に住みたいと思ってるんだ。誰だってそうだろう?」
(source:The Australian2005年11月28日付記事

2005/11/22

ラムズフェルド:「私はイラク侵攻を推奨しなかった」

米ABC放送の政治討論番組『This Week』11月20日放送分に出演したラムズフェルド国防長官が、イラク侵攻への決断の是非を問われて、いつの間にか穏健派に転身している。番組内での当該発言を以下に引用source

ステファノポロス(番組ホスト):
「もしも大量破壊兵器が見つからないとわかっていたら、イラク侵攻を推奨しましたか?」
ラムズフェルド:
「(事実として)私はイラク侵攻を推奨しなかったよ( I didn’t advocate invasion.)」
ステファノポロス:
「推奨しなかったんですか?」
ラムズフェルド:
「問われたこともないんだ。書籍や記録を調べてみれば・・・」(以下略)

ワシントン周辺では、かつてイラク侵攻に賛成票を投じた議員達が続々と「あの時の判断は間違っていた」と謝罪をし始めている。一方でブッシュとその仲間達は、都合の悪い歴史を次々に書き換えようとしているわけであった。

2005/11/21

イラク駐留米軍は12月の国民選挙後から順次撤退開始

アメリカ中央軍司令官ジョン・アビザイド将軍が立案し、ラムズフェルド国防長官に渡されたイラク駐留米軍撤退計画書によれば、12月15日のイラク国民選挙実施直後から、選挙前に増員した米軍兵士2万3,000人を帰国させることを手始めに、2006年を通じてイラク駐留米軍の順次撤退を行うとされている。(source:英サンデータイムズ紙2005年11月20日付記事

ホワイトハウスや米国防総省は、今のところ公式にはイラク駐留軍撤退計画の存在について否定しているが、すでに英米各メディアが撤退案についての報道を開始している。(source:CNNブッシュ政権と与党の共和党にとっては、2006年の中間選挙(議会選挙)までに、イラクの泥沼を伝えるニュースが国内から消えて欲しいのだろう。

2005/11/09

「イラク駐留米軍はファルージャで化学兵器を使った」イタリア国営放送がドキュメンタリーで証拠ビデオを放映

「死体を焼いたし、女も子供も焼いた・・・白リン弾で無差別に殺しました。(白リンが)直接肌に触れると、確実に致命傷になって、肉を焼き尽くすんです」

---ファルージャで戦闘に参加した元米軍兵士ジェフ・アングルハートの証言(source

イタリア国営放送(RAI)で、恐怖のドキュメンタリーが放送された。かねてから噂のあった、米軍によるイラク・ファルージャ大虐殺の実体を伝える衝撃の映像だ。ドキュメンタリーのタイトルは『ファルージャ:隠蔽された大虐殺』。フィルムは以下リンクで見ることができる。(訳注:虐殺死体がそのまま放映されているので注意すること)

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2005/11/07

米人気ドラマ『ボストン・リーガル』の挑戦

米ABC放送の人気法廷ドラマ『ボストン・リーガル』が、11月1日放送分できわめて政治的なメッセージをオンエアしている。

問題となった11月1日放送分の内容は、イラク戦争で戦死した米軍兵士の遺族である姉が、国防総省の『stop-lossプログラム(兵士減少を抑えるための特別措置)』を告発するというリアリティ溢れるストーリーで、ジェイムズ・スペイダー扮する弁護士アラン・ショアが、戦争支持派である上司の『請けるな』という命令を無視して、遺族側の代理人として国家批判を展開するというエピソード

「メディアも国民も、戦争の実体を無視している」という主張がテレビドラマで行われるという事態は皮肉だが、商業主義と公共性の間で常に揺れるテレビ局としてはこれで精一杯だろう。とにかく、小泉政権のニュースピークを反復するしか能のない日本のテレビ業界にはできない芸当だ。

以下に、ドラマのハイライトである法廷シーンを一部翻訳して掲載。ビデオ

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2005/10/29

CIA工作員名漏洩事件とイタリアン・コネクション

チェイニー副大統領の側近、ルイス「スクーター」リビーがCIA工作員名漏洩に関わる司法妨害を含む5つの容疑で起訴された。起訴発表と同時にリビーは補佐官を辞任し、副大統領はさっそく「遺憾」の声明を出しているが、心中はビクビクしているはずだ。なにしろ、副大統領自身も依然として捜査の標的にあり、リビー補佐官の後継者に任命されたデビッド・アディントン副大統領顧問も、リビーの工作の幇助をした件ですでに追求されはじめている。副大統領辞任の声が共和・民主両党から高まるのは必至だ。

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2005/10/10

イラクの米軍基地を支えるアジアの貧困層

この世界には皆が共存できる余地があり、偉大なる大地には人類全体を養う富がある。
人生とは自由で素敵であるはずなのに、我々は道を見失ってしまった。
貪欲が人々の魂を汚し、世界を憎悪で隔て、我々を悲惨な流血へと行進させている。

In this world there is room for everyone, and the good earth is rich and can provide for everyone. The way of life can be free and beautiful, but we have lost the way. Greed has poisoned men's souls, has barricaded the world with hate, has goose-stepped us into misery and bloodshed.

---チャールズ・チャップリン:『独裁者』ラストシーンの一節より(1940年度作品・演説全文

サンフランシスコの優秀な企業監視団体であるCorpWatchが公開している2005年10月3日付け記事を全文翻訳して以下に掲載。(文中リンクは訳者による)

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2005/09/30

ジュディス・ミラー記者、釈放される

CIA工作員名漏洩事件で有罪を宣告され、現在服役中のニューヨークタイムズ紙ジュディス・ミラー記者が、収監されていたバージニア州郊外の「新世代刑務所」アレクサンドリア収容センターから急遽釈放された

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2005/09/01

金持ち天国アメリカ:企業CEOの平均年収は一般労働者の431倍、イラク戦争効果で急上昇

米国の民間調査団体、公正経済連合(United for a Fair Economy)と政策研究協会(Institute for Policy Studies)が8月30日に発表した共同調査報告「Executive Excess 2005」によれば、2004年度のCEOの平均年収は1,180万ドル(約13億677万円)、一般労働者の場合2万7,460ドル(約304万1,934円)で、両者の収入格差は431倍となり、2003年度の301倍から上昇している。

過去を遡ってみると、企業経営者と一般労働者の収入格差は1982年度で42倍、90年では107倍、2001年度には過去最大の525倍であった。

average CEO payratio 1990-2004

90年代から現在までの米国企業CEOと一般労働者の収入格差の変遷。米国民の二極化はクリントン政権時代から深刻化している(画像クリックで拡大します)source:Executive Excess 2005

2004年度の企業CEO報酬額で特筆すべきは、イラク戦争による経済効果である。2001年から2004年の間に、米企業CEOの平均年収は7%上昇しているが、企業収支が公開されている国防関連企業(ユナイテッド・テクノロジー、テクストロン、ゼネラル・ダイナミクス社など)の経営者の収入は、平均で200%上昇している。

例えば、防弾ベスト製造で知られるDHBインダストリーズ社のCEO、デビッド・H・ブルックスの場合、2001年度の報酬は52万5,000ドル(約5,820万7,629円)だったが、2004年度には7,000万ドル(約77億6,120万円)となり、増加率は13,349%である。2004年度、ブルックス氏は持ち株1億8,600万ドル分を売却して投資家の動揺を誘い、結果として同社の株価は22ドルから6ドル50セントに下がった。2005年5月、米海兵隊はDHBインダストリーズ社製防弾ベストの防弾性に問題ありとして、同社製品5,000着以上をリコールしたが、その時すでにブルックス氏は2億5,000万ドル以上(約277億754万円)を懐に収めていた。

また、国防関連企業CEOの報酬と、米軍の将軍クラスの収入格差は、2001年の12倍から2004年には23倍に拡大している。ちなみに、キャリア20年の将軍クラスの2004年度の年収は平均16万8,509ドル(約1,867万9,352円)で、2001年度に比較して2万286ドルの増加。一般兵士の場合、戦闘手当や住宅手当等を含めた年収は平均2万4,278ドル(約269万1,119円)で、2001年度から3,520ドル増加している。

イラク侵攻時から米軍の兵站業務を担当しているハリバートン社のCEOデビッド・レサー氏は、2003年から2004年の間に報酬を171%増額させ、1,140万ドル(約12億6,354万円)を受け取った。同じ時期、同社が国防総省に不正請求していた金額は14億ドル(約1,551億8,300万円)に及んでいる。一方でハリバートン社は、イラク駐留米軍の各基地で臨時雇用しているトルコ人やフィリピン人出稼ぎ労働者の食事として、米軍の残飯だけを提供しているという。

2005/08/26

「全米で最も保守的な州」ユタ州ソルトレイク市長の反乱

連日のサイクリングに忙しくて、戦死兵の母親達に面会するヒマがないブッシュ大統領は、イラク戦争の正当性を地方の国民に訴えるために、全米で最も保守的な土地として知られるユタ州で開催される退役軍人大会において遊説を行うことにした。2004年大統領選挙時、住民の71%がブッシュに投票したユタ州では、地元民主党員さえも『共和党穏健派』と揶揄されるほど超保守的な土地柄として知られている。この場所で、しかも退役軍人向けイベントとなれば、勢いを増している反戦運動から、大統領は身を隠すことができるはずだった。

ところが、ブッシュの遊説の知らせを受けてすぐ、ユタ州都ソルトレイク市長のロッキー・アンダーソンは、地元の各市民団体に電子メールで異例の呼びかけを始めた。州都の市長として大統領歓迎の挨拶を述べるはずのアンダーソン市長は、退役軍人と共和党支持者が結集するブッシュ大統領遊説会場の外で、反戦集会を開催しようと市民に持ちかけたのだ。アンダーソン市長は電子メールで説明した。「ブッシュ政権は我が国に災いをもたらしている。全米でもっとも保守的なこの場所で、私達市民が結集して、印象的な態度で大統領に異論を唱えれば、注目を集められるはずだ」

もちろん、ユタ州住民はソルトレイク市長の態度に「顔を真っ赤にして」猛抗議した。「汚い言葉で申し訳ないが、あのクソッタレ市長め!なんという非国民・・・見下げた野郎だ」地元紙の取材で、退役軍人の1人は市長を呪った。「もう奴に二度と投票するもんか」

市長は、ブッシュ支持派の批判に反論した。「政府役人が国民に対して非民主主義的且つ詐欺的に振舞っている時には、堂々とそれを批判するのが愛国心というものです」同州でモルモン教徒として育ち、後に信仰を捨てた『ユタ州の異端児』ロッキー・アンダーソン市長は言う。「ブッシュ政権の詐欺的で残虐なやり方に対して、盲目的に追随する人々が私には理解できない。単に権利があるから異論を述べるのではなく、政府の不正を見つけたらそれを糾すことは国民の義務です。私達にとって最も愛国的な行為とは、政府権力の乱用に立ち向かうことなのです。」

8月22日月曜日、ユタ州ソルトレイク市ソルトパレス・コンベンションセンターの演台に立ったブッシュ大統領は、相変わらず911テロの恐怖を巧みに利用しながら以下のように述べた

「911テロの朝以来、テロとの戦いが多大な犠牲を強いてきたことは我々も理解している。『イラクの自由作戦』では1864人、『限りなき自由作戦』では223人の兵士を失っている。」

この日、就任以来初めて、ブッシュは自身の演説で具体的な戦死者数に言及したことになる。「大統領は兵士の死にあまりにも無頓着」との反戦派からの批判をかわすために、側近達が入れ知恵した結果だった。しかし、ブッシュ大統領が夏休みを開始してから68人の米軍兵士がイラクで戦死している事実については言及されなかった。

アンダーソン市長と反戦集会

ユタ州の『反乱軍』アンダーソン市長と反戦市民たち。

ブッシュの演説が行われたコンベンションセンターには、約6,000人の退役軍人・軍関係者が集まった。大統領演説に先立って行われたアンダーソン市長の演説の際には、大量のブーイングが巻き起こった。ブッシュ遊説前の挨拶を終えた市長は、コンベンションセンターを出ると、すぐ近所で行われている反戦集会の演台に上って宣言した:「このソルトレイクの地において、今日が我が国にとって転機となるのです。」市長直々の呼びかけに集まった2,000人ほどの反戦派市民が、シンディ・シーハンら『平和の母』への連帯を唱えた。

この日、ユタ州のNBC、CBS及びフォックス系列の地元テレビ局は、シンディ・シーハンの「ブッシュはウソつき」CMを配信開始した。しかし、ユタ州のABC系列放送局KTVXは、CM配信を拒否した。また、ブッシュの次の遊説場所であるアイダホ州(2004年大統領選挙で住民の68%がブッシュに投票、8月現在全米でブッシュ支持率が最大を誇る土地でも、CBSとフォックス系列の地元テレビ局が、シーハンのCM配信を拒否している。

アイダホ州の地元テレビ局KBCIの責任者は、反戦広告配信拒否の理由として、「イラクに大量破壊兵器が存在しなかったというシンディ・シーハンの主張を裏付ける証拠はない」と説明している。テキサス州クロフォードにやって来たブッシュ支持者の1人は、「今イラクで米軍が戦っている相手は、(911テロで)国際貿易センターを爆破した奴等なんだぞ」と主張し、イラク戦争継続を訴えている。

アメリカは確かに転機を迎えているが、反戦派とブッシュ支持派の間には依然として深い溝がある。その溝はやがて埋るのだろうか?それまでにあと何人の米兵とイラク市民が死ぬのだろう。

2005/08/12

「お茶も同情もなし?」byモーリーン・ダウド

イラクで戦死した兵士の母親達が、全米で結集し始めている。

きっかけは、ブッシュ大統領が最新の演説で、戦死した兵士の遺族に向けて語った以下の発言である:

「イラクとアフガニスタンで、テロとの闘いで亡くなった我が国の男女は、崇高な使命のために、無欲の内に命を捧げたのだ。」

大統領の言葉に、カリフォルニア州の女性シンディ・シーハンは、怒りを新たにした。出征した息子をイラクで亡くした母親である彼女は、『平和のための戦死兵遺族会(Gold Star Families for Peace)』という組織を立ち上げ、イラク駐留米軍の即時撤退を訴え活動している。

「崇高な使命とは一体何のこと?」この疑問の答えを、大統領に直接会って問いただすために、シンディ・シーハンは、大統領が夏休みを過ごしているテキサス州クロフォードの牧場前にやってきた。だが大統領は彼女と会うつもりはないと言う。大統領側近達の説明に納得できない彼女は、その場で待ち続けることにした。

cindysheehan

ブッシュ牧場前で野営するシンディ・シーハン。怒りと悲しみに揺れる戦死者の遺族に対し、戦争を知らぬ極右タレントたちはテレビで罵る。民主主義も人道性も国内では吹き飛んでしまうのがアメリカ社会なのか。

シンディ・シーハンがブッシュの私邸である牧場前に座り込みを開始してからまもなく、同様の境遇にある全米の両親が続々と支援のために同地に集まり始めた。さらに、遺族に共感した退役軍人達も参加し、その人数は日増しに増加している

戦死した兵士達の遺影を手に、怒りに燃える母親たちは、ジョージ・W・ブッシュと直接会見し即時撤兵を決心させるまで、私邸及びホワイトハウス前で大統領を待ち続けると宣言している。(11日、ブッシュは最新演説でシンディ・シーハンの件に言及したが、イラク撤退についてはいつもどおり拒否した)

一方で、ブッシュを擁護する保守系市民は攻撃キャンペーンを開始し、フォックスニュース等では極右タレント達が、座り込みをする母親を罵倒している

ニューヨークタイムズ紙の連載で人気を博しているモーリーン・ダウドは、同紙の連載コラム最新版で、シンディ・シーハンをとりまく現在の米国の状況について書いている。以下に全文翻訳して掲載。(文中リンク、注釈は訳者による)


お茶も同情もなし?(Why No Tea and Sympathy?)

by モーリーン・ダウド:ニューヨークタイムズ紙2005年8月10日付けコラム


W(ダブヤ)はイラクのことで何一つ満足できずにいる。

テキサス州クロフォードにあるブッシュ私邸の牧場の外では、戦死した兵士の母親が怒りに震えながら、周到に演出された弔意をより好む大統領との面会を求めている。

最新のCNN・USAトゥデイ・ギャラップ共同世論調査によれば、アメリカ国民の大半は、イラク戦争が誤りであり、戦争によってアメリカ合衆国がテロ攻撃に対して脆弱になっていると考えている。つまり、イラクで戦うことで、合衆国本土で国民がテロと戦わねばならぬ可能性が高まっているということだろうか。

昨日、ドナルド・ラムズフェルドは、イランとイラクへの国境地帯で、精巧な爆弾が流通し始めていると認めた。

そして、ローリング・ストーンズは、性的な詩をひと休みして、『素敵なネオコン(Sweet Neo Con)』という反戦ソングを新たにレコーディングした。この曲では、ミック・ジャガーがコンディ・ライスとブッシュを嗜めながら、『あんたは自分のことをクリスチャンと言ってるが、俺に言わせりゃ恥知らずさ♪』と歌っている

月曜日に、N・F・L(全米プロフットボールリーグ)は、ストーンズ、ABC放送と共同で、『Monday Night Football(毎週月曜のフットボール試合番組)』をプロモートすると発表した。愛国心を誇示しがちなN・F・Lは、(政府の)圧力があれば発表を取り消すだろうが、2003年にマドンナが反戦ミュージックビデオの配信を怖気づいて止めて以来、世論はすでに変わっている。これまでホワイトハウスは、兵士を侮辱する行為との口実から戦争批判派を抑圧してきたが、兵士を守るためにどういう計画があるのかホワイトハウス側に説明を求める国民の数は一層増加している。

48歳の、広報活動に才覚のあるカリフォルニア人シンディ・シーハンは、ブッシュ大統領と差し向かいでイラクからの米軍撤退を訴えることができるまで、大統領私邸の牧場の傍の、砂煙舞い上がる灼熱の場所で野営を決行すると話している。シンディの息子ケイシーは、24歳の陸軍特技兵で、昨年イラクのサドルシティで待ち伏せ攻撃により戦死した。

ケイシーの死後2ヵ月後に、ブッシュ大統領は遺族と面会した。陰鬱さと冗談の間を行き来する大統領の当惑ぶりに相対したシーハン夫人は、会見中にブッシュが彼女に対して『お母さん』としか呼びかけなかったのは、息子の名前すら大統領が知らなかったのではという気持ちに至ったと話した。

ブッシュ側のチームは、過去の報道においてシーハン夫人がブッシュを擁護していたとして、その『お母さん』の信用を貶めようとした。もしも彼女の夫がCIA工作員だったなら、ブッシュ陣営はとっくにそれを漏洩していただろう。しかし、仮にブッシュ陣営が『真実のための高速艇母(Swift Boat Moms for Truth)』部隊を送り出したとしても、『真実のためのファルージャの母』が迎え撃っているだろう。(訳注1)

驚いたことに、ホワイトハウス側は、門の外にブッシュを出させて、母親の言葉を聞いたり、お茶に招待する類の、初歩的な待遇すらしていない。しかし、大統領任期中の20%ほどの時間を私邸である牧場で過ごしているブッシュは、5週間の夏休みと毎日2時間のワークアウトに身を隠している。大統領自身は健康になるだろうが、イラクにとっては全く無意味だ。

かつて、これほどまでに世間から隔絶された大統領がいただろうか。強固に管理された環境のおかげで、大統領は自身に異議を唱える相手とは全く直面することがない。大統領は自らを弁護する必要は全くないどころか、それは無礼ですらあるというのだ。ブッシュは決して国民と会うことのないポピュリストで、木の手入れをするような、どこにでも居る人間で、話しかける唯一の相手も木だけというわけだ。ブッシュはテキサスを、自身が原点に帰れる場所として賞賛している。しかし彼は、バルカン、パイオニアー、レンジャーに加えて、テキサスを混乱させているだけではないか。(訳注2)

ブッシュは慰めとして、外交分野における非人道的な人道主義を強調すべく、国家安全保障担当補佐官スティーブン・ハドレーを、シーハン夫人の話し相手として派遣した。ハドレーは、強硬で思いやりのないネオコンで、アメリカを騙して戦争に引きずり込んだ張本人の1人としてまさしく適役であった。

大統領にとって、自身の行動の結果生まれた人的被害から隠れ続けたり、イラクで戦死した1835人の兵士にカーテンを被せて国民感情を管理することは一層困難になっている。1万3,000人以上の兵士が負傷し、その多くは手足を失っている。イラク市民の犠牲者数は、2万5,000人、ひょっとしたらその2倍から3倍を超えているかもしれない。申し分のない信任状を携えた人々が、比類なき道徳的権限の体現者として社会に名乗り出て、ブッシュに挑みかかっている。

イラクに派遣された海兵隊員として、大統領の行為を批判していたポール・ハケットは、共和党が優勢なオハイオ州シンシナティで民主党候補として下院議員に立候補し、先週僅差で落選した。共和党のニュート・ギングリッチは、その選挙を「2006年選挙に向けた共和党への警鐘となった」と評している。

ごく限定的な思いやりを見せるブッシュは、911テロの被害を強調することでイラク戦争を正当化している。大量破壊兵器が開戦根拠として蒸発した際には、大統領は自由を求めるイラク人の人道性を強調していた。

しかし、イラクで戦死した兵士達を埋葬した両親達の道徳的権限が絶対的であることを理解しないならば、大統領の人道主義は依然として無慈悲というほかない。
(以上)


(訳注1:2004年大統領選挙で、ジョン・ケリーの軍歴を中傷するためにブッシュ陣営が発足させたのが『真実のための高速艇退役軍人の会(Swift Boat Veterans For Truth)』。その中傷内容は全てデッチアゲだった。)

(訳注2:パイオニア等の名称はブッシュ再選活動への献金者の献金額ランクのこと)

2005/08/08

毎年恒例?「アルカイダのナンバー2」ザワヒリのビデオ出演

「ビン・ラディンとは、西側防衛網によるとてつもない計算違いの産物であった。80年代のビン・ラディンは、CIAによって武装され、サウジアラビアによって資金を得て、ロシアのアフガニスタン占領に対して聖戦を遂行する任務を担っていた。アル・カイダとは、事実上は『データベース(the database)』であり、元々はロシア人達を打ち負かすためにCIAの援助によって召集され、軍事訓練を受けた何千ものムジャヒディンの情報が記録されたコンピュータファイルのことだった。どういうわけか、ワシントンはその惨憺たる結果に気がつかなかったらしいが、ロシアが脱落した後に、ビン・ラディンの組織は注意対象を西側社会に転換したのであった。」

ロビン・クック元外相

---英国元外相ロビン・クック、ロンドン地下鉄同時テロ直後の7月8日に英ガーディアン紙に寄稿した「テロとの闘いは軍事的手段では勝てない」より(強調は訳者による)。8月6日、ロビン・クック元英外相はスコットランド北部のベンスタック山(標高721メートル)で山登り中に昏倒し、死亡した(享年59歳)
尚、アラビア語であるアル・カイダ(Al-Qaeda)の文字通りの意味は『拠点、基地、基点』とされている


2005年8月4日、「アル・カイダのナンバー2」アイマン・アル・ザワヒリの最新ビデオがアルジャジーラで放送された

テープの中で、ザワヒリは「ブレアの政策がロンドンテロを呼び起こした」と英国政府を批判し、米国政府に対しては「ベトナムで味わった経験を忘れさせるほどの恐怖に直面することになる」と威圧し、中東から英米軍が撤退しないかぎり今後もテロ攻撃を起こすと宣言している。

「ナンバー2」氏を侮辱するつもりはさらさらないが、私的な感想を言わせて貰えば、わざわざ危険を冒してビデオ出演したにしては、今回のザワヒリ氏の文句は少々陳腐すぎるのではないか。昨年のオサマ・ビン・ラディンの演説に比較すると、今ひとつレトリックや演出に工夫が足りないように思えてならない。

ひょっとしたらザワヒリ氏は、ロンドンのテロ事件の原因として、泥沼化したイラク戦争に世界の注目が集まることが気に入らず、アルカイダとロンドンテロとの関係をもっと重視して欲しいという気持ちから、(決してブッシュの気持ちを代弁しているわけではありませんよ)ロデオドライブでの買物ついでにリムジンで撮影スタジオに立ち寄ったとも考えられる。
(冗談はさておき、英タイムズ紙の記事によれば、英国情報部では、今回のザワヒリ氏の意図を「アルカイダの役割を強調して、世界に拡大するテロ『フランチャイズ』のひきしめを狙っている」と観測しているという。)

「アルカイダのナンバー2」ザワヒリの大脱走?

