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02/26/2008

大統領選挙とロビイスト:金で買えるアメリカ外交

「われわれは、しばしば、自分より権勢を持つ人々に愛を感じているつもりになる。とはいえ、われわれに友情を感じさせるのは利害関係だけなのだ。われわれは、彼らに何かよいことをしてあげたいから献身するのではない。お返しをしてほしいからである。」

-『運と気まぐれに支配される人たち―ラ・ロシュフコー箴言集 (角川文庫)』-


日本政府首脳がアメリカ政府首脳に会談を申し込む場合、どのような手順を経由するのだろうか?少なくとも政策談義をするつもりなら、ワシントンの流儀に従って、金でアポイントを買うというのが一番確実といえるだろう。

実際に、2002年度、当時のマレーシア首相マハティール氏は、米政府との関係改善を図るため、保守系シンクタンクのヘリテージ財団を通じ、共和党系スーパーロビイストのジャック・エイブラモフ120万ドル支払って、ブッシュ大統領とのホワイトハウス会談を実現させている

一体アメリカの外交政策は、どの程度まで金で買えるだろうか?この疑問に答えるべく、米ABC放送調査報道チームが、2008年2月1日付の報道で、外交ロビイストと大統領候補の蜜月関係を暴いている。非常にわかりやすい情報なので、以下に一部要約してご紹介しよう。

See a chart of presidential fundraisers lobbying for foreign governments.

諸外国と外交ロビイスト、ヒラリー、マケイン、ロムニーの相関図:クリックで拡大(source:ABC放送サイトのFlash画像より


ヒラリー・クリントン:
6人の外交ロビイストが、ヒルレイザー(ヒラリー献金支援者)として少なくとも10万ドル以上の献金を行っている。
アラブ首長国連邦・ドバイ首長は、ドバイで行われているラクダレースの騎手として少年に強制労働をさせているという国際的非難と、これに関連するフロリダ州の裁判を止めさせるために、米ロビー企業DLAパイパー社に所属するロビイスト、ジョン・メリガン氏とマシュー・バーンスタイン氏を雇った。二人のロビイストは、2007年1月に、ヒラリー・クリントン他3人の上院議員と面会し、ドバイ側の主張を伝えた。ドバイ側はこのロビー業務に対し370万ドルを支払った。2007年7月、フロリダの連邦裁判所は、ドバイ首長に対する少年騎手の親たちによる集団訴訟を退けた
トルコ政府は、オスマン・トルコ帝国時代の『アルメニア人大量虐殺』事件を「ジェノサイド」と認定した米下院外交委員会の決議案に対し、ドバイの件と同じロビイスト、ジョン・メリガン氏とマシュー・バーンスタイン氏を雇って、ヒラリー他米有力議員たちに圧力をかけた。2007年10月10日、米下院外交委員会は賛成27票、反対21票で同決議案を可決したが、下院での非難決議案については、決議案提出者である民主党議員4人の申し出により、議論及び採択が延期されている
DLAパイパー社に所属するメリガン氏とバーンスタイン氏の両氏は、ヒラリー・クリントンの大統領選にバンドラーとして25万ドル以上献金している。(DLAパイパー社の2007年度売り上げは1,310万ドル。)
台湾政府は、元上院議員で現ロビイストのロバート・トリチェリ氏を雇った。トリチェリ氏は台湾政府高官とヒラリー・クリントンの会談を実現させ、その際に台湾と米国の自由貿易協定の早期締結を促した。
中国政府は、ビル・クリントンの旧友でクリントン政権時代に駐シンガポール米大使を務めた弁護士ティモシー・コーバ氏(パットン・ボグス社)を雇って、ヒラリー・クリントン他有力民主党議員らにアプローチし、米中関係と貿易問題でロビー活動をしている。(パットン・ボグス社は2007年度に過去最高額4,270万ドルの売り上げを叩き出した。)
ジョン・マケイン:
5人の外交ロビイストから献金を受けている。
マケイン選挙チームの共同委員長トーマス・ローファー氏は、サウジアラビア王家の代理を務めるロビイスト。ローファー氏はサウジ王家から2年で1,100万ドル受け取り、米・サウジ両国の関係改善に務めている。
マケインにアプローチしている外交ロビイストは、サウジの他にドバイ政府香港特別行政区ドバイ・エアロスペース・エンタープライズ社(ドバイ政府系航空関連投資会社)、コロンビア政府ペルー政府クルディスタン自治政府
2007年、ドバイ・エアロスペース・エンタープライズ社は、米カーライル・グループから米スタンダード・エアロ社(空港航空機修理サービス)とランドマーク・アビエーション社(航空機メンテナンスサービス)を19億ドル(約2,051億円)で買収する際に、米議会側の反発を抑えるべく、ロビイストのジュディ・A・ブラック氏(ブラウンシュタイン・ハイアット・ファーバー・シュレック社)を雇ってマケイン議員にアプローチし、買収の支援を求めた。(ブラック氏はブッシュ大統領のパイオニアクラス献金者。ブラウンシュタイン・ハイアット・ファーバー・シュレック社の2007年度売り上げは1,370万ドル。)

ところで上記の報道には、現在最有力候補とされるバラク・オバマ陣営に献金したロビイストについては記述がない。これについてABC放送側は、「オバマの選挙チームはロビイストからの献金を受け取らないと宣言している」ので、外交ロビイストも調べていないとしている。しかし市民団体の調査によれば、バラク・オバマ陣営には少なくとも359人がバンドラーとして献金しており、そのうち9人はプロのロビイストである。

小浜市の奇妙なキャンペーンの行方は?


