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01/01/2008

パキスタン・ブット元首相暗殺事件:早々に暴かれた隠蔽工作

2007年12月27日午後5時、パキスタン首都イスラマバード近郊のラワルピンディで遊説中のベナジル・ブット元首相が、観衆の中に居た暗殺者の銃撃を受け死亡、さらにその直後に発生した自爆テロと思われる爆発で、遊説に集まっていた人のうち約20人が死亡し、他にも大勢が負傷した。

ブット元首相狙撃犯人

ブット元首相を銃撃した犯人の映像。銃撃犯のそばに立つ白いショールを被った人物が自爆犯とみられている。(source:英BBC

事件当時、ブット元首相は防弾ランドクルーザーのサンルーフから身を乗り出して、支持者に手を振っていた。すると車輌左側から近づいてきたサングラス姿の若い男が、オートマチック銃でブット氏に向かって発砲し、被弾したブット氏は車内に倒れた。銃撃は3発で、同乗していた側近や、多くの観衆が、ブット元首相が頭部に銃撃を受け、出血しながら倒れた姿を目撃している

現場に居合わせた目撃者らの証言によれば、パキスタン政府側の保安要員たちは会場警備をサボタージュし、いつの間にかブット元首相の傍を離れていたという。

パキスタン陸軍と統合情報局(ISI)の拠点であるラワルピンディは、最近ではテロ事件が頻発する危険な場所になっている。2007年11月には、軍情報部要員の乗ったバスが、同地の複合軍施設であるハムザ・キャンプ入り口に入る直前に、爆弾を搭載した乗用車が突っ込み、軍関係者15人が死亡しており、さらにその直前には、ハムザ・キャンプから数マイル離れた陸軍本部施設前で自爆テロがあり、犯人は死亡、軍関係者3人が負傷している。


杜撰な隠ぺい工作

暗殺直後の夜、パキスタン内務省の或る広報担当者は「自爆テロリストの銃撃により、首に被弾したのが原因で死亡した」と国営パキスタン新聞に話した。一方で、病院側の医者が取材者側に当初語ったところでは、「ブット氏は頭部に爆弾の破片を受けて死亡した」と説明されていた

ところが事件発生の翌日、内務省のジャフード・イクバル・チーマ報道官は記者会見を開催し、ブット氏の死因について、爆風によって車輌のサンルーフ操作レバーに頭を打ち付け、頭蓋骨を骨折したのが死亡原因であると説明し、自爆犯の銃撃が死因との見解を撤回した。チーマ報道官によれば、銃撃犯は3発発砲したが、ブット氏は被弾しなかったということだった。報道官は記者会見上でブット氏の頭部レントゲン写真を公開し、対応した医者も「ブット氏の頭部に銃創はなかった」と証言した。

しかし、遊説に同行し、車輌にも同乗したブット氏側近の話によれば、彼女は頭部と首に被弾し出血していたという。また、ブット氏が運び込まれたラワルピンディ総合病院の役員アサー・ミナラー氏が、ブット氏の手術状況を記した内部報告書を、地元紙とNYタイムズ紙宛てに送付している。ミナラー氏によれば、治療を担当したムサディク・カーン外科主任医師は、治療当夜にブット氏の死因を「銃撃による負傷が原因」と説明していたという。カーン医師本人はミナラー氏を通じて地元記者に「私は政府の病院に勤務しているので政府の説明に沿わないと復讐が怖い」と本音を吐露したという

内部報告書

公開されたラワルピンディ総合病院の報告書(PDF

政府発表に疑惑を持つ人々は死因の再調査を求めているが、遺体の司法解剖については、地元警察が拒否したほか、ブット氏の夫が「死んだ妻に対する冒涜」として拒否しているとの情報が流れている。

30日には、英国テレビ放送Channel 4が、暗殺の瞬間を捉えたかなり鮮明なビデオをオンエアした。政府発表の信頼性を否定する「決定的証拠」とも言われるそのビデオには、銃撃犯が発砲し、ブット元首相の頭部が銃撃のショックで揺れる場面がはっきりと映し出されている。

ビデオに映る銃撃犯人は、ふち無しサングラスを着用し黒髪はきちんと短めに整髪され、髭もない。黒の袖なしジャケットにカラーのかなり大きな白いシャツを着用、さらにアスコットスカーフのようなものを巻いているように見える。NYタイムズ紙の解説によると、「盛装した諜報部員を彷彿とさせる外観」だが、アルカイダや他の民兵も、西欧風の服装を好むという。

またビデオでは、銃撃犯の後ろに、白いショールを被った人物(パシュトゥン人の民族着と説明されている)が付き添っており、この人物が自爆犯であると、地元のドーン紙は伝えている。


1月2日追加:1日夜、パキスタン内務省は、ブット元首相の死因について、前回の公式見解である「サンルーフ衝突」説を撤回し、法医学上の調査が済むまで公式発表を控えると説明した。(CNN報道) 事実を隠蔽しているとの批判に対しては「パキスタン国民に対して何かを隠そうなどという意図はない」と内務省側は反論している。また、地元の各メディアを通じて、暗殺の瞬間映像に登場した二人のテロリストについての身元情報を提供した者に対し、賞金500万ルピー(約902万1,620円)を与えると発表している。

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04/03/2007

テリー・ジョーンズ:「あれで屈辱だと?」

元モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズ英ガーディアン紙に書いた、かなり危険な最新コラムを以下に翻訳して掲載

危機的状況にあってここまで辛辣に皮肉を言う人がいるというのも、イギリスのすごいところだと思う。

あれで屈辱だと?(Call That Humiliation?)