911同時多発テロ事件発生後、ザワヒリの消息はオサマ・ビン・ラディン同様全く不明だが、中東地域のニュースには何度も登場している。ザワヒリ関連の過去報道を以下にいくつか並べてみよう: さて、どれがホントの「アルカイダのナンバー2」?

2005/08/04

NYタイムズ紙:「合衆国最果ての地の浜辺では、イラクは夢へと続く道」

「この戦争がそんなに正しいというなら、なんであんたの子供達は入隊してないの!?」

−2004年9月17日、ニュージャージー州ハミルトンで、イラク戦争の重要性を説くローラ・ブッシュ大統領夫人に向かって、『反戦の母(antiwar mom)』スー・ニーダラーが浴びせた言葉。この直後に彼女は逮捕され訴追されたが、担当検察官は彼女の起訴を取り下げた。スー・ニーダラーの息子で陸軍中尉のセス・デボリンは、2004年2月3日にイラクで戦死した。

ニューヨークタイムズ紙2005/07/31付記事を以下に全文翻訳して掲載。

8月3日の時点で、イラク駐留米軍の戦死者数は1,820人を超えている。また、イラク内務省の最新調査によると、2005年度初頭から7月31日までに戦闘で犠牲になった一般イラク市民は2,072人、反乱軍兵士の死者数は855人、イラク人警官の死者は765人、戦死したイラク人治安部隊兵士の数は308人となっている。

合衆国最果ての地の浜辺では、イラクは夢へと続く道(On Farthest U.S. Shores, Iraq Is a Way to a Dream)

by ジェイムズ・ブルック記者:ニューヨークタイムズ紙2005年7月31日付け記事

北マリアナ諸島サイパン---夕暮れ時のヤシの木が繁る白い浜辺でジョギングをしながら、17歳のオードリー・O・ブリシアは、この島で行われるミス・フィリピン大会へ二度目の出場を賭ける以上の鍛錬に励んでいる。彼女は合衆国陸軍の基礎訓練に備えているのだ。

適性試験を待つ入隊希望者達

他の入隊希望者と共に、北マリアナ諸島サイパンの陸軍予備軍センターで入隊適性試験を待つロス・デラローザ(左)

入隊競争で優位に立つために、オードリーは土曜日朝に開催された陸軍入隊適性試験の2日前に席を予約していた。無事着席すると、陸軍のスカウト担当者が、遅れてきた申込者10人を拒否している様子を彼女は見た。10人とも、高校時代の同級生であった。

「イラクに行くのは怖いけど、自分にとってメリットになるから行かなきゃならないの」オードリーは言った。彼女はフィリピン移民の娘で、カリフォルニアの看護学校行きを目指している。

イラク戦争によって合衆国本土で入隊希望者が激減している昨今、米陸軍スカウト担当者は、北米大陸から4000マイルほど西方の、米領サモア首都パゴパゴからミクロネシアのヤップ島まで、高校を卒業したばかりの若者を入隊させるために、太平洋中を探し回っている。

太平洋の貧困な僻地は、陸軍にとって豊かな土地となっている。米領サモアでは、住民1人当たりの年間所得は8,000ドルで、北マリアナ諸島では1万2,500ドル、グアムでは2万1,000ドルとなっているが、これらの土地は全てアメリカ領である。元委任統治領であるマーシャル諸島とミクロネシアでは、およそ2,000ドルとなる。(訳注:米国民1人当たりの平均年間所得はおよそ2万2,794ドルである:source/2002年米国勢調査

米陸軍の入隊時ボーナスは最低でも5,000ドル。海兵隊二等兵の年収はスタート時で1万7,472ドル。教育手当ては7万ドル相当まで支給される。

「マリアナ諸島やミクロネシアあたりでは、募集に困ることはありませんね」オリンピオ・マゴフナ第一軍曹は言う。サイパン育ちの軍曹は、グアムの陸軍基地において太平洋募集活動を監督している。「合衆国本土では、(入隊状況は)本当にひどいみたいですが」軍曹は言った。「しかしここでは、私も毎日ゴルフに行けるくらいですよ」

『アメリカで一番早く日が昇る』この土地で、グアムの米陸軍募集センターは、米陸軍兵士入隊数ランキングトップ12基地の中で、4番目の『生産高』を誇っている。入隊実数では少ないが、グアム、サイパン、米領サモアからの人口当たりの入隊者数は、アメリカ国内で最大である。サイパンでは、アメリカ市民と永住ビザ保有者の総計は6万人ほどだが、その内245人がイラクに派兵されている。

(米領サモアでは、6万7,000人の人口の内、6人が兵士としてイラクで戦死している。最近の例では、サモアのパゴパゴ出身者フランク・F・ティアイ二等軍曹が、今年7月17日に戦死している。グアム出身者は3人戦死し、サイパン出身者は1人が戦死している)

「黄色いリボンはそこら中にありますよ」パゴパゴの陸軍募集センターから、レビ・スイアウノア二等軍曹が電話で言った。「ほとんどの通りには『無事帰還せよ』の看板がありますね」

犠牲者の数にも関わらず、貧困と愛国心が入隊を促進させている。

「私自身、少なくとも1人の兵士を埋葬したが、今でも入隊者の数が減ることはないですね」サモアの首都パゴパゴ・カソリック管区のクイン・ワイゼル司祭は言う。「彼等は今でも、合衆国のために何かしたいと思っているのです」

グアムとサイパンでは、ナンバープレートにUSAの文字が装飾されており、まるで旅行者にこの土地が米国領であることを教育しているかのようだ。

「米領の至るところで、愛国精神が強く根付いているのです」諸島関連部次官補を務めるデビッド・B・コーエンは言う。「現職の北マリアナ諸島下院議員で、イラクに1年駐留したレイ・ユムルのような人について、他にどのような説明ができます?彼は生活のために軍隊に入ったわけではないでしょう」

マリアナ諸島では、米国陸軍への従軍の伝統は、日本の占領体制と闘った1944年の夏から、3世代に及んでいる。

「私達は独立記念日と、退役軍人記念日と、国旗制定記念日を支持します」北マリアナ諸島退役軍人局局長ルース・A・コールマンは言う。自身も退役空軍兵である彼女は言う:「私を御覧なさい。父も、夫も、私も従軍してるんです。一番下の息子は憲兵だし、その息子の嫁は憲兵指揮官。真ん中の息子は空軍に居ますよ」

この土地の多くの若者にとって、従軍と経済的成功の関係は明白だ。

「そりゃあ得だよ」アーノルド・バリサリサは語った。彼は入隊適性試験を7月下旬に受けている。時給3ドル25セントのマクドナルドの仕事の休憩中に、彼は話した:「この島に居るよりマシさ。ここじゃ何も始まらないよ。俺は19歳だけど、グアムにも行った事がないんだ」

オードリー・ブリシア

オードリー・O・ブリシア(17)北マリアナ諸島に暮らす彼女にとって、陸軍入隊は看護学校へと続いている


アーノルドの友人ブリシアは、カリフォルニアの高校で1年を過ごしたので、違いがわかっている。

「合衆国本土の人たちは研修でも高給ですから」州立大学に必要な研修制度が低賃金であることを引き合いに出し、彼女は言った。「サイパンの多くの人は、高給・高待遇を求めて陸軍に入隊するんです」

サイパンの将来の経済状況を曇らせるかのように、サイパン観光客の25%を抱えている日本航空が、この10月でサービスを休止させる予定である。アメリカ政府が中国製衣料品の輸入を自由化してから、島の雇用を支える最大産業である衣料業界は、数千人の従業員をレイオフすることになった。

観光客にとって、サイパンは楽園のように見えるかもしれないが、血気盛んな地元の10代の若者にとっては、まるで袋小路のように見えることだろう。タポチャオ山の麓に住む18歳のロス・デラローザは、前庭の近くで牛と鶏の遥か先を眺めながら、野心を燃やしている。

「この島では暮らすのも大変なんだ」デラローザは言う。フィリピン移民の息子であるデラローザは、マリアナ先住民であるチャモロ族とカロリン族が地主や政府の仕事のほとんどを支配する島の現実と直面している。独学で整備士となった彼は言う:「ここでは何を知ってるかではなくて、誰を知ってるかが重要なんだ」

無敵を自負する10代の若者にとって、彼等を抑えるのは母親の仕事だ。ブリシアの母、ミラは、娘のインタビューの最中ずっと腕組みをしていた。

「ジェシカ・リンチの話を聞いてますから、『私の娘が?まさか!』という感じです」侵攻当初に拘束された兵士の件を引き合いに出して、彼女は言った。結局、未成年である娘のために、彼女は陸軍入隊同意書に署名した。

入隊希望者達にとって、決断の際にイラクは重くのしかかっているという。

「怖いのは、イラクに行って、もしも誰かに撃たれたらどうする?ってことだなあ」休憩時間にバリサリサは話した。しかし、まもなく彼は陸軍入隊適性試験を通過したかどうかを心配しだした。オードリー・ブリシアの方を向いて、彼は言った。「(陸軍から)君には電話が来た。なぜ俺には電話が来ないんだろう?」
(以上)

2005/07/26

ストレスから薬物依存に陥る駐留米軍兵士達

英デイリー・テレグラフ紙2005年7月23日付け記事を以下に全文翻訳して掲載。米軍兵士の薬物問題は日本国内にも影響を及ぼし始めている。(参照投稿:米軍兵士と合成麻薬MDMA


ストレスから薬物依存に陥る駐留米軍兵士達(Stressed US troops in Iraq 'turning to drugs')

by トーマス・ハーディング記者:バグダッド (英デイリー・テレグラフ紙2005年7月23日付け記事

イラク占領から2年が経過し、薬物乱用の脅威がアメリカ兵士を苦しめ始めている。

ベトナム戦争時代から、米軍兵士における薬物の効果による衰弱はモラルの低下と実行力欠如に繋がることが知られており、米軍当局はイラクで同じことが繰り返されないよう事態の抑制を試みている。

抜き打ちの尿検査や兵舎の調査に加えて、司令官達は兵士達に戦友同士気をつけるよう促している。

これまでに、1人の兵士がコカイン密売で逮捕されており、大部隊の2%ほどがドラッグとアルコールの乱用に陥っているとみられている。

米陸軍の調査によれば、第256戦闘師団の兵士4000人中、53人がアルコールに関わる罪で、48人が薬物犯罪に問われている。

サダム体制の崩壊以降、国境地帯が武装勢力にとって抜け穴だらけになるにつれて、アフガニスタンやイランからヘロインや大麻等の密売業者も流入するようになり、兵士達の市場に安価な薬物を提供している。同僚達の戦死・戦傷を日常的に経験するにつれて、一部の兵士達は武装勢力との闘争の恐怖から逃れるために薬物に依存するようになっている。

一例を挙げると、米軍の新聞スターズ&ストライプスの報道によれば、マイケル・ボルドーという軍曹が、ドラッグと4本のウィスキーボトル、22本のイラク製ポルノビデオを所持していることが発覚し、7ヶ月間の監禁の後に降格され、懲戒除隊となっている。

別の事例では、エミリー・ハミルトンという名の兵士が軍法会議で語ったところによると、彼女は同僚の大麻パイプを「ぐっすり眠れる」という理由で日常使用していたという。彼女もまた、1年間の監禁の後に懲戒除隊となった。

「若い兵士の中には、ストレスに耐えられない者もいます」米軍弁護士クリストファー・クラフチェック隊長は言う。

薬物を使用する者の大半は、10代から20代前半で、しばしばバグダッドをパトロールする際に、地元イラク人から薬物を手に入れるという。

米軍兵士が違法に薬物を所持していた場合は収監されるか、降格、もしくは除隊される決まりとなっている。
(以上)

2005/07/22

英ガーディアン紙:「さてブレマーさん、イラクのお金は何処に行っちゃったの?」

イラク復興費用の内実を露呈した7月7日付け英ガーディアン紙の記事以下に全文翻訳して掲載。記事で言及されている事実のポイントは以下のとおり。(CPA統治時期のイラク資産持ち逃げ疑惑については主権移譲当時から報道されていた

  • CPA(連合軍暫定当局)責任者ポール・ブレマーはイラク復興基金から6億ドルほどを裏金として現金化し、帳簿にもその記録を残さなかった。その内2億ドル分の現金が、サダムの宮殿の一室に保管されていた。
  • イラクの新札で190億ディナール(約125億7,411万円)を積んだ飛行機が、レバノンで発見された。飛行機を飛ばしたのは、新任のイラク内相であった。
  • 或る閣僚は警備員8,206人を雇っていると申告していたが、実際には602人だった。
  • 或るCPA(連合軍暫定当局)のアメリカ人職員は、建設費用として2,300万ドルをイラク復興基金から手に入れた。業者に支払われた金額は600万ドルだった。

元駐イラク連合軍暫定当局責任者ポール・ブレマーとブッシュ

名誉ある「ブッシュ大統領自由勲章」を授与される元駐イラク連合軍暫定当局責任者ポール・ブレマー氏。ブッシュ政権では、何か悪いことをしでかした人物ほど、出世したり表彰されたりする風変わりな習慣がある。


このまま会計監査が無事進行すれば、連合軍暫定当局責任者でブッシュの個人的な友人でもあるポール・ブレマー氏は、確実に告発されるだろう。ダウニングストリートメモ事件、カール・ローブ事件に加えて、ホワイトハウスはさらに忙しくなるはずだ。(誰が最初に被告人席に座ることになる?)

さて、連合軍暫定当局の略奪期間が終了した現在でも、イラク資産の無駄使いは止まらない。例えばイラク国防省は、米国側の軍事コンサルタントの指導により、無駄な武器を高額料金で買わされており、例えば一丁200ドルで買えるMP5マシンガンの偽物(エジプト製)を3,500ドルで買わされたりして、3億ドルを無駄にしている。こうした状況では、イラク国内の水道設備の復旧作業は、治安悪化以前に資金不足でますます遅延することになるだろう。

イラク資産以外の復興資金の無駄使いについては、チェイニー副大統領の古巣ハリバートン社が俄然張り切っている。昨年の調査で判明した同社の不正請求の一部を以下に挙げておこう。

  • 国防総省はハリバートン社員に兵士と同じテント(一泊の費用合計139ドル)に宿泊するように依頼していたが、ハリバートン側は社員100名をクウェートの五ツ星ホテル(一泊の費用合計1万ドル)に宿泊させ、費用を請求していた。
  • タイヤが磨り減ったのを理由に、8万5000ドルの貨物トラックを廃棄した。
  • 衣類洗濯サービスをクウェート側の業者に15ポンドあたり100ドルの超高級料金で下請けさせた。イラク国内の洗濯サービスでは同じボリュームを28ドルで提供している。この洗濯費用は月間100万ドルを超えたが、全て米国民の税金で賄われた。
  • 1缶あたり1.5ドルの高額な炭酸飲料を32,700缶もクウェートから仕入れた。これは契約時の見積より24倍も高い。

一方で、7月18日付のニューヨークタイムズ紙によれば、ヨルダンの首都アンマンで、イラク政府関係者による復興資金会議が行われ、日本政府は新たにイラク復興資金(水道、下水、道路建設費用他)として35億ドルの低利融資を行うことで大筋合意したとのこと。世銀は、イラク向け低利融資として5億ドルの拠出を提示している。

同記事によると、イラク復興世界基金には、これまでに世界各国から11億ドルが入金されているが、予想どおり拠出額トップは日本で、すでに3億5,000万ドルを支払い完了しており、その後に欧州連合、カナダが続いている。(アレ?アメリカは?)

さて、これら復興資金が、当初の目的達成のために使われるのかどうか、今のところイラク国民すら知ることも出来ない。いっその事、日本政府は、迷彩服を着て重い銃を担ぐ自衛隊員の代わりに、半そでシャツ姿で電卓と帳簿を手にする会計士を派遣したほうが、イラクの人々の支持を得られるのではないか。

さて、ブレマーさん、イラクのお金は何処に行っちゃったの?(So, Mr Bremer, where did all the money go?)

イラク戦争終了直後、イラク復興資金の大半は、ポール・ブレマー氏率いる米国主導の連合軍暫定当局(Coalition Provisional Authority:CPA)に託された。8ヵ月後にブレマー氏がそのポストを去ると、復興資金から88億ドルが消失していた。失われたイラク復興資金を巡る驚愕のスキャンダルをエド・ハリマンが伝える。

英ガーディアン紙2005/07/07付記事

イラクでの戦闘終了が公式に宣言されて後、連合軍暫定当局(CPA)責任者ブレマー氏が到着した頃のバグダッドには、国連石油食料交換プログラムの収益残金60億ドル、その他凍結されていた資産に加えて、再開されたばかりのイラク石油輸出分の売上金が少なくとも100億ドル残されていた。2003年5月22日に発効された国連安保理決議1483により、残された資産の全額はニューヨーク連邦準備銀行の口座に移され、イラク復興基金(Development Fund for Iraq:DFI)と命名されて、『業務の透明性を保ち、イラク国民の利益となるように』連合軍暫定当局によって支出が管理されているはずだった。

米議会も、米国民の税金184億ドルをイラク復興に支出すると決定していた。しかしながら、昨年6月28日までの時点で、空港までの移動中に攻撃されるのを避けるために予定より2日早くバグダッドから脱出したブレマー氏の連合軍暫定当局は、イラク復興基金から最大で200億ドルを引き出し、米国の資金からは3億ドルを支出していた。イラク『復興』計画は、米国主導の占領計画としてはマーシャル計画以来の大きなものであった・・・もっとも、マーシャル計画の時は米政府が基金を拠出したのだが。ドナルド・ラムズフェルド国防長官とポール・ブレマー氏は、イラク復興費用が、『自由化された』イラクにより、イラク国民自身によって使われることを強調した。

連合軍暫定当局は、イラク復興基金の内6億ドルを現金で保管し、その会計記録を一切残していなかった。現金2億ドル分が、サダムの宮殿内の部屋に保存されていた。警備担当の米軍兵士はその部屋の鍵を背嚢に入れて管理していたが、ランチに出かけるときは机の上に置いたままだった。繰り返すが、その金はイラクのお金であり、米国のお金ではないのである。

米国政府と国際社会で活躍する監査官により実施された監査報告の中で説明された『財務上の不正』には、米国占領当局者達の精神構造とそのやり方について、詳細な見識を与えてくれる。山積のドル札をばら蒔きながら、占領当局者の誰一人としてその責任を感じなかったというわけであった。

監査官達は、米国の企業に支払われた数十億ドル分を含めて、捜査と告発に向けて今のところ100件以上の契約に目を通している。ブレマー氏の管理下において、88億ドルがバグダッドの新イラク政府に渡された事実も発覚したが、その金が何処に行ったのかほとんどわかっていない。さらに、米国議会はイラク復興資金として34億ドルを追加支出したが、もっぱらその資金は『治安維持』費用に転用されている。

イラク復興基金の管理にあたって、ブレマー氏には業務の透明性が期待されていたが、連合国暫定当局(CPA)の支出を監査するための国際諮問監視理事会(International Advisory and Monitoring Board:IAMB)が設置されたのは、サダム体制崩壊から6ヶ月後の2003年10月だった。(この理事会には、国連、世銀、IMF、アラブ経済社会開発基金の代表者も参加している)。