ところで、日本の福井県小浜市では、バラク・オバマ候補の人気に便乗した観光まちおこし活動が活発化しているらしい。小浜市長は、地元名産品を同候補事務所に送ったり、オバマの出身地ホノルルとの友好都市提携も狙っているそうだが、ワシントンのロビー企業に電話で依頼すれば、年間観光予算の範囲内の投資で、あっという間にこんな要求は適う事だろう。

興味深いのは、石油依存の米エネルギー政策を“変革”し、“環境に優しい”原子力発電の普及を唱える大統領候補を、近所に原子力発電所を抱える日本の地方自治体が、「勝手に応援」しているという偶然さである。(日本からの声に気を良くしたオバマ“大統領”が、日本の原子力発電市場の「自由化」と「規制緩和」を日本政府に要求することになったら、小浜市はどうするのだろう?外資系原発企業を誘致して“まちおこし”にするのだろうか?)

2005年12月、米国最大の原子力発電企業エクセロン社は、イリノイ州シカゴ郊外の同社施設で排水システムから放射性物質トリチウムの漏洩を検出したが、健康上の害はない程度と発表した。地元の飲料用井戸水からも微量のトリチウムが検出されていたため、地元住民は「企業側は漏洩を知りながら隠蔽していた」と憤った。

この問題を解決すべく、地元の“カリスマ”上院議員バラク・オバマは、原子力関連施設の規制強化を唱え、2006年3月1日に『Nuclear Release Notice Act of 2006』法案を議会に提出した。当然ながら、この動きに原発業界は反発し、ワシントンでのロビー活動を強化、ほどなくオバマ議員側は法案修正に応じた。オバマ議員はマスコミの取材に「利益団体の圧力に屈することはなかった」と自慢してみせたが、2007年10月にオバマ議員によって再提出された法案の中身は、業界側に大幅譲歩する形に変更されていたということだ

ともかく、原発規制法案の修正問題を通じて、エクセロン社側はオバマ氏の政治手腕に充分満足したらしい。同社会長ジョン・ロウ氏、同じく同社取締副社長フランク・クラーク氏、同じく同社重役ジョン・ロジャースJRは、今ではバラク・オバマ候補の最高額献金者リストに名を連ねている。さらに、エクセロン社コンサルタントの1人デビッド・アクセロッド氏は、バラク・オバマ大統領選挙チームの主席政策担当官も兼務しており、この原発企業と大統領候補はきわめて懇意となったわけだ。オバマ氏同様、企業ロビイストたちも言うだろう:「Yes, we can change!

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02/18/2008

2008年アメリカ大統領選挙:最新動向

“初の女性大統領”かもしれないヒラリー・クリントンと“初の黒人大統領”かもしれないバラク・オバマが火花を散らし、候補者選出がいよいよ難しくなりつつある民主党、“ブッシュの正当後継者”マケイン候補で結束しつつある共和党・・・2008年アメリカ大統領選挙の最新情勢を追ってみた。

選挙資金:ヒラリーとオバマの販売競争が激化


2007年12月31日までの選挙資金は以下のとおり。この時点で民主党トップの二人、ヒラリーとオバマの集めたお金はいずれも1億ドルの大台を超えている。円換算すると、ヒラリーは約112億62,00万円、オバマは約109億2,247万円という状況である。

2008年2月現在、報道によればオバマは資金集めでトップに立ったようだ。2008年1月の1ヶ月だけで、オバマが集めた献金額は3,200万ドル(約34億4,272万円)。一方のクリントン陣営の1月献金額は1,300万ドルほどらしく、ヒラリーは自己資金500万ドルをすでに選挙戦に投入している

しかしヒラリー陣営には、最強の支援者である夫ビル・クリントンの集金活動があるので、支持者は資金面ではほとんど心配していない。大統領在任中、合衆国に未曾有の財政黒字をもたらしたクリントン大統領は、モニカ・ルインスキー事件の弁護士費用等で1,200万ドルもの借金を抱えて2001年1月に満期退任したが、その後6年間、ほぼ毎日精力的にこなした講演活動だけで4,000万ドルを稼ぎ出したという(ビル・クリントンがカナダで行った講演では、2回のステージで47万5,000ドル(約5,110万円)という破格のギャラが支払われた。これに気を良くしたヒラリーが、選挙キャンペーンのイメージソングにカナダ人歌手セリーヌ・ディオンを選んだ・・・かどうかは定かではない)

超好景気の民主党に比較すると、今回の共和党はなんとも控えめだ。共和党の指名を受けるのがほぼ確実になったジョン・マケインの資金総額は40億円程度で、手持ちの現金は3億円少々しかない。

史上空前の金権選挙?・・・実のところ、それほどでもない。共和党全盛期だったジョージ・W・ブッシュの再選キャンペーンでは、同時期に約141億円もの資金集めに成功し、手持ちの現金も100億円を超えていたのだ。

民主党候補者選挙資金情勢(2007年12月31日末時点)
候補者名資金総額支出総額手持ちの現金2007年第4四半期
調達額
ヒラリー・クリントン$104,680,022$80,353,785$37,947,874$27,339,347
バラク・オバマ$101,524,154$85,176,289$18,626,248$23,526,004
マイク・グラベル不明(未報告)不明(未報告)未報告未報告

共和党候補者選挙資金情勢(2007年12月31日末時点)
候補者名資金総額支出総額手持ちの現金2007年第4四半期
調達額
ジョン・マケイン$37,036,094$39,145,650$2,948,428$9,969,292
ロン・ポール$28,047,986$20,380,121$7,839,421$19,951,290
マイク・ハッカビー$8,967,869$7,107,365$1,896,446$6,651,957
アラン・キーズ$207,246$196,174$12,622$186,028

著名人と大統領選挙

宗教保守派の強固な支持を得ている共和党大統領候補マイク・ハッカビー。彼の応援団長を務めるのが、『ドラゴンへの道』でブルース・リーと死闘を演じた空手アクションスターのチャック・ノリス。今やジョークの素材としてネットでカルト的人気を誇るノリス氏がハッカビーを応援する理由は、『人類は神により創造された』という強い信仰心によるものらしい

