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反ブッシュ

2008/12/17

米国政治ジョーク:ブッシュのイラク記者会見靴投げ事件編

12月14日、イラクを電撃訪問したブッシュ大統領は、マリキ首相との共同記者会見中にイラク人記者から靴を投げつけられた。投げられた靴をうまく躱してみせたブッシュだが、落ち着き払って靴を払い落とそうとブッシュの前に手を広げたマリキ首相の態度に比較すると、合衆国大統領はずる賢い小心者にしか見えず、しかもそれが映像に残ってしまった。まさしくブッシュ政権8年間を象徴する事件である。

靴を投げたのは、エジプト本社の衛星放送局アル・バクダディアのイラク支社に勤めるテレビレポーター、ムンタデル・アル・ザイディ氏(29歳)。事件後、彼はアラブ社会で英雄として賞賛されており、無罪放免を求める声はいよいよ高まっている。(もちろん、イラク国内では客人のもてなしとしてふさわしくないと、記者の行為を批判する声もある)

サウジアラビアでは、或るお金持ちが記者の投げた靴を1つ1,000万ドルで買い取ると新聞に発表した。リビアでは、カダフィ大統領の娘が、靴を投げた記者に名誉勲章を与えると賞賛している。イラク政府は公式にアル・バクダディア社に対し謝罪を求めているが、放送局側は今のところ謝罪の構えを見せていない。一方、記者の実弟メイセム・アル・ザイディ氏はずっとテレビに出ずっぱりで兄を擁護しており、彼に対してすでにアラブ世界から100人以上の弁護士が協力を申し出ているという。

ブッシュを面前で批判したジャーナリストといえば、2004年のアイルランド訪問時にインタビューで活躍したキャロル・コールマンの事例が有名だが、彼女に比較すると今回のイラク人記者のやり方はとても褒められたものではないだろう。なにしろ、二度も的を外したのだから。


ジェイ・レノ:
「さて皆さん、ようやくブッシュ大統領の特技が見つかりましたね。ドッジボールだ!

皆さんご存じのように、昨日イラクで、ブッシュ大統領は靴爆弾で攻撃されました。ブッシュ大統領がイラクで記者会見している最中に、記者の一人が1足の靴を大統領めがけて投げつけたのです。ブッシュ大統領がどうなったか見た?靴を避けるために大統領はどうしたと思う?彼はこれまでにないことをしたんだ。左に傾いたんだよ!

おいおい!認めなきゃ!人物評価がどうであれ、ブッシュは優れた反射神経の持ち主だよ。ビル・クリントンも感心してるさ。だって、クリントンは靴とか、皿とか、照明器具とか、何でも避けられる専門家だもんな。

さて、問題はここだ。悪気はないんだよ。でも、シークレットサービスは何やってたの?少なくとも2つめの靴が飛んできた時には正面に飛んでこなきゃいけないでしょ?まあ、これでブッシュも任期が終わりだって悟っただろうね。シークレットサービス曰く“だって今は次期大統領を警護してるんだもん”。

さて、俺のお気に入りはこれ。CNN放送はイラク文化の専門家を引っ張り出した。専門家が言うには“何が起きたのか説明しましょう。アラブ社会では、誰かに向かって靴を投げるのは侮辱を意味するのです。”えっそうなの?アメリカと正反対だね。ここじゃ最大の賛辞になるもんね。

まあ、面白いことに、靴を投げつけた当の記者はすぐ逮捕されて、それからMSNBC放送への出演オファーを受けたってさ。」
MSNBC12月15日放送分
デビッド・レターマン:
「・・・ブッシュを褒めなきゃね。なにしろ、ものすごく素早い動きだっだからな。実に見事な対応だったよ。他の時も同じくらい素早く対応できてればねえ。ビン・ラディンとか、ハリケーン・カトリーナとか、ビン・ラディンとか住宅ローン危機とか、ビン・ラディンとかアフガニスタンとか、ビン・ラディンとかリーマン・ブラザーズとか・・。まあ、記者会見でさよならするためにあそこに行ったら、記者に靴を投げられたってわけだ。でもブッシュは見事だった。ブッシュがあんなにうまく逃げられたのはベトナム戦争以来じゃないかな?」
CBS12月15日放送分