国際諮問監視理事会は、当初の1ヶ月間で、米国政府が承認できる監査企業を選定した。最終的に、2004年4月にKPMGバーレン支社が選出された。それから妨害が始まった。

「経過報告を完了するために必要な情報の提出を求めたKPMGは、CPAスタッフから抵抗に遭った」内部報告書にはそう書かれている。「KPMGの取り組みへの協力は優先順位が低い、とCPAスタッフは説明した。」KPMGはイラク財務省内で一度だけ会議を開催したが、他の省庁での会議は何度も延期された。監査担当者達は米軍占領地区への入退出すら困るほどだった。

アメリカ側の妨害行為には充分な理由があった。2004年6月末に、CPAは解散してブレマーはイラクを離れることになっていた。CPAが活動中でブレマー氏が責任者として記者の前に立つ可能性がある時期に、イラク資産の財務状況について独立監査報告が公表されることを、ブッシュ政権が望むはずもなかったのである。そんなわけで、報告書の公表は7月にずれ込んだ。

監査官達が発見したのは、CPAが、金庫にあった数百万ドル分の現金の支出を記帳しておらず、数十億ドル分の契約を入札無しで米企業に与え、暫定イラク政府省庁により支出される予定だったイラク復興基金については何ら関知していなかったという事実だった。

業務の透明性の欠如は不正疑惑へと繋がる。或るイラク人の病院管理担当者が私に話してくれた内容によれば、彼が契約書に署名するためCPAに来た際、米軍のCPA窓口担当者は、契約書にある金額を取り消して、契約金額を2倍に増額したという。そのイラク人は、元の金額で充分だと主張したが、米軍の担当者は、その増額分(100万ドル以上)は自分の退職金にすると説明したという。

サマラのセメント工場の修繕費用が当初の契約金額である2,000万ドルから6,000万ドルに増額された件について、イラク統治評議会がブレマー氏に説明を求めたところ、そのアメリカ人責任者(ブレマー)は「サダムから解放されたのは連合軍のおかげなのだから感謝してくれ」と言ったと伝えられている。アメリカ側に顔の利くイラク人達は、米軍占領地区に出入りを許され、新政府でも有利なポストに就任し、個人的に大きな利益を得ることになった。イラク人ビジネスマンたちは、CPAから仕事を受注するために、仲介するイラク人に大量の賄賂を払わねばならないと、いつも愚痴をこぼしていた。イラク人閣僚の親戚達は、最高の仕事と法外な契約を手に入れていた。

透明性の欠如を示すさらなる証拠は、CPA内部監査官事務所(CPA's inspector general's office:CPAIG)が実施した監査報告書に記されていた。同監査は2004年1月から開始され、米下院に報告された。会計担当者と犯罪捜査官からなる監査官達によれば、CPAの同胞から敬遠された監査官達は、占領地区内のカフェでしばしば孤立していたという。2004年7月に公表された報告では、CPAとイラク省庁に雇われたアメリカ人の契約職員達は、「契約ファイルに必要な書類が揃っていることや、業務契約において公正でマトモな価格が設定されているかどうか、請負業者に予定どおり仕事を行う能力があるかどうか、請負業者が契約どおり業務を遂行しているかどうか等を、確認しなかった。」

横領も日常茶飯事だ。イラク中央銀行からは数百万ドルが消失した。CPAによって隔離されていた、1,100万ドルから2,600万ドル相当の価値があるイラク資産は行方不明。何百人分もの幽霊職員によって給料は水増し請求された。実体なき業務契約によって数百万ドルが請負業者に支払われた。例えば、石油パイプラインの修理作業一件のために、「実務経験のない作業者」と「その他不適切な請負業者」に、337万9,505ドルが支払われている。

CPA監査官が手がける69件の犯罪捜査のうちほとんどが、盗み、詐欺、無駄遣い、強盗の類である。それ以外にもCPA監査官は「他にも多くの事件があるが、慎重を要する事例であるため報告書には含めていない」事件も捜査中である。そうした事例には、イラク新札で190億ディナール(約125億7,411万円)を詰め込んだ飛行機がレバノンで発見されたが、その飛行機の持ち主がアメリカ側によって指名されたイラク内相であった事件も含まれている。

同じ時期に、IAMBは、イラクの石油輸出高が計量されていないことを発見した。イラク石油販売機構もアメリカ側の責任者も、その件について説明をしていない。「計量されていない唯一の理由は、どれだけ横流ししたか知られたくないからだ」或る石油専門家は説明してくれた。

公的には、アメリカ占領後の初年度イラク石油輸出高は100億ドル分とされている。 英国のNGOクリスチャン・エイドによれば、実際にはそれよりおよそ40億ドル分ほど多く輸出されているが、記帳されていないとのことだ。もしそれが事実なら、アメリカ側とそのイラク人仲間の両方にとって、秘密にしておきたい費用---ブッシュ政権が議会と国際社会になんとか受け入れてもらえる額をはるかに超え始めている占領費用に転用も可能な、帳簿外の資金源が出来上がっていることになる。

ブレマー氏がイラクを離れる数週間前に、CPAは、新規契約のためにイラク復興基金から30億ドル以上を支出し、バグダッドの米大使館に管理を委譲していた。今ではイラク復興特別監査官という肩書きのCPA監査官は、米大使館の業務遂行状況について報告を公表した。監査官達は、総額3億2,700万ドルに及ぶ225件の契約ファイルを調べて、米大使館が「現在の支払い状況と未払い分の契約内容がどうなっているか」を特定できるかどうかを検証した。

特定は無理だった。「財務記録を検証した結果、支払済み額は1億825万5,875ドル、水増し分の未支払い額は1億1,936万1,286ドル」だった。監査官達は、さらに総額3億3,290万ドルに及ぶ300件の契約書類も見直した。「198件の契約ファイルを見直したが、その内154件については、商品やサービス受領の確証が存在せず、169件については納品書がなく、14件については支払いの確証がなかった。」

明らかに、アメリカ人達は、イラクの国家収入の使い道について、ブレマー氏の監督下にあった頃以上の会計の必要性を感じていない。米大使館責任者も、米軍司令官も、監査官の質問には何の返答もしていない。その代わり、米軍の業務契約監督者は、「初期に想定されていた治安状態の確保のために復興の取り組みが遅れている」と弱々しく説明した。これは著しく控えめな表現である。他人のお金を戦争につぎ込んでいる最中のアメリカ人達に、お金の勘定など到底期待してはいけないというわけだ。

無責任といえば、アメリカ人だけの話ではない。今年1月、イラク復興特別監査官は、ブレマー監督下のイラク内務省における詐欺、不正、無駄使いについて報告をした。それによれば、88億ドル---2003年10月から2004年6月までにイラク暫定政権が費やした全額が、正しく記帳されていなかったのである。イラク予算管理局では、6人しかスタッフがおらず、全員が会計業務の経験がなく、省庁のほとんどには予算部門がなかった。イラクの新任閣僚とその高官達は、アメリカ側『顧問団』の監督の下、数百万ドルの現金を、好きなだけ自由に手にすることができたのである。

「CPAの職員達は、財務、予算、実行状況等を計画もしくは期待された結果と比較検証することがなかった」監査官は説明した。或る閣僚は、CPA職員の書類作成なしで、4億3,000万ドルを支出していた。他にも、8,206人の警備員の給与を支払うという名目の支出では、実際には602人しか警備員がいなかった。端的に言って、88億ドルからどれほどの金額が傭兵の給与や個人のポケットに渡ったのか、全く知る術もない。

「監査官のオフィスは、誤解と不正確さに満ちた報告をする前に、草稿を作っておくべきだった」イラク復興特別監査官の報告に対して、ブレマー氏は答えた。「解放されたばかりのイラク経済は死んだも同然だった。CPAの最優先事項は、経済を成立させることだったのだ」

ブレマー氏の言葉に対応した特別監査官は、ブレマー氏の監督下にあったCPAが、ヒラー周辺地区向けの支出をどう管理したかについて調査し、今年4月に新たな報告を公表した。「監査の課程で、現金の管理が行われていないことが判明した・・・巨額なのでただちに気がつくはずだった。重大な欠損なので、監査の当初目標達成は不可能である」監査官によれば、バグダッドのCPA本部は、「およそ1億1,990万ドルほどの会計管理を怠り、記帳しなかった」現地のCPA職員は「966万ドル分の現金について正しく記帳できていない」イラクにいたCPA職員のほとんどは、臨時雇用のアメリカ人であった。或る職員の会計報告では、「282万5,755ドル分が水増し請求であり、その不正は発覚しなかった」他の職員は2,500万ドルを現金で手渡され、ブレマー氏のオフィスからは「書類を残さないように」と念押しされていた。もう1人の職員は2,300万ドル以上を手渡されたが、業者に支払われたのは630万6,836ドルだけだった。

アメリカ人職員の多くは、出国のため空港に向かう寸前に会計書類を提出していた。職員2人はそれぞれ75万ドル分を会計処理せずにイラクを脱出し、二人が手にしたお金は見つかっていない。CPA本部では、複数職員に対し25万ドルから1,200万ドルほどの精算金を支払ったが、受け取り確証はなし。領収書を提出した或る職員は、187万8,870ドル分の報告が足りないと言われて、3日後に金額ピッタリの領収書を持ってきた。監査官達は、「この事例は、職員が現金を備蓄していることを示している」と考え、もし当該職員の元の申請が正しいなら、この職員は当初受け取るべき金額よりもおよそ380万ドル以上余分に受け取っていることになるといい、「イラク復興基金会計担当者に渡された領収書類は信頼できない」とのことだった。

では、お金は一体何処に?ヒラー地区では見つからないだろう。学校、病院、水道設備、電気設備など、復興基金で賄われたはずの設備は、破壊されたままだ。避けがたい結論としては、支出を担当したアメリカ側職員の多くが、莫大な量の札束を自分の懐に入れて、イラク人の業者達とうまい取引をしたということである。

しかも、それはまだ続いている。国際諮問監視理事会のイラク政府支出に関する最新報告で登場する話題は「不完全な会計」「イラク閣僚内部の限定入札を正当化する書類の不足」「石油売り上げ横領の可能性」「イラク国家予算と支出管理の完全性確保は著しく困難」そして、「国連安保理決議に反して、石油製品輸出の収益に伴う適切な口座への入金不足。」

有意な説明責任の欠如により、イラク国民は自国の資産からどれだけの金額が復興に支出され、どれほどの金額がイラク政府閣僚や職員、その友人と家族の懐に入るのか、あるいは海外の秘密口座に送金されているのか、知る由もない。多くのバース党員が政府に復帰しており、資産の一部は武装勢力に支払われているのかもしれない。

サダム体制時代には、サダムと米国の両者とも、気前よく利益を得ていた。サダムはイラク資産を管理し、イラク石油の大部分はカリフォルニアの精油所に届き、米国の有権者に安い石油を供給してきたのだ。訳注サダム体制を謳歌した米国企業は大金持ちになった。現在でも、そのシステムは変わっていない。石油はカリフォルニアへ、そして新生イラク政府は、国家資産を何のお咎めもなく費やすことができることになった。

(この記事はロンドン・レビュー・オブ・ブックス(London Review of Books )の最新記事を再編集したものです)

(以上)


(訳注:この部分の記述で言及されているのは、おそらく国連石油食料交換プログラム不正疑惑の最新報告の事例であろう。現在、国連と米政府議会の調査委員会が、それぞれイラク戦争前の国連によるイラク経済制裁時代の不正取引を継続調査しているが、国連の経済制裁実施時期に、サダム・フセインとの秘密の石油取引で最大の利益を得ていたのはアメリカの石油業界であり、(サダム・フセインが国連経済制裁当時に世界中の企業から手にした賄賂の内、52%は米石油企業からのキックバックであった。その石油密輸は米国政府機関の了解の下で行われていた証拠が発覚している。しかも国連石油食料交換プログラムの影でサダムと取引を行っていた米企業の多くはブッシュ政権の支援企業であることが、米議会側の調査で判明している。

2005/07/18

セイモア・ハーシュ:「ブッシュ政権はイラク国民選挙で秘密工作を実行」

現代米国を代表するフリージャーナリストの1人、セイモア・ハーシュがニューヨーカー誌に掲載した最新スクープによれば、イラク国民選挙において、シーア派の影響力を抑えるために、ブッシュ政権が議会の承認抜きで秘密工作---アラウィ他米国寄りの候補者と政党を密かに援助する作戦---を行ったとのこと。今のところ米政府側は、秘密工作が実際に実行された疑惑については否定しているが、イラク国民選挙に介入する計画があったことは認めている(これだけでも大問題!)

ハーシュの記事によれば、秘密工作は元CIA工作員と民間諜報部員によって実行され、議会の承認を必要としない資金源から必要費用が提供されたとのこと。(この資金の出所は・・・ひょっとして暫定当局時代にブレマーが紛失させたイラク石油売上金?しかし、実際の選挙結果はブッシュ政権の思い通りとはいえず、ハーシュの情報源によれば「秘密工作の効果は不充分だった」とのこと。

さらに、米情報部が関わる同様の秘密工作が、現在も北アフリカや中央アジア各地で行われているとしている。ウクライナフィリピン?)

結局のところブッシュのイラク戦争は、開戦の口実から民主化のプロセスまで、全てウソだったことになる。ブッシュの言う同盟国---もちろん日本も含まれる---は、充分な調査・検討も行わずに、この未曾有の戦争犯罪に易々と加担してしまった。

2005/07/04

USAトゥデイ創業者:「ブッシュは嘘つき」

第二次大戦の退役軍人で、米大手新聞社USAトゥデイの創業者アル・ニューハースが、昨年末に引き続き、また紙面で大統領を大批判。以下にそのコラムを全文翻訳して掲載。(参照過去記事:USAトゥデイ創業者:「早急にイラクから撤退せよ」

「イラク問題にもウォルター・クロンカイトが必要だ(What Iraq needs is a Walter Cronkite)」

アル・ニューハース:2005年6月30日付けコラム

今週、ブッシュ大統領はテレビ放送で、またしてもイラクの状況が問題ないと装った。40年前のリンドン・ジョンソンとベトナムを思い出させる事態だ。

イラクとベトナムの最も重大な相似点は、民主・共和両党の大統領が、戦時下で国民にウソをついたことだ。皆さんの記憶を呼び覚ますために、我が国がいかにしてベトナムの泥沼から抜け出したか以下に示そう。

  • CBSテレビのアンカーで、『アメリカで最も信頼された男』ウォルター・クロンカイトが、1968年のベトナム視察を終えて、こう宣言した。「これ以上、この戦争を正当化する理由はない」
  • ジョンソンは嘆きながら側近に言った。「クロンカイトを失うなら、アメリカを失うのと同じだ」ジョンソンは2期目を断念すると表明した。

ベトナムとイラクの致命的な違いは、クロンカイトのような、ブッシュの虚勢を批判する人物がいないことだ。強力で、信頼のおける、党派を超えた意見が欠落しているせいで、あまりにも多くの国民が盲目的にブッシュに追従している。火曜日の全国放送で、執拗にイラクを911テロと関連づけながら、またしてもブッシュは国民の目を塞ごうとしている。そのようなやり方は、サダム・フセインが大量破壊兵器を所有しているという開戦前の不信な主張と同じくらいの偽りに満ちている。

個人的に戦争を体験している我々のような世代の大半は、この偉大なる国家に命を賭ける価値があると強く信ずる。私の机の後ろの壁にある、第二次大戦時代の青銅星章と戦闘歩兵章が、毎日それを思い起こさせてくれる。

それらの記憶は、戦争が地獄であることも知らしめてくれる。それゆえに、我々は兵士達を必死で助けるべきだし、彼等の命を危険にさらすには正直で正当且つ高潔な動機が必要なのである。

以上の理由から、イラクに駐留する兵士を助ける最良の方法は、彼等を故郷に戻すことであると私は確信している。早いに越したことはない。
(以上)

2005/07/02

ブッシュ大統領「イラク駐留継続」演説の失敗

「明日、大統領は成功戦略について話すでしょう。大統領は今後についてかなり具体的に語るはずです。勝利への確かな道筋です」

「説明したとおり、これは新しい演説です。大統領は、イラクでの成功戦略について、かなり具体的に説明する予定です」

成功への明確な戦略があると思います。大統領はその戦略について、かなり具体的に語るはずです」

---マクレラン米大統領報道官、ブッシュ大統領の演説内容を前日のホワイトハウス通常記者会見で宣伝(2005/06/27




サダム・フセインが911テロ攻撃に関わったという証拠は掴んでいない。

---2003年9月のブッシュ大統領の発言(同時期に、米国民のおよそ70%が『フセインは911テロに直接関わっている』と信じていた




サダム・フセインと仲間達は、911テロ攻撃にきわめて深く関わっていたのです。

---2005年6月29日、ロビン・ヘイズ下院議員(ノースカロライナ州、共和党)、CNNインタビューでの発言。(ヘイズ議員は国家軍事委員会・下院テロ対策小委員会委員を務めている)

フォートブラッグ基地の大統領演説

兵士達が沈黙する中、演説は手短に行われた

6月28日、ノースカロライナ州フォートブラッグ基地でステージに立ったブッシュ大統領を拍手で賞賛したのは、結局のところホワイトハウスから会場に派遣された応援職員だけだった。

イラク、アフガニスタン共に反米武装勢力の拡大が続いており、演説前にアフガニスタンで軍用輸送ヘリ「チヌーク」がタリバンの武装兵に撃墜されというニュース速報が伝わっているせいもあってか(後に米兵士16人死亡と判明、ステージに現れた大統領に対し、聴衆(大部分が基地の兵士)から歓迎の声もないまま、重苦しい雰囲気の中で大統領の言葉が虚ろに空回りしていき、ホワイトハウス側の見積で40分間かかるはずだった大統領演説は、拍手による中断がなかったおかげで、わずか28分で早々と終了した。(同基地からは9,000人以上がイラクに派遣されている。)

使われた言葉、無視された話題・・・
演説中のキーワードと登場回数
source1| source2
その他各種報道から抽出)
テロ、テロリズム、テロリスト
(Terror, Terrorism, Terrorists)
34
自由な、自由
(Free, Freedom)
33
防衛、防御
(Defend, Protect)
15
治安
(Security)
14
選挙、投票、投票結果
(Election, Vote, Polls)
10
任務
(mission)
9
殺人者
(Killers, Murderers)
9
反乱軍、武装勢力
(Insurgents)
6
暴力
(Violence)
6
民主主義、民主的
(Democracy, Democratic)
5
911テロ事件
(September 11th)
5
(イラク)戦争
(War)
4
自由、解放
(Liberty, Liberate)
4
攻撃
(Attack)
4
オサマ・ビン・ラディン
(Osama Bin Laden)
2
サダム・フセイン
(Saddam Hussein)
2
反対意見
(Dissent)
1
失敗
(a mistake)
1
大量破壊兵器
(weapons of mass destruction)
0
出口戦略
(exit strategy)
0
任務完了
(mission accomplished)
0


肝心の演説の内容は、マクレラン米大統領報道官の前宣伝とは全く違い、国民をテロ恐怖で脅迫する古い手口を踏襲しただけのお粗末な内容。数日前に「ブッシュの頭脳」カール・ローブ大統領補佐官は、演説前の仕込みとして反ブッシュ陣営をテロリストになぞらえようとしたが、逆に軍人層の怒りを誘い失敗。また、大統領演説の直前、英国陸軍特殊空挺部隊(SAS)はアフガニスタンで(ブッシュの親友でCIA長官のポーター・ゴス氏が予告したように)オサマの「隠れ家」を急襲したが、ビン・ラディン氏は不在だった。明らかに、ホワイトハウスは準備不足だったわけだ。


視聴率も最低記録


ニールセンの視聴率調査によると、同時多発テロ直後の2001年9月20日に議会で行われたブッシュの「テロとの戦い」演説では、視聴者数は任期中最大の8,200万人だった。2003年5月1日、サンディエゴ沖に停泊させた空母の艦上で行われた「イラクの大規模戦闘終了」演説では、4,840万人の米国民が、戦闘機から降り立つフライトスーツ姿のブッシュ大統領を観ていたという。

しかし、4つの大手放送局と3つのケーブル放送網で生中継された6月28日のブッシュ大統領演説の視聴者数は2,300万人。ブッシュ大統領演説の視聴率としては、最低記録を更新した。

ちなみに、人気番組「アメリカン・アイドル」シーズン最終回の視聴者数は3,030万人であったという。


2大新聞は演説をどう評価したか


ワシントンポスト紙6月29日付15面
「抜け落ちた進捗報告の実情(A Case for Progress Amid Some Omissions)」

昨夜の演説で、ブッシュ大統領はイラクにおける米国の活動に関して、いくつかの不愉快な事実を無視し、諸外国からの支持拡大についても誇大な主張をした。しかし、手のつけられない反乱に直面しながら創設されたイラク政府の成果については正確に主張した。

大統領はイラク戦争をテロ対策努力の中心であり、合衆国を攻撃するテロリストの避難所として描写した。しかし、イラク侵攻の元々の論理的根拠は、昨夜無視された。ブッシュ政権が確信したのは、サダム・フセイン政権が生物化学兵器を保有し、核兵器を所有している可能性があるというものであった。

実際には、ブッシュ政権が開戦根拠として引き合いに出す国連決議により、専ら大量破壊兵器の廃棄をし損なったイラク側に非があるとしているが---そうした大量破壊兵器は、戦後も全く見つかっていない。ブッシュは、2003年3月19日の侵攻前の演説で、軍事行動は「イラクを武装解除し、人民を解放し、世界を重大な危機から護る」と語っていた。

開戦から2ヶ月半経過して、ブッシュが大規模戦闘終了宣言をした際、(イスラエルとパレスティナの紛争におけるイラクの役割に言及しながら)フセインを『テロ支援の源』として、『いかなるテロ組織もイラク政府から大量破壊兵器の援助を受けられなくなった』ことを理由に、テロとの戦いにおける勝利と言った。