そのチャック・ノリスに「年寄りだ」とバカにされたジョン・マケイン候補は、シルベスター・スタローンの支持を得てから調子に乗って言った:「気をつけろよチャック・ノリス!シルベスターが行くからな。やっつけてやるぞ!逃げてみろチャック!どこにも隠れるところなんかないぞ!」

さて、共和党側が筋肉系有名人の支持にハシャいでいる一方で、民主党側はハリウッドあたりから着々と献金を集めている。ヒラリー・クリントンとバラク・オバマの献金者リストに載っていた著名人をざっと挙げてみよう:

ヒラリー・クリントンに献金した人:
ジョン・ボンジョビ(ミュージシャン)
アレック・ボールドウィン(男優)
ジェイミー・カーティス(女優)
ダニー・デビート(俳優)
ジョディ・フォスター(女優)
ジョン・グリシャム(作家)
トム・ハンクス(男優)
ヒュー・ヘフナー(プレイボーイ誌主幹)
クインシー・ジョーンズ(ミュージシャン)
カルバン・クライン(服飾デザイナー)
ベット・ミドラー(女優・歌手)
ジェリー・スプリンガー(司会者)
マーサ・スチュアート(元祖カリスマ主婦)
バーブラ・ストライザンド(歌手)
ドナルド・トランプ(不動産王)
ウォーレン・バフェット(国際的投資家)
トビー・マグワイア(男優)
ポール・ニューマン(男優)
ベン・スティラー(男優)
バラク・オバマに献金した人:
ジェニファー・アニストン(女優)
タイラ・バンクス(モデル)
ハル・ベリー(女優)
ジャクソン・ブラウン(ミュージシャン)
ケイト・キャプショー(女優)
ジョージ・クルーニー(男優)
シンディ・クロフォード(モデル)
ジェイミー・カーティス(女優・脚本家)
トム・フォード(服飾デザイナー)
ジョディ・フォスター(女優)
ジェイミー・フォックス(男優・ミュージシャン)
モーガン・フリーマン(男優)
キューバ・グッディンバーグ(男優)
トム・ハンクス(男優)
ヒュー・ヘフナー(プレイボーイ誌主幹)
ウォーレン・バフェット(国際的投資家)
アービン・マジック・ジョンソン(プロバスケット選手)
ベット・ミドラー(女優・歌手)
エドワード・ノートン(男優)
スーザン・サランドン(女優)
ウィル・スミス(男優)
スティーブン・スピルバーグ(映画監督)
バーブラ・ストライザンド(歌手)
オプラ・ウィンフリー(司会者・実業家)
スカーレット・ヨハンセン(女優)
ジョーン・バエズ(フォーク歌手)
ハルク・ホーガン(プロレスラー)
マット・デイモン(男優)
ロザンナ・アークェット(女優)
ブルース・ホーンスビィ(歌手)
ポール・ニューマン(男優)
トビー・マグワイア(男優)

リストを見ると、ヒラリーとオバマの両方に献金している人も多く見受けられる。かしこく投資するなら、リスク分散は欠かせないということなのだ。

ちなみに、米ロック界のスーパースターとして老若男女に人気があり、民主・共和両党からその動向が注目されたジョン・ボンジョビは、結局10年来の友人であるヒラリー・クリントン支持に落ち着いた・・・と、ニューヨーク・タイムズ紙がデカデカと報じている


2大政党政治の終焉?評論業界も大混乱

選挙戦当初から「バラク・オバマのミドルネームはフセイン」などと、お得意の中傷攻撃を続けてきたフォックスニュースチャンネルに巣食う共和党系活動家たちは、ジョン・マケインとマイク・ハッカビーが台頭するにつれ、民主党攻撃をしていられなくなった。ブッシュを支持してきた共和党右派にとって、今回は全力で支持する候補者が見当たらないらしいのだ。

“戦争狂”マケインは、国内政策面では中絶容認・環境保護・不法移民容認・テロ容疑者拷問反対等の穏健路線で知られ、共和党右派から忌み嫌われている。マケイン本人はこうした“隠れリベラル”のレッテルを極度に恐れており、つい先日のテロ容疑者拷問禁止法案には反対票を投じて拷問容認派に転身したが、それでも右派の支持獲得には苦しんでいる。

また、元アーカンソー州知事の“牧師ミュージシャン”ハッカビーは、ブッシュ大統領の悪口を言う一方で、同郷(アーカンソー州ホープ)の“サックス奏者”ビル・クリントンとはかなり親しく、しかも州知事時代から増税派として知られており、共和党減税派は警戒を強めている。保守派評論家のボブ・ノヴァックは連載コラムで「マイク・ハッカビーはニセ保守派だ」と批判している。

米右翼タレントのトップで、全米に1,350万人のリスナーを抱えるラジオDJのラッシュ・リンボーは、「俺はオバマ支持も考えてる。奴は中絶反対派で、減税派だ」と冗談を飛ばし、マケインは“保守っぽくない”と批判する。他にも、ローラ・イングラムやアン・カルター等、フォックスニュースで活躍する類の共和党系右翼タレントたちは、いずれもジョン・マケインの選出には否定的だ。アン・カルターは「マケインよりもヒラリーのほうがはるかに保守的。マケインが共和党代表なら、私はヒラリーを応援する!」と言い出して、共和党支持者の失笑を誘っている。