2007/12/06

87歳の気骨:ヘレン・トーマスの怒り

ヘレン・トーマスは怒っている。かつてないほどに。

Helen Thomas

ホワイトハウス報道の最長老記者ヘレン・トーマス


Watchdog

ヘレン・トーマス最新著作『Watchdogs of Democracy?: The Waning Washington Press Corps and How It Has Failed the Public

レバノン系アメリカ人のヘレン・トーマス女史は、ケネディ政権時代から現在まで、ずっとホワイトハウス番記者を続けている87歳の名物ジャーナリストだ。ホワイトハウス定例記者会見では、いつも最前列に座って、大統領報道官がもっとも答えたくない類の質問をする。

2007年11月30日のホワイトハウス定例記者会見では、デイナ・ペリノ大統領報道官を相手に、いつもどおりの辛辣な言葉を浴びせた。二人のやりとりを以下に抜粋して翻訳する:

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2007/02/02

テキサスの名物ジャーナリスト、モリー・アイヴィンズが死亡

1月31日水曜日午後、テキサスの名物ジャーナリスト、モリー・アイヴィンズ(本名マリー・タイラー・アイヴィンズ)が、乳癌のためテキサス州オースティンの自宅で死亡した。62歳だった。

モリー・アイヴィンズ

モリー・アイヴィンズ

ブッシュには、もううんざり!

邦訳されたアイヴィンズの代表作『ブッシュには、もううんざり!

テキサス・リベラルを自認する彼女は反骨精神に富む政治コラムで全米に知られており、主な著書に『Shrub: The Short but Happy Political Life of George W. Bush』『Bushwhacked: Life in George W. Bush's America (Vintage)(邦訳版は阪急コミュニケーションズ刊『ブッシュには、もううんざり!』)』等がある。

アイヴィンズが最初に乳癌と診断されたのは1999年。2003年に再発し、2005年にも乳癌と診断されたが、病に屈するつもりはないと言い、コラム連載を続けながら闘病生活を送っていた。


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2006/11/02

ティルマンは戦場へ行った

今回は、現在全米で話題となっているケビン・ティルマン氏のコラム以下に全文翻訳して掲載。

ケビン・ティルマン氏の兄、パット・ティルマンはNFLのスター選手で、911テロ事件後に愛国心に駆られ、プロ選手としての高額年収を蹴って、弟ケビンと共に陸軍に入隊。米陸軍レンジャー部隊兵士としてイラクに派遣された後、2004年4月22日にアフガニスタンで戦死した。ケビン・ティルマン氏は2005年に除隊している。

パット・ティルマンの戦死について、当初陸軍側は「敵との交戦で殺害された」と遺族に説明していた。しかし2年経過した現在では、友軍の誤射で死亡した事実が明らかになっている。その後、戦死した兵士の遺族達の追求により、米軍が友軍の誤射による死亡例を隠してきた事実が少なくとも7件確認されており、米軍の公式戦死報告への信頼性はさらに低下しつつある。

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2006/03/04

ヴォネガットがオハイオ州立大学で講演:「ブッシュは梅毒大統領」

アレックス叔父は、そんな至福の瞬間にはかならず声に出してこういえ、とわたしに教えました。『これがすてきでなくて、ほかになにがある?』

---カート・ヴォネガット著『タイムクエイク』(浅倉久志訳、早川書房)---

2006年3月1日、作家のカート・ヴォネガット氏がオハイオ州立大学で特別講演を行った。ヴォネガット本人曰く「金を貰って行う最後のスピーチ」ということである。オハイオ州在住のジャーナリスト、ハーベイ・ワッサーマン氏による講演の模様を伝える記事から、83歳になったヴォネガット氏の言葉を以下に引用:

「(司会者に)何を話せばいいのかね・・・(マイクに向かい)ええと・・・ちょっと言いたいんですが、ジョージ・W・ブッシュは梅毒大統領です。」

「ブッシュとヒットラーの唯一の違いは、ヒットラーは選挙で選ばれたという事です。もう皆さんも良くご存知のように、選挙は盗まれたんですよ。この土地(オハイオ州)でね。」

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2005/10/04

バート・バカラック、最新アルバムでブッシュ批判「言わねばならないことがある」

ラブ・ソングの大御所、バート・バカラックが、11月1日発売の最新ソロアルバム『At This Time』で、自ら作詞・作曲した反ブッシュサウンドを披露しているという。77歳の音楽家を異例な行動へと駆り立てたものは何か?バカラック本人は以下のように説明している:

「ラブ・ソングに人生の全てを捧げてきた事で知られる男が、なんで唐突に波風立てるようなことをするのかと問う向きもあるでしょう。やらねばならなかったんです。今回のアルバムは非常に個人的な動機によるもので、これまで私が手がけた中で最も情熱的な作品になります。」

英インディペンデント紙のインタビューによれば、バート・バカラックは自分の子供達が軍隊に行かねばならないような事態を恐れているらしい。彼は言う:

「楽曲だけでなく、熱烈に自分の考えを表明する必要があったのです。私が今問うのは、『私達の人生を支配しつつある連中は一体何者なのか?どうしたら彼等の暴虐を止められるのか?』ということです。私には二人の幼い子供と19歳の息子がいまして、彼等の人生がこの先どうなるのかとても心配です。非常に個人的なことですが、それを歌にしようと決心したのです。このアルバムは私と、皆さんの子供達に捧げられています。」

ミズーリ州カンサスシティ生まれで、ニューヨーク・クイーンズ育ちのバカラックは、コネチカット生まれの金持ちの息子、ジョージ・W・ブッシュをどう評価しているか?本人の言葉を引用しよう:

「私見では、ブッシュは最も粗末な大統領だと思いますね。もっと酷い大統領を探すとしたら、私が生まれる以前の時代に遡る必要があるでしょう。」

バカラックの最新アルバム『At This Time』には、バカラックチームとしてお馴染みエルビス・コステロに加え、ヒップホップ界のスター、ドクター・ドレー(Dr Dre)も参加している。(アルバムの詳細はレコード会社のプレスリリースでどうぞ)

2005/08/26

「全米で最も保守的な州」ユタ州ソルトレイク市長の反乱

連日のサイクリングに忙しくて、戦死兵の母親達に面会するヒマがないブッシュ大統領は、イラク戦争の正当性を地方の国民に訴えるために、全米で最も保守的な土地として知られるユタ州で開催される退役軍人大会において遊説を行うことにした。2004年大統領選挙時、住民の71%がブッシュに投票したユタ州では、地元民主党員さえも『共和党穏健派』と揶揄されるほど超保守的な土地柄として知られている。この場所で、しかも退役軍人向けイベントとなれば、勢いを増している反戦運動から、大統領は身を隠すことができるはずだった。

ところが、ブッシュの遊説の知らせを受けてすぐ、ユタ州都ソルトレイク市長のロッキー・アンダーソンは、地元の各市民団体に電子メールで異例の呼びかけを始めた。州都の市長として大統領歓迎の挨拶を述べるはずのアンダーソン市長は、退役軍人と共和党支持者が結集するブッシュ大統領遊説会場の外で、反戦集会を開催しようと市民に持ちかけたのだ。アンダーソン市長は電子メールで説明した。「ブッシュ政権は我が国に災いをもたらしている。全米でもっとも保守的なこの場所で、私達市民が結集して、印象的な態度で大統領に異論を唱えれば、注目を集められるはずだ」