被りモノなし。電気ショックなし。殴りもしない。イラン人とは何とも下品な輩だ。

by テリー・ジョーンズ:英ガーディアン紙2007年3月31日付コラム

Terry Jones's War On The War On Terror

テリー・ジョーンズの辛辣なコラム集:Terry Jones's War On The War On Terror(テリー・ジョーンズの“テロとの戦い”との戦い)スティーブ・ベルの風刺画も満載。


領海侵犯の件でイランに非難されている我等が海軍職員の待遇をめぐっては、イギリス国内の新聞各紙が表明する憤怒に私もまた共感する。あれはまさに侮辱だ。人質をあんな風に扱うなんて我々には想像すら出来ない-例えば、人質にタバコを吸わせているが、喫煙が人を殺すのは証明済みなのだ。哀れな兵士の1人フェイ・ターニーは黒いスカーフの着用を強要され、撮影された写真を世界中にばら撒かれた。イラン人たちには、文明的な振舞いという概念があるのだろうか?なぜ彼女の頭に紙袋を被せないのか?!我々がイスラム教徒を拘束した時には、ちゃんとそうしている。息が苦しくなるように、袋を被せたのだ。袋を被せてから写真を撮って世界中のマスコミに配信するのは全く容認できる。そうすれば人質が誰なのかわからないから、哀れな英軍兵士達のような辱めを受ける心配もない。

テレビで、後に後悔するような話を英国人の人質たちにさせるなど、全くもって受け入れ難い。我々が人質たちにやったように、イラン人たちがダクトテープを人質の口に貼ってくれたなら、ひと言も喋ることなどなかっただろう。もちろん呼吸すら困難だとすぐ気づくだろう-特に頭に袋を被っていたら-しかし、少なくとも恥をかくことはなかったのだ。

自宅宛てに無事であると知らせる手紙を人質たちに書かせるなんてどういうつもりだ?そろそろイラン人たちは他の先進国と足並みを揃えるべきだ。人質たちには独房監禁によるプライバシー保護を与えるべきだ。アメリカ合衆国は、グンタナモ刑務所で囚人たちにその特権をきちんと与えたではないか。

文明国には、侵入された現場で逮捕された者たちを慌てて告発しないという指標がある。例えばグンタナモ刑務所の囚人たちは、ほぼ5年以上も最大限のプライバシーを謳歌しているし、最近になってようやく最初の囚人が告訴されたばかりだ。テレビカメラに向かって人質たちを見せびらかすイラン人たちのみっともない行動とは、全く対照的だ。

アブグレイブ刑務所囚人虐待事件

さらに言えば、イラン人たちが英国人の人質たちにまともな運動をさせていないのは明白だ。米軍は、イラク人の囚人には確実に理学療法を受けさせている。囚人たちに刺激的な「緊張姿勢」を行わせて、限界まで我慢させて内蔵やふくらはぎの筋肉を改善させるのだ。普段の運動としては、ボールの上に両足で立たせたり、腿が地面と平行になるよう屈ませたりするものだ。これは激痛を伴い、最終的には筋肉が故障する。これは全くもって健康的な遊びで、囚人たちがそれを克服するために何か白状してくれるというボーナスまである。

そして、ここが私の述べる重要な点なのだが、テレビに映る表情を見る限り、ターニー一等水兵は重圧下に置かれているようだ。新聞各紙は行動心理学者に映像分析をさせているが、学者達は彼女が「惨めでストレスを感じている」と結論づけている。

非常に恐ろしいのは、彼女を「惨めでストレスを感じる」状況に追いやったイラン人たちの陰湿な手口だ。彼女には電気拷問や火傷の跡もなく、顔を殴られた形跡も見えない。これはもはや受け入れ難い。もしも人質が脅迫下にあったなら、例えば不名誉に性的な姿勢を強制されたり、性器を感電させられた場合は、アブグレイブ刑務所のように撮影されて然るべきだ。そうした写真は、さらに世界の文明的な国々へ回覧され、誰もが何が起きたのかを正確に知ることが出来るようにすべきなのである。

スティーブン・グローバーがデイリー・メール紙で指摘したように、我等の兵士達を侮辱したことへの復讐としてイランを爆撃するのはおそらく正しくはないだろう。しかし、イラン人たちを苦しませてやるべきだ-メール紙が提案するように経済制裁を追加するとか、あるいはもっと簡潔に、ブッシュ大統領を急かして侵攻させるとか-どちらにしろ彼はそうするつもりなのだが-そして、民主化して西洋の価値感をイランにもたらすのだ-イラクでやってるみたいに。
(以上)

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03/31/2007

イラン、イギリス、アメリカ:圧力はどちらを向いているか

2006年3月23日、イランの沿岸警備隊が、ペルシャ湾岸で“通常任務である密輸の監視をしていた”英海軍兵士15人を拘束した。イラン外相の説明によれば、英兵士達はイランの領海を侵犯していたとのことだった。

英海軍のチャールズ・スタイルズ中将はGPSデータを引用し、拘束された英兵達はイラク領海内で活動していたと主張。英ブレア首相はイラン側へ人質をただちに解放するよう求め、事態の解決を国連安全保障理事会に持ち込んだ。国連側は今のところ「イラン政府はただちに英兵士を解放するべき」と言いつつも、事態に対しては「重大な懸念を表明する」に留まっている

Iran's ambassador Rasoul Movahedian leaving the Foreign Office in London today. Movahedian was summoned to the Foreign Office today over the seizure of 15 British navy personnel by Iranian forces in the Persian Gulf.