一方で民主党支持層は、ヒラリーとオバマの対立に揺れている。ビル・クリントンのオバマ批判が鎮静化したと思ったら、今度はオバマ陣営によるクリントン中傷キャンペーンの拡大で、両派の溝は深まるばかり。本選挙で共和党のマケインに票が流れる懸念も、いよいよ深まっている。ドロップアウトしたジョン・エドワーズは、どうやらヒラリー支持に固まりつつあるらしいが、支持者からの批判を恐れ表立った主張ができぬまま、結局彼の支持層はヒラリー派とオバマ派に分裂した。18日追加:最新報道によると、17日土曜日、バラク・オバマはノース・カロライナのジョン・エドワーズ私邸を訪れ、推薦について話し合ったとのこと。)

隠れオバマ派と見なされている下院議長ナンシー・ペローシは、今のところ静観を装っているが、彼女の娘クリスティン・ペローシは、民主党スーパー代議員としてリーダシップを発揮しつつある。2006年議会選挙で民主党を大勝に導いたとされる若手実力派議員ラーム・エマニュエル下院議員(イリノイ州・スーパー代議員)は、盟友オバマよりも恩師クリントン家支持に動くとみられているが、ハリウッドでエージェント業を務める弟のアリ・エマニュエルはオバマ支持を主張し「兄貴も含めて、スーパー代議員なんて信用するな」と言っている

ワシントンの派閥争いは、支持者間にも拡大している。民主党支持層の中流家庭では、家族内でオバマ派とヒラリー派に分裂することも珍しくない。

民主党の実力者たちは、アル・ゴアをリーダーとして、「平和的な候補者選出」を試みており、民主党全国委員長ハワード・ディーンもなんとか仲裁しようとしているが、円満決着は無理だろう。


そうした中で象徴的な動きを見せるのが、“リベラルの良心”を唱える経済学者ポール・クルーグマン氏だ。2008年になって、クルーグマン氏はかなり明確にヒラリー支持を打ち出すようになった。

エドワーズ支持だったクルーグマンが反オバマに傾倒した最大のキッカケは、医療制度改革を巡ってオバマ陣営がヒラリー陣営を中傷するために開始したキャンペーンだ。オバマ陣営のばら蒔いたチラシにはこう書かれている:「ヒラリーの医療保険改革案は、家計事情に関係なく全国民に医療保険購入を強制する」。これは、かつてヒラリーの国民皆保険制度政策を潰すために、医療保険業界及び共和党が展開したデマゴーグ活動とまるきり同じだ。(一方で、ヒラリー陣営も相当汚い中傷・妨害キャンペーンをオバマ側に仕掛けている)

オバマ陣営のデマ活動に対抗すべく、2月4日付けのニューヨークタイムズ連載コラムで、クルーグマンはこう書いている(強調は訳者による)

・・・もしもクリントン夫人が民主党の指名を獲得したならば、次の政権で我が国に国民皆保険制度が導入される可能性がいくらか出てくる。オバマ氏が党の指名を獲得したら、その可能性はないだろう。

2月11日付け連載コラムで、クルーグマンはオバマ陣営批判を一層強めて書いている:

・・・(党内対立を煽る)悪意の大半は、自分の候補者以外には誰も支持したくないというオバマ氏支援者から発せられている。オバマの選挙キャンペーンが、危険なほどカルト的性質を帯びつつあると指摘しているのは、私が最初ではない。我々はすでに、ブッシュ政権でそうした危険性を経験してきたのだ-フライトスーツ作戦を憶えておいでだろう?あんなことはもうあって欲しくない。・・・(以下略)


2008年大統領選挙の本質:災いの少ない候補者探し

実力と経験をアピールするヒラリーは、しかし具体的な実績については隠しているものが多い。ウォルマート社を創業したサム・ウォルトンとその重役たちが、従業員の労働組合結成を必死で阻止するために力を尽くしていた頃、ヒラリーは同社の顧問弁護士で、役員でもあった。彼女の演説は退屈で、選挙活動の大半は夫の人気に支えられている。結局のところヒラリーは、特定団体への利益供与を法案に紛れ込ませるのが得意な、ありきたりの利権政治家に過ぎない。

しかし一方で、バラク・オバマが優れた政治家というわけでもない。大手メディアの彼に関する報道は、彼自身のワシントンでの活動同様、全く中身がない。ディベートでは当意即妙な喋りの才能を見せるが、26才のスピーチライターが書いている演説は、単なるサウンド・バイトの寄せ集めで、音声ではなく文字にしてみると、ほとんど中身がないことに誰でも気づくはずだ。日本人から見れば、バラク・オバマの“変革(Change)”連発スピーチは、小泉政権の“改革”連発スピーチと見分けがつかない。

加えて、最近のヒラリー議員とオバマ議員は、地方遊説で忙しいのを口実に、実に8割以上の上院議決を欠席している「税金ドロボー」だ。つい先日の上院で、CIAによるテロ容疑者に対する拷問を禁止する重要法案の採決が行われたが、拷問禁止を主張してきたヒラリー、オバマは、またしても投票を欠席した。賛成であれ反対であれ、票を投じれば政治姿勢上の逃げ道がなくなることを恐れたのだろう。

イラク侵攻に賛成票を投じ、大失敗したにも関わらず上院での経歴を自慢するヒラリーと、経験がない上に政治姿勢が問われる重要法案にことごとく欠席して逃げるオバマ。愚か者と卑怯者がトップ争いをする民主党の惨状に、無党派層が本選挙でどう反応するかが楽しみだ。

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01/30/2008

石油・軍需業界が史上最高益を更新の見込み

原油価格が1バレル100ドルを突破した2008年、石油メジャーはますます絶好調になるらしい。


CNNMoneyの報道によれば、2007年度エクソン・モービル社がまたしても米国企業史上最高益記録を更新する可能性があるという。

オッペンハイマー社資源アナリストのファデル・ゲイト氏は同CNN報道で語っている。「原油価格が1ドル上がるたびに、エクソン社の収益は四半期あたり1億2,500万ドル(約133億4,311万円)上昇するんです。」