もちろん、ユタ州住民はソルトレイク市長の態度に「顔を真っ赤にして」猛抗議した。「汚い言葉で申し訳ないが、あのクソッタレ市長め!なんという非国民・・・見下げた野郎だ」地元紙の取材で、退役軍人の1人は市長を呪った。「もう奴に二度と投票するもんか」

市長は、ブッシュ支持派の批判に反論した。「政府役人が国民に対して非民主主義的且つ詐欺的に振舞っている時には、堂々とそれを批判するのが愛国心というものです」同州でモルモン教徒として育ち、後に信仰を捨てた『ユタ州の異端児』ロッキー・アンダーソン市長は言う。「ブッシュ政権の詐欺的で残虐なやり方に対して、盲目的に追随する人々が私には理解できない。単に権利があるから異論を述べるのではなく、政府の不正を見つけたらそれを糾すことは国民の義務です。私達にとって最も愛国的な行為とは、政府権力の乱用に立ち向かうことなのです。」

8月22日月曜日、ユタ州ソルトレイク市ソルトパレス・コンベンションセンターの演台に立ったブッシュ大統領は、相変わらず911テロの恐怖を巧みに利用しながら以下のように述べた

「911テロの朝以来、テロとの戦いが多大な犠牲を強いてきたことは我々も理解している。『イラクの自由作戦』では1864人、『限りなき自由作戦』では223人の兵士を失っている。」

この日、就任以来初めて、ブッシュは自身の演説で具体的な戦死者数に言及したことになる。「大統領は兵士の死にあまりにも無頓着」との反戦派からの批判をかわすために、側近達が入れ知恵した結果だった。しかし、ブッシュ大統領が夏休みを開始してから68人の米軍兵士がイラクで戦死している事実については言及されなかった。

アンダーソン市長と反戦集会

ユタ州の『反乱軍』アンダーソン市長と反戦市民たち。

ブッシュの演説が行われたコンベンションセンターには、約6,000人の退役軍人・軍関係者が集まった。大統領演説に先立って行われたアンダーソン市長の演説の際には、大量のブーイングが巻き起こった。ブッシュ遊説前の挨拶を終えた市長は、コンベンションセンターを出ると、すぐ近所で行われている反戦集会の演台に上って宣言した:「このソルトレイクの地において、今日が我が国にとって転機となるのです。」市長直々の呼びかけに集まった2,000人ほどの反戦派市民が、シンディ・シーハンら『平和の母』への連帯を唱えた。

この日、ユタ州のNBC、CBS及びフォックス系列の地元テレビ局は、シンディ・シーハンの「ブッシュはウソつき」CMを配信開始した。しかし、ユタ州のABC系列放送局KTVXは、CM配信を拒否した。また、ブッシュの次の遊説場所であるアイダホ州(2004年大統領選挙で住民の68%がブッシュに投票、8月現在全米でブッシュ支持率が最大を誇る土地でも、CBSとフォックス系列の地元テレビ局が、シーハンのCM配信を拒否している。

アイダホ州の地元テレビ局KBCIの責任者は、反戦広告配信拒否の理由として、「イラクに大量破壊兵器が存在しなかったというシンディ・シーハンの主張を裏付ける証拠はない」と説明している。テキサス州クロフォードにやって来たブッシュ支持者の1人は、「今イラクで米軍が戦っている相手は、(911テロで)国際貿易センターを爆破した奴等なんだぞ」と主張し、イラク戦争継続を訴えている。

アメリカは確かに転機を迎えているが、反戦派とブッシュ支持派の間には依然として深い溝がある。その溝はやがて埋るのだろうか?それまでにあと何人の米兵とイラク市民が死ぬのだろう。

2005/08/19

全米の「赤い州」が続々と反ブッシュに転向中

2004年度大統領選挙でブッシュ陣営が獲得した「赤い州(共和党寄り)」の大半が、現在ではブッシュ不支持に転向していることが、最新の世論調査で判明している。

SurveyUSA社が、8月12日から14日の間に全米各州で行った最新世論調査によると、今でもブッシュ大統領支持率が不支持率を上回っている州は、(支持率の高い順に)アイダホ、ワイオミング、ユタ、ネブラスカ、テキサス、アラバマ、ノースダコタ、モンタナ、オクラハマ、ミシシッピの10州となっている。