英兵拘束事件をめぐりイギリス政府に召還され事態の説明に向かう駐英イラン大使。満面の笑顔に注目。(NYタイムズ紙

人質解放のための交渉を要求するイラン側は、ブレア政権の対応を批判し、早期に解放する予定だった女性兵士も拘束されたままとなっている。イラン国内でも事件への関心は高まっているが、イラン国民の中には「アフマディネジャード政権は約束どおり早く女性兵士を解放すべきだ」という政権批判も拡大しつつある。

一方でホワイトハウスの反応はどうかといえば、通常ならば「悪の枢軸」等お馴染みのボキャブラリーを駆使しつつ声高にイラン側を批判しそうなものだが、今のところブッシュ大統領本人は、ブレア首相への支持を表明するに留まっている。

中東諸国及びロシアは、この人質事件が英米両国にイラン爆撃・侵攻の口実を与えることになるのではと懸念している。3月26日、駐ロシア英大使アンソニー・ブレントンは、ロシア政府側にイランの人質解放に向けて協力を要請していると語った

しかしロシア政府筋は、米軍がイラン国境付近及び湾岸地区に戦力を集結させており、イラン本土内軍事施設への攻撃準備が整いつつあるとメディアにリークし始めた

これは公然たる事実だった。3月27日に、米海軍はペルシャ湾沖で、米軍艦ステニス及びアイゼンハワーを中心とする15の軍艦、100機以上の空軍機を動員し、対岸のイランを威圧すべく、イラク侵攻時以来の大規模軍事演習を実施し、米軍の“危機状態における柔軟性と機能性”をアピールした。米国防総省の報告によると、湾岸地区の米軍兵力として、イラクに13万2,000人、クウェートに2万5,000人、カタールに6,500人、バーレーンに3,000人、ドバイ(アラブ首長国連邦)に1,800人、サウジアラビアに数百人が駐留しているという。

ペルシャ湾で米軍が大規模軍事演習を実施した日、ブッシュ大統領はロシアのプーチン大統領に電話会談を申し入れた。プーチンは電話に応えて、国連安全理事会の決定ではイランに対する軍事行動は除外されていると言い、イラン侵攻をちらつかせるブッシュ政権側を牽制した。

ロシア側のメディア作戦に対し、米諜報関係者は即座に反応した。米国家防諜委員会のジョエル・ブレンナー委員長は「ロシアは米国に対する諜報活動を冷戦時代の規模にまで復活させている」と暴露した。(冷戦!この言葉に米軍需産業は熱狂しているにちがいない。)

2007年3月28日、ブッシュ大統領はブレア首相とテレビ会議システムを通じて会談した。会談の詳細は明らかにされていないが、イランの英兵拘束についても話し合ったといわれる。ブレアがブッシュから「かかって来い(Bring'em On!)」とアドバイスされたかどうかは不明だが、ブッシュ・ブレア会談の次の日、イラク・バスラのイラン領事館の周辺で、イギリス陸軍が威嚇射撃を始めたとの報道があった。(英軍側は通常のパトロール任務中にイラン領事館近辺で待ち伏せ攻撃に遭遇し、反撃をしただけと説明している。)

中東情勢が緊張すれば、石油業界もあわただしくなる。イラン軍が湾岸地区の米艦隊に砲撃したというデマが流れると、原油取引市場では原油価格は急上昇し、米企業株価は急降下した。拘束されている女性兵士早期解放の約束が反故になったとわかると、原油取引価格は1バレル66ドルに上昇した

米軍の大規模軍事演習報道に慌てたアラブ首長国連邦は、国内に米軍を駐留させているにも関わらず、イランに対する米軍の軍事行動に協力しないと宣言した。しかし、今後中東諸国で親米・反米の亀裂がさらに深まるのは避けられない。


イラン政府の巧妙な反撃網

2003年5月、ブッシュ大統領が「任務完了」の旗をバックに、自らイラク戦争勝利演説に酔っていた頃、イラン政府はスイス大使館を通じて密かにホワイトハウスに和平交渉を持ちかけた。しかしラムズフェルド米国防長官とチェイニー副大統領はイラン側の申し出を拒否し、仲介したスイス特使まで叱責する勢いだったという。

この一件でブッシュ政権の攻撃意志が本物であると悟ったイラン政府は、米国政府との対決姿勢を固めていくしかなかった。

一方ブッシュ政権は、フセイン体制崩壊後の中東情勢を極度に楽観視していた。イラク侵攻を手放しで支持した米議会も、FOXニュースを通して「テロとの戦争」に熱狂してきた“愛国的”米国民も、次の標的であるイラン・シリアの“民主化”に協力してくれるはずだった。

しかし、イラク情勢の泥沼化により、ブッシュ政権の策略通りに物事は進まなくなった。イラク侵攻直前、米国民の7割近くが戦争を支持し、8割以上が「イラク戦争は楽勝」と考えていた。しかし2007年現在では、米国民の6割がイラク侵攻を無意味だったと感じており、「全米でもっともブッシュ寄り」のユタ州ですら、イラク戦争支持票は急落している

それでもなおイラン侵攻計画を予定通り前進させたいブッシュ政権は、戦争の口実としてイラン政府がイラク国内の反米武装勢力を支援しているのはケシカランと言い出した。(しかし合衆国副大統領とサウジ王家の反米武装勢力支援活動は黙認している)