エクソン社のこれまでの最高益記録は2006年度の395億ドル(約4兆2,180億4600万円)で、その際同社は1分あたりおよそ7万5,000ドル(約800万9,189円)稼いでいる計算になるという。

石油業界各社の収益はおおむね好調とみられ、業界3位のコノコ・フィリップス社は25%ほどの収益増が見込まれている。業界2位のシェブロン社も好調で、1株当たり利益は30%ほど上昇するとアナリストは予測する。

2月5日追加:1日に石油業界各社が2007年度収益を発表した。それによれば、エクソン社の昨年度収益は406億ドル(約4兆3,312億円)で、あらかじめ予想されたとおり同社の持つ史上最高益記録を更新した。前回記録から14%収益が上昇したという。またシェブロン社の収益も前年比29%上昇、英シェル石油も276億ドルと過去最高収益を記録した。石油メジャー5社(エクソン、シェル、BP、シェブロン、コノコ・フィリップス)の合計収益は2002年以来3倍に膨れ上がったという。


堅調な成長を続ける軍需、業界の未来は明るい?

石油業界だけでなく、軍需・防衛業界にも明るいニュースは続く。AP通信の1月24日付記事のタイトルは『大荒れの市況にあっても、防衛産業は安泰』。記事内容は以下のような感じだ:

世界市場が苦境に喘ぎ、米国経済に景気後退へぐらつきつつある中、米国内の巨大防衛企業にとって好景気は続いている。

防衛産業各社はここ数年記録的な収益を維持しているが、理由の大半は国防総省のイラク及びアフガニスタンでの武器費用の増大に依存している。一般消費者ではなく政府が最大の顧客なので、防衛産業は今後も景気動向に浮き沈みすることがないようだ。

「信用リスクとか、その類の問題から私達の業界はほど遠いのです。」ロッキード・マーチン社のブルース・タナーCFOは語る。「影響はないといった感じですね。」
(中略)
戦闘機を製造し、世界最大の防衛企業であるロッキード社は、2007年度第4四半期収益が10%上昇しており、2008年度は一株あたり10セントの利益を見込んでいる。船舶製造のノースロップ・グラマン社の2007年度第4四半期純益はほぼ横ばいだが、2008年度は収益増を見込んでいる。

陸軍用の装甲車から弾丸まで製造するゼネラル・ダイナミクス社は、2007年第4四半期に42%の収益急上昇を報告した。景気後退により企業各社の費用削減による需要減が見込まれていたプライベートジェット製造部門ですら、今のところ受注不足はみられないという。

不景気でも企業CEOがプライベートジェットをそう簡単に手放すわけではないようだ。さらに同記事では、軍需業界の明るい見通しを以下のように伝えている:

今年以降の軍事費用拠出は不透明だが、上院はすでに6,960億ドルの軍事費用拠出を承認しており、これにはイラク・アフガニスタン駐留費1,890億ドルが含まれている。ブッシュ大統領もこの拠出案に署名するとみられている。一部のアナリストは、新大統領の選出と、兵力削減の可能性により、今後長期的に防衛産業の売り上げが損なわれる可能性を警戒している。

ノースロップ社CEOロナルド・シュガー氏は、2009年度合衆国防衛予算も上昇すると期待しているという。シュガー氏によると、ノースロップ社の複数年兵器事業計画は、現在ホワイトハウスが依存している補足的予算の変更の影響を受けないという。

「わが社は引き続き基本予算に沿って均衡した成長を維持できるでしょう。」彼は言った。


“戦争特需”を維持する次期大統領は?

さて、ブッシュ政権がもたらした未曾有のビジネスチャンス時代も、2008年で終わろうとしている。絶好調の石油業界や軍需業界にとって、次期大統領に誰が選出されるのか、あるいは、誰を次期大統領に選出させるべきか、というのが目下の最重要テーマかもしれない。

2007年1月27日、フロリダ州ポークシティのタウンホールで開催された大統領候補者遊説で、共和党大統領候補ジョン・マケインは、軍人向け医療サービスの向上を約束しながら言った

「皆さんに率直に言っておきます。我が国は今、厳しい戦争を戦っています。そう簡単に終わりそうもありません。それに、もうひとつ戦争が始まるでしょう。こんなことを言うのは残念だが、次の戦争はあるんです。どんな戦争であれ、我々は決して降伏することはない。現在でも、手当ての必要なPTSD患者が大勢出てますが、今後も大勢の傷病兵の手当てが必要になる。IED(簡易路上爆弾)の破裂による悲惨な負傷です。皆さん、大変厳しくなるのです。備えるべきことがたくさんあるんです。・・・」

共和党大統領候補ジョン・マケイン

フロリダ州ポークシティのタウンホールミーティングで遊説するジョン・マケイン。

1月29日のフロリダ州共和党大統領予備選で、ジョン・マケインは36%の得票率で勝利した。2位のミット・ロムニーは31%、この州に賭けていたルディ・ジュリアーニはわずか15%で、大統領選から撤退しマケイン候補推薦に動くとみられている。

民主党トップを争うヒラリーとオバマは、互いにきわめて幼稚な中傷合戦をエスカレートさせており、しかも両者ともにロビイストが絡む不正献金疑惑に事欠かない。2006年中間選挙で勝利した民主党は、2007年を通じて支持者の期待を裏切り続け、信頼を失いつつある。石油・軍需業界人の視点から見ると、ヒラリー、オバマ共にイランもしくはパキスタンへの軍事介入をちらつかせているが、“筋金入りの軍人”マケインの戦争公約に比較すると、なんとも心もとない。だいいちマケインには、民主党保守派の重鎮、リーバマン議員のバックアップがある。

2000年以来パッとしなかったジョン・マケインは、どういうわけか2008年に完全復活した。有権者にとって、すでに選択肢は限られている。共和党ライバルの“投資家”ミット・ロムニーは、夫婦揃って陰気な印象で好感度が低く、“アメリカ人らしくない”。非介入主義のリバタリアン候補ロン・ポールは、相変わらず変人扱いでメディアが取り上げようとしない。結局、ジョン・マケインが次の“戦争大統領”になる可能性はかなり高いといえるだろう。そしてマケイン自ら言うとおり、普通の米国民にとっては引き続き厳しい前途が待っている。

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01/03/2008

マイケル・ムーアがエドワーズ候補を推薦?