2004年大統領選挙結果地図

2004年大統領選挙の際、ブッシュは大半の州の票を獲得していたが・・・(赤がブッシュ支持、青がケリー支持の州)source:USAtoday紙

2005年8月の全米ブッシュ支持分布図

2005年8月現在の全米ブッシュ支持分布状況。赤はブッシュ支持が不支持を上回る州、青は不支持が上回る州、紫は支持と不支持が同率の州。なお、ブッシュ不支持=民主党支持というわけではないのでご注意。SurveyUSA社の最新調査を元に作成)

「大統領支持率最低記録を更新」「共和党議員が大統領の政策に反論」というニュースが配信されるにつれ、ホワイトハウス執務室のブッシュは怒りを抑えきれず、スタッフに八つ当たりして怒鳴り散らしているという。ホワイトハウス内部では、近ごろの大統領のご乱心ぶりは「手がつけられない」と囁かれている。ブッシュの側近達も、今頃は真っ青になっていることだろう。

(参考過去記事:アメリカはパープル(紫)になった

2005/08/12

「お茶も同情もなし?」byモーリーン・ダウド

イラクで戦死した兵士の母親達が、全米で結集し始めている。

きっかけは、ブッシュ大統領が最新の演説で、戦死した兵士の遺族に向けて語った以下の発言である:

「イラクとアフガニスタンで、テロとの闘いで亡くなった我が国の男女は、崇高な使命のために、無欲の内に命を捧げたのだ。」

大統領の言葉に、カリフォルニア州の女性シンディ・シーハンは、怒りを新たにした。出征した息子をイラクで亡くした母親である彼女は、『平和のための戦死兵遺族会(Gold Star Families for Peace)』という組織を立ち上げ、イラク駐留米軍の即時撤退を訴え活動している。

「崇高な使命とは一体何のこと?」この疑問の答えを、大統領に直接会って問いただすために、シンディ・シーハンは、大統領が夏休みを過ごしているテキサス州クロフォードの牧場前にやってきた。だが大統領は彼女と会うつもりはないと言う。大統領側近達の説明に納得できない彼女は、その場で待ち続けることにした。

cindysheehan

ブッシュ牧場前で野営するシンディ・シーハン。怒りと悲しみに揺れる戦死者の遺族に対し、戦争を知らぬ極右タレントたちはテレビで罵る。民主主義も人道性も国内では吹き飛んでしまうのがアメリカ社会なのか。

シンディ・シーハンがブッシュの私邸である牧場前に座り込みを開始してからまもなく、同様の境遇にある全米の両親が続々と支援のために同地に集まり始めた。さらに、遺族に共感した退役軍人達も参加し、その人数は日増しに増加している

戦死した兵士達の遺影を手に、怒りに燃える母親たちは、ジョージ・W・ブッシュと直接会見し即時撤兵を決心させるまで、私邸及びホワイトハウス前で大統領を待ち続けると宣言している。(11日、ブッシュは最新演説でシンディ・シーハンの件に言及したが、イラク撤退についてはいつもどおり拒否した)

一方で、ブッシュを擁護する保守系市民は攻撃キャンペーンを開始し、フォックスニュース等では極右タレント達が、座り込みをする母親を罵倒している

ニューヨークタイムズ紙の連載で人気を博しているモーリーン・ダウドは、同紙の連載コラム最新版で、シンディ・シーハンをとりまく現在の米国の状況について書いている。以下に全文翻訳して掲載。(文中リンク、注釈は訳者による)


お茶も同情もなし?(Why No Tea and Sympathy?)