しかし、米軍も英軍も、イランがイラク国内武装勢力に対し武器・資金面で支援しているという噂を証明する類の“動かぬ証拠”を未だ提示できていない

ブッシュ政権の背後に居るネオコン達の唱えた“中東民主化”構想に関して、アメリカ、イギリス他連合各国の足並みは明らかに乱れている。この機会をうまく捉えたイラン側は、80年代以来得意としている人質作戦という少々捻った反撃を開始したとみることもできる。先に事件を仕掛けて、米軍の侵攻タイミングを狂わせ、闘争のペースを主導してダメージを最小化するわけだ。

しかし結局のところ、イラン政府の人質作戦は当初の目論み通りには進行していない。イギリス側は人質同士の交換に応ずるようすはなく、人質解放の遅れはアフマディネジャード政権の基盤を危うくしている。

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イギリス政府側の説明による英兵拘束現場の国境線図。

それでもなお、イラン攻撃計画を着々と進めているとされるブッシュ政権側としては、意表を突かれて少々対応に困っているのではないか。イラン政府がイギリス側に謝罪せよと要求している領海侵犯の有無については、イラン側もイギリス側も譲るつもりはないのだろうが、専門家の話では、事件発生現場の国境位置については法的にかなり曖昧との見方もあるようだ。

一方、武力闘争以外のシーンでは、イラン側は着々と体制を整えつつある。ざっと最近のニュースを振り返ってみよう。

2007年3月25日:
ドバイ国際財政センター所長ナセル・アル・シャリー氏は「中東諸国はドル以外の通貨に比重を移している」と語った。「UAE中央銀行の例でいえば、ユーロ利用に移行しているところだ。将来的には、中国元にも対応するだろう。」

2007年3月27日:
ベネズエラと中国が石油取引を倍増することに合意。また中国政府はベネズエラ国内の共同石油資源開発プロジェクトに投資を表明した。ベネズエラはイラン、中国、ロシアとの資源開発協力関係を一層強化し、ベネズエラ国内で事業展開するコノコ・フィリップス、シェブロン、エクソンモービル等の石油メジャーを切り離し米国依存経済からの脱却を図っている。

2007年3月27日:
イラン石油資源の最大顧客である中国国営企業が、昨年末頃から石油取引通貨としてユーロを利用していることが明らかになった。関係者の話では、OPEC加盟国家の石油取引先の半数以上が、原油取引通貨としてドル以外の通貨に転換を図っているという。日本側の買い手である新日本石油も「イラン政府から正式に依頼があればいつでも円での支払いに応じる」と説明している。イランのヨーロッパ取引先としてはロイヤルダッチシェル、フランスのトータル、スペインのレプソル等がある。

2007年3月28日:
イラン中央銀行総裁イブラヒム・シェイバニー氏が、石油取引通貨からドル利用を排除する意向を説明した。同氏によれば、「現在イランでは石油収益の50%以上が米ドル以外の通貨で支払われており、ヨーロッパ、アジアの各取引先はすでにドル以外の通貨で支払いすることに同意しています。また、ドルで収入があってもすぐに別の通貨に換金しています。例えば日本は円で支払うことを了承しています。」とのこと。また、シェイバニー氏によれば、イラン中央銀行では外貨準備高を20以上の主要通貨群でまかなっているが、現在ドルの占める割合は20%以下となっているという。

2007年3月28日:
米国務省は中国政府が「イランに武器を売ったり、イラン国内の石油や天然ガス開発に投資している」と批判した。すると中国政府側は、「米国は台湾に武器を売るのを止めるべきだ」と反撃した

果たしてアメリカは、世界及び国内世論の反対を押し切って、イラン攻撃を予定どおり実行するだろうか?米政府側の最強硬派であるチェイニー副大統領(執行大統領?)は、今回のイラン侵攻機会を逃したくはないだろう。しかし、実際の戦争を戦う兵士達の心境は?90年代、米軍人の70%は共和党支持者だった。それが2007年には46%に落ち込んでいる

3月上旬、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)の集会に呼ばれたチェイニー副大統領は、イラクから撤退することは敵を増長させるだけだと演説で発言した。これを聞いたマックス・クリーランド元上院議員(ベトナム戦争退役軍人)は、チェイニーに対し声を荒げて批判した:「ベトナム戦争時代、あんたは何処に行ってたんだ?私達同様にベトナムに従軍していたら、戦争について学べただろうに。兵士を永遠に戦地に置いておくわけにはいかん。任務も目的も必要だ。任務も目的もなしに、何度も何度も兵隊を戦地に派遣させるわけにいかないんだ!本当の敵はアルカイダだったはずだろう、このバカタレ!敵はイラクじゃないぞ。だから地上軍を撤退させるんだ!」

3月25日、上院外交委員会メンバーで、2008年大統領戦出馬が濃厚となっている共和党議員チャック・ヘーゲルは、テレビのインタビュー上でブッシュ政権の横暴を止めるためには大統領弾劾もありうると仄めかした。2006年中間選挙で大勝した民主党が、必死で抑圧している「大統領弾劾」カードを、共和党側が先に配り始めたというのは、なんとも皮肉だ。

米政界の通例として、下院司法委員会がホワイトハウスに証人出廷を求め始めたら、大統領弾劾の合図と言われているが・・・案の定、今年3月1日からすでに証人出廷要求が始まっている。議会で偽証したゴンザレス司法長官の辞任も、もはや時間の問題となった。