ブッシュはまた、フセインを『アルカイダの仲間』と説明した。大統領はそれを昨夜の演説でも示唆していたが、しかし911同時多発テロ調査委員会は、フセインとオサマ・ビン・ラディンの組織にいかなる連携も存在していなかったと結論づけている。

今では、政権内外の多くのアナリストが指摘しているように、イラクはテロ組織の温床と見なされており、フセイン打倒とイラク占領政策におけるブッシュ政権の失策がその原因の一部を担っている。ブッシュはテロとの戦いにおける成果を強調したが、国防総省の中東地域司令官であるジョン・P・アビザイド将軍が今月明らかにしたところでは、6ヶ月前に比較して、より多くのテロリストが海外からイラクに流入しているとのことである。

演説の他の部分でも、大統領は諸外国からの支援レベルを現実以上に必死に誇張してみせた。『国際社会は一歩前進し、重大な支援を申し出ており』30カ国がイラクに派兵していると言った。また大統領は、武装勢力が『連合軍を大量撤退させることに失敗』していると言った。

しかし、米国主導の連合軍は、かつては36カ国を誇ったが、現在は専ら数カ国のみに依存している。過去数年で、12カ国以上が撤退、もしくは撤退計画を表明している。

イラク侵攻に名を連ねたスペインは、1年以上前に撤退を完了した。ポルトガル、ノルウェイ、ハンガリー、フィリピン、ニュージーランド、タイ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、トンガも撤退した。3大派兵国のひとつ、ウクライナとポーランドも今年一杯で撤退すると宣言し、イタリアも今年秋から順次撤退する計画を表明している。

ブッシュは『40カ国と3つの国際的機関がイラク再建に340億ドルの支援を約束している』と宣言しているが、その内200億ドルが合衆国の負担であり、そうした資金のほとんどが治安維持費用に転換されたか、未納となっていることを説明していない。さらに、2年ほど前に諸外国から約束を取り付けた支援金のうち、実際に支払われたのはわずかに20億ドルに過ぎない。

仮に340億ドル全額が最終的に支払われたとしても、2003年度に世界銀行と国連が発表したイラク再建費用の見積額560億ドルには遠く及ばない。(以下略)


ニューヨークタイムズ紙6月29日付社説
「イラクに関するブッシュ大統領の演説(President Bush's Speech About Iraq)」

昨夜、ブッシュ大統領は国民に向かって、イラク戦争は困難であるが、しかし勝てると話した。最初の部分については明らかに真実である。ブッシュ政権職員の陽気な応援にも関わらず、軍事状況は良く見積もっても改善されていない。ブッシュの楽観的な説明とは裏腹に、イラク国軍は、アメリカによるこの先数年の援助なしでは、国内治安を維持できる見込みはない。当初の任務を完遂するには、米軍兵士の数が足りないし、それどころか、この不適切な軍事行動を維持するための負担により、世界中の前線の安全を確保すべき合衆国の能力そのものに多大な犠牲を強いている。

我々は虚報に基づき国民をこの戦争に巻き込んだ件、あるいは軍事行動において政権閣僚の果たした失敗の件で、ブッシュ氏からの謝罪を期待していたわけではない。しかし、テロ攻撃と全く関係のない国との戦争を正当化するために、911テロの旗印をしつこく振り回すような誘惑に大統領が囚われることがないよう願っていた。勝利の定義について国民に話す機会を掴み、国民が目標にどう向き合うかについてくわしく説明することを期待していたのであり---侵攻時と同じ甘いシナリオの繰り返しは克服して欲しかったのである。

悲しいことに、ブッシュ氏は昨夜、そうした機会を台無しにして、誰も尋ねていない質問の答えを繰り返すのみだった。大統領は国民に対し、何度も何度も、イラクの安定化のためには、アメリカ人の犠牲を伴う価値があると主張したが、国民はそうした犠牲が果たしてイラクの安定化と民主化に実際に貢献しているのかどうか、もはや定かでないのである。

この戦争の計画から実行までの仕方を考えると、大統領は他の選択肢を持たないが、もし米軍が撤退すれば、イラクはおそらく内戦に突入し、民兵と無国籍テロリストが苦もなく活躍する無法地帯が拡大することになるだろう。しかし、もしブッシュ氏がこのまま駐留を継続するつもりならば、イラク政府とイラク軍が自立するためにさらに何年も必要になる。最も重要なことは、---武装勢力には『自由の進展は止められない』という、大統領が昨夜言ったような高尚な確約はさておき---これまでの努力と苦労は、結局のところイラク国民同士を反発させ、あるいは米軍兵士が究極の敵であることを決定づけてしまったにすぎないのである。重大な課題は、もしかしたら限界が来ており、アメリカの存在が状況をより悪化させる時期にあるかもしれないことを、冷静に判断することである。(以下略)

歪曲報道を競ったCNNとフォックスニュース

フォックスニュースの名物キャスターでブッシュ大統領の熱烈な支持者であるブリット・ヒュームは、大統領演説の中継で、聴衆から全く無視されたブッシュを擁護するために、放送中に以下のような手の込んだウソをついた:
「(聴衆の)兵士達は大統領に対して(軍隊流の)賞賛の声を上げないように、あらかじめ厳しく指導されていました・・・
このウソを言った直後、ヒュームが中継先のカール・キャメロン記者に画面を譲ると、ヒュームの意図が読めないキャメロンはあっさり真相をバラしてしまった。実際は、基地の兵士達は大統領を賞賛するよう、演説直前にホワイトハウス職員から指導されていたとのことだった。(ヒュームの慌てぶりが楽しい中継ビデオはこちら

一方CNN放送は、演説直後に電話世論調査を行い、ブッシュ大統領演説を観た国民の46%が『とてもポジティブ』、28%が『どちらかといえばポジティブ』な感想を持ったと急いで報道した。これが事実なら、米国民の7割以上が大統領演説を賞賛していることになるが、調査対象となった323人の回答者のうち、50%が共和党支持者、23%が民主党支持者、27%が無党派というわけで、言ってみれば個性的な世論調査結果をテレビで伝えていたことになる。

大統領演説がもたらしたもの

大統領演説の直前に行われたワシントンポスト・ABC共同世論調査によれば、米国民の51%が大統領の仕事振りに不満で、52%が「ブッシュはイラク戦争のために意図的に国民をミスリードした」と考えているとのことだった。

演説直後にゾグビー社が発表した米世論調査によれば、大統領の演説後もポジティブな効果は見られず、42%が「ブッシュがイラク侵攻のために米国民をミスリードしたことが事実ならば、大統領弾劾の手続きに賛成する」と回答している。

ブッシュもそろそろ自身のexit strategyを検討しはじめていることだろう。

2005/06/27

イラク戦争開始前の極秘空爆、米空軍司令官が認めていた

「だからつまり・・・私達は軍隊を使いたくはなかったんですよ。誰だって、軍隊を戦闘に派遣したくありませんよ。それは最後の選択肢ですからね
And so it's -- look, both us of didn't want to use our military. Nobody wants to commit military into combat. It's the last option. (テキストは公式記録そのまま)

---ブッシュ大統領、ブレア首相との共同記者会見で、ダウニングストリートメモ疑惑について聞かれて発言(2005年6月7日


ブッシュ・ブレア両政権を追い込みつつある英サンデータイムズ紙の6月26日付け最新スクープを、以下に全文翻訳して掲載。(記事中リンクは訳者による)

今回のスクープ記事は在米ブロガーで、極小ニュース企業Raw Storyのラリーザ・アレクサンドロウナ(Larisa Alexandrovna)記者の投稿がきっかけであったらしい。(ところで、米空軍司令官が開戦前のイラク飛行禁止区域での極秘空爆を説明しているという件は、 World Socialist Web Site2003年7月24日付けの報道でリークされており、すでに違法性が指摘されていた)

日米大手メディアではほとんど報道されていないが、ダウニングストリートメモを基点に、英米世論はブッシュ・ブレア弾劾に動きつつある。

ブッシュに勝るとも劣らない怠け者ライバル、ジョン・ケリー議員は、上院情報調査委員会に対し、ダウニングストリートメモに関する調査を求める手紙を書いたが、それにはケネディ議員をはじめ民主党の著名議員達も署名している。今後、イラク開戦をめぐる独立調査委員会の設置をめぐり、ワシントン周辺は大いに揉めることになるだろう。

メモ内容の真偽についても、例えばブレア首相はテレビのインタビューで、「ブッシュ政権はイラク戦争に向けて情報操作をしている」とMI6長官が発言した会議があったことをウッカリ認めてしまったし、米ワシントンポスト紙もメモに書かれた内容が事実であるとすでに確認している。

ところで、日本政府は米国の違法行為---大量破壊兵器情報の捏造、国連決議前の大量爆撃など---についてどこまで知っていたのだろうか?日本の報道関係者にも、そろそろ官房長官に簡単な質問をするべきではないか。


空軍司令官、極秘空爆を認める(General admits to secret air war)

マイケル・スミス記者:英サンデータイムズ紙2005年6月26日付記事

イラク侵攻が開始される9ヶ月前の2002年中旬から、イラクに対して英米両空軍が極秘の空爆を行っていた事実について、イラク戦争で空軍を指揮した人物が、米英両国の政府関係者への報告会の際に認めていたらしいことが明らかになった。

イラク戦争での教訓を説明する場で、マイケル・モーズリー中将が話した内容によれば、公式に戦争が開始される以前の2002年から2003年初頭に、英米両空軍は2万1,736回出撃し、『注意深く選択された標的』391箇所に対して600以上の爆弾を投下していたという。

連合軍による9ヶ月間の爆撃について、連合軍側が勝利する「基盤作りのため」とモーズリー中将は言った。イラク側による長期にわたる砲撃の中で連合軍が戦争を開始することがないようにということである。

もしこれらの爆撃が、イラク北部・南部の飛行禁止区域における保安維持上の必要限度を超えていた場合、ブッシュ大統領とブレア首相の両者は、違法行為を行っていたという批判にさらされることになる。

モーズリー中将の発言は、サンデータイムズ紙により暴露された戦時内閣の会議記録が記す「(フセイン政権への)圧力行為を急増」という記述から、連合軍によるイラク南部への爆撃を増加させているという報道の後で表面化した。

2003年7月17日、ネブラスカ州ネリーズ空軍基地における説明会においてモーズリー中将が話したところでは、爆撃はイラク南部の飛行禁止区域のパトロールを装って実行されたという。表面上の目的は、少数民族を保護するためであったとのことである。

サンデータイムズ紙によって暴露されたメモには、ブレア首相とジャック・ストロー外相、ジェフ・フーン(当時の英国防長官)、参謀総長マイケル・ボイス卿が同席した会議内容を記した記録には、米軍が爆撃を実行している事実が記されていた。

しかし、モーズリーの発言と、2002年度にイラク南部に投下された爆弾の量は、英国空軍も米空軍同様に、爆撃に際して多大な役割を担っていた事実を示している。

モーズリーの説明内容は、戦時下にある米国でさらなる懸念材料となる。最新調査によると、今では米国民の60%がイラク戦争を誤りと思っている。

2005/06/22

イラク・アフガン戦費3,500億ドル、朝鮮戦争と同程度の出費に

「防衛庁が米国政府から兵器などを直接購入する有償軍事援助(FMS)契約で、代金を支払ったのに書類上の手続きが完了しないままになっている未精算額が03年度末で2206億円にのぼっている。このうち286億円分は、現物が届いていない未納状態。」(朝日新聞2005年6月14日付け記事

「日米両政府が2006年度から共同開発に移行する見通しのミサイル防衛(MD)の迎撃ミサイルについて、米側が2011年度までに総額5億4500万ドル(約583億円)の開発予算を見込み、日本側にも同等の資金負担を求めている」(読売新聞2005年6月20日付け記事


6月21日、米議会は米軍のイラク・アフガン駐留費用として、特別追加予算案450億ドル(約4兆8,936億円)を可決した。先月に米政府は、イラク・アフガニスタン駐留費用として特別追加予算案820億ドル(約8兆9,178億円)を承認したばかりである。カナダCBC放送の記事によれば、911以降のアフガニスタンとイラクにおける米軍の戦費は3,500億ドル(約38兆624億円)に膨れ上がっているとのこと。同記事は以下のように続けている(強調は訳者による)

先月承認された追加予算の820億ドルを含めた(イラクとアフガニスタンでの)米軍総費用は、1950年から53年の間に戦われた朝鮮戦争の戦費を現在のドル価値に換算した額とほぼ同じとなる。

北朝鮮の韓国侵攻を食い止めるために行われた米国主導の当該紛争は、米軍側に5万4,000人以上の戦死者と10万3000人以上の負傷者を出した。

月曜日に上院議会が承認する予算では、開始月を10月に設定された2006年度分米国防総省の総費用として、前年比3%増加の3,640億ドル(約39兆4,685億円)が設定されている。

当該予算には、新兵の獲得を促進させるために追加された兵士の給与上昇分(3.1%)が含まれている。

戦費予算追加は、米国内で戦争支持率が低下し続ける中で承認された。最新のギャラップ世論調査によれば、米国民の60%がイラク駐留米軍の部分撤退を望んでいる。

AP通信とイプソス・レイド社の最新共同世論調査によれば、イラク問題におけるジョージ・W・ブッシュ大統領の支持率は41%で、最低記録を更新している。

イラク戦争では、すでに米軍兵士1,720人が戦死、1万2,000人以上が負傷している。

月曜に行われたホワイトハウス記者会見で、イラクで活動する若い兵士のことが気がかりであるとブッシュは語った。

「毎日イラクのことを考えています。毎日ですよ・・・我が国の子供達は危険な状態におかれているのですから」大統領は語った。

家族の一員を海外で亡くした遺族に対して、大統領は言った。「まず第一に、彼等を見捨てるようなことはしない・・・彼等の使命を無駄にするつもりはないんです。第二に、我々が任務を完了することにより、世界はより良くなるのです」


一方、イラク新政府では、議会の最大派閥である統一イラク連合(UIA)のファラ・ハッサン・サンサル氏が、イラクからの外国部隊撤退を求める声明を6月19日付けで発表し、多数の支持を獲得している。

2005/06/20

「戦時大統領」の欺瞞が暴かれる時

ブッシュ政権も認めるイラクの惨状

先日行われた英BBC放送のインタビューで、イラクの治安状況は改善されたのかと問われたラムズフェルド米国防長官は、「統計上では、改善されてませんな」とあっさり治安の悪化を認めたが、楽観的にこう付け加えた:
「発生する可能性のあった酷い出来事の多くは、発生してませんよ。(A lot of bad things that could have happened have not happened.)
ラムズフェルド流のひねくれた言い回しに比較すると、ブッシュ大統領はイラクの治安状況をずっとわかりやすく説明してくれている。最新の演説で、彼はこう言っている:
「サダム・フセイン体制を倒すという私の決断に同意しない人たちも居るだろうが、今や世界中のテロリストがイラクをテロとの戦いの中心地にしているということは、誰でも同意できるだろう
"Some may disagree with my decision to remove Saddam Hussein from power, but all of us can agree that the world's terrorists have now made Iraq a central front in the war on terror"
イラクがテロリスト天国になった事実を大統領は誇らしげに語っているが、国防長官も認めるとおり、イラクは侵攻時よりずっと危険になっている。例えば、バスラの治安を担当するイラク治安警察は武装勢力の台頭に手がつけられないと言っているし、6月17日付英ガーディアン紙の報道によれば、バグダッド西の街、ラマディは完全に武装勢力が制圧しているという。また、北部のキルクークでは、米軍に支援されたクルド人部隊が、地元のアラブ人やトルコ人を密かに拘束してクルド人自治区の刑務所に送り込み虐待しているという。また、国外に疎開していたイラク国民は、帰国しても自分の住む場所がなく、住環境も悪化していることを知り、さらに怒りを募らせている。


アフガニスタン:もうひとつのテロリスト天国


イラクでの米軍のやり方が気に入らないイギリス軍は、イラク駐留兵を削減して、アフガニスタンでの任務に兵士を振り替え始めた。アメリカ国内で滅多に報道されなくなったアフガニスタンでは、装備のお粗末な政府軍から兵士の脱走が続いているが、一方でタリバンアル・カイダと共に勢力を拡大させている。イギリス軍は新たな特殊作戦を計画中と伝えられているが、地元で大量生産されているヘロインの対策をめぐり、ここでも米軍と対立している


新聞に掲載されない戦死


ニューヨークタイムズ紙の報道によれば、2005年初頭の時点で、イラクには米兵士が15万人駐留していたが、現在では13万9,000人ということだ。つまり1万人以上が母国に帰還したか、戦傷で戦線離脱したか、戦死したことになる・・・ところで、米国防総省の公式発表しているイラク戦争の戦死者数には、負傷してドイツの病院に運び込まれ、後に死亡した人数は含まれておらず、実際の戦死者数は9,000人に達しているという情報もある。ちなみに、イラク侵攻開始時に米軍では化学兵器対策として炭素菌ワクチンを兵士に接種させていたが、その副作用で兵士1,200人が全身の痛みや下痢、記憶喪失などの障害に罹ってしまっている

mission accomplished

慌てすぎた「任務完了」宣言


大規模な戦闘、再び


遡ること約2年前の2003年5月1日、ブッシュ大統領は華々しく「大規模な戦闘は終了した(major combat operations in Iraq have ended)」と宣言しているが、フォックスニュースによれば、米軍はイラクのアンバー州で『Operation Spear(槍作戦)』という大規模な戦闘(major combat operation)を開始したというから、大統領とメディアのどちらかが発表を訂正しなければならない。

最前線の米指揮官の間では「武装勢力を武力で制圧することは不可能」という考えが拡大している。無駄と理解しながら、米軍はナパーム弾化学兵器を使って、掃討作戦の名の下に、罪のないイラク市民を再び虐殺するのだろう。

そのような危険な状況においても、毎月100人ほどのフィリピン人労働者がイラクに密入国して、米軍キャンプで働いているというから驚きだ。近い将来、そうしたアジアからの出稼ぎ労働者が、バグダッド空港から脱出する米軍機の警備業務を請負うことになるのかもしれない。


ダウニングストリートメモ:ブッシュの嘘を知った兵士達は・・・


英サンデータイムズ紙のマイケル・スミス記者にリークされたブレア政権の極秘書類から、新たに6件の英政府書類が公開され、ブッシュのみならずコンドリーザ・ライスの犯罪も暴かれ始めている。

ブッシュ大統領弾劾に向けてジョン・コンヤーズ下院議員が16日に開催した公開ヒアリングの中で、戦死した米兵の遺族の1人は、メモ疑惑について「ブッシュのウォーターゲート事件」と評した。残念ながら、ウォーターゲート事件当時と違い、今ではワシントンポスト紙もタイムズ紙も、疑惑を追及する代わりに国民を黙らせようと努力しており、「メモの内容はたいした事ありませんよ」と言わんばかりの態度で、他の話題を必死で探している。

しかし、そうした大手メディアのサボタージュも虚しく、6月17日付で、国防総省公認の新聞、Stars and Stripes紙に、ダウニングストリートメモ疑惑と、その公開ヒアリングの話題が掲載された。

「大統領のウソで、私の息子は死んだ」という遺族の言葉が掲載された新聞を、イラク、クウェート、ドイツ、イタリア、日本、韓国に駐留する米軍兵士達が手にすることになったのである。

2005/06/16

ロシア大使、イラク・ナジャフでシーア派のサドル氏と初会見:プーチンの真意は?

(以下はAP通信の6月13日14日付け記事の要約である。そういえば、米軍によるイラク侵攻が開始されて後の2003年4月に、当時のイラク駐在ロシア大使ウラジミル・チトレンコ氏を乗せた車列が、戦地脱出のためにロシア国旗を掲げてシリア国境に向かっていた途中、米軍部隊から銃撃されて同乗していたロシア外交官数人が負傷するという事件があったが・・・)

アル・サドル氏を訪問するロシア大使ウラジミール・チャモフ氏

過激で知られるシーア派聖職者ムクタダ・アル・サドル氏(左)のオフィスを訪れたウラジミール・チャモフ露大使。両者の非公開会談が様々な憶測を沸き起こしている(source


今週月曜日(6月13日)、イラク駐在のロシア大使ウラジミール・チャモフ氏が、イラクのナジャフでシーア派の聖職者ムクタダ・アル・サドル氏のオフィスを訪問し、非公開の会談を行った。

シーア派の若手聖職者としてイラク国内で急速に支持層を拡大するサドル氏は、米軍のイラク駐留に猛反対し、私兵部隊を組織して反米武力闘争を行ってきた人物。

ナジャフでサドル氏を補佐するジャリル・アル・ヌーリ族長の説明によれば、サドル氏はロシア大使と会談した後に、アンバー州のスンニ派族長代理人達と会談する予定であるという。「会談はロシアとムクタダ・アル・サドル氏の関係構築のために行われた。サドル氏の活動は非常に影響力があり、イラクでよく知られているのが理由だ」

激しい性格で知られるムクタダ・アル・サドル氏は、現在イラク国内で対立するシーア派とスンニ派の間で交渉役を行っているとのこと。

一方、ロシア外務省は、サドル氏との会談について公式に認め、こう説明している。「(ロシア大使は)イラク国内のあらゆる政治勢力に対して政治儀礼と連絡を拡大している最中である。これらはイラク国内の安定化のために、多くの会談を通じてイラク国内のあらゆる政治・宗教派閥の人々の意見に配慮していくというロシアの方針に合致するものだ。当然ながら、テロに加担している勢力の人々は除外している」

今回のロシアの動きについて、クレムリン事情に詳しいアナリストのセルゲイ・マルコフ氏の説明は以下のとおり。

「ロシアはイラクでの地位確立を狙っており、ロシア企業の進出条件について話し合っているんです。ロシア側は米軍の動向を注視しています・・・皆が不安視しているのは、米軍がイラクから撤退した後に残る混沌状態と治安の不在です」また、マルコフ氏はイラク住民がロシアのより深い介入を歓迎するだろうと言い添えた。「住民はアメリカの対抗勢力を求めています。たった1人のボスというのは誰も望んでいないのです」

ヘリテージ財団のロシア支局長ユフゲニ・ボルク氏も、ロシアの行動について、武力闘争が拡大する最中に影響力を拡大しようと画策する兆候であると説明している。

「ロシアは自身のゲームを始めているんです。それは必ずしもアメリカやEUと足並みを揃える必要もないものです」ボルク氏は言う。「ロシアはソビエト時代から石油と武器取引を通じてイラクと緊密な関係にあり、そうした利権の確保に取り掛かっているのでしょう」

ボルク氏の説明によれば、モスクワはイラクの安定化には興味を持っていないとし、その理由として、イラクの安定化により、ロシアの主要輸出品・現金獲得手段である石油の価格が下がることを懸念しているという。「従って、アメリカ人達とは相反する何かが行われるでしょう」

そうした説明に反論する人たちは、イラク武装勢力の勝利がロシアのお膝元であるチェチェンや中央アジア・コーカサス周辺国のイスラム武装勢力を勢いづかせないように、ロシアは米軍の治安活動に協力してイラクの安定化に努めるとしている。

「ロシアは中東でアメリカに敗北してほしくないのです。コーカサスや中央アジア各国に影響しますから」モスクワを拠点に活躍する中東専門家ユフゲニー・サタノフスキー氏は語っている。

米国務省のショーン・マコーミック広報担当官は、会談に関して合衆国はロシアに何のメッセージも託していないとし、暴力を放棄する全てのイラク人は和平プロセスに加わることを願っていると説明した。

モスクワの中東紛争解析センター所長であるアレクサンダー・シュミリン氏は、ロシアの動きについて、米国の裏をかいたのではなく、サドル氏の意図を確認したかっただけと説明する。

「アル・サドル氏の地位、現状に対する彼の考えと計画を評価したかったのでしょう。」シュミリン氏はAP通信に語った。「ロシアは、シーア派と何のつながりもなく、何かの計略に繋がることもないでしょう。ロシアはイラクの大変動に興味はなく、新たな状況に順応していくらか利益を得ていますから」

2005/06/11

イラク駐留米軍、武装勢力と交渉中、初の公式停戦なるか?