映画「Sicko」公開以来、大統領にアル・ゴア、医療保険と外交分野ではデニス・クシニッチを応援してきたマイケル・ムーアが、最新コラムで、民主党大統領候補にジョン・エドワーズを推薦すると示唆している。

クシニッチ候補を推薦しない理由については、先日のクシニッチ陣営による「アイオワ州党員集会では第二の選択肢としてバラク・オバマを推薦」という事実上の敗北宣言を重く受け止めているらしい。

民主党トップのヒラリー・クリントンを推薦しない理由について、ムーアは面白いことを書いている。以下に抜粋翻訳すると:

2ヶ月前、ローリング・ストーンズ誌が、特集企画として、クリントン議員、オバマ、エドワーズ各候補に、誰もしたがらないような質問を1対1で尋ねるって役を俺に依頼してきた。『民主党トップ候補者たちがマイケル・ムーアと激突!』取り決めとして、3人全員がインタビューに応じない限り、企画はお流れになるということだった。オバマとエドワーズはインタビューを承諾した。でもクリントン夫人が拒否したので、特集企画はお流れになったんだ。

俺の生涯最愛の人、ヒラリー・クリントンは、なんで俺と座って話そうとしないのか?彼女は一体何を恐れてるんだ?


ムーアのヒラリーに対する嘆きは続く:

悲しいことだが、イラク戦争に国民を巻き込むにあたって、ヒラリー・クリントン議員の悲惨な、よく練られた議会での投票行動ほど俺をがっかりさせたものはない。ブッシュ氏に侵攻の「権限」を与えた彼女の最初の賛成票のことだけを言ってるんじゃない。俺が言いたいのは、侵攻後の4年間、彼女がブッシュの違法な戦争を盛んに支持し、資金拠出に賛成してきたことを言ってるんだ。戦争承認に関しては、ホワイトハウスが彼女の嫌う要求をしたことは全くないらしい。ケリー議員やバイデン議員のような、侵攻には賛成してもその後自身の愚かさを悟ったのとは違って、クリントン夫人は昨年3月まで戦争支持票をずっと投じてきた。彼女は4年間も戦争支持票を投じてきたんだ-米国民の70%が戦争反対にまわったっていうのに。彼女は断固として、戦争支持が間違っていたとは表明しない。しかも彼女は、アメリカ史上最悪の外交惨事における自身の過失責任について、全く謝罪しようとしない。彼女が繰り返すのは「諜報の欠陥」によって“惑わされた”ということだ。

それが真実であるとしよう。皆さんは簡単に騙される大統領をお望みか?俺は“惑わされる”ことはなかったし、2003年2月に路上に出て反対した数百万の人々も“惑わされる”ことはなかったってのに。俺たちの誰一人としてCIAの説明を受けなかったのに、防衛問題の専門家でもないのに、イラクに大量破壊兵器の査察に行ったことすらない俺たちが、イラク戦争の過ちに気づいていたってのは驚きだ。それでも、俺たちは騙されるって気づいていたんだ!
(以下略)

バラク・オバマを推薦しない理由については、ムーアはこう書いている:

バラク・オバマは善良で、素晴らしい人物だ。なんとも新鮮な雰囲気だ!彼の誠実さや国の問題になんとか取り組もうとする姿勢については疑いようもない。しかし、彼は何者だ?つまりその、偉大なスピーチ以外に何ができるんだい?俺たちは実際の彼についてどれくらい知っているってんだ?彼がイラク戦争に反対だったというのは知ってる。でもどうやってそれを知ることができる?開戦前のスピーチだけだ。しかし、上院に加わってから、彼はイラク戦争への資金拠出に賛成しながら、同時に撤退すべきだと言ってた。彼は弱者の味方だと言いながら、集団訴訟をより困難にする大企業寄りの法案に賛成してきた・・・自分の子供が中国製玩具の含鉛塗料をしゃぶってるって時に!彼は新たな医療ケアプランを発展させるよう医療保険企業に働きかけているが、そもそもそれら企業が混乱の原因なのだ。彼は気のいい奴だから、俺が思うに、選出されたら、共和党員の餌食になっちまうだろう。そうなれば、気持ちいいスピーチもしていられなくなるさ。(以下略)

一方で、ジョン・エドワーズ推薦の理由については:

(エドワーズの)髪の話題を避けるってのは難しいが、髪のことを無視すれば・・・俺はそうすることにしたが・・・たくさんの人々に惨めな生活を強いている金持ちの権力層に立ち向かう男の存在に気づくだろう。この候補者はこんなことを言い出したんだ:「私が心の底から信じているのは、大企業の貪欲さと権力が私達の民主主義を牛耳っているということです。」うわ!ここしばらくこんなことを言う奴はいなかったんじゃないか?特に、支持率で上位にいる連中には。エドワーズがアイオワで人気がある理由はこれだろうが、トップ二人に比べると、彼の選挙資金は遠く及ばない。彼は大企業の政治団体からの献金を受け取らないし、トップ三人の候補では、彼だけが選挙費用の上限設定と公的資金導入に同意している。彼は単刀直入に、製薬企業や石油企業やその他アメリカの労働者を困らせている奴らを追求すると言っている。大手メディアは明らかにエドワーズを脅威と考えているが、それはたぶん彼がメディアの独占的立場も追及するつもりだからだろう。こりゃルーズベルト・トルーマン時代の再来だ。それがアイオワ州の有権者に反響がある理由だろうが、オバマやヒラリーほどの関心を集めていない。彼に関する報道が少ないのも、アイオワでトップ支持を獲得できない理由だろう。
(以下略)