FOXニュースからホワイトハウス報道官に大抜擢された極右コメンテイターのトニー・スノウ大統領報道官は、先日内蔵にガンが転移していることが判明し、手術後入院している。

心臓が弱く、左足に血栓を抱えるチェイニー副大統領は、つい先日も病院で再検査を受けている

国防長官を辞任して以来、滅多にメディアに登場しなくなったラムズフェルドは、今月中旬に病院に運び込まれた。すぐに退院したので詳細は明らかにされていないが、インフルエンザにかかっているわけでもなく、心臓が弱っているらしい。(6年ぶりに民間人に戻って個人資産を数えているうちに、あまりの巨額さにドキドキした?というのは全くの憶測である)

チェイニーは66歳、ラムズフェルドは74歳。大統領弾劾が公的に叫ばれることになれば、米国民のブッシュ政権閣僚に対する視線はさらに厳しいものになるだろう。ブッシュ家最大のビジネスパートナーであるサウジ王家も、最近はあからさまに冷たい態度を見せている

ゆっくりと、しかし確実に、ブッシュ政権は追い詰められつつあるようだ。しかしヤケクソになったブッシュが何をしでかすか考えると、かなり不安な状態でもある。

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10/19/2005

米軍の侵攻から4年目:アフガニスタンとアメリカ

2005年10月12日、インド・パキスタンで発生した大地震の被災状況を視察に出かけたライス米国務長官は、そのままアフガニスタンにも足を伸ばした。彼女がカルザイ大統領との共同記者会見に臨むと、タリバン系武装勢力はアフガニスタン政府軍兵士6人と医者を含む民間人5人を殺害して、米国からの客人を歓迎してみせた。するとライスは、同国の現状について会見でこう評した

「(アフガニスタンは)民主主義の前進により、世界を奮起させています。」
ライスは皮肉を言っているのだろうか?以下にアフガニスタンの近況を示す資料を引用してみよう。

アフガニスタン治安状況

国連の報告によるアフガニスタンの治安状況(色の濃い場所が治安の悪い場所を表す。上が2003年6月、下が2004年10月。2005年現在の状況は前年に近似とのこと:source:Afghanistan: Four Years After the Invasion)画像クリックで拡大表示します。

治安状況

70,000人米政府のアフガニスタン政府軍訓練兵員目標
31,000人2005年6月までに訓練が完了したアフガニスタン政府軍兵士数
8,000人訓練中に行方不明になったアフガニスタン政府軍兵士数
18,000人アフガニスタン駐留米軍兵士の人数
147,000人イラク駐留米軍兵士の人数
10億ドルアフガニスタン駐留米軍の月間費用
60億ドルイラク駐留米軍の月間費用
4人2001年10月から2002年12月の間に殺されたNGO職員の人数
24人2004年度に殺されたNGO職員の人数
1,200人2005年4月以降のタリバン復活による武力衝突で死亡した人数
1,800人私兵を率いる地方軍閥の部族長の人数

アフガニスタン駐留米軍の戦死・負傷者人数の変遷

55人2001年10月から2002年12月までの米軍戦死者数
86人2005年1月から2005年10月までの米軍戦死者数
107人2001年10月から2002年12月までの米軍負傷者数
166人2005年1月から2005年10月までの米軍負傷者数

(以上統計のsource:Afghanistan by the Numbers/Center for American Progress2005年10月5日付け記事

米軍による軍事侵攻からすでに4年。上記の統計資料にもあるように、アフガニスタン国内の戦乱は収まる気配がない。4年前に殲滅したはずのタリバン系武装勢力も復活し、同国内に駐留する英米軍兵士を震え上がらせている。

兵力不足に悩む英米軍はNATOに助けを求めたが、ドイツ、フランス、スペインから成る「古いヨーロッパ」NATO軍は、ラムズフェルド米国防長官の協力願いを当初は拒否した。しかし、後にカルザイ大統領との交渉により、米軍から独立した指揮系統での兵員増強に合意している

さらにカルザイ大統領は、隣国パキスタンへの対応を巡り冷え始めた米国との関係を象徴するかのように、軍備増強面でロシアの協力を仰いでいる(ライスが急遽アフガン入りした理由はこれだろうか?)

アフガニスタン再介入の機会を得たロシア側は、イランを巡るライス米国務長官からの協力申し出を拒否し、「体制が落ち着いたら米軍は駐留する理由がなくなる」と言っている。「アメリカはアフガンからさっさと出て行け」というわけだ。まるで20年ほど時間が逆戻りしたような雰囲気である。そういえば、今年8月に行われたトロントスター紙の取材の際、アフガニスタン駐留カナダ軍少将は、アフガニスタンでの治安活動について「20年は続くだろう」と遠い目をしていた。

一方で、アフガニスタンで米国特有の「民主主義」が実現した実例もある。例えば、ブッシュ政権が中東向け政府広報を強化するために、ブッシュ家お抱えのプロパガンダ専門家カレン・ヒューズを米国務次官に就任させると、タリバン側の指導者ムラー・モハンマド・オマルも新たに3人の広報担当官を指名し、メディア対策を強化している(着任早々張り切って中東各国に宣伝に出かけたヒューズ国務次官は、サウジ、トルコ、エジプト等訪問先で、キリスト教原理主義者としての個人的信条を披露しており、地に堕ちた米国のイメージをさらに泥沼に沈めようとしている。)