「(イラク駐留米軍を)攻撃しやすい状況にあると思う者もいるようだが、私の答えは『かかって来い!』だ。我が国は治安を守るに充分な軍事力を確保している。」

---ブッシュ大統領、2003年7月2日のホワイトハウス会見で、イラク駐留米軍の状況について発言

英ガーディアン紙2005/06/10付け報道によれば、米国外交官と米陸軍各指揮官が、イラクの武装勢力と間接交渉を行っており、2年間に及ぶ戦闘状態から、初めて正式な停戦交渉が図られる模様。

ファルージャで米海兵隊がアメリカ人の民間軍務請負要員を拘束、虐待?

英ガーディアン紙2005/06/09付け報道によれば、米民間企業の従業員達の乗った車輌が、警戒中の米海兵隊に拘束されて、米軍の基地内刑務所に3日間収監され、その際アメリカ人の従業員達は米海兵隊員に虐待されるという事件が、先月発生していたという。

海兵隊に拘束されたのは、ノースカロライナ州に本拠を持つ軍役請負企業ザパタ・エンジニアリング社の従業員19人。その内14人が『警備担当者』で、その内8人は元米海兵隊員だった。同社はイラクのファルージャで爆破物処理作業を担当している。

拘束を実行した米海兵隊員の説明によると、ザパタ社の警備員達は車輌から民間人や海兵隊に向けて銃撃していたというが、従業員側の説明では、海兵隊員達を武装勢力と勘違いし、威嚇のため発砲していたという。

拘束された従業員の1人、元フロリダ州兵のリック・ブランチャード氏は、LAタイムズ紙の取材に電子メールで状況を説明している:「あれほど非人道的な行いを俺は経験したことがない。連中(米海兵隊員)は俺を反乱軍のように扱った。殴られて、写真を撮られ、蔑まれたんだ」

被害に遭った従業員側の弁護士によると、拘束された従業員達の一部は下着一枚にされ、頭に銃を突きつけられ、「大金持ちの契約業者になるってのはどんな気分だ?!(How does it feel to be a big, rich contractor now)」と海兵隊員から罵声を浴びせられたという。(これはまさしくアブグレイブ刑務所の事件を彷彿とさせる状況だ)

ブルッキングズ研究所の研究員で、「戦争請負会社」の著者、ピーター・シンガー氏は今回の事件の背後にある危険性について以下のように説明している。

「(米軍契約企業の従業員が)違法な行為をしていたと海兵隊員達が思ったとしても、対応する手順はないのです。(拘束しても)誰に引き渡せばいいんでしょう?イラクでは2万人以上の民間軍務請負要員が2年以上も活動していますが、何かの行為で告発されたケースは一件もないのです」

(今回の事件について、ザパタ・エンジニアリング社は公式サイトのプレスリリースで詳細を報告している。また、ザパタ・エンジニアリング社が米軍から請け負った契約内容については市民監査団体The Center for Public Integrityのウェブサイトで確認できる)

2005/06/01

ダウニングストリートメモ暴露から1ヶ月、米国内の反応は・・・

イラク侵攻の口実を作るため、ブッシュ政権は情報を捏造している・・・MI-6長官の驚くべき報告が書かれた『ダウニングストリートメモ』が英サンデータイムズ紙に掲載されてから1ヶ月が経過した。しかし、今日に至るも米国内メディアはこの話題を真正面から扱うことを避け、「英国選挙前にこんな話題もありました」とばかりに、事実関係の追加取材も報道もしないまま、事態の沈静化を図っている。

ワシントンポスト紙は、第一面スクープ扱いでこの問題を報じる予定だったが、上層部の奇妙な配慮により、日曜版26ページ目という目立たぬ場所でひっそりと報道を終えた。ニューヨークタイムズ紙もその他地方紙も、「英新聞がこんなコト書いてます」程度の軽い扱いしかせず、1700人以上のアメリカ国民と10万人以上のイラク人が死んだ戦争の理由を大統領がでっち上げたという問題について、あまり騒動にしたくない様子である。

しかし、米国市民はじわりじわりと動き始めている。ダウニングストリートメモを元に政府に説明を求めるサイトもすでに2つ開設されている。www.downingstreetmemo.comwww.AfterDowningStreet.org

以下に、英サンデータイムズ紙のスクープ以降の米国ジャーナリズム界と、ワシントン周辺の発言を拾い、時系列で並べてみた。

5月4日
レイ・マクガバン(元CIAアナリスト)
「我々『健全化のための退役諜報専門者会(Veteran Intelligence Professionals for Sanity)』の会員たちは、CIAとMI-6が、必然性なきイラク戦争を正当化するために『事実を捏造』せよと政府上層部から命令されていたと、今までずっと言い続けている。」(source
5月5日
グレッグ・パラスト(英BBCで活躍中の「ホワイトハウスが最も嫌う」ジャーナリスト)
「共和党員たちは葉巻とモニカの感情をネタにビル・クリントンを弾劾した。国内メディアはそれ以外何も報道しなかった。そして今、何千もの国民を死なせることになった情報の歪曲を示す決定的な動かぬ証拠が見つかったというのに、共和党支配下の議会や、物笑いの種になっている合衆国のジャーナリズム関係者は、注目するに値しない問題といわんばかりに振舞っている」(source
5月6日
ホアン・コール(ミシガン大学歴史学教授)
「クロフォードからハーグまでは長い道のりとなる。コネチカット出身の、カウボーイブーツを履いた男はうまく逃げおおせるかもしれない。仲間も皆、うまく逃げおおせるかもしれない。だが、連中が嘘をついてきたことを、人々は知ることになるのだ」(source
5月13日
ヘレン・トーマス(ホワイトハウス会見で最も長いキャリアを持つ名物記者)
「合衆国と英国の有権者達が、このような(指導者による)詐欺を容認していることにビックリしている。私は今までに二人の大統領失脚を見つめてきた---リンドン・B・ジョンソンはベトナム戦争で、リチャード・ニクソンはウォーターゲート事件で、国民の信頼を失った結果、失脚してきた。しかし時代は変わる---国民の価値感も変わってしまったのかもしれない」(source
5月14日
グレッグ・ミッチェル(出版業界紙エディトリアル&パブリッシャー紙編集長)
「米国内メディアはこれまで10日以上も『ダウニングストリートメモ』の話題を無視してきたが、ようやく記事が配信されはじめたようだ。ロスアンゼルスタイムズ紙は木曜日に長い特集記事を配信し、ワシントンポスト紙のウォルター・ピンカス記者も金曜日に記事を配信した。(中略)下院の民主党議員89人が、5月6日に大統領宛ての手紙を出し、メモの内容についてショックを表明している。議員達はホワイトハウスが議会の承認以前にイラク侵攻を決定していたかどうか問いただしている。ブッシュ、ブレアの両氏共に、イラク侵攻が2002年に決定されたという疑惑を否定し、あくまで軍事行動は選択肢のひとつであったと主張している。ブレアの広報担当官は、メモの漏洩はイラク侵攻の準備について何ら重大な嫌疑をもたらすものでないと語った。最新のギャロップ調査によれば、アメリカ国民の50%が、ブッシュ大統領が大量破壊兵器の件で『意図的に国民を誤解させた』と考えている。」(source
5月15日
ジョン・マケイン上院議員(共和党・アリゾナ州、2000年大統領選挙時のブッシュ最大のライバル)
「ブッシュ政権がイラク侵攻を行うためにシナリオをでっち上げたという話は信じない」(source
5月17日
ポール・クレイグ・ロバーツ(レーガン政権時代の財務省補佐官、現在はフーバー研究所上級研究員)
「このメモはまさしく動かぬ証拠だ。なぜブッシュは被告人席に座っていない?アメリカの民主主義は国内では機能しないのか?」(source
5月17日
ホワイトハウス報道官スコット・マクレラン
(ダウニングストリートメモの真偽ついて)「全く間違っている(just flat-out wrong.)」(イラク侵攻決定の是非について)「合衆国大統領は、大変公的な方法で、世界中の代表と語らい、国連に行き、(イラクとの問題を)外交作法に則って解決しようとした」(source
5月22日
ジョン・C・ボニファズ(ボストン在住の憲法訴訟専門弁護士)
(ジョン・コンヤーズ下院議員に宛てた手紙から)「もしメモの内容が事実であれば、合衆国憲法第2条第4節に基づき、重罪の構成要件になる」(source
(訳注:合衆国憲法第2条第4節:「大統領、副大統領ならびに合衆国の全ての公務員は、反逆罪、収賄罪もしくは重罪及び軽犯罪により弾劾され、尚且つ有罪の判決を受けた場合、免職となる」)
5月24日
ジェイムズ・バムフォード(NSA専門のジャーナリスト、最新著作『A Pretext for War』においてブッシュ政権がイラク戦争のために情報操作を行ったと告発」)
「ビル・クリントンが弾劾された理由は合意に基づく異性関係における嘘だったのだから、嘘と歪曲と虚偽を用いて致命的で終わりの見えない戦争を開始したジョージ・W・ブッシュが弾劾されるのは当然だ。これが重罪でないなら、他に何が重罪にあたるというのか?問題は、国民の大部分が無関心で、報道が極端に少ないことだ」(source
5月28日
ジョン・コンヤーズ米下院議員民主党・ミシガン州
「ダウニングストリートメモの件で、ホワイトハウスに説明責任を求めるために10万件の署名を集めるので、国民の皆さんの協力を請う」(訳注:現在、下院議員89人が活動に協力している)source
5月29日
英サンデータイムズ紙(スクープ第2弾
「新たに漏洩した政府情報により、国連安全保障理事会決議1441が発効されるはるか以前、ブレア政権がイラク侵攻の合法性を公的に検討する以前の2002年5月から、英国空軍と米軍が、サダム・フセインを挑発して開戦の機会を作るために、イラク南部の飛行禁止区域において大量の爆撃を行っていた確たる証拠が見つかった」(source
5月30日
ジョン・コンヤーズ下院議員
「(英サンデータイムズ紙の新情報について)国防総省は2002年夏までに極秘裏且つ法に背いて開戦を決定したというだけでなく、議会の承認もなく国連の決議もないまま、すでに軍事行動を行っていたことになる」(source

機密書類の漏洩から1ヶ月経過しても、ブレア政権は『ダウニングストリートメモ』そのものの真偽については言及を避けている。ブレアは7月から行われるG8(先進国首脳会議)より前に、ブッシュ大統領との個人会談に臨むというから、その際に弾劾を避ける術---国民を騙す手法---を話し合うつもりかもしれない。

一方で、イラクに大量破壊兵器があるという偽情報を伝えたペンタゴンの情報アナリストは、上司に仕事ぶりを賞賛され、功労賞を受賞した。極秘メモ以外にも、ブッシュが戦争の口実を捏造した証拠はあちこちに転がっているわけである。

フセインの裁判は年内に開始されるだろうが、ジョージ・W・ブッシュが被告人席に座るのはいつ頃になるのだろう?

2005/05/27

「フレンチフライ禁止」提唱の共和党議員、反省してイラクからの撤退を呼びかけ

英ガーディアン紙2005/05/25付け記事によれば、米国のイラク侵攻に反対したフランスを非難するために、米国議会の食堂で「フレンチフライ」を「フリーダムフライ」に名称変更させるなど、反フランス運動を始めた議員が、地元の新聞のインタビューに、反省の弁を述べているとのこと。

問題の人物、ウォルター・ジョーンズ議員(共和党・ノースカロライナ州)は、「米国は何ら正当性のない戦争を行った」と答え、現在はイラク戦争に反対との姿勢を示している。

ジョーンズ議員はなぜそんな馬鹿な真似をしたのか?ガーディアンの記事から引用しておこう:

the North Carolina News and Observer紙の取材で、議員の説明によれば“神の手と、地元支持者の要求”によって思いついたという『フリーダムフライ』キャンペーンについて記者に聞かれ、ジョーンズ議員は、「あんなことをやるべきではなかった」と答えた。

ジョーンズ議員によれば、神は合衆国で外食コンサルティングまで行っているらしい・・・それはともかく、このガーディアンの記事が配信された同じ日に、米下院では、イラクからの早期撤退を大統領に求める修正案について話し合われ、投票が行われた。25日の時点で早期撤退案は否決されたが、米軍のイラク撤退について、公式に議会で投票が行われるのは初めてだったという。

今月、米議会はイラク駐留費用の追加予算450億ドルを承認したばかりで、イラク戦争の総費用は3,000億ドル(約32兆3,760億円)を超えてしまった。アメリカの片田舎からイラクに派遣された州兵・予備役兵の死亡率は、5月で過去最悪を記録し、さらに上昇している。米軍の爆撃で破壊された上下水道設備の復興も遅れており、飲料水に困ったイラクの子供達は、汚染された水を飲んで次々とコレラに感染している。ワシントン周辺の風向きが変わるのも当然だろう。

しかしそれでも、『フリーダムフライ』提唱者が反対し始めたにも関わらず、今でも米議会食堂メニューは『フレンチフライ』表記を禁止しているという。印刷費用が足りないのだろうか?それとも、メニューの修正作業まで神に押し付けるつもりなのだろうか?

(関連投稿:米軍の侵攻から2年:数字で知るイラクの現状

2005/05/16

イラクの自爆テロ実行者、大部分はサウジ出身

ワシントンポスト紙2005/05/15付記事によれば、過去6ヶ月間にイラクで自爆テロを実行した人の内、61%がサウジアラビア出身者で、残りの内25%をシリア人、イラク人、クウェート人が占めているとのこと。また、イスラム過激派により運営されている自爆テロ実行者を賞賛するWebサイト等を調べた結果では、自爆テロ実行者の70%がサウジアラビア人で、その多くが比較的高い教育を受けた20代後半の妻帯者であるという。

ファハド国王死亡説が伝えられるなど、政情不安に怯えるサウジ王家にとって、殉教に燃える若者達は政権転覆の火種になりつつある。そんなサウジアラビア政府に救いの手を差し伸べるのが、自称『任務完了(Mission Accomplished)』大統領、ジョージ・W・ブッシュである。

先月末、ブッシュ家の中東における最大のビジネスパートナー、サウジのアブダラ王子の訪問を受けたブッシュ大統領は(王子にとって真面目な話し相手は副大統領らしいがサウジの原油生産努力の御礼に、テロ対策のため施行していた諸外国から米国へ入国する際の渡航制限を、サウジアラビアに対して大幅緩和する約束をしている。

石油と一緒に自爆テロ志願者が輸出されたとしても驚くべきでない。米国内のテロ危機が高まれば、ブッシュ政権にとっては好都合なのだ。元米国土安全省長官のトム・リッジは、最新のインタビューで、情報部の確証なしに、ホワイトハウスの意向次第でテロ警報レベルが変わることを暴露している。(先日、ホワイトハウスにセスナ機が接近した際に最高度のテロ警報が発令されたが、ブッシュ大統領は郊外でサイクリングを楽しみつづけ、シークレットサービスは大統領に警告すらしなかった。一方で、それより前の4月末にテロ警告が発令された際、シークレットサービスは大統領を地下シェルターに避難させたが、未確認飛行物体の正体は雲だった。この事件により、米国のシークレットサービスは天候の変化に物凄く敏感ということが判明した)

ちなみに、米国が渡航制限の緩和を約束した相手国はサウジだけではない。1年前にはイスラエルに対しても同様に規制緩和を約束している。(米国政府はイスラエルに対して、どういうわけか国防機密情報の『規制緩和』も行っている。)

米国への渡航規制に関しては、日本の外務省も条件緩和を求めているが、さて米国政府の対応は・・・?

2005/05/12

暴露された極秘文書「ダウニングストリートメモ」の重大性

2005年5月1日、英国総選挙直前に英サンデータイムズ紙上で暴露された政府文書には、ブレア政権のみならずブッシュ政権をも揺るがす重大事実が記されていた。暴露された極秘文書の中で、2002年7月23日にブレア政権内でイラク戦争開戦について内密に会議が行われた際、英情報部(MI-6)長官は「(イラク侵攻のために)ブッシュ政権は情報を仕込んでいる」と明確に語っている

あまりにも重大な暴露情報のため、今のところ日米大手メディアはこの話題についてほとんど報じていないが、米下院ではジョン・コンヤーズ下院議員(民主党・ミシガン州)を中心に、ブッシュ大統領への疑惑追及準備が進行している。(ひょっとしたら、ようやくブッシュ大統領弾劾へと議会が動くかもしれない)

米国民のブッシュ政権に対する評価は今どうなっているか?4月26日に発表されたGallupの米世論調査によれば、米国民の50%は「イラク戦争開戦の際、ブッシュ大統領は意図的に国民を欺いた」と考えている。5月4日に発表されたUSA TODAY/CNN/Gallup共同の最新米世論調査によれば、米国民の57%が「イラク戦争に価値なし」と考えている。また、ワシントンポスト紙2005/05/10付け記事によれば、2004年選挙でブッシュ支持に傾倒した女性保守有権者層も、国内の経済事情の悪化を不安視し、民主党支持に移行しつつあるという。

米世論はホワイトハウスに対して、これまで以上の疑惑の目を向けはじめている。この「ダウニングストリートメモ」の件が、CNNやワシントンポスト紙など米国内主要メディアで報道され始めれば、ブッシュ辞任を求める声が一気に湧き上がるだろう。(もっとも、ブッシュ政権が危機を迎える度に、ビン・ラディンが華々しくテレビに登場したり、テロ事件が発生したり、ジャクソン家の誰かが自分の服を脱いだり子供の服を脱がせたりする話題が四六時中報道されたり、ダン・ラザーがヘマをやっておおげさに謝罪したりするのだ。非常に不思議だ!)

以下は、今のところ米国大手メディアで唯一、この疑惑の詳細を伝えているナイト・リッダー紙2005/05/06付け記事(全文翻訳して掲載)である。

メモ:ブッシュはイラク侵攻のために情報を歪曲(Memo: Bush made intel fit Iraq policy)

by ウォーレン・P・ストロベル、ジョン・ウォルコット:Knight Ridder Newspapers2005/05/06付け記事

ワシントン:英国総選挙前に漏洩した英国政府の極秘メモによれば、2002年夏の時点でブッシュ大統領がイラクのサダム・フセイン体制転覆を決心し、自身の政策に合致するように合衆国情報部の情報を確定する決心をしたと記されている。

2002年7月23日にまとめられた当該書類は、英国首相トニー・ブレアと英安全保障補佐官との間で交わされた会議をまとめたもので、ワシントンを訪問した英国情報部(MI-6)長官の報告が含まれている。

MI-6長官がワシントンを訪問した時期、ブッシュ政権は国民に対して、イラク侵攻を決定していないと宣言していた。

「(ブッシュ大統領の)決心が固まっているのが感じられる。軍事行動はもはや避けられない模様」メモの中で、MI-6長官は会議中にそう発言している。「ブッシュはテロリズムと大量破壊兵器を絡ませて軍事行動を正当化させ、サダムを排除したがっている」

メモにはこう記されている。「(イラク侵攻の)政策に合わせて、情報と事実が仕組まれつつある(the intelligence and facts were being fixed around the policy.)