エドワーズは上院議員時代にイラク侵攻に賛成を投じた。それについてムーアは以下のように擁護している:

エドワーズは戦争に賛成した。しかし、クリントンと違い、彼は自分の判断が間違っていたと強烈に訴えた。彼は後悔しているという。許されるべきだろうか?彼は教訓を得たのか?ヒラリーやオバマ同様、9月の討論会では、大統領として最初の任期である2013年までの完全撤退を約束することはなかった。しかし、今週アイオワ州で、彼は考えを変えた。クリントンとオバマから距離を置いて、1年以内にイラクから兵を完全撤退させると宣言した。

エドワーズは、トップ三候補の中で唯一人、他の先進国と同程度になる国民皆保険制度案を提示している。彼の計画は、俺の案ほど素早くはないにしろ、医療保険企業は敵であり、交渉の余地はないと正確に指摘している。
(以下略)

これまで「出馬せよ!ゴア!」と支持してきたアル・ゴアに対して、ムーアはこんなメッセージを書いている:

俺はこの時点で誰かを支持するつもりはない。これはただ単純に、ジョージ・W・ブッシュの後任を選択するプロセスの最初の週に感じたことだ。これまで数ヶ月間、俺は問い続けた。「アル・ゴア、あんた何処にいっちまった?」飽きるまでオスカー像でも磨いてろよ!ノーベル賞なんか、スカンジナビア人が決めたことじゃないか!
(以下略)


マイケル・ムーアのかつての師であるラルフ・ネイダー氏も、エドワーズの反企業姿勢に支持を表明している。

サウス・カロライナ州生まれのノース・カロライナ州育ちで、繊維工場労働者の父と、郵便局員の母という家庭に生まれたジョン・エドワーズは、苦学を重ね家族内で初めて大学に進学し、弁護士として大成功したのを足がかりに、政界進出を果たしたアメリカン・ドリームの体現者。NYタイムズ紙によれば、最近米国で台頭するニューリッチ(“リッチスタン”)を象徴する人物であるらしい。しかしなによりもまず彼は、大企業を相手に巨額の損害賠償を獲得してきた辣腕法廷弁護士であり(63の大型訴訟で合計1億5,200万ドル以上の損害賠償額を数えている)、その意味では、ラルフ・ネイダーやマイケル・ムーア同様、エドワーズも大企業の敵ナンバーワンといえる。大手メディアがこぞってエドワーズ排除に乗り出したのも興味深い。

エドワーズが他のトップ候補と大きく異なるもうひとつのポイントは、エネルギー政策である。ヒラリー、オバマ他全ての共和党候補者は、ディック・チェイニー副大統領のエネルギー政策に沿い、原子力発電所の建設に積極姿勢を示している。特に、地元イリノイ州に11箇所もの原子力発電施設を抱えるバラク・オバマは、「原子力発電は環境に優しい」として開発に積極姿勢を示す人物だ。一方でエドワーズは、マイク・グラベル同様、新規の原子力発電所建設には慎重姿勢を示している

・・・さて、最初の予備選であるアイオワ党員集会を直前に控えて行われたアイオワ州党員集会参加者に対する世論調査(Zogby International / Reuters / C-SPAN、12月29日-1月1日実施)によれば、民主党ではヒラリー(28%)、オバマ(28%)、エドワーズ(26%)で3人がほぼ並んでいる。一方共和党は、マイク・ハッカビー(28%)、ミット・ロムニー(26%)の二人がトップを争っている。

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12/17/2007

選挙不正大国アメリカ

ニューヨークタイムズ紙が、12月15日付けの報道で、アメリカ国民を慌てさせている。書き出しはこんな感じだ:

シンシナティ発:過去2回の大統領選挙で、ブッシュ大統領陣営に僅差の勝利をもたらしたオハイオ州で使用された5種の電子投票システムの全てが、内部に深刻な欠陥を抱えており、2008年度大統領選挙の整合性を低下させる可能性があると、オハイオ州選挙管理当局が報告している。「予想よりはるかに酷い」調査を率いたオハイオ州務長官ジェニファー・ブルナーは言う。「ひとつぐらいは他より良い結果が出せると望んでいたのですが」(以下略)

タイムズ紙の報道では、問題のある電子投票機械のメーカーとして、Elections Systems and Software(ES&S)社、Premier Election Solutions社、Hart InterCivic社を挙げている。Premier Election Solutions社は、2004年選挙ですでに問題が指摘され、評判を落としたDiebold(ディーボールド社)の新しい社名である。興味深いのは、ライバル社であるはずのES&S社を創業したのは、ディーボールド社元CEOのボブ・ウロセビッチ氏で、ディーボールド社副社長とES&S社の社長は兄弟であり、この2社だけで全米選挙の実に80%を運営しているという事実だ。

このES&S社という企業について、日経ビジネスは先ごろ面白い報道をしている。以下に記事の一部を引用する:

11月13日。来年2月に実施される京都市長選で電子投票の導入を決めた上京区は、システムの入札を実施した。今回は、米ES&S(エレクション・システムズ・アンド・ソフトウェア)と日本の電子投票普及協業組合(EVS)の一騎打ちとなった結果、日本のEVSが受注した。