先ごろ開催されたアフガニスタン州議会選挙では、米大統領選挙と同じような不正が発覚し、国連・アフガン合同選挙管理委員会は、不正に関わった職員50人ほどをただちに解雇した。一方、2000年度合衆国大統領選挙で、フロリダ州のアフリカ系アメリカ人住民の投票権を不当に大量剥奪し、自ら支持するブッシュ陣営に勝利をもたらしたフロリダ州選挙責任者キャサリン・ハリス州務長官は、何の罪にも問われることなく同州の下院議員(共和党)に出世し、次回2006年度には上院選挙に出馬するという。

つまりこういうことだ。中東に『民主主義商品』を押し売りし過ぎて、アメリカでは石油と同じくらい民主主義が入手困難になったわけである。

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03/22/2005

北朝鮮の核物質販売先はリビアではなくパキスタン政府?

ワシントンポスト紙2005/03/20付け記事より。まずは記事冒頭を翻訳して以下に引用する。(記事中リンク及びテキスト強調は訳者による)

米政府、北朝鮮の核物質輸出で同盟国を惑わす(U.S. Misled Allies About Nuclear Export)

北朝鮮が核物質を輸出した相手は、リビアではなくパキスタン(North Korea Sent Material To Pakistan, Not to Libya)

by ダフナ・リンザー記者:ワシントンポスト紙2005/03/20付け記事

今年年頭、北朝鮮への圧力強化を目指すブッシュ政権は、アジア各国首脳に対して、北朝鮮政府が核物質をリビアに販売していたと説明していた。それは重要な新情報であり、北朝鮮が新たな核兵器開発を開発中であるという具体的疑惑を初めて提起するものであった。

しかし、北朝鮮の核物質取引の詳細について知る2人の政府高官の説明によると、それは米国情報機関の報告内容と異なるという。情報部の報告によれば、北朝鮮は、核兵器に転用可能となる六フッ化ウラニウムを、当初はパキスタンに販売していた。米国にとって重要な同盟国であるパキスタンは、その六フッ化ウラニウムをリビアに転売した。政府高官の話によれば、パキスタンが核物質を転売していた事実を北朝鮮が知っていたかどうかについて、米国政府は証拠を掴んでいない。

政府高官が匿名を条件に本紙に語ったところでは、パキスタンが核物質の売り手と買い手の両方の役割を演じていた事実は、アル・カイダ幹部捜索活動の協力者という役割の隠蔽のために秘匿されたという。また、北朝鮮とパキスタンの間でそうした取引が行われていた件は米国政府にとって真新しい事実ではなく、主権国家同士のビジネス関係として、過去数年間見過ごされてきたとのことである。

北朝鮮の核物質取引に関する報告の際、基本的な詳細情報を省いたブッシュ政権の政策は、北朝鮮の孤立化を目的としたが、同盟国をますます懐疑的にさせてしまったと、米政府高官は外交官はインタビューで話している。先月の米国政府の説明に呼応して、北朝鮮は周辺各国協議から離脱を表明した。

関係修復を試みるべく、コンドリーザ・ライス国務長官は現在東アジア各国を歴訪し、6者協議再開のために各国首脳の説得を図っている。(中略)

今年1月末から2月初旬にかけて、米国政府は関係各国に対し北朝鮮に関する報告を行った。それからまもなく、米政府関係者が匿名を条件にワシントンポスト紙に話したところでは、北朝鮮が六フッ化ウラニウムをリビアに販売したとのことだった。その高官の説明では、アジア各国への報告会は、北朝鮮の核開発計画に関する交渉を鑑み、中国、韓国、日本との間で情報交換のために行われたということであった。

しかし最近、別の米政府関係者二人が本紙に語ったところでは、アジア各国への報告会は、中国と韓国が6社協議から突如離脱の意思表明をした直後に、大慌てで設定されたとのことである。報告会は大部分無駄なものであったが、北朝鮮政府との2国間協議を拒否するブッシュ政権は、そうした会談が北朝鮮の核開発を抑止する重大な役割を果たすと主張している。

パキスタンの取引に関する新たな詳細情報に関して、ホワイトハウスは言及を避けている。政権幹部の対応によれば、米政府は「北朝鮮の核拡散活動について、正確な説明を行っている」とのことである。

アジア各国への報告では、パキスタン側の特定人物については言及されていないが、政府関係者の話によれば、パキスタンの原子物理学研究第一人者アブドル・カディル・カーン博士のネットワークが使われたと明言されていたという。しかし報告会では、核物質がパキスタンによって購入され、北朝鮮から輸出される際もパキスタン政府所有のコンテナが使われている件を米国情報部が掴んでいる件は示されなかった。

また、六フッ化ウラニウムが或るパキスタン企業を通じて輸出され、アラブ首長国連合を経由してリビアに持ち込まれた事実についても、米政府は報告していなかった。それら事実は、リビアを独自調査していた国際原子力機関の説明と一致する。リビアは核兵器開発を2003年12月に断念している。

米国政府にとって、パキスタンはアル・カイダ幹部捜索活動において主要な役割を担うようになっているが、カーン博士がかつてムシャラフ政権の閣僚に名を連ね、同国の核開発に協力していた件について、ブッシュ政権はムシャラフ大統領に未だ説明を求めていない。

「米国の利益を損ねている最中のパキスタンに、米政府はやりたい放題させていたんです」2003年8月までブッシュ政権の北朝鮮特使を務めたチャールズ・L・プリチャード氏は語っている。「同盟国はそうした全体像を把握しているので、我が国の信頼性は揺らいでいる」
(記事引用ここまで、以下略)