2003年3月の米軍によるイラク侵攻以来、大量破壊兵器は全く発見されていない。

ホワイトハウスは、イラク侵攻のために情報操作を行ったという外国政府高官からの非難を、その都度否定してきた。

疑惑を否定するにあたり、ホワイトハウスは上院情報委員会と大統領特別調査委員会の2つの調査結果から、サダムの武装計画の判断について、CIA他政府情報機関が深刻な失敗をしてきたと示してきた。

米国情報部の主な解析報告である米国家情報報告は2002年10月以前には完了していなかったが、合衆国政府と英国政府はそれ以前にサダム・フセイン体制を軍事行動によって転覆させることを決定していたことになる。

新たに暴露されたメモは、最初に英サンデータイムズ紙に掲載されたが、現在まで英国政府はメモについて否認していない。ワシントンの英国大使館広報担当者は、他の政府担当者に問い合わせたが、コメントは得られていない。

或る合衆国政府元高官が匿名を条件に語ったところでは、メモの内容について、「(英国情報部長官がワシントンを訪問した際に)発生した事実について正確に記述されている」とのこと。

ホワイトハウスの或る高官は、漏洩した英国政府文書についてブッシュ政権は論評しないだろうと話している。

2002年7月、そしてその後しばらく、ブッシュ政権の外交補佐官は「大統領の机上にはイラク攻撃の計画はない」と主張していた。

しかし、漏洩したメモによれば、当時の国務長官コリン・パウエルと親しかった英外務大臣ジャック・ストローが、「ブッシュは軍事行動を決心している」と発言したことを記している。

また、ストローがイラクの脅威に疑問を感じていたことも記されている。

「根拠に乏しい。サダムは近隣諸国にとって脅威ではなく、(イラクの)大量破壊兵器の開発能力についてはリビヤや北朝鮮、イランほど危険でもない」メモにはそう発言したと記されている。

ストローはサダムが国連の兵器査察官を再度受け入れるよう最後通達すべきで、軍事行動はそれによって正当化されると繰り返し提案していた。

パウエルは2002年8月に、ブッシュ大統領を説得して、サダムの件を国連に付託して査察を再開させるよう推し進めていた。

軍事行動をめぐっては、ホワイトハウス内にも深刻な亀裂があった。当該メモによれば、当時コンドリーザ・ライスが率いていた国家安全保障会議は「国連の手順を我慢できない」と評されている。

下院司法委員会の主要メンバーであるジョン・コンヤーズ下院議員(民主党・ミシガン州)は、当該文書の内容についてブッシュ大統領に説明を求めるべく、同僚の民主党議員達の署名を集めていると伝えられている。
(以上)

2005/05/06

タクシーでバグダッド空港まで:料金は?

ザ・ネイション誌The Daily Outrage2005/05/02付け投稿を以下に全文翻訳掲載。

特別料金(Off the Meter)

by アリ・バーマン:ザ・ネイション誌The Daily Outrage2005/05/02付け投稿

昨年11月、或るセキュリティコンサルタントがデビッド・コーン(訳注:ジャーナリスト)話したところによれば、バグダッド市街からバグダッド国際空港までタクシーに乗ると、走行距離6マイル(約9.65キロメートル)で料金は6,000ドル(約62万6,540円)だった。今、その料金は3万5,000ドル(約365万4,164円)に値上がりしたという。最近、NBCの『ミート・ザ・プレス』に出演したニューヨークタイムズ紙のデクスター・フィルキンズ記者がティム・ラサーに話した内容から引用してみよう:

(番組ホスト)ティム・ラサー:
「空港からバグダッド市街まで、皆から“死の道路”と呼ばれてる高速道路が通ってましたね。そこで市街から空港行きのタクシーが出てますよね」
フィルキンズ:
「ええ、空港まで往復する以外何もしないタクシー会社がバグダッドに一軒ありますね。武装車両と警備員が同行するやつです。料金が3万5,000ドルで・・・」
ティム・ラサー:
「3万5,000ドル?!」
フィルキンズ:
「空港に行くだけでね。それで、飛行機に乗り遅れて市街に戻るとなると、さらに3万5,000ドル支払うわけです。しかし・・・」
ティム・ラサー:
「距離は・・・6マイルでしたっけ?」
フィルキンズ:
「だいたい6マイルですね。ありがたくない距離です。まあそれで、連中は金を稼いでいるんです」
ティム・ラサー:
「なぜ米軍は・・・もしくはイラク人(警察官)は、道路の警備ができないんでしょうね?」
フィルキンズ:
「本当に不思議ですね。実に危険な場所を通っている道路なんで・・・つまり、(政府と武装勢力の)どちら側の人間も使うわけですから・・・真夜中になると、武装兵が爆弾を仕込んで攻撃を仕掛けるわけです」(以下略)

死の道路”では、ごく最近も、アメリカ人人道活動家のマーラ・ルジーカが自爆テロ攻撃で殺されている。“死の道路”はまた、米軍の占領体制における計算違いの象徴的存在となっている。リチャード・マイヤーズ将軍は、気まぐれな宣言をしてから数ヶ月経過して、“武装勢力の勢いが全く衰えていない”ことをようやく認めた。そして現在の状況は、“1年前からほとんど改善されていない”。武装勢力は1日に50から60回攻撃を仕掛けており、国民選挙直後の小康状態から増加している。先週木曜日から、アメリカ兵11人を含めて少なくとも127人が、25回以上のテロ攻撃によりで死亡している。週末に発生した劣悪な事件を除いても、過去6週間でイラク人保安部隊員300人が死亡した。

「週ごとに違うし、数ヶ月でまた状況は変化する」マイヤーズ将軍は言う。「しかし、2003年5月から現在までという見方をすれば、皆さんの結論づけた通りだ」。結論としては、バグダッド陥落から2年経過して、14万の同盟軍は、自分達よりはるかに装備の劣る反乱軍のゲリラ攻撃から、6マイルの高速道路を守れないというわけなのだ。

結果として、水道設備、下水、電力の復興や、イラク人の就業に使われるべきお金が、うなぎ上りの治安費用に転用されてしまっている。9ヶ月間で3度、ブッシュ政権はイラク復興計画を書き直している。「あらゆる建設計画において、費用の35%ほどが従業員の保安のために使われる」フィルキンズ記者はラサーに語った。「問題は暴力であり、復興努力のほとんどが暴力によって圧倒されてしまう」

おそらく、新内閣誕生の合意と新首相イブラヒム・アル・ジャファリへの権限委譲が事態好転への契機となるだろう。しかし、アーマド・チャラビ首相代理(そして暫定イラク石油収入監査担当)と彼の甥で大蔵大臣を務めるアリ・アブデル・アミール・アラウィには、イラクの問題を解決できるようには見えない。当分は、空港へのタクシー代金が3万5,000ドルから値下がりするようなことがあれば、イラクの状況が好転したといえるのだろう。
(以上)

2005/05/03

ラムズフェルドが獄中のフセインと交渉?「釈放するから武装勢力鎮圧に協力を」

「我々は武装解除というものを知っている。交渉などあり得ない。」
We know what it means to disarm. There's no negotiations.

イラク侵攻前の2003年1月31日、ブレア首相との共同会見におけるブッシュ大統領の発言

アル・ジャジーラ2005/05/01付記事より。以下に全文を翻訳掲載。(記事中リンクは訳者による)


ラムズフェルド、サダムに釈放提案との報道(Rumsfeld offered Saddam freedom- Report)

アル・ジャジーラ2005/05/01付記事

ドナルド・ラムズフェルド米国防長官は、獄中の前イラク大統領サダム・フセインと極秘裏に面会し、釈放と通常生活への復帰を約束する代わりに、テレビでイラク武装勢力への停戦呼びかけを行うよう提案していた、と報じられている。

ロンドンを拠点にしたアラブ系新聞Arab daily Al-Quds Al-Arabiの記事を引用したイスラエルのオンラインメディアYnetnewsの報道によると、サダムはその提案をすぐに拒絶したとの事。

アラブ・デイリー紙が報じるところによると、サダムとの面会は、2週間ほど前にラムズフェルド長官がイラクを電撃訪問した際に行われたが、面会の事実を知るのは在ヨルダンのイラク高官数名だけであるという。

およそ2週間前には、英国の新聞デイリー・テレグラフが、イラクの武装集団がサダムの減刑と引き換えに攻撃停止をするという取引を申し出ていると報じている。

しかしながら、或るイラク政府高官の話によれば、サダムのバース党が政権復帰を要求しているとも報じられている。
(以上)


英テレグラフ紙2005/05/02付け記事によれば、米国防総省はイラク駐留軍の撤退を今年12月から開始するつもりでいるらしい。ラムズフェルドとしては、武装勢力の銃弾が飛び交う中、兵士達がバグダッド空港をヘリで脱出するような事態はなんとしても避けたいのだろう。
Shaking Hands: Iraqi President Saddam Hussein greets Donald Rumsfeld, then special envoy of President Ronald Reagan, in Baghdad on December 20, 1983.

永遠の友情を誓い握手する二人:1983年12月20日、バクダッドにて(source

2005/04/30

失われたベトナム戦争の教訓

ピッツバーグ・ポスト・ガゼット紙2005/04/29付け記事を以下に全文翻訳して掲載。(記事中リンクは訳者による)

失われたベトナム戦争の教訓(Vietnam's lost lessons)

ほとんどの米国の高校歴史課程は30年前の戦争について未だ教えていない

by マイケル・A・フーコ:ピッツバーグ・ポスト・ガゼット紙2005/04/29付け記事

悲惨な紛争の結末を告げるイメージとして、サイゴンのアメリカ大使館の屋根からアメリカ人や南ベトナム人たちがヘリコプターで脱出する際に見せた恐怖と混乱ほど、戦争論議にふさわしいものはないだろう。

最後の脱出者が海外に出て4時間後、南ベトナム政府はベトコン(ベトナム共産勢力)に対する無条件降伏宣言をした。長い間多大な犠牲を生んできた戦争は終わった。

その終戦から明日(4月30日)で30年目を迎えるが、戦争における不名誉な結末について、大規模な追悼が行われないのは無理もないだろう。

理解し難いのは、教育関係者の多くが言うように、アメリカ合衆国の政策、社会、文化に深刻な影響を与えたあの戦争の教訓について、なぜ充分に米国の学校で検証されないのだろうということである。

そして、ベトナムにおける犠牲者や、成功と失敗に関する知識不足が、アメリカの若者を駄目にしているのではないか。

スティーブ・ジャクソンもそれを恐れている。

ペンシルバニア州のインディアナ大学で政治学教授を務めるジャクソン氏の説明によると、彼が開講しているアメリカ政治学入門コースに籍を置く学生のほとんどが、ベトナム戦争とその教訓について全く知らないという。イラクへの介入が続く現在は特に、ジャクソン教授はそうした無知を問題視している。

「高校の世界史の課程において、先生達は第二次大戦までは話すが、そこで学年は終わってしまうことがしばしばです」教授は言う。「あいにくのところ、高校の教育課程では、教育委員会が要求するとおり、授業の明確性が重視されますので、微妙な立場については求められないのです。善悪だけが求められるわけで、第二次大戦の物語などは好都合でしょう」

「ベトナム戦争については、教えるとしたらとても複雑な問題なので、高校教師はそれを敬遠する傾向にあるのです」

教授はそれを、全く残念な事態であると話す。なぜなら、生徒達は「同時代への適応性を欠きつつあります。それは物事を批判的な目で見る能力であり、アメリカが戦争で負けることもあると知ることは重要です」

「多くの点で、91年の湾岸戦争や、コソボ紛争への介入などは、第二次大戦の感覚そのものでした」教授は言う。

「疑問が呈されるべきです。最高権威など存在しないし、我が国は全知全能ではないのです」

ジャクソン教授は、自分の講義を通して、ベトナム戦争に関する知識がほとんどない生徒達が、その紛争内容や、それに関わる微妙な立場について興味を持つようになったことを学んだ。

ウェスト・バージニア大学でジャーナリズムを教えているジョージ・エスパーも、同じ体験をしている。彼は元AP通信記者で、ベトナム戦争の報道を行った人物である。

講義の大半は、第一次大戦以降の戦争報道に関するものだが、エスパー氏によると、生徒の興味を最も惹いているのは、ベトナム戦争であり、生徒達はその予備知識がほとんどなかったという。

講義では、口頭でのプレゼンテーションのトピックは自由に選択できるが、生徒のほとんどはベトナム戦争を課題に選択するという。

「彼等は戦争報道に深い興味を持っています。彼等にとってベトナム戦争は新鮮な話題なのです。ベトナムについて取り上げれば、多大な興味を惹くことができます。生徒はベトナム戦争に最も興味があるのです」エスパー氏は説明する。

エスパー氏は最後までベトナムに留まった報道記者の1人で、大量脱出後5週間経過してから脱出している。

エスパー氏は講義の際、かつての報道記者仲間であるピーター・アーネット、デビッド・ハルバースタム、「ワンス・アンド・フォーエバー(We Were Soldiers Once and Young.)」の著者ハロルド・G・ムーア等を招いている。

「私が教えているのは、ベトナム戦争は戦争報道史上最もオープンなものであり、情熱とスタミナ、勇気があれば何処でも取材に行けたというものです」

「ベトナム戦争報道が成功した理由は、事実とそのアクセスであり、私達が政府に説明責任を求める報道記者の第一世代であったということです。今では大きく様変わりし、(報道界は)別方向に向かっていますが」エスパー氏は言う。

現在、エスパー氏は他の報道記者と再度集まるためにベトナムに居る。彼はまた、ウェスト・バージニア大学ジャーナリズム学部代表として、ベトナムとパートナーシップを組んで報道訓練プログラム開発に取り組んでいる。

教育、経済、文化面で合衆国とベトナムが連携しつつある今日、ベトナム戦争は「どの戦争よりも多くの苦悩と記憶を残し、30年経過しても歴史に醜悪なページを留めているので、多くの人々はそれを忘れることを選択している」とエスパー氏は語る。

そして、エスパー氏は、そうした選択を間違いだと指摘する。

ピッツバーグ公立学校地区市民教育課程担当官のレイ・マックレーンが言うような、ベトナムの教訓を生徒に教えることは不可欠という意見には、エスパー氏も議論の余地はないという。

ピッツバーグで20世紀歴史課程を学ぶ年少者は、ジャクソンやエスパーの提唱するような、ベトナム戦争や他の過去100年間に起きた重要事件について分析的な教育を受け始めている。

「ベトナム戦争は痛ましく悲しい事件であり、私達はそこから学ぶべきことがあります」42年間教育界に携わるマックレーンは言う。「絨毯の下に隠すような真似をしてはいけません。成功と失敗について文字通り考えるべきです。傷と汚れの違いや、情熱と財政のトレードオフなど、私達はベトナムから学ぼうとしているのです」

「私達は、生徒達に、当時の人々の身になって、その頃の認識について考えさせようとしています。そうした方法は生徒達が経験できるもっとも大切な歴史的手法なのです」

さらに、マックレーンによれば、教師たちは生徒の興味を惹くための基礎情報源として、ベトナム退役軍人達の協力を得て、授業で体験を語らせたり、従軍日記について議論をしているという。

「自分達と何ら違いのない実在した人々についての授業です」彼は言う。「時間をかける価値ある仕事ですよ」

他にも、時間をかける価値ある仕事はある。明日(4/30)、ベトナム退役軍人アメリカ基金(Vietnam Veterans of America Foundation)オンラインで戦争記録を公開し、兵士個人や、家族、友人等、戦争に関わり影響を受けた人々の個人的な体験を配信する。

そして、スミソニアン歴史博物館は、新たに恒久展示として「自由の代償:アメリカ人と戦争(The Price of Freedom: Americans at War)」を開始するが、それは今月初旬に全米44州から700人が出席してピッツバーグ・ヒルトンで開催された全国歴史教育協議会のセミナーによって提起されたものである。

ベトナム戦争の展示では、実際のイメージと言葉を伝える当時のニュース映像で、紛争から分裂していくアメリカを伝えている。

また、ベトナム戦争の展示には、戦場から戦傷者を運んだヒューイ・ヘリコプターも含まれている。

30年前に、アメリカ人達を乗せ、乗客超過になりながら街を脱出したそのヒューイ・ヘリコプターは、決して忘れてはならないあの戦争から、ようやくそこにたどり着いたのであった。
(以上)

2005/04/26

「戦争の苦痛」byボブ・ハーバート

ボブ・ハーバートのNYタイムズ紙連載コラム2005/04/25付版を以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

戦争の苦痛(The Agony of War)

by ボブ・ハーバート:NYタイムズ紙2005/04/25付けコラム

「美しく、素晴らしく、常に新鮮で驚きに満ち、甘美で絶えることなき恍惚、その最たるものは善行である。」

---シモーヌ・ヴェーユ(哲学者)

「もはや疑いの余地はない。今、神の両手は塞がっているのだ。」

---テッド・オズワルド牧師、マーラ・ルジーカの葬儀にて

マーラ・ルジーカさん遺影

マーラ・ルジーカさん(2005年4月16日死亡、享年28歳)支援活動の傍ら、ルジーカさんはイラクで市民犠牲者数を記録していた

2003年に起きた恐ろしい出来事の最中、米軍の誤射によりロケット攻撃に遭った車の中に居たイラク人女性が、二人の子供---幼児と小児を窓から放り出した。女性と残りの家族は、黒煙と残骸の中で死んだ。放り出された二人の子供の内、ザーラという名の小児は酷い火傷を負い、2週間後に亡くなった。

もう1人の子供、ハラーという名の幼児の怪我は、それほど酷くはなかった。その子は最近、カリフォルニア出身の若き人道活動家マーラ・ルジーカの膝の上に座っているところを写真に収められた。ほんの1週間ほど前、そのマーラ・ルジーカは、バグダッドで乗っていた車両が自爆テロ攻撃に遭い、炎に包まれた残骸の中で死んだ。

米軍のイラク侵攻がもたらしたイラク市民の死傷者達の大半は、普通のアメリカ人の意識から注意深く排除されている。ブッシュ政権も、そうした話題を避けている。死んだ子供達の話題を肯定的に情報操作することはできないからだ。

報道業界に関しては、戦争で苦しむ市民について報じるよりは、楽な話題がたくさんある。戦争の話題を嫌うあまり、浮かれた報道陣はローマ法王の死と後継者の問題に没頭し、躁状態のメディア界はマーサ・スチュアートやマイケル・ジャクソンの動向に夢中で、戦争とは対極の話題に走っている。

何万ものイラク市民の救済なき苦悩に興味を示すメディアはほとんどない。そうした話題は厄介であり、世論を動揺させる類の戦争のイメージや情報から、アメリカ国民を守るという考えが支配的だ。戦争を仕掛ける国家としては、戦争に対して国民にあまり狼狽してほしくないのである。

そんなわけで、罪もなき市民の家にアメリカ製の爆弾が誤って落ち、家族を皆殺しにしていても、米国民が知る由もない。イライラした兵士が無差別に銃撃し、全く脅威でない男女や子供達を死傷させる事態が頻繁に起きていても、米国民の耳には届かない。平和と自由の名の下に、多くの子供達が、様々な場面で、銃撃され、焼かれ、吹き飛ばされて死に至っても、米国民はそうした話題をあまり聞くことがない。

去る者は日々に疎し。(Out of sight, out of mind.)

この戦争が市民に強いている犠牲に対するそうした恐るべき無関心こそ、28歳で死んだルジーカさんが、個人として可能な限り犠牲者を記録しなければと思い立った理由であった。彼女は、最も危険な地域の家々をまわりながら、死傷した市民の情報を記録していった。ルジーカさんは、戦争がもたらす酷い苦痛をアメリカ国民は知っておくべきで、その苦痛を和らげるために私達は何かをする義務があると堅く信じていた。

ルジーカさんの最終目標は、バーモント州上院議員パトリック・リーヒーも求めているように、合衆国政府内の、おそらくは国務省の一部局において、米軍の軍事行動による市民の犠牲者数を記録する体制を確立させることであった。そして、その情報を広く公開させる。犠牲者家族、遺族に対して賠償を行い、今後の軍事行動で市民の犠牲者を最小にとどめるための研究材料に活かすのだ。

戦争は常に悲劇であり、深い苦痛を伴う。愚か者達は、いい加減な理由付けで戦争を華美に粉飾したがるが、現実の戦場は常に理不尽な流血に満ちており、肉体を蝕み、肉体的・精神的に不具となった者は生涯の傷を負うのである。

故郷のカリフォルニア州レイクポートで行われたルジーカさんの葬儀には、600人以上が参列した。参列者の中には、ベトナム退役軍人アメリカ基金(Vietnam Veterans of America Foundation)の委員長ボビー・ミューラー氏の姿があった。元海兵隊員として、ミューラー氏は戦争の苦痛を知っている。ベトナムで背中を撃たれ、彼の脊髄は切断された。

参列者を前に、ミューラー氏は語った。「個人こそがこの世界をおおいに変えられるということを、マーラは示してくれました。彼女の人生は紛争における無実の犠牲者達に捧げられましたが、まさしく彼女もその1人となったのです」
(以上)

2005/04/14

「連中に爆弾を食わせてやれ」byテリー・ジョーンズ

terryjones

テリー・ジョーンズ最新著作『Terry Jones's War On The War On Terror

英テレビ界伝説のコメディ番組、『モンティ・パイソン』で活躍した1人、テリー・ジョーンズ氏の最新コラムを以下に全文翻訳して掲載。(文中リンクは訳者による)

(関連投稿:米軍の侵攻から2年:数字で知るイラクの現状

連中に爆弾を食わせてやれ(Let them eat bombs)

イラクで栄養失調の子供が倍増という不可解

by テリー・ジョーンズ:英ガーディアン紙2005/04/12付けコラム

ジュネーブで開催される国連人権委員会のために用意されたレポートによれば、イラクの子供にとっては、現在よりもフセイン政権時代のほうがマシだったと結論づけているそうだ。

ジョージ・ブッシュやトニー・ブレアのような、高いところから爆弾を落として街を破壊したり病院や学校、発電所を吹っ飛ばしたりすることが、子供の成長に最良であると信じている人々にとって、この報告はもちろん、手痛い一撃となる。

今になって明らかになったところでは、米国主導のイラク攻撃の結果、イラクの子供達の生活状況は改善するどころではなく、5歳以下の子供で栄養失調に陥る人数は、不可解なことに倍増している。サダム政権時代、5歳以下の子供で飢餓に苦しむ割合は約4%だったが、昨年末の段階でそうした子供は約8%に増加したというのだ

『軍隊を使って中東の子供達に良いことをしてあげよう省』に所属する我々にとって、この結果はさらに期待外れとなった。それ以前の、英国とアメリカによる、イラクの子供達の生活を改善するという試みもまた失望だった。例えば、かつての経済制裁においても、状況の改善には失敗していた。1990年に制裁が始まってから、5歳以下の子供の死亡率は増加した。我々の行った経済制裁のおかげで、1995年までにおよそ50万人の子供が死亡することになったのである。

それから1年後、当時の米国連大使マデリーン・オルブライトは、必死で強がった。経済制裁が原因で、ヒロシマで殺されたよりも多くの子供がイラクで死ぬことになったとテレビのインタビュアーに指摘されて、オルブライトは開き直って言った:「(制裁するだけの)価値はあったと思いますよ(we think the price is worth it)

しかし、ジョージ・ブッシュはそんなことはしなかった。代わりに、爆撃することを思いついたのだ。そして単に爆撃するだけでなく、子供達の父親を拷問し、母親達を辱め、路上で撃ち殺すことにした。しかしそのいずれも、無駄なことだった。イラクの子供達は、より栄養豊富な、健康的で死ぬ恐れの少ない生活を拒否している。本当に不可解なことだ。

そんなわけで、『軍隊を使って中東の子供達に良いことをしてあげよう省』の一員として、一般市民である皆さんから、知恵を拝借したいと訴える次第である。もしも皆さんが、私達が今までやってきたような、イラクの子供達に適用する軍事的手法を他にも思いついたなら、大至急教えていただきたい。我が国の現在の体制下において、イラクの子供達の問題に軍事的な対応をするためなら、使えるお金に制限など一切存在しないと、保証しておこう。

英国では、貧困ライン以下の生活をしている子供は360万人ほど居るが、米国も、そうした子供達を1,290万人ほど抱えている。英米両国政府が、そうした状況を改善すべく、現金を用意する見込みは全くない。しかし、これにお金を使う価値は充分あるはずだ。なにしろジョージ・ブッシュとトニー・ブレアは、イラクの子供達の生活を改善するという理由で、爆弾や砲弾や弾丸を買うお金をいくらでも用意できるというのだ。皆さんなら、よくお分かりだろう。


2005/04/06

最新調査:米国人の56%が「イラクは大量破壊兵器を所有していた」と信じている

「マス・メディアは、事件を正確且つ誠実に報道し、状況と問題を十分に分析し、異論に対しては話し合いの場を設けることにより、人類が発展の中で生得した正しい展望に副った正義と連帯の普及を実現できますし、またそのように努めるべきです。」

"The mass media can and must promote justice and solidarity according to an organic and correct vision of human development, by reporting events accurately and truthfully, analyzing situations and problems completely, and providing a forum for different opinions."