さて、今回の調査報告で、オハイオ州務長官ジェニファー・ブルナーは、2008年大統領選挙で電子投票システムによる不正が行われる可能性を警告しているわけだが、調査対象となったシステムは、2004年の大統領選挙の際にオハイオ州で使用されたものだ。選挙後に行われた下院調査や裁判過程をみれば、2004年度選挙時に電子投票やそれ以外の手口で不正が行われたのはほぼ確実だが、不正行為の疑いを持たれた地元の選挙管理委員たちが、選挙法に背いて証拠資料のほとんど(88ある選挙区中56区の投票記録)を“ついウッカリ”廃棄してしまったので、2004年度選挙の票集計の再検証は不可能になった(2004年オハイオ州選挙不正調査の過程で、クリーブランドのカヤホガ郡の選挙管理委員二人が投票再集計の不正操作で有罪判決を受けている)

票集計の不正だけが2004年度選挙の全てではない。2007年に暴露され、現在合衆国議会とホワイトハウスを揺るがす巨大スキャンダルとなっているアトニーゲート(AttorneyGate:検事不法解雇スキャンダル)の議会調査で現在までに明らかになったところでは、共和党の主導する「不正投票摘発活動」-実態は、民主党支持の黒人有権者に対する嫌がらせ活動-を支持しない地方検事に対し、カール・ローブ大統領主席補佐官が司法省人事に直接介入し、解雇を指示したことが明らかになっている。(現在も上院司法委員会が調査中だが、ホワイトハウス及びローブは、事件に関わるホワイトハウス通信文書の提出を拒んでいる。)これは単にブッシュ政権による三権分立制違反というだけでなく、2004年選挙時に全米規模で行われた共和党陣営による公民権侵害行為に、ホワイトハウスが直接関わっていたという大事件の発覚を意味する。


選挙後のこうした事情は、全国紙はおろか地元メディアですら、ほとんど報道されることがない。今年タイムズ紙が報じたところによれば、2004年大統領選挙の投票日直後から、オハイオ州の票集計をめぐる問題が明らかになり、不正の危険を感じたエドワーズが現地に調査チームを派遣して徹底的にブッシュ陣営と戦おうとしていた頃、ブッシュと同じ秘密結社出身で、さらに9代前の先祖はブッシュと血縁関係にある民主党大統領候補ジョン・ケリーは、票の再集計を待たず、あっさりとブッシュ家に敗北宣言を伝えていたということだ。過去の失敗をとやかく言うより、前に進もう-これが選挙不正問題に対する米政界の普遍的メッセージなのである。(ケリーの態度に怒ったジョン・エドワーズは、民主党支持者を集めた『残念パーティ』に登場しても“選挙で敗北”とは決して認めず、ケリーとは完全に絶縁したとのことだ。一方で2004年の敗北宣言以降、ジョン・ケリーはこの件に沈黙を保っている。今年、ケリー本人に演説会場で「あんた選挙に勝ってたのに、なぜあんなに簡単に敗北したんだ」と質問した学生は、警備員からスタンガンの返礼を受けた。)

共和党であれ民主党であれ、民主主義のリーダーを自認する米国民は、大統領選挙のたびに全米規模で不正が行われているという事実を決して認めたくはないので・・・不正をやったのはごく一部の悪い人たちだ、と皆が言う・・・選挙システムも改善される様子がない。そして、有権者たちは自国への疑いを心に隠し、次の大統領選挙を迎えようとしている。

選挙不正の実行犯たち

2004年大統領選挙で最も投票トラブルが多かったオハイオ州。当時、オハイオ州の選挙運営責任者だったケネス・ブラックウェル州務長官は、一方でブッシュ再選委員会オハイオ州支部の共同委員長も務めていた。これは、2000年大統領選挙で激戦州となったフロリダ州選挙運営責任者キャサリン・ハリス州務長官が、フロリダ共和党ジョージ・W・ブッシュ選挙活動委員会の委員長を務めたのと同じスキームだ。(しかも、彼女の上司はブッシュ実弟のジェブ・ブッシュ州知事だった。)

2000年大統領選挙当時、キャサリン・ハリスはフロリダ州の有権者リストを悪用し、10万人近くの有権者から公民権を不法に剥奪した。公民権を剥奪された人々の大多数が黒人であり、黒人有権者のおよそ90%は民主党支持であることを充分理解しての行動だが、彼女はそれを「手続き上のミス」と抗弁した。公民権剥奪行為に加えて、民主党支持層の票を徹底的に削減することを狙ったハリスは、18万件近い投票用紙をカウントせずに廃棄した。パンチカード式投票用紙特有の「不完全票」扱いにしたわけだが、廃棄された票の大半は黒人票だった。公式には、ブッシュはフロリダ州選挙で、わずか537票差でアル・ゴアを退けたことになっている。(合衆国選挙で有色人種、貧困層の票が不法に廃棄される仕組みはすでに報道されている

ブッシュ家のために選挙不正を率先して実行したキャサリン・ハリスは、与党・共和党からご褒美として下院議員ポジションへの推薦を勝ち取った。こうして、2000年大統領選挙で公民権剥奪を堂々と実行した人物が、2002年に下院議員に出世するという異常事態が発生したわけだが、9/11テロ以降の合衆国でアメリカ民主主義の正統性に異議を唱える者はほとんどいなかった。

下院議員になったハリスは、後に防衛諜報企業MZM社の防衛汚職スキャンダル(ランディ“デューク”カニンガム事件)に関与し、批判を浴びた。MZM社は、ブッシュ就任以来ホワイトハウスに『家具』や『詳細不明の諜報サービス』を直接提供している噂の企業である。

ブッシュ犯罪家族の実行犯として決定的秘密を握るキャサリン・ハリス下院議員は、その後のブッシュ支持率低下や、2000年度選挙での不正行為が広範囲に知れ渡った世相を読めずに、大胆にも2006年度上院選挙に立候補を表明し