米情報部と協力してビン・ラディンとアル・カイダ幹部捜索を行っているパキスタン政府機関といえば、パキスタン軍統合情報局(ISI)であることは誰でも知っている。今回のワシントンポスト記事の情報源は、まるでISIが北朝鮮との取引に関与しているとでも言いたげだ。

仮にパキスタン政府関係者、もしくはISI関係者が北朝鮮・パキスタン間の取引にも関与しているとすれば、CIA/ISIのアル・カイダ捜査活動の内実---ブッシュ政権にとって非常に都合悪い情報を含む---が北朝鮮側に漏れている可能性も・・・いや、まさかそんなことはないだろう。ライス国務長官が北朝鮮との2国間協議や経済制裁を避けているように見えるのは、単に慎重に行動しているだけのことだ。

過去に遡ってみよう。911同時多発テロ事件が発生した後、米情報部とISIは共同捜査を行うと宣言したが、直後の10月に、パキスタン側は当時のISI局長ムハマド・アーマッド将軍を更迭した。更迭理由は、ハイジャック犯の1人、モハメド・アッタ容疑者への資金提供疑惑といわれている。(911テロの朝、ワシントンでは上院・下院情報委員会の朝食会が開催されていたが、そこには、上院情報委員会委員長ボブ・グレアム議員と、ISI局長ムハマド・アーマッド将軍、そして偶然にも、当時の下院情報委員会委員長で現CIA長官のポーター・ゴスが同席していた

ビン・ラディン、タリバン、アル・カイダ、ムジャ・ヒディン・・・これらは全て、元々CIAとISIが大切に支援・育成してきた軍事ネットワークである。ISI幹部がアル・カイダと親密だからといって、米政府はそれを簡単には批判できない。ましてやパキスタンのムシャラフ将軍は米国の軍事産業にとって大切なお客様なのだ。

そんなわけで、米国はパキスタンの裏ビジネスに対して、もっとポジティブな態度で付き合うようになったのだろう。“北朝鮮から核物質輸入?うーん、まあいいや。その代わり転売先を教えてくれたら、悪の枢軸国認定作業が楽になるんだけどね”とか何とか。以上、本日の妄想終わり。

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10/06/2004

アフガニスタンの危機:事実と統計

Center for American Progress2004/10/04レポートより。以下に全文翻訳して掲載。



アフガニスタンの危機:事実と統計(Afghanistan in Crisis – Facts and Figures)


(From: Robert O. Boorstin and Mirna Galic)

「タリバンはもはや脅威ではない」先週の第一回大統領選ディベートで、ブッシュ大統領は聴衆に語った。しかしながらこの不正確な声明は、アフガニスタンをバラ色に飾ろうとホワイトハウスが尽力している実例の一つに過ぎない。

ブッシュ政権が世界に売り込んでいるサクセスストーリーとは程遠く、アフガニスタンは依然として危機状態にある。10月9日の選挙を控えて、同国は一層危険且つ混乱状態を迎えている。麻薬生産は急上昇している。タリバンの攻撃も増加し、アル・カイダの活躍する範囲も拡大し、武装集団が国土を席巻している。アフガン住民は危機に直面し選挙に関する脅迫を受け、飢餓と慢性的な栄養失調に苦しみながら、不確実な未来像に女性たちは怯えている。

選挙の実施とアフガニスタンの安全で民主的な未来を考えるとき、事実を直視することはとても重要である。以下にアフガニスタン国内の現実を解説する:

タリバン勢力は再結集、攻撃は増加

2001年に米国主導の連合軍がタリバン政権を排除してから、同勢力は順調に回復しつつある。タリバン勢力による死傷者数は前年比45%増加し、タリバン指導者達は攻撃の矛先を10月9日の選挙に向け始めている。最近4ヶ月間で選挙実施担当者40人以上が死傷し、ごく最近も、カルザイ大統領はタリバンの暗殺計画から命からがら脱出している

アル・カイダの新勢力拡大

ブッシュ政権はアフガニスタン国内の潜伏先を破壊したと宣言しているが、アフガニスタンもしくはパキスタン国境付近の新しいアル・カイダ訓練施設を撮影したビデオが表面化している。アル・カイダ幹部達は、オサマ・ビン・ラディンも含めて、健在である。先月、エリック・オルソン陸将補は声明を出した:「アフガニスタン全土に渡り工作を展開するアルカイダ幹部達を確認している。彼等はアフガニスタン国内の攻撃計画に加担し、攻撃実施に直接関与することもあるようだ」

麻薬国家になりつつあるアフガニスタン

アフガニスタン駐在米大使ザルメイ・カリルザッド氏は最近警告を出した。「麻薬が国土を席巻する可能性はある・・・まるで麻薬国家だ」まさしく、新たな潮流として、アフガニスタンは麻薬製造からヘロイン精製へと急速に発展しつつある。その犯罪ネットワークの拡大がより一層現地の治安を脅かしている。

麻薬製造の最高記録更新の見込み

アフガニスタンの麻薬生産量は、すでに世界供給量の75%を占めるといわれ、今年はさらに記録的な生産量が予測されている。23億ドルのアフガニスタン麻薬産業はテロリズムの資金源となり、国内治安に深刻な影響を与え、アル・カイダ、タリバン、その他武装集団の地盤を固めている。

破壊を招く武装集団と市民軍

地域武装集団と協力体制にある米軍の方針が治安をより悪化させており、民主主義と法秩序の障害になっている。武装兵と市民軍は国土の大部分を制圧した結果、カルザイ大統領の威信はカブール以外では失墜して、暴力と治安悪化を招いている。カルザイはそうした武装集団をアフガニスタンが直面する最大の脅威と呼んでいる。人権調査と支持連合(Human Rights Research and Advocacy Consortium)の最新調査によれば、「(アフガンは)依然として武器を手にした者による陵辱と虐待の危機に晒されている。法秩序は国土全体では事実上存在せず、結果として法に咎められない文化が支配的である」

自由で公正な選挙も危機状態

10月9日に予定されているアフガニスタン大統領選挙は、すでに2回延期された結果であり、専門家は、治安の悪化とタリバンの暴力、投票への脅迫が選挙の正当性を貶めると危惧している。人権監査団体Human Rights Watchの最新報告によれば、「地方の有権者達はすでに武装集団と地域兵から投票の仕方について指導されており、典型的な政治的弾圧と民主的プロセスの欠如から、ほとんどが服従を強いられている」。国連の報告では、自由で公正な選挙実施のためには、国際的な治安補助が不可欠と警告されている。カルザイ大統領は繰り返し国際援助を唱えているが、NATO指導国の対応は3,500人ほどの兵士派遣に留まっている。

援助団体も撤退を強いられる

アフガニスタンの治安状態が極めて悪いことを示す事例として、24年間の戦争状態の中で活動を続けてきた国境なき医師団(Medecins Sans Frontiers:MSF)が、治安悪化のため今夏撤退を余儀なくされた事実がある。同団体が撤退を余儀なくされた国は、アフガニスタンが初めてである。MSFや他の援助団体の活動はアフガニスタンにとって非常に重要であり、アフガン政府は代替サービスを市民に提供することができない。

壊滅的な食糧不足を迎えるアフガン市民

国連の食糧支援計画によると、穀物の不作が拡大した結果、アフガン市民の21%以上が「越年のために食料補助が必要となる」。国民の半数が慢性的な栄養失調に苦しみ、栄養欠乏による病気が蔓延している。

女性の苦悩は続く

新たな法制により権利が保障されているにも関わらず、多くの女性はタリバン時代の規制と暴力に直面している地元権力者による女性差別が激しくなっている地域もあり、権利を主張する女性は脅迫と脅威にさらされている。権利擁護団体の指摘によれば、過去3年間に議会が承認したアフガニスタン向け基金の内、女性に充てられたものは3%に満たないという

女性と子供の劣悪な健康状態

ユニセフの最新報告によれば、アフガニスタンは妊産婦死亡率が世界で最も高い国のひとつであり、5歳以下の幼児死亡率も極めて高い。アフガン人家庭の60%は安全な水を入手することができない。基本的な医療サービスは限られていて、特に女性は、国務省の報告によれば「文化的障壁と資源不足により、医療機関へ頼ることを拒否され続けている。」


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05/28/2004

エジプトの危険な最新ヒット曲「同じコインの表と裏、アメリカとイスラエル♪」

IsraelNationalNews2004/05/06付け記事より。

エジプトの歌手、シャーバン・アブダル・ラヒム(Shaaban Abdul Rahim)氏の最新曲「Hey Arabs Leaders」がアラブ世界の間でヒットしているというニュース。そのプロモーションビデオはポップで楽しいが、歌詞内容はあまりにも過激だ。イスラエルメディアが翻訳したという同曲の歌詞を以下に引用する。
(プロモーションビデオ(WMV):56kモデム用ADSL回線用

「同じコインの表と裏、アメリカとイスラエル♪
連中は世界をジャングルに変えて、導火線に火を点けた♪
アメリカは羽を広げて、全く気に留めていない♪
誰も連中を止められない、誰も捕まえられない♪
そのうち(ブッシュは)イラン、それからシリアについて言うだろう♪
しかし北朝鮮については沈黙する♪
あの(ツイン)タワーはな、皆さん♪
間違いない!アメリカの友人(イスラエル)が破壊したんだよ♪
何がテロリズムだ!
あと何年続くのだろう、アメリカとイスラエルの暴力は♪(以下略)・・・」

ラヒム氏には他に「I hate Israel(イスラエルは嫌い)」というタイトルのヒット曲があるらしい。まあ、なんというか、ストレートな性格の人である。

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05/26/2004

「特殊任務あります」イスラエル情報機関モサド、公式サイトで人材募集

英BBC2004/05/24付記事より。

イスラエルの情報機関モサド(ISIS:Israel Secret Intelligence Service)が、公式サイトをリニューアルして人材募集を開始しているというニュース。モサドの情報収集能力がイスラエル国内で叩かれているというから、組織改革が始まったというわけだ。

技術職からドライバー、ウェイターまで幅広く募集中ということだが、圧巻なのはその公式サイト。トップページのデザインは独特のムード(?)を醸し出しているが、例えば「about us」のページにはこんなことが書いてある。


「諜報と特殊作戦の機関として、あるいはモサドとして知られる当機関は、イスラエル政府によって任命され、情報収集と解析、国境を越えた隠密活動の実行を任務としている。」
(The Institute for Intelligence and Special Operations, otherwise known as 'Mossad' has been appointed by the State of Israel to collect information, analyze intelligence and perform special covert operations beyond its borders.)

ここまで堂々と書かれると、なにやら普通の政府機関のように見えてくるが、