---4月3日に死去したヨハネ・パウロ2世が遺した最期の公式メッセージの一部「通信にたずさわる者たちへ(TO THOSE RESPONSIBLE FOR COMMUNICATIONS)」より(source:2005年1月24日付


ワシントンポスト紙とABC放送が行った最新調査によると、現在においても米国民の56%が「イラクは大量破壊兵器を所有していた」と信じており、約60%が「イラクはアルカイダを支援していた」と信じているとのこと。昨年からたいして変わっていないわけだ。)

以下に主な調査結果を翻訳して引用する。(調査日:2005年3月10日から13日)

(質問)イラク戦争以前、イラクはアルカイダを支援していたと思うか?
61%:イラクはアルカイダを支援していた(イラクはアルカイダを支援していたと思う:39%、イラクがアルカイダを支援していた明確な証拠がある:21%
30%:イラクはアルカイダを支援していなかった。

(質問)戦争直前のイラクは大量破壊兵器を所有していたと思うか?
56%:イラクは大量破壊兵器を所有していた。
40%:イラクには大量破壊兵器はなかった。
(質問)ブッシュ政権はイラク戦争をするために、真実と信じていた情報を国民に説明したと思うか?あるいは、意図的に国民を誤解させたと思うか?
55%:真実と信じた情報を国民に説明した。
43%:意図的に国民を誤解させた。

米政府の独立調査委員会が3月31日に発表した報告によると、「イラクに大量破壊兵器が存在する」と誤った情報を伝えた人物は、いつも二日酔い状態でCIAに情報を出していたとのこと。40歳までアルコール漬けだったブッシュ大統領は、ホロ酔い気分のスパイを戦争の口実に利用したというわけだ。しかも、米国民の半数は、未だ酔いから醒めずにいるらしい。

2005/03/31

ウォルフォウィッツ米国防副長官の愛人騒動で世銀が大揺れ

ウォルフォウィッツ米国防副長官

イスラエル/アラブ諸国和平の実践か、単なる政界失楽園か?次期世銀総裁候補、ウォルフォウィッツ国防副長官(軍隊経験ゼロ

ブッシュ大統領から世界銀行の次期総裁に推薦され、有頂天のウォルフォウィッツ米国防副長官が、意外な話題で注目を集めている。米・英タブロイド紙、ワシントンポスト紙などが伝えているところでは、ウォルフォウィッツ氏の愛人が世界銀行の上級職員を務めており、しかもその女性が国防副長官のイラク戦争計画に多大な影響を与えたというのだ。

ネオコン内部でも超タカ派で知られるウォルフォウィッツ国防副長官の愛人の名は、チュニジア生まれのアラブ系女性、シャハ・アリ・リザ(Shaha Ali Riza)。そもそも彼女が世銀の上級職員になれたのも、愛人である国防副長官の根回しがあったからと噂されている。そうした状況を問題視し、ウォルフォウィッツの総裁就任に異議を唱える世銀関係者も大勢いるようだ。

シャハ・アリ・リザ

国防副長官を虜にしている女性、シャハ・アリ・リザ

ワシントンポスト紙の報道によれば、リザとウォルフォウィッツの関係は米政界における公然の秘密であり、シークレットサービスを引き連れてリザ宅から朝帰りする国防副長官の姿を、隣人たちは何回も目撃し、呆れている。

ホワイトハウス周辺で“女たらし”として知られる61歳のウォルフォウィッツは、1968年に結婚したクレア夫人との間に3人の子供をもうけている。ブッシュ政権入閣前にジョン・ホプキンス大学高等国際問題研究院の学部長を務めたウォルフォウィッツは、同学院の女性職員との不倫がきっかけで、2001年から家族と別居しているが、どうやら離婚届は出されていないらしい

一方のシャハ・アリ・リザは、チュニジアで生まれサウジアラビアで育ち、オクスフォード大卒で英国籍を持つ女性活動家である。近親者の話によると、中東における女性の権利拡大を目指すリザは、ウォルフォウィッツ国防副長官とのデートで、熱心に“打倒フセイン政権”“イラクの民主化”を説いていたという。そして、現在彼女は、世銀のイラク復興計画広報担当を務めている。(まあ、熱意は報われたわけだ)

さて、クイズの時間だ。米国防副長官がイラク戦争を推進した際の、正しい動機を以下から選択してみよう。


答え:侵略戦争に“正しい”動機など存在しない)

2005/03/21

米軍の侵攻から2年:数字で知るイラクの現状

Center for American Progress2005/03/18付記事より。イラクの現状を数字で紹介するリストを以下に翻訳して引用。


2,000億ドル
(約20兆9,530億円)
これまでにイラク戦争に投入された米国民の税金額(最低見積額)
15万2,000人現在イラクに駐留している米軍兵士の人数(source
1,511人イラク侵攻開始から現在までの米軍戦死者数(米軍公式発表による:source
1万1,285人イラク侵攻開始から現在までの米軍負傷者数(米軍公式発表による:source
2万1,100人−
3万9,300人
イラク戦争とそれに関わる犯罪により死亡したイラク市民の数(米ブルッキングス研究所による:source
176人米軍以外の連合軍兵士の戦死者数(source
339人IED(Improvised Explosive Devices:簡易爆発物)で死亡した連合軍兵士の戦死者数(source
70件2005年2月における、武装勢力による攻撃の1日平均発生件数(source
14件2004年2月における、武装勢力による攻撃の1日平均発生件数(source
1万8,000人現在のイラク国内武装勢力推定構成人数(米ブルッキングス研究所による:source
5,000人2003年6月時点でのイラク国内武装勢力の推定構成人数(米ブルッキングス研究所による:source
27ヶ国 vs. 14ヶ国“有志連合”国の数と、イラク駐留兵の一部及び全面撤退を宣言もしくは完了させた国の数の対比(source
2万5,000人米国以外の連合軍兵士のイラク駐留人数(source
4,500人イタリアとオランダが今年中に撤退させる兵士の人数(source
27万1,000人米国が2006年7月までに訓練完了を期待する、イラク人警察官、国境警備員、治安部隊兵士の人数
14万2,472人訓練・装備を完了したイラク人治安要員の人数(国防総省の発表人数:source
4万人統合参謀本部長リチャード・マイヤーズ将軍が発言した、適切な訓練と装備を施されたイラク人治安要員の人数(source
40%イラク駐留米軍の内、州兵が占める割合
0(ゼロ)イラクに派遣された戦闘部隊の内、国防総省の規定どおり1年間の休暇をもらった部隊の数(source
30%2004年11月と12月における、米国州兵部隊の新兵募集人数目標に対する不足率(source
27%米軍全体における目標新兵人数に対する不足率(source
15%イラクとアフガニスタンに派遣された米軍兵士の内、PTSDと診断される者の比率(米会計監査院の調査による:source
200万バレル現在のイラク国内油田における1日平均の石油生産量(source
280万バレル米軍侵攻前の、イラク国内油田における1日平均の石油生産量(source
8時間イラク国民が電気を使用できる時間(1日平均)(source
28%−40%現在のイラク国民失業率(source
430万人イラクで現在小学校に通う子供の人数(source
360万人2000年時点のイラクで小学校に通っていた子供の人数(source
1億800万ドル
(約113億974万円
ハリバートン社が密かに国防総省に過剰請求していた金額(source
90億ドル
(約9,424億円)
イラク復興基金の内、連合軍暫定当局が不正に支出したと見られる金額(source

2005/03/19

イラクでの戦闘で撮影した殺戮ビデオを、娯楽映像作品として楽しむ米駐留軍の兵士達

「理性の言うことに必ず従うという力は、我々に備わっておらぬ。」

---ラ・ロシュフコー『箴言集』---

ロスアンゼルスタイムズ紙2005/03/14付け記事より。以下に記事全文を翻訳して掲載。

行き過ぎたシネマ・ヴェリエ(Extreme Cinema Verite)

イラクに駐留する米兵達は自分達の戦闘をビデオ撮影し、死と破壊にまみれたミュージックビデオを制作している。しかも彼等はそれを娯楽作品として人に紹介している。(GIs shoot Iraq battle footage and edit it into music videos filled with death and destruction. And they display their work as entertainment. )

by ルイス・ローグ記者:ロスアンゼルスタイムズ紙2005/03/14付け記事

バクーバ、イラク:昨年11月、海兵隊員のチェイス・マッコロウがイラクから帰還した時、彼はイラクで同僚たちと撮影した映画を持参していた。テキサスの実家に戻って両親と過ごす最初の夜、チェイスは自作ビデオを婚約者、家族、友人らに披露した。

映画の内容はこんな感じ:ナイト・ビジョンのゴーグルを通してグリーンに染まった視界に、少数のアメリカ兵達が映し出される。二人の兵士の無線での会話が、BGMのヘヴィ・メタル音楽にかき消されていく。

“Don't need your forgiveness,”バンド『Dope』の歌が始まると、イメージが展開する:ブラッドリー先頭車輌の前でポーズを決める武装兵達、黒いアバーヤ(アラビア女性の着用するコート)を着た二人の女性が埃の舞う道路を歩く姿、青いドームのモスク、ムクタダ・サドル氏のポスター・・・“死ね、抵抗は止めろ 死ね、祈る必要などない(Die, don't need your resistance. Die, don't need your prayers)”そして、BGMのビートがいよいよ高まり、黒く焦げたり、首を斬られたり、血まみれになった死体の数々が画面を覆いつくす。

「戦勝記念みたいなもんだから」バクーバ近郊の軍馬野営場の窮屈な住まいを背景に、20歳のマッコロウは言った。「俺はあそこに居たんだ。俺がやったんだよ」



第二次大戦中から、撮影機材は戦線に持ち込まれていたが、ベトナム戦争以前には、兵士達が自らの戦闘経験を実際に記録することはなかった。(スーパー8カメラが開発される以前、撮影機材は技術的にもアマチュアの手に負えないシロモノだった)

現在では、ビデオカメラは軽くなり、デジタル技術によって編集も容易になった。、戦闘をビデオに収めた兵士達は、映画を作って電子メールで配布することも可能で、軍部の検閲も受けることがない。Avidなどの編集ソフトとインターネットアクセスが可能な基地では、実際の戦闘や殺戮シーンを使ってMTVスタイルの音楽ビデオを制作することが米国兵士達の間で急速に広まっている。

兵士達はしばしば個人用カメラやビデオ機材を戦闘現場に持ち込んでいる。時折、米軍の公式撮影チームである“コンバットカメラ”隊が、捜査やパトロールの兵士の後につづくこともある。米軍はそうした映像を訓練や広報業務で使用しているが、個人のコンピューターや商用Webサイトに流出することもある。

その結果、虐殺や死、破壊を捕捉した写真やビデオ映像はカットされるが、兵士達はそれを集めて野球カードのように交換しているのだ。

「イラク人達の死体写真はたくさん持ってるよ・・・誰でも持ってるだろ」バクーバ近郊に駐留する22歳の海兵隊員ジャック・ベンソンは言った。彼は他の兵士達から5つのビデオを入手し、自分でもビデオを撮影している。

BGM音楽を入れて、兵士達は戦争に関する自作のドキュメンタリー風映画を制作している。多くはユーモラスもしくは愛国風であるが、マッコロウ一等兵が好むような血みどろ風のものもある。

「ポイントは押さえてるよ」彼は言う。「これはひどく陽気な平和維持活動とはワケが違うんだ」


司令官達は基地での写真を規制することについては慎重な姿勢をとっているが、常識的な規則づけは必要だろう、と米軍広報担当者は言う。作戦行動の安全を脅かす映像、軍用施設や装備などの撮影は、禁止されている。

イラクに派遣される以前、海兵隊員は拘束された者や死体、負傷したイラク人、死亡したアメリカ兵などを撮影してはいけないと指導されていた。しかし、イラク人の死体や、不具になったイラク人達の写真やビデオは蔓延している。

「こっちに向かって撃ってくる奴等の写真を撮影するくらい、なんでもないだろう」マッコロウは言う。彼はまた、死んだ米兵の死体写真は見たことがないと付け加えた。「そりゃいくらなんでも気分悪いだろうし、身近すぎる」

ベンソンやマッコロウの駐留する基地において、米軍は定期的に兵士の宿舎を検査し、ドラッグ、アルコール、ポルノ写真の有無を、健康安全管理の一貫として取り調べる。しかし、第三戦闘部隊付きの軍法務官ダグラス・ムーア大尉の説明によれば、個人のノートパソコンを調べることは兵士のプライバシー侵害になるという。映画制作が規定違反ということであれば、それはまた別の話となる。

「悪趣味ですよ」ムーア大尉は言う。「気分が悪くなる」


マッコロウは、自分の好きなビデオがテキサスの親類たちの気分を害したことに驚いている。

「家に持ち帰って、いかにあれが気味悪いものか分かったよ」マッコロウは言う。彼の使うスクリーンセイバーはビデオよりもはるかに温和で、自分の結婚式を映したものだ。

かつての婚約者で現在の妻であるブランディ・マッコロウの話では、夫がビデオを友人に見せているときに部屋に入っていくと、友人たちは飛び上がって悲鳴を上げていたという。

18歳だったブランディは、“体の一部が失くなったり、爆弾が爆発したり人が銃撃されたり”という映像に驚愕した。

「怖かったわ」テキサスからの電話で彼女は答えた。「チェイスはイラクのことを何も話してくれなかったし、私はニュースを見るけど、いつも見てるわけじゃないもの。あんなに暴力的なんて思いもしなかった」

彼女はまた、なぜ皆が戦闘を撮影しているのか不思議に思っている。

「異様に思うわ・・・だって、ホームビデオなのよ」彼女は言う。「人が目の前で撃たれてるのに、傍でカメラを持って座ってるなんて」

マッコロウの話によると、海軍予備役兵隊長の父親は、息子にこう言ったという:「おまえ、これは正常なことじゃないぞ」

「皆は本当にショックだったみたいだ」マッコロウは言う。「俺たちが見てきたものが信じられないらしい」

シンシナティ医科大学精神学科教授のダニエル・ネルソンは、そうした意識のすれ違いを理解できるという。

「驚くことではありません・・・この先、我々が経験することになる新たな感情です」教授はそう言いながら、ビデオ映像をアブグレイブ刑務所での虐待写真と比較して見せた。「この状況で起きているのは、米国本土において禁止されている行為を、推奨する土壌があるということです」

罰当たりなことが平凡化されるというのは、兵士達がトラウマから距離を置くための一つの方法なのだと教授は言う。つまり“自分が実行したり経験した事を現実と受け止めたくない”ということなのである。

ビデオ制作については、ネルソン教授が研究の中で見てきたような、トラウマを負った子供やベトナム帰還兵達にも似たものがあるという。

「我々は自身の人生の物語をどのように創造するでしょう?」教授は問いかける。「治療の過程の一部では、自らに体験を語らせ、感情的な物語を体系化することにより、自分で問題に対処できるようになるのです」

ブランダイス大学で映像研究プログラムの委員長を務め、書籍『Projections of War: Hollywood, American Culture and World War II』の著者でもあるトーマス・ドハーティ氏は、そうしたビデオを、正真正銘の戦場日記と呼んでいる。

「最前線の兵士と安全な故郷の間には、常に断絶があるものです」ドハーティ氏は言う。「第二次大戦の規範にもあります:故郷に持ち帰らないこと」

ビデオを観た後で、ドハーティ氏は言った。「もちろん大虐殺の恐ろしさに度肝を抜かれますが、しかし映像には幅がありますね」

ドハーティ氏は賞賛もした。「対照性編集の手法ですね・・・楽曲のリズムとイメージの点滅ですな、とても器用な仕事だ」

「MTV世代が戦争に行ってるんですな」ドハーティ氏は言う。「サンダンス映画際にでも出品すればいい」

他にも、フロリダ州兵が作ったビデオには、兵士達が負傷した囚人の顔面を蹴り、死体の腕を弄んでいる様子が収められていた。3月初旬には、米国自由人権協会(ACLU)が情報公開法により入手した書類によって、“ずるい奴等”“いつもの1日、いつもの任務、いつものクソ”等のタイトルのついた映像を含む“ラマディの狂気”という名のついたDVDの所在が明らかになっている。

人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの法務アドバイザーを務めるジェイムズ・ロス氏は、「兵士達がそうしたビデオを制作してことは問題である」としている。しかし彼はこうつけ加えた。「しかしそれがただちにジュネーブ協定に違反しているとはいえない」

ジュネーブ協定では、死者の遺骸は大切にされるべきで、“公衆の好奇の目にさらされるべきでない”と記している。ロス氏の話では、「明確な禁止行為を規定しているわけではないのです。死体を撮影してはいけないというのなら、少し拡大解釈されることになるでしょう」

戦場のビデオを販売しているウェブサイトもある。

efootage.comのサイト上には「バグダッド路上での戦闘、略奪、無法」という広告文が見受けられる。ラスベガスを拠点にした企業Gotfootage.comは、50ドルから100ドルの料金設定で、過去のサダム・フセインの映像、ジェシカ・リンチ、空爆や爆破シーンの映像を販売している。同サイトでは、2003年3月の侵攻時にイラク軍の燃料トラックが米軍の爆撃により破壊される映像の広告も行っている。

他のウェブサイト上でも“GrouchyMedia.comなら、巷で話題の、悪い-奴等を-殺せ型ビデオが見つかります”という広告が見受けられた。

海兵隊2-63特別部隊射撃手スコット・シュローダー軍曹は、彼が言うところの“悪魔的な、汚れた殺人ビデオ”を家族に見せたくはないという。

「仲間達なら喜ぶだろうが」彼は言う。「自分の母親が気に入るとは思えないね」

他の特殊部隊隊員も、匿名で語ったところでは、そうした血まみれビデオに吐き気を感じると言った。

「観るつもりはないね。俺の部隊の仲間も観る奴はいないだろう」イラク北部のモスルに駐留する特殊部隊員は語った。「マトモな神経じゃない」

その特殊部隊員は、そうしたビデオを、武装集団によって公開された斬首映像と比較している。

「連中と同じレベルに落ちてるじゃないか」彼は言った。「なんでそんなことをやりたがる?」


駐留基地にあるマッコロウの部屋のドアには、“Grand Theft Auto(重窃盗車)”というビデオゲームのポスターが貼られている。

ビデオゲームを観ていると、マッコロウは戦闘に対して別の視点を得られると言う。戦闘の最中には詳細部分を忘れてしまうので、軍部はそうしたゲームを“高校のフットボールのように、教育ツールとして”導入すべきであると彼は言う。訳注

マッコロウのルームメイト、インディアナ州ラファイエット出身で30歳になるベンジャミン・ブロンクマは、制作した戦闘ビデオを誰も売りに出さないことに驚いていると話した。

「もし手元にビデオがあって、MTVから申し出があれば、すぐ売るね」彼は言った。ベンジャミンの話では、兵士が制作したビデオは映画館で放映されているような、暴力を売り物にした作品と対して違いはないという。

「“プライベート・ライアン”ほどナマナマしいものでもないよ」ベンジャミンは言った。「俺たちにとっては、映画を観てるのと変わらないね」
(以上)


訳注):実のところ、米国陸軍は戦闘ビデオゲームを実際に新兵採用に利用しており、公式ビデオゲームも世界中で販売している。また米海兵隊は、イラク赴任前に戦闘ビデオゲーム「Operation Flashpoint」による戦闘シミュレーション教育を受けている