by モーリーン・ダウド:ニューヨークタイムズ紙2005年8月10日付けコラム


W(ダブヤ)はイラクのことで何一つ満足できずにいる。

テキサス州クロフォードにあるブッシュ私邸の牧場の外では、戦死した兵士の母親が怒りに震えながら、周到に演出された弔意をより好む大統領との面会を求めている。

最新のCNN・USAトゥデイ・ギャラップ共同世論調査によれば、アメリカ国民の大半は、イラク戦争が誤りであり、戦争によってアメリカ合衆国がテロ攻撃に対して脆弱になっていると考えている。つまり、イラクで戦うことで、合衆国本土で国民がテロと戦わねばならぬ可能性が高まっているということだろうか。

昨日、ドナルド・ラムズフェルドは、イランとイラクへの国境地帯で、精巧な爆弾が流通し始めていると認めた。

そして、ローリング・ストーンズは、性的な詩をひと休みして、『素敵なネオコン(Sweet Neo Con)』という反戦ソングを新たにレコーディングした。この曲では、ミック・ジャガーがコンディ・ライスとブッシュを嗜めながら、『あんたは自分のことをクリスチャンと言ってるが、俺に言わせりゃ恥知らずさ♪』と歌っている

月曜日に、N・F・L(全米プロフットボールリーグ)は、ストーンズ、ABC放送と共同で、『Monday Night Football(毎週月曜のフットボール試合番組)』をプロモートすると発表した。愛国心を誇示しがちなN・F・Lは、(政府の)圧力があれば発表を取り消すだろうが、2003年にマドンナが反戦ミュージックビデオの配信を怖気づいて止めて以来、世論はすでに変わっている。これまでホワイトハウスは、兵士を侮辱する行為との口実から戦争批判派を抑圧してきたが、兵士を守るためにどういう計画があるのかホワイトハウス側に説明を求める国民の数は一層増加している。

48歳の、広報活動に才覚のあるカリフォルニア人シンディ・シーハンは、ブッシュ大統領と差し向かいでイラクからの米軍撤退を訴えることができるまで、大統領私邸の牧場の傍の、砂煙舞い上がる灼熱の場所で野営を決行すると話している。シンディの息子ケイシーは、24歳の陸軍特技兵で、昨年イラクのサドルシティで待ち伏せ攻撃により戦死した。

ケイシーの死後2ヵ月後に、ブッシュ大統領は遺族と面会した。陰鬱さと冗談の間を行き来する大統領の当惑ぶりに相対したシーハン夫人は、会見中にブッシュが彼女に対して『お母さん』としか呼びかけなかったのは、息子の名前すら大統領が知らなかったのではという気持ちに至ったと話した。

ブッシュ側のチームは、過去の報道においてシーハン夫人がブッシュを擁護していたとして、その『お母さん』の信用を貶めようとした。もしも彼女の夫がCIA工作員だったなら、ブッシュ陣営はとっくにそれを漏洩していただろう。しかし、仮にブッシュ陣営が『真実のための高速艇母(Swift Boat Moms for Truth)』部隊を送り出したとしても、『真実のためのファルージャの母』が迎え撃っているだろう。(訳注1)

驚いたことに、ホワイトハウス側は、門の外にブッシュを出させて、母親の言葉を聞いたり、お茶に招待する類の、初歩的な待遇すらしていない。しかし、大統領任期中の20%ほどの時間を私邸である牧場で過ごしているブッシュは、5週間の夏休みと毎日2時間のワークアウトに身を隠している。大統領自身は健康になるだろうが、イラクにとっては全く無意味だ。

かつて、これほどまでに世間から隔絶された大統領がいただろうか。強固に管理された環境のおかげで、大統領は自身に異議を唱える相手とは全く直面することがない。大統領は自らを弁護する必要は全くないどころか、それは無礼ですらあるというのだ。ブッシュは決して国民と会うことのないポピュリストで、木の手入れをするような、どこにでも居る人間で、話しかける唯一の相手も木だけというわけだ。ブッシュはテキサスを、自身が原点に帰れる場所として賞賛している。しかし彼は、バルカン、パイオニアー、レンジャーに加えて、テキサスを混乱させているだけではないか。(訳注2)