2005/03/08

「戦傷がアメリカン・ドリームに影を落とす」

(西海岸のローカル紙)The Union Democrat紙2005/03/03付け記事より。以下に全文翻訳して掲載。

米退役軍人局は、湾岸戦争症候群に苦しむ退役軍人約20万人の障害年金請求を拒否しつづけている。さらに、ブッシュ政権は財政赤字解消(というよりイラク占領費用捻出のため)退役軍人向けサービスをどんどん縮小しており、2003年度には退役軍人向け医療予算を30億ドルも削減している


戦傷がアメリカン・ドリームに影を落とす(American Dream clouded by war illness)

by エイミー・リンドブロム:The Union Democrat紙2005/03/03付け記事


ビルとアンナ・デルーエン夫妻の息子は、目だった戦傷を負うことなく、湾岸戦争からコロンビア(サウスカロライナ州)に帰還した。

骨折もなく、銃創もなかった。容姿も以前と変わらぬままだった。

しかし、ビル・デルーエン三世は傷を負っていた。

1989年、幸福で健康な27歳のビルは、陸軍に入隊した。

1991年、戦場から帰還したビルは、重い頭痛と、慢性的な下痢、原因不明の熱に悩まされていた。彼はうつ状態になり、信じられないほど疲労しており、悪夢のせいで夜寝付くことが出来ない。ひとたび眠れば、シーツは汗でずぶぬれになった。

退役軍人局の精神科医は、デルーエンの症状をPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断した。ビルは、サダム・フセインの共和国防衛隊を攻撃するために編成された陸軍の秘密部隊に所属していたことから、デルーエンの両親は、息子が枯葉剤や神経ガスを浴びたと信じている。

陸軍を退役して13年経過した今、ビル・デルーエンは懲役16年の刑に服している。2001年、彼は覚せい剤を販売していた容疑で有罪を宣告された。両親の話では、ビルは長年の痛みを抑えるために覚せい剤を使用していたという。

このまま何事もなければ、42歳のビル・デルーエンは2013年に出所することになる。

デルーエンの両親は、すでに夫妻ともに70代中盤だが、50歳になった息子が家に戻るまで生きていたいと願っている。

夫妻は、現在のイラク戦争から帰還する兵士達の両親のために、自身の経験が活かされることを期待している。夫妻のアドバイスは警戒を促している:「見えない病気に注視しなさい」

「気をつけて。隠れた兆候を見逃さないで。帰還した兵士達は酷い状態になっているものなんです」アンナ・デルーエンは涙ながらに語った。

デルーエン夫妻はアメリカ人であることに大変な誇りをもっており、1950年代以来の頑固な共和党員である。ベッドルームの壁には、フレームに入ったロナルド・レーガンの肖像とともに、制服を着た息子の写真が飾られている。

ロシア軍とドイツ軍が激突していた頃のハンガリーから、10代のアンナ・デルーエンは母親と一緒に祖国を脱出した。

「ここに居られることは本当に素晴らしいことだし、夫にとっても息子にとっても、アメリカ人であることはとても素晴らしいことです」アンナ・デルーエンは言う。「もしもハンガリーに留まっていたら、こんな素敵な人生を送ることが出来なかったでしょう。あそこでは今でも人々が苦闘しています」

しかし、アメリカへの愛にも関わらず、デルーエン家は半ば政府に裏切られたように感じている。夫妻の話では、湾岸戦争で化学兵器に侵された退役軍人達に、合衆国政府は十分な支援をしていないという。

「私達の息子は、退役軍人局から、汚れたぼろ切れのように棄てられているんです」アンナは言った。


戦傷者(War wounds)
ビル・デルーエンがソノラに戻った時、彼の腕には大きな赤い湿疹ができていた。夜にはゴールド・スプリングスにある両親の家の玄関に到着したが、悪夢と断続的な頭痛に襲われ寝付くことが出来ず、しばしば救急治療室に担ぎ込まれることもあったという。

ビルは際限のない下痢に苦しみ、痩せていった。不眠と原因不明の倦怠感から、彼は日中に眠るようになった。簡単な事も思い出せなくなり、全身が痛むようになった、と父親は語った。

デルーエン夫妻は何かがおかしいと感じた。息子はそのような病気に罹ったことがなかったので、夫妻は怖くなった。

「息子はもがいていました。私達も四苦八苦していました」アンナ・デルーエンは言った。

ビルとアンナ・デルーエンは、息子を医者や精神科医に診せ、原因を解明できると期待した。ベイ・エリア病院に向かう途中、病気で息子の内臓が破裂寸前になり、オークデイルまでしか到達できなかった。

湾岸戦争に派遣された兵士達に対する何年もの医療調査の結果、連邦政府はようやく湾岸戦争症候群が実在する問題であると認識することになった。

退役軍人局のアンソニー・プリンシピ長官が昨年11月に公表した報告によれば、デルーエンが罹っているような症状をさらに調査するために、今後の4年間に毎年1,500万ドルの費用が必要になるとのことだった。

しかし1991年の時点で、退役軍人局の精神科医はデルーエンをPTSDと診断したので、政府は彼に追加の医療手当てを給付することを渋っている。

当時の米国政府は、神経ガスとの関連が懸念される湾岸戦争症候群の存在を否定していた。その代わりに、政府当局者は、兵士達の障害について単に心理的なものと主張していた。

帰還から数ヶ月が過ぎても、ビル・デルーエンの症状が好転する様子はなかった。彼は仕事に就くことができず、痛みが酷いことから普段の生活にも支障をきたしていたと父親は語った。

ビルはソノラを出て、陸軍入隊前に知り合った女性と一緒になるためストックトンに向かった。

アン・デルーエンの話によれば、彼女と友人達は覚せい剤の常用者だったという。

覚せい剤で痛みを紛らわせることを知ったビル・デルーエンは、途端に重度の薬物依存に陥った。


犯罪(Criminal trouble)
ビル・デルーエンとガールフレンドは、ドラッグを買うために金を盗むようになっていた。彼等は、羊牧場の別荘に忍び込んだ際、保安官代理人達に拘束された。

1993年、4件の第一級住居侵入窃盗の罪で、デルーエンは有罪を宣告された。カリフォルニア州におけるスリーストライク法で、ワンストライクにあたる。カラベラス郡判事は、デルーエンを刑務所に収監する代わりに、薬物依存症の治療のために南カリフォルニアのリハビリ施設に送還することにした。

1年の内に、デルーエンは釈放された。しかし、無職の上、頭痛や他の痛みに苦しみ、再び問題を起こすことになる。

2001年、彼はトゥオルミ郡保安官事務所の情報提供者にドラッグを販売した。販売目的でドラッグを所持した容疑で、彼は有罪となった。

1993年の有罪判決と、ストライク法の影響により、判事から16年の懲役刑を宣告された時、デルーエンは事情を知らなかったという。

判決記録によれば、デルーエンは後に、刑務所内で精神科治療を受けられず、明瞭な思考ができないまま罪を認めてしまったと話している。

1994年から施行されたカリフォルニア州のスリーストライク法に、デルーエン家は賛成票を投じていた。それから、昨年、第66提案に賛成を投じた。非暴力犯罪で収監されている囚人をスリーストライク法の例外とする同法案は、否決された。

「息子は過ちを犯しました。彼も私達もそれは理解します」アンナ・デルーエンは言う。「5年の刑期なら我慢できますが、16年というのは度が過ぎています。息子が刑務所に行くことになった理由は、犯罪というよりも病気のためなのです」

デルーエン夫妻は、息子が出所した時の医療援助と生活費を捻出するために、退役軍人局相手に追加の障害年金を要求するべく、新たに弁護士を雇いいれた。

しかし、デルーエンの有罪記録により、ラ・ホーラ郡退役軍人向け弁護グループのマーク・リップマン氏はクライアントの依頼を完全には楽観視できない。

「政府は、国民を入隊させる時には軍部に最大限の賛美を惜しまないが、戻ってきた退役軍人には誠に不親切なのです」リップマンは言った。


忠誠を忘れない(Remaining faithful)
月に一度、天気の良い日には、デルーエン夫妻はスーザンビルのハイデザート州刑務所に5時間かけて出かけ、息子と数時間を過ごすようにしている。それが終わると、5時間運転して自宅に戻るのだ。

刑務所では、ビル・デルーエンはいくらかの精神的支援を得て、頭痛と悪夢に対しても投薬を受けている。

先日、デルーエン夫妻は、事態の改善のために何かできることがあるかどうか、面会の際に息子に聞いてみたところ、息子は泣いた。

「母さん、気分が悪かったり頭が痛いとき、覚せい剤だと具合がいいんだよ」息子が繰り返す言葉を、アンナは話した。

デルーエン夫妻は、今でも信仰を欠かさず、何か息子が救われることが起きるよう祈っている。

退役軍人局に失望したにも関わらず、夫妻は今でも、政府が息子に手を差し伸べてくれると確信しているという。

「息子は祖国のために喜んで身を捧げました。しかし祖国は息子を切り捨てたのです」アンナは言う。「息子が苦しむ姿をみると心が痛みますが、彼は不平を言いません。この国に暮らせることも、アメリカ国民であることも素晴らしいことです。ただ私は、この国の法廷と政府が、息子を救うために変わってくれることを願っているのです」(以上)


2005/03/07

イタリア人女性記者銃撃事件:誤射?

イラクで、反米武装勢力から解放されたばかりのイタリア人女性記者ジュリアナ・スグレーナ氏の乗った車が、バグダッドで空港に向かう途中に駐留米軍に銃撃され、スグレーナ氏と同乗していた2人のイタリア情報機関員が負傷し、人質解放交渉を指揮した情報部員ニコラ・カリパリ氏が死亡するという事件が発生したが、事実内容を巡り疑惑が噴出している。

これまでに伝えられているところでは、当事者達の説明のポイントは以下のとおりである。(source:英ガーディアン英BBCAP通信インターナショナルヘラルドトリビューン

駐留米軍側の説明
  • 記者らの乗った車は猛スピードで米軍検問所を通過しようとした。
  • 米軍側は警告射撃をおこなった。
  • イタリア人記者人質が解放され空港に向かう旨は、イタリア情報部から米軍に伝達されていなかった。

ジュリアナ・スグレーナ記者の説明
  • 車は通常のスピードで、すでに米軍検問所を数箇所通過しており、空港にあと少しという場所で銃撃された。
  • 装甲車両に乗った米兵が、フラッシュライトをかざしてから、自分達の車に向かって300−400発ほど銃撃をした。
  • 銃撃直後、米兵達はケガ人の手当てをせずに、イタリア情報部員達の武器と携帯電話を没収し、イタリア本国との連絡を1時間以上中断させた。(同乗していたイタリア情報部員は銃撃の最中にベルスコーニ首相官邸と携帯電話で通話しており、米軍が銃撃した事実がリアルタイムで報告されていた
  • イタリア政府当局者は米軍に情報を伝達していた。
エンゾ・ビアンコ議員(イタリア野党党首で情報部監査委員)の説明
  • 事件当日のバグダッドは土砂降りだったので、記者らの車が猛スピードで走行したという米軍の説明は信用できない。

待ち伏せ攻撃?

スグレーナ記者は、武装勢力に拘束される直前、バグダッド近郊のモスクで、米軍の攻撃に遭ったファルージャ住民のインタビュー取材をしていたという。

負傷したスグレーナ記者は、直後のインタビューで奇妙な証言をしている:「(米軍の銃撃を受けて)私はすぐに誘拐犯達の警告を思い出しました。彼等は私を解放すると約束しましたが、“あなたの帰国を望まないアメリカ人が居るから気をつけるべき”と言われました」

米軍はファルージャ攻撃の際、化学兵器を用いたと言われている。ファルージャについて嗅ぎまわるジャーナリストを、駐留米軍が疎ましく思う可能性は否定できない。そして、もしもスグレーナ記者達が皆殺しになっていたら、米軍側は事件を“ザルカウィ容疑者グループの犯行”と簡単に断定できたことだろう。

救出されたジャーナリストがどのような記事を書くか、あるいは書かないのか・・・場合によっては、危機は去っていないのである。

2005/03/04

イラク戦争開戦時、サダムの息子はフセイン政権転覆を図っていた

イラク戦争報道で有名なジャーナリスト、ピーター・アーネットがプレイボーイ誌に語った衝撃の事実。AF通信2005/03/02付け記事を以下に全文翻訳掲載。

米軍のイラク侵攻が始まった頃、米軍情報部はフセイン政権内部に情報源を持っていると伝えられていたが、それはひょっとしたら息子のウダイのことだったのだろうか?ウダイとクサイが射殺された際、戦争中であるにも関わらずクサイは10代の息子を同行させ(戦闘で射殺された)、AK-47sを持ったボディーガードを1人しか連れておらず、軽装だったのも謎だったが、それはあらかじめ米軍との間にフセイン政権崩壊後の体制について何らかの合意があり、油断していたからではないだろうか?

サダムの息子ウダイは父親の政権転覆を図っていた:論議を呼ぶ米国ジャーナリスト(Saddam's son Uday was poised to topple dad : controversial US journalist)

AF通信2005/03/02付け記事

2003年3月、米軍がバグダッドを目指し侵攻している最中、イラクの独裁者サダム・フセインの長男が、父親の政権転覆を目論んでいた---米プレイボーイ誌最新号で、ジャーナリストのピーター・アーネット氏は語っている。

冷酷な性格と派手な生活で知られたウダイ・フセインは、35年続いていたサダムの支配体制転覆のため、父親の軍隊であるサダム・フェダイーンの司令官から支持を取り付けていたことが、発売前にAF通信が入手した米プレイボーイ誌4月号コピーに記されている。

この情報を伝えたのは、2003年のイラク戦争開戦前に、米国の侵攻作戦が失敗すると警告した件で米NBC放送を解雇されるなど、物議を醸したジャーナリストのピーター・アネット氏であり、ウダイ・フセインの側近グループ内部に接近を許され、18ヶ月間に及ぶ調査により判明したという。

問題の記事は、サダム・フェダイーンの司令官、マキ・フムダット将軍が、フェダイーン指揮官であるウダイ・フセインの管理の下、新生イラク政権に忠誠を誓うという2003年3月26日付の手紙を引用している。

手紙はこう伝えている:「閣下(ウダイ)を長として、閣下の指令と命令により新たに政権を確立する件について、我々サダム・フェダイーン部隊の上官達全員に、新政権での閣僚へ加わるという閣下の希望を伝達済みであります」

アーネット氏によれば、手紙の日付と同日に、ウダイは権力の一部を掌握した旨を正式に公表する予定であったが、米国の爆撃により、彼が設立したバグダッドの放送局が破壊されたことで計画が挫折したという。

野心的な相続人ウダイは、自身が率いたオリンピック委員会を隠れ蓑に、不透明な石油取引で資金を得て、イラク首都のバグダッド郊外に影の政府を設立していたという。

アーネット氏によれば、イラク独裁者の長男は、長年に渡る父親の鉄拳支配に苛立ち、国連から経済制裁を受けた件で父親を非難していたという。

「今日まで伝えられることがなかったが、ウダイ・フセインはイラク内部で政権交代を唱えた最大の人物であった」アーネット氏は書いている。

「遡ること10年前、ウダイはゆっくりと権力要素を組み立てていった---軍部と政治家達を集めて、専制的な父親を屈服させるつもりでいた」米軍による2003年3月19日の侵攻開始が近づく中、バグダッドに居たアーネット氏は言う。

しかし、同氏によれば、イラク首都に米軍が迫る中、ウダイのクーデター計画はあまりにも遅すぎたという。

ウダイと弟のクサイは、バース党の軍隊が4月初旬に米軍により破壊されるに伴い、陥落したバグダッドから父親とともに敗走せざるをえなくなった。

ウダイとクサイは、2003年7月22日に、モスル北部の市街で激しい戦闘により射殺され、同年12月にはサダム・フセインも、故郷のティクリートで身柄を拘束されている。

アーネット氏は、ベトナム戦争時の報道でピューリッツア賞を受賞し、湾岸戦争時には米CNN放送記者としてバグダッドから報道していたが、2003年3月末にイラク国営放送のインタビューを受けた件で、NBCから解雇された。

バグダッド陥落の数日前、アーネット氏は米国の戦争計画が失敗するとインタビュー中に語っている。「明らかに、米国の戦争立案者達は、イラクの戦力判断を誤った」彼は語った。(以上)

2005/03/02

米軍兵士と合成麻薬MDMA

米海軍横須賀基地の兵士達が、合成麻薬MDMA(通称エクスタシー)使用により除隊などの処分を受けていた事件で、在日米海軍司令部は「一度でも薬物を使った乗員には厳罰で臨む」としているが、こうした在日米軍による薬物の国内流通は、今後も大幅に拡大する可能性がある。

2001年11月、米国の食品医薬品局(FDA)は、合成麻薬MDMAをPTSD(心的外傷後ストレス障害)患者の治療手段として処方し、経過を調査する研究計画を承認しているが、アフガニスタン・イラクから帰還し、PTSD症状に苦しむ米軍兵達も、今年から被験者としてこの治療実験に加わっている

MDMA処方の実験を主導するマイケル・ミソファー医師によれば、戦闘ストレスが原因でPTSDに陥った兵士達にMDMAを処方することにより、心理的障壁を取り除き、治療にあたるセラピストに対しても戦場での体験を話し易くなるなどの効果が期待されているという。

USAtoday紙2005/02/28付け記事によると、アフガニスタンとイラクに従軍し帰国した米軍兵士の内、すでに24万4,054人が除隊し、1万2,422人がPTSD症状により米退役軍人局のカウンセリングを受けている。米国では戦闘を経験した退役軍人の約30%がなんらかの精神障害を抱えるというから、米政府にとって軍人向けPTSD治療体制の確立は急務であり、MDMAなどの薬物による治療法が本格承認されるのも時間の問題だろう。

アフガニスタン・イラクの戦場から帰還した米軍兵士達にとって、退役後の仕事を見つけるのは至難の業である。そして、イラクの戦闘には沖縄駐留の海兵隊からも多くの兵士が派遣されている。戦場から帰還した彼等が、沖縄の米軍基地内医療施設で、PTSD治療の為にMDMAを処方されることが日常となり、退役後の蓄えのためにその薬物を国内流通させるようになった時、私達は薬物汚染を嘆くと同時に、戦争の影に恐怖し、たいした調査も討議もせず戦争支持を表明した日本という国家にあらためて愕然とするのだろう。

2005/02/24

ブッシュ大統領の叔父もイラク戦争で大儲け

Los Angeles Times紙2005/02/23付けのスクープ記事を以下に全文翻訳掲載。(記事中写真とコメントは訳者による追加)

日本の大手メディアにとって、イラクの選挙に関するニュースは、素材の調達が容易なせいもあって(日米政府機関に“記事を書かせて!”とお願いすれば、映像もテキストも用意してくれる!)、イラク戦争の内実に関する情報よりも、はるかに多く報道されている。高い投票率の真偽にしても、“イラクのエライ人達が発表してるじゃないか”というわけだ。

一方で、虐殺された大勢のイラク市民戦死した兵隊達その家族新たに召集された老兵達ホームレスになった帰還兵達、そして収監されたり脅威に直面しても主張しつづける多くの米国市民に関するニュースは、国内の報道業界では極めて不人気らしく、新聞やテレビで目にすることはほとんどない。

そうした状況にあって、以下のような、ブッシュ家が戦争でいくら儲けたかに関するニュースは、どのような扱いを受けるだろうか?

イラクで活動する企業がブッシュ叔父を潤す(Company's Work in Iraq Profited Bush's Uncle)


ウィリアム・H・T・ブッシュ、国防総省取引企業ESSI社の株で45万ドルを稼ぐ

by ウォルター・F・ロシュ・ジュニア記者:Los Angeles Times紙2005/02/23付け記事

ワシントン:イラク戦争により、セントルイスに本拠を構える国防総省取引企業エンジニアード・サポート・システム社(ESSI)は記録的な売り上げを達成しているが、同社の財務データからは、よく知られた家族の名が、戦争による利益に浸されていくのが見て取れる。それはブッシュ家のことである。

先月、ブッシュ大統領の叔父で、ジョージ・H・W・ブッシュ前大統領の末弟であるウィリアム・H・T・“バッキー”ブッシュは、保有しているESSI社のストック・オプションを行使し、50万ドル近い利益を得た。

ブッシュ大統領にとって“バッキー叔父さん”として知られるこの人物は、米軍に装甲その他を供給するESSI社の役員である。イラク侵攻前に、同社の株価は記録的な上昇を遂げたが、中でも米軍車両の追加装甲を迅速に提供するという契約により、多大な利益を挙げている。

William Bush

ブッシュ選挙キャンペーンで演説するウィリアム・ブッシュ。ブッシュ政権誕生直前にESSIの役員に就任・・・甥の大統領当選を事前に知っていた??

米国証券取引委員会の報告によれば、ウィリアム・ブッシュが同社の8,438株を現金化したのは今年1月18日のことである。インタビューの際、同氏はこの取引でおよそ45万ドルを入手したという。

火曜日に行われた売り上げ報告の中で、ESSI社は1月31日までの第一四半期の純利益が2,060万ドルに到達し、同期の収入額が前年比20%高の2億3,350万ドルであることを公表した。最終的に、同社の予測する年間収入は9億9000万ドルから10億ドルの間であるという。

66歳のウィリアム・ブッシュは、かつてセントルイス銀行の役員や投資会社の経営をしていたが、甥がホワイトハウスに招かれる8ヶ月前の2000年に、ESSI社役員に就任している。

大統領の叔父は、インタビューの中で、自分の会社が政府との契約を得るために家族のコネをつかったことはないと語っている。

「地域コード202に電話をしたことはないよ」ワシントンへの長距離電話に言及しながら、同氏は説明している。

また、同氏は、ESSI社役員に加わることの法的問題の有無について、弁護士からアドバイスを得ていたことも明かしている。

ESSI社の労務管理副社長ダン・クルアーの話では、ウィリアム・ブッシュは5年前に役員に加わった多くの人々の1人にすぎないとし、彼が就任した理由について「