ブッシュは慰めとして、外交分野における非人道的な人道主義を強調すべく、国家安全保障担当補佐官スティーブン・ハドレーを、シーハン夫人の話し相手として派遣した。ハドレーは、強硬で思いやりのないネオコンで、アメリカを騙して戦争に引きずり込んだ張本人の1人としてまさしく適役であった。

大統領にとって、自身の行動の結果生まれた人的被害から隠れ続けたり、イラクで戦死した1835人の兵士にカーテンを被せて国民感情を管理することは一層困難になっている。1万3,000人以上の兵士が負傷し、その多くは手足を失っている。イラク市民の犠牲者数は、2万5,000人、ひょっとしたらその2倍から3倍を超えているかもしれない。申し分のない信任状を携えた人々が、比類なき道徳的権限の体現者として社会に名乗り出て、ブッシュに挑みかかっている。

イラクに派遣された海兵隊員として、大統領の行為を批判していたポール・ハケットは、共和党が優勢なオハイオ州シンシナティで民主党候補として下院議員に立候補し、先週僅差で落選した。共和党のニュート・ギングリッチは、その選挙を「2006年選挙に向けた共和党への警鐘となった」と評している。

ごく限定的な思いやりを見せるブッシュは、911テロの被害を強調することでイラク戦争を正当化している。大量破壊兵器が開戦根拠として蒸発した際には、大統領は自由を求めるイラク人の人道性を強調していた。

しかし、イラクで戦死した兵士達を埋葬した両親達の道徳的権限が絶対的であることを理解しないならば、大統領の人道主義は依然として無慈悲というほかない。
(以上)


(訳注1:2004年大統領選挙で、ジョン・ケリーの軍歴を中傷するためにブッシュ陣営が発足させたのが『真実のための高速艇退役軍人の会(Swift Boat Veterans For Truth)』。その中傷内容は全てデッチアゲだった。)

(訳注2:パイオニア等の名称はブッシュ再選活動への献金者の献金額ランクのこと)

2005/08/09

ニュージーランドの大手ピザチェーンが『ブッシュは悪魔』広告を展開

ニュージーランドのオークランドとウェリントンで、人気ピザチェーンの『地獄ピザ(Hell)』が、超過激なビルボード広告を展開し、論争を巻き起こしている。問題となっている看板広告では、ブッシュ大統領の写真に、『地獄(ピザ):悪魔野郎には贅沢すぎる』『地獄(ピザ)にだって規範はある』のキャッチコピーが添えられている。

地獄ピザ広告「悪魔野郎には贅沢すぎる」

ニュージーランド・オークランドのビルボード広告『地獄(ピザ):悪魔野郎には贅沢すぎる』

ビルボード広告『地獄(ピザ)にだって規範はある』

こちらは落書き(?)された広告。『地獄にだって規範はある』


『地獄ピザ』チェーンの奇抜なマーケティングはニュージーランドで大成功を収めているらしく、『地獄ピザ』創業者カルーム・デイビーズ氏は、2005年度ニュージーランド・マーケッター大賞を先月受賞したばかり。現在の『ブッシュ:悪魔野郎』キャンペーンを手がけた『地獄ピザ』メディア担当のマシュー・ブロムフィールド氏の話では、「味気ない退屈な広告の代わりに、論争を巻き起こすようなちょっと危ない広告を意図した」と説明している。

ニュージーランド広告規格協会は、地獄ピザの広告問題に介入するかどうかを近日中に決定する予定であるという。

仮に広告規格協会側が既存広告にクレームをつけることになれば、広告内容の真実性をめぐりさらなる論争を巻き起こすかもしれない。『地獄ピザ』のマーケティング策略は見事というほかないが、駐ニュージーランド米大使館側の今後の対応次第では、危険な騒動に発展するかもしれない